説明

照明用ガラス組成物、およびそれを用いた管ガラス、蛍光灯用バルブ、ステム管、白熱球用バルブ

【課題】溶融炉の耐火物の浸食を抑制できるとともに、優れた加工性を有する照明用ガラス組成物、およびそれを用いた照明用管ガラス、蛍光灯用バルブ、ステム管、白熱球用バルブを提供する。
【解決手段】本発明の照明用ガラス組成物は、質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有することを特徴とし、本発明の照明用管ガラス、蛍光灯用バルブ、ステム管および白熱球用バルブは、前記照明用ガラス組成物からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス溶融時に耐火物を浸食しにくく、ガラス製品の生産性が優れ、熱加工性にも優れる照明用ガラス組成物およびそれを用いた管ガラス、蛍光灯用バルブ、ステム管、白熱球用バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハウス球電球や蛍光灯に代表される照明用ガラスは、重油やガスによる燃焼熱やジュール熱を用いてガラス原料を溶融するタンク炉と呼ばれる耐火物製の溶解炉で溶融され、連続してガラス原料バッチを投入するとともに、連続的に溶融ガラスを引き出して所望の外径と肉厚を有する管ガラスにまず成形される。その後、所定の寸法に切断され、様々な形状に加工される。
【0003】
近年、省エネルギーの観点から蛍光ランプに使用される管ガラスの管径はより細くなってきた。この管ガラスから、電球のバルブや、棒状、環状、らせん状、U字に折りたたまれた形状または並列に複数本連結させた形状の蛍光灯のバルブが熱加工することによって作製されている。
【0004】
らせん状やU字に折りたたまれた形状など複雑な形状に加工しやすくするために、かつてはPbOを含有するガラスが使用されていた(例えば、特許文献1参照。)が、環境上の問題からPbOの替わりにBaOやSrOを必須としたアルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrOおよびBaO)やアルカリ金属酸化物(Li2O、Na2OおよびK2O)を組み合わせて添加することによって加工性を高めたガラス組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
ところで、蛍光灯バルブなどの照明用ガラスの溶融炉には溶融ガラスと直接接する耐火物として電鋳アルミナ・ジルコニア・シリカ耐火物(以下、AZS耐火物と称す)や電鋳アルミナ耐火物等が使用されている。AZS耐火物は、比較的温度の高いガラス溶融槽に、電鋳アルミナ耐火物は、比較的温度の低い清澄槽からガラス成形工程までの部分や管ガラスに成型するための耐火物製の冶具(例えばダンナースリーブ、マンドレル、オリフィス等)に使用されている。
【0006】
BaOやSrOは、加工性を高める成分であるが耐火物を浸食しやすい成分でもあるため、これまで、アルカリ土類金属酸化物の添加割合を検討するなどして耐火物の浸食を抑制する試みがなされてきた(例えば、特許文献3参照。)。しかし、充分な効果が得られていなかった。
【特許文献1】特開平8−295531号公報
【特許文献2】特開平6−206737号公報
【特許文献3】特開平10−324540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
耐火物が浸食されやすいと、溶融炉の寿命が短くなるとともに、浸食を受けた耐火物から溶出した耐火物成分を部分的に多く含む異質ガラスによって筋状の脈理が生成したり、溶解した耐火物成分と溶融ガラスを構成する一部の成分とが反応して生成する異物が晶出したりする。そのため、生産時にガラスが破損したり、寸法精度が低くなったりして生産性が高くなりにくいという問題も有していた。
【0008】
ところで、近年、生産性の向上の試みが、ガラスを成形工程においてもランプへの加工工程でもなされている。ガラスの成形工程では、溶融ガラスの流量を多くして単位時間あたりの生産量を多くしようという試みがなされている。この結果、耐火物の浸食が促進されて溶融炉の寿命が短くなるとともに、耐火物成分の溶出量が高くなっている。
【0009】
しかも、溶融ガラスの流量を高めるだけでは、溶融ガラスの温度を成形に適した温度まで冷却しにくいため、所望の形状に成形しにくい。そのため、引き出す溶融ガラス自体の温度を下げて操業しなければならず、失透が発生しやすく、生産性の向上を図る上での障害となっている。
【0010】
また、管ガラスからランプを加工する工程では、同様に単位時間あたりの加工量を増す試みがなされている。加工工程では、多段階でバーナーや電気ヒーターを用いて管ガラスを加熱しながら加工に適した粘度に調整し、曲げ、プレス、エアーブローなどを行ない、複雑な形状のバルブが作製される。加工量が増加すると管ガラスの加熱時間が短くなり、急峻な加熱調整が必要となり、その結果、管ガラスの温度のバラツキが大きくなるため、加工に適した粘度範囲からはずれやすく、加工寸法や形状のバラツキが多くなり、ランプの歩留まりが高くなりにくいという問題が生じている。
【0011】
本発明の目的は、溶融炉の耐火物の浸食を抑制してできるとともに、優れた加工性を有する照明用ガラス組成物、およびそれを用いた照明用管ガラス、蛍光灯用バルブ、ステム管、白熱球用バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上記事情を鑑み鋭意検討を行なった結果、P25を添加することによって溶融ガラスと耐火物との反応を弱めて浸食を抑制することができ、また同時にZrO2を添加することによってガラスが加工域での温度変化に対する粘度変化が小さくなり(ロングと称する)加工性が向上することを見出し、本発明として提案するものである。
【0013】
本発明の照明用ガラス組成物は、質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の照明用管ガラスは、質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有する照明用ガラス組成物からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の蛍光灯用バルブは、質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有する照明用ガラス組成物からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のステム管は、質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有する照明用ガラス組成物からなることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の白熱球用バルブは、質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有する照明用ガラス組成物からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の照明用ガラス組成物は、0.01〜2%のZrO2を添加するため、軟化点から作業温度(104d・Pasに相当する温度)までの加工温度領域における粘度変化を小さくすることができるため、管ガラスの温度がバラツキに対して粘度のバラツキは小さくなり、所望の形状に熱加工しやすくすることができる。
【0019】
また、0.01〜1%のP25を添加するため、溶融炉の耐火物の浸食を抑制することができる。そのため、溶融炉を長寿命化することができる。
【0020】
また、P25が溶融ガラスと耐火物との反応を抑制されるため耐火物の構成成分が溶融ガラス中に溶出しにくくなり、耐火物構成成分に起因とする脈理の発生が抑制されるとともに、P25自体が失透の発生を抑制する成分であるのため、異物晶出の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで本発明のガラスの組成範囲を限定した理由を説明する。
【0022】
SiO2は、ガラスの骨格を構成する成分であり、50%よりも少ないと化学的耐久性が得られにくく、80%よりも多いと溶融が困難になる傾向がある。好ましい範囲は65〜75%である。
【0023】
Al23は優れた耐候性を与える成分であり、前記の効果を得るためには少なくとも0.01%含有させる必要がある。一方、8%よりも多いと、溶融が困難になる傾向がある。好ましい範囲は、0.5〜5%である。
【0024】
BaOとSrOは優れた熱加工性と電気絶縁性を付与するためにPbOの代替成分として添加される本発明の必須成分であるが、耐火物を浸食しやすい成分でもある。0.1%よりも少ないと上記の効果が得られにくく、15%を超えると失透が発生しやすくなる。好ましい範囲は、0.5〜13%であり、より好ましくは、0.8〜12%である。
【0025】
ZrO2は、加工域での粘度変化を小さくするために0.01%以上含有させる必要があるが、2%を超えると、溶融が困難になる傾向がある。また、ZrO2には耐候性を高める効果も有する。好ましい範囲は、0.05〜1%である。
【0026】
25は、耐火物の浸食や耐火物と反応を抑制しするとともに、失透を抑制する効果を有するため必須の成分として使用される。その含有量が0.01%未満では、上記した効果が得られにくく、また1.0%を超えるとガラスの分相を引き起こす傾向がある。好ましい範囲は0.05〜0.7%である。
【0027】
上記の成分以外にも種々の成分を添加することが可能である。
【0028】
CaO、MgO、SrO、BaOといったアルカリ土類金属酸化物やZnOは、商業生産の点からガラスの溶融性を増し、耐候性も付与する成分である。これらの成分は、合量で6%未満であると、上記の効果が得られにくく、17%を超えるとガラスが失透しやすくなる。好ましい範囲は、8〜15%である。
【0029】
CaOやMgOは、上記の効果のほかに熱加工性と電気絶縁性を付与する効果を有する。各々8%を超えるとガラスが失透しやすくなり、成形が困難になる。好ましい範囲は各々0〜7%である。
【0030】
BaOは、優れた熱加工性と電気絶縁性を付与する成分であるが、耐火物を浸食しやすく、失透が発生しやすい成分でもある。12%以下であると失透が発生しにくい傾向があるため好ましい。より好ましくは0.5〜9%であり、さらに好ましくは0.8〜8%である。
【0031】
SrOは、BaOと同様に優れた熱加工性と電気絶縁性を付与する成分であるが、耐火物を浸食しやく失透が発生しやすい
成分でもある。10%以下であると失透が発生しにくい傾向がある。好ましくは0.5〜9%であり、より好ましくは0.8〜8%である。
【0032】
ZnOはPbOに類似した熱加工性と電気絶縁性を付与する効果を有する。8%を超えると失透しやすくなる。各々好ましい範囲は、0〜7%である。
【0033】
BaO、SrO、ZnOは、原子半径が大きいため、ガラス中に含まれる原子半径の小さい元素がガラス中で移動することを抑制することができ、分相を防止する効果がある。
【0034】
Li2O、Na2OやK2Oといったアルカリ金属酸化物は溶融性を改善する効果を有する成分であるとともに、ガラスの熱膨張係数を調整する有用な成分である。Li2O、Na2OおよびK2Oの合量が10%より少ないと、溶融性を改善するの効果が得られにくく、20%より多いとアルカリ溶出量が大きくなり、化学的耐久性が悪化する傾向がある。好ましい範囲は、合量で11〜19%である。
【0035】
また、Li2O、Na2O、K2Oのうち2種以上の酸化物を含有させると、アルカリ混合効果と呼ばれる化学耐久性や電気絶縁性が向上するという優れた効果が得られる。その合量で10%より少ないとその効果が得られにくい。
【0036】
Li2Oは、少量の添加で、熱膨張係数を調整したり、粘度を低くしたりする成分であるが、8%より多いとガラスが分相しやすくなる。好ましい範囲は0〜5%である。
【0037】
Na2Oは、18%より多いと、他のアルカリ金属酸化物とともに組み合わせて使用しても、アルカリ混合効果が得られにくく、化学耐久性や電気絶縁性が悪化する傾向がある。好ましい範囲は0〜15%である。
【0038】
2Oは、18%より大きくなると、他のアルカリ金属酸化物とともに組み合わせて使用しても、アルカリ混合効果が得られにくく、化学耐久性や電気絶縁性が悪化する。好ましい範囲は0〜15%である。
【0039】
23は溶融時の低粘度化や耐候性向上に効果があるが、P25とともに添加されると、分相を起こし白濁しやすい傾向があるため、添加量を5%以下とすることが好ましい。好ましい範囲は0〜3%である。
【0040】
PbOは、環境面から使用しないことが好ましい。
【0041】
溶融時の清澄剤としてAs23、Sb23、SnO2、CeO2、SO3、F2、Cl2など、適宜添加が可能である。しかし、As23は環境面から使用しないことが好ましい。またSb23は熱加工をガラスに施すと黒化するので、添加量は1%以下にすることが好ましい。またSb23をCeO2とともに添加すると、蛍光灯用途に使用する場合、紫外線によってガラスが着色するソラリゼーションと呼ばれる現象が起こるため好ましくない。
【0042】
さらに照明用ガラスとして特殊な機能を与える為に例えばガラスを着色する場合、Fe23、Co34、V25、NiO等の種々の着色剤を添加可能であり、透過光の波長を制限場合、TiO2やCeO2等が添加可能である。またTiO2は、化学的耐久性を高める効果を有するが、Fe23も一緒に添加される場合、Fe23による着色を強調させるため、TiO2の含有量またはFe23の含有量が制限される。
【0043】
本発明の照明用ガラスは、商業生産ガラスであるため、Fe23に代表される不純物成分を含有する事が多く、用途によっては得られる特性の観点からその不純物含有量が制限される。
【0044】
本発明の照明用ガラス組成物を用いて、蛍光灯を作製する方法を述べる。
【0045】
まず、上記組成となるように原料を調合した後、溶融炉にてガラスを溶融する。
【0046】
次に、溶融ガラスをダンナー法、ダウンドロー法、アップドロー法等の管引き法を用いて管ガラスを作製する。
【0047】
続いて、管ガラスを所定の寸法に切断し、管ガラスの内面に場合によってはアルミナを主体とする保護膜を塗布した後、蛍光体を塗布し、焼結させて蛍光灯用バルブを作製する。
【0048】
最後に、フィラメント付き電極線や排気管が封入されたステムを溶着し、排気後、水銀やArガス等を封入し、口金を取り付け、蛍光ランプを作製する。環状蛍光灯の場合は、ステムの溶着後、バルブを加熱し、環状にする曲げ加工の工程を付加する。
【0049】
コンパクト蛍光灯の場合は、管ガラスを所定の寸法に切断した後、蛍光体塗布、焼結後、加熱して曲げたり、繋げたりして環形状、U字形状、らせん状、スクリュー形状等のバルブを作製する。
【0050】
続いて、フィラメント付き電極線や排気管を直接バルブの端部に挿入し、電極線や排気管を封着する以外は蛍光ランプと同様に作製する。
【0051】
小型の白熱電球用バルブの場合は、管ガラスの片端を溶封した後、溶封部分を加熱して型の中に挿入してから、ブローマシンを用いて空気を管ガラスに吹き入れ、バルブを成形する。
【0052】
次に、所定の寸法に管ガラスから形成されたバルブ部分を切断してバルブを得た後、ステムを溶封し、排気後、場合によってはArガス等を封入し、白熱電球を作製する。
【0053】
ハウス球のような白熱電球は、ブローイングマシンやISマシンといった装置を用いガラス溶融炉から直接溶融ガラスをバルブ型に入れ、空気を吹き込み、直接電球バルブ形状を形成する。バルブ形成後は、小型の白熱電球と同様の工程を経て白熱電球を製造する。
【0054】
ステムの場合は、管ガラスの型端を加熱してフレアを形成後、管ガラスをフレア状のステムの所定寸法に切断した後、フィラメント付き電極線や排気管を挿入し、挿入部の管ガラスを加熱封着して作製することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明について、本発明者等が実施した実験に基づき、実施例を用いて詳細に説明するが、実施例に限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0056】
表1および2に、試料A〜Fを示す。試料B、C、Fは実施例である。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
表1、2に記載の各試料は以下のようにして作製した。
【0060】
まず、表1、2に記載の各試料の組成になるようにガラス原料をバッチに調合し、ライカイ機と呼ばれる乳鉢式擂り潰し攪拌機で10分間攪拌し、500gの原料バッチを得た。
【0061】
次に、原料バッチを容量300cm3の白金ロジウム合金製の坩堝に入れ、箱型電気炉にて1450〜1500℃4時間の条件で溶融した。なお、溶融開始後30分毎に白金攪拌棒を用いて計3回攪拌を行った。
【0062】
続いて、溶融ガラスをカーボン製の板の上に流し出した後、560℃に保持された箱型カンタル式アニール炉内に入れ、4℃/分の平均冷却速度で徐冷して各ガラス試料を作製した。
【0063】
熱膨張係数は、30〜380℃における平均線熱膨張係数を示すものであり、ディラトメーターを用いて測定した。
【0064】
密度は、アルキメデス法により測定した。
【0065】
歪点、徐冷点、軟化点、作業温度、103dPa・s、102.5dPa・sおよび102dPa・sの粘度を示す温度をそれぞれASTM C 338で規定されるファイバー引っ張り法、及び白金球引き上げ法を用いて求めた。
【0066】
なお、歪点は1014.5dPa・sの粘度を示す温度、徐冷点は1013dPa・sの粘度を示す温度、軟化点は107.6dPa・sの粘度を示す温度、作業温度は104dPa・sの粘度を示す温度である。
【0067】
体積抵抗率は、ASTM C 657に基づき測定し、150℃での抵抗値を対数表示した。
【0068】
アルカリ溶出量は、JIS R 3502に記載の方法に基づいて測定したものである。
【0069】
浸食量は、AZS耐火物と電鋳アルミナ耐火物を用いて以下のようにして評価した。
【0070】
まず、粉砕した各ガラス試料を白金ルツボに充填し、箱型電気炉を用いて溶融した。
【0071】
次に、前記白金ルツボにφ8mmの円柱に加工した耐火物を立てた状態で静かに半分ほど沈め、所定温度で48時間保持した。
【0072】
最後に、耐火物を溶融ガラスから引き揚げ、冷却し、溶融ガラスによって一番浸食されている部分の直径を測定し、浸食量(mm)とした。
【0073】
AZS耐火物は、Al23を約48%含有するサンゴバン・ティーエム社製のSCIMOS CS−3を使用し、1400℃において評価を行なった。
【0074】
また、電鋳アルミナ耐火物は、Al23を約95%含有するサンゴバン・ティーエム株式会社製のSCIMOS Mを使用し、1300℃において評価を行なった。
【0075】
なお、1400℃は溶融炉内での温度を、1300℃は清澄域での温度を想定した温度である。
【0076】
表1、2から明らかなように、試料B、CおよびFは、AZS耐火物においても電鋳アルミナ耐火物においても、浸食量が小さかった。また、作業温度と軟化点の温度差が大きく加工粘度域の温度幅が広かった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の照明用ガラス組成物は、溶融炉の耐火物を浸食しにくいため長期間連続して生産可能であるとともに、耐火物成分が溶出しにくいため異物の晶出等が抑制される。
【0078】
また、加工温度領域が広いため加工不良が発生しにくい。そのため、照明用管ガラス、蛍光灯用バルブ、照明用ステム管、照明用排気管、白熱球用バルブだけでなく、ディスプレイ用排気管、各種排気管等にも使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%換算で、SiO2 50〜80%、Al23 0.01〜8%、BaO+SrO 0.1〜15%、ZrO2 0.01〜2%、P25 0.01〜1%を含有することを特徴とする照明用ガラス組成物。
【請求項2】
MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合量が6〜17%であることを特徴とする請求項1に記載の照明用ガラス組成物。
【請求項3】
MgO 0〜8%、CaO 0〜8%、SrO 0〜10%、BaO 0〜12%、ZnO 0〜8%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明用ガラス組成物。
【請求項4】
Li2O、Na2OおよびK2Oからなる群より選択された二種以上の成分の合量が10〜20%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の照明用ガラス組成物。
【請求項5】
Li2O 0〜8%、Na2O 0〜18%、K2O 0〜18%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明用ガラス組成物。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の照明用ガラス組成物からなることを特徴とする照明用管ガラス。
【請求項7】
請求項1〜5に記載の照明用ガラス組成物からなることを特徴とする蛍光灯用バルブ。
【請求項8】
請求項1〜5に記載の照明用ガラス組成物からなることを特徴とするステム管。
【請求項9】
請求項1〜5に記載の照明用ガラス組成物からなることを特徴とする白熱球用バルブ。

【公開番号】特開2006−321680(P2006−321680A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146179(P2005−146179)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】