説明

照明装置のバルブソケット構造

【課題】バルブの挿入時に、給電端子の接点バネを過大に変形させる心配がなく、スムーズにバルブを装着することのできるバルブソケット構造を提供する。
【解決手段】ハウジング10のソケット穴11の内部に、該ソケット穴へのバルブ100の挿入を案内する筒形のスペーサ50が着脱自在に装着され、該スペーサ50に、バルブのベース部102が給電端子31の一対の接点バネ32間に挿入されてくることで該一対の接点バネ32が外側に押し広げられるときに、接点バネ32の先端32cが当たることで接点バネ32の先端側の過大な変位を規制する規制壁65が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内天井部などに搭載される照明装置のバルブソケット構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の天井部には室内照明装置が装備されており、その一例として、特許文献1に記載のものが知られている。この室内照明装置は、図8に示すように、樹脂製のハウジング210と、点灯・消灯を行う例えばオルタネイト型(1回押すごとにON/OFFが交互に切り替わる型)のプッシュスイッチ214と、回路を構成する図示略のバスバーと、樹脂製の保護カバー215と、光源である白熱バルブ(以下、単にバルブと称する)100とを具備している。
【0003】
ハウジング210の一端側には、上方から斜めにバルブ100を装着するためのソケット穴211が設けられ、他端側にはスイッチ214を装着するためのスイッチ装着部213が設けられている。また、ソケット穴211とスイッチ装着部213との間にはバスバー装着部212が設けられ、そのバスバー装着部212にバスバーの電線圧接部が装着されている。保護カバー215は、バスバーの電線圧接部を保護するためのものであり、電線の圧接後にバスバー装着部212を覆うようにハウジング210に装着固定される。バスバーは、一端にバルブと接続するための給電端子、他端にスイッチに接続するための接続端子、中間部に電線圧接部を有するものである。
【0004】
バルブ100は、ソケット穴211に下端のベース部(図示略)を差し込むことで装着固定され、その状態で、ソケット穴211の内部に装着された給電端子(図示略)とバルブ100のベース部に露出した端子(図示略)が接触導通して、バルブ100への通電が可能となり、バルブ100を点灯できるようになっている。
【0005】
この照明装置を組み立てる場合は、最初に、ハウジング210にバスバーを装着し、次にスイッチ214を組み付け、次にバスバーの電線圧接部に電線を圧接した後、保護カバー215を装着して圧接部を保護する。そして最後に、ハウジング210のソケット穴211にバルブ100のベース部を差し込むと、ソケット穴211の内部に装備された給電端子の接点バネ間にベース部が挟持され、それにより、バルブ100が保持固定されると共に、給電端子とバルブが電気接続される。このソケット穴211に対するバルブ100の挿入の際に、ソケット穴211の周囲に設けられたガイド217がバルブ100の挿入を案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−245795号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来のバルブソケット構造においては、バルブ100をソケット穴211に挿入する際に、バルブ100のベース部によってソケット穴211内の給電端子を無理に変形させてしまう可能性があった。特に斜めにバルブ100を挿入する場合、角度がちょっとでもずれると、挿入しようとするバルブ100のベース部で給電端子を変形させてしまう可能性が高かった。それを防止するためにガイド217を設けているが、それでも、給電端子の接点バネの間にバルブ100のベース部を無理なく挿入するのは難しく、接点バネを過大に変形させてしまいやすかった。接点バネを過大に変形させてしまうと、ベース部に対する接圧が弱くなり、接点不良を生じたり、ベース部を挟持する保持力が弱くなったりする問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バルブの挿入時に、ソケット穴の内部に配された給電端子の接点バネを過大に変形させる心配がなく、スムーズにバルブを装着することができて、接点不良や保持力不足を解消することのできる照明装置のバルブソケット構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る照明装置のバルブソケット構造は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 樹脂製のハウジングに、バルブを装着するためのソケット穴が設けられ、
前記ソケット穴の内部に、前記バルブの電球部の下側に配されたベース部が前記ソケット穴の内部に挿入された際に前記ベース部の端子に接触導通する給電端子が設けられ、
前記給電端子が、前記ベース部が挿入された際に該ベース部の側面を両側から挟持することで前記バルブを保持し且つ前記ベース部の側面に露出した端子に接触導通する一対の互いに対向配置された接点バネを有し、
前記一対の接点バネが、基端を固定され且つ先端を自由端として前記ベース部の挿入されて来る方向に向けて延ばした一対の片持バネ片として形成されると共に、該各接点バネの基端と先端との間に、互いに向かい合う側が凸になっていて前記ベース部の側面に圧接する湾曲部が設けられ、
前記バルブのベース部が前記ソケット穴の内部に挿入されたときに、該ベース部の側面が前記一対の接点バネの湾曲部に摺動することにより、前記一対の接点バネの先端側が外側に押し広げられ、その押し広げられた際の前記一対の接点バネの撓み変形により発生するバネ復元力によって、前記ベース部が前記一対の接点バネ間に挟持される照明装置のバルブソケット構造であって、
前記ソケット穴の内部に、該ソケット穴への前記バルブの挿入を案内する筒形のスペーサが着脱自在に装着され、該スペーサには、前記バルブのベース部が前記一対の接点バネ間に挿入されてくることで該一対の接点バネが外側に押し広げられるときに、該一対の接点バネの先端が当たることで該一対の接点バネの先端側の過大な変位を規制する規制壁が設けられていること。
(2) 上記(1)の構成の照明装置のバルブソケット構造において、
前記スペーサが前記ソケット穴の内部に、前記バルブの挿入方向の手前側の仮係止位置からそれよりも奥側の本係止位置まで、前記バルブの挿入動作と共に押し込み移動可能に装着され、
前記スペーサと前記ハウジングには、前記スペーサを前記仮係止位置に仮係止すると共に前記バルブの挿入動作に伴う所定以上の押し込み力が作用した際に仮係止を解除可能な仮係止手段と、前記仮係止位置から前記スペーサが前記本係止位置まで押し込み移動されたとき、その本係止位置に前記スペーサを本係止する本係止手段とが設けられ、
前記スペーサには、前記規制壁として、
該スペーサが前記仮係止位置にある状態で前記ベース部が前記一対の接点バネ間に挿入されたときに、前記接点バネの先端に当たることで、前記ベース部の挿入動作によって外側に押し広げられる前記一対の接点バネの先端側の過大な変位を阻止する過大変位阻止壁部と、
前記スペーサが前記仮係止位置から前記本係止位置まで押し込み移動される際に、前記接点バネの先端が摺動して乗り上げることにより、該接点バネの先端端を内側に押し戻すと共に、内側に戻した状態で該接点バネの先端の位置を規制することで、該接点バネを、基端と先端の両端が固定された両持バネとして機能させる押し戻し壁部と、
が設けられていること。
(3) 上記(2)の構成の照明装置のバルブソケット構造において、
前記過大変位阻止壁部と前記押し戻し壁部とは、所定の傾斜を有する傾斜壁部によって繋がれていること。
(4) 上記(2)または(3)の構成の照明装置のバルブソケット構造において、
前記接点バネの先端に、前記過大変位阻止壁部から前記押し戻し壁部への前記接点バネの先端の摺動を滑らかにするためのカール部が設けられていること。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの構成の照明装置のバルブソケット構造において、
前記スペーサに、前記バルブの電球部を外周から支持する支持筒体が設けられ、その支持筒体の内部に、前記バルブのベース部を挿入する際に、該ベース部を、挿入するのに伴って前記ソケット穴内の適正位置に誘導する傾斜ガイド壁が設けられていること。
【0010】
上記(1)の構成のバルブソケット構造によれば、ソケット穴に装着したスペーサによってバルブの挿入を案内することができるので、バルブのベース部をスムーズに給電端子の接点バネ間に誘導することができる。また、バルブの挿入時に、スペーサに設けた規制壁によって、接点バネの先端側が過大に変位するのを防止することができる。そのため、不安定な姿勢でバルブのベース部を給電端子の接点バネ間に挿入しようとした場合にも、接点バネの無理な変形を防ぐことができ、バルブのベース部と接点バネとの間に安定した接圧を確保することができる。その結果、バルブと給電端子間の接点不良を防ぐことができて、電気接続の信頼性を高めることができると共に、バルブに対する接点バネによる保持力のアップを図ることができる。また、ハウジングとは別に製作したスペーサをハウジングに装着することによって、接点バネの過大変位を防止するようにしているので、ハウジング自体にそのような給電端子の保護要素を設けなくてよくなり、ハウジングの構成を複雑化しないですむ。また、給電端子をハウジングに装着する際にスペーサが邪魔になることもないので、給電端子の組付性を悪化させる心配もない。
上記(2)の構成のバルブソケット構造によれば、仮係止位置にあるスペーサの上からバルブを挿入し、バルブのベース部を一対の接点バネ間に挿入し始めた段階において、外側に押し広げられる接点バネの先端が規制壁の過大変位阻止壁部に当たることによって、接点バネの先端側の過大な変位を防止することができる。また、その状態からさらにバルブを挿入すると、バルブに押されてスペーサが仮係止位置から本係止位置に移動し、それに伴い接点バネの先端が過大変位阻止壁部から押し戻し壁部に摺動しながら乗り上げて行くが、その際、接点バネの先端が過大変位阻止壁部から押し戻し壁部に乗り上げることによって、接点バネの先端側が内側に押し戻されるので、ベース部に対する接圧が高まる。しかも、このときには、それまで片持バネとして機能していた接点バネが両持バネとして機能することになるので、強いバネ力でもって接点バネをベース部に圧接させることができる。そのため、より一層接触不良防止効果を高めることができると共に、ベース部を挟持する保持力のアップが図れる。
上記(3)の構成のバルブソケット構造によれば、接点バネの先端が、過大変位阻止壁部から傾斜壁部を介して押し戻し壁部にスムーズに乗り上げることができる。従って、接点バネ間へのベース部の挿入に伴うスムーズなバネ力の強化を図ることができる。
上記(4)の構成のバルブソケット構造によれば、接点バネの先端にカール部を設けたので、接点バネの先端を、過大変位阻止壁部から押し戻し壁部までスムーズに乗り上げさせることができる。
上記(5)の構成のバルブソケット構造によれば、スペーサの支持筒体の内部に、バルブのベース部を適正位置に導く傾斜ガイド壁が設けられているので、バルブの装着性を向上させることができ、バルブのベース部を給電端子の接点バネ間にスムーズに挿入することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ソケット穴に装着したスペーサによってバルブの挿入を案内することができ、バルブのベース部をスムーズに給電端子の接点バネ間に誘導することができる。また、バルブの挿入時に、スペーサに設けた規制壁によって、接点バネの先端側が過大に変位するのを防止することができる。そのため、不安定な姿勢でバルブのベース部を給電端子の接点バネ間に挿入しようとした場合にも、接点バネの無理な変形を防ぐことができ、バルブのベース部と接点バネとの間に安定した接圧を確保することができる。その結果、バルブと給電端子間の接点不良を防ぐことができて、電気接続の信頼性を高めることができると共に、バルブに対する接点バネによる保持力のアップを図ることができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態のバルブソケット構造を備えた照明装置の分解斜視図である。
【図2】同照明装置のソケット穴に装着するスペーサの構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のIIb矢視図、(c)は(b)の側面図である。
【図3】(a)〜(c)は同照明装置のソケット穴にバルブを装着するまでの手順を示す斜視図で、(a)はバルブを装着する前のスペーサが仮係止位置にある状態を示す図、(b)はバルブを装着している途中の段階で且つスペーサが仮係止位置にある状態を示す図、(c)はバルブの装着後のスペーサが本係止位置にある状態を示す図である。
【図4】同照明装置のソケット穴にバルブを装着し始めたときの状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のIVb−IVb矢視断面図、(c)は(b)のIVc部の拡大図である。
【図5】バルブを更に押し込んだときの状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のVb−Vb矢視断面図、(c)は(b)のVc部の拡大図である。
【図6】バルブを更に押し込んだ段階の状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のVIb−VIb矢視断面図、(c)は(b)のVIc部の拡大図である。
【図7】バルブの装着が完了したときの状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のVIIb−VIIb矢視断面図、(c)は(b)のVIIc部の拡大図である。
【図8】従来の照明装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態のバルブソケット構造が適用された照明装置の分解斜視図、図2は同照明装置のソケット穴に装着するスペーサの構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のIIb矢視図、(c)は(b)の側面図、図3(a)〜(c)は同照明装置のソケット穴にバルブを装着するまでの手順を示す斜視図、図4〜図7は同ソケット穴にバルブを装着するまでの各段階ごとの状態を示す図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のバルブソケット構造が適用された照明装置(一般的に車室内天井照明装置の機能部と呼ばれるユニット部分に相当する)は、樹脂製のハウジング10と、ハウジング10のソケット穴11に装着される白熱バルブ(以下、単に「バルブ」という)100と、ハウジング10に装着される2系統のバスバー30と、ハウジング10のスイッチ装着部13に装着されたスイッチ14と、ハウジング10の電線圧接部12を覆う保護カバー15とを備えている。
【0017】
ハウジング10のソケット穴11は、ハウジング10の長手方向の一端側に設けられており、そのソケット穴11に本実施形態のバルブソケット構造が適用されている。このソケット穴11は、ハウジング10の基準面(図1においては下面)に対して傾斜しており、その基準面に対して、バルブ100が軸線を傾けた姿勢で装着されるようになっている。バルブ100は、円筒形状の電球部101の下側に傾斜面103を介して偏平なベース部102を有するもので、ベース部102の底面から側面にかけて、電球部101の内部からリードが引き出されており、その露出した部分が端子(図示略)となっている。
【0018】
各系統のバスバー30は、一端側にバルブ100に対する給電端子31を有し、他端側に電線を接続するための圧接端子(図示略)やスイッチ14に接続するための接続端子(図示略)を有している。各バスバー30の給電端子31は、ハウジング10のソケット穴11の内部に収容されることで、バルブ100のベース部102が挿入された際にベース部102側の端子と接触導通する部分であり、圧接端子(図示略)は、ハウジング10の電線圧接部12にセットされる部分である。
【0019】
各バスバー30の給電端子31は、図1及び図4〜図7に示すように、一対の接点バネ32を有している。これら一対の接点バネ32は、両接点バネ32間にバルブ100のベース部102が挿入された際に、ベース部102の側面を両側から挟持することによりバルブ100を保持し、且つ、その状態でベース部102の側面に露出した端子に接触導通するものである。これら一対の接点バネ32は、基端32aを固定され、且つ、先端32cを自由端としてベース部102の挿入されて来る方向に向けて延ばした一対の片持バネ片として形成されており、各接点バネ32の基端32aと先端32cとの間には、互いに向かい合う側が凸になっていてベース部102の側面に圧接する湾曲部32bが設けられている。
【0020】
そして、バルブ100のベース部102がソケット穴11の内部に挿入されたときに、ベース部102の側面が一対の接点バネ32の湾曲部32bに摺動することにより、接点バネ32の先端32c側が外側に押し広げられ、その押し広げられた際の接点バネ32の撓み変形により発生するバネ復元力によって、ベース部102が接点バネ32間に挟持されるようになっている。
【0021】
また、ソケット穴11の内部には、ソケット穴11へのバルブ100の挿入を案内する樹脂製の筒形のスペーサ50が着脱自在に装着されている。このスペーサ50は、給電端子30に対してバルブ100のベース部102を接触させることを邪魔しない形状のものであり、図2に詳細を示すように、バルブ100の電球部101を外周から支持可能な支持筒体51を有すると共に、その支持筒体51の内部に、バルブ100のベース部102を挿入する際に、そのベース部102を、挿入するのに伴ってソケット穴11内の適正位置に誘導する傾斜ガイド壁55を有している。
【0022】
傾斜ガイド壁55は、ベース部102を挿入するための挿入口56を挟んで一対対向配置されており、挿入口56に向かってベース部102を誘導できるように傾斜させて設けられている。そして図4に示すように、給電端子31の一対の接点バネ32の湾曲部32bが、挿入口56に臨むように配置されている。また、挿入口56の幅方向中央部には、図2(a)に示すように、傾斜ガイド壁55の下端に連なるように、ベース部102の幅方向中央部を案内する円弧壁部57が連設されている。
【0023】
また、スペーサ50の支持筒体51の外周の互いに対向する2箇所には側壁52が設けられている。これら側壁52は互いに平行をなしており、各側壁52の両側縁には仮係止アーム53が設けられている。係止アーム53は合計で4個設けられており、これら仮係止アーム53をソケット穴11の内部に設けられた被係合部(図示略)に係合させることで、スペーサ50をソケット穴11に対する挿入方向の手前側の仮係止位置に仮係止できるようになっている。
【0024】
また、このスペーサ50は、ソケット穴11の内部において、バルブ100の挿入方向の手前側の前記仮係止位置からそれよりも奥側の本係止位置まで、バルブ100の挿入動作と共に押し込み移動可能に装着されている。即ち、前述の仮係止アーム53は、スペーサ50を仮係止位置に仮係止するものであると共に、バルブ100の挿入動作に伴う所定以上の押し込み力が作用した際に仮係止を解除できるものであり、バルブ100の挿入動作と共に、スペーサ50を仮係止位置から本係止位置まで押し込めるようになっている。
【0025】
また、スペーサ50の側壁52の幅方向中央には、スペーサ50が本係止位置まで押し込まれたとき、ソケット穴11の内部に設けられた被係合部(図示略)と係合することにより、本係止位置にスペーサ50を本係止するためのロック部(本係止手段)60が設けられている。
【0026】
また、このスペーサ50の側壁52の内面には、図2及び図4〜図7に示すように、バルブ100のベース部102が一対の接点バネ32間に挿入されてくることで接点バネ32が外側に押し広げられるときに、接点バネ32の先端32cが当たることで、接点バネ32の先端32c側の過大な変位を規制する規制壁(次述)が設けられている。
【0027】
規制壁としては、図5に示すように、スペーサ50が仮係止位置にある状態でベース部102が一対の接点バネ32間に挿入されたときに、接点バネ32の先端32cに当たることで、ベース部102の挿入動作によって外側に押し広げられる接点バネ32の先端32c側の過大な変位を阻止する過大変位阻止壁部65と、図6及び図7に示すように、スペーサ50が更に仮係止位置から本係止位置まで押し込み移動される際に、接点バネ32の先端32cが摺動して乗り上げることにより、該接点バネ32の先端32c端を内側に押し戻すと共に、内側に戻した状態で該接点バネ32の先端32cの位置を規制することで、該接点バネ32を、基端32aと先端32cの両端が固定された両持バネとして機能させる押し戻し壁部66と、が設けられている。
【0028】
なお、過大変位阻止壁部65と押し戻し壁部66との間はなだらかな傾斜壁部67で繋がれている。また、接点バネ32の先端32cには、過大変位阻止壁部65から押し戻し壁部66への接点バネ32の先端32cの摺動を滑らかにするためのカール部32dが設けられている。
【0029】
次に作用を説明する。
【0030】
この照明装置を組み立てる場合は、図2(a)に示すように、ハウジング10に2系統のバスバー30を組み付け、給電端子31をソケット穴11に挿入すると共に、圧接端子(図示略)を電線接続部12に組み付ける。次いで、バスバー30の圧接端子(図示略)に電線を接続し、保護カバー15を被せると共に、スイッチ14をスイッチ装着部13に側方から装着する。また、バルブ100を装着する前に、スペーサ50を、ハウジング10のソケット穴11の内部に装着し、仮係止アーム53により仮係止する。
【0031】
この状態で、図2(b)に示すように、バルブ100をスペーサ50の上からソケット穴11に挿入する。その際の動作を図4〜図7を用いて順番に説明する。
【0032】
図4及び図5に示すように、バルブ100を矢印Pのように挿入すると、スペーサ50の傾斜ガイド壁55により案内されて、バルブ100のベース部102が挿入口56に導かれる。挿入口56から挿入されたベース部102は、給電端子31に設けられた一対の接点バネ32間に進入していき、接点バネ32の先端32c側(自由端側)を矢印Aのように外側に押し広げる。
【0033】
この際、外側に押し広げられる接点バネ32の先端32cがスペーサ50の過大変位阻止壁部65に当たることで、それ以上接点バネ32の先端32c側が変形しないように規制される。従って、接点バネ32の先端32c側の過大な変位が阻止され、不安定な姿勢でバルブ100のベース部102が給電端子31の接点バネ32間に挿入された場合でも、接点バネ32の無理な変形を防ぐことができる。
【0034】
また、その状態からさらにバルブ100を矢印P方向に挿入していくと、図5及び図6に示すように、バルブ100の電球部101の下端の傾斜面103がスペーサ50の傾斜ガイド壁55に当たり、さらにバルブ100を挿入していくと、所定以上の押し込み力が作用することによって、仮係止アーム53によるスペーサ50の仮係止が外れて、スペーサ50がバルブ100と共に図6中矢印Bで示すように奥側に押し込まれる。
【0035】
そうすると、スペーサ50の動きによって、図6及び図7に示すように、接点バネ32の先端32cのカール部32dが、スペーサ50の過大変位阻止壁部65から傾斜壁部67を介して押し戻し壁部66の上に、図7中矢印Dのように摺動しながら乗り上げて行く。接点バネ32の先端32cが、過大変位阻止壁部65から押し戻し壁部66に乗り上げると、その動きよって、接点バネ32の先端32c側が、図6中矢印Cのように内側に押し戻される。従って、この押し戻される動きにより、接点バネ32の湾曲部32bのベース部102に対する接圧が高まる。最終的に図7に示す状態までバルブ100を挿入すると、スペーサ50のロック部60がハウジング10側の被係合部にロックし、スペーサ50が本係止される。図2(c)はスペーサ50が本係止位置にロックされ、バルブ100が所定位置まで挿入された状態を示している。
【0036】
このようにバルブ100が完全に挿入されると、図7に示すように、それまで片持バネとして機能していた接点バネ32が、基端32aと先端32cの両端が支持された両持バネとして機能することになるので、強いバネ力でもって接点バネ32をベース部102に圧接させることができる。そのため、接点不良防止効果を高めることができると共に、ベース部102を挟持する保持力のアップが図れる。
【0037】
また、この状態で、給電端子31とバルブ100側の端子とが接触導通し、バルブ100に通電できるようになる。従って、スイッチ14の操作によりバルブ100を点灯・消灯を行うことができる。
【0038】
以上に述べた照明装置では、ソケット穴11に装着したスペーサ50によってバルブ100の挿入を案内することができるので、バルブ100のベース部102をスムーズに給電端子31の接点バネ32間に誘導することができる。また、バルブ100の挿入時に、スペーサ50に設けた規制壁(過大変位阻止壁部65及び押し戻し壁部66)によって、接点バネ32の先端32c側が過大に変位するのを防止することができるため、不安定な姿勢でバルブ100のベース部102を給電端子31の接点バネ32間に挿入した場合でも、接点バネ32の無理な変形を防ぐことができ、バルブ100のベース部102と接点バネ32との間に安定した接圧を確保することができる。その結果、バルブ100と給電端子31間の接点不良を防ぐことができて、電気接続の信頼性を高めることができると共に、バルブ100に対する接点バネ32による保持力のアップを図ることができる。
【0039】
また、ハウジング10とは別に製作したスペーサ50をハウジング10のソケット穴11に装着することによって、接点バネ32の過大変位を防止することができるので、ハウジング10自体にそのような機能を果たす部分(給電端子31の保護要素)を設けなくてよくなり、ハウジング10の構成を複雑化しないですむ。また、給電端子31をハウジング10に装着するときには、スペーサ50が取り付いてない状態で装着できるので、スペーサ50が作業の邪魔になることもなく、バスバー30の組付性を悪化させる心配もない。
【0040】
また、仮係止位置にあるスペーサ50の上からバルブ100を挿入し、バルブ100のベース部102を一対の接点バネ32間に挿入し始めた段階で、接点バネ32の先端32c側の過大な変位を防止することができるので、接点バネ32の無理な変形を有効に防ぐことができる。
【0041】
また、過大変位阻止壁部65と押し戻し壁部66との間に傾斜壁部67を設けていること、及び、接点バネ32の先端32cにカール部32dを設けていることにより、接点バネ32の先端32cを、過大変位阻止壁部65から押し戻し壁部66までスムーズに乗り上げさせることができる。従って、接点バネ32間へのベース部102の挿入に伴うスムーズなバネ力の強化を図ることができる。
【0042】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、本発明の実施形態では、光源として白熱バルブを用いたが、この白熱バルブの代わりにLEDを用いる構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0043】
10 ハウジング
11 ソケット穴
31 給電端子
32 接点バネ
32a 基端
32b 湾曲部
32c 先端
32d カール部
50 スペーサ
51 支持筒体
53 仮係止アーム(仮係止手段)
55 傾斜ガイド壁
60 ロック部(本係止手段)
65 過大変位阻止壁部(規制壁)
66 押し戻し壁部(規制壁)
67 傾斜壁部(規制壁)
100 バルブ
101 電球部
102 ベース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のハウジングに、バルブを装着するためのソケット穴が設けられ、
前記ソケット穴の内部に、前記バルブの電球部の下側に配されたベース部が前記ソケット穴の内部に挿入された際に前記ベース部の端子に接触導通する給電端子が設けられ、
前記給電端子が、前記ベース部が挿入された際に該ベース部の側面を両側から挟持することで前記バルブを保持し且つ前記ベース部の側面に露出した端子に接触導通する一対の互いに対向配置された接点バネを有し、
前記一対の接点バネが、基端を固定され且つ先端を自由端として前記ベース部の挿入されて来る方向に向けて延ばした一対の片持バネ片として形成されると共に、該各接点バネの基端と先端との間に、互いに向かい合う側が凸になっていて前記ベース部の側面に圧接する湾曲部が設けられ、
前記バルブのベース部が前記ソケット穴の内部に挿入されたときに、該ベース部の側面が前記一対の接点バネの湾曲部に摺動することにより、前記一対の接点バネの先端側が外側に押し広げられ、その押し広げられた際の前記一対の接点バネの撓み変形により発生するバネ復元力によって、前記ベース部が前記一対の接点バネ間に挟持される照明装置のバルブソケット構造であって、
前記ソケット穴の内部に、該ソケット穴への前記バルブの挿入を案内する筒形のスペーサが着脱自在に装着され、該スペーサには、前記バルブのベース部が前記一対の接点バネ間に挿入されてくることで該一対の接点バネが外側に押し広げられるときに、該一対の接点バネの先端が当たることで該一対の接点バネの先端側の過大な変位を規制する規制壁が設けられていることを特徴とする照明装置のバルブソケット構造。
【請求項2】
前記スペーサが前記ソケット穴の内部に、前記バルブの挿入方向の手前側の仮係止位置からそれよりも奥側の本係止位置まで、前記バルブの挿入動作と共に押し込み移動可能に装着され、
前記スペーサと前記ハウジングには、前記スペーサを前記仮係止位置に仮係止すると共に前記バルブの挿入動作に伴う所定以上の押し込み力が作用した際に仮係止を解除可能な仮係止手段と、前記仮係止位置から前記スペーサが前記本係止位置まで押し込み移動されたとき、その本係止位置に前記スペーサを本係止する本係止手段とが設けられ、
前記スペーサには、前記規制壁として、
該スペーサが前記仮係止位置にある状態で前記ベース部が前記一対の接点バネ間に挿入されたときに、前記接点バネの先端に当たることで、前記ベース部の挿入動作によって外側に押し広げられる前記一対の接点バネの先端側の過大な変位を阻止する過大変位阻止壁部と、
前記スペーサが前記仮係止位置から前記本係止位置まで押し込み移動される際に、前記接点バネの先端が摺動して乗り上げることにより、該接点バネの先端端を内側に押し戻すと共に、内側に戻した状態で該接点バネの先端の位置を規制することで、該接点バネを、基端と先端の両端が固定された両持バネとして機能させる押し戻し壁部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1に記載された照明装置のバルブソケット構造。
【請求項3】
前記過大変位阻止壁部と前記押し戻し壁部とは、所定の傾斜を有する傾斜壁部によって繋がれていることを特徴とする請求項2に記載された照明装置のバルブソケット構造。
【請求項4】
前記接点バネの先端に、前記過大変位阻止壁部から前記押し戻し壁部への前記接点バネの先端の摺動を滑らかにするためのカール部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載された照明装置のバルブソケット構造。
【請求項5】
前記スペーサに、前記バルブの電球部を外周から支持する支持筒体が設けられ、その支持筒体の内部に、前記バルブのベース部を挿入する際に、該ベース部を、挿入するのに伴って前記ソケット穴内の適正位置に誘導する傾斜ガイド壁が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載された照明装置のバルブソケット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−212066(P2010−212066A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56410(P2009−56410)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】