説明

照明器具

【課題】部品点数を増加させることなく簡単な回路構成で断線時に全てのLEDが消灯するのを防止できる照明器具を提供する。
【解決手段】昇圧チョッパ回路42で昇圧した電源に、複数のLED光源31が異なる数で直列接続された点灯回路43を複数設けることで、同じ粒数用の回路を複数設ける必要がなくなり、回路部品点数を削減できる。また、複数の点灯回路43を一括で制御できる。また、電源部に関しては、同じ回路構成を複数設けなくてもよくなり、回路部品点数を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源であるLED(発光ダイオード)を直列に接続した照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数個のLEDが直列に接続されている照明器具では、複数個のうちのいずれか少なくとも1個のLEDが断線で故障して無負荷状態になると、直列回路の一部が開放になる。このため、他の直列に接続されたLEDも同時に全て消灯してしまうという問題があった。
この対策として、全てのLEDに対して、LEDと一対にして個々に断線検出回路を設けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9に示すように、特許文献1に記載の照明器具100では、複数個のLED101A、101B、…、101Nが直列に接続され、定電流源102に接続されている。各LED101A、101B…101Nには、各々に、電流迂回回路103A、103B…103N、保持回路104A、104B…104N、断線検出回路105A、105B…105Nが接続されている。
【0004】
すなわち、LED101A、101B、…、101Nのいずれかの断線を検出した断線検出回路105A、105B…105Nの出力を、対応する保持回路104A、104B…104Nがそれを保持し、電流迂回回路103A、103B…103Nを導通さるようにした。
これにより、電流が故障したLED101A、101B、…、101Nの代わりに、対応する電流迂回回路103A、103B…103Nを流れるので、断線故障が他のLED101A、101B、…、101Nの発光に影響を及ぼさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−25784号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の照明器具のように、LEDと一対にして個々に断線検出回路を設けると、回路構成が複雑になるとともに部品点数の増加から、コストアップを招くという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、部品点数を増加させることなく簡単な回路構成で断線時に全てのLEDが消灯するのを防止できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、昇圧チョッパ回路と、前記昇圧チョッパ回路に接続され、LED光源を点灯させる複数の点灯回路と、を有し、前記各点灯回路は、少なくとも2つの異なる数のLED光源が直列に接続されたものである。
【0009】
また、本発明の照明器具は、前記複数の点灯回路のうちの少なくとも一つが、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも高い第1の点灯回路であり、少なくとももう一つの点灯回路が、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも低い第2の点灯回路であり、前記各点灯回路の無負荷を検出する検出回路を有するとともに、前記検出回路が無負荷を検出したときには、前記昇圧チョッパ回路を停止させるものである。
【0010】
さらに、本発明の照明器具は、前記複数の点灯回路のうちの少なくとも一つが、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも高い第1の点灯回路であり、少なくとももう一つの点灯回路が、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも低い第2の点灯回路であり、前記各点灯回路の無負荷を検出する検出回路を有するとともに、前記検出回路が無負荷を検出したときには、前記昇圧チョッパ電圧を前記第1の点灯回路が動作できなくなる電圧まで降圧するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、昇圧チョッパ回路で昇圧した電源に、複数のLED光源が異なる数で直列接続された点灯回路を複数設けることで、複数の点灯回路を一括で制御できる。また、電源部に関しては、同じ回路構成を複数設けなくてもよくなり、回路部品点数を削減できるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具を下方から見た全体斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明器具を下方から見た分解斜視図
【図3】本発明に係る第1実施形態の照明器具の中心を通る断面図
【図4】本発明に係る第1実施形態の照明器具を上方から見た平面図
【図5】照明器具におけるLEDユニットの点灯制御ブロック図
【図6】照明器具における制御動作を示す点灯制御ブロック図
【図7】第1実施形態の照明器具における各LEDユニットのLED光源を点灯させるための制御ブロック図
【図8】第2実施形態の照明器具における制御動作を示す点灯制御ブロック図
【図9】従来の照明器具の回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明においては、照明器具を被取付面に取り付けて下方を照明する場合について説明する。従って、上(上方、上側等)は天井面側を意味し、下(下方、下側等)は床面側を意味する。
【0014】
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10は、被取付面である天井面11等に取り付けられて主に下方を照明するのに適する。
図2および図3に示すように、照明器具10は、天井面11に取り付けられている引っ掛けシーリング12に取り付けるための取付金具21を中央に有する、例えば正方形の板状の器具本体20を有する。
【0015】
器具本体20の上側(すなわち、天井面11側)には、LEDユニット30であるアッパーユニット30A、上枠24および上パネル23が設けられている。
また、器具本体20の下側(すなわち、照明方向側)には、LEDユニット30であるロアーユニット30B、反射部材である反射板26が設けられており、反射板26の下方には、受けた光を拡散する透光性のパネル25が取り付けられる。
LEDユニット30は、後述するように、直列に接続された複数個のLED光源31(図5参照)を有する。
なお、器具本体20の下面で反射板26との間には、LEDユニット30を点灯制御する制御部22が設けられている。
【0016】
図4に示すように、アッパーユニット30Aは、器具本体20の上側において、四方外向きに設けられている。
また、ロアーユニット30Bは、器具本体20の下側において、2カ所に各々2個ずつ設けられており、内側へ光を照射するようになっている。
【0017】
図2および図3に示したように、ロアーユニット30Bの下方には、パネル25が着脱可能に取り付けられる。パネル25は、照射された光を拡散するものであり、複数箇所に、光透過率が低いパネルカバー251が設けられている。
図1に示すように、パネルカバー251は、パネル25において器具本体20の中心に対して対称な端部付近の対向する2辺に沿って設けられている。
また、パネルカバー251は、ロアーユニット30Bが設けられている位置(図5参照)の下方に対応して設けられており、下方からロアーユニット30Bの影がパネル25に映らないようになっている。
【0018】
図5に示すように、制御部22に収容されている光源点灯用回路40は、直流電源部である昇圧チョッパ回路42、点灯制御部43および検出回路44を有する。
昇圧チョッパ回路42は、器具本体20の取付金具21を天井面11の引っ掛けシーリング12に取り付けることにより、天井面11の裏に配線されている商用電源13に電気的に接続される。
【0019】
点灯回路としての複数の点灯制御部43には、各々複数のLED光源31が直列に接続されたLED回路32が接続される。
すなわち、点灯制御部43は、第1の点灯制御部43A、第2の点灯制御部43Bおよび第3の点灯制御部43Cを有し、第1の点灯制御部43Aには第1のLED回路32A、第2の点灯制御部43Bには第2のLED回路32B、第3の点灯制御部43Cには第3のLED回路32Cが接続される。
【0020】
図5に示す例では、第1のLED回路32Aは、多数(例えば60粒)のLED光源31が直列に接続されて負荷容量が最も大きく、印加される電圧が入力電源電圧よりも高いDC140V以上が必要である。
第2の点灯制御部43Bは、中程度の数(例えば40粒)のLED光源31が直列に接続されて負荷容量が中程度で、印加される電圧は入力電源電圧よりも低いDC140V以下でよい。
第3の点灯制御部43Cは、小数(例えば10粒)のLED光源31が直列に接続されて負荷容量が小さく、印加される電圧は入力電源電圧よりも低いDC140V以下でよい。
【0021】
次に、図6に示すように、いずれかのLED光源31が切れて、検出回路44が対応する点灯制御部43の無負荷を検出したときには、昇圧チョッパ回路42に停止信号を送って、昇圧チョッパ回路44を停止させる。
これにより、点灯制御部43のうち、LED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以上必要な第1の点灯回路43Aのみが停止する。
すなわち、昇圧チョッパ回路42で昇圧された電圧で点灯していた第1の点灯回路43Aに接続されている第1のLED回路32Aのみが消灯する。
そして、その他の第2の点灯回路制御部43Bおよび第3の点灯制御部43Cは、接続されるLED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以下となっているので、昇圧チョッパ回路42を停止させても入力電源電圧で点灯を継続する。
【0022】
図7には、前述した照明器具10に適用した具体例が示されている。すなわち、LEDユニット30に白色LED光源31Aおよび電球色LED光源31Bを用いた場合が示されている。
白色LED光源31Aと電球色LED光源31Bとは、別経路で各々直列に接続されている。従って、白色LED光源31Aの光量と電球色LED光源31Bの光量との比率を変えることにより、光色の調整が可能となっている。
【0023】
第1のLED回路32Aは、全部で60粒のLED光源31が直列に接続されており、負荷容量が最も大きく、図5および図6で前述した第1の点灯制御部43Aに接続される。
また、第2のLED回路32Bは、全部で40粒のLED光源31が直列に接続されており、第1のLED回路32Aについで負荷容量が大きく、図5および図6で前述した第2の点灯制御部43Bに接続される。
【0024】
また、第3のLED回路32Cは、全部で10粒のLED光源31が直列に接続されており、最も負荷容量が小さい部類に属する。このため、図5および図6で前述した第3の点灯制御部43Cに接続される。
さらに、第4のLED回路32Dは、全部で5粒のLED光源31が直列に接続されており、最も負荷容量が小さい部類に属する。このため、図5および図6で前述した第3の点灯制御部43Cに接続される。
なお、第4のLED回路32Dはテレビ視聴時に適するものであり、第3のLED回路32Cとは別個に制御する必要があるので、第3の点灯制御部43Cをもう一つ別個に設けるのが望ましい。
【0025】
図7において、検出回路(制御電源回路ブロック)44がいずれかの点灯制御部43の無負荷を検出したときには、昇圧チョッパ回路42(PFC回路ブロック)に信号を送って、昇圧チョッパ回路42を停止させる。
これにより、点灯制御部43のうち、LED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以上必要な第1の点灯回路43Aのみが停止する。
すなわち、昇圧チョッパ回路42で昇圧された電圧で点灯していた第1の点灯回路43Aに接続されている第1のLED回路32Aのみが停止して、第1のLED回路32AのLED光源31が消灯する。
そして、その他の第2の点灯回路制御部43Bおよび第3の点灯制御部43Cは、接続されるLED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以下となるので、昇圧チョッパ回路42を停止させても入力電源電圧で点灯を継続する。
【0026】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、昇圧チョッパ回路42で昇圧した電源に、複数のLED光源31が異なる数で直列接続された点灯制御部43を複数設けることで、同じ粒数用の回路を複数設ける必要がなくなる。これにより、回路部品点数を削減できるとともに、複数の点灯制御部43を一括で制御できる。
また、電源部に関しては、同じ回路構成を複数設けなくてもよくなり、回路部品点数を削減できる。
【0027】
また、検出回路44が、LED光源31が無負荷若しくは過電圧となった異常を検出すると、昇圧チョッパ回路42を停止させる。
これにより、点灯制御部43のうち、LED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以上必要な第1の点灯制御部43Aのみが停止する。
すなわち、昇圧チョッパ回路42で昇圧された電圧で点灯していた第1の点灯制御部43Aに接続されている複数のLED光源31のみが消灯する。
その他の点灯制御部(43B、43C)は、接続されるLED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以下となるので、昇圧チョッパ回路42を停止させても入力電源電圧で点灯を継続できる。
これにより、LED光源31が無負荷若しくは過電圧となった異常を検出したときでも、全てのLED光源31が消灯するのを回避できる。また、入力電源電圧で点灯できる第2の点灯回路43Bに接続されたLED光源31が消灯していた場合には、ある範囲まで、不具合のあるLED回路32を検出しやすくなる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる照明器具10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0029】
図8に示すように、第2実施形態の照明器具10Bでは、検出回路44がいずれかの点灯制御部43の無負荷を検出したときには、昇圧チョッパ電圧を第1の点灯制御部43Aが動作できなくなる電圧まで降圧するものである。
【0030】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bによれば、点灯制御部43のうち、LED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以上必要な第1の点灯制御部43Aのみが停止する。
すなわち、昇圧チョッパ回路42で昇圧された電圧で点灯していた第1の点灯制御部43Aに接続されている第1のLED回路32AのLED光源31のみが消灯する。
その他の点灯制御部43は、接続されるLED光源31の電圧(VF)の合計が入力電源電圧(DC140V)以下となる第2の点灯制御部43B、第3の点灯制御部43Cとしておくことにより、昇圧チョッパ回路42を降圧しても入力電源電圧で点灯を継続できる。
これにより、LED光源31が無負荷若しくは過電圧となった異常を検出したときでも、全てのLED光源31が消灯するのを回避できる。また、入力電源電圧で点灯できる第2の点灯制御部43Bや第3の点灯制御部43Cに接続されたLED光源31が消灯していた場合には、ある範囲まで、不具合のあるLEDユニットを検出しやすくなる。
【0031】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態において、アッパーユニット30Aおよびロアーユニット30Bの配置、本数、搭載するLED光源31の粒数等は、例示したものに限らず、他のものにも適用可能である。
【0032】
また、前述した実施形態においては、第1の点灯制御部43A、第2の点灯制御部43B、第3の点灯制御部43Cを各々1個ずつ設けた場合を例示したが、個数は限定するものではなく、複数個設けることもできる。
【符号の説明】
【0033】
10,10B 照明器具
31 LED光源
42 昇圧チョッパ回路
43 点灯制御部(点灯回路)
43A 第1の点灯制御部(第1の点灯回路)
43B 第2の点灯制御部(第2の点灯回路)
44 検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧チョッパ回路と、
LED光源を点灯させる複数の点灯回路と、を有し、
前記各点灯回路には少なくとも2つの異なる数のLED光源が直列に接続された照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記複数の点灯回路のうちの少なくとも一つが、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも高い第1の点灯回路であり、
少なくとももう一つの点灯回路が、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも低い第2の点灯回路であり、
前記各点灯回路の無負荷を検出する検出回路を有するとともに、
前記検出回路が無負荷を検出したときには、前記昇圧チョッパ回路を停止させる照明器具。
【請求項3】
請求項1に記載の照明器具において、
前記複数の点灯回路のうちの少なくとも一つが、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも高い第1の点灯回路であり、
少なくとももう一つの点灯回路が、直列接続された前記LED光源に印加される電圧が入力電源電圧よりも低い第2の点灯回路であり、
前記各点灯回路の無負荷を検出する検出回路を有するとともに、
前記検出回路が無負荷を検出したときには、前記昇圧チョッパ電圧を前記第1の点灯回路が動作できなくなる電圧まで降圧する照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−160328(P2012−160328A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18833(P2011−18833)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】