照光式キーパッド
【課題】 透光性のゴム状弾性体でなるベースシートの表面に、透光性の樹脂キートップを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光によりキートップが照光する照光式キーパッドについて、照光をもとにした新たな付加価値を創出する照光式のキートップを備えること。
【解決手段】
樹脂キートップ14の下端縁14bに着色形成された縁取層16を有するものとした。そのため、樹脂キートップ14は、非照光時には、樹脂キートップ14の底面14aや表面の色が見える一方、照光時には、縁取層16の色となって見えるため、非照光時と照光時とで樹脂キートップ14の色彩が変化し趣を異にすることができる。
【解決手段】
樹脂キートップ14の下端縁14bに着色形成された縁取層16を有するものとした。そのため、樹脂キートップ14は、非照光時には、樹脂キートップ14の底面14aや表面の色が見える一方、照光時には、縁取層16の色となって見えるため、非照光時と照光時とで樹脂キートップ14の色彩が変化し趣を異にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDAなどの携帯情報端末、各種家庭用リモコンやカードリモコン、各種キーボードなどの電子・電気機器等に利用される押釦スイッチ用の照光式キーパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルユースとして用いられる電子・電気機器は、小型化、薄型化が進展し、また、利便性の追求からさまざまな付加機能が搭載されるようになってきた。例えば、図11に示した携帯電話機1においては、電話機としての通話機能だけでなく、メール機能、インターネット接続機能、撮影機能などの補助機能も備え、消費者の購買意欲をかき立てるような努力がなされている。しかし、商品の売れ行きを増大させるためには、これらの機能の豊富さだけでは十分でなく、個人所有という商品の特性を加味した個性的で斬新なデザインを有することが重要になってきている。そのため、電子・電気機器としての機能の多様化だけでなく、デザインの多様化が進行してきている。
【0003】
すなわち、携帯電話機1の機器の筐体1aのデザインはいうまでもなく、携帯電話機1の表面部分を形成する押釦スイッチ用キートップ(以下「キートップ」と記載する)2においても、他機種との差別化を図るデザイン競争が生じてきており、金属調やパール調のキートップ2や、見る角度によって色調の変わるキートップ2なども上市されてきた。例えば、特開2003−197063号公報(特許文献1)には樹脂キートップの表面に、多数の金属箔片を重着して鏡面光沢層を形成して金属調の色彩とした樹脂キートップについての記載がある。
【0004】
一方、キートップ2には、携帯電話機1の内部から発光させてキートップ2が照光する照光式のキートップ2が知られている。しかしながら、照光式のキートップ2は、照光させて文字や記号等の表示部3を明るく見せる機能を有するものの、デザイン上は、表示部3の周囲が有色に光るようなキートップ2しかなく、照光により面白みを醸し出すような消費者の趣向を刺激する照光式のキートップは開発されていなかった。
【特許文献1】特開2003−197063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような背景に基づきなされたのが本発明である。その目的は、照光をもとにした新たな付加価値を創出する照光式のキートップを備えた照光式キーパッドを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成すべく、本発明は、透光性のゴム状弾性体でなるベースシートの表面に、透光性の樹脂キートップを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光によりキートップが照光する照光式キーパッドについて、樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層を有することを特徴とする。
【0007】
樹脂キートップの下端縁は、樹脂キートップの底面にあっては底面縁、樹脂キートップの周面にあっては周面下隅を意味するものとし、下端縁という場合には、底面縁や周面下隅の何れか一方だけの場合と、その両者を意味する場合の何れの場合も含むものとする。なお、樹脂キートップの周面とは樹脂キートップの押圧操作方向と平行な面であって樹脂キートップの天面と底面を除く残余の面を言うものとする。
【0008】
すなわち、いわゆる照光式キーパッドについて、樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層を有するため、非照光時には、樹脂キートップの底面や表面に施された着色層の色が見えたり、その着色層が無い場合にはベースシートの地色などの縁取層以外の部分の色が見える。一方、照光時には、樹脂キートップが前記縁取層の色となって見える。そのため、非照光時と照光時とで樹脂キートップの色彩を変化させることができ、これにより非照光時と照光時とで趣を異にする樹脂キートップを備えた照光式キーパッドとすることができる。
【0009】
このように、照光時と非照光時とで樹脂キートップの色が変わって見えるのは、非照光時では、樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層がキートップ表面からは全く視認されないか、所定の角度から見る場合だけわずかに視認されるにすぎないのに対して、照光時では、機器の内部に設けられた照光源からの発光により縁取層に当たった光が視認されるためであると考えられる。
【0010】
そして、本発明では、前記樹脂キートップをフランジ付きのキートップとすることができる。フランジ付きのキートップであれば、フランジが機器の筐体の桟に隠れ、視認されないため、このフランジ部分に縁取層を設ければ非照光時には縁取層が全く視認されない照光式キーパッドとすることができる。
【0011】
そして、樹脂キートップの下端縁のうち、樹脂キートップの底面縁に縁取層を有するものとすることができる。底面縁へは縁取層を形成する作業が容易であり、縁取層形成の精度が高く品質の良い照光式キーパッドとなる。
【0012】
また、樹脂キートップの下端縁のうち、樹脂キートップの周面下隅に縁取層を有するものとすることができる。特に、フランジの無い樹脂キートップの場合は、樹脂キートップの底面縁に縁取層を形成したとすれば、非照光の場合でも樹脂キートップの底面全体が視認可能なため縁取層が視認されてしまう。ところが、底面縁ではなく周面下隅に縁取層を形成すれば、その縁取層は視認されにくく、目立たないという利点を有する。
【0013】
さらに、樹脂キートップの下端縁のうち、樹脂キートップの底面縁から樹脂キートップの周面下隅に繋がる縁取層を有するものとすることができる。樹脂キートップの底面縁から樹脂キートップの周面下隅に繋がる縁取層を有するものとすれば、製造工程において、樹脂キートップの周面下隅への縁取層の形成は、底面縁への縁取層の形成と同時に行うことができ、歩留まりが高く安価な製品とすることができる。
【0014】
縁取層は、樹脂キートップの下端縁を環状に連続してなるものとすることができるし、また、樹脂キートップの下端縁を環状ではあるが断続してなるものとすることができる。環状に連続したものとすれば、照光源の設置場所に左右されることなく、照光源がどこにあっても下端縁の縁取層に必ず光が当たるため、安定した照光色を得ることができる。また、環状であるが断続したものとすれば、照光源からの光が低減されず、照光時の輝度を高く維持することができる。
【0015】
そして、前記縁取層を透光性とすれば、光の透過量減少を抑えることができ、照光時にキートップ全体を縁取層の色として照光させることが可能となる。
【0016】
また、本発明は、ベースシートに複数の樹脂キートップを備え、個々の樹脂キートップごとに定めた所望の色彩を有する前記縁取層を、該樹脂キートップごとに選択して設けたものとすることができる。
【0017】
ベースシートに複数の樹脂キートップを備え、個々の樹脂キートップごとに定めた所望の色彩を有する前記縁取層を、該樹脂キートップごとに選択して設けたため、複数の樹脂キートップ全体としてデザイン上まとまりのある照光を行うことが可能となる。例えば、樹脂キートップごとに虹を構成する各色を縁取層の色として段階的に設ければ、照光時に樹脂キートップ全体から虹色を照光することができ、虹をイメージさせることが可能となる。また、縁取層の色彩を樹脂キートップごとに段階的に薄めていけば、樹脂キートップ全体からグラデーションを表出させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の照光式キーパッドによれば、非照光時と照光時とで樹脂キートップの色彩を変化させることができ、これにより非照光時と照光時とで趣を異にする樹脂キートップを備えた照光式キーパッドを得ることができる。
【0019】
また、本発明の照光式キーパッドによれば、個々の樹脂キートップの色彩の相違により、全体としてまとまりのある趣を表出する樹脂キートップを備えた照光式キーパッドを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る照光式キーパッドについて、図面を用いてさらに詳しく説明する。
【0021】
第1実施形態; 図1は、照光式キーパッド11の平面図であり、図11で示したような携帯電話機1に用いられるものである。照光式キーパッド11は、携帯電話機1の筐体1aから露出し押圧操作を受ける複数の樹脂キートップを備えている。即ち、中央上部にある大型で上下左右の方向入力を行う1個の中央キートップ12と、その左右にある小型で4個の樹脂キートップ13と、それらの下側にあり、縦に5行、横に3列からなる15個の中型の樹脂キートップ14とを備えている。そして、これらの樹脂キートップ12,13,14は、ゴム状弾性体でなるベースシート15に透光性の接着剤などで固着されている。すなわち、照光式キーパッド11は、複数の樹脂キートップ12,13,14とベースシート15とで構成されている。
【0022】
本発明の照光式キーパッド11に備えられた複数の樹脂キートップ12,13,14のうち、照光式キートップとして機能する樹脂キートップは、中型の樹脂キートップ14であり、中央キートップ12や、小型の4個のキートップ13は、表面にメッキ処理を施した非照光式キートップとなっている。
【0023】
樹脂キートップ14の原材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ABS等の熱可塑性樹脂やエポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの透光性の樹脂が用いられる。これらの樹脂は、成形加工性や成形後の装飾を施し易いなどの点で好ましい。他の樹脂キートップ12,13もこれらの樹脂により成形することができるが透光性である必要はない。
【0024】
図2には、1つの樹脂キートップ14の拡大図を示す。図2Cで示すように、樹脂キートップ14の底面(裏面)14aには、文字や記号、絵柄等を表す表示部3が形成されている。表示部3の形成は、スクリーン印刷やタンポ印刷、金属薄膜を備えた転写箔の転写などによって行うことができ、いわゆる抜き文字印刷にて抜き文字を形成しても良いし、文字部分を印刷等にて形成しても良い。例えば、スクリーン印刷により黒色インキを印刷して黒色の数字「1」設けることができる。これにより、照光しない場合には、黒色の数字「1」が、ベースシート15の地色の背景の中に見ることができる。また、表示部3の周囲の部分に着色しても良く、数字「1」を黒色に、その周囲の部分を白色にすれば、白地に黒の数字が見えることとなる。なお、表示部3やその周囲の部分に用いられる印刷インキは透光性のものでも非透光のものでも良く、デザインによってまたは後に説明する縁取層との関係で決定することができる。
【0025】
図2Aには、図2Bで示した樹脂キートップ14の部分拡大図を示すが、図2Aや図2Cで示すように、樹脂キートップ14の下端縁である底面縁14bの縁上に、環状に連続した着色層が縁取層16として設けられている。縁取層16は、スクリーン印刷やタンポ印刷などで形成することができ、透光性の所望の色彩を有するインキを用いることが好ましい。光の透過道を確保し、照光時の明るさの減少を最小限にすることができるからである。ここで、樹脂キートップ14は、フランジ17を有する樹脂キートップであり、フランジ17の底面17a部分に縁取層16が形成されている。すなわち、縁取層16はフランジ17の底面17aには設けられているが、樹脂キートップ14の底面14a全面には設けられていないため、縁取層16が設けられた部分とそれ以外の樹脂キートップ底面14aの部分は色彩が異なっている。なお、縁取層16の形成は、縁取層16の形状に印刷して形成しても良いが、縁取層16とするべきインキを樹脂キートップ14の底面14a全面に印刷しておき、後にその底面14aの中央部分には別色の着色層を設けるなどして被覆して結果的に縁取層16が表出するように形成しても良い。
【0026】
ベースシート15は、例えばシリコーンゴムのような透光性のゴム状弾性体によって平型薄肉シート状として形成されが、プリント基板4の皿ばね6を押圧する部分は押し子15aとして下向きに突起が設けられている。ベースシート15は、成形型を用いた一般的な型成形にて形成することができる。
【0027】
樹脂キートップ14とベースシート15とは、透光性の接着剤で両者を固着することができるが、樹脂キートップ14とベースシート15とに予め形成しておいた嵌合溝などによって嵌め合わせて接合してもよい。
【0028】
このようにして形成された照光式キーパッド11は、携帯電話機1に組み込まれると、図3で示したように、プリント基板4の上に載置して用いられる。そのプリント基板4には、照光源としての複数個のチップLED5と、押圧操作により座屈してクリック感を発生する金属製の皿ばね6と、皿ばね6との接触により導通してスイッチ機能をなす固定接点7などが設けられている。照光式のキートップ14を押圧すれば、固定接点7が押されて導通し、スイッチ機能を果たすようになっている。
【0029】
照光式キーパッド11は、チップLED5を点灯しない場合は、図4Aの模式図で示すように、縁取層16を透過、または反射する光を視認しないため、ベースシート15の地色を背景色とし、その中央に表示部3をなす数字「1」が視認されることになる。一方、チップLED5を点灯する場合は、図4Bで示すように、チップLED5から発せられた光が縁取層16を透過して視認される。非透光性の縁取層16である場合でも、キートップ14の周面から入射し縁取層16に反射した光が視認される(図示せず)。そのため、例えば赤色の縁取層16としてあれば、黒色の数字「1」が赤色の背景の下に視認されることになる。したがって、未照光の場合には全く見て取れなかった赤色が、照光させることによって表れ、照光による趣を異にする照光式キーパッド11を得ることができる。
【0030】
第2実施形態; 第2実施形態による照光式キーパッド21は、第1実施形態で用いた樹脂キートップ14の代わりに、図5で示すような樹脂キートップ24を用いている。樹脂キートップ24は、その底面縁24bから、フランジ27の側面27bに繋がる縁取層26を設けている点が樹脂キートップ14と異なるところである。第2実施形態における樹脂キートップ24と第1実施形態における樹脂キートップ14とは縁取層の形状以外は同じである。
【0031】
縁取層26は、第1実施形態で示した縁取層16と同様にして形成することができる。例えば、フランジ27の側面27bへの着色工程を特に設けずとも、樹脂キートップ24の底面縁24bからインキがはみ出すように底面縁24bに印刷することで、フランジ27の側面27bにまでインキを回り込ませて縁取層26を形成することができる。また、樹脂キートップ24の底面縁24bへの着色工程とは別にフランジ27の側面27bに着色することもできる。
【0032】
本実施形態における樹脂キートップ24は、樹脂キートップ24の底面縁24bであるフランジ27の底面27aと、樹脂キートップ24の周面下隅であるフランジ27の側面27bに縁取層26を設けたので、照光時に縁取層26の色で照光することができる。
【0033】
第3実施形態; 第3実施形態による照光式キーパッド31は、第1実施形態で用いた樹脂キートップ14の代わりに、図6で示すような樹脂キートップ34を用いている。樹脂キートップ14では、その底面縁14aを環状に連続した縁取層16を設けていたが、樹脂キートップ34では、図6Cで示すように、その底面縁34bに環状ではあるが断続的な縁取層36が設けられている。第3実施形態における樹脂キートップ34と第1実施形態における樹脂キートップ14とは縁取層の形状以外は同じである。
【0034】
本実施形態における樹脂キートップ34は、樹脂キートップ34の底面縁34bであるフランジ37の底面37aに縁取層36を断続的に設けているが、照光時に縁取層36の色で照光することができる。
【0035】
第4実施形態; 第4実施形態による照光式キーパッド41は、第3実施形態で用いた樹脂キートップ34の代わりに、図7で示すような樹脂キートップ44を用いている。樹脂キートップ44は、その底面縁44bからフランジ47の側面47bに繋がる縁取層46を設けている点が樹脂キートップ34と異なるところである。第4実施形態における樹脂キートップ44と第3実施形態における樹脂キートップ34とは縁取層の形状以外は同じである。この場合も、照光時に縁取層46の色で照光することができる。
【0036】
第5実施形態; 第5実施形態による照光式キーパッド51は、これまでの実施形態がフランジ付きの樹脂キートップ14,24,34,44であったのに対し、フランジが無い樹脂キートップ54を用いている点で相違する。そして、図8で示すように、このフランジの無い樹脂キートップ54には、その周面54cであって、その下隅54dに縁取層56を設けている。
【0037】
本実施形態における樹脂キートップ54は、樹脂キートップ54の下端縁としての周面下隅54dに縁取層56を設けたため、携帯電話機1の設計にもよるが、非照光時は縁取層56がほとんど視認されないため、ベースシート15の地色の中に数字「1」が見え、照光時には、縁取層56の色で照光された背景色の中に数字「1」が見えることになる。
【0038】
第6実施形態; 第6実施形態による照光式キーパッド61も第5実施形態と同様にフランジの無い樹脂キートップ64を用いている。そして、図9で示すように、第5実施形態の樹脂キートップ54との相違は、縁取層66を樹脂キートップ64の底面縁64bに設けた点である。それ以外の構成は第5実施形態における照光式キーパッド21と同じである。
【0039】
本実施形態における樹脂キートップ64は、樹脂キートップ64の下端縁としての底面縁64bに縁取層66を設けたため、非照光時は、ベースシート15の地色の周りを縁取層66が縁取りする中に表示部3としての数字「1」が視認される。一方、照光時には、縁取層56の色彩で背景全体が照光された中に数字「1」が見えるように視認される。本実施形態においては、非照光時に縁取層66が全く見えないわけではないが、樹脂キートップ64が、非照光時には樹脂キートップ64の底面64aの色に見え、照光時には被覆層66の色で見え、非照光時と照光時で色彩が異なって見える点では他の実施形態と同様である。
【0040】
第7実施形態; 第7実施形態による照光式キーパッド71は、第1実施形態から第6実施形態で用いた何れの樹脂キートップ14,24,34,44,54,64を用いての良いが、図10で示すように、中型の樹脂キートップ74のうち、1行目に位置する3つの樹脂キートップ74aと、2行目に位置する3つの樹脂キートップ74b、同様にして3行目の樹脂キートップ74c、4行目の樹脂キートップ74d、5行目の樹脂キートップ74eを、行ごとに別の色彩となるように縁取層16,26,36,46,56,66を施している。これにより、縁取層の色を、例えば1行目を赤色、2行目を黄色、3行目を緑色、4行目を青色、5行目を紫色とするなどして1〜5行の樹脂キートップ74で虹を表現したり、1行目から5行目に至るまでに同一の色相であるが順次色の濃さに変化を与えてグラデーションを表現したものとすることができる。こうすることで、非照光時には5行3列の樹脂キートップ74が同一色として視認されるが、照光時には虹色やグラデーションとして見える照光式キーパッド71とすることができる。
【0041】
実施形態の変形例; 上述の各実施形態においては、次のような変形が可能である。
【0042】
樹脂キートップ14,24,34,44,54,64の底面14a,24a,34a,44a,54a,64aには、表示部3を形成する文字、記号などの周囲に着色層を設けることも可能である。この着色層は、樹脂キートップの下端縁に設けた縁取層16,26,36,46,56,66とは別の色彩としておくことで、表示部3の背景色が、非照光時には着色層の色彩に見え、照光時には縁取層の色に見える樹脂キートップとすることができる。なお、縁取層16,26,36,46,56,66を非透光性の着色層とする場合は、縁取層以外の部位から光が縁取層に当たり、その反射光が視認される必要があるため、樹脂キートップ底面に設けられる着色層は透光性の層とすることが好ましい。
【0043】
中型の樹脂キートップ14,24,34,44,54,64を照光式のキートップとしたが、それ以外の樹脂キートップ12,13も照光式とすることも可能である。また、各樹脂キートップの個数や形状等については特に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の照光式キーパッドの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図2Bはその断面図、図2Cは底面図、図2Aは図2Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図3】図1のSA−SA線断面に相当する照光式キーパッドを備えた携帯電話機の断面図である。
【図4】本発明の照光式キーパッドにおける光の進行を示す模式図であり、図4Aは非照光時を、図4Bは照光時をそれぞれ表す。
【図5】本発明の別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図5Bはその断面図、図5Cは底面図、図5Aは図5Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図6】本発明のまた別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図6Bはその断面図、図6Cは底面図、図6Aは図6Bの部分拡大図をそれぞれ示す。図1のSA−SA線断面図。
【図7】本発明の別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図7Bはその断面図、図7Cは底面図、図7Aは図7Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図8】本発明のまた別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図8Bはその断面図、図8Cは底面図、図8Aは図8Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図9】本発明のまた別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図9Bはその断面図、図9Cは底面図、図9Aは図9Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図10】本発明のさらに別の実施形態における照光式キーパッドを示す平面図である。
【図11】携帯電話機の外観図である。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯電話機
1a 筐体
2 キートップ
3 表示部
4 プリント基板
5 チップLED
6 皿ばね
7 固定接点
11,21,31,41,51,61,71 照光式キーパッド
12,13,14,24,34,44,54,64,74 樹脂キートップ
14a,24a,34a,44a,54a,64a,74a 底面
14b,24b,34b,44b,54b,64b,74b 底面縁
14c,24c,34c,44c,54c,64c,74c 周面
74d 下隅
15 ベースシート
15a 押し子
16,26,36,46,56,66,76 縁取層
17,27,37,47,57 フランジ
17a,27a,37a,47a,57a (フランジの)底面
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDAなどの携帯情報端末、各種家庭用リモコンやカードリモコン、各種キーボードなどの電子・電気機器等に利用される押釦スイッチ用の照光式キーパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルユースとして用いられる電子・電気機器は、小型化、薄型化が進展し、また、利便性の追求からさまざまな付加機能が搭載されるようになってきた。例えば、図11に示した携帯電話機1においては、電話機としての通話機能だけでなく、メール機能、インターネット接続機能、撮影機能などの補助機能も備え、消費者の購買意欲をかき立てるような努力がなされている。しかし、商品の売れ行きを増大させるためには、これらの機能の豊富さだけでは十分でなく、個人所有という商品の特性を加味した個性的で斬新なデザインを有することが重要になってきている。そのため、電子・電気機器としての機能の多様化だけでなく、デザインの多様化が進行してきている。
【0003】
すなわち、携帯電話機1の機器の筐体1aのデザインはいうまでもなく、携帯電話機1の表面部分を形成する押釦スイッチ用キートップ(以下「キートップ」と記載する)2においても、他機種との差別化を図るデザイン競争が生じてきており、金属調やパール調のキートップ2や、見る角度によって色調の変わるキートップ2なども上市されてきた。例えば、特開2003−197063号公報(特許文献1)には樹脂キートップの表面に、多数の金属箔片を重着して鏡面光沢層を形成して金属調の色彩とした樹脂キートップについての記載がある。
【0004】
一方、キートップ2には、携帯電話機1の内部から発光させてキートップ2が照光する照光式のキートップ2が知られている。しかしながら、照光式のキートップ2は、照光させて文字や記号等の表示部3を明るく見せる機能を有するものの、デザイン上は、表示部3の周囲が有色に光るようなキートップ2しかなく、照光により面白みを醸し出すような消費者の趣向を刺激する照光式のキートップは開発されていなかった。
【特許文献1】特開2003−197063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような背景に基づきなされたのが本発明である。その目的は、照光をもとにした新たな付加価値を創出する照光式のキートップを備えた照光式キーパッドを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成すべく、本発明は、透光性のゴム状弾性体でなるベースシートの表面に、透光性の樹脂キートップを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光によりキートップが照光する照光式キーパッドについて、樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層を有することを特徴とする。
【0007】
樹脂キートップの下端縁は、樹脂キートップの底面にあっては底面縁、樹脂キートップの周面にあっては周面下隅を意味するものとし、下端縁という場合には、底面縁や周面下隅の何れか一方だけの場合と、その両者を意味する場合の何れの場合も含むものとする。なお、樹脂キートップの周面とは樹脂キートップの押圧操作方向と平行な面であって樹脂キートップの天面と底面を除く残余の面を言うものとする。
【0008】
すなわち、いわゆる照光式キーパッドについて、樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層を有するため、非照光時には、樹脂キートップの底面や表面に施された着色層の色が見えたり、その着色層が無い場合にはベースシートの地色などの縁取層以外の部分の色が見える。一方、照光時には、樹脂キートップが前記縁取層の色となって見える。そのため、非照光時と照光時とで樹脂キートップの色彩を変化させることができ、これにより非照光時と照光時とで趣を異にする樹脂キートップを備えた照光式キーパッドとすることができる。
【0009】
このように、照光時と非照光時とで樹脂キートップの色が変わって見えるのは、非照光時では、樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層がキートップ表面からは全く視認されないか、所定の角度から見る場合だけわずかに視認されるにすぎないのに対して、照光時では、機器の内部に設けられた照光源からの発光により縁取層に当たった光が視認されるためであると考えられる。
【0010】
そして、本発明では、前記樹脂キートップをフランジ付きのキートップとすることができる。フランジ付きのキートップであれば、フランジが機器の筐体の桟に隠れ、視認されないため、このフランジ部分に縁取層を設ければ非照光時には縁取層が全く視認されない照光式キーパッドとすることができる。
【0011】
そして、樹脂キートップの下端縁のうち、樹脂キートップの底面縁に縁取層を有するものとすることができる。底面縁へは縁取層を形成する作業が容易であり、縁取層形成の精度が高く品質の良い照光式キーパッドとなる。
【0012】
また、樹脂キートップの下端縁のうち、樹脂キートップの周面下隅に縁取層を有するものとすることができる。特に、フランジの無い樹脂キートップの場合は、樹脂キートップの底面縁に縁取層を形成したとすれば、非照光の場合でも樹脂キートップの底面全体が視認可能なため縁取層が視認されてしまう。ところが、底面縁ではなく周面下隅に縁取層を形成すれば、その縁取層は視認されにくく、目立たないという利点を有する。
【0013】
さらに、樹脂キートップの下端縁のうち、樹脂キートップの底面縁から樹脂キートップの周面下隅に繋がる縁取層を有するものとすることができる。樹脂キートップの底面縁から樹脂キートップの周面下隅に繋がる縁取層を有するものとすれば、製造工程において、樹脂キートップの周面下隅への縁取層の形成は、底面縁への縁取層の形成と同時に行うことができ、歩留まりが高く安価な製品とすることができる。
【0014】
縁取層は、樹脂キートップの下端縁を環状に連続してなるものとすることができるし、また、樹脂キートップの下端縁を環状ではあるが断続してなるものとすることができる。環状に連続したものとすれば、照光源の設置場所に左右されることなく、照光源がどこにあっても下端縁の縁取層に必ず光が当たるため、安定した照光色を得ることができる。また、環状であるが断続したものとすれば、照光源からの光が低減されず、照光時の輝度を高く維持することができる。
【0015】
そして、前記縁取層を透光性とすれば、光の透過量減少を抑えることができ、照光時にキートップ全体を縁取層の色として照光させることが可能となる。
【0016】
また、本発明は、ベースシートに複数の樹脂キートップを備え、個々の樹脂キートップごとに定めた所望の色彩を有する前記縁取層を、該樹脂キートップごとに選択して設けたものとすることができる。
【0017】
ベースシートに複数の樹脂キートップを備え、個々の樹脂キートップごとに定めた所望の色彩を有する前記縁取層を、該樹脂キートップごとに選択して設けたため、複数の樹脂キートップ全体としてデザイン上まとまりのある照光を行うことが可能となる。例えば、樹脂キートップごとに虹を構成する各色を縁取層の色として段階的に設ければ、照光時に樹脂キートップ全体から虹色を照光することができ、虹をイメージさせることが可能となる。また、縁取層の色彩を樹脂キートップごとに段階的に薄めていけば、樹脂キートップ全体からグラデーションを表出させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の照光式キーパッドによれば、非照光時と照光時とで樹脂キートップの色彩を変化させることができ、これにより非照光時と照光時とで趣を異にする樹脂キートップを備えた照光式キーパッドを得ることができる。
【0019】
また、本発明の照光式キーパッドによれば、個々の樹脂キートップの色彩の相違により、全体としてまとまりのある趣を表出する樹脂キートップを備えた照光式キーパッドを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る照光式キーパッドについて、図面を用いてさらに詳しく説明する。
【0021】
第1実施形態; 図1は、照光式キーパッド11の平面図であり、図11で示したような携帯電話機1に用いられるものである。照光式キーパッド11は、携帯電話機1の筐体1aから露出し押圧操作を受ける複数の樹脂キートップを備えている。即ち、中央上部にある大型で上下左右の方向入力を行う1個の中央キートップ12と、その左右にある小型で4個の樹脂キートップ13と、それらの下側にあり、縦に5行、横に3列からなる15個の中型の樹脂キートップ14とを備えている。そして、これらの樹脂キートップ12,13,14は、ゴム状弾性体でなるベースシート15に透光性の接着剤などで固着されている。すなわち、照光式キーパッド11は、複数の樹脂キートップ12,13,14とベースシート15とで構成されている。
【0022】
本発明の照光式キーパッド11に備えられた複数の樹脂キートップ12,13,14のうち、照光式キートップとして機能する樹脂キートップは、中型の樹脂キートップ14であり、中央キートップ12や、小型の4個のキートップ13は、表面にメッキ処理を施した非照光式キートップとなっている。
【0023】
樹脂キートップ14の原材料としては、ポリカーボネート、アクリル、ABS等の熱可塑性樹脂やエポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの透光性の樹脂が用いられる。これらの樹脂は、成形加工性や成形後の装飾を施し易いなどの点で好ましい。他の樹脂キートップ12,13もこれらの樹脂により成形することができるが透光性である必要はない。
【0024】
図2には、1つの樹脂キートップ14の拡大図を示す。図2Cで示すように、樹脂キートップ14の底面(裏面)14aには、文字や記号、絵柄等を表す表示部3が形成されている。表示部3の形成は、スクリーン印刷やタンポ印刷、金属薄膜を備えた転写箔の転写などによって行うことができ、いわゆる抜き文字印刷にて抜き文字を形成しても良いし、文字部分を印刷等にて形成しても良い。例えば、スクリーン印刷により黒色インキを印刷して黒色の数字「1」設けることができる。これにより、照光しない場合には、黒色の数字「1」が、ベースシート15の地色の背景の中に見ることができる。また、表示部3の周囲の部分に着色しても良く、数字「1」を黒色に、その周囲の部分を白色にすれば、白地に黒の数字が見えることとなる。なお、表示部3やその周囲の部分に用いられる印刷インキは透光性のものでも非透光のものでも良く、デザインによってまたは後に説明する縁取層との関係で決定することができる。
【0025】
図2Aには、図2Bで示した樹脂キートップ14の部分拡大図を示すが、図2Aや図2Cで示すように、樹脂キートップ14の下端縁である底面縁14bの縁上に、環状に連続した着色層が縁取層16として設けられている。縁取層16は、スクリーン印刷やタンポ印刷などで形成することができ、透光性の所望の色彩を有するインキを用いることが好ましい。光の透過道を確保し、照光時の明るさの減少を最小限にすることができるからである。ここで、樹脂キートップ14は、フランジ17を有する樹脂キートップであり、フランジ17の底面17a部分に縁取層16が形成されている。すなわち、縁取層16はフランジ17の底面17aには設けられているが、樹脂キートップ14の底面14a全面には設けられていないため、縁取層16が設けられた部分とそれ以外の樹脂キートップ底面14aの部分は色彩が異なっている。なお、縁取層16の形成は、縁取層16の形状に印刷して形成しても良いが、縁取層16とするべきインキを樹脂キートップ14の底面14a全面に印刷しておき、後にその底面14aの中央部分には別色の着色層を設けるなどして被覆して結果的に縁取層16が表出するように形成しても良い。
【0026】
ベースシート15は、例えばシリコーンゴムのような透光性のゴム状弾性体によって平型薄肉シート状として形成されが、プリント基板4の皿ばね6を押圧する部分は押し子15aとして下向きに突起が設けられている。ベースシート15は、成形型を用いた一般的な型成形にて形成することができる。
【0027】
樹脂キートップ14とベースシート15とは、透光性の接着剤で両者を固着することができるが、樹脂キートップ14とベースシート15とに予め形成しておいた嵌合溝などによって嵌め合わせて接合してもよい。
【0028】
このようにして形成された照光式キーパッド11は、携帯電話機1に組み込まれると、図3で示したように、プリント基板4の上に載置して用いられる。そのプリント基板4には、照光源としての複数個のチップLED5と、押圧操作により座屈してクリック感を発生する金属製の皿ばね6と、皿ばね6との接触により導通してスイッチ機能をなす固定接点7などが設けられている。照光式のキートップ14を押圧すれば、固定接点7が押されて導通し、スイッチ機能を果たすようになっている。
【0029】
照光式キーパッド11は、チップLED5を点灯しない場合は、図4Aの模式図で示すように、縁取層16を透過、または反射する光を視認しないため、ベースシート15の地色を背景色とし、その中央に表示部3をなす数字「1」が視認されることになる。一方、チップLED5を点灯する場合は、図4Bで示すように、チップLED5から発せられた光が縁取層16を透過して視認される。非透光性の縁取層16である場合でも、キートップ14の周面から入射し縁取層16に反射した光が視認される(図示せず)。そのため、例えば赤色の縁取層16としてあれば、黒色の数字「1」が赤色の背景の下に視認されることになる。したがって、未照光の場合には全く見て取れなかった赤色が、照光させることによって表れ、照光による趣を異にする照光式キーパッド11を得ることができる。
【0030】
第2実施形態; 第2実施形態による照光式キーパッド21は、第1実施形態で用いた樹脂キートップ14の代わりに、図5で示すような樹脂キートップ24を用いている。樹脂キートップ24は、その底面縁24bから、フランジ27の側面27bに繋がる縁取層26を設けている点が樹脂キートップ14と異なるところである。第2実施形態における樹脂キートップ24と第1実施形態における樹脂キートップ14とは縁取層の形状以外は同じである。
【0031】
縁取層26は、第1実施形態で示した縁取層16と同様にして形成することができる。例えば、フランジ27の側面27bへの着色工程を特に設けずとも、樹脂キートップ24の底面縁24bからインキがはみ出すように底面縁24bに印刷することで、フランジ27の側面27bにまでインキを回り込ませて縁取層26を形成することができる。また、樹脂キートップ24の底面縁24bへの着色工程とは別にフランジ27の側面27bに着色することもできる。
【0032】
本実施形態における樹脂キートップ24は、樹脂キートップ24の底面縁24bであるフランジ27の底面27aと、樹脂キートップ24の周面下隅であるフランジ27の側面27bに縁取層26を設けたので、照光時に縁取層26の色で照光することができる。
【0033】
第3実施形態; 第3実施形態による照光式キーパッド31は、第1実施形態で用いた樹脂キートップ14の代わりに、図6で示すような樹脂キートップ34を用いている。樹脂キートップ14では、その底面縁14aを環状に連続した縁取層16を設けていたが、樹脂キートップ34では、図6Cで示すように、その底面縁34bに環状ではあるが断続的な縁取層36が設けられている。第3実施形態における樹脂キートップ34と第1実施形態における樹脂キートップ14とは縁取層の形状以外は同じである。
【0034】
本実施形態における樹脂キートップ34は、樹脂キートップ34の底面縁34bであるフランジ37の底面37aに縁取層36を断続的に設けているが、照光時に縁取層36の色で照光することができる。
【0035】
第4実施形態; 第4実施形態による照光式キーパッド41は、第3実施形態で用いた樹脂キートップ34の代わりに、図7で示すような樹脂キートップ44を用いている。樹脂キートップ44は、その底面縁44bからフランジ47の側面47bに繋がる縁取層46を設けている点が樹脂キートップ34と異なるところである。第4実施形態における樹脂キートップ44と第3実施形態における樹脂キートップ34とは縁取層の形状以外は同じである。この場合も、照光時に縁取層46の色で照光することができる。
【0036】
第5実施形態; 第5実施形態による照光式キーパッド51は、これまでの実施形態がフランジ付きの樹脂キートップ14,24,34,44であったのに対し、フランジが無い樹脂キートップ54を用いている点で相違する。そして、図8で示すように、このフランジの無い樹脂キートップ54には、その周面54cであって、その下隅54dに縁取層56を設けている。
【0037】
本実施形態における樹脂キートップ54は、樹脂キートップ54の下端縁としての周面下隅54dに縁取層56を設けたため、携帯電話機1の設計にもよるが、非照光時は縁取層56がほとんど視認されないため、ベースシート15の地色の中に数字「1」が見え、照光時には、縁取層56の色で照光された背景色の中に数字「1」が見えることになる。
【0038】
第6実施形態; 第6実施形態による照光式キーパッド61も第5実施形態と同様にフランジの無い樹脂キートップ64を用いている。そして、図9で示すように、第5実施形態の樹脂キートップ54との相違は、縁取層66を樹脂キートップ64の底面縁64bに設けた点である。それ以外の構成は第5実施形態における照光式キーパッド21と同じである。
【0039】
本実施形態における樹脂キートップ64は、樹脂キートップ64の下端縁としての底面縁64bに縁取層66を設けたため、非照光時は、ベースシート15の地色の周りを縁取層66が縁取りする中に表示部3としての数字「1」が視認される。一方、照光時には、縁取層56の色彩で背景全体が照光された中に数字「1」が見えるように視認される。本実施形態においては、非照光時に縁取層66が全く見えないわけではないが、樹脂キートップ64が、非照光時には樹脂キートップ64の底面64aの色に見え、照光時には被覆層66の色で見え、非照光時と照光時で色彩が異なって見える点では他の実施形態と同様である。
【0040】
第7実施形態; 第7実施形態による照光式キーパッド71は、第1実施形態から第6実施形態で用いた何れの樹脂キートップ14,24,34,44,54,64を用いての良いが、図10で示すように、中型の樹脂キートップ74のうち、1行目に位置する3つの樹脂キートップ74aと、2行目に位置する3つの樹脂キートップ74b、同様にして3行目の樹脂キートップ74c、4行目の樹脂キートップ74d、5行目の樹脂キートップ74eを、行ごとに別の色彩となるように縁取層16,26,36,46,56,66を施している。これにより、縁取層の色を、例えば1行目を赤色、2行目を黄色、3行目を緑色、4行目を青色、5行目を紫色とするなどして1〜5行の樹脂キートップ74で虹を表現したり、1行目から5行目に至るまでに同一の色相であるが順次色の濃さに変化を与えてグラデーションを表現したものとすることができる。こうすることで、非照光時には5行3列の樹脂キートップ74が同一色として視認されるが、照光時には虹色やグラデーションとして見える照光式キーパッド71とすることができる。
【0041】
実施形態の変形例; 上述の各実施形態においては、次のような変形が可能である。
【0042】
樹脂キートップ14,24,34,44,54,64の底面14a,24a,34a,44a,54a,64aには、表示部3を形成する文字、記号などの周囲に着色層を設けることも可能である。この着色層は、樹脂キートップの下端縁に設けた縁取層16,26,36,46,56,66とは別の色彩としておくことで、表示部3の背景色が、非照光時には着色層の色彩に見え、照光時には縁取層の色に見える樹脂キートップとすることができる。なお、縁取層16,26,36,46,56,66を非透光性の着色層とする場合は、縁取層以外の部位から光が縁取層に当たり、その反射光が視認される必要があるため、樹脂キートップ底面に設けられる着色層は透光性の層とすることが好ましい。
【0043】
中型の樹脂キートップ14,24,34,44,54,64を照光式のキートップとしたが、それ以外の樹脂キートップ12,13も照光式とすることも可能である。また、各樹脂キートップの個数や形状等については特に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の照光式キーパッドの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図2Bはその断面図、図2Cは底面図、図2Aは図2Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図3】図1のSA−SA線断面に相当する照光式キーパッドを備えた携帯電話機の断面図である。
【図4】本発明の照光式キーパッドにおける光の進行を示す模式図であり、図4Aは非照光時を、図4Bは照光時をそれぞれ表す。
【図5】本発明の別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図5Bはその断面図、図5Cは底面図、図5Aは図5Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図6】本発明のまた別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図6Bはその断面図、図6Cは底面図、図6Aは図6Bの部分拡大図をそれぞれ示す。図1のSA−SA線断面図。
【図7】本発明の別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図7Bはその断面図、図7Cは底面図、図7Aは図7Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図8】本発明のまた別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図8Bはその断面図、図8Cは底面図、図8Aは図8Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図9】本発明のまた別の実施形態における照光式キーパッドに用いられる樹脂キートップであり、図9Bはその断面図、図9Cは底面図、図9Aは図9Bの部分拡大図をそれぞれ示す。
【図10】本発明のさらに別の実施形態における照光式キーパッドを示す平面図である。
【図11】携帯電話機の外観図である。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯電話機
1a 筐体
2 キートップ
3 表示部
4 プリント基板
5 チップLED
6 皿ばね
7 固定接点
11,21,31,41,51,61,71 照光式キーパッド
12,13,14,24,34,44,54,64,74 樹脂キートップ
14a,24a,34a,44a,54a,64a,74a 底面
14b,24b,34b,44b,54b,64b,74b 底面縁
14c,24c,34c,44c,54c,64c,74c 周面
74d 下隅
15 ベースシート
15a 押し子
16,26,36,46,56,66,76 縁取層
17,27,37,47,57 フランジ
17a,27a,37a,47a,57a (フランジの)底面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性のゴム状弾性体でなるベースシートの表面に、透光性の樹脂キートップを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光によりキートップが照光する照光式キーパッドにおいて、
樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層を有する照光式キーパッド。
【請求項2】
樹脂キートップがフランジ付きのキートップである請求項1記載の照光式キーパッド。
【請求項3】
樹脂キートップの下端縁としての樹脂キートップ底面縁に前記縁取層を有する請求項1または請求項2記載の照光式キーパッド。
【請求項4】
樹脂キートップの下端縁としての樹脂キートップ周面下隅に前記縁取層を有する請求項1または請求項2記載の照光式キーパッド。
【請求項5】
樹脂キートップ底面縁から樹脂キートップ周面下隅に繋がる前記縁取層を有する請求項1または請求項2記載の照光式キーパッド。
【請求項6】
前記縁取層が、樹脂キートップの下端縁を環状に連続してなるものである請求項1〜請求項5何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項7】
前記縁取層が、樹脂キートップの下端縁を環状ではあるが断続してなるものである請求項1〜請求項5何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項8】
前記縁取層が透光性である請求項1〜請求項7何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項9】
ベースシートに複数の樹脂キートップを備え、個々の樹脂キートップごとに定めた所望の色彩を有する前記縁取層を、該樹脂キートップごとに選択して設けた請求項1〜請求項8何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項10】
横方向または縦方向の何れか所定の一方向に隣合う樹脂キートップごとに同じ色彩の前記縁取層を設け、横方向または縦方向の何れか所定の他方向に隣合う樹脂キートップごとに異なる色彩の前記縁取層を設けた請求項9記載の照光式キーパッド。
【請求項1】
透光性のゴム状弾性体でなるベースシートの表面に、透光性の樹脂キートップを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光によりキートップが照光する照光式キーパッドにおいて、
樹脂キートップの下端縁に着色形成された縁取層を有する照光式キーパッド。
【請求項2】
樹脂キートップがフランジ付きのキートップである請求項1記載の照光式キーパッド。
【請求項3】
樹脂キートップの下端縁としての樹脂キートップ底面縁に前記縁取層を有する請求項1または請求項2記載の照光式キーパッド。
【請求項4】
樹脂キートップの下端縁としての樹脂キートップ周面下隅に前記縁取層を有する請求項1または請求項2記載の照光式キーパッド。
【請求項5】
樹脂キートップ底面縁から樹脂キートップ周面下隅に繋がる前記縁取層を有する請求項1または請求項2記載の照光式キーパッド。
【請求項6】
前記縁取層が、樹脂キートップの下端縁を環状に連続してなるものである請求項1〜請求項5何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項7】
前記縁取層が、樹脂キートップの下端縁を環状ではあるが断続してなるものである請求項1〜請求項5何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項8】
前記縁取層が透光性である請求項1〜請求項7何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項9】
ベースシートに複数の樹脂キートップを備え、個々の樹脂キートップごとに定めた所望の色彩を有する前記縁取層を、該樹脂キートップごとに選択して設けた請求項1〜請求項8何れか1項記載の照光式キーパッド。
【請求項10】
横方向または縦方向の何れか所定の一方向に隣合う樹脂キートップごとに同じ色彩の前記縁取層を設け、横方向または縦方向の何れか所定の他方向に隣合う樹脂キートップごとに異なる色彩の前記縁取層を設けた請求項9記載の照光式キーパッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−92898(P2006−92898A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276717(P2004−276717)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】
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