説明

照明付き土台水切り

【課題】建物の周辺を照明することにより歩行時の安全性、防犯性、建物の外観を向上させることができる照明付き土台水切りを提供する。
【解決手段】建物に固定される固定片1と、固定片1の下端から前方に向かって下り傾斜して形成される傾斜片2と、傾斜片2の前端から下方に向かって突出して形成される垂下片3とを有して土台水切り4を形成する。傾斜片2の下側で且つ垂下片3の裏面側の空間に光源ホルダー9を配設する。光源5を光源ホルダー9に設ける。光源5により外壁の周辺を照明することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の土台の防水を図るための土台水切りの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の土台の防水を図るために土台水切りを設けることが行われているが(例えば、特許文献1参照)、このような土台水切りに光源を設けて建物の周辺を照明するものはなかった。従って、建物の周辺が暗い場合、特に夜間では、建物の周辺を歩行する際の安全性、防犯性、建物の外観が低いという問題があった。
【特許文献1】実開平05−096215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、建物の周辺を照明することにより歩行時の安全性、防犯性、建物の外観を向上させることができる照明付き土台水切りを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に係る照明付き土台水切りAは、建物に固定される固定片1と、固定片1の下端から前方に向かって下り傾斜して形成される傾斜片2と、傾斜片2の前端から下方に向かって突出して形成される垂下片3とを有して土台水切り4を形成し、傾斜片2の下側で且つ垂下片3の裏面側の空間に光源ホルダー9を配設し、光源5を光源ホルダー9に設けて成ることを特徴とするものである。
【0005】
本発明の請求項2に係る照明付き土台水切りAは、請求項1において、前記光源5を光源ホルダー9に着脱可能に設けて成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項3に係る照明付き土台水切りAは、請求項1又は2において、前記光源5をタイマによる時間計測又はセンサによる検知により点灯又は消灯自在に形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明では、光源5により外壁の周辺を照明することができ、歩行時の安全性、防犯性、建物の外観を向上させることができるものである。しかも、光源5は傾斜片2や垂下片3で覆われているため、雨水がかかりにくくなり、雨水による光源5の破損や故障を防止することができるものである。また、光源ホルダー9を土台水切り4と別体に形成したので、光源ホルダー9と土台水切り4のそれぞれを施工現場で接続したり切断したりすることができ、自由な長さにすることができるものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、光源5を光源ホルダー9から取り外したり光源ホルダー9に取り付けることができ、光源5のメンテナンス性を高くすることができるものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、光源5をタイマやセンサにより自動的に点灯や消灯を行うことができ、光源5の無駄な点灯を防止して経済性を高めることができると共に、センサによる人感等により防犯性を高めることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0011】
本発明の照明付き土台水切りAは、土台水切り4と光源ホルダー9と光源5とを備えて形成されている。土台水切り4は板金加工品やアルミニウム成形品や樹脂成形品などで水平方向に長尺に形成されるものである。また、土台水切り4は、図2に示すように、矩形板状の固定片1の下端に傾斜片2を形成し、傾斜片2の前端に垂下片3を設けて形成されるものである。上記の傾斜片2は固定片1の下端から前方に向かって下り傾斜して形成されるものであり、上記の垂下片3は傾斜片2の前端から下方に向かって突出して形成されるものである。また、上記の光源ホルダー9は土台水切り4と同様の材料を用いて水平方向に長尺に形成されるものであって、下面が開口する断面略コ字状の光源保持部10と光源保持部10から上方に向かって突出した取付部8とから構成されている。光源保持部10の両方の長手方向に沿った下面開口縁部に片状の脱落防止部12、12が下面開口に突出して設けられている。
【0012】
図3に本発明で使用する光源5を示す。この光源5は、LEDなどの光源部材13と筒状の組込体14とでユニットとして形成されるものであり、組込体14の下面に複数の光源部材13が並設されている。また、組込体14の内部空間は光源部材13の給電配線などを通すための配線空間15として形成されている。また、複数の組込体14、14…を隣接させてコネクタにより連結可能に形成しても良い。そして、光源5は光源ホルダー9の光源保持部10に保持されている。つまり、光源5は、光源保持部10の内側に弾性的に嵌め込まれ、その下面は脱落防止部12、12により係止されている。これにより、光源5は光源保持部10の内側に落下しないように保持されている。尚、光源5は光源保持部10に着脱自在に保持してもよいし、着脱不能なように一体化して保持しても良い。
【0013】
図1(a)(b)に本発明の照明付き土台水切りAを施工した状態を示す。本発明の照明付き土台水切りAは、光源5を保持する光源ホルダー9と土台水切り4とを基礎16の上に設けた土台17に取り付けて形成することができる。この場合、光源ホルダー9の取付部8を土台17の屋外面にビス等で固定することができる。土台水切り4の固定片1を光源ホルダー9の取付部8の屋外面に配置し、土台17にビス等で固定することができる。また、光源部材13の給電配線を商用電源等に接続する。このようにして照明付き土台水切りAを取り付けると、傾斜片2の下側で且つ垂下片3の裏面側の空間に光源ホルダー9の光源保持部10を配設することができ、この光源ホルダー9の光源保持部10に光源5が保持された状態となる。
【0014】
このように照明付き土台水切りAを取り付けた後、外壁を形成することができる。すなわち、まず、土台17及び柱19等から成る壁下地の屋外側に透湿防水シート20を配設する。このとき、土台17の屋外面に固定した固定片1の屋外面を透湿防水シート20の下端部で覆うようにする。次に、外壁材保持金具21を壁下地に取り付ける。外壁材保持金具21は固定片1を覆う透湿防水シート20の下端部の屋外側に配置し、ビス等の固定具18を土台17にまで打ち込むようにして固定することができる。次に、外壁材22を壁下地に取り付ける。外壁材22はサイディングなどで板状のものを用いることができ、外壁材22の下端を外壁材保持金具21で支持しながら壁下地の屋外側に配置した後、この外壁材22の上端も外壁材保持金具21で壁下地に固定することができる。また、外壁材22の下部からビス等の固定具23を土台17にまで打ち込むようにして外壁材22を固定することもできる。このようにして複数枚の外壁材22、22…からなる建物の外壁を形成することができる。
【0015】
そして、本発明の照明付き土台水切りAでは、図4に示すように、光源5の光源部材13を点灯させることによって、外壁の下部や基礎16及び建物の周辺を光Sで照明することができる。従って、夜間等の歩行時に見えやすくなって安全性を高めることができ、防犯性も高めることができるものであり、さらに照明で意匠性を付与して建物の外観を向上させることができるものである。また、複数個の光源部材13、13…を直線状に並べることにより、直線的な光を得ることができるものである。尚、図4において、符号30は間柱、符号31はコーナー部材、符号32はジョイナー、符号33はシーリングである。
【0016】
本発明にあっては、光源保持部10として各種の形状を採用することができる。例えば、図5(a)(b)に示す光源ホルダー9は、光源保持部10の一方の下面開口縁部に開口内に突出する脱落防止部12が設けられている。図5(a)では光源保持部10の後側開口縁部に、図5(b)では光源保持部10の前側開口縁部に脱落防止部12が形成されている。そして、光源5は光源保持部10の内側に下面開口から差し込まれ、光源保持部10の弾性力及び脱落防止部12による支持により、光源保持部10の内側に着脱自在に保持されるものである。
【0017】
図6(a)(b)に示すものでは、図5(a)(b)の脱落防止部12に脱落防止板24を軸部25により回転自在に取り付けたものである。脱落防止板24は矩形に形成されており、その一端が脱落防止部12の下面に軸部25により枢着されている。従って、図6(c)に示すように、脱落防止板24は軸部25を中心として略水平に回転自在に形成されている。そして、この場合、光源保持部10の内側に光源5を嵌め込んで保持した後、光源保持部10の下面開口を横切るように脱落防止板24を回転させるものであり、これにより、脱落防止板24でより確実に光源5を保持して脱落を防止することができるものである。また、光源保持部10の下面開口を横切らないように脱落防止板24を回転させることにより、光源保持部10の下面開口から光源5を容易に取り外すことができる。図7に示すものは、光源保持部10の両方の長手方向に沿った下側開口縁部に突起状の脱落防止部12、12が下面開口に突出するように形成されている。このものでは、脱落防止部12、12の押圧(押さえ込み)により光源5を弾性的に着脱自在に保持することができる。さらに、図8に示す実施の形態では、光源ホルダー9として固着片29を組込体14の上面に突出して形成したものである。この場合、組込体14と固着片29とはアルミニウムの押出成形で一体的に成形することができる。また、上記と同様に、組込体14の下面には複数の光源部材13が並設されていると共に、組込体14の内部空間は光源部材13の給電配線などを通すための配線空間15として形成されている。
【0018】
本発明において、光源5をタイマによる時間計測又はセンサによる検知により点灯又は消灯自在に形成することができる。例えば、タイマにより暗くなる時間を計測して光源5の光源部材13を点灯するように制御し、タイマにより明るくなる時間を計測して光源5の光源部材13を消灯するように制御することができる。また、建物に人が近づくと人感センサ等のセンサで検知して光源5の光源部材13を点灯するように制御することができ、また、光センサ等のセンサで建物の周囲の明るさを検知して光源5の光源部材13の点灯や消灯を制御することができる。この場合、マイクロコンピュータを備えた制御手段により光源部材13の点灯消灯を制御することができる。また、タイマと人感センサを組み合わせ、タイマにより暗くなる時間を計測して暗い間は光源部材13を点灯させておき、この点灯状態で人が建物に近づくと、人感センサにより検知して光源部材13を点滅させるように制御することもできる。
【0019】
このようにタイマやセンサによる検出結果に基づいて光源部材13の点灯又は消灯を制御することにより、無駄な点灯を防止して経済的に有利となり、また、防犯性を高くすることができるものであり、さらに点灯や消灯の間隔等を制御することにより意匠性を高くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の実施の形態の一例を示す断面図、(b)は一部の斜視図である。
【図2】同上の照明付き土台水切りの一例を示す断面図である。
【図3】同上の光源の一例を示す斜視図である。
【図4】同上の施工状態を示す斜視図である。
【図5】(a)(b)は同上の土台水切りと光源ホルダーの一例を示す断面図である。
【図6】(a)(b)は同上の土台水切りと光源ホルダーの他例を示す断面図、(c)は一部を示す概略図である。
【図7】同上の土台水切りと光源ホルダーの他例を示す断面図である。
【図8】同上の他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 固定片
2 傾斜片
3 垂下片
4 土台水切り
5 光源
9 光源ホルダー
A 照明付き土台水切り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に固定される固定片と、固定片の下端から前方に向かって下り傾斜して形成される傾斜片と、傾斜片の前端から下方に向かって突出して形成される垂下片とを有して土台水切りを形成し、傾斜片の下側で且つ垂下片の裏面側の空間に光源ホルダーを配設し、光源を光源ホルダーに設けて成ることを特徴とする照明付き土台水切り。
【請求項2】
前記光源を光源ホルダーに着脱可能に設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の照明付き土台水切り。
【請求項3】
前記光源をタイマによる時間計測又はセンサによる検知により点灯又は消灯自在に形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明付き土台水切り。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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