説明

照明機能付き壁パネル

【課題】壁パネル本体の設置だけで照明ユニットによる間接照明としての機能を同時に付与することができ、しかも照明ユニットの薄型化によって後付け感をなくすことができ、専門的な建築照明の知識がなくても明るさ感があり、美観性に優れた間接照明を容易に実現でき、施工性の向上を図ることができる。
【解決手段】壁面4に設置される壁パネル本体2を備え、上方乃至斜め上方Bに向かって光を照射するための棒状の導光体7を備える照明ユニット3を上記壁パネル本体2の上端部2aの長手方向Aに沿って配設した照明機能付き壁パネル1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機能付き壁パネルに関し、詳しくは例えば室内の天井面或いは壁面に反射させた光により間接照明を行なう照明機能付き壁パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、室内の天井面と壁面とのなすコーナー部にカーテンボックスを設け、カーテンボックスから天井面と平行に照明器具取付ベースを突出させ、この照明器具取付ベースの上面に天井面に向かって光を照射するための照明器具を取り付けた間接照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが従来の間接照明装置は、カーテンボックスが設けられる部屋のコーナー部にしか適用できず、しかもカーテンボックスから突出する照明器具取付ベースによって照明器具の後付け感が目立つなど、外観が損なわれるという問題がある。そのうえ、天井面からの間接光の明るさ機能を確保したり、光ムラの原因や、天井面或いは壁面への熱の影響等を配慮した設計とする必要性から、建築照明としての専門知識が要求され、施工に手間がかかるという問題もある。
【特許文献1】特開2007−165181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、壁パネル本体の設置だけで照明ユニットによる間接照明としての機能を同時に付与することができ、照明ユニットの薄型化によって後付け感をなくすことができると共に、専門的な建築照明の知識がなくても明るさ感があり、美観性に優れた間接照明を容易に実現でき、施工性の向上を図ることができる照明機能付き壁パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明に係る照明機能付き壁パネルは、壁面4に設置される壁パネル本体2を備え、上方乃至斜め上方Bに向かって光を照射するための棒状の導光体7を備える照明ユニット3を上記壁パネル本体2の上端部2aの長手方向Aに沿って配設してなることを特徴としている。
【0006】
このような構成とすることで、壁パネル本体2を室内の壁面4に取り付けるだけで、壁パネル本体2自体から光を照射する照明機能が得られると共に、壁パネル本体2に対する照明ユニット3の後付け感をなくすことができる。また例えば室内の天井面5と壁面4とのなすコーナー部において間接照明を行なう場合は、該コーナー部よりも下方に間隔をあけた壁面4部分に壁パネル本体2を設置するだけで、照明ユニット3による間接照明としての機能を同時に付与することができると共に、建築照明としての専門知識も必要でなくなり、施工がきわめて容易となる。そのうえ棒状の導光体7によって光の明るさ感を増すことができると共に照明ユニット3の薄型化が容易となり、従って、壁パネル本体2の上端部2aからの照明ユニット3の突出幅を極力小さくできて、壁パネル本体2と照明ユニット3の一体感が得られ、外観が一層良好となる。
【0007】
また、上記壁パネル本体2の上端部2aの長手方向Aに沿って長尺の額縁材6を取り付け、該額縁材6の内部に、上記棒状の導光体7を収納するための上方に開口した空間を形成するのが好ましく、この場合、照明ユニット3が額縁材6によって隠蔽され、外部から照明ユニット3が見えず、外観デザイン性が向上する。
【0008】
また、上記棒状の導光体7の長手方向Aの一端面を光源8に対向して配置される光入射面7aとし、導光体7の上向きとなる一側面を上記光入射面7aから入射した光源8からの光を出射する光出射面7bとするのが好ましく、この場合、光源8からの限られた光量を導光体7を介して効率良く出射させることができ、照射量の増加が容易となる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、壁パネル本体自体が帯状光を照射するための照明ユニットを備えているので、壁パネル本体を壁面に設置するだけで照明ユニットによる間接照明としての機能を同時に付与することが可能となり、しかも建築照明としての専門知識も必要とせず、施工性が向上するものである。そのうえ照明ユニットとして棒状の導光体を用いたことにより、光の明るさ感を増すことができると共に、照明ユニットの薄型化が容易となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、壁パネル本体の上端部の長手方向に沿って設けられる額縁材の内部に照明ユニットを収納したことにより、照明ユニットが外部から見えず、後付け感をなくすことができ、外観デザイン性を向上させることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、棒状の導光体の長手方向の一端面を光入射面とし、導光体の上向きとなる一側面を光出射面としたことにより、光源からの限られた光量を導光体を介して効率良く出射させて間接照明機能の一層の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0013】
本実施形態の照明機能付き壁パネル1は、壁パネル本体2の上端部2aの長手方向Aに沿って、上方乃至斜め上方Bに向かって光を照射するための照明ユニット3を配設して構成されている。以下の例では斜め上方Bに照射する場合を説明する。
【0014】
壁パネル本体2は、例えば木、樹脂、陶器等の剛性体により、矩形状に形成されている。この壁パネル本体2は、通常の内装パネルではなく、間接照明機能を付与でき、さらに加えて、装飾機能、調湿機能、或いは暖房機能等の各種機能を付与することが可能とされる。図10はトイレルームの壁面4に沿って設置する一例を示しており、壁パネル本体2内部にはヒータ回路が内蔵されており、壁パネル本体2の外表面に設けたヒータ操作盤9によって暖房機能が得られるようにしている。図10中の10は便器、11は洗面化粧台である。
【0015】
壁パネル本体2は、図2に示すように、室内の天井面5と壁面4とのなすコーナー部よりも下側の壁面4部分に沿って取り付けられるものであり、その上端部2aの長手方向A(紙面に対して垂直方向)に沿って配設された照明ユニット3から、斜め上方B、つまり壁面4の方向に向かって指向性のある帯状光が照射されるものである。
【0016】
図1に示すように、壁パネル本体2の上端部2aには、その長手方向Aの略全長に亘って長尺の額縁材6が取り付けられ、この額縁材6の内部に照明ユニット3を収納している。額縁材6は、断面略H字形に形成されており、ベース部12を挟んで上半部は照明ユニット3を取り付ける照明取付部13として機能し、下半部はパネル取付部14及び壁面取付部15として機能する。これら照明取付部13、パネル取付部14、壁面取付部15はそれぞれ額縁材6の長手方向Aの全長に亘って形成されている。額縁材6の材質としては、例えば樹脂、アルミ等の剛性材が挙げられる。
【0017】
なお図1中の16は透明カバー部、27は配線用の空間部である。
【0018】
ここで、上記額縁材6の下半部には、ベース部12の後端から垂下する背面垂下部17と、ベース部12の前端から垂下する前面垂下部18とが設けられる。背面垂下部17は、図4に示すように、釘50によって壁面4に対して固定されるものであり、壁面取付部15として機能する。また背面垂下部17と前面垂下部18とで囲まれた空間内部には、壁パネル本体2の上端部2aが収納されており、これら背面垂下部17と前面垂下部18がパネル取付部14として機能する。本例では、背面垂下部17の長さdを前面垂下部18の長さeよりも長く延ばしてあり、背面垂下部17の釘打ち作業時に前面垂下部18が邪魔にならないようにしてあり、また背面垂下部17は額縁材6の長手方向A全長に亘って形成されるので、額縁材6のどの位置でも壁面4に対する固定が可能となっている。
【0019】
上記額縁材6の上半部には、ベース部12の後端から立ち上がる背面立ち上がり部19と、ベース部12の前端から立ち上がる前面立ち上がり部20とが設けられ、これら背面立ち上がり部19と前面立ち上がり部20とで囲まれた上方に開口した空間内部に、図4に示すように、照明ユニット3が嵌め込まれて照明取付部13として機能する。本例では、背面垂下部17と背面立ち上がり部19とが面一状に連なっていると共に、前面立ち上がり部20と前面垂下部18とが面一状に連なっており、額縁材6の背面及び前面においてそれぞれ段差のない外観を有している。
【0020】
上記照明ユニット3は、図3に示すように、棒状の導光体7と、光源8と、これらを収納する上方に開口した長尺のケース部21とを備えている。光源8として例えばLEDが使用される。なお図3の例では2つの光源8を例示しているが、光源8の数は1つでもよい。
【0021】
上記導光体7は、図5に示すように、断面矩形状に形成され、その長手方向Aの一端面が光源8に対向して配置される光入射面7aとし、導光体7の上向きとなる一側面を上記光入射面7aから入射した光源8からの光を帯状光として出射する光出射面7bとしている。
【0022】
導光体7からの光を壁面4に向かって集光させる一例を図7(a)〜(f)に示す。図7中の22は印刷或いは凹凸等によって形成される光全反射用の導光パターンである。図7(a)は導光パターン22を導光体7の底面中央よりも壁面4側から離れる側に寄せて配置したものである。(b)は導光体7を、光源8からの光を搬送する光搬送部7Aと光搬送部7A内の光を取り込むレンズ形状の光出射部7Bとで構成し、光出射部7Bの底面に導光パターン22を設けると共に光出射部7Bを壁面方向Fに傾けたものである。(c)は導光体7の光出射面7bを覆う断面三角プリズム形状の光屈折用カバー16によって光を壁面方向Fに屈折させるものである。また(d)は導光体7の光出射面7bに傾斜或いは曲面を設けることで光を壁面方向Fに屈折させるものであり、(e)は導光体7自体を壁面方向Fに傾けたものであり、(f)は導光体7の光出射面7b側に光を壁面方向Fに反射させるリフレクタ40を設けたものである。
【0023】
上記導光体7を収納するケース部21を額縁材6に対して取り付ける例を図6に示す。図6(a)はケース部21の底面から突出した樹脂等の弾性を有する材料からなる一対の足部23,23をベース部12から先端が大径の凸部24に嵌合させる1箇所嵌合構造であり、(b)はケース部21の底面から突出した先端が大径の一対の足部25,25をベース部12に凹設した一対の凹溝26,26内にそれぞれ嵌合させるようにした2箇所嵌合構造である。これらの嵌合構造を構成する足部23、凸部24又は足部25、凹溝26は、それぞれ、ケース部21及びベース部21の長手方向Aにおいて一様な断面形状をしており、これにより、ケース部21をベース部21の長手方向Aの任意の位置に嵌合固定できるようになり、結果、ケース部21に収納される導光体7からの光の照射位置を額縁材6の長手方向Aの任意に選択して固定できるようになっている。なお、額縁材6に対するケース部21の取り付けは、図6の嵌合構造に限らず、例えば圧入やねじ止め等を採用してもよい。
【0024】
しかして、上記構成の照明機能付き壁パネル1を施工するにあたっては、図4に示すように、額縁材6の背面垂下部17を釘打ちによって壁面4に取り付けると共に、壁パネル本体2の上端部2aを額縁材6の背面垂下部17と前面垂下部18との間に収納し、額縁材6の上方から照明ユニット3を嵌め込んで固定するだけでよい。
【0025】
このように壁パネル本体2を壁面4に設置するだけで、額縁材6に内装した照明ユニット3によって壁面4を照らす間接照明としての機能も同時に付与することができるので、建築照明としての専門知識がなくても、施工が容易にできる。
【0026】
しかも、額縁材6によって照明ユニット3が隠蔽されるため、照明ユニット3の後付け感がなくなると共に、照明ユニット3は棒状の導光体7で構成されるので、照明ユニット3を薄型化でき、壁パネル本体2の上端部2aから大きく突出することがなくなり、外観デザイン性が良好に保たれる。
【0027】
また、照明ユニット3は導光体7からの帯状光を壁面4に向かって斜め上方Bに照射するものであるから、指向性のある間接照明ができると共に、LED等の限られた光量を導光体7を介して効率良く壁面4に集光させることができるので、照射量が増し、結果、室内から照明ユニット3を見えないようにしながら、光の明るさ感を増すことができ、間接照明機能を一層向上させることができる。
【0028】
さらに図6に示す嵌合構造によって、額縁材6内部に照明ユニット3を確実に固定できるので、振動等に対する信頼性を向上させることができる利点もある。
【0029】
前記実施形態では、額縁材6内部に単一の照明ユニット3を収納する例を説明したが、例えば図8に示すように、スペーサ部材60を挟んでその左右両側に照明ユニット3A,3Aを配置したものを額縁材6内に収納する構成としてもよい。このスペーサ部材60は、照明ユニット3A,3Aの固定を安定化させると共に、2つの照明ユニット3A,3A間に暗部を生じさせることで光のコントラストを向上させるものであり、さらにスペーサ部材60は照明ユニット3A,3Aの位置ズレを抑制させることができると共に配線モールとしての機能を持たせることが可能となる。さらに照明ユニット3A,3Aの両外側にそれぞれコーナー部材61を配置することで、照明ユニット3A,3Aの位置ズレ抑制効果を一層高めることができる。なお、照明ユニット3と別体のスペーサ部材60を例示したが、照明ユニット3のケース部21の中央部分をスペーサ部材として機能させる構成も可能である。
【0030】
図9は額縁材6の他の実施形態を示している。本例の額縁材6は、壁パネル本体2の上端部2aから前面部2bに亘って配置される水平部30及び垂下部31と、垂下部31の中央側から前方に突出するベース部32と、ベース部32の先端から立ち上がる立ち上がり部33とが一体形成されており、垂下部31のベース部12よりも上側部分と立ち上がり部33との間に照明ユニット3を収納するものである。他の構成は図1の実施形態と同様である。本例では、図1の場合と同様、導光体7によって照明ユニット3を薄くすることで、壁パネル本体2からの突出幅を極力抑えることができるので、後付け感をなくして外観デザイン性を良好に保つことができる効果に加えて、照明ユニット3を壁パネル本体2の厚み分だけ壁面4から遠ざけて配置できるので、壁面4の方向への光の照射幅が広がり、これにより広い範囲で且つ柔らかな間接光を創出できる利点がある。
【0031】
なお、前記実施形態では、額縁材6自体が照明取付部としての機能を併せ持つものを説明したが、例えば、額縁材6を照明取付部と別体で構成して嵌め込み等で取り付ける構成とすることも可能である。
【0032】
また照明ユニット3からの照射方向を斜め上方Bに向けて、壁面4に集光させる場合を例示したが、照射方向を真上に向けて天井面5に集光させる構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の壁パネル本体の上端部の長手方向に沿って照明ユニットを配設した照明機能付き壁パネルを壁面に設置した状態を説明する側面断面図である。
【図2】同上の照明機能付き壁パネルを室内の天井面と壁面とのなすコーナー部よりも下側の壁面部分に沿って取り付けた状態を説明する概略側面図である。
【図3】(a)は同上の照明ユニットの斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図4】同上の照明ユニットを収納する額縁材を壁面に対して固定した状態を説明する側面断面図である。
【図5】(a)は同上の導光体の光入射面に光源を対向配置した状態を説明する斜視図、(b)は(a)の側面図である。
【図6】(a)は同上の照明ユニットのケース部を額縁材のベース部に嵌合する一例を示す断面図、(b)は他の例を示す断面図である。
【図7】(a)〜(f)は同上の導光体から出射する光を壁面方向に傾ける実施態様の説明図である。
【図8】他の実施形態の照明ユニットとスペーサ部材とを組み合わせた場合を説明する分解斜視図である。
【図9】さらに他の実施形態の額縁材を説明する側面断面図である。
【図10】同上の照明機能付き壁パネルをトイレルームに設置した例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 照明機能付き壁パネル
2 壁パネル本体
2a 上端部
3 照明ユニット
4 壁面
5 天井面
6 額縁材
7 導光体
7a 光入射面
7b 光出射面
8 光源
A 長手方向
B 上方乃至斜め上方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置される壁パネル本体を備え、上方乃至斜め上方に向かって光を照射するための棒状の導光体を備える照明ユニットを上記壁パネル本体の上端部の長手方向に沿って配設してなることを特徴とする照明機能付き壁パネル。
【請求項2】
上記壁パネル本体の上端部の長手方向に沿って長尺の額縁材を取り付け、該額縁材の内部に、上記棒状の導光体を収納するための上方に開口した空間を形成したことを特徴とする請求項1記載の照明機能付き壁パネル。
【請求項3】
上記棒状の導光体の長手方向の一端面を光源に対向して配置される光入射面とし、導光体の上向きとなる一側面を上記光入射面から入射した光源からの光を出射する光出射面としたことを特徴とする請求項1又は2記載の照明機能付き壁パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−129476(P2010−129476A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305431(P2008−305431)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】