照明灯具診断システム及び照明灯具
【課題】照明光源が長寿命化した場合にも照明光源の交換時期や清掃時期の適切な管理を可能とする。
【解決手段】トンネル又は道路に設置された照明灯具24に、照明光源の照度を検出して保持し、外部からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を含む応答電文を送信する無線端末26を設ける。無線端末26が設けられた照明灯具24が布設された道路を走行する点検車両28に読出装置30を搭載し、走行しながら無線端末26に読出要求電文を連続的に送信して照明灯具識別情報と検出照度を含む応答電文を受信して照明灯具24の診断情報を収集する。診断処理装置34は、読出装置30により収集した照明灯具24の診断情報に基づき照明光源の交換時期やカバーガラスの清掃時期などの照明灯具管理情報を生成して出力する。
【解決手段】トンネル又は道路に設置された照明灯具24に、照明光源の照度を検出して保持し、外部からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を含む応答電文を送信する無線端末26を設ける。無線端末26が設けられた照明灯具24が布設された道路を走行する点検車両28に読出装置30を搭載し、走行しながら無線端末26に読出要求電文を連続的に送信して照明灯具識別情報と検出照度を含む応答電文を受信して照明灯具24の診断情報を収集する。診断処理装置34は、読出装置30により収集した照明灯具24の診断情報に基づき照明光源の交換時期やカバーガラスの清掃時期などの照明灯具管理情報を生成して出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルや道路に設置された照明灯具の照度などの情報を収集して交換時期や清掃時期などを管理する照明灯具診断システム及び照明灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネル内の壁面には常用設備の1つとして照明灯具が配置されており、定期的に交換と点検清掃が行われている。
【0003】
トンネルに設置された照明灯具の場合、照明光源として電気料金を含めた維持費が安価となる高圧ナトリウムランプが主に使用されており、これ以外に蛍光水銀ランプやメタルハライドランプなども使用されているが、高圧ナトリウムランプの寿命が12,000時間と最も長い。
【0004】
また近年にあっては、更に耐久寿命を延ばすためにLED光源を使用することも検討されており、4万時間〜6万時間といった高圧ナトリウムランプの数倍の長寿命が期待できる。
【0005】
ところで、照明灯具の定期的な交換の方法としては、トンネル通行について車線規制を行い、交換作業車を走行させて照明灯具の設置位置に止め、交換作業車に搭載しているアームの先端に設けたバケットに作業員を載せて照明灯具に届く位置にリフトして順次照明灯具のガラスカバーを開いて高圧ナトリウムランプなどの照明光源を交換する高所作業を行う。このような照明灯具の交換頻度は常時点灯により照度が低下していくことから、平均寿命に達する前に行われ、1年に1回程度である。また車線規制としては、一方通行であれば1車線規制が主で、対面通行であれば夜間通行止めにする必要がある。
【0006】
また、照明灯具の清掃作業は、交換作業に併せて1年に1回程度行われ、清掃車を走行させて照明灯具の設置位置に止め、清掃車に搭載しているアームの先端に設けた清掃装置を照明灯具にセットして順次照明灯具の清掃する高所作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−138703号公報
【特許文献2】特開2005−339920号公報
【特許文献3】特開2002−126120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の照明灯具の交換や清掃にあっては、照明光源の平均寿命や汚れの進み具合から例えば1年に1回程度行われているが、LED光源のような4〜7年といった長寿命の照明灯具の出現により、このように長寿命の照明灯具を何年で交換することが適切であるかが、実績がないために決めづらいという問題がある。特に、LED光源の寿命は、照明灯具の放熱特性に大きく依存し、交換時期を一義的に決めにくいという問題もある。
【0009】
また照明灯具の清掃についても現在は一年に一回程度、照明灯具の交換に併せて行っているが、LED光源の使用による交換時期が長くなった場合には、照明灯具の交換に併せた清掃はできなくなり、照明灯具の汚れ具合に併せて適切な清掃時期を決めていく必要があり、しかも照明灯具の汚れ具合は通行量により様々であり、清掃時期の決め方が難しくなるという問題がある。
【0010】
このような問題はトンネルに設置された照明灯具に限らず、道路の夜間照明に使用している照明灯具についても同様である。
【0011】
本発明は、照明光源が長寿命化した場合にも照明光源の交換時期や清掃時期の適切な管理を可能とする照明灯具診断システム及び照明灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、トンネル又は道路に設置された照明灯具を診断する照明灯具診断システムに於いて、
照明灯具に組み込まれ、照明光源の照度を検出して保持し、外部からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を始めとする診断情報の応答電文を送信する無線端末と、
無線端末が組込まれた照明灯具が設置された道路を走行する車両に搭載され、読出要求電文を連続的に送信することにより無線端末から診断情報の応答電文を受信して照明灯具の診断情報を収集する無線読出装置と、
無線読出装置により収集した照明灯具の診断情報に基づき照明灯具の管理情報を生成して出力する診断処理装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、無線端末は、
無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、無線通信部により無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を始めとする診断情報の応答電文を作成して無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備える。
【0014】
無線端末の第2の照度センサは、照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光されたカバーガラスに相対する位置に配置され、カバーガラスによる照明光の反射光を検出する。
【0015】
無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信する。
【0016】
無線端末は、照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備える。
【0017】
診断処理装置は、第1の照度センサによる照明光源の照度情報から照明光源の交換予定を生成する。
【0018】
診断処理装置は、第2の照度センサによるカバーガラスの反射情報から照明灯具の清掃予定を生成する。
【0019】
照明光源はLED光源であり、診断処理装置は、時刻情報に対応した第1の照度センサで検出したLED光源の照度情報、温度センサで検出した照明灯具内の温度情報からLED光源の劣化を予測して残り寿命時間を推定する。
【0020】
(照明灯具)
本発明は、トンネル又は道路に設置される照明灯具において、
照明光源の照度を検出して保持し、外部の無線読出装置からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を含む応答電文を送信する無線端末を備えたことを特徴とする。
【0021】
無線端末は、
無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、前記照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、無線通信部により無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を始めとする診断情報の応答電文を作成して無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備える。
【0022】
無線端末の第2の照度センサは、照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光されたカバーガラスに相対する位置に配置され、カバーガラスによる照明光の反射光を検出する。
【0023】
無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信する。
【0024】
無線端末は、照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の点検装置によれば、照明灯具に組み込んだセンサにより照度や汚損度合を検出収集して管理することにより、例えば検出した照度と設置場所で決まる規定の閾値照度と比較して適切な交換予定を生成することができ、LED光源のように長寿命であっても、照度を実際に検出することで、適切な時期に交換することができる。
【0026】
また、照明灯具の清掃についても、ガラスカバーの汚損に応じた反射光の増加から、汚損の程度を知って、適切な清掃時期を決定することができる。
【0027】
また、光源の寿命は照明灯具の放熱性に大きく影響されるが、温度センサにより照明灯具の内部温度を検出しているため、例えば内部温度が高い場合は交換寿命を短目に設定し、また内部温度が高い場合には交換寿命を長目に設定するといった、より適切な時期に照明灯具の交換を行うことかできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明により診断する照明灯具を含む各種のトンネル用設備の設置状態を示した説明図
【図2】図1のトンネル壁面に設置した照明灯具から診断情報を収集して処理する本発明の実施形態を示した説明図
【図3】図1に設けた照明灯具の実施形態を示した説明図
【図4】図3の照明灯具に内蔵した照度センサによる光源照度検出とカバーガラス汚損検出を示した説明図
【図5】図2(A)の照明灯具に設けた無線端末の実施形態を示したブロック図
【図6】図2(A)の点検車両に搭載した読出装置の実施形態を示したブロック図
【図7】図2(B)の診断処理装置の実施形態を示したブロック図
【図8】図7の診断情報処理装置による光源交換時期の予測に用いる照度の経時変化を示したグラフ図
【図9】図7の診断情報処理装置による清掃時期の予測に用いる汚損の経時変化を示したグラフ図
【図10】図5の無線端末の処理動作を示したフローチャート
【図11】図6の読出装置の処理動作を示したフローチャート
【図12】図7の診断処理装置の処理動作を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明により診断する照明灯具を含む各種のトンネル用設備の設置状態を示した説明図である。図1において、トンネル10内には蒲鉾状のトンネル壁面11により覆われた道路12が設けられており、この例にあっては、道路12は1方向2車線としている。
【0030】
道路12の左側のトンネル壁面11に沿っては監視員通路14が設けられており、監視員通路14から操作可能となるトンネル壁面11の位置に消火栓装置16及び自動弁装置18を設けている。
【0031】
消火栓装置16はトンネル長手方向の50mおきに設置されている。自動弁装置18はトンネル壁面11の上部に設置された噴霧配管22から取り出された水噴霧ヘッド20に対し加圧消火用水を供給する装置であり、トンネル長手方向の50mを放水区画として、放水区画ごとに自動弁装置18が設置されている。
【0032】
またトンネル壁面11の天井側の両側にはトンネル長手方向に沿って照明灯具24が一定間隔で配置されており、照明灯具24に対しては、その上側に配線しているケーブルが分岐接続されて照明電源を供給している。
【0033】
本発明による照明灯具診断システムにあっては、トンネル10内に設置された照明灯具24から診断に必要な照度などの情報を無線方式で得るため、後の説明で明らかにするように、照明灯具24のそれぞれにアクティブタグとして知られた無線端末を設けており、トンネル10内の道路12をアクティブタグに対しリーダとして知られた読出装置を搭載して走行することで、照明灯具24の診断に必要な診断情報を収集可能としている。
【0034】
図2は図1のトンネル壁面に設置した照明灯具から診断情報を収集して処理する本発明の実施形態を示した説明図であり、図2(A)にトンネル縦方向の断面を示し、図2(B)にトンネル内の照明灯具から収集した診断情報を処理する診断処理装置を示している。
【0035】
図2(A)において、図1に示したようにトンネル10の天井側の長手方向に道路に沿って設置された照明灯具24には、照明電源を所定電圧、例えばDC3ボルトに変換した電源供給により動作するアクティブタグとして知られた無線端末26が設けられている。無線端末26は後の説明で明らかにするように、照明灯具24に設けている光源の照度とカバーガラスの汚損度合を示す照度を診断情報として検出保持している。
【0036】
無線端末26に検出保持された診断情報の収集は、トンネル10内の道路12を、読出装置30を搭載した点検車両28を走行して収集することができる。点検車両28に搭載した読出装置30はメモリスティックなどの着脱自在な可搬媒体32をセットしており、読出操作を行うと定期的に読出要求電文を無線送信する。
【0037】
読出装置30から送信された読出要求電文は、受信可能エリアに存在する照明灯具24に設けている無線端末26で受信される。受信端末26は常時キャリアセンスを行っており、読出装置30からの読出要求電文をキャリアセンスすると、そのとき検出保持している光源照度やカバーガラスの汚れを示す照度を始めとする診断情報の応答電文を無線送信する。
【0038】
本実施形態の照明灯具24に設けた無線端末26及び点検車両28に搭載された読出装置30の通信にあっては、日本国内の場合については例えば900MHz帯の移動体識別用の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−90(小電力移動体識別用無線局の無線設備標準規格)に準拠した構成を備えており、移動通信距離は約100mとなる。
【0039】
ここで照明灯具24の設置間隔を5メートルし、点検車両28がトンネル内を最高制限速度、例えば80Km/hで走行したとすると、隣接した照明灯具の間の通過時間は約225ミリ秒であり、その間に通信可能となった手前の照明灯具の無線端末との通信を終了すればよく、これによって走行しながら順次照明灯具の無線端末から診断情報を収集可能となる。
【0040】
読出装置30を搭載した点検車両28は、予め定めた日数ごと例えば1週間に1回あるいは月に1回、対象とするトンネルを走行することにより、読出装置30の可搬記憶媒体32に無線端末26から読み出した診断情報を記憶して収集する。
【0041】
点検車両28の走行で読出装置30の可搬記憶媒体32に保存された収集情報は、図2(B)に示すように、パーソナルコンピュータなどを用いた診断処理装置34に可搬記憶媒体32を接続し、この状態で診断処理を実行して、可搬記憶媒体32に保存している収集した照明灯具の診断情報を読み込み、照明光源の照度の経時的な変化から照明光源の交換時期を予測する。また照明灯具24のカバーガラスの汚損度合を示す照度の径時変化から照明灯具24の清掃時期を予測する。
【0042】
図3は図1のトンネルに設けた照明灯具を取り出してその実施形態を示した説明図であり、図3(A)に断面図を、図3(B)に下側から見た平面図を示している。
【0043】
図3(A)において、照明灯具24は下側に開口した箱型の筐体36を内部に駆動部42を持つ照明光源40を照明している。照明光源40としては一般に高圧ナトリウムランプを使用しているが、本実施形態にあっては耐久寿命の長いLEDを照明光源40に使用した場合を例に取っている。本実施形態にあっては図3(B)に示すように、駆動源42に対し2本の照明光源40を装着している。
【0044】
筐体36の下側の開口部にはカバーガラス38が着脱自在に配置されている。カバーガラス38は筐体36の開口縁部に設けた4箇所の止め具44により支持されている。照明光源40を交換する際には、止め具44を開いてカバーガラス38を外すことにより、筐体36の下側を開口して内部の照明光源40を交換できる。
【0045】
筐体36の右側には横から見て三角形に屈曲されたセンサ取付部50が設けられ、センサ取付部50の上面側に第1のセンサとなる光源用照度センサ46を設け、下面側に第2の照度センサとなる汚損用照度センサ48を設けている。
【0046】
また筐体36の左側には端末取付部52によって無線端末26が取り付けられている。無線端末26は、内蔵したアンテナの放射面を下側のガラスカバー38に向けるように取り付けられている。
【0047】
図4は図3の照明灯具に内蔵した照度センサによる光源照度検出とカバーガラス汚損検出を示した説明図である。図4において、センサ取付部50の上側に設けた光源用照度センサ46に対しては、照明光源40からの光が矢印で示すように直接入射しており、照明光源の光強度に応じた照度検出信号を得ることができる。
【0048】
センサ取付部50の下側に配置した汚損用照度センサ48は、照明光源40からの光を直接受けることのない位置に配置されており、カバーガラス38に向けて配置することで、照明光源40から出てカバーガラス38の表面で反射した光を受光するようにしている。
【0049】
カバーガラス38の面で反射して汚損用照度センサ48に入射する光の強さは、カバーガラス38の汚損度合が大きくなるほど反射光量が強くなる関係にある。このため汚損用照度センサ48は、カバーガラス38の汚損度合に応じて増加する反射光による照度検出信号を得ることができる。
【0050】
図5は図2(A)の照明灯具に設けた無線端末の実施形態を示したブロック図である。図5において、アクティブタグとして知られた無線端末26はプロセッサ54を有し、プロセッサ54に対しては無線通信部56、センサ部58、メモリ60及び電源部62を設けている。
【0051】
無線通信部56には送信回路64と受信回路66が設けられ、予め定めた割当チャネルによる900MHz帯の電波を用いた無線信号の送受信を行うようにしている。即ち受信回路66は、点検車両に搭載した読出装置からの読出要求電文の送信に伴う電波のキャリアセンスを行っており、キャリアセンスが得られると電文を受信復調し、復調データをプロセッサ54に出力する。
【0052】
この読出装置からの読出要求電文の解読結果に基づき、プロセッサ54は、そのときメモリ60に保持している照度などの収集情報を含む応答電文データを出力してくることから、これを送信回路64で変調してアンテナから応答送信する。
【0053】
センサ部58には図3に示した照明灯具24に設けた光源用照度センサ46及び汚損用照度センサ48が設けられ、更に照明光源としてLEDを使用した場合には筐体内の温度を検出する温度センサ68を設けている。
【0054】
メモリ60には無線端末26に割り当てられた固有の識別情報である送信元ID70、各種のセンサからの検出情報を検出保持した際に付加される時刻情報72、光源用照度センサ46で検出した検出光源照度74、汚損用照度センサ48で検出した検出反射照度76、温度センサ68で検出した検出温度78が記憶されている。実際の記憶形態は、時刻情報72、検出光源照度74、検出反射照度76及び検出温度78を含むレコード形式で時刻順に複数データ記憶している。
【0055】
プロセッサ54はプログラムの実行により実現される制御部80としての機能を持ち、制御部80の機能はセンサ処理部80a、受信処理部80b、送信処理部80c及び点検処理部80dに分けられている。
【0056】
センサ処理部80aは予め定めた周期で、センサ部58の光源用照度センサ46、汚損用照度センサ48及び温度センサ68からの検出信号をAD変換ポートから読み込んで、そのときの時刻を示す時刻情報を付加して、メモリ60に1レコードとして記憶する。メモリ60に対するセンサ情報を含む1レコードの記憶は例えば1日1回であり、点検車両による診断情報の収集を月1回とすると、例えば30日分のレコードを記憶することができる。
【0057】
受信処理部80bは無線通信部56の受信回路66で受信復調された電文を解読し、読出要求電文であった場合には送信処理部80cを起動して収集データの応答送信を行わせる。送信処理部80cは受信処理部84から読出要求電文受信通知を受けたときに動作し、このときメモリ60に保存している時刻情報72、検出光源照度74、検出反射照度76及び検出温度78からなる保存している複数レコードに送信元ID70を加えた収集情報を作成し、これを無線通信部56の送信回路64に出力し、媒体周波数に変調してアンテナから送信する。
【0058】
点検処理部80dは、予め定めた一定周期ごとにセンサ部58に設ける各種センサ、図3に示した照明光源40の駆動源42をはじめとする照明灯具に内蔵した機器の自動点検を実行しており、自動点検により異常を判別した場合には、メモリ60に障害情報を、そのときの時刻情報と組み合わせたレコードとして記憶保持する。
【0059】
この照明灯具における障害情報も読出装置30による診断情報収集の際に読み出され、診断処理装置34の診断処理において照明灯具における障害内容を警告表示し、速やかに障害を解消するための対応を可能とする。
【0060】
電源部62は照明灯具に供給されている照明電源から、例えば無線端末26に必要な電源電圧3ボルトに変換したDC電圧を各回路部に供給して動作させる。
【0061】
図6は図2(A)の点検車両に搭載した読出装置の実施形態を示したブロック図である。図6において、読出装置30はプロセッサ82を有し、プロセッサ82に対し無線通信部84、操作部86、報知部88、メモリ90及びメモリスティックなどを用いた着脱自在な可搬記憶媒体32、更に電源部98を設けている。
【0062】
無線通信部84には送信回路92と受信回路94が設けられる。操作部86には、照明灯具に設けた無線端末26から収集情報の読出しを行うための読出指示の開始と読出指示の終了を行う操作スイッチなどが設けられている。報知部88には表示部とスピーカなどが設けられる。照明灯具の無線端末26に対する読出要求電文の送信で応答電文を受信すると、応答電文の受信を示すチャイム音などの報知音を出すようにしている。このような報知音と出力により点検車両の作業員は診断情報の収集が行われていることを知ることができる。
【0063】
メモリ90には送信元ID96が記憶されており、またプロセッサ82の制御処理に必要な各種の情報が記憶されている。可変記憶媒体32は例えばUSBポートに接続されるメモリスティックであり、照明灯具からの応答電文で取得した収集データをレコード単位に記憶する。この可搬記憶媒体32に格納する収集データのレコード形式は、照明灯具を示す送信元IDをインデックスとして、時刻情報、検出光源照度、検出反射照度及び検出温度を含む情報となる。
【0064】
電源部98は読出装置30を携帯型とした場合には電池電源を使用する。また点検車両に搭載して使用されることから、車両のバッテリー電源による電源供給を受けて動作することも可能である。
【0065】
図7は図2(B)の診断処理装置の実施形態を示したブロック図であり、実際にはパーソナルコンピュータなどを使用する。図7において、診断処理装置34はプロセッサ106を備え、プロセッサ106に対しては表示部108、操作部110、通信制御部112、メモリ114、接続アダプタ116を設けている。
【0066】
表示部108は、図2(B)に示したように、パーソナルコンピュータのディスプレイである。また操作部110は、図2(B)に示したパーソナルコンピュータのキーボードあるいは画面上のマウス操作により製作されるカーソルマークなどである。通信制御部112は外部のネットワークとの間で通信を行う。
【0067】
メモリ114には診断処理装置34による処理結果として得られた光源交換スケジュール124や清掃スケジュール126などの管理情報が記憶される。接続アダプタ116に対しては、図6に示した点検車両に搭載した読出装置30で照明灯具から収集した診断情報を記憶している可搬記憶媒体32が接続される。
【0068】
プロセッサ106には、収集情報読込部118、交換予定作成部120及び清掃予定作成部122が設けられている。収集情報読込部118は、車両に搭載した読出装置の可搬記憶媒体32の接続アダプタ116に挿入接続した状態で操作部110による読込操作を受けて、可搬記憶媒体32に記憶している照明灯具からの収集データを読み込んでメモリ114上に保持する。
【0069】
交換予定作成部120は、可搬記憶媒体32から読み込んだ時刻情報と検出光源照度を含む収集情報を対象に、送信元IDで特定される無線端末26を設けた照明灯具ごとの時刻情報に従った検出光源照度の経時変化に基づき、予め定めた閾値照度に到達するまでの寿命時間を予測演算で求める。
【0070】
このような照明光源の照度が閾値照度に低下するまでの寿命時間は、送信元IDで特定される各照明灯具毎に求めた後、平均寿命時間を算出し、算出した平均寿命時間に1以下の値となる所定の安全係数、例えば0.9を乗算して寿命時間を求め、これを現在年月日に加えることで、照明光源交換時期を予測することができる。
【0071】
ここで照明光源の交換予定作成部120による処理にあっては、照明光源としてLED光源を使用していた場合には、可搬記憶媒体32から読み込んだ照明灯具の温度情報に依存した寿命時間の予測演算を行う。即ち、照明灯具の温度が高いほどLED光源の場合には寿命時間が短くなる関係にあることから、例えば処理対象とする全ての照明灯具の検出温度の平均温度を求め、この平均温度に基づく寿命時間の予測演算を行う。
【0072】
清掃予定作成部122は、可搬記憶媒体32からメモリ114に読み込んだ時刻情報と検出反射照度を対象に清掃予定時期を作成する。清掃予定作成部122は、まず送信元IDで特定される照明灯具ごとに得られた検出反射照度の経時変化から、予め定めた閾値照度に増加するまでの清掃不要時間を予測し、全ての照明灯具について清掃不要時間が予測できたならば、その平均時間を求める。
【0073】
この場合についても、1以下の安全係数、例えば0.9を平均清掃不要時間に掛け合わせた時間を最終的な清掃不要時間とする。このようにして清掃不要時間が算出できたならば、これを現在時刻に加えることで清掃予定日時を作成することができる。
【0074】
なお、交換予定作成部120及び清掃予定作成部122の処理にあっては、送信元IDで特定される照明灯具ごとに交換時間、清掃不要時間が算出された場合、予測時間が例えば数日といったように極端に短い照明灯具については平均計算から除外し、個別的に照明光源交換の必要性及び清掃の必要性を警告的に表示することが望ましい。
【0075】
図8は図7の診断処理装置による光源交換時期の予測に用いる照度の経時変化を示したグラフ図である。図8(A)は、ある照明灯具について最初の読出で収集された照度をP点にプロットしている。この場合には経時的な照度データは得られていないことから、P点の検出照度を起点に設計上決められた照度の低下特性例えば直線特性を設定する。この場合、照明光源としてLED光源を例に取っていることから、検出温度に基づき検出温度に対応した特性に直線を設定して寿命時間を予測する。
【0076】
図8(A)にあっては、検出温度が10℃、20℃、30℃の場合について、設計データから得られた照度特性を示しており、検出温度が高いほど照度の低下が大きくなっている。即ち、検証温度が30℃の場合には寿命時間はD1と一番短く、20℃ではD2となり、10℃では最も長いD3となっている。
【0077】
図8(B)は例えば月に1回といった点検車両による照明灯具からの診断情報の収集が何回か繰り返された場合であり、検出照度を結んだ直線から、P点を起点に破線で示すように将来の照度変化を予測することができる。この予測は、隣接する2点を結ぶ直線の傾きの平均値による直線予測であっても良いし、現時点を含む複数の検出点に基づく多次関数による予測などを行う。なお本実施形態で予測している照度については、それほど急激な変化はないことから、2次関数近似程度までで十分である。このように照明光源の径時変化に対するデータが蓄積されるほど、より正確な寿命時間D4の予測が可能となる。
【0078】
図8に示した照明光源の寿命時間の予測は送信元IDで特定される照明灯具毎に行われるものであるが、照明光源の交換はトンネル単位で行うことから、トンネルに設置指定る全ての照明灯具について寿命時間の予測を行い、その平均時間に所定の安全係数を乗じた時間が、そのトンネルにおける照明光源の交換時期の予測に用いられる。
【0079】
図9は図7の診断処理装置による清掃時期の予測に用いる汚損の経時変化を示したグラフ図である。図9において、照明灯具の読出により収集された汚損反射照度は、日数の増加に伴い点線を結んだ実線で示すように徐々に増加する傾向を持つ。したがって、複数の汚損反射照度が得られた時点で、直線近似値あるいは多次関数近似により、破線で示すように所定の閾値照度Lth2に増加するまでの清掃不要時間D5を求める。
【0080】
この清掃不要時間D5の予測は送信元IDで特定される照明灯具ごとの時間であることから、1つのトンネルに設置されている全て照明灯具につき、同様にして清掃不要時間を求め、その平均時間に所定の安全係数を乗じた時間を最終的な清掃不要時間として求め、清掃予定時期を予測することになる。
【0081】
図10は図5の無線端末の処理動作を示したフローチャートであり、図5のプロセッサ54による制御処理となる。図10において、無線端末26の電源を投入すると、ステップS1で初期化及び自己診断を実行し、異常がなければ、ステップS2に進み、センサ読込タイミングの有無を判別する。
【0082】
所定周期で定められたセンサ読込タイミングを判別すると、ステップS3に進み、センサ部58に設けている光源用照度センサ46、汚損用照度センサ48及び温度センサ68のそれぞれから出力されている検出信号をAD変換して読み込み、そのときの時刻情報と共に記憶する。即ち図5のメモリ60に示すように、時刻情報72、検出光源照度74、検出反射照度76及び検出温度78からなるレコードを作成して記憶する。
【0083】
続いてステップS4で定期的に設定される点検タイミングか否か判別しており、点検タイミングを判別すると、ステップS5に進み、センサ部58や照明駆動部などの照明灯具に設けられている各種機器の点検を実行する。この点検について、ステップS6で異常ありが判別されると、ステップS7に進み、障害情報を生成して時刻情報と共にメモリ60に記憶する。
【0084】
続いてステップS8で外部からの読出要求電文受信の有無を判別しており、読出要求電文受信を判別すると、ステップS9に進み、そのときメモリ60に記憶している検出情報から収集情報を作成し、ステップS10で収集情報の応答電文を無線通信部56から送信する。
【0085】
図11は図6の読出装置の処理動作を示したフローチャートであり、プロセッサ82の処理動作となる。図9において、読出装置30の電源を投入すると、ステップS11で初期化及び自己診断を実行した後、異常がなければ、ステップS12に進み、読出開始指示の有無を判別する。
【0086】
読出開始指示は、読出装置30を搭載してトンネルに向かって走行している点検車両の担当者がトンネルに近付いた段階で読出操作を行うと、ステップS12で読出開始指示ありが判別され、ステップS13で読出要求電文を周期的に送信する動作を開始する。このような読出要求電文が周期的に送信されることで、点検車両がトンネルに進入すると、読出要求電文の送信に伴う電波のキャリアセンスにより、照明灯具に設けている無線端末26が応答して、収集情報を含む応答電文を送り返す。
【0087】
このためステップS14にあっては応答電文受信の有無を判別しており、応答電文受信を判別すると、ステップS15に進み、電文を解析して送信元IDと収集情報を取得し、送信元IDをインデックスとして受信した収集情報を保存する。
【0088】
ステップS14〜S16の処理は、ステップS17で読出終了指示ありが判別されるまで繰り返される。即ち、点検車両がトンネルを通り過ぎると担当者が読出終了操作を行うことから、これがステップS17で判別され、ステップS18で読出要求電文の送信停止を行う。
【0089】
なお図9における診断情報読出処理にあっては、診断情報を収集するトンネルが走行予定区間に複数存在する場合には、読出開始操作に先立ってトンネルを特定するトンネルIDを設定し、トンネルIDごとに複数の照明灯具の送信元IDで特定される収集情報を取得して記憶することになる。この場合のトンネルIDについては、読出装置側で設定するようにしても良いし、予め無線端末26側のメモリにトンネルIDとして記憶しておき、読出要求に対する応答電文に含めてトンネルIDを取得できるようにしてもよい。
【0090】
図12は図7の診断処理装置の処理動作を示したフローチャートであり、プロセッサ106による処理動作となる。図12において、診断処理装置34の電源を投入すると、ステップS21で初期化及び自己診断が行われ、異常がなければ、ステップS22に進み、記憶媒体の接続の有無を判別する。
【0091】
診断情報管理処理を実行する際には、点検車両の走行で取得した収集情報を格納した可搬記憶媒体32を図7に示すように接続アダプタ116に接続した状態としており、これによって記憶媒体の接続ありが判別され、ステップS23に進み、可搬記憶媒体32から収集した診断情報を読み込んで、例えばハードディスク上に準備したデータベースに保存する。
【0092】
続いてステップS24でトンネルIDと照明灯具ID(初期値)を設定する。続いてステップS25で、トンネルIDで特定されるデータベースの領域を対象に照明灯具IDによりデータベースから時刻情報と検出光源照度を含む照度データを読み出し、ステップS26で図8(B)に示したように閾値照度Lth1に低下するまでの寿命時間を予測して保持する。
【0093】
続いてステップS27ですべての照明灯具IDの処理済か否か判別し、未処理の場合にはステップS28で照明灯具IDを更新して、ステップS24からの処理を繰り返す。ステップS27ですべての照明灯具IDの処理済が判別されると、ステップS29で平均寿命時間を算出し、続いてステップS30で所定の安全係数をかけて交換寿命時間を決定し、ステップS31で現在の日時にステップS30で算出した交換寿命時間を加えて光源交換予定日を決定する。
【0094】
続いてステップS32でトンネルIDと照明灯具IDを設定した後、ステップS33で照明灯具IDによりデータベースから時刻情報と検出反射照度を含む汚損反射照度データを読み出し、ステップS34で図9に示したように閾値Lth2に増加するまでの清掃不要時間を予測して保持する。続いてステップS35ですべての照明灯具IDが処理済か否か判別し、未処理であればステップS36で照明灯具IDを更新し、ステップS32からの処理を繰り返す。
【0095】
ステップS35ですべての照明灯具IDの処理済を判別すると、ステップS37で平均清掃不要時間を算出した後、ステップS38で安全係数をかけて清掃不要時間を決定し、ステップS39で現在日時に清掃不要時間を加えることで清掃予定日を決定する。
【0096】
なお、上記の実施形態はトンネルに設置された照明灯具を例に取るものであったが、本発明はこれ以外に、道路に沿って設置され夜間に点灯される道路灯についても同様に、道路灯に図3のトンネルの照明灯具24の場合と同様、無線端末26を設けると共に、光源用照度センサ46及び汚損用照度センサ48を設け、更に照明光源40としてLEDを使用している場合には温度センサを設け、図2に示すように、道路に沿って読出装置30を搭載した点検車両28を走行しながら周期的に読出要求電文を送信することで、道路灯に設けている無線端末26から検出光源照度、検出反射照度、検出温度、更に時刻情報を含む複数レコードの診断情報を収集し、図2(B)に示す診断処理装置34に読出装置30の収集情報を記憶した可搬記憶媒体32を接続して診断処理を実行することで、道路灯の光源交換時期や清掃時期を予測することができる。
【0097】
また、上記の実施形態に示した各機器のプロセッサは、その機能の一部または全部を例えばワイヤロジックなどによる他の手段に代えることができ、プロセッサを含め他の電気的機械的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0098】
また、上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番などはこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入したりすることなどができる。
【0099】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0100】
10:トンネル
11:トンネル壁面
12:道路
14:監視員通路
16:消火栓装置
18,46:自動弁装置
20:水噴霧ヘッド
22:水噴霧配管
24:照明灯具
26:無線端末
28:点検車両
30:読出装置
32:可搬記憶媒体
34:診断処理装置
36:筐体
38:ガラスカバー
40:照明光源
42:駆動部
44:止め具
46:光源用照度センサ
48:汚損用照度センサ
50:センサ取付部
52:端末取付部
54,82,106:プロセッサ
56,84:無線通信部
58:センサ部
60,90,114:メモリ
62:電源部
64,92:送信回路
66,94;受信回路
68:温度センサ
70,96:送信元ID
72:時刻情報
74:光源検出照度
76:反射検出強度
78:検出温度
80:制御部
80a:センサ処理部
80b:受信処理部
80c:送信処理部
80d:点検処理部
86,110:操作部
88:報知部
100:読出送信部
102:読出受信部
108:表示部
112:通信制御部
116:接続アダプタ
118:収集情報読込部
120:交換予定作成部
122:清掃予定作成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルや道路に設置された照明灯具の照度などの情報を収集して交換時期や清掃時期などを管理する照明灯具診断システム及び照明灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネル内の壁面には常用設備の1つとして照明灯具が配置されており、定期的に交換と点検清掃が行われている。
【0003】
トンネルに設置された照明灯具の場合、照明光源として電気料金を含めた維持費が安価となる高圧ナトリウムランプが主に使用されており、これ以外に蛍光水銀ランプやメタルハライドランプなども使用されているが、高圧ナトリウムランプの寿命が12,000時間と最も長い。
【0004】
また近年にあっては、更に耐久寿命を延ばすためにLED光源を使用することも検討されており、4万時間〜6万時間といった高圧ナトリウムランプの数倍の長寿命が期待できる。
【0005】
ところで、照明灯具の定期的な交換の方法としては、トンネル通行について車線規制を行い、交換作業車を走行させて照明灯具の設置位置に止め、交換作業車に搭載しているアームの先端に設けたバケットに作業員を載せて照明灯具に届く位置にリフトして順次照明灯具のガラスカバーを開いて高圧ナトリウムランプなどの照明光源を交換する高所作業を行う。このような照明灯具の交換頻度は常時点灯により照度が低下していくことから、平均寿命に達する前に行われ、1年に1回程度である。また車線規制としては、一方通行であれば1車線規制が主で、対面通行であれば夜間通行止めにする必要がある。
【0006】
また、照明灯具の清掃作業は、交換作業に併せて1年に1回程度行われ、清掃車を走行させて照明灯具の設置位置に止め、清掃車に搭載しているアームの先端に設けた清掃装置を照明灯具にセットして順次照明灯具の清掃する高所作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−138703号公報
【特許文献2】特開2005−339920号公報
【特許文献3】特開2002−126120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の照明灯具の交換や清掃にあっては、照明光源の平均寿命や汚れの進み具合から例えば1年に1回程度行われているが、LED光源のような4〜7年といった長寿命の照明灯具の出現により、このように長寿命の照明灯具を何年で交換することが適切であるかが、実績がないために決めづらいという問題がある。特に、LED光源の寿命は、照明灯具の放熱特性に大きく依存し、交換時期を一義的に決めにくいという問題もある。
【0009】
また照明灯具の清掃についても現在は一年に一回程度、照明灯具の交換に併せて行っているが、LED光源の使用による交換時期が長くなった場合には、照明灯具の交換に併せた清掃はできなくなり、照明灯具の汚れ具合に併せて適切な清掃時期を決めていく必要があり、しかも照明灯具の汚れ具合は通行量により様々であり、清掃時期の決め方が難しくなるという問題がある。
【0010】
このような問題はトンネルに設置された照明灯具に限らず、道路の夜間照明に使用している照明灯具についても同様である。
【0011】
本発明は、照明光源が長寿命化した場合にも照明光源の交換時期や清掃時期の適切な管理を可能とする照明灯具診断システム及び照明灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、トンネル又は道路に設置された照明灯具を診断する照明灯具診断システムに於いて、
照明灯具に組み込まれ、照明光源の照度を検出して保持し、外部からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を始めとする診断情報の応答電文を送信する無線端末と、
無線端末が組込まれた照明灯具が設置された道路を走行する車両に搭載され、読出要求電文を連続的に送信することにより無線端末から診断情報の応答電文を受信して照明灯具の診断情報を収集する無線読出装置と、
無線読出装置により収集した照明灯具の診断情報に基づき照明灯具の管理情報を生成して出力する診断処理装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、無線端末は、
無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、無線通信部により無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を始めとする診断情報の応答電文を作成して無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備える。
【0014】
無線端末の第2の照度センサは、照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光されたカバーガラスに相対する位置に配置され、カバーガラスによる照明光の反射光を検出する。
【0015】
無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信する。
【0016】
無線端末は、照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備える。
【0017】
診断処理装置は、第1の照度センサによる照明光源の照度情報から照明光源の交換予定を生成する。
【0018】
診断処理装置は、第2の照度センサによるカバーガラスの反射情報から照明灯具の清掃予定を生成する。
【0019】
照明光源はLED光源であり、診断処理装置は、時刻情報に対応した第1の照度センサで検出したLED光源の照度情報、温度センサで検出した照明灯具内の温度情報からLED光源の劣化を予測して残り寿命時間を推定する。
【0020】
(照明灯具)
本発明は、トンネル又は道路に設置される照明灯具において、
照明光源の照度を検出して保持し、外部の無線読出装置からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を含む応答電文を送信する無線端末を備えたことを特徴とする。
【0021】
無線端末は、
無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、前記照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、無線通信部により無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を始めとする診断情報の応答電文を作成して無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備える。
【0022】
無線端末の第2の照度センサは、照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光されたカバーガラスに相対する位置に配置され、カバーガラスによる照明光の反射光を検出する。
【0023】
無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信する。
【0024】
無線端末は、照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の点検装置によれば、照明灯具に組み込んだセンサにより照度や汚損度合を検出収集して管理することにより、例えば検出した照度と設置場所で決まる規定の閾値照度と比較して適切な交換予定を生成することができ、LED光源のように長寿命であっても、照度を実際に検出することで、適切な時期に交換することができる。
【0026】
また、照明灯具の清掃についても、ガラスカバーの汚損に応じた反射光の増加から、汚損の程度を知って、適切な清掃時期を決定することができる。
【0027】
また、光源の寿命は照明灯具の放熱性に大きく影響されるが、温度センサにより照明灯具の内部温度を検出しているため、例えば内部温度が高い場合は交換寿命を短目に設定し、また内部温度が高い場合には交換寿命を長目に設定するといった、より適切な時期に照明灯具の交換を行うことかできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明により診断する照明灯具を含む各種のトンネル用設備の設置状態を示した説明図
【図2】図1のトンネル壁面に設置した照明灯具から診断情報を収集して処理する本発明の実施形態を示した説明図
【図3】図1に設けた照明灯具の実施形態を示した説明図
【図4】図3の照明灯具に内蔵した照度センサによる光源照度検出とカバーガラス汚損検出を示した説明図
【図5】図2(A)の照明灯具に設けた無線端末の実施形態を示したブロック図
【図6】図2(A)の点検車両に搭載した読出装置の実施形態を示したブロック図
【図7】図2(B)の診断処理装置の実施形態を示したブロック図
【図8】図7の診断情報処理装置による光源交換時期の予測に用いる照度の経時変化を示したグラフ図
【図9】図7の診断情報処理装置による清掃時期の予測に用いる汚損の経時変化を示したグラフ図
【図10】図5の無線端末の処理動作を示したフローチャート
【図11】図6の読出装置の処理動作を示したフローチャート
【図12】図7の診断処理装置の処理動作を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明により診断する照明灯具を含む各種のトンネル用設備の設置状態を示した説明図である。図1において、トンネル10内には蒲鉾状のトンネル壁面11により覆われた道路12が設けられており、この例にあっては、道路12は1方向2車線としている。
【0030】
道路12の左側のトンネル壁面11に沿っては監視員通路14が設けられており、監視員通路14から操作可能となるトンネル壁面11の位置に消火栓装置16及び自動弁装置18を設けている。
【0031】
消火栓装置16はトンネル長手方向の50mおきに設置されている。自動弁装置18はトンネル壁面11の上部に設置された噴霧配管22から取り出された水噴霧ヘッド20に対し加圧消火用水を供給する装置であり、トンネル長手方向の50mを放水区画として、放水区画ごとに自動弁装置18が設置されている。
【0032】
またトンネル壁面11の天井側の両側にはトンネル長手方向に沿って照明灯具24が一定間隔で配置されており、照明灯具24に対しては、その上側に配線しているケーブルが分岐接続されて照明電源を供給している。
【0033】
本発明による照明灯具診断システムにあっては、トンネル10内に設置された照明灯具24から診断に必要な照度などの情報を無線方式で得るため、後の説明で明らかにするように、照明灯具24のそれぞれにアクティブタグとして知られた無線端末を設けており、トンネル10内の道路12をアクティブタグに対しリーダとして知られた読出装置を搭載して走行することで、照明灯具24の診断に必要な診断情報を収集可能としている。
【0034】
図2は図1のトンネル壁面に設置した照明灯具から診断情報を収集して処理する本発明の実施形態を示した説明図であり、図2(A)にトンネル縦方向の断面を示し、図2(B)にトンネル内の照明灯具から収集した診断情報を処理する診断処理装置を示している。
【0035】
図2(A)において、図1に示したようにトンネル10の天井側の長手方向に道路に沿って設置された照明灯具24には、照明電源を所定電圧、例えばDC3ボルトに変換した電源供給により動作するアクティブタグとして知られた無線端末26が設けられている。無線端末26は後の説明で明らかにするように、照明灯具24に設けている光源の照度とカバーガラスの汚損度合を示す照度を診断情報として検出保持している。
【0036】
無線端末26に検出保持された診断情報の収集は、トンネル10内の道路12を、読出装置30を搭載した点検車両28を走行して収集することができる。点検車両28に搭載した読出装置30はメモリスティックなどの着脱自在な可搬媒体32をセットしており、読出操作を行うと定期的に読出要求電文を無線送信する。
【0037】
読出装置30から送信された読出要求電文は、受信可能エリアに存在する照明灯具24に設けている無線端末26で受信される。受信端末26は常時キャリアセンスを行っており、読出装置30からの読出要求電文をキャリアセンスすると、そのとき検出保持している光源照度やカバーガラスの汚れを示す照度を始めとする診断情報の応答電文を無線送信する。
【0038】
本実施形態の照明灯具24に設けた無線端末26及び点検車両28に搭載された読出装置30の通信にあっては、日本国内の場合については例えば900MHz帯の移動体識別用の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−90(小電力移動体識別用無線局の無線設備標準規格)に準拠した構成を備えており、移動通信距離は約100mとなる。
【0039】
ここで照明灯具24の設置間隔を5メートルし、点検車両28がトンネル内を最高制限速度、例えば80Km/hで走行したとすると、隣接した照明灯具の間の通過時間は約225ミリ秒であり、その間に通信可能となった手前の照明灯具の無線端末との通信を終了すればよく、これによって走行しながら順次照明灯具の無線端末から診断情報を収集可能となる。
【0040】
読出装置30を搭載した点検車両28は、予め定めた日数ごと例えば1週間に1回あるいは月に1回、対象とするトンネルを走行することにより、読出装置30の可搬記憶媒体32に無線端末26から読み出した診断情報を記憶して収集する。
【0041】
点検車両28の走行で読出装置30の可搬記憶媒体32に保存された収集情報は、図2(B)に示すように、パーソナルコンピュータなどを用いた診断処理装置34に可搬記憶媒体32を接続し、この状態で診断処理を実行して、可搬記憶媒体32に保存している収集した照明灯具の診断情報を読み込み、照明光源の照度の経時的な変化から照明光源の交換時期を予測する。また照明灯具24のカバーガラスの汚損度合を示す照度の径時変化から照明灯具24の清掃時期を予測する。
【0042】
図3は図1のトンネルに設けた照明灯具を取り出してその実施形態を示した説明図であり、図3(A)に断面図を、図3(B)に下側から見た平面図を示している。
【0043】
図3(A)において、照明灯具24は下側に開口した箱型の筐体36を内部に駆動部42を持つ照明光源40を照明している。照明光源40としては一般に高圧ナトリウムランプを使用しているが、本実施形態にあっては耐久寿命の長いLEDを照明光源40に使用した場合を例に取っている。本実施形態にあっては図3(B)に示すように、駆動源42に対し2本の照明光源40を装着している。
【0044】
筐体36の下側の開口部にはカバーガラス38が着脱自在に配置されている。カバーガラス38は筐体36の開口縁部に設けた4箇所の止め具44により支持されている。照明光源40を交換する際には、止め具44を開いてカバーガラス38を外すことにより、筐体36の下側を開口して内部の照明光源40を交換できる。
【0045】
筐体36の右側には横から見て三角形に屈曲されたセンサ取付部50が設けられ、センサ取付部50の上面側に第1のセンサとなる光源用照度センサ46を設け、下面側に第2の照度センサとなる汚損用照度センサ48を設けている。
【0046】
また筐体36の左側には端末取付部52によって無線端末26が取り付けられている。無線端末26は、内蔵したアンテナの放射面を下側のガラスカバー38に向けるように取り付けられている。
【0047】
図4は図3の照明灯具に内蔵した照度センサによる光源照度検出とカバーガラス汚損検出を示した説明図である。図4において、センサ取付部50の上側に設けた光源用照度センサ46に対しては、照明光源40からの光が矢印で示すように直接入射しており、照明光源の光強度に応じた照度検出信号を得ることができる。
【0048】
センサ取付部50の下側に配置した汚損用照度センサ48は、照明光源40からの光を直接受けることのない位置に配置されており、カバーガラス38に向けて配置することで、照明光源40から出てカバーガラス38の表面で反射した光を受光するようにしている。
【0049】
カバーガラス38の面で反射して汚損用照度センサ48に入射する光の強さは、カバーガラス38の汚損度合が大きくなるほど反射光量が強くなる関係にある。このため汚損用照度センサ48は、カバーガラス38の汚損度合に応じて増加する反射光による照度検出信号を得ることができる。
【0050】
図5は図2(A)の照明灯具に設けた無線端末の実施形態を示したブロック図である。図5において、アクティブタグとして知られた無線端末26はプロセッサ54を有し、プロセッサ54に対しては無線通信部56、センサ部58、メモリ60及び電源部62を設けている。
【0051】
無線通信部56には送信回路64と受信回路66が設けられ、予め定めた割当チャネルによる900MHz帯の電波を用いた無線信号の送受信を行うようにしている。即ち受信回路66は、点検車両に搭載した読出装置からの読出要求電文の送信に伴う電波のキャリアセンスを行っており、キャリアセンスが得られると電文を受信復調し、復調データをプロセッサ54に出力する。
【0052】
この読出装置からの読出要求電文の解読結果に基づき、プロセッサ54は、そのときメモリ60に保持している照度などの収集情報を含む応答電文データを出力してくることから、これを送信回路64で変調してアンテナから応答送信する。
【0053】
センサ部58には図3に示した照明灯具24に設けた光源用照度センサ46及び汚損用照度センサ48が設けられ、更に照明光源としてLEDを使用した場合には筐体内の温度を検出する温度センサ68を設けている。
【0054】
メモリ60には無線端末26に割り当てられた固有の識別情報である送信元ID70、各種のセンサからの検出情報を検出保持した際に付加される時刻情報72、光源用照度センサ46で検出した検出光源照度74、汚損用照度センサ48で検出した検出反射照度76、温度センサ68で検出した検出温度78が記憶されている。実際の記憶形態は、時刻情報72、検出光源照度74、検出反射照度76及び検出温度78を含むレコード形式で時刻順に複数データ記憶している。
【0055】
プロセッサ54はプログラムの実行により実現される制御部80としての機能を持ち、制御部80の機能はセンサ処理部80a、受信処理部80b、送信処理部80c及び点検処理部80dに分けられている。
【0056】
センサ処理部80aは予め定めた周期で、センサ部58の光源用照度センサ46、汚損用照度センサ48及び温度センサ68からの検出信号をAD変換ポートから読み込んで、そのときの時刻を示す時刻情報を付加して、メモリ60に1レコードとして記憶する。メモリ60に対するセンサ情報を含む1レコードの記憶は例えば1日1回であり、点検車両による診断情報の収集を月1回とすると、例えば30日分のレコードを記憶することができる。
【0057】
受信処理部80bは無線通信部56の受信回路66で受信復調された電文を解読し、読出要求電文であった場合には送信処理部80cを起動して収集データの応答送信を行わせる。送信処理部80cは受信処理部84から読出要求電文受信通知を受けたときに動作し、このときメモリ60に保存している時刻情報72、検出光源照度74、検出反射照度76及び検出温度78からなる保存している複数レコードに送信元ID70を加えた収集情報を作成し、これを無線通信部56の送信回路64に出力し、媒体周波数に変調してアンテナから送信する。
【0058】
点検処理部80dは、予め定めた一定周期ごとにセンサ部58に設ける各種センサ、図3に示した照明光源40の駆動源42をはじめとする照明灯具に内蔵した機器の自動点検を実行しており、自動点検により異常を判別した場合には、メモリ60に障害情報を、そのときの時刻情報と組み合わせたレコードとして記憶保持する。
【0059】
この照明灯具における障害情報も読出装置30による診断情報収集の際に読み出され、診断処理装置34の診断処理において照明灯具における障害内容を警告表示し、速やかに障害を解消するための対応を可能とする。
【0060】
電源部62は照明灯具に供給されている照明電源から、例えば無線端末26に必要な電源電圧3ボルトに変換したDC電圧を各回路部に供給して動作させる。
【0061】
図6は図2(A)の点検車両に搭載した読出装置の実施形態を示したブロック図である。図6において、読出装置30はプロセッサ82を有し、プロセッサ82に対し無線通信部84、操作部86、報知部88、メモリ90及びメモリスティックなどを用いた着脱自在な可搬記憶媒体32、更に電源部98を設けている。
【0062】
無線通信部84には送信回路92と受信回路94が設けられる。操作部86には、照明灯具に設けた無線端末26から収集情報の読出しを行うための読出指示の開始と読出指示の終了を行う操作スイッチなどが設けられている。報知部88には表示部とスピーカなどが設けられる。照明灯具の無線端末26に対する読出要求電文の送信で応答電文を受信すると、応答電文の受信を示すチャイム音などの報知音を出すようにしている。このような報知音と出力により点検車両の作業員は診断情報の収集が行われていることを知ることができる。
【0063】
メモリ90には送信元ID96が記憶されており、またプロセッサ82の制御処理に必要な各種の情報が記憶されている。可変記憶媒体32は例えばUSBポートに接続されるメモリスティックであり、照明灯具からの応答電文で取得した収集データをレコード単位に記憶する。この可搬記憶媒体32に格納する収集データのレコード形式は、照明灯具を示す送信元IDをインデックスとして、時刻情報、検出光源照度、検出反射照度及び検出温度を含む情報となる。
【0064】
電源部98は読出装置30を携帯型とした場合には電池電源を使用する。また点検車両に搭載して使用されることから、車両のバッテリー電源による電源供給を受けて動作することも可能である。
【0065】
図7は図2(B)の診断処理装置の実施形態を示したブロック図であり、実際にはパーソナルコンピュータなどを使用する。図7において、診断処理装置34はプロセッサ106を備え、プロセッサ106に対しては表示部108、操作部110、通信制御部112、メモリ114、接続アダプタ116を設けている。
【0066】
表示部108は、図2(B)に示したように、パーソナルコンピュータのディスプレイである。また操作部110は、図2(B)に示したパーソナルコンピュータのキーボードあるいは画面上のマウス操作により製作されるカーソルマークなどである。通信制御部112は外部のネットワークとの間で通信を行う。
【0067】
メモリ114には診断処理装置34による処理結果として得られた光源交換スケジュール124や清掃スケジュール126などの管理情報が記憶される。接続アダプタ116に対しては、図6に示した点検車両に搭載した読出装置30で照明灯具から収集した診断情報を記憶している可搬記憶媒体32が接続される。
【0068】
プロセッサ106には、収集情報読込部118、交換予定作成部120及び清掃予定作成部122が設けられている。収集情報読込部118は、車両に搭載した読出装置の可搬記憶媒体32の接続アダプタ116に挿入接続した状態で操作部110による読込操作を受けて、可搬記憶媒体32に記憶している照明灯具からの収集データを読み込んでメモリ114上に保持する。
【0069】
交換予定作成部120は、可搬記憶媒体32から読み込んだ時刻情報と検出光源照度を含む収集情報を対象に、送信元IDで特定される無線端末26を設けた照明灯具ごとの時刻情報に従った検出光源照度の経時変化に基づき、予め定めた閾値照度に到達するまでの寿命時間を予測演算で求める。
【0070】
このような照明光源の照度が閾値照度に低下するまでの寿命時間は、送信元IDで特定される各照明灯具毎に求めた後、平均寿命時間を算出し、算出した平均寿命時間に1以下の値となる所定の安全係数、例えば0.9を乗算して寿命時間を求め、これを現在年月日に加えることで、照明光源交換時期を予測することができる。
【0071】
ここで照明光源の交換予定作成部120による処理にあっては、照明光源としてLED光源を使用していた場合には、可搬記憶媒体32から読み込んだ照明灯具の温度情報に依存した寿命時間の予測演算を行う。即ち、照明灯具の温度が高いほどLED光源の場合には寿命時間が短くなる関係にあることから、例えば処理対象とする全ての照明灯具の検出温度の平均温度を求め、この平均温度に基づく寿命時間の予測演算を行う。
【0072】
清掃予定作成部122は、可搬記憶媒体32からメモリ114に読み込んだ時刻情報と検出反射照度を対象に清掃予定時期を作成する。清掃予定作成部122は、まず送信元IDで特定される照明灯具ごとに得られた検出反射照度の経時変化から、予め定めた閾値照度に増加するまでの清掃不要時間を予測し、全ての照明灯具について清掃不要時間が予測できたならば、その平均時間を求める。
【0073】
この場合についても、1以下の安全係数、例えば0.9を平均清掃不要時間に掛け合わせた時間を最終的な清掃不要時間とする。このようにして清掃不要時間が算出できたならば、これを現在時刻に加えることで清掃予定日時を作成することができる。
【0074】
なお、交換予定作成部120及び清掃予定作成部122の処理にあっては、送信元IDで特定される照明灯具ごとに交換時間、清掃不要時間が算出された場合、予測時間が例えば数日といったように極端に短い照明灯具については平均計算から除外し、個別的に照明光源交換の必要性及び清掃の必要性を警告的に表示することが望ましい。
【0075】
図8は図7の診断処理装置による光源交換時期の予測に用いる照度の経時変化を示したグラフ図である。図8(A)は、ある照明灯具について最初の読出で収集された照度をP点にプロットしている。この場合には経時的な照度データは得られていないことから、P点の検出照度を起点に設計上決められた照度の低下特性例えば直線特性を設定する。この場合、照明光源としてLED光源を例に取っていることから、検出温度に基づき検出温度に対応した特性に直線を設定して寿命時間を予測する。
【0076】
図8(A)にあっては、検出温度が10℃、20℃、30℃の場合について、設計データから得られた照度特性を示しており、検出温度が高いほど照度の低下が大きくなっている。即ち、検証温度が30℃の場合には寿命時間はD1と一番短く、20℃ではD2となり、10℃では最も長いD3となっている。
【0077】
図8(B)は例えば月に1回といった点検車両による照明灯具からの診断情報の収集が何回か繰り返された場合であり、検出照度を結んだ直線から、P点を起点に破線で示すように将来の照度変化を予測することができる。この予測は、隣接する2点を結ぶ直線の傾きの平均値による直線予測であっても良いし、現時点を含む複数の検出点に基づく多次関数による予測などを行う。なお本実施形態で予測している照度については、それほど急激な変化はないことから、2次関数近似程度までで十分である。このように照明光源の径時変化に対するデータが蓄積されるほど、より正確な寿命時間D4の予測が可能となる。
【0078】
図8に示した照明光源の寿命時間の予測は送信元IDで特定される照明灯具毎に行われるものであるが、照明光源の交換はトンネル単位で行うことから、トンネルに設置指定る全ての照明灯具について寿命時間の予測を行い、その平均時間に所定の安全係数を乗じた時間が、そのトンネルにおける照明光源の交換時期の予測に用いられる。
【0079】
図9は図7の診断処理装置による清掃時期の予測に用いる汚損の経時変化を示したグラフ図である。図9において、照明灯具の読出により収集された汚損反射照度は、日数の増加に伴い点線を結んだ実線で示すように徐々に増加する傾向を持つ。したがって、複数の汚損反射照度が得られた時点で、直線近似値あるいは多次関数近似により、破線で示すように所定の閾値照度Lth2に増加するまでの清掃不要時間D5を求める。
【0080】
この清掃不要時間D5の予測は送信元IDで特定される照明灯具ごとの時間であることから、1つのトンネルに設置されている全て照明灯具につき、同様にして清掃不要時間を求め、その平均時間に所定の安全係数を乗じた時間を最終的な清掃不要時間として求め、清掃予定時期を予測することになる。
【0081】
図10は図5の無線端末の処理動作を示したフローチャートであり、図5のプロセッサ54による制御処理となる。図10において、無線端末26の電源を投入すると、ステップS1で初期化及び自己診断を実行し、異常がなければ、ステップS2に進み、センサ読込タイミングの有無を判別する。
【0082】
所定周期で定められたセンサ読込タイミングを判別すると、ステップS3に進み、センサ部58に設けている光源用照度センサ46、汚損用照度センサ48及び温度センサ68のそれぞれから出力されている検出信号をAD変換して読み込み、そのときの時刻情報と共に記憶する。即ち図5のメモリ60に示すように、時刻情報72、検出光源照度74、検出反射照度76及び検出温度78からなるレコードを作成して記憶する。
【0083】
続いてステップS4で定期的に設定される点検タイミングか否か判別しており、点検タイミングを判別すると、ステップS5に進み、センサ部58や照明駆動部などの照明灯具に設けられている各種機器の点検を実行する。この点検について、ステップS6で異常ありが判別されると、ステップS7に進み、障害情報を生成して時刻情報と共にメモリ60に記憶する。
【0084】
続いてステップS8で外部からの読出要求電文受信の有無を判別しており、読出要求電文受信を判別すると、ステップS9に進み、そのときメモリ60に記憶している検出情報から収集情報を作成し、ステップS10で収集情報の応答電文を無線通信部56から送信する。
【0085】
図11は図6の読出装置の処理動作を示したフローチャートであり、プロセッサ82の処理動作となる。図9において、読出装置30の電源を投入すると、ステップS11で初期化及び自己診断を実行した後、異常がなければ、ステップS12に進み、読出開始指示の有無を判別する。
【0086】
読出開始指示は、読出装置30を搭載してトンネルに向かって走行している点検車両の担当者がトンネルに近付いた段階で読出操作を行うと、ステップS12で読出開始指示ありが判別され、ステップS13で読出要求電文を周期的に送信する動作を開始する。このような読出要求電文が周期的に送信されることで、点検車両がトンネルに進入すると、読出要求電文の送信に伴う電波のキャリアセンスにより、照明灯具に設けている無線端末26が応答して、収集情報を含む応答電文を送り返す。
【0087】
このためステップS14にあっては応答電文受信の有無を判別しており、応答電文受信を判別すると、ステップS15に進み、電文を解析して送信元IDと収集情報を取得し、送信元IDをインデックスとして受信した収集情報を保存する。
【0088】
ステップS14〜S16の処理は、ステップS17で読出終了指示ありが判別されるまで繰り返される。即ち、点検車両がトンネルを通り過ぎると担当者が読出終了操作を行うことから、これがステップS17で判別され、ステップS18で読出要求電文の送信停止を行う。
【0089】
なお図9における診断情報読出処理にあっては、診断情報を収集するトンネルが走行予定区間に複数存在する場合には、読出開始操作に先立ってトンネルを特定するトンネルIDを設定し、トンネルIDごとに複数の照明灯具の送信元IDで特定される収集情報を取得して記憶することになる。この場合のトンネルIDについては、読出装置側で設定するようにしても良いし、予め無線端末26側のメモリにトンネルIDとして記憶しておき、読出要求に対する応答電文に含めてトンネルIDを取得できるようにしてもよい。
【0090】
図12は図7の診断処理装置の処理動作を示したフローチャートであり、プロセッサ106による処理動作となる。図12において、診断処理装置34の電源を投入すると、ステップS21で初期化及び自己診断が行われ、異常がなければ、ステップS22に進み、記憶媒体の接続の有無を判別する。
【0091】
診断情報管理処理を実行する際には、点検車両の走行で取得した収集情報を格納した可搬記憶媒体32を図7に示すように接続アダプタ116に接続した状態としており、これによって記憶媒体の接続ありが判別され、ステップS23に進み、可搬記憶媒体32から収集した診断情報を読み込んで、例えばハードディスク上に準備したデータベースに保存する。
【0092】
続いてステップS24でトンネルIDと照明灯具ID(初期値)を設定する。続いてステップS25で、トンネルIDで特定されるデータベースの領域を対象に照明灯具IDによりデータベースから時刻情報と検出光源照度を含む照度データを読み出し、ステップS26で図8(B)に示したように閾値照度Lth1に低下するまでの寿命時間を予測して保持する。
【0093】
続いてステップS27ですべての照明灯具IDの処理済か否か判別し、未処理の場合にはステップS28で照明灯具IDを更新して、ステップS24からの処理を繰り返す。ステップS27ですべての照明灯具IDの処理済が判別されると、ステップS29で平均寿命時間を算出し、続いてステップS30で所定の安全係数をかけて交換寿命時間を決定し、ステップS31で現在の日時にステップS30で算出した交換寿命時間を加えて光源交換予定日を決定する。
【0094】
続いてステップS32でトンネルIDと照明灯具IDを設定した後、ステップS33で照明灯具IDによりデータベースから時刻情報と検出反射照度を含む汚損反射照度データを読み出し、ステップS34で図9に示したように閾値Lth2に増加するまでの清掃不要時間を予測して保持する。続いてステップS35ですべての照明灯具IDが処理済か否か判別し、未処理であればステップS36で照明灯具IDを更新し、ステップS32からの処理を繰り返す。
【0095】
ステップS35ですべての照明灯具IDの処理済を判別すると、ステップS37で平均清掃不要時間を算出した後、ステップS38で安全係数をかけて清掃不要時間を決定し、ステップS39で現在日時に清掃不要時間を加えることで清掃予定日を決定する。
【0096】
なお、上記の実施形態はトンネルに設置された照明灯具を例に取るものであったが、本発明はこれ以外に、道路に沿って設置され夜間に点灯される道路灯についても同様に、道路灯に図3のトンネルの照明灯具24の場合と同様、無線端末26を設けると共に、光源用照度センサ46及び汚損用照度センサ48を設け、更に照明光源40としてLEDを使用している場合には温度センサを設け、図2に示すように、道路に沿って読出装置30を搭載した点検車両28を走行しながら周期的に読出要求電文を送信することで、道路灯に設けている無線端末26から検出光源照度、検出反射照度、検出温度、更に時刻情報を含む複数レコードの診断情報を収集し、図2(B)に示す診断処理装置34に読出装置30の収集情報を記憶した可搬記憶媒体32を接続して診断処理を実行することで、道路灯の光源交換時期や清掃時期を予測することができる。
【0097】
また、上記の実施形態に示した各機器のプロセッサは、その機能の一部または全部を例えばワイヤロジックなどによる他の手段に代えることができ、プロセッサを含め他の電気的機械的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0098】
また、上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番などはこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入したりすることなどができる。
【0099】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0100】
10:トンネル
11:トンネル壁面
12:道路
14:監視員通路
16:消火栓装置
18,46:自動弁装置
20:水噴霧ヘッド
22:水噴霧配管
24:照明灯具
26:無線端末
28:点検車両
30:読出装置
32:可搬記憶媒体
34:診断処理装置
36:筐体
38:ガラスカバー
40:照明光源
42:駆動部
44:止め具
46:光源用照度センサ
48:汚損用照度センサ
50:センサ取付部
52:端末取付部
54,82,106:プロセッサ
56,84:無線通信部
58:センサ部
60,90,114:メモリ
62:電源部
64,92:送信回路
66,94;受信回路
68:温度センサ
70,96:送信元ID
72:時刻情報
74:光源検出照度
76:反射検出強度
78:検出温度
80:制御部
80a:センサ処理部
80b:受信処理部
80c:送信処理部
80d:点検処理部
86,110:操作部
88:報知部
100:読出送信部
102:読出受信部
108:表示部
112:通信制御部
116:接続アダプタ
118:収集情報読込部
120:交換予定作成部
122:清掃予定作成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル又は道路に設置された照明灯具を診断する照明灯具診断システムに於いて、
前記照明灯具に組み込まれ、照明光源の照度を検出して保持し、外部からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を始めとする診断情報の応答電文を送信する無線端末と、
前記無線端末が組込まれた照明灯具が設置された道路を走行する車両に搭載され、読出要求電文を連続的に送信することにより前記無線端末から診断情報の応答電文を受信して照明灯具の診断情報を収集する無線読出装置と、
前記無線読出装置により収集した照明灯具の診断情報に基づき照明灯具の管理情報を生成して出力する診断処理装置と、
を備えたことを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末は、
前記無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、前記照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、前記無線通信部により前記無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を含む診断情報の応答電文を作成して前記無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備えたことを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項3】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末の第2の照度センサは、前記照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光された前記カバーガラスに相対する位置に配置され、前記カバーガラスによる照明光の反射光を検出することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項4】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、前記読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項5】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末は、前記照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備えたことを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項6】
請求項2記載の照明灯具診断システムに於いて、前記診断処理装置は、前記第1の照度センサによる照明光源の照度情報から照明光源の交換予定を生成することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項7】
請求項2記載の照明灯具診断システムに於いて、前記診断処理装置は、前記第2の照度センサによるカバーガラスの反射情報から照明灯具の清掃予定を生成することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項8】
請求項2記載の照明灯具診断システムに於いて、
前記照明光源はLED光源であり、
前記診断処理装置は、時刻情報に対応した前記第1の照度センサで検出した前記LED光源の照度情報、温度センサで検出した照明灯具内の温度情報から前記LED光源の劣化を予測して残り寿命時間を推定することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項9】
トンネル又は道路に設置される照明灯具に於いて、
照明光源の照度を検出して保持し、外部の無線読出装置からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を含む応答電文を送信する無線端末を備えたことを特徴とする照明灯具。
【請求項10】
請求項9記載の照明灯具に於いて、前記無線端末は、
前記無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、前記照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、前記無線通信部により前記無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を始めとする診断情報の応答電文を作成して前記無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備えたことを特徴とする照明灯具。
【請求項11】
請求項10記載の照明灯具に於いて、前記無線端末の第2の照度センサは、前記照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光された前記カバーガラスに相対する位置に配置され、前記カバーガラスによる照明光の反射光を検出することを特徴とする照明灯具。
【請求項12】
請求項10記載の照明灯具に於いて、前記無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、前記読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信することを特徴とする照明灯具。
【請求項13】
請求項9記載の照明灯具に於いて、前記無線端末は、前記照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備えたことを特徴とする照明灯具。
【請求項1】
トンネル又は道路に設置された照明灯具を診断する照明灯具診断システムに於いて、
前記照明灯具に組み込まれ、照明光源の照度を検出して保持し、外部からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を始めとする診断情報の応答電文を送信する無線端末と、
前記無線端末が組込まれた照明灯具が設置された道路を走行する車両に搭載され、読出要求電文を連続的に送信することにより前記無線端末から診断情報の応答電文を受信して照明灯具の診断情報を収集する無線読出装置と、
前記無線読出装置により収集した照明灯具の診断情報に基づき照明灯具の管理情報を生成して出力する診断処理装置と、
を備えたことを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末は、
前記無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、前記照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、前記無線通信部により前記無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を含む診断情報の応答電文を作成して前記無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備えたことを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項3】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末の第2の照度センサは、前記照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光された前記カバーガラスに相対する位置に配置され、前記カバーガラスによる照明光の反射光を検出することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項4】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、前記読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項5】
請求項1記載の照明灯具診断システムに於いて、前記無線端末は、前記照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備えたことを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項6】
請求項2記載の照明灯具診断システムに於いて、前記診断処理装置は、前記第1の照度センサによる照明光源の照度情報から照明光源の交換予定を生成することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項7】
請求項2記載の照明灯具診断システムに於いて、前記診断処理装置は、前記第2の照度センサによるカバーガラスの反射情報から照明灯具の清掃予定を生成することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項8】
請求項2記載の照明灯具診断システムに於いて、
前記照明光源はLED光源であり、
前記診断処理装置は、時刻情報に対応した前記第1の照度センサで検出した前記LED光源の照度情報、温度センサで検出した照明灯具内の温度情報から前記LED光源の劣化を予測して残り寿命時間を推定することを特徴とする照明灯具診断システム。
【請求項9】
トンネル又は道路に設置される照明灯具に於いて、
照明光源の照度を検出して保持し、外部の無線読出装置からの読出要求電文を受信した場合に照明灯具識別情報及び検出照度を含む応答電文を送信する無線端末を備えたことを特徴とする照明灯具。
【請求項10】
請求項9記載の照明灯具に於いて、前記無線端末は、
前記無線読出装置との間で電文を送受信する無線通信部と、
照明光源からの照明光を直接受ける位置に配置され、前記照明光源の照度を検出する第1の照度センサと、
照明灯具の開口部に配置されたカバーガラスの汚損度合に応じた照度を検出する第2の照度センサと、
照明灯具内の温度を検出する温度センサと、
前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報を読み込んで時刻情報と共に保持し、前記無線通信部により前記無線読出装置から読出要求電文を受信した場合、前記第1の照度センサ、第2の照度センサ及び温度センサの検出情報、時刻情報及び照明灯具識別情報を始めとする診断情報の応答電文を作成して前記無線通信部から応答送信させる制御部と、
を備えたことを特徴とする照明灯具。
【請求項11】
請求項10記載の照明灯具に於いて、前記無線端末の第2の照度センサは、前記照明灯具内の前記照明光源からの光が遮光された前記カバーガラスに相対する位置に配置され、前記カバーガラスによる照明光の反射光を検出することを特徴とする照明灯具。
【請求項12】
請求項10記載の照明灯具に於いて、前記無線端末の制御部は、照明灯具に設けられた各種機器の状態を自動点検しており、機器故障を判定した場合、前記読出装置からの読出要求電文に対し、機器故障情報を含む診断情報の応答電文を送信することを特徴とする照明灯具。
【請求項13】
請求項9記載の照明灯具に於いて、前記無線端末は、前記照明灯具に供給されている照明電源を所定電圧の端末電源に変換する電源部を備えたことを特徴とする照明灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−150895(P2012−150895A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6665(P2011−6665)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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