説明

照光装置及び電子機器

【課題】簡単な構成からなる照光装置、及びこれを備える電子機器を提供する。
【解決手段】照光装置5は、第1及び第2のケース101,102から構成される第1の筐体100の開口窓部550から光を出射する照光装置である。照光装置5は、第1の筐体100に収容され、光を放射するLED510と、LED510からの光が照射される領域を開口窓部550に制限する遮光部材520と、を備える。遮光部材520は、第1のケース101と一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照光装置、及びこれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置、PDA、パソコン等の電子機器には、機器の状態を外部から視認できるように、LED(発光ダイオード)等の光で筐体上に可視表示を生成する照光装置が、広く採用されている。
【0003】
特許文献1には、筐体をABS樹脂等の光透過材料で形成すると共に、筐体に収容されたLEDを黒色ゴム等で形成した遮光部材で包囲することにより、筐体の所定の領域に可視表示を生成するように構成された照光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−199212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された照光装置は、ABS等で形成した筐体に黒色ゴム等で形成した遮光部材を取り付ける必要があるため、構成が複雑で、部品の製造及び組み立てに掛かるコストが高かった。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、簡単な構成からなる照光装置、及びこれを備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明に係る照光装置は、
複数のケースから構成される第1の筐体の所定の位置から光を出射する照光装置であって、
前記第1の筐体に収容され、光を放射する光源と、
前記光源からの光が照射される領域を前記所定の位置に制限する遮光部材と、を備え、
前記遮光部材は、前記複数のケースの何れかと一体に形成されている、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電子機器は、
上述の照光装置を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の筐体を構成するケースと遮光部材とを一体に形成することにより、簡単な構成からなる照光装置、及びこれを備える電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機を開いた状態で示す上面図。
【図2】図1に示された携帯電話機を閉じた状態で示す上面図。
【図3】図2に示された第1の筐体を示す分解斜視図。
【図4】図2に示された第1の筐体のI−I線に沿う断面を示す部分断面図。
【図5】図3に示された照光装置を拡大して示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
【0012】
(実施形態)
実施形態に係る電子機器は、図1に示す携帯電話機1である。携帯電話機1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機であって、第1の筐体100と、第2の筐体200と、第1の筐体100と第2の筐体200とを回動可能に連結するヒンジ装置300と、を備える。第1の筐体100は、LCD(Liquid Crystal Display)から構成された表示部110を備える。第2の筐体200は、複数のキーから構成された操作部210を備える。ヒンジ装置300は、いわゆる2軸ヒンジであって、第1の筐体100と第2の筐体200とをX軸の回りに回動可能に連結すると共に、第1の筐体100をX軸と垂直なY軸の回りに回動可能に支持している。図1は、表示部110と操作部210とが互いに同じ方向に向くように、携帯電話機1が開いた状態を示している。図2は、表示部110と操作部210とが互いに対向するように、携帯電話機1が閉じた状態を示している。図2に示すように、第1の筐体100には、携帯電話機1の着信等を光で告知する照光装置5が設けられている。
【0013】
次に、図3〜図5を参照して、照光装置5を備える第1の筐体100の構成について、詳細に説明する。
【0014】
図3に示すように、第1の筐体100は、上下方向に組み合わされる第1のケース101と第2のケース102とから構成されている。また、第1の筐体100の内部には、LED(光源)510を搭載する第1の基板120と、配線310と、遮光部材520と、導光部材530と、が収容されている。なお、照光装置5は、LED510と遮光部材520と導光部材530とから構成されている。
【0015】
第1のケース101は、非光透過性の合成樹脂から形成されており、金型成形により、遮光部材520と継ぎ目無く一体に形成されている。また、第1のケース101は、図4に示すように、インサート成形により、金属製のプレート103と一体化されている。プレート103は、第1のケース101の強度を向上すると共に、第1のケース101を成形する際には、第1のケース101及び遮光部材520の寸法精度を向上する役割を果たす。なお、上述の表示部110は、第1のケース101に固定されている。
【0016】
第2のケース102は、非光透過性の合成樹脂から形成されており、第1のケース101を上方から塞ぐように、第1のケース101に取り付けられている。第2のケース102には、遮光部材520及び導光部材530の上方に配置され、導光部材530の凸部531と嵌合する開口窓部550が形成されている。
【0017】
図3に示すように、第1の基板120は、遮光部材520の側面の一部に沿う外形を有して形成され、第1のケース101に固定されている。第1の基板120には、配線310を接続するための第1のコネクタ121が設けられている。
【0018】
配線310は、図略の複数の同軸細線と、その両端に設けられた図略のコネクタと、から構成されている。配線310の一端は、第1の基板120の第1のコネクタ121に接続されている。配線310は、第1のコネクタ121から、遮光部材520を迂回して延び、図4に示すように、束ねられて、Y軸に沿ってヒンジ装置300に挿通されている。さらに配線310は、X軸に沿って第2の筐体200に挿通されている。そして、配線310の他端は、第2の筐体200に収容された第2の基板220の第2のコネクタ221に接続されている。
【0019】
図5に示すように、LED510は、第1の基板120の上面において、遮光部材520及び導光部材530に隣接して配置されている。
【0020】
遮光部材520は、第1のケース101と一体に形成され、非光透過性の合成樹脂から形成されている。遮光部材520には、導光部材530の側面と嵌合する凹部521が形成されている。なお、遮光部材520は、配線310と遮光部材520及び導光部材330とが上下方向(第1の筐体100の厚み方向)に重ならず、遮光部材520を迂回するように、配線310を案内する。
【0021】
導光部材530は、遮光部材520の凹部521と嵌合する側面を有して形成されている。また、導光部材530の上面には、第2のケース102の開口窓部550(図3参照)と嵌合する側面を有する凸部531が形成されている。導光部材530は、図3に示す両面テープ540により、第2のケース102に固定されている。
【0022】
次に、LED510から出射した光の経路について説明する。
【0023】
図5に示すように、LED510から出射した光は、遮光部材520の切り欠き部から凹部521へ、即ち導光部材530に入射する。
【0024】
導光部材530に入射する光は、導光部材530の形状に従って第1の基板120と略平行に導光され、導光部材530の側面及び下面において遮光部材520に遮光されるため、導光部材530の上面から出射する。
【0025】
導光部材530の上面から出射する光は、第2のケース102の開口窓部504を通る光、すなわち凸部531から出射する光を除き、第2のケース102により遮光される。
【0026】
以上説明したように、照光装置5は、LED510が放射した光を導光部材530により開口窓部504まで導光すると共に、導光した光を遮光部材520と第2のケース102とにより遮光することにより、光の漏洩を防止しながら開口窓部504に可視表示を生成する。
【0027】
上記構成の照光装置5によれば、光の漏洩を防止する遮光部材520と、第1のケース101とを一体に形成することにより、構成を簡単とすることができる。これにより、具体的には、例えば、部品点数を抑制し、製造コストを抑制することができる。
【0028】
また、LED510の光を開口窓部550まで導光する導光部材530を設けることにより、照光装置5の視認性を向上することができる。また、LED510と開口窓部550との配置の自由度を向上することができる。
【0029】
また、導光部材530をLED510の近傍から第1の基板120と略平行に延在させることにより、第1の筐体100を薄型化することができる。
【0030】
また、配線310を遮光部材520で案内し、遮光部材520及び導光部材530と上下方向(第1の筐体100の厚み方向)に重ならないように、遮光部材520を迂回させることにより、第1の筐体100をさらに薄型化することができる。このことは、配線310が複数の同軸細線から構成され、フレキシブル基板配線のようにその厚みを抑制することが困難な場合に、有利である。特に、配線310を、ヒンジ装置300を介して第2の筐体100に挿通し、第2の筐体100に収容された第2の基板220に接続する場合には、配線310を束ねることによりその厚みが大きくなることから、有利である。また、別途部品を追加する必要がないため、製造コストを抑制することができる。また、第1の筐体100の組み立てを容易とすることができる。
【0031】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形をしたものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0032】
例えば、実施形態の第1の筐体100は2つのケース、すなわち第1のケース101と第2のケース102と、から構成されていたが、本発明に係る第1の筐体はこれに限定されず、3つ以上のケースを組み合わせて構成されていても良い。
【0033】
また、実施形態の遮光部材520は第1のケース101と一体に形成されていたが、本発明に係る遮光部材はこれに限定されるものではなく、第2のケース102と一体に形成されていても良い。また、本発明に係る遮光部材は、実施形態の第1のケース102及び第2のケース101に限定されず、第1の筐体を構成する複数のケースの何れかと一体に形成されていれば良い。
【0034】
また、実施形態の照光装置1は、第2のケース102を非光透過性材料で形成し、第2のケースに形成された開口窓部の形状に対応する可視表示を生成するように構成されていたが、本発明に係る照光装置はこれに限定されるものではない。例えば、第2のケースを光透過性材料で形成することにより、導光部材又は遮光部材の形状に対応する可視表示を生成するように構成されていても良い。また、例えば、第2のケースを光透過性材料で形成すると共に、第2のケース102に非光透過性塗料で部分的な塗装を施すことにより、塗装されない部分の形状に対応する可視表示を生成するように構成されていても良い。
【0035】
また、実施形態の携帯電話機1は、折り畳み型の携帯電話機であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2の筐体を備えず、単一の第1の筐体から構成される携帯電話機にも適用することができる。この場合、第1の筐体に、同軸細線等から構成された配線により相互に接続された、複数の基板が収容されていても良い。なお、第1の筐体に光源、遮光部材、導光部材等を配置することにより、配線の経路が制限される場合があるが、本発明によれば、配線を遮光部材で案内することにより、構成を簡単としながら、設計の自由度を向上することができる。また、本発明は、例えば、いわゆるスライド型の携帯電話機にも容易に適用することができる。
【0036】
さらに、本発明は、例示された携帯電話機に限定されるものではなく、PDA(Personal Digital Assistance)、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書等、あらゆる電子機器に適用することができる。
【0037】
その他、各構成の材質、形状、数量、配置等についても、本発明の目的を達成することが可能な範囲において、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…携帯電話機、5…照光装置、100…第1の筐体、101…第1のケース、102…第2のケース、103…プレート、110…表示部、120…第1の基板、121…第1のコネクタ、200…第2の筐体、210…操作部、220…第2の基板、221…第2のコネクタ、300…ヒンジ装置(連結装置)、310…配線、510…LED、520…遮光部材、凹部…521、530…導光部材、531…凸部、540…両面テープ、550…開口窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケースから構成される第1の筐体の所定の位置から光を出射する照光装置であって、
前記第1の筐体に収容され、光を放射する光源と、
前記光源からの光が照射される領域を前記所定の位置に制限する遮光部材と、を備え、
前記遮光部材は、前記複数のケースの何れかと一体に形成されている、
ことを特徴とする照光装置。
【請求項2】
前記光源からの光を前記所定の位置まで導光する導光部材を更に備え、
前記遮光部材は、前記導光部材の一部を覆うことにより、前記光源からの光が照射される領域を制限する、
ことを特徴とする請求項1に記載の照光装置。
【請求項3】
前記光源は、前記第1の筐体に収容される第1の基板上に配置され、
前記導光部材は、前記光源からの光を前記第1の基板と略平行な面に沿って導光する、
ことを特徴とする請求項2に記載の照光装置。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記第1の基板に接続される配線が前記導光部材を迂回するように、前記配線を案内する、
ことを特徴とする請求項3に記載の照光装置。
【請求項5】
前記配線は、前記第1の筐体と連結された第2の筐体に挿通され、前記第2の筐体に収容された第2の基板に接続される、
ことを特徴とする請求項4に記載の照光装置。
【請求項6】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の照光装置を備える、
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−199790(P2011−199790A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67037(P2010−67037)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】