照明制御システム
【課題】施工が容易で且つ簡単な回路構成で実現できるシステムであって、複数の照明器具を所望の動作モードに一括設定できる照明制御システムを提供する。
【解決手段】照明制御システムは、複数の誘導灯2と、複数の誘導灯2を集中制御する誘導灯信号装置1と、誘導灯信号装置1からのパルス信号によって開閉されるスイッチSW1とを備えており、各誘導灯2には商用電源ACに接続された2本の電源線3、3と、スイッチSW1を介して商用電源ACの片相に接続された1本の信号線4とがそれぞれ接続されている。また、各誘導灯2はそれぞれ少なくとも3つの動作モードを有しており、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW1の開閉パターンに応じて何れかの動作モードに一括設定されるようになっている。
【解決手段】照明制御システムは、複数の誘導灯2と、複数の誘導灯2を集中制御する誘導灯信号装置1と、誘導灯信号装置1からのパルス信号によって開閉されるスイッチSW1とを備えており、各誘導灯2には商用電源ACに接続された2本の電源線3、3と、スイッチSW1を介して商用電源ACの片相に接続された1本の信号線4とがそれぞれ接続されている。また、各誘導灯2はそれぞれ少なくとも3つの動作モードを有しており、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW1の開閉パターンに応じて何れかの動作モードに一括設定されるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、防災用照明器具として使用される誘導灯が種々提供されている。この誘導灯は、災害時における避難経路や避難方向などに関する情報を各種の簡単な文字や図形(例えば人が走っている図など)などで表示したものであって、各種の公共的建物内の要所に設置することが法律で義務付けられている。そして、通常、建物内には複数の誘導灯が設置されており、これらの誘導灯は原則的には常時点灯させることとなっているが、例えば映画館などの一部の施設では常時消灯してもよいことになっている。
【0003】
さらに、複数の誘導灯を集中制御できるように構成された誘導灯制御システムも従来から提供されており、例えば図13は本システムに用いられる3線式の誘導灯の一例を示し、商用電源ACに接続された2本の電源線3、3と、誘導灯2に内蔵されたランプ21のオン/オフ信号用の1本の信号線4とが配線されている。この誘導灯2では、図示しない誘導灯信号装置からの制御信号によりスイッチSW1がオフになると、制御部20を構成する判断部20aによりスイッチ素子Q1がオンになり、点灯回路部22を介して供給される点灯電力によりランプ21が点灯する。一方、上記制御信号によりスイッチSW1がオンになると、判断部20aによりスイッチ素子Q1、Q2がともにオフになり、ランプ21が消灯する。すなわち、本誘導灯制御システムでは、スイッチSW1からのオン/オフ信号により複数の誘導灯2を一括で点灯/消灯できるようになっている。
【0004】
ここにおいて、上述した誘導灯2や非常灯(図示せず)では、消防庁告示や建築基準法などで点検が義務付けられており、誘導灯では20分間または60分間、非常灯では30分間、それぞれ2次電池によりランプを有効に非常点灯させなければならない。したがって、上述した誘導灯制御システムの場合には、各誘導灯2を所定時間継続して非常点灯させるために、各誘導灯2毎に点検スイッチ(図示せず)の引き輪に重りをぶら下げて点検状態にする必要があり、非常に手間のかかる作業であった。そこで、本システムにおいて、点検作業の省力化を図るために、例えば誘導灯信号装置からの制御信号により自動的に点検できるシステムにすることが考えられるが、上記の信号線4はランプ21を点灯/消灯させる信号を送信するためのものであるから、この場合もう1本信号線を増やして4線式にする必要があり、その結果施工性が悪くなるという問題があった。
【0005】
また、同様に点検作業を自動化することで点検作業の省力化を図ったものも提案されている(例えば特許文献1、2参照)。これらの照明システムは、複数の照明装置と、各照明装置との間で通信線を介してデータの授受を行う制御装置とで構成されており、制御装置から各照明装置に定期的(例えば3ヶ月に1回)に送信される点検開始のコマンドデータにより点検処理を開始し、各照明装置の点検結果はそれぞれ制御装置に返信されるようになっている。すなわち、本照明システムでは、各照明装置の設置場所まで赴いて点検を行わなくても、制御装置により各照明装置の点検結果を把握できるようになっているのである。
【0006】
さらに、図14に示すように、AC電源に重畳させた制御信号により点検作業を自動化したものも提案されている(例えば特許文献3参照)。この誘導灯制御システムでは、誘導灯信号装置102の制御部106から発せられた制御信号が送信部107を介してAC電源線101に重畳され、AC電源線101を介して伝送された制御信号を受け取った誘導灯108側で自動点検が行なわれるようになっている。
【特許文献1】特開2004−119151号公報(段落[0064]−段落[0068]、及び、第13、14図)
【特許文献2】特開2004−111347号公報(段落[0062]−段落[0074]、及び、第1図−第3図)
【特許文献3】特開平7−193531号公報(段落[0030]−段落[0065]、及び、第1、2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1、2に示した照明システムでは、複数の照明装置に対して定期的に点検作業が行えるとともに、点検結果を制御装置でまとめて把握することができるが、通信線などの施工が別途必要であるため施工性がよくなかった。
【0008】
また、特許文献3に示した誘導灯制御システムでは、AC電源に制御信号を重畳させているため、特許文献1、2に示した照明システムのように通信線などの別配線は不要であり、且つ、複数の誘導灯を一括点検できるものではあるが、AC電源に制御信号を重畳させるため、制御装置を構成する送信部内に高周波発生部、変調器、フィルタなどを内蔵する必要があり、結果的に回路構成が複雑になるものであった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、施工が容易で且つ簡単な回路構成で実現できるシステムであって、複数の照明器具を所望の動作モードに一括設定できる照明制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、複数の照明器具と、該複数の照明器具を集中制御する制御装置と、制御装置からのパルス信号によって開閉されるスイッチ部とを備え、各照明器具には商用電源に接続された2本の電源線と、スイッチ部を介して商用電源の片相に接続された1本の信号線とがそれぞれ接続されており、各照明器具はそれぞれ少なくとも3つの動作モードを有し、制御装置からのパルス信号によるスイッチ部の開閉パターンに応じて何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、複数の照明器具は複数の誘導灯で構成され、制御装置は複数の誘導灯を集中制御する誘導灯信号装置で構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、各誘導灯は、光源と、非常時において光源に点灯電力を供給する2次電池と、スイッチ部の開閉動作によるパルス信号を検出する制御信号検出部と、該制御信号検出部が検出したパルス信号に基づいて動作モードを切り替える制御手段とを備え、動作モードとして、光源を2次電池により所定の点検時間以上点灯させることによって2次電池が正常か否かを判定する点検モードと、商用電源から供給される電力によって光源を点灯させる常時点灯モードと、光源を消灯させる常時消灯モードとを少なくとも有し、制御手段は、制御信号検出部が検出したパルス信号に応じて少なくとも点検モード、常時点灯モードまたは常時消灯モードの何れかに切り替えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、各誘導灯の制御手段は、動作モードが点検モードに切り替わると、予め設定された順番で時間をずらして点検動作を実施することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、複数の誘導灯は機能の異なる複数種類の誘導灯からなり、各種類の誘導灯はそれぞれ複数種類の動作モードを有し、スイッチ部の開閉パターンに応じてそれぞれ何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、複数種類の誘導灯は1つの筐体内に収納され、制御手段で複数種類の誘導灯が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、動作モードの種類に応じてスイッチ部の開閉パターンを設定すればいいので、従来例に示した3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加することなく、複数の照明器具を所定の動作モードに一括設定することができる。また、特許文献1、2に示した照明システムに比べて通信線を必要とせず、且つ、上記の3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加しなくてもいいから施工が容易になり、さらに制御信号をAC電源に重畳する場合のように複雑な回路構成の送信部が必要ないから、簡単な回路構成で複数の照明器具を一括制御可能な照明制御システムを実現することができるという効果がある。
【0017】
請求項2の発明によれば、誘導灯信号装置からのパルス信号により、複数の誘導灯を所定の動作モードに一括設定可能な照明制御システムを提供することができるという効果がある。
【0018】
請求項3の発明によれば、各誘導灯において、制御信号検出部が検出したパルス信号に応じて点検モード、常時点灯モードまたは常時消灯モードの何れかの動作モードに設定することができるので、複数の誘導灯を一括点検可能な照明制御システムを実現することができるという効果がある。
【0019】
請求項4の発明によれば、点検モードにおいて、複数の誘導灯を一括点検するのではなく、予め設定された順番で時間をずらして点検することによって、点検終了時に全ての誘導灯で2次電池が放電状態となることがないから、例えば点検中や点検直後に停電になった場合でも全ての誘導灯が非常点灯しなくなるのを防止することができ、停電時における誘導灯として確実に機能させることができるという効果がある。
【0020】
請求項5の発明によれば、各種類の誘導灯を1つの誘導灯信号装置によりそれぞれ所定の動作モードに一括設定することができるので、誘導灯の種類毎にシステムを設けた場合に比べてコストを低減した照明制御システムを実現することができる。また、既設の誘導灯とは異なる種類の誘導灯を後から設置する場合においても、誘導灯信号装置からの配線を増やすことなく設置することができるから、施工が容易であるとともにコストダウンを図ることができるという効果がある。
【0021】
請求項6の発明によれば、複数種類の誘導灯を1つの筐体内に収納し、1つの制御手段で制御することによって、各種類毎に制御手段を設けた場合に比べて制御手段を簡略化することができ、その結果コストダウンを図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明に係る照明制御システムの実施形態を図面に基づいて説明する。本発明に係る照明制御システムは、例えば映画館などの公共的建物内に設置される複数の誘導灯が接続され、上記建物から避難する際の誘導用システムとして用いられる。
【0023】
(実施形態1)
図1(a)は実施形態1の照明制御システムを示し、複数(図1(a)では3個)の誘導灯2(照明器具)と、複数の誘導灯2を集中制御する誘導灯信号装置1(制御装置)と、誘導灯信号装置1からのパルス信号によって開閉されるスイッチSW1(スイッチ部)とを備えている。なお、誘導灯信号装置1については従来周知のものを採用しており、詳細な説明については省略する。
【0024】
誘導灯2は3線式の誘導灯であって、図1(b)に示すように商用電源ACに接続された2本の電源線3、3と、スイッチSW1を介して商用電源ACの片相に接続された1本の信号線4とが接続されている。
【0025】
また、誘導灯2は、図1(b)に示すようにランプ21(例えば、放電灯や発光ダイオードなど)と、停電時においてランプ21に電力供給するための2次電池26と、商用電源ACから供給される交流電源を降圧するとともに安定化して所望の直流電源を得るための電源部23と、電源部23から出力される直流電力により2次電池26を充電する充電部24と、ランプ21に点灯電力を供給する点灯回路部22と、電源部23から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q1と、2次電池26から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q2と、スイッチSW1がオン/オフされた際に入力される交流電圧信号を直流電圧信号に変換する制御信号変換部25と、制御部20とを備えている。
【0026】
さらに、制御部20は、商用電源ACの停電または復電を電源部23からの出力信号により検出する停電検出部20dと、2次電池26の電池電圧を検出する電圧検出部20bと、充電部24による2次電池26の充電状態を検出する充電検出部20cと、制御信号変換部25からの制御信号を検出する制御信号検出部20eと、上記各検出部20b〜20eの検出結果に基づいて各種の動作制御を実行する判断部20aとを備えている。
【0027】
ここで、本実施形態の誘導灯2は、ランプ21を2次電池26により所定の点検時間以上強制的に点灯させることによって2次電池26が正常か否かを判定する点検モードと、ランプ21を点灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時点灯モードと、ランプ21を消灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時消灯モードの3つの動作モードを有し、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW1の開閉パターンに応じて判断部20aが何れかの動作モードに設定するように構成されている。なお、本実施形態の誘導灯2は、停電時には2次電池26の放電電力によりランプ21を非常点灯させるようになっている。
【0028】
次に、本実施形態の照明制御システムの動作について説明する。まず、誘導灯信号装置1から所定のパルス信号が出力されると、このパルス信号に応じてスイッチSW1がオン/オフされる。スイッチSW1がオン/オフされることで、制御信号変換部25にはスイッチSW1の開閉パターンに対応する交流電圧信号が入力されるとともに、当該制御信号変換部25において直流電圧信号に変換され、制御部20を構成する制御信号検出部20eに出力される。そして、制御信号検出部20eにおいて上記直流電圧信号が検出されると判断部20aに出力され、判断部20aでは入力された直流電圧信号(パルス信号)に応じて何れかの動作モードに設定する。
【0029】
例えば、図2(a)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で2回検出された場合には、判断部20aは動作モードを2次電池26の点検を行う点検モードに設定し、図2(b)に示すようにパルス信号V1が3秒以上連続して検出された場合には常時消灯モードに設定し、さらに図2(a)(b)以外の場合には常時点灯モードに設定する。なお、上記の3秒については、誘導灯器具技術基準(JIL5502)における「誘導灯信号装置からの動作信号を受けて、3秒以内に動作を開始すること」に基づいて設定している。
【0030】
そして、例えば動作モードが点検モードに設定された場合、判断部20aは充電検出部20cからの検出信号に基づいて点検動作が可能か否かを判定し、点検動作が可能であればスイッチ素子Q1をオフ、スイッチ素子Q2をオンさせることで擬似的に停電状態を作り出し、2次電池26の点検動作を実行する。なおこのとき、ランプ21が点灯する。ここにおいて、点検動作が可能か否かは2次電池26が所定時間(例えば24時間以上)充電されているか否かにより判断され、また2次電池26の点検は電圧検出部20bが検出する電池電圧に基づいて行われる。ここに、判断部20aにより制御手段が構成されている。なお、本実施形態では、動作モードが点検モードに設定された場合、全ての誘導灯2に対してパルス信号が送信され、全ての誘導灯2において同時に点検動作が実施されるように構成している。
【0031】
而して、本実施形態によれば、動作モードの種類に応じてスイッチSW1の開閉パターンを設定すればいいので、従来例に示した3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加することなく、複数の誘導灯2を所定の動作モードに一括設定することができる。また、特許文献1、2に示した照明システムに比べて通信線を必要とせず、且つ、上記の3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加しなくてもいいから施工が容易になり、さらに制御信号をAC電源に重畳する場合のように複雑な回路構成の送信部が必要ないから、簡単な回路構成で複数の誘導灯2を一括制御可能な照明制御システムを実現することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、パルス信号V1が3秒間で2回検出された場合に点検モードに設定し、パルス信号V1が3秒以上連続して検出された場合に常時消灯モードに設定し、それ以外の場合に常時点灯モードに設定しているが、パルス信号のパターンについては本実施形態に限定されるものではなく、点検モード、常時点灯モード、常時消灯モードが区別できるものであれば他のパターンであってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、動作モードが点検モード、常時点灯モード、常時消灯モードの
3パターンの場合を例に説明したが、少なくとも3パターンの動作モードを有していればよく、4パターン以上であってもよい。
【0034】
(実施形態2)
図3は実施形態2の照明制御システムに用いられる誘導灯2のブロック図を示しており、実施形態1では全ての誘導灯2において同時に点検動作を実施しているが、本実施形態では各誘導灯2の制御部20内にそれぞれアドレス記憶部20fを設け、各誘導灯2の点検動作を予め設定したアドレス順に時間をずらして実施するように構成している。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0035】
本実施形態の誘導灯2は、制御部20内にアドレス記憶部20fが設けられており、各誘導灯2の判断部20aは、動作モードが点検モードに設定された場合、アドレス記憶部20fに記憶されたアドレス順に時間をずらして点検動作を行うように構成されている。
【0036】
例えば、本照明制御システムに接続された誘導灯が3個(誘導灯21〜23)の場合には、図4に示すように点検信号Siが入力されると(すなわち、パルス信号V1が3秒間に2回検出されると)、まず誘導灯21において点検動作が実行され、次に誘導灯21の点検動作から24時間経過すると誘導灯22において点検動作が実行され、さらに誘導灯22の点検動作から24時間経過すると誘導灯23の点検動作が実行される。
【0037】
而して、本実施形態によれば、点検モードにおいて、複数の誘導灯21〜23において同時に点検動作を実施するのではなく、予め設定されたアドレス順に時間をずらして点検することによって、点検終了時に全ての誘導灯21〜23の2次電池26が放電状態となることがないから、例えば点検中や点検直後に停電になった場合でも全ての誘導灯21〜23が非常点灯しなくなるのを防止することができ、停電時における誘導灯として確実に機能させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、誘導灯が3個の場合を例に説明したが、本システムに接続される誘導灯は2台でもいいし、4台以上であってもよい。また、本実施形態では、1つの誘導灯の点検動作から次の誘導灯の点検動作までの時間を24時間に設定しているが、任意の時間でよい。さらに、制御部20内のアドレス記憶部20fにアドレスを記憶させる方法については、例えばリモコンを用いてアドレス記憶部20fにアドレスを読み込ませるように構成してもよいし、ディップスイッチなどでアドレスを読み込ませるように構成してもよい。
【0039】
(実施形態3)
図5は実施形態3の照明制御システムを示し、実施形態1では誘導灯信号装置1と機能が同じ複数の誘導灯2とで照明制御システムを構成しているが、本実施形態では誘導灯信号装置1と機能の異なる複数種類の誘導灯2A、2Bとで照明制御システムを構成している。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0040】
本実施形態の照明制御システムは、図5に示すように機能の異なる複数種類(本実施形態では2種類)の誘導灯2A、2Bと、誘導灯2A、2Bを集中制御する誘導灯信号装置1と、誘導灯信号装置1からのパルス信号によって開閉されるスイッチSW2とを備え、誘導灯信号装置1には自動火災報知設備6内に設けられた移報端子6aが接続されている。
【0041】
この移報端子6aは通常状態では閉状態であり、火災などの異常時に開状態となる。そして、移報端子6aが開状態になると、誘導灯信号装置1は火災などの異常が発生したと判断し、各誘導灯2A、2Bへのパルス信号を遮断するように構成されている。
【0042】
誘導灯2Aは、商用電源に接続された避難誘導灯のように点灯/消灯を制御信号により切替可能な消灯形誘導灯であって、図6に示すようにランプ21(例えば、放電灯や発光ダイオードなど)と、停電時においてランプ21に電力供給するための2次電池26と、商用電源ACから供給される交流電源を降圧するとともに安定化して所望の直流電源を得るための電源部23と、電源部23から出力される直流電力により2次電池26を充電する充電部24と、ランプ21に点灯電力を供給する点灯回路部22と、電源部23から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q1と、2次電池26から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q2と、スイッチSW2がオン/オフされた際に入力される交流電圧信号を直流電圧信号に変換する制御信号変換部25と、制御部20とを備えている。
【0043】
さらに、制御部20は、商用電源ACの停電または復電を電源部23からの出力信号により検出する停電検出部20dと、2次電池26の電池電圧を検出する電圧検出部20bと、充電部24による2次電池26の充電状態を検出する充電検出部20cと、制御信号変換部25からの制御信号を検出する制御信号検出部20eと、上記各検出部20b〜20eの検出結果に基づいて各種の動作制御を実行する判断部20aとを備えている。
【0044】
この誘導灯2Aは、ランプ21を2次電池26により所定の点検時間以上強制的に点灯させることによって2次電池26が正常か否かを判定する点検モードと、ランプ21を点灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時点灯モードと、ランプ21を消灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時消灯モードの3つの動作モードを有し、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW2の開閉パターンに応じて判断部20aが何れかの動作モードに設定するように構成されている。ここにおいて、本照明制御システムでは、動作モードを常時消灯モードに設定することで省エネを図ることができるが、この場合、建物内に人がいないことを確認した上で設定することを要する。
【0045】
次に、誘導灯2Bは、火災などの異常時にランプを点滅させる点滅回路を備えた点滅形誘導灯であって、図7に示すようにランプ27(例えば、放電灯や発光ダイオードなど)と、ランプ27に電力供給するための2次電池26と、商用電源ACから供給される交流電源を降圧するとともに安定化して所望の直流電源を得るための電源部23と、電源部23から出力される直流電力により2次電池26を充電する充電部24と、ランプ27を点滅させるための点滅回路部28と、スイッチSW2がオン/オフされた際に入力される交流電圧信号を直流電圧信号に変換する制御信号変換部25と、制御部20とを備えている。
【0046】
さらに、制御部20は、2次電池26の電池電圧を検出する電圧検出部20bと、充電部24による2次電池26の充電状態を検出する充電検出部20cと、制御信号変換部25からの制御信号を検出する制御信号検出部20eと、上記各検出部20b、20c、20eの検出結果に基づいて各種の動作制御を実行する判断部20aとを備えている。
【0047】
この誘導灯2Bは、ランプ27を2次電池26により所定の点検時間以上点滅させることによって2次電池26が正常か否かを判定する点検モードと、異常時(例えば火災など)においてランプ27を点滅させる点滅モードと、ランプ27を消灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する消灯モードの3つの動作モードを有し、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW2の開閉パターンに応じて判断部20aが何れかの動作モードに設定するように構成されている。
【0048】
【表1】
【0049】
ここで、表1は本実施形態の誘導灯2A、2Bの動作モードを示しており、例えば図8(a)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で2回検出された場合には、誘導灯2Aでは判断部20aにより動作モードが点検モードに設定され、2次電池26の点検動作が実施される。このとき誘導灯2Bでは、判断部20aにより動作モードが消灯モードに設定され、ランプ27を消灯させるとともに2次電池26が充電される。
【0050】
また、図8(b)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で3回検出された場合には、誘導灯2Aではこの信号が入力される前の状態が維持され(例えば、本例のように点検モードに設定されていれば点検動作が継続される)、誘導灯2Bでは判断部20aにより動作モードが点検モードに設定されて、2次電池26の点検動作が実施される。さらに、図8(c)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で4回検出された場合には、誘導灯2Aは常時消灯モードに、誘導灯2Bは消灯モードにそれぞれ設定され、ランプ21、27ともに消灯される。
【0051】
ここで、表1中のL信号は移報端子6aからの信号を示しており、火災が発生した場合には移報端子6aが開放状態となることで誘導灯信号装置1から誘導灯2A、2Bへのパルス信号が遮断され、スイッチSW2がオフになる。そして、誘導灯2Aでは、判断部20aにより動作モードが常時点灯モードに設定されてランプ21を点灯させ、誘導灯2Bでは、判断部20aにより点滅モードに設定されてランプ27を点滅させる。なおこのとき、誘導灯2Aでは、商用電源ACが供給されている場合には商用電源ACからの供給電力によりランプ21を点灯させ、商用電源ACが供給されていない場合(すなわち停電時)には2次電池26からの供給電力によりランプ21を点灯させることになる。また、誘導灯2Bでは、内蔵された2次電池26からの供給電力によりランプ27を点滅させることになる。
【0052】
而して、本実施形態によれば、各種類の誘導灯2A、2Bを1つの誘導灯信号装置1によりそれぞれ所定の動作モードに一括設定することができるので、誘導灯の種類毎にシステムを設けた場合に比べてコストを低減した照明制御システムを実現することができる。また、例えば誘導灯2A(または誘導灯2B)しか接続されていない照明制御システムに対して誘導灯2B(または誘導灯2A)を後から設置する場合においても、誘導灯信号装置1からの配線を増やすことなく設置することができるから、施工が容易であるとともにコストダウンを図ることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、3秒間で検出されるパルス信号V1の回数に応じて動作モードを設定しているが、動作モードの設定方法は本実施形態に限定されるものではなく、各動作モードが区別できるようなものであればよい。例えば、図9に示すように誘導灯2Aの点検信号(すなわち、誘導灯2Aを点検モードに設定するための信号)を商用電源ACの位相が90°の場合に同期させた信号とし、誘導灯2Bの点検信号を商用電源ACの位相が0°の場合に同期させた信号とし、さらに誘導灯2Aの消灯信号(すなわち、誘導灯2Aを常時消灯モードに設定するための信号)を商用電源ACの位相が45°の場合に同期させた信号とすることで、動作モードの設定が可能になるとともに入力信号を外来ノイズなどと区別することもできる。
【0054】
(実施形態4)
図10は実施形態4の照明制御システムに用いられる誘導灯5を示し、実施形態3では、消灯形の誘導灯2Aと点滅形の誘導灯2Bを別体に設けているが、本実施形態では消灯形の誘導灯2Aと点滅形の誘導灯2Bを1つの筐体内に収納し、1つの誘導灯5を構成している。なお、それ以外の構成は実施形態3と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0055】
図11は本実施形態の誘導灯5のブロック図を示しており、筐体内には消灯形の誘導灯2A(消灯形誘導灯用点灯装置29A(以下、点灯装置29Aと略す)、ランプ21および2次電池26)と、点滅形の誘導灯2B(点滅形誘導灯用点灯装置29B(以下、点灯装置29Bと略す)、ランプ27および2次電池26)とが収納されている。また、スイッチSW2を介して一端側が商用電源ACに接続された信号線4は点灯装置29Aにのみ接続され、点灯装置29Aと点灯装置29Bの間は信号線7により接続されている。
【0056】
また、図12は誘導灯5のさらに詳細なブロック図を示しており、実施形態3で説明した誘導灯2A、2Bに比べて、スイッチSW2からの信号を検出するための制御信号変換部25および制御信号検出部20eが点灯装置29Aにのみ設けられている点と、点灯装置29Aの制御部20と点灯装置29Bの制御部20の間を信号線7により接続している点で異なっている。
【0057】
次に、本実施形態の誘導灯5の動作について説明する。まず、スイッチSW2の開閉動作によるパルス信号が点灯装置29Aに入力されると、点灯装置29Aの判断部20aがどのパターンのパルス信号であるか判断する。ここに、パルス信号としては上述した図8のようなものが挙げられ、例えばパルス信号V1が3秒間で2回検出された場合には、点灯装置29Aの判断部20aは誘導灯2A側の点検モードであると判断し、2次電池26の点検動作を実施する。また、パルス信号V1が3秒間で3回検出された場合には、点灯装置29Aの判断部20aは誘導灯2B側の点検モードであると判断し、信号線7を介して点灯装置29Bの制御部20に所定の信号(誘導灯2B側の点検モードに対応させた信号)を送信する。点灯装置29Bの判断部20aでは上記信号を受信すると、誘導灯2B側の点検モードであると判断し、2次電池26の点検動作を実施する。
【0058】
さらに、パルス信号V1が3秒間で4回検出された場合には、点灯装置29Aの判断部20aは常時消灯モードであると判断し、ランプ21を消灯させるとともに、信号線7を介して点灯装置29Bの制御部20に所定の信号(消灯モードに対応させた信号)を送信する。点灯装置29Bの判断部20aでは上記信号を受信すると、消灯モードであると判断し、ランプ27を消灯させる。また、火災が発生してスイッチSW2がオフになると、点灯装置29Aの判断部20aは常時点灯モードであると判断し、ランプ21を点灯させるとともに、信号線7を介して点灯装置29Bの制御部20に所定の信号(点滅モードに対応させた信号)を送信する。点灯装置29Bの判断部20aでは上記信号を受信すると、点滅モードであると判断し、ランプ27を点滅させる。
【0059】
而して、本実施形態によれば、複数種類の誘導灯2A、2Bを1つの筐体内に収納し、両誘導灯2A、2Bを1つの制御手段(本実施形態では信号線7を介して接続した誘導灯2Aの制御部20および誘導灯2Bの制御部20)で制御することによって、各種類毎に制御手段を設けた場合に比べて制御手段を簡略化することができ、その結果コストダウンを図ることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、点灯装置29Aの制御部20と、点灯装置29Bの制御部20を別個に設けた場合を例に説明したが、例えば点灯装置29Bの制御部20の機能を点灯装置29Aの制御部20に持たせることで点灯装置29Bの制御部20を省略する構成としてもよい。
【0061】
また、実施形態1〜4では、照明器具として誘導灯を用いた場合を例に説明したが、照明器具は本実施形態に限定されるものではなく、制御装置を介して集中制御されるようなものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)は実施形態1の照明制御システムを示す概略システム図、(b)は同上に用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図2】(a)、(b)は同上に用いられる誘導灯に入力される制御信号のパターン図である。
【図3】実施形態2の照明制御システムに用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図4】同上の動作を説明するタイムチャート図である。
【図5】実施形態3の照明制御システムを示す概略システム図である。
【図6】同上に用いられる消灯形誘導灯の概略ブロック図である。
【図7】同上に用いられる点滅形誘導灯の概略ブロック図である。
【図8】(a)〜(c)は同上に用いられる各誘導灯に入力される制御信号のパターン図である。
【図9】同上に用いられる各誘導灯に入力される別の制御信号を示すタイムチャート図である。
【図10】実施形態4の照明制御システムに用いられる誘導灯の外観斜視図である。
【図11】同上に用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図12】同上に用いられる誘導灯の詳細ブロック図である。
【図13】従来例の誘導灯制御システムに用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図14】従来例の別の例を示す誘導灯制御システムの概略システム図である。
【符号の説明】
【0063】
1 誘導灯信号装置(制御装置)
2 誘導灯(照明器具)
3 電源線
4 信号線
AC 商用電源
SW1 スイッチ(スイッチ部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、防災用照明器具として使用される誘導灯が種々提供されている。この誘導灯は、災害時における避難経路や避難方向などに関する情報を各種の簡単な文字や図形(例えば人が走っている図など)などで表示したものであって、各種の公共的建物内の要所に設置することが法律で義務付けられている。そして、通常、建物内には複数の誘導灯が設置されており、これらの誘導灯は原則的には常時点灯させることとなっているが、例えば映画館などの一部の施設では常時消灯してもよいことになっている。
【0003】
さらに、複数の誘導灯を集中制御できるように構成された誘導灯制御システムも従来から提供されており、例えば図13は本システムに用いられる3線式の誘導灯の一例を示し、商用電源ACに接続された2本の電源線3、3と、誘導灯2に内蔵されたランプ21のオン/オフ信号用の1本の信号線4とが配線されている。この誘導灯2では、図示しない誘導灯信号装置からの制御信号によりスイッチSW1がオフになると、制御部20を構成する判断部20aによりスイッチ素子Q1がオンになり、点灯回路部22を介して供給される点灯電力によりランプ21が点灯する。一方、上記制御信号によりスイッチSW1がオンになると、判断部20aによりスイッチ素子Q1、Q2がともにオフになり、ランプ21が消灯する。すなわち、本誘導灯制御システムでは、スイッチSW1からのオン/オフ信号により複数の誘導灯2を一括で点灯/消灯できるようになっている。
【0004】
ここにおいて、上述した誘導灯2や非常灯(図示せず)では、消防庁告示や建築基準法などで点検が義務付けられており、誘導灯では20分間または60分間、非常灯では30分間、それぞれ2次電池によりランプを有効に非常点灯させなければならない。したがって、上述した誘導灯制御システムの場合には、各誘導灯2を所定時間継続して非常点灯させるために、各誘導灯2毎に点検スイッチ(図示せず)の引き輪に重りをぶら下げて点検状態にする必要があり、非常に手間のかかる作業であった。そこで、本システムにおいて、点検作業の省力化を図るために、例えば誘導灯信号装置からの制御信号により自動的に点検できるシステムにすることが考えられるが、上記の信号線4はランプ21を点灯/消灯させる信号を送信するためのものであるから、この場合もう1本信号線を増やして4線式にする必要があり、その結果施工性が悪くなるという問題があった。
【0005】
また、同様に点検作業を自動化することで点検作業の省力化を図ったものも提案されている(例えば特許文献1、2参照)。これらの照明システムは、複数の照明装置と、各照明装置との間で通信線を介してデータの授受を行う制御装置とで構成されており、制御装置から各照明装置に定期的(例えば3ヶ月に1回)に送信される点検開始のコマンドデータにより点検処理を開始し、各照明装置の点検結果はそれぞれ制御装置に返信されるようになっている。すなわち、本照明システムでは、各照明装置の設置場所まで赴いて点検を行わなくても、制御装置により各照明装置の点検結果を把握できるようになっているのである。
【0006】
さらに、図14に示すように、AC電源に重畳させた制御信号により点検作業を自動化したものも提案されている(例えば特許文献3参照)。この誘導灯制御システムでは、誘導灯信号装置102の制御部106から発せられた制御信号が送信部107を介してAC電源線101に重畳され、AC電源線101を介して伝送された制御信号を受け取った誘導灯108側で自動点検が行なわれるようになっている。
【特許文献1】特開2004−119151号公報(段落[0064]−段落[0068]、及び、第13、14図)
【特許文献2】特開2004−111347号公報(段落[0062]−段落[0074]、及び、第1図−第3図)
【特許文献3】特開平7−193531号公報(段落[0030]−段落[0065]、及び、第1、2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1、2に示した照明システムでは、複数の照明装置に対して定期的に点検作業が行えるとともに、点検結果を制御装置でまとめて把握することができるが、通信線などの施工が別途必要であるため施工性がよくなかった。
【0008】
また、特許文献3に示した誘導灯制御システムでは、AC電源に制御信号を重畳させているため、特許文献1、2に示した照明システムのように通信線などの別配線は不要であり、且つ、複数の誘導灯を一括点検できるものではあるが、AC電源に制御信号を重畳させるため、制御装置を構成する送信部内に高周波発生部、変調器、フィルタなどを内蔵する必要があり、結果的に回路構成が複雑になるものであった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、施工が容易で且つ簡単な回路構成で実現できるシステムであって、複数の照明器具を所望の動作モードに一括設定できる照明制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、複数の照明器具と、該複数の照明器具を集中制御する制御装置と、制御装置からのパルス信号によって開閉されるスイッチ部とを備え、各照明器具には商用電源に接続された2本の電源線と、スイッチ部を介して商用電源の片相に接続された1本の信号線とがそれぞれ接続されており、各照明器具はそれぞれ少なくとも3つの動作モードを有し、制御装置からのパルス信号によるスイッチ部の開閉パターンに応じて何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、複数の照明器具は複数の誘導灯で構成され、制御装置は複数の誘導灯を集中制御する誘導灯信号装置で構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、各誘導灯は、光源と、非常時において光源に点灯電力を供給する2次電池と、スイッチ部の開閉動作によるパルス信号を検出する制御信号検出部と、該制御信号検出部が検出したパルス信号に基づいて動作モードを切り替える制御手段とを備え、動作モードとして、光源を2次電池により所定の点検時間以上点灯させることによって2次電池が正常か否かを判定する点検モードと、商用電源から供給される電力によって光源を点灯させる常時点灯モードと、光源を消灯させる常時消灯モードとを少なくとも有し、制御手段は、制御信号検出部が検出したパルス信号に応じて少なくとも点検モード、常時点灯モードまたは常時消灯モードの何れかに切り替えることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、各誘導灯の制御手段は、動作モードが点検モードに切り替わると、予め設定された順番で時間をずらして点検動作を実施することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、複数の誘導灯は機能の異なる複数種類の誘導灯からなり、各種類の誘導灯はそれぞれ複数種類の動作モードを有し、スイッチ部の開閉パターンに応じてそれぞれ何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、複数種類の誘導灯は1つの筐体内に収納され、制御手段で複数種類の誘導灯が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、動作モードの種類に応じてスイッチ部の開閉パターンを設定すればいいので、従来例に示した3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加することなく、複数の照明器具を所定の動作モードに一括設定することができる。また、特許文献1、2に示した照明システムに比べて通信線を必要とせず、且つ、上記の3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加しなくてもいいから施工が容易になり、さらに制御信号をAC電源に重畳する場合のように複雑な回路構成の送信部が必要ないから、簡単な回路構成で複数の照明器具を一括制御可能な照明制御システムを実現することができるという効果がある。
【0017】
請求項2の発明によれば、誘導灯信号装置からのパルス信号により、複数の誘導灯を所定の動作モードに一括設定可能な照明制御システムを提供することができるという効果がある。
【0018】
請求項3の発明によれば、各誘導灯において、制御信号検出部が検出したパルス信号に応じて点検モード、常時点灯モードまたは常時消灯モードの何れかの動作モードに設定することができるので、複数の誘導灯を一括点検可能な照明制御システムを実現することができるという効果がある。
【0019】
請求項4の発明によれば、点検モードにおいて、複数の誘導灯を一括点検するのではなく、予め設定された順番で時間をずらして点検することによって、点検終了時に全ての誘導灯で2次電池が放電状態となることがないから、例えば点検中や点検直後に停電になった場合でも全ての誘導灯が非常点灯しなくなるのを防止することができ、停電時における誘導灯として確実に機能させることができるという効果がある。
【0020】
請求項5の発明によれば、各種類の誘導灯を1つの誘導灯信号装置によりそれぞれ所定の動作モードに一括設定することができるので、誘導灯の種類毎にシステムを設けた場合に比べてコストを低減した照明制御システムを実現することができる。また、既設の誘導灯とは異なる種類の誘導灯を後から設置する場合においても、誘導灯信号装置からの配線を増やすことなく設置することができるから、施工が容易であるとともにコストダウンを図ることができるという効果がある。
【0021】
請求項6の発明によれば、複数種類の誘導灯を1つの筐体内に収納し、1つの制御手段で制御することによって、各種類毎に制御手段を設けた場合に比べて制御手段を簡略化することができ、その結果コストダウンを図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明に係る照明制御システムの実施形態を図面に基づいて説明する。本発明に係る照明制御システムは、例えば映画館などの公共的建物内に設置される複数の誘導灯が接続され、上記建物から避難する際の誘導用システムとして用いられる。
【0023】
(実施形態1)
図1(a)は実施形態1の照明制御システムを示し、複数(図1(a)では3個)の誘導灯2(照明器具)と、複数の誘導灯2を集中制御する誘導灯信号装置1(制御装置)と、誘導灯信号装置1からのパルス信号によって開閉されるスイッチSW1(スイッチ部)とを備えている。なお、誘導灯信号装置1については従来周知のものを採用しており、詳細な説明については省略する。
【0024】
誘導灯2は3線式の誘導灯であって、図1(b)に示すように商用電源ACに接続された2本の電源線3、3と、スイッチSW1を介して商用電源ACの片相に接続された1本の信号線4とが接続されている。
【0025】
また、誘導灯2は、図1(b)に示すようにランプ21(例えば、放電灯や発光ダイオードなど)と、停電時においてランプ21に電力供給するための2次電池26と、商用電源ACから供給される交流電源を降圧するとともに安定化して所望の直流電源を得るための電源部23と、電源部23から出力される直流電力により2次電池26を充電する充電部24と、ランプ21に点灯電力を供給する点灯回路部22と、電源部23から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q1と、2次電池26から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q2と、スイッチSW1がオン/オフされた際に入力される交流電圧信号を直流電圧信号に変換する制御信号変換部25と、制御部20とを備えている。
【0026】
さらに、制御部20は、商用電源ACの停電または復電を電源部23からの出力信号により検出する停電検出部20dと、2次電池26の電池電圧を検出する電圧検出部20bと、充電部24による2次電池26の充電状態を検出する充電検出部20cと、制御信号変換部25からの制御信号を検出する制御信号検出部20eと、上記各検出部20b〜20eの検出結果に基づいて各種の動作制御を実行する判断部20aとを備えている。
【0027】
ここで、本実施形態の誘導灯2は、ランプ21を2次電池26により所定の点検時間以上強制的に点灯させることによって2次電池26が正常か否かを判定する点検モードと、ランプ21を点灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時点灯モードと、ランプ21を消灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時消灯モードの3つの動作モードを有し、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW1の開閉パターンに応じて判断部20aが何れかの動作モードに設定するように構成されている。なお、本実施形態の誘導灯2は、停電時には2次電池26の放電電力によりランプ21を非常点灯させるようになっている。
【0028】
次に、本実施形態の照明制御システムの動作について説明する。まず、誘導灯信号装置1から所定のパルス信号が出力されると、このパルス信号に応じてスイッチSW1がオン/オフされる。スイッチSW1がオン/オフされることで、制御信号変換部25にはスイッチSW1の開閉パターンに対応する交流電圧信号が入力されるとともに、当該制御信号変換部25において直流電圧信号に変換され、制御部20を構成する制御信号検出部20eに出力される。そして、制御信号検出部20eにおいて上記直流電圧信号が検出されると判断部20aに出力され、判断部20aでは入力された直流電圧信号(パルス信号)に応じて何れかの動作モードに設定する。
【0029】
例えば、図2(a)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で2回検出された場合には、判断部20aは動作モードを2次電池26の点検を行う点検モードに設定し、図2(b)に示すようにパルス信号V1が3秒以上連続して検出された場合には常時消灯モードに設定し、さらに図2(a)(b)以外の場合には常時点灯モードに設定する。なお、上記の3秒については、誘導灯器具技術基準(JIL5502)における「誘導灯信号装置からの動作信号を受けて、3秒以内に動作を開始すること」に基づいて設定している。
【0030】
そして、例えば動作モードが点検モードに設定された場合、判断部20aは充電検出部20cからの検出信号に基づいて点検動作が可能か否かを判定し、点検動作が可能であればスイッチ素子Q1をオフ、スイッチ素子Q2をオンさせることで擬似的に停電状態を作り出し、2次電池26の点検動作を実行する。なおこのとき、ランプ21が点灯する。ここにおいて、点検動作が可能か否かは2次電池26が所定時間(例えば24時間以上)充電されているか否かにより判断され、また2次電池26の点検は電圧検出部20bが検出する電池電圧に基づいて行われる。ここに、判断部20aにより制御手段が構成されている。なお、本実施形態では、動作モードが点検モードに設定された場合、全ての誘導灯2に対してパルス信号が送信され、全ての誘導灯2において同時に点検動作が実施されるように構成している。
【0031】
而して、本実施形態によれば、動作モードの種類に応じてスイッチSW1の開閉パターンを設定すればいいので、従来例に示した3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加することなく、複数の誘導灯2を所定の動作モードに一括設定することができる。また、特許文献1、2に示した照明システムに比べて通信線を必要とせず、且つ、上記の3線式の誘導灯制御システムに比べて信号線を追加しなくてもいいから施工が容易になり、さらに制御信号をAC電源に重畳する場合のように複雑な回路構成の送信部が必要ないから、簡単な回路構成で複数の誘導灯2を一括制御可能な照明制御システムを実現することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、パルス信号V1が3秒間で2回検出された場合に点検モードに設定し、パルス信号V1が3秒以上連続して検出された場合に常時消灯モードに設定し、それ以外の場合に常時点灯モードに設定しているが、パルス信号のパターンについては本実施形態に限定されるものではなく、点検モード、常時点灯モード、常時消灯モードが区別できるものであれば他のパターンであってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、動作モードが点検モード、常時点灯モード、常時消灯モードの
3パターンの場合を例に説明したが、少なくとも3パターンの動作モードを有していればよく、4パターン以上であってもよい。
【0034】
(実施形態2)
図3は実施形態2の照明制御システムに用いられる誘導灯2のブロック図を示しており、実施形態1では全ての誘導灯2において同時に点検動作を実施しているが、本実施形態では各誘導灯2の制御部20内にそれぞれアドレス記憶部20fを設け、各誘導灯2の点検動作を予め設定したアドレス順に時間をずらして実施するように構成している。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0035】
本実施形態の誘導灯2は、制御部20内にアドレス記憶部20fが設けられており、各誘導灯2の判断部20aは、動作モードが点検モードに設定された場合、アドレス記憶部20fに記憶されたアドレス順に時間をずらして点検動作を行うように構成されている。
【0036】
例えば、本照明制御システムに接続された誘導灯が3個(誘導灯21〜23)の場合には、図4に示すように点検信号Siが入力されると(すなわち、パルス信号V1が3秒間に2回検出されると)、まず誘導灯21において点検動作が実行され、次に誘導灯21の点検動作から24時間経過すると誘導灯22において点検動作が実行され、さらに誘導灯22の点検動作から24時間経過すると誘導灯23の点検動作が実行される。
【0037】
而して、本実施形態によれば、点検モードにおいて、複数の誘導灯21〜23において同時に点検動作を実施するのではなく、予め設定されたアドレス順に時間をずらして点検することによって、点検終了時に全ての誘導灯21〜23の2次電池26が放電状態となることがないから、例えば点検中や点検直後に停電になった場合でも全ての誘導灯21〜23が非常点灯しなくなるのを防止することができ、停電時における誘導灯として確実に機能させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、誘導灯が3個の場合を例に説明したが、本システムに接続される誘導灯は2台でもいいし、4台以上であってもよい。また、本実施形態では、1つの誘導灯の点検動作から次の誘導灯の点検動作までの時間を24時間に設定しているが、任意の時間でよい。さらに、制御部20内のアドレス記憶部20fにアドレスを記憶させる方法については、例えばリモコンを用いてアドレス記憶部20fにアドレスを読み込ませるように構成してもよいし、ディップスイッチなどでアドレスを読み込ませるように構成してもよい。
【0039】
(実施形態3)
図5は実施形態3の照明制御システムを示し、実施形態1では誘導灯信号装置1と機能が同じ複数の誘導灯2とで照明制御システムを構成しているが、本実施形態では誘導灯信号装置1と機能の異なる複数種類の誘導灯2A、2Bとで照明制御システムを構成している。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0040】
本実施形態の照明制御システムは、図5に示すように機能の異なる複数種類(本実施形態では2種類)の誘導灯2A、2Bと、誘導灯2A、2Bを集中制御する誘導灯信号装置1と、誘導灯信号装置1からのパルス信号によって開閉されるスイッチSW2とを備え、誘導灯信号装置1には自動火災報知設備6内に設けられた移報端子6aが接続されている。
【0041】
この移報端子6aは通常状態では閉状態であり、火災などの異常時に開状態となる。そして、移報端子6aが開状態になると、誘導灯信号装置1は火災などの異常が発生したと判断し、各誘導灯2A、2Bへのパルス信号を遮断するように構成されている。
【0042】
誘導灯2Aは、商用電源に接続された避難誘導灯のように点灯/消灯を制御信号により切替可能な消灯形誘導灯であって、図6に示すようにランプ21(例えば、放電灯や発光ダイオードなど)と、停電時においてランプ21に電力供給するための2次電池26と、商用電源ACから供給される交流電源を降圧するとともに安定化して所望の直流電源を得るための電源部23と、電源部23から出力される直流電力により2次電池26を充電する充電部24と、ランプ21に点灯電力を供給する点灯回路部22と、電源部23から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q1と、2次電池26から点灯回路部22への給電路を開閉するためのスイッチ素子Q2と、スイッチSW2がオン/オフされた際に入力される交流電圧信号を直流電圧信号に変換する制御信号変換部25と、制御部20とを備えている。
【0043】
さらに、制御部20は、商用電源ACの停電または復電を電源部23からの出力信号により検出する停電検出部20dと、2次電池26の電池電圧を検出する電圧検出部20bと、充電部24による2次電池26の充電状態を検出する充電検出部20cと、制御信号変換部25からの制御信号を検出する制御信号検出部20eと、上記各検出部20b〜20eの検出結果に基づいて各種の動作制御を実行する判断部20aとを備えている。
【0044】
この誘導灯2Aは、ランプ21を2次電池26により所定の点検時間以上強制的に点灯させることによって2次電池26が正常か否かを判定する点検モードと、ランプ21を点灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時点灯モードと、ランプ21を消灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する常時消灯モードの3つの動作モードを有し、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW2の開閉パターンに応じて判断部20aが何れかの動作モードに設定するように構成されている。ここにおいて、本照明制御システムでは、動作モードを常時消灯モードに設定することで省エネを図ることができるが、この場合、建物内に人がいないことを確認した上で設定することを要する。
【0045】
次に、誘導灯2Bは、火災などの異常時にランプを点滅させる点滅回路を備えた点滅形誘導灯であって、図7に示すようにランプ27(例えば、放電灯や発光ダイオードなど)と、ランプ27に電力供給するための2次電池26と、商用電源ACから供給される交流電源を降圧するとともに安定化して所望の直流電源を得るための電源部23と、電源部23から出力される直流電力により2次電池26を充電する充電部24と、ランプ27を点滅させるための点滅回路部28と、スイッチSW2がオン/オフされた際に入力される交流電圧信号を直流電圧信号に変換する制御信号変換部25と、制御部20とを備えている。
【0046】
さらに、制御部20は、2次電池26の電池電圧を検出する電圧検出部20bと、充電部24による2次電池26の充電状態を検出する充電検出部20cと、制御信号変換部25からの制御信号を検出する制御信号検出部20eと、上記各検出部20b、20c、20eの検出結果に基づいて各種の動作制御を実行する判断部20aとを備えている。
【0047】
この誘導灯2Bは、ランプ27を2次電池26により所定の点検時間以上点滅させることによって2次電池26が正常か否かを判定する点検モードと、異常時(例えば火災など)においてランプ27を点滅させる点滅モードと、ランプ27を消灯させるとともに商用電源ACから供給される電力により2次電池26を充電する消灯モードの3つの動作モードを有し、誘導灯信号装置1からのパルス信号によるスイッチSW2の開閉パターンに応じて判断部20aが何れかの動作モードに設定するように構成されている。
【0048】
【表1】
【0049】
ここで、表1は本実施形態の誘導灯2A、2Bの動作モードを示しており、例えば図8(a)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で2回検出された場合には、誘導灯2Aでは判断部20aにより動作モードが点検モードに設定され、2次電池26の点検動作が実施される。このとき誘導灯2Bでは、判断部20aにより動作モードが消灯モードに設定され、ランプ27を消灯させるとともに2次電池26が充電される。
【0050】
また、図8(b)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で3回検出された場合には、誘導灯2Aではこの信号が入力される前の状態が維持され(例えば、本例のように点検モードに設定されていれば点検動作が継続される)、誘導灯2Bでは判断部20aにより動作モードが点検モードに設定されて、2次電池26の点検動作が実施される。さらに、図8(c)に示すように制御信号検出部20eからのパルス信号V1が3秒間で4回検出された場合には、誘導灯2Aは常時消灯モードに、誘導灯2Bは消灯モードにそれぞれ設定され、ランプ21、27ともに消灯される。
【0051】
ここで、表1中のL信号は移報端子6aからの信号を示しており、火災が発生した場合には移報端子6aが開放状態となることで誘導灯信号装置1から誘導灯2A、2Bへのパルス信号が遮断され、スイッチSW2がオフになる。そして、誘導灯2Aでは、判断部20aにより動作モードが常時点灯モードに設定されてランプ21を点灯させ、誘導灯2Bでは、判断部20aにより点滅モードに設定されてランプ27を点滅させる。なおこのとき、誘導灯2Aでは、商用電源ACが供給されている場合には商用電源ACからの供給電力によりランプ21を点灯させ、商用電源ACが供給されていない場合(すなわち停電時)には2次電池26からの供給電力によりランプ21を点灯させることになる。また、誘導灯2Bでは、内蔵された2次電池26からの供給電力によりランプ27を点滅させることになる。
【0052】
而して、本実施形態によれば、各種類の誘導灯2A、2Bを1つの誘導灯信号装置1によりそれぞれ所定の動作モードに一括設定することができるので、誘導灯の種類毎にシステムを設けた場合に比べてコストを低減した照明制御システムを実現することができる。また、例えば誘導灯2A(または誘導灯2B)しか接続されていない照明制御システムに対して誘導灯2B(または誘導灯2A)を後から設置する場合においても、誘導灯信号装置1からの配線を増やすことなく設置することができるから、施工が容易であるとともにコストダウンを図ることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、3秒間で検出されるパルス信号V1の回数に応じて動作モードを設定しているが、動作モードの設定方法は本実施形態に限定されるものではなく、各動作モードが区別できるようなものであればよい。例えば、図9に示すように誘導灯2Aの点検信号(すなわち、誘導灯2Aを点検モードに設定するための信号)を商用電源ACの位相が90°の場合に同期させた信号とし、誘導灯2Bの点検信号を商用電源ACの位相が0°の場合に同期させた信号とし、さらに誘導灯2Aの消灯信号(すなわち、誘導灯2Aを常時消灯モードに設定するための信号)を商用電源ACの位相が45°の場合に同期させた信号とすることで、動作モードの設定が可能になるとともに入力信号を外来ノイズなどと区別することもできる。
【0054】
(実施形態4)
図10は実施形態4の照明制御システムに用いられる誘導灯5を示し、実施形態3では、消灯形の誘導灯2Aと点滅形の誘導灯2Bを別体に設けているが、本実施形態では消灯形の誘導灯2Aと点滅形の誘導灯2Bを1つの筐体内に収納し、1つの誘導灯5を構成している。なお、それ以外の構成は実施形態3と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0055】
図11は本実施形態の誘導灯5のブロック図を示しており、筐体内には消灯形の誘導灯2A(消灯形誘導灯用点灯装置29A(以下、点灯装置29Aと略す)、ランプ21および2次電池26)と、点滅形の誘導灯2B(点滅形誘導灯用点灯装置29B(以下、点灯装置29Bと略す)、ランプ27および2次電池26)とが収納されている。また、スイッチSW2を介して一端側が商用電源ACに接続された信号線4は点灯装置29Aにのみ接続され、点灯装置29Aと点灯装置29Bの間は信号線7により接続されている。
【0056】
また、図12は誘導灯5のさらに詳細なブロック図を示しており、実施形態3で説明した誘導灯2A、2Bに比べて、スイッチSW2からの信号を検出するための制御信号変換部25および制御信号検出部20eが点灯装置29Aにのみ設けられている点と、点灯装置29Aの制御部20と点灯装置29Bの制御部20の間を信号線7により接続している点で異なっている。
【0057】
次に、本実施形態の誘導灯5の動作について説明する。まず、スイッチSW2の開閉動作によるパルス信号が点灯装置29Aに入力されると、点灯装置29Aの判断部20aがどのパターンのパルス信号であるか判断する。ここに、パルス信号としては上述した図8のようなものが挙げられ、例えばパルス信号V1が3秒間で2回検出された場合には、点灯装置29Aの判断部20aは誘導灯2A側の点検モードであると判断し、2次電池26の点検動作を実施する。また、パルス信号V1が3秒間で3回検出された場合には、点灯装置29Aの判断部20aは誘導灯2B側の点検モードであると判断し、信号線7を介して点灯装置29Bの制御部20に所定の信号(誘導灯2B側の点検モードに対応させた信号)を送信する。点灯装置29Bの判断部20aでは上記信号を受信すると、誘導灯2B側の点検モードであると判断し、2次電池26の点検動作を実施する。
【0058】
さらに、パルス信号V1が3秒間で4回検出された場合には、点灯装置29Aの判断部20aは常時消灯モードであると判断し、ランプ21を消灯させるとともに、信号線7を介して点灯装置29Bの制御部20に所定の信号(消灯モードに対応させた信号)を送信する。点灯装置29Bの判断部20aでは上記信号を受信すると、消灯モードであると判断し、ランプ27を消灯させる。また、火災が発生してスイッチSW2がオフになると、点灯装置29Aの判断部20aは常時点灯モードであると判断し、ランプ21を点灯させるとともに、信号線7を介して点灯装置29Bの制御部20に所定の信号(点滅モードに対応させた信号)を送信する。点灯装置29Bの判断部20aでは上記信号を受信すると、点滅モードであると判断し、ランプ27を点滅させる。
【0059】
而して、本実施形態によれば、複数種類の誘導灯2A、2Bを1つの筐体内に収納し、両誘導灯2A、2Bを1つの制御手段(本実施形態では信号線7を介して接続した誘導灯2Aの制御部20および誘導灯2Bの制御部20)で制御することによって、各種類毎に制御手段を設けた場合に比べて制御手段を簡略化することができ、その結果コストダウンを図ることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、点灯装置29Aの制御部20と、点灯装置29Bの制御部20を別個に設けた場合を例に説明したが、例えば点灯装置29Bの制御部20の機能を点灯装置29Aの制御部20に持たせることで点灯装置29Bの制御部20を省略する構成としてもよい。
【0061】
また、実施形態1〜4では、照明器具として誘導灯を用いた場合を例に説明したが、照明器具は本実施形態に限定されるものではなく、制御装置を介して集中制御されるようなものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)は実施形態1の照明制御システムを示す概略システム図、(b)は同上に用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図2】(a)、(b)は同上に用いられる誘導灯に入力される制御信号のパターン図である。
【図3】実施形態2の照明制御システムに用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図4】同上の動作を説明するタイムチャート図である。
【図5】実施形態3の照明制御システムを示す概略システム図である。
【図6】同上に用いられる消灯形誘導灯の概略ブロック図である。
【図7】同上に用いられる点滅形誘導灯の概略ブロック図である。
【図8】(a)〜(c)は同上に用いられる各誘導灯に入力される制御信号のパターン図である。
【図9】同上に用いられる各誘導灯に入力される別の制御信号を示すタイムチャート図である。
【図10】実施形態4の照明制御システムに用いられる誘導灯の外観斜視図である。
【図11】同上に用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図12】同上に用いられる誘導灯の詳細ブロック図である。
【図13】従来例の誘導灯制御システムに用いられる誘導灯の概略ブロック図である。
【図14】従来例の別の例を示す誘導灯制御システムの概略システム図である。
【符号の説明】
【0063】
1 誘導灯信号装置(制御装置)
2 誘導灯(照明器具)
3 電源線
4 信号線
AC 商用電源
SW1 スイッチ(スイッチ部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具と、該複数の照明器具を集中制御する制御装置と、制御装置からのパルス信号によって開閉されるスイッチ部とを備え、前記各照明器具には商用電源に接続された2本の電源線と、前記スイッチ部を介して商用電源の片相に接続された1本の信号線とがそれぞれ接続されており、前記各照明器具はそれぞれ少なくとも3つの動作モードを有し、前記制御装置からのパルス信号による前記スイッチ部の開閉パターンに応じて何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記複数の照明器具は複数の誘導灯で構成され、前記制御装置は複数の誘導灯を集中制御する誘導灯信号装置で構成されたことを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記各誘導灯は、光源と、非常時において光源に点灯電力を供給する2次電池と、前記スイッチ部の開閉動作によるパルス信号を検出する制御信号検出部と、該制御信号検出部が検出したパルス信号に基づいて前記動作モードを切り替える制御手段とを備え、前記動作モードとして、前記光源を前記2次電池により所定の点検時間以上点灯させることによって前記2次電池が正常か否かを判定する点検モードと、商用電源から供給される電力によって前記光源を点灯させる常時点灯モードと、前記光源を消灯させる常時消灯モードとを少なくとも有し、前記制御手段は、前記制御信号検出部が検出したパルス信号に応じて少なくとも前記点検モード、常時点灯モードまたは常時消灯モードの何れかに切り替えることを特徴とする請求項2記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記各誘導灯の前記制御手段は、前記動作モードが点検モードに切り替わると、予め設定された順番で時間をずらして点検動作を実施することを特徴とする請求項3記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記複数の誘導灯は機能の異なる複数種類の誘導灯からなり、各種類の誘導灯はそれぞれ複数種類の動作モードを有し、前記スイッチ部の開閉パターンに応じてそれぞれ何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする請求項3または4の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記複数種類の誘導灯は1つの筐体内に収納され、前記制御手段で前記複数種類の誘導灯が制御されることを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。
【請求項1】
複数の照明器具と、該複数の照明器具を集中制御する制御装置と、制御装置からのパルス信号によって開閉されるスイッチ部とを備え、前記各照明器具には商用電源に接続された2本の電源線と、前記スイッチ部を介して商用電源の片相に接続された1本の信号線とがそれぞれ接続されており、前記各照明器具はそれぞれ少なくとも3つの動作モードを有し、前記制御装置からのパルス信号による前記スイッチ部の開閉パターンに応じて何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記複数の照明器具は複数の誘導灯で構成され、前記制御装置は複数の誘導灯を集中制御する誘導灯信号装置で構成されたことを特徴とする請求項1記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記各誘導灯は、光源と、非常時において光源に点灯電力を供給する2次電池と、前記スイッチ部の開閉動作によるパルス信号を検出する制御信号検出部と、該制御信号検出部が検出したパルス信号に基づいて前記動作モードを切り替える制御手段とを備え、前記動作モードとして、前記光源を前記2次電池により所定の点検時間以上点灯させることによって前記2次電池が正常か否かを判定する点検モードと、商用電源から供給される電力によって前記光源を点灯させる常時点灯モードと、前記光源を消灯させる常時消灯モードとを少なくとも有し、前記制御手段は、前記制御信号検出部が検出したパルス信号に応じて少なくとも前記点検モード、常時点灯モードまたは常時消灯モードの何れかに切り替えることを特徴とする請求項2記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記各誘導灯の前記制御手段は、前記動作モードが点検モードに切り替わると、予め設定された順番で時間をずらして点検動作を実施することを特徴とする請求項3記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記複数の誘導灯は機能の異なる複数種類の誘導灯からなり、各種類の誘導灯はそれぞれ複数種類の動作モードを有し、前記スイッチ部の開閉パターンに応じてそれぞれ何れかの動作モードに一括設定されることを特徴とする請求項3または4の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記複数種類の誘導灯は1つの筐体内に収納され、前記制御手段で前記複数種類の誘導灯が制御されることを特徴とする請求項5記載の照明制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−33847(P2010−33847A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194143(P2008−194143)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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