説明

照明付バス停標識

【課題】
従来のバス停標識に用いてきた表示板をそのまま流用可能で、また、太陽電池パネルで発電された電力で表示板を照らすことから、電線をバス停標識のために新たに引く必要がなく、手間やコストを抑えることができる照明付バス停標識を提供することにある。
【解決手段】
土台から着脱自在に起立する支柱と、支柱から左右に伸びるステーに内周を保持された上下に伸びる略長穴円環状のフレームと、フレームの略長穴状の開口面を着脱自在に塞ぐ表示板と、フレームの上方に設けられた太陽電池パネルと、太陽電池パネルで発電された電力を充電する蓄電池と、太陽電池パネルで発電された電力で表示板を照らす照明機器と、太陽電池パネル、蓄電池や照明機器を制御する制御部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線バスや各種送迎用バスの停留所に配置されるバス停標識で、特に照明機器が取り付けられた照明付バス停標識に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、路線バスや各種送迎用バスの停留所に配置されるバス停標識で、路線バスの時刻や行き先を記載した表示板を照らす照明機器を備えるものがある。このような照明機能を備える例としては、例えば、特許文献1に示される自発光型バス停留所標識用掲示板がある。
【0003】
特許文献1の自発光型バス停留所標識用掲示板は、導光板方式他の薄形バックライトに、掲示事項を明記した透光性の高い樹脂板やフィルムを乗せ、バックライトの光を照射する掲示板を作る。そして、薄型バックライトの下板を張り出させて、従来型バス停留所のアルミ製周し縁の下側に差し込んで少ないネジで固定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−143097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自発光型のバス停標識では、古いバス停標識から置き換える場合に、掲示板を新規に作り直す必要があり、手間とコストを抑えることが困難である。また、自発光型の照明では、掲示板を見るには十分なものの照度が少ないことから、防犯灯などの他の用途としての機能を持たせることが困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、従来のバス停標識に用いてきた表示板をそのまま流用可能で、また、太陽電池パネルで発電された電力で表示板を照らすことから、電線をバス停標識のために新たに引く必要がなく、手間やコストを抑えることができる照明付バス停標識を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の照明付バス停標識は、土台から着脱自在に起立する支柱と、支柱から左右に伸びるステーに内周を保持された上下に伸びる略長穴円環状のフレームと、フレームの略長穴状の開口面を着脱自在に塞ぐ表示板と、フレームの上方に設けられた太陽電池パネルと、太陽電池パネルで発電された電力を充電する蓄電池と、太陽電池パネルで発電された電力で表示板を照らす照明機器と、太陽電池パネル、蓄電池や照明機器を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の照明付バス停標識は、フレーム及びステーに、表示板を着脱自在に挿嵌する溝部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の照明付バス停標識は、照明機器が、表示板と土台の足下方向を照らし、防犯灯になっていることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の照明付バス停標識は、支柱が、フレームから下方向に突出すると共に、突出した支柱の下端側が、土台から起立する土台側支柱に被嵌し、支柱と土台側支柱との嵌合部分の周囲を覆うカバーを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の照明付バス停標識は、フレームの下端が下方向に突出し、カバーで覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項2の発明によれば、表示板が着脱自在であることから、従来のバス停標識に用いてきた表示板をそのまま流用可能で、また、太陽電池パネルで発電された電力で表示板を照らすことから、電線をバス停標識のために新たに引く必要がなく、手間やコストを抑えることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、照明機器が、表示板と土台の足下方向を照らし、防犯灯になることから、バス停標識としてだけではなく、地域の安全や安心の向上に役立つ。
【0014】
請求項4の発明によれば、支柱の下端側が、土台から起立する土台側支柱に被嵌し、支柱と土台側支柱との嵌合部分の周囲を覆うカバーを設けたことから、簡易な構造で支柱の腐食を防止し、保守の手間やコストを抑えることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、フレームの下端が下方向に突出し、カバーで覆われることから、フレームの下端の腐食を防止し、意匠性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る照明付バス停標識の一例を示す外観図である。
【図2】同照明付バス停標識の内部構造を示す説明図である。
【図3】同照明付バス停標識の側面図である。
【図4】図1のA−A線矢視断面図である。
【図5】同照明付バス停標識の土台部分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明に係る照明付バス停標識の一例を示す外観図である。図2は、同照明付バス停標識の内部構造を示す説明図である。図3は、同照明付バス停標識の側面図である。図4は、図1のA−A線矢視断面図である。図5は、同照明付バス停標識の土台部分の説明図である。
【0018】
図における照明付バス停標識1は、路線バスや各種送迎用バスの停留所に配置されるバス停標識で、骨組み10、フレーム14、土台4、表示板8a〜8c、制御部30、バッテリー32、太陽電池パネル34、LED照明40等で構成されている。照明付バス停標識1は、フレーム14の前後の面に、複数枚に分割された表示板8a〜8cが固定され、土台4に起立している。表示板8a〜8cは、樹脂製薄板に路線バスの到着時刻や行き先、経路等が記載されている。本件の実施の形態の照明付バス停標識1の場合、この表示板8a〜8cは、透光性のものでも非透光性のものでも、どちらでもかまわない。
【0019】
そして、照明付バス停標識1は、コンクリート製の土台4から後述するように着脱自在に起立する支柱12と、支柱12の中段部分の2箇所から左右に伸びて固定されたステー16,18とで、基本的な骨組み10が構成されている。そして、そのステー16,18の外側に、上下に伸びる略長穴円環状のフレーム14が設けられている。
【0020】
より具体的には、図4に示すように、フレーム14は、断面が長方形の薄厚の管体を、上下に伸びる略長穴円環状に成型したもので、内周を骨組み10のステー16,18の端部で保持されている。そして、ステー16,18の横長手方向の4つの端部には、表示番8a〜8cが挿嵌される溝部である表示板溝16a(ステー18については構造がステー16と同様なので不図示)が上下に開口して設けられている。また、フレーム14の外周面の前後には、断面J字状の薄板である化粧フレーム20a〜20cの非湾曲側の端部を挿嵌可能なフレーム溝14aが設けられている。そして、表示板8a〜8cが、ステー16,18の表示板溝16aに挿嵌された状態で、化粧フレーム20a〜20cをフレーム14のフレーム溝14aに挿嵌して固定することにより、表示板8a〜8cが、化粧フレーム20a〜20cの湾曲側の端部で、固定されることになる。すなわち、フレーム14と化粧フレーム20a〜20cとの間に表示板8a〜8cを挿嵌する溝部が形成された状態となる。そして、フレーム14の略長穴状の開口面を着脱自在に表示板8a〜8cが塞ぐことにもなる。
【0021】
そして、支柱12は、フレーム14から下方向に突出すると共に、突出した支柱12の下端側が、土台4から起立する土台側支柱6に被嵌することで、骨組み10が、土台4から着脱自在に起立する構造となっている。そして、この支柱12と土台側支柱6との嵌合部分の周囲を覆うカバーとして、支柱化粧フレーム22が設けられている。そして、フレーム14の下端が下方向に突出し、その下端が、上方に向かって拡径された支柱化粧フレーム22に潜り込むことで、支柱化粧フレーム22で覆われることとなる。
【0022】
本実施の形態の照明付バス停標識1は、このようなバス停標識の構造に加え、太陽電池パネル34、蓄電池であるバッテリー32、照明機器であるLED照明40、太陽電池パネル34、バッテリー32及びLED照明40を制御する制御部30等を備えている。太陽電池パネル34は、支柱12の上端からフレーム14の上にさらに突出する太陽電池パネル支柱36の上端に設けられている。そして、LED照明40は、フレーム14の上端に表示板8a〜8cの面側のそれぞれに突出する断面コ字状なアングルであるカバー42の両突出端側にそれぞれ設けられている。そして、LED照明40は、点灯時に、表示板8a〜8cを照らす向きに向けられている。尚、照明機器としてLEDが光源のものを使用しているが、LEDに限られるものではない。
【0023】
制御部30及びバッテリー32は、支柱12及びステー18に固定され、フレーム14及び表示板8a〜8cの内側に納められている。そして、昼間に太陽電池パネル34で発電された電力がバッテリー32に蓄えられ、その電力により夜間にLED照明40が点灯するように配線・制御される。尚、LED照明40が点灯する時間や、照らす向きは、任意に設定するようにすればよい。
【0024】
以上のように構成された本実施の形態の照明付バス停標識1によれば、表示板8a〜8cが着脱自在であることから、従来のバス停標識に用いてきた表示板8a〜8cをそのまま流用可能で、また、太陽電池パネル34で発電された電力で表示板8a〜8cを照らすことから、電線をバス停標識のために新たに引く必要がなく、手間やコストを抑えることができる。尚、表示板8a〜8cの外側からLED照明40で照らしていることから、表示板8a〜8cが非透光性でも透光性でも古い従来の表示板を使うことができる。
【0025】
また、照明機器であるLED照明40が、表示板8a〜8cと土台4の足下方向を照らし、防犯灯になることから、バス停標識としてだけではなく、地域の安全や安心の向上に役立つ。そして、夜間や夕方に照明付バス停標識1の周辺が明るくなることから、照明付バス停標識1の付近に立つ人を視認しやすくなり、路線バス等の運行の安全も確保しやすくなる。また、照明機器がLEDを用いたLED照明40であることから、寿命が長く長期間交換等のメンテナンスが不要で、管理も容易となる。さらに、LEDは消費電力が少ないことから、バッテリー32の電力を有効利用でき、安定的な点灯も可能となる。
【0026】
さらに、支柱12の下端側が、土台4から起立する土台側支柱6に被嵌し、支柱12と土台側支柱6との嵌合部分の周囲を覆うカバーである支柱化粧フレーム22を設けたことから、簡易な構造で支柱の腐食を防止し、保守の手間やコストを抑えることができる。
【0027】
さらに、フレーム14の下端が下方向に突出し、支柱化粧フレーム22で覆われることから、フレーム14の下端の腐食を防止し、意匠性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明によれば、従来のバス停標識に用いてきた表示板をそのまま流用可能で、また、太陽電池パネルで発電された電力で表示板を照らすことから、電線をバス停標識のために新たに引く必要がなく、手間やコストを抑えることができる照明付バス停標識を提供することができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・・・照明付バス停標識
4・・・・・土台
6・・・・・土台側支柱
8a・・・・表示板
8b・・・・表示板
8c・・・・表示板
10・・・・骨組み
12・・・・支柱
14・・・・フレーム
14a・・・フレーム溝
16・・・・ステー
16a・・・表示板溝
18・・・・ステー
20a・・・化粧フレーム
20b・・・化粧フレーム
20c・・・化粧フレーム
22・・・・支柱化粧フレーム
30・・・・制御部
32・・・・バッテリー
34・・・・太陽電池パネル
36・・・・太陽電池パネル支柱
40・・・・LED照明
42・・・・カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路線バスや各種送迎用バスの停留所に配置される照明付バス停標識において、
土台から着脱自在に起立する支柱と、
該支柱から左右に伸びるステーに内周を保持された上下に伸びる略長穴円環状のフレームと、
該フレームの略長穴状の開口面を着脱自在に塞ぐ表示板と、
該フレームの上方に設けられた太陽電池パネルと、
該太陽電池パネルで発電された電力を充電する蓄電池と、
該太陽電池パネルで発電された電力で該表示板を照らす照明機器と、
該太陽電池パネル、該蓄電池や該照明機器を制御する制御部とを備えることを特徴とする照明付バス停標識。
【請求項2】
前記フレーム及び前記ステーに、前記表示板を着脱自在に挿嵌する溝部を備えることを特徴とする請求項1記載の照明付バス停標識。
【請求項3】
前記照明機器が、前記表示板と前記土台の足下方向を照らし、防犯灯になっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明付バス停標識。
【請求項4】
前記支柱が、前記フレームから下方向に突出すると共に、突出した該支柱の下端側が、前記土台から起立する土台側支柱に被嵌し、
該支柱と該土台側支柱との嵌合部分の周囲を覆うカバーを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の照明付バス停標識。
【請求項5】
前記フレームの下端が下方向に突出し、前記カバーで覆われることを特徴とする請求項4記載の照明付バス停標識。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−37625(P2012−37625A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175713(P2010−175713)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(510213428)株式会社ハシモト (1)
【Fターム(参考)】