説明

照明器具

【課題】 表面に雨粒等の水滴が付着しても、看板等を適切に照明して、視認性の確保および外観を向上できる照明器具を提供する。
【解決手段】 基板12に実装されたLEDチップ11から照射された光は、LEDチップ11の前方に設けられているレンズ13の照射方向前面の凹面131により後方へ全反射して、看板17等を照明する。このとき、レンズ13の凹面131を覆うカバー部材14Aを設けたので、雨粒等の水滴16がレンズ13の凹面131に付着して光が漏れて乱反射するのを防止できる。これにより、看板17等を適切に照明して、視認性の確保および外観を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源に用い、屋外の看板照明等に用いられる照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋外の看板照明等に用いられ、LEDを光源として用いている照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図8に示すように、特許文献1に記載の照明器具100では、基板101の表面に多数のLED102を突設し、このLED102の照射方向前方を透光性のカバー103で覆っている。基板101の照射方向後方には、多数の板状の放熱板104が設けられている。基板101と放熱板104との間には、放熱性及び防水性を備えた樹脂からなる放熱層105を設けて、基板101と放熱板104とを固着している。また、カバー103の周壁103Aと基板101との間を密閉状態で接続している。
さらに、LED102の装着及び配線接続状態において、基板101の表面及び裏面に、耐熱性防水樹脂をコーティングして防水膜106を形成している。
これにより、放熱性及び防水性の高い照明器具を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−21156号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図9に示すように、LED111を光源とする照明器具110を看板112の照明に用いる場合に、LED111から発せられた光を前方ではなく周囲および後方へ照射(照射光L1)したい場合がある。このような場合には、LEDの前方に設けられているカバーとして前面が凹面状に形成されたアクリル製のレンズ113を用い、LED111から発せられた光を凹面114で全反射させて周囲および後方へ光を照射させて看板112等の表面を照明する場合がある。
【0005】
しかしながら、凹面状に形成したレンズ113を用いる場合に、前面の凹面114に雨粒等の水滴115が付着すると、水とアクリル樹脂の屈折率が近いため、あたかも水滴115の部分はアクリルが膨らんだような状態となる。このため、凹面114で全反射せずに、水滴115を介して水平方向や斜め前方に屈折して照射(照射光L2)され、照明すべき看板112等の表面が暗くなるという問題がある。
また、水滴115からの反射は、方向が定まらない乱反射となるので、看板112等の表面の明るさが不均一になり、看板112を見たときに光ムラとなるため、外観が低下するとともに視認性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、表面に雨粒等の水滴が付着しても、看板等を適切に照明して、視認性の確保および外観を向上できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、LEDチップと、前記LEDチップを実装する基板と、前記LEDチップの前方に設けられ、照射方向前面が凹面であるレンズと、を有し、前記レンズの凹面を覆うカバー部材を設けたものである。
【0008】
また、本発明の照明器具は、前記カバー部材がレンズ機能を有するものである。
【0009】
さらに、本発明の照明器具は、前記カバー部材の裏面が、凹凸加工されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、レンズの凹面を覆うカバー部材を設けたので、雨粒等の水滴がレンズの凹面に付着して光が漏れて乱反射するのを防止できる。これにより、看板等を適切に照明して、視認性の確保および外観を向上できるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の側面図および断面図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明器具の取付状態および光の進路を示す説明図
【図3】(A)は本発明に係る第1実施形態の照明器具で形成した文字の発光状態を示す説明図であり、(B)はカバー部材を設けない従来の照明器具で形成した文字の発光状態を示す説明図
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明器具の側面図および断面図
【図5】本発明に係る第3実施形態の照明器具の側面図および断面図
【図6】本発明に係る第4実施形態の照明器具の側面図および断面図
【図7】本発明に係る第5実施形態の照明器具の側面図および断面図
【図8】従来のLEDを用いた看板照明の断面図
【図9】従来の看板の照明の問題点を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10Aは、光源であるLEDチップ11と、このLEDチップ11を実装する基板12と、LEDチップ11の前方に設けられて照射方向前面が凹面131であるレンズ13と、を有する。レンズ13はアクリル樹脂製であり、凹面131は、例えば逆円錐形状である。
【0013】
そして、レンズ13の照射方向前側に、レンズ13の凹面131を覆うカバー部材14Aを設けた。カバー部材14Aは、平板状の部材であり、レンズ13の先端に密閉状態で接合する。このとき、レンズ13とカバー部材14Aとの間にパッキンを介在させて,螺合や嵌合にすることも可能である。
従って、レンズ13とカバー部材14Aとの間には、水が入ることができない密閉空間15が形成され、凹面131に水滴16(図2参照)が付着することはない。
【0014】
なお、図2に示すように、照明器具10Aは、取付ばね19を有する取付台18に取り付けられ、例えば看板17に設けられている取付孔171に挿嵌して、取付ばね19により看板17に取り付けることができる。
【0015】
従って、基板12に実装されたLEDチップ11から照射された光L1は、LEDチップ11の前方に設けられているレンズ13の凹面131により後方へ全反射して、看板17の表面を照明する。
また、LEDチップ11から発せられた直射光L2は、レンズ13およびカバー部材14Aを透過して照射される。
【0016】
図3(A)には、前述した照明器具10Aを多数配置して形成した文字の発光状態が示してある。また、図3(B)にはカバー部材14Aを設けずに、レンズ13の凹面131に水滴16が付着した場合が示してある。
図3(A)に示すように、照明器具10Aで文字を形成した場合には、レンズ13の凹面131で全反射して看板17を照らすので、文字全体が明るく照らされて、個々の照明器具10Aの区別は明確ではない。
一方、前述した従来の照明器具110で文字を形成した場合には、レンズ113の凹面114に水滴115が付着するので、光が散乱して看板112の表面を照らさない。このため、文字を形成する照明器具110間の看板112表面が照らされず、照明器具110間が暗くなる。
【0017】
以上、説明した本発明にかかる第1実施形態の照明器具10Aは、基板12に実装されたLEDチップ11から照射された光は、LEDチップ11の前方に設けられているレンズ13の照射方向前面の凹面131により後方へ全反射して、看板17等を照明する。このとき、レンズ13の凹面131を覆うカバー部材14Aを設けたので、雨粒等の水滴16がレンズ13の凹面131に付着することにより光が漏れて乱反射するのを防止できる。これにより、看板17の表面等を適切に照明して、視認性の確保および外観を向上できる。
【0018】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bについて説明する。なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10Aと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図4に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bでは、カバー部材14Bが一様な厚さでドーム状に形成されている。ドーム状としては、例えば部分球面状とすることができるが、その他の形状でも可能である。
【0019】
以上、説明した本発明にかかる第2実施形態の照明器具10Bによれば、前述した第1実施形態の照明器具10Aと全く同様の効果を得ることができる。
【0020】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明器具10Cについて説明する。なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10Aおよび第2実施形態にかかる照明器具10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図5に示すように、本発明に係る第3実施形態の照明器具10Cでは、カバー部材14Cがレンズ部材となっている。例えば、下面が平面状で、上方に曲面状に突出したものが採用できるが、この形状に限るものではない。
【0021】
以上、説明した本発明にかかる第3実施形態の照明器具10Cによれば、前述した第1実施形態の照明器具10Aと全く同様の効果を得ることができる。
さらに、カバー部材14Cをレンズ部材としたことにより、レンズ13を透過してきた直射光をさらに集光させたり、拡散させることができる。
【0022】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の照明器具10Dについて説明する。なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10A乃至第3実施形態にかかる照明器具10Cと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図6に示すように、本発明に係る第4実施形態の照明器具10Dでは、カバー部材14Dの裏面141を凹凸加工してある。ここで、凹凸加工としては、マット加工(梨地加工)やプリズム加工等が採用できる。
【0023】
以上、説明した本発明にかかる第4実施形態の照明器具10Dによれば、前述した第1実施形態の照明器具10Aと全く同様の効果を得ることができる。
さらに、カバー部材14Dの裏面141を凹凸加工したため、カバー部材14Dを透過する直射光を拡散させることができる。
【0024】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の照明器具10Eについて説明する。なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10A乃至第4実施形態にかかる照明器具10Dと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図7に示すように、本発明に係る第5実施形態の照明器具10Eでは、カバー部材14Eに着色(透光性)を施したものである。カバー部材14Eはレンズ13とは別部材なので、容易に材質や色を変えることができる。
【0025】
以上、説明した本発明にかかる第5実施形態の照明器具10Eによれば、前述した第1実施形態の照明器具10Aと全く同様の効果を得ることができる。
さらに、カバー部材14Eを例えば赤色の透光性部材で形成することにより、照射光L1を赤色にし、照射光L2を白色にすることができる。これにより、デザインのバリエーションを拡げることができる。
【0026】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10A〜10E 照明器具
11 LEDチップ
12 基板
13 レンズ
131 凹面
14A〜14E カバー部材
141 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップと、
前記LEDチップを実装する基板と、
前記LEDチップの前方に設けられ、照射方向前面が凹面であるレンズと、を有し、
前記レンズの凹面を覆うカバー部材を設けた照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記カバー部材がレンズ機能を有する照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具において、
前記カバー部材の裏面が、凹凸加工されている照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113829(P2012−113829A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259200(P2010−259200)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】