説明

照明装置及び画像投影装置

【課題】光源から出射される光の変動を減じるとともに光源の寿命が短くなるのを抑止する。
【解決手段】LED31、33は点灯・消灯が交互に切り替えられる。LED31、33の発光切り替えタイミングに連動して、これらのLED31、33から出射される光の偏光状態を選択的に変えることの可能な液晶スイッチが設けられる。液晶スイッチを透過した光の光量が安定化するようにLED31、33に供給される電流が制御される。LED31、33の発光切り替えのタイミングの前から後にわたる時間の間、LED33、31に供給される電流がサンプリング(b1,b2,…,a8,a9)される。サンプリングした電流値から、LED31、33に供給される電流の変動に関連する指標がそれぞれ導出され比較される。比較した結果に基づき、液晶スイッチの偏光変調状態を変えるタイミングが調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速パルス点灯が可能な発光ダイオード等の光源を複数用いて高出力且つ偏光面の揃えられた照明光を出射可能な照明装置、及び、そのような照明装置を用いた画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の安全性が高く、長寿命且つ小型で、入力される電力の大きさに対してより大きな光量が得られる光源として発光ダイオード(LED)が注目されている。近年では出射される光の色を自由に選択でき、より大きな光量が得られるLEDが開発されていて、従来はハロゲンランプやメタル・ハライド・ランプなどが主として用いられてきた、データ・プロジェクタやヘッドライトなどの光源としてLEDを用いることの可能性が模索されている。
【0003】
データ・プロジェクタやヘッドライトなどの光源としてLEDを用いる場合、LEDの発光部における、単位面積あたりの発光輝度を高めることが、LEDの組み込まれた装置全体の大きさを小さくする上で求められる。
【0004】
特許文献1には、上記の要求に応える技術として、互いに直交する光軸上に複数のLEDを配置し、それらのLEDから出射されるそれぞれの光を、一つのPBSの互いに異なる入射面から入射させ、PBSに入射したそれらの光を、PBSの一つの出射面から出射させるものが開示されている。これら複数のLEDを交互にパルス発光させる(間欠的に発光させる)ことにより、これらのLEDを定常発光させる場合に比して大きな電流を各LEDに対して供給することができ、それによって、より大きな光量の光を得ることができる。又、複数のLEDから出射された光は、上述のようにPBSの一つの出射面から出射するように構成されているので、一つひとつのLEDはパルス発光していても、上記一つの出射面から出射する光はほぼ定常光とみなせる状態となるので、上記出射面を発光体として捉えたときに、発光体の単位面積あたりの光束、すなわち光量を増すことが可能となる。
【0005】
上述の構成において、PBSで反射されて上述の出射面に向かう光と、PBSを透過して上述の出射面に向かう光とで偏光状態が異なっているので、それらの光の偏光状態を揃えるため、上述した出射面の近傍には偏光変調素子としての液晶が設けられている。そして、一の偏光状態を有する光に対してはその偏光状態を変化させることなく透過させ、他の偏光状態を有する光に対しては、液晶の状態を切り替えて上記一の偏光状態となるように旋光させて透過させる構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−183470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した構成の照明装置では、複数のLEDから出射された光のうち、PBSによって上記一つの出射面に導かれず、照明用の光として利用できない部分があり、光の利用効率をさらに向上させることが求められる。又、複数のLEDを切り替えて交互に発光させる際に、上記液晶の偏光変調状態を切り替えることを説明したが、液晶の偏光変調状態が一の状態から他の状態へ切り替わるのに時間を要する。すなわち、液晶の偏光変調状態の切り替え動作が過渡特性を有していて、その過渡特性が原因で、液晶を透過する光の光量が周期的に低下する。
【0007】
上記光量の低下が周期的に起きることにより、光量低下の程度によってはフリッカの一因となりうる。フリッカが目立たない場合であっても、周期的に光量の低下を生じていることにより、積算光量は低下し、暗く見えることもある。又、この照明装置を、データ・プロジェクタ等に組み込み、画像を形成して投影するための空間光変調素子として、PMW駆動によって階調を表示するデバイスを用いた場合には、周期的な光量低下によって、投影される画像の階調異常を招くことがある。
【0008】
加えて、上記過渡特性は液晶の温度によって変化するので、液晶の温度が標準状態から大きくずれていた場合には、過渡特性も大きく変化することになる。液晶の過渡特性が大きく変化することにより、LEDの発光切り替えタイミングと液晶の切り替わりタイミングがずれてしまって、フリッカがさらに目立つ事態を招きうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の第1の態様は照明装置に適用され、P偏光光出射用のP偏光光源と、S偏光光出射用のS偏光光源とを有する偏光光発光部であって、予め定められた発光切り替えタイミングに従ってP偏光光及びS偏光光を同一の出射部から交互に出射可能に構成される、偏光光発光部と、前記同一の出射部から出射される前記P偏光光及び前記S偏光光のうち、一方の偏光光が出射されるときにはその偏光状態を変えることなく透過させ、他方の偏光光が出射されるときにはその偏光状態を前記一方の偏光光と同じ偏光状態となるように変化させて透過させるように偏光変調作用を切り替え可能に構成される偏光変調手段と、前記偏光変調手段を透過した光の光量を検出する光量検出手段と、前記光量検出手段による前記光量の検出結果に基づき、前記P偏光光源及び前記S偏光光源から出射されるそれぞれの光の発光量を制御して、前記偏光変調手段を透過して被照明部に向かう光の光量が略一定となるように構成される光源光量制御手段と、前記発光切り替えタイミングの前後において前記P偏光光源及び前記S偏光光源から出射されるそれぞれの光の、発光量の変動に関連する指標を導出する光源発光量変動導出手段と、前記光源発光量変動導出手段による前記指標の導出結果に基づき、前記P偏光光源及び前記S偏光光源の前記発光切り替えタイミングに対する前記偏光変調手段の前記偏光変調作用の切り替えのタイミングを変化させるように構成される偏光変調作用切り替えタイミング制御手段とを有することにより上述した課題を解決する。
(2) 本発明の第2の態様も又、照明装置に適用され、点滅駆動可能な第1及び第2の光源と、前記第1及び第2の光源の点灯及び消灯を予め定められた発光切り替えタイミングで交互に切り替え可能に構成される光源切り替え制御回路と、前記第1の光源から出射される光は第1の偏光状態にする一方、前記第2の光源から出射される光は、前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態にして、前記第1及び第2の偏光状態の光を共通の光路に導くように構成される偏光導光部と、第1の偏光変調状態と第2の偏光変調状態との間で偏光変調状態を切り替え可能な偏光変調素子であって、前記第1の偏光変調状態においては、前記共通の光路に導かれた前記第1の偏光状態を有する光を、その偏光状態を変化させることなく透過させて被照明部に向かって導く一方、前記第2の偏光変調状態においては、前記共通の光路に導かれた前記第2の偏光状態を有する光を、その偏光状態が前記第1の偏光状態となるように偏光状態を変化させて透過させ、前記被照明部に向かって導くように構成される、偏光変調素子と、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを制御するための偏光変調状態切り替え制御部と、前記偏光変調素子を透過して前記被照明部に向かって導かれる光の光量を検出するための照明光量検出部と、前記照明光量検出部で検出される光量に基づき、前記照明光量検出部で検出される光量が一定となるように前記第1及び第2の光源から出射される光の発光量を制御可能に構成される発光量制御回路と、前記第1の光源及び前記第2の光源から出射されるそれぞれの光の発光量に関連する物理量を前記発光切り替えタイミングの前後においてそれぞれ複数回にわたって検出可能に構成される光源光量検出部と、前記光源光量検出部で検出された前記物理量から、前記発光切り替えタイミングの前後における前記第1の光源及び前記第2の光源から出射されるそれぞれの光の、発光量の変動に関連する指標を導出する発光量変動導出部と、を有し、前記偏光変調状態切り替え制御部は、前記指標の導出結果に基づき、前記発光量の変動が減じられるように前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成されることにより、上述した課題を解決する。
(3) 本発明の第3の態様に係る照明装置は、上記第2の態様に係る照明装置において、前記光源光量検出部が、前記第1及び第2の光源のそれぞれに供給される電流の大きさの変動を検出するための供給電流検出装置又は前記第1及び第2の光源のそれぞれに供給される電力の変動を検出するための供給電力検出装置を有する。
(4) 本発明の第4の態様に係る照明装置は、上記第2の態様に係る照明装置において、前記光源光量検出部が、前記第1及び第2の光源から出射され、前記偏光変調素子に入射する前の光の光量を検出する光量センサを有する。
(5) 本発明の第5の態様に係る照明装置は、上記第2から第4の態様に係る照明装置のいずれかにおいて、前記光源光量検出部が、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定時間の間、前記第1の光源及び前記第2の光源から出射されるそれぞれの光の発光量に関連する前記物理量を繰り返しサンプリングするように構成され、前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部で繰り返しサンプリングして得られた前記物理量から、前記発光切り替えタイミングの前後それぞれにおいて、前記発光量の変動に関連する指標を導出して積算することにより、発光切り替え前の発光量変動積算値及び発光切り替え後の発光量変動積算値を求めるように構成され、前記偏光変調状態切り替え制御部は、前記発光切り替え前の発光量変動積算値と前記発光切り替え後の発光量変動積算値との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成される。
(6) 本発明の第6の態様に係る照明装置は、上記第2から第4の態様に係る照明装置のいずれかにおいて、前記光源光量検出部が、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第1の光源の発光期間中、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で少なくとも1回、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動する可能性のある時間帯で少なくとも2回、前記第1の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングし、又、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第2の光源の発光期間中、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で少なくとも1回、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動する可能性のある時間帯で少なくとも2回、前記第2の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングするように構成され、前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部が前記サンプリングをして得た前記物理量から、前記第1及び第2の光源の発光期間中における前記発光量の変動に関連する指標をそれぞれ導出し、導出された前記指標から、前記第1の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値及び前記第2の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値をそれぞれ推定によって求め、前記第1の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値と前記第2の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成されることを特徴とする。
(7) 本発明の第7の態様に係る照明装置は、上記第2から第4の態様に係る照明装置のいずれかにおいて、前記光源光量検出部が、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第1の光源の発光期間中、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第1の光源が消灯する寸前のタイミングで1回、前記第1の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングし、又、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第2の光源の発光期間中、前記第2の光源が点灯を開始した直後のタイミングで1回、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第2の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングするように構成され、前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部が前記サンプリングをして得た前記物理量から、前記第1の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標及び前記第2の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標を求め、前記第1の光源の発光期間中における前記指標と前記第2の光源の発光期間中における前記指標との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成される。
(8) 本発明の第8の態様に係る照明装置は、上記第2から第4及び第7の態様に係る照明装置のいずれかにおいて、前記光源光量検出部が、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第2の光源の発光期間中、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第2の光源が消灯する寸前のタイミングで1回、前記第2の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングし、又、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第1の光源の発光期間中、前記第1の光源が点灯を開始した直後のタイミングで1回、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第1の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングするように構成され、前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部が前記サンプリングをして得た前記物理量から、前記第2の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標及び前記第1の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標を求め、前記第2の光源の発光期間中における前記指標と前記第1の光源の発光期間中における前記指標との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調整するように構成される。
(9) 本発明の第9の態様は、画像投影装置に適用される。そして、上記第1から第8のいずれか一つに係る照明装置とともに、前記被照明部に配置された空間光変調素子であって、入力された画像信号に対応する画像を形成するための空間光変調素子と、前記空間光変調素子で形成された画像を投影するための投影光学系とを有する。
(10) 本発明の第10の態様は、画像投影装置に適用される。そして上記第1から第8のいずれか一つに係る照明装置を複数有し、入力されたカラー画像信号から得られる複数の色成分ごとの画像信号に対応する画像を形成するように構成される複数の空間光変調素子と、前記複数の空間光変調素子のそれぞれで形成される画像を一つに合成して投影するための投影光学系とを有し、前記照明装置それぞれの被照明部に前記複数の空間光変調素子のいずれか一つが配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶スイッチの偏光変調状態の切り替えに係る過渡特性が液晶スイッチの温度変化等によって変化することがあっても、その過渡特性の変化に追従して液晶スイッチの偏光変調状態の切り替えタイミングを調整することができる。このため、複数の光源のいずれかに供給される電流が過大となって、光源の寿命の短縮、無駄なエネルギの消費、フリッカの発生というような不具合の発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1A及び図1Bを参照して本発明の実施の形態に係る照明装置100について説明する。図1Aは、照明装置100の概略的構成を示すブロック図である。図1Bは、照明装置100を構成する各要素の作用を説明する概略的な光路図である。
【0012】
図1Aにおいて、偏光ビームスプリッタ(以下、偏光ビームスプリッタを「PBS」と称する)32は、一例としてS偏光光を反射し、P偏光光を透過する特性を有している。PBS32の第1の入射面とテーパロッド38の出射面とが対向しあうようにしてこれらPBS32及びテーパロッド38が配置されている。テーパロッド38の入射面には第1の光源としてのLED33が取り付けられていて、LED33から出射される光はテーパロッド38によってPBS32に向かうように導かれる。又、PBS32の第2の入射面とテーパロッド30の出射面とが対向しあうようにしてこれらPBS32及びテーパロッド30が配置されている。テーパロッド30の入射面には第1の光源としてのLED31が取り付けられていて、LED31から出射される光はテーパロッド30によってPBS32に向かうように導かれる。
【0013】
PBS32の、第2の入射面と対向する第2の出射面と、直角プリズム34の入射面とが対向しあうようにしてこれらPBS32及び直角プリズム34が配置されている。PBS32の、第1の入射面と対向する第1の出射面と、直角プリズム34の出射面とは、ほぼ同一平面上に位置するように位置決めされている。これらPBS32の第1の出射面及び直角プリズム34の出射面と、インテグレータロッド40の入射面とが対向しあうようにインテグレータロッド40が配置される。インテグレータロッド40の入射面と直角プリズムの出射面との間には1/2波長板36が介装される。
【0014】
インテグレータロッド40の出射面に対向するようにして、偏光変調素子としての液晶スイッチ22が配置され、液晶スイッチ22の後方には、液晶スイッチ22を透過したP偏光光を透過するように構成された偏光板42が配置される。この偏光板42は、液晶スイッチ22を透過した光の中に含まれうるP偏光光以外の光の成分を弁別するためのものである。偏光板42の後方には、液晶スイッチ22を透過したP偏光光の発光量を検出するための光量センサ10が配置される。この光量センサ10は、図1Aに示されるように偏光板42の後方に配置されていても、液晶スイッチ22と偏光板42との間の位置に配置されていてもよい。
【0015】
図1Bを参照して、LED31及び33から出射された光が上述した照明装置100を経てどのように被照明部に導かれるかについて説明する。LED31から出射され、テーパロッド30を介して導かれてPBS32に入射したP偏光光P2及びS偏光光S2を含む光のうち、S偏光光S2はPBS32で反射されてインテグレータロッド40中に導かれ、P偏光光P2はPBS32を透過して直角プリズム34に入射する。そしてP偏光光P2は直角プリズム34の反射面で反射されて1/2波長板36に入射するように導かれる。P偏光光P2が1/2波長板36を透過する際にP偏光光P2はその偏光状態がS偏光に変換され、S偏光光S2としてインテグレータロッド40中に入射する。上述のようにして、LED31から出射した光は全てS偏光光S2となってインテグレータロッド40中に導かれて集光される。
【0016】
LED33から出射され、テーパロッド38を介して導かれてPBS32に入射したP偏光光P1及びS偏光光S1を含む光のうち、P偏光光P1はPBS32を透過してインテグレータロッド40中に導かれ、S偏光光S1はPBS32で反射されて直角プリズム34に入射する。そしてS偏光光S1は直角プリズム34の反射面で反射されて1/2波長板36に入射するように導かれる。S偏光光S1が1/2波長板36を透過する際にS偏光光S1はその偏光状態がP偏光に変換され、P偏光光P1としてインテグレータロッド40中に入射する。上述のようにして、LED33から出射した光は全てP偏光光P1となってインテグレータロッド40中に導かれて集光される。
【0017】
上記の説明から分かるように、LED31から出射される光はすべてS偏光S2に偏光状態が揃えられ、LED33から出射される光はすべてP偏光光P1に揃えられて、インテグレータロッド40の出射部から出射される。LED31及び33が交互にパルス点灯するのに同期して、液晶スイッチ22は、後で図2を参照して説明するタイミング生成部18により、液晶ドライバ20を介してその偏光変調状態の切り替え動作が制御される。この液晶スイッチ22は、LED31が発光中、すなわちS偏光光S2が液晶スイッチ22に入射するタイミングにおいては、透過する光の偏光状態をS偏光状態からP偏光状態に変化させるように偏光変調作用が切り替えられる。従って、LED31から出射されて偏光状態が揃えられ、すべてS偏光光S2となった光は、液晶スイッチ22を透過する際にP偏光光P2へとその偏光状態が変えられて被照明部(不図示)へと向かう。液晶スイッチ22は又、LED33が発光中、すなわちP偏光光P1が液晶スイッチ22に入射するタイミングにおいては、透過する光の偏光状態を変化させることのないように偏光変調作用が切り替えられる。従って、LED33から出射されて偏光状態が揃えられ、すべてP偏光光P1となった光は、液晶スイッチ22を透過する際に偏光状態が変わることなく、P偏光に維持されたまま被照明部へと向かう。
【0018】
以上に説明したように、照明装置100は、交互にパルス発光するLED31及び33から出射される光がすべてP偏光となるようにその偏光状態が揃えられて被照明部に導かれる。又、LED31及び33のそれぞれはパルス発光、すなわち間欠的に発光しているが、その点灯及び消灯がLED31とLED33とで間断なく交互に切り替わるように制御され、その切り替わりタイミングに同期して液晶スイッチ22の偏光変調作用が切り替えられる。その結果、後述するLED31及び33の光量制御並びに液晶スイッチ22の偏光変調切り替えタイミングの制御と相俟って、被照明部に導かれる光は偏光状態が統一され、且つ光量変動が抑制された、安定化されたものとなる。なお、以上では光源として2つのLED31及び33を用い、これらの光源から出射される光をP偏光に揃えて被照明部に導く例について説明したが、パルス点灯可能なものであれば光源としてLED以外の光源を用いることも可能である。又、その数は必要に応じて3つ以上とすることも可能である。さらに、被照明部に導かれる光はP偏光に揃えられる構成を例示したが、用途に応じてS偏光に揃えるようにすることも可能である。
【0019】
図2は、照明装置100から出射して被照明部に導かれる光の光量を安定化させるための光量安定化装置200の概略的構成を示すブロック図である。光量安定化装置200は、
(a) 予め定められたタイミングに従ってLED31、33の点灯・消灯を交互に切り替える機能と、
(b) 液晶スイッチ22を透過して被照明部に導かれる光の光量を安定化する機能と、
(c) 液晶スイッチ22の偏光変調作用切り替えのタイミングをLED31、33の点灯・消灯切り替えのタイミングに対して変化させる機能と
を有する。以下、この光量安定化装置200の構成及び上述した機能について説明する。
【0020】
ヘッドアンプを内蔵する光量センサ10の出力は、オペアンプ12の反転入力部に接続されており、オペアンプ12の出力は、LEDへの供給電流を制御する(基準電流を生成する)FET82のゲートに接続されている。オペアンプ12の非反転入力部には、基準電圧Vrefが入力されており、オペアンプ12は光量センサ10から出力される電圧と基準電圧Vrefとの差に基づいてFET82のゲート電圧を制御する。FET82のゲートとグラウンドとの間に接続されているツェナーダイオード60は、リミッタとして作用する。すなわち、光量センサ10の故障やLED31、33の光量の異常低下等があった場合に、オペアンプ12の出力電圧が想定される範囲を超え、それによってFET82のゲート電圧が過度に高まり、LED31、33に大電流が供給されてしまうのを抑止するためのものである。
【0021】
LED電源の電源電圧Vddとグラウンドとの間において、FET82と直列に、抵抗62、FET72、及び抵抗84が接続され、基準電流生成部が構成されている。これらの回路素子間の接続状態をさらに説明すると、電源電圧VddとFET72のドレインとの間に抵抗62が接続され、FET72のゲート及びソースを接続した部分とFET82のドレインが接続され、FET82のソースとグラウンドとの間に抵抗84が接続される。
【0022】
続いて、上記の基準電流生成部で生成される基準電流Irefの大きさに応じて、LED31、33に供給される電流を制御するためのブロックについて説明する。抵抗64の一端とFET74のドレイン、抵抗66の一端とFET76のドレイン、抵抗68の一端とFET78のドレイン、そして抵抗70の一端とFET80のドレインがそれぞれ接続され、抵抗64、66、68、70の他端が電源電圧Vddに接続されている一方、FET74、76、78、80のゲートが、FET72のゲート及びソースを接続した部分と接続されている。又、FET74、76、78、80のソースは、LED31及び33のアノードが接続された部分に接続されている。
【0023】
上述した抵抗62、64、66、68、70並びにFET72、74、76、78、80の接続によってカレントミラー回路が形成される。抵抗62の抵抗値と、抵抗64、66、68、70の抵抗値との比率(抵抗比)を適宜定めることにより、抵抗62中を流れる基準電流Irefに上記抵抗比を乗じた大きさの電流を各FET74、76、78、80に流すことが可能となる。なお、図2においては4つのFET74、76、78、80が並列に接続された例を示しているが、これはLED31、33に供給する電流の大きさによって抵抗64、66、68、70における電圧降下の量が大きくなりすぎるのを抑制することを目的としている。したがって、LED31、33に供給する電流の大きさや許容される電圧降下量に応じて、並列接続するFETの数は、図2で例示した4より多くすることも少なくすることもできる。
【0024】
LED31のカソードはスイッチング素子としてのFET88のドレインに接続され、LED33のカソードは、同じくスイッチング素子としてのFET86のドレインに接続される。FET86及び88のソースはグラウンドに接続され、ゲートはそれぞれタイミング生成部18に接続される。タイミング生成部18から出力される信号によってこれらのFET86、88のオン・オフが制御され、且つ上述した基準電流生成部及びカレントミラー回路の構成により、LED31、33の点灯・消灯の交互切り替え、及び点灯中のLEDの光量を制御(安定化)することが可能となる。
【0025】
FET82のソースと抵抗84との接続部にA/Dコンバータ16のアナログ入力端子が接続されている。A/Dコンバータ16から出力されるディジタル信号はタイミング生成部18に入力される。タイミング生成部18は、A/Dコンバータ16を介して、抵抗84にかかる電圧の大きさを検知することにより、基準電流Irefの大きさを検知することが可能に構成されている。上述した構成から明らかなように、LED31、33に供給される電流の大きさは、基準電流Irefの大きさに比例するので、抵抗84の両端にかかる電位差を検知することによりLED31、33に供給される電流の大きさを知ることができる。
【0026】
タイミング生成部18には、液晶ドライバ20を介して液晶スイッチ22が電気的に接続されていて、タイミング生成部18は液晶スイッチ22の偏光変調作用(液晶スイッチ22を透過する光の偏光状態を変化させる/しない)を適宜切り替えることが可能に構成されている。タイミング生成部18は、ハードウェアロジック回路又は予め組み込まれたプログラムを逐次実行可能なプロセッサで構成される。
【0027】
光量安定化装置200が起動されるのに伴い、タイミング生成部18内部で生成されるタイミング信号、或いは光量安定化装置200の外部から供給されるタイミング信号に従って、タイミング生成部18はFET86、88のオン・オフを交互に切り替え、LED31、33の消灯・点灯が交互に切り替えられるようにする。これが上述した機能(a)に相当する。
【0028】
LED31、33のうちのいずれかに電流が供給されて発光する。いずれかのLEDから出射された光は、先に説明したように、P偏光及びS偏光のうち、いずれかの偏光状態に揃えられてインテグレータロッド40から出射し、液晶スイッチ22を透過するように進む。このときにタイミング生成部18は、LED31、33のうち、どちらのLEDを発光させるのかに応じて液晶スイッチ22に制御信号を出力し、発光中のLEDに適した状態に液晶スイッチ22の偏光変調状態を切り替える。これが上述した機能(c)に対応する。
【0029】
液晶スイッチ22を透過する際に一つの偏光状態に揃えられて(本実施の形態においてはP偏光状態に揃えられて)偏光板42を透過し、被照明部に向かう光の光量は、光量センサ10によって検出され、上述したオペアンプ12、FET82、72、74、76、78、80などの作用によって、安定化される。これが上述した機能(b)に対応する。
【0030】
上述した機能(b)及び(c)に関して、図3、図4、及び図5を参照してさらに説明する。なお、ここでは、本発明に係る照明装置が有する偏光変調作用切り替えタイミング制御の作用の理解を容易にするために、この偏光変調作用切り替えタイミング制御が機能していない場合の例を説明する。
【0031】
図3は、上から順に、
・LED31、33のオン・オフの切り替え制御、
・タイミング生成部18から液晶スイッチ22に入力される液晶スイッチ切り替え制御信号、
・液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わり、
・LED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさ、そして
・被照明部に導かれる光の光量が、時間経過に伴って変化する様子
の一例を示すタイミングチャートである。図4は、図3のタイミングチャートにおける時刻t0からt1に至る時間区間の近辺を、時間軸を拡大して示している。そして、タイミング生成部18から液晶スイッチ22に入力される液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がり部分と、この立ち下がりに反応して液晶スイッチ22の偏光変調状態が切り替わる様子が、液晶スイッチ22の温度が20°C及び50°Cの2つの場合で示されている。なお、図3及び図4においては、P波(P偏光光)の透過率の時間推移というかたちで液晶スイッチ22の偏光変調状態の時間経過に伴う推移を示しており、図3及び図4中、「P波の透過率」が「最大」に達するとP偏光光に対する透過率が最大となり、「最小」にまで下がると、P偏光光に対する透過率が最小となる。S偏光光に対する特性は特に図示していないが、P偏光光に対する特性と逆の特性となる。すなわち、図3及び図4中、P偏光光に対する透過率が「最大」に達するとS偏光光に対する透過率は最小となり、P偏光光に対する透過率が「最小」に達するとS偏光光に対する透過率が最大となる。これに関しては、後で参照する図5、図6A、図6B、及び図6Cにおいても同様である。
【0032】
図3を参照して説明すると、液晶スイッチ22に入力される液晶スイッチ切り替え制御信号が切り替わってから(液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち上がり・立ち下がりのタイミングから)液晶スイッチ22の偏光変調状態が実際に切り替わるまでには遅れを生ずる。特に、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングに対する液晶スイッチ22の偏光変調状態切り替え開始及び完了までの遅れが顕著である。この液晶スイッチ22の偏光変調状態切り替え動作に関する過渡特性に対応するため、タイミング生成部18は、LED31、33の発光切り替えタイミングに対して先行するかたちで液晶スイッチ切り替え制御信号を切り替える。図3においては、タイミング生成部18による上記のタイミング制御が理想的に作用していて、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替えタイミングがLED31、33の切り替えタイミングと合致している様子が描かれている。
【0033】
引き続き図3を参照して、液晶スイッチ22の偏光変調状態が一の偏光変調状態から他の偏光変調状態へ切り替わる際の過渡状態、或いはこれとは逆に切り替わる際の過渡状態に着目して説明する。先ず、LED33がオフ(非発光)、LED31がオン(発光)の状態から、LED33がオン、LED31がオフの状態へと切り替わる時刻t3に先立つ時刻t2において液晶スイッチ22の偏光変調状態が切り替わり始め、P偏光光の透過率が増加し始めると同時にS偏光光の透過率が減少し始める。時刻t3までは、LED31が発光しているので、図1Bにも示されるように、液晶スイッチ22に入射する光はS偏光光である。従って、LED31から出射されてS偏光に偏光状態が揃えられ、液晶スイッチ22を透過する際にP偏光光に偏光状態が切り替えられて被照明部に向かう光の光量は徐々に減少する。光量センサ10がこの光量減少を検知するのに反応して、光量安定化装置200は、基準電流Irefを増し、LED31から出射される光の光量を増す。その様子が、「LEDに供給される電流」のグラフ中、時刻t2からt3における電流値の増加として示されている。
【0034】
時刻t3においてLED33がオン、LED31がオフの状態へと切り替えられ、液晶スイッチ22に入射する光の偏光状態はP偏光状態となる。時刻t3からt4にかけて液晶スイッチ22のP偏光光に対する透過率は「最大」に向かって増加する。従って、LED33から出射されてP偏光に偏光状態が揃えられ、液晶スイッチ22を透過して被照明部に向かう光の光量は徐々に増加する。光量センサ10がこの光量増加を検知するのに反応して、光量安定化装置200は、基準電流Irefを減じ、LED33から出射される光の光量を減ずる。その様子が、「LEDに供給される電流」のグラフ中、時刻t3からt4における電流値の減少として示されている。
【0035】
時刻t4からt5にかけては、液晶スイッチ22の偏光変調状態が安定していてP偏光光に対する透過率は「最大」を維持しているので、光量センサ10で検出される光量も安定して定常状態に維持される。
【0036】
次に、LED33がオン(発光)、LED31がオフ(非発光)の状態から、LED33がオフ、LED31がオンの状態へと切り替わる時刻t6に先立つ時刻t5において液晶スイッチ22の偏光変調状態が切り替わり始め、P偏光光の透過率が減少し始めると同時にS偏光光の透過率が増加し始める。時刻t6までは、LED33が発光しているので、液晶スイッチ22に入射する光はP偏光光である。従って、LED33から出射されてP偏光に偏光状態が揃えられ、液晶スイッチ22を透過して被照明部に向かう光の光量は徐々に減少する。光量センサ10がこの光量減少を検出するのに反応して、光量安定化装置200は、基準電流Irefを増し、LED31から出射される光の光量を増す。その様子が、「LEDに供給される電流」のグラフ中、時刻t5からt6における電流値の増加として示されている。
【0037】
時刻t6においてLED33がオフ、LED31がオンの状態へと切り替えられ、液晶スイッチ22に入射する光の偏光状態はS偏光状態となる。時刻t6からt7にかけて液晶スイッチ22のP偏光光に対する透過率は「最小」に向かって減少する一方、S偏光光に対する透過率は「最大」に向かって増加する。従って、LED31から出射されてS偏光に偏光状態が揃えられ、液晶スイッチ22を透過する際にP偏光へと偏光状態が切り替えられて被照明部に向かう光の光量は徐々に増加する。光量センサ10がこの光量増加を検知するのに反応して、光量安定化装置200は、基準電流Irefを減じ、LED31から出射される光の光量を減ずる。その様子が、「LEDに供給される電流」のグラフ中、時刻t6からt7における電流値の減少として示されている。
【0038】
時刻t7からt8にかけては、液晶スイッチ22の偏光変調状態が安定していてS偏光光に対する透過率は「最大」に維持されるので、光量センサ10で検出される光量も安定して定常状態に維持される。
【0039】
以上に説明したように、液晶スイッチ22の偏光変調状態切り替わりの過渡期において被照明部に向かって出射する光の光量の変動が光量センサ10によって検知されてLEDに供給される電流が調節され、図3の一番下のグラフに示されるように、被照明部に導かれる光の光量を安定化することができる。
【0040】
ところで、液晶スイッチ22に入力される液晶スイッチ切り替え制御信号が切り替えられてから液晶スイッチ22の偏光変調状態が実際に切り替わるまでの遅れは、液晶スイッチ22の温度によって変化し、高温になるほど遅れは減少する。その一例が図4に示されている。図4は、図3の時刻t0からt1にかけての部分を、時間軸に沿う方向に拡大して、液晶スイッチ22の温度が20°C及び50°Cの場合の、偏光変調切り替え過渡特性を示している。図4に示す例において、液晶スイッチ22の温度が20°Cの場合、LED31及び33の点灯・消灯切り替えのタイミングである時刻t1を含む時間区間で偏光変調状態が切り替わる。この場合、図3を参照して説明したように、光量安定化装置200によってLED31、33それぞれから出射される光の光量が調節されて被照明部にむかって出射する光の光量が安定化される。しかし、図4に示す例において液晶スイッチの温度が50°Cの場合、LED33がオン、LED31がオフの状態から、LED33がオフ、LED31がオンの状態へと切り替わる時刻t1よりも前の時点で偏光変調状態の切り替えが完了してしまっている。この場合、時刻t0から2.2ミリ秒経過した時点で、液晶スイッチ22はP偏光光を透過せず、S偏光光のみを透過する状態となっている。時刻t1に達するまではLED33がオンとなっている、すなわちP偏光光P1が液晶スイッチ22に入射する状態となっているので、液晶スイッチ22を透過して被照明部に向かって導かれる光の光量はほぼゼロとなり、光量不足やフリッカの原因となりうる。
【0041】
図5には、液晶スイッチ22の温度が20°C、35°C、及び50°C、それぞれの場合の偏光変調切り替え過渡特性が例示されており、被照明部に導かれる光の光量が光量安定化装置200によって安定化される様子が示されている。液晶スイッチ22の温度が20°Cの場合には、先に図3を参照して説明したのと同様に、被照明部に導かれる光の光量は、光量安定化装置200によって定常状態に維持されている。
【0042】
図5に示す例では、液晶スイッチ22の温度が35°Cの場合にも、被照明部に導かれる光の光量は、光量安定化装置200によって定常状態に維持されている。しかし、液晶スイッチ22の偏光変調切り替えタイミングが図示されるように早まっている結果、発光するLEDがLED33からLED31に切り替えられる直前の段階で液晶スイッチ22のP偏光光に対する透過率が比較的大きく低下している。その結果、LED33から出射されてP偏光に偏光状態が揃えられた光は、液晶スイッチ22を透過する際に比較的大きく減衰するので、液晶スイッチ22を透過して被照明部に導かれる光の光量も比較的大きく低下することになる。光量安定化装置200は、その光量低下を検知して、LED33に供給する電流を増す。このような状態が続くと、無駄に消費されるエネルギの量も増え、場合によってはLEDの寿命を縮めることがあるばかりか、LED33の光量が増すことによって液晶スイッチ22の温度がさらに上昇して、以下に説明するような状況に陥る場合がある。
【0043】
図5において液晶スイッチ22の温度が50°Cの場合、先に図4を参照して説明したように、液晶スイッチ22の切り替えタイミングがさらに早まり、LED31、33の点灯・消灯が切り替えられる前に偏光変調状態の切り替えが完了してしまっている。その結果、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替えが完了してからLED31、33の点灯・消灯が切り替えられるまでの間は、液晶スイッチ22を透過して被照明部に導かれる光の光量はほぼゼロとなってしまう。その様子が図5の一番下に描かれるグラフに示されている。このような状況においては、被照明部に導かれる光が断続的となるので、被照明部に導かれる光の光量が全体として低下するだけでなく、フリッカを生ずることになる。なお、被照明部に導かれる光の光量がほぼゼロの状態となっても、図2を参照して先に説明したツェナーダイオード60の作用によって、LED31、33に供給される電流が所定の大きさを越すことは無い。したがって、LED31、33に過大な電流が供給されて故障を招くと云った不都合は生じない。
【0044】
ここで図5を参照して、LED31、33に供給される電流の大きさに関して補足説明をしておく。LED33がオン、LED31がオフのとき、「LEDに供給される電流」のグラフは、LED33に供給される電流の大きさを示している。同様に、LED33がオフ、LED31がオンのとき、「LEDに供給される電流」のグラフは、LED31に供給される電流の大きさを示している。これらLED31、33に供給される電流のグラフを見て理解できるように、定常状態、すなわち液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替えが完了し、且つ液晶スイッチ22の偏光変調状態に対応するLEDが発光している状態において、LEDに供給される電流の大きさはほぼ一定の状態となる。図5に示す例においては、この定常状態においてLED31へ供給される電流の大きさと、定常状態においてLED33に供給される電流の大きさとに差があり、LED33に供給される電流の大きさが、LED31に供給される電流の大きさを上回っている。これは、各LED31、33の発光効率に個体差があって異なっていたり、PBS32、1/2波長板36、テーパロッド30、38中をLED31、33から出射した光が通過する際に、各LEDから出射される光の減衰率が異なっていたりすることに起因し得る。本発明に係る光量安定化装置200は、以下の説明で明らかになるように、LED31、33に供給される電流の大きさの変動(この電流変動は、LED31、33から出射される光の光量変動とほぼ一致する)を検知して、その変動が減じられるように液晶スイッチ22の偏光変調切り替えタイミングを制御する。以下、図6A、図6B、図6C、図7A、図7B、及び図7Cを参照して、点灯・消灯が交互に切り替えられるLED31、33から出射される光の光量変動を検出し、その検出結果に基づいて液晶スイッチ22の偏光変調作用切り替えのタイミングを調節する例について説明する。
【0045】
図6A、図6B、図6Cは、図3に示すチャートの時刻t0からt1を含む時間区間を、時間軸方向に拡大して示すタイミングチャートである。被照明部に向かって出射する光量の変動を光量安定化装置200のタイミング生成部18が検出して、液晶スイッチ22の偏光変調切り替えタイミングをどのように調節するかについて、これらの図6A、図6B、図6Cを参照して説明する。なお、図6A、図6B、図6Cには、異なる方法で光量の変動を検出する例が示されており、これら図6A、図6B、図6Cのそれぞれに示される方法に対応するフローチャートが図7A、図7B、図7Cに示されている。
【0046】
図6Aを参照すると、時刻t1においてLED33がオン、LED31がオフの状態からLED33がオフ、LED31がオンの状態に切り替えられるのに先立つ時刻t0において、タイミング生成部18は液晶スイッチ切り替え制御信号をハイからローに切り替える。この時点ではLED33から出射する光はP偏光に偏光状態が揃えられて液晶スイッチ22に入射し、液晶スイッチ22の偏光変調切り替え状態はP偏光光を最大限に透過させる状態で安定している。したがって、光量センサ10で検出される光量も安定しているので、LED33に供給される電流の大きさも安定していて「定常状態」にある。
【0047】
上述のように液晶スイッチ切り替え制御信号をハイからローに切り替える前、或いは切り替えた後、タイミング生成部18はA/Dコンバータ16を介して抵抗84の両端にかかる電圧を繰り返し計測することを開始する。抵抗84の両端にかかる電圧は、基準電流Irefに比例するものであるから、この電圧値を検出することにより、LED31又は33に供給される電流の大きさを知ることが可能となる。以下では、A/Dコンバータ16を介して抵抗84の両端にかかる電圧を測定することにより基準電流Irefの大きさを検出し、その結果からLED31、33に供給される電流の大きさを検出することを、単に「LED31、33に供給される電流の大きさをサンプリングする」と表現する。当業者には明らかなように、LED31、33に供給される電流の大きさを検出するための他の方法として、図2に示される抵抗62、64、66、68、70のいずれかの両端にかかる電圧を測定してもよいし、或いはLED31、33の順方向電圧を測定する等、他の方法を用いてもよい。図6Aに示す例においてタイミング生成部18は、時刻t1におけるLED31、33の点灯・消灯切り替えのタイミングを挟む前後の時間帯において、点灯中のLED33又は31に供給される電流の大きさを繰り返しサンプリングする。その様子が図6Aにおいてサンプリングb1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9で示されている。図6Aでは、時刻t1におけるLED31、33の点灯・消灯切り替えのタイミングを挟む前後の時間帯において、それぞれ9回づつサンプリングする例が示されているが、そのサンプリング回数及びサンプリング間隔は例示を目的としたものであって、本発明を制限することを意図したものではない。
【0048】
時刻t0からある長さの時間が経過した後、液晶スイッチ22の偏光変調切り替え状態が変化し始め、その結果P偏光光に対する透過率が減少し始めるのに伴い、光量センサ10で検出される光量も減少し始める。しかし、光量安定化装置200はその光量減少を検出してLED33に供給される電流の大きさを増し始める。その結果、液晶スイッチ22の偏光変調状態が切り替わり始めるまでのサンプリングb1からb4までは、検出される電流の大きさが安定していて「定常状態」にあり、偏光変調状態が切り替わり始めた後のサンプリングb5からb9では検出される電流の大きさが徐々に増加して「変動状態」にあると定義することができる。
【0049】
時刻t1において、LED33が消灯し、LED31が点灯する状態に切り替えられると、LED31から出射する光がS偏光に偏光状態が揃えられた状態で液晶スイッチ22に入射する。時刻t1においては、液晶スイッチ22の偏光変調状態はまだ過渡期にあるため、光量センサ10で検出される光量は少なめとなるので、光量安定化装置200はLED31に供給する電流を増す。その後、液晶スイッチ22の偏光変調状態がS偏光光を最大限に透過してP偏光光に旋光する状態に近づくにつれ、光量センサ10で検出される光量が増加するので、LED31に供給される電流は徐々に減少する。その結果、サンプリングa1からa6までは検出される電流の大きさが徐々に減少して「変動状態」にあり、偏光変調状態が切り替わった後のサンプリングa6からa9では検出される電流の大きさが安定して「定常状態」にある。
【0050】
時刻t1の前後においてLED33、LED31のそれぞれに供給される電流の大きさを図6Aに示される例で比較すると、LED33に供給される電流の大きさの方が大きい。しかし、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替え動作が過渡的現象を伴うことにより生じる、光量安定化装置200からLED31、33に供給される電流の変動の大きさという観点から捉えたときには、以下に説明するように結果が異なる場合がある。
【0051】
上記「変動状態」においてLED31、33それぞれに対して供給される電流の大きさに対する、「定常状態」においてLED31、33それぞれに対して供給される電流の大きさの比(以下、これを「電流変動率」と称する)を求めてグラフ化すると、図6Aの一番下のグラフに示されるような結果となる。すなわち、時刻t1を境としてLED31、33それぞれに供給される電流の積算値を比較すると、LED33に供給される積算電流値の方が大きいが、電流変動率で比較すると、LED31の方が変動率は大きい。このような結果となるのは、「定常状態」においてLED31に供給される電流の大きさが、「定常状態」においてLED33に供給される電流の大きさに比して小さいため、LED31の電流変動率の方が電流の変動に敏感となるからである。
【0052】
引き続き図6Aを参照し、上記電流変動率の求め方について具体的に説明すると、サンプリングb1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9によって得られたそれぞれの計測値を(b1、b2,…,b9,a1,a2,…,a9)と表し、以下の式(1)及び(2)を用いて、上記の電流変動率を算出する。

Bi=bi/min(b1,b2,…,b9)−1 … 式(1)

Ai=ai/min(a1、a2、…,a9)−1 … 式(2)

上記式(1)における、min(b1,b2,…、b9)、及び上記式(2)における、min(a1、a2、…、a9)はそれぞれ、サンプリングb1,b2,…,b9によって得られた計測値中の最小値、サンプリングa1,a2,…,a9によって得られた計測値中の最小値を意味する。これらの最小値min(b1,b2,…、b9)及びmin(a1,a2,…,a9)は、「定常状態」においてLED31、33それぞれに供給される電流の大きさに相当する。すなわち、min(b1,b2,…、b9)は計測値b1、b2、b3、b4のうち、いずれかの値であり、min(a1,a2,…,a9)は計測値a6,a7,a8,a9のうち、いずれかの値である。そしてb1,b2,…,b9の各計測値を、min(b1,b2,…、b9)で除算し、又、a1,a2,…,a9の各計測値を、min(a1,a2,…,a9)で除算することにより、「変動状態」における計測値の、「定常状態」における計測値に対する比を算出することができる。さらに、このようにして求められた比から値1を減ずることにより、いわゆる定常成分が除去されて電流変動率のみに関与する値を求めることができる。本発明の実施の形態において、このように各サンプリングによって得られた計測値のそれぞれを、それらの計測値のうち、「定常状態」においてサンプリングして得られた計測値で除算して値1を減ずる処理を「正規化する」と称する。
【0053】
以上に説明した方法によって計測値b1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9に「正規化」の処理を施して電流変動率B1,B2,…,B9,A1,A2,…,A9を求め、プロットしたものが図6Aの一番下に示されるグラフとなる。このグラフにおいては、LED31、33に供給される電流の大きさの変動率だけが抽出されてプロットされている。
【0054】
以上のように、LED31、33の発光・消灯が切り替えられるタイミングの前後においてそれぞれのLEDに供給される電流の大きさを繰り返しサンプリングして得られた計測結果に対して上述した「正規化」の処理をすることにより、LED31、33それぞれの発光量の変動に関連する指標を算出することができる。この指標をLED31、33それぞれの発光期間ごとに積算することにより、図6Aの一番下に示すグラフにおいて、時刻t1よりも前側の三角形の面積と、時刻t1より後側の三角形の面積とが求められる。図6Aに示す例においては、LED31の発光量の変動に関連する指標の積算値の方が大きいことから、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりが遅いと判断することができる。このような場合、タイミング生成部18は、次のLED発光切り替えタイミングに対して液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりのタイミングを所定時間早める。
【0055】
この、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを早める、或いは遅くする際の制御単位(制御分解能)は、照明装置の用途や、LED31、33の発光切り替え周期等に応じて適宜設定することが可能である。例えば照明装置が画像投影装置の光源として用いられる場合、LED31、33の発光切り替え周期を1/60秒(約16.7ミリ秒)とすることができる。そのような場合には、上述の制御単位を0.1ミリ秒から2ミリ秒の間に設定することが望ましい。そして、1/60秒ごとに上述した液晶スイッチの切り替えタイミングを制御することにより、液晶スイッチ22の温度が変化する速度に比して十分に早い速度で液晶スイッチの切り替えタイミングが最適化される。
【0056】
図7Aは、以上で図6Aを参照して説明した処理をタイミング生成部18内部で行う際の処理手順を示すフローチャートである。図7Aに示される処理は、タイミング生成部18内のCPUによって実行される光源制御プログラム中で、LED31、33の発光切り替え制御タイミング(図6Aの時刻t1)に先立ってコールされるサブルーチンとして示されている。図7Aに示される処理プログラムは、例えば液晶スイッチ22に対して偏光変調状態切り替えの制御信号を発するタイミングに近いタイミングでコールされて実行される。
【0057】
タイミング生成部18はS711において、図6Aのサンプリングb1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9の処理を行う。すなわち、第1の光源としてのLED33がオン、第2の光源としてのLED31がオフの状態からLED33がオフ、LED31がオンの状態に切り替えられる前から後にわたる一定時間の間、LED33、31に供給される電流値をタイミング生成部18は繰り返しサンプリングする。
【0058】
S712においてタイミング生成部18は、S711でサンプリングして得られた測定値(b1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9)のそれぞれに対して上記式(1)、式(2)で示される「正規化」の処理を施して、LED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標(B1,B2,…B9,A1,A2,…,A9)を求める。
【0059】
S713においてタイミング生成部18は、S712で求めたLED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標(B1,B2,…,B9)及び(A1,A2,…,A9)の積算値SB、SAをそれぞれ算出する。
【0060】
S714においてタイミング生成部18は、S713で算出した積算値SB、SAの大きさを比較し、積算値SBが積算値SAよりも大きいか否かを判定する。
【0061】
S714における判定が肯定された場合の分岐先であるS715においてタイミング生成部18は、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを所定時間遅らせる処理を実行してリターンする。その理由は、LED31に供給される電流の大きさの変動に比してLED33に供給される電流の大きさの変動が大きい(発光切り替え前の電流変動が大きい)ということは、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりタイミングが理想的な状態に対して早まっていることが予想されるからである。
【0062】
S714における判定が否定された場合の分岐先であるS716においてタイミング生成部18は、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを所定時間早める処理を実行してリターンする。その理由は、LED31に供給される電流の大きさの変動に比してLED33に供給される電流の大きさの変動が小さい(発光切り替え後の電流変動が大きい)ということは、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりタイミングが理想的な状態に対して遅くなっていることが予想されるからである。
【0063】
なお、図7Aに示す処理においては、SA=SBの場合、すなわち液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替えタイミングが理想的である場合も、S714での判定によってS716に分岐し、液晶スイッチ22の制御信号の立ち下がりタイミングが早められてしまう。しかし、この処理による液晶スイッチ22の偏光変調状態切り替わりのタイミング変化は上述したように僅かであり、次の発光切り替え周期ですぐに補正がなされるので問題はない。或いは、必要に応じてSA=SBである場合の分岐先を設けるように処理プログラムを変更し、SA=SBと判定される場合には液晶スイッチ22の制御信号のタイミングを変化させずに維持するように処理をしてもよい。後で説明する図7B、及び図7Cにおける処理も同様である。
【0064】
以上、図6A及び図7Aを参照して説明した液晶スイッチ22の偏光変調状態切り替えタイミング制御の処理においては、
・LED31、33の発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定時間の間、LED31、33に供給される電流の大きさ(b1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9)を繰り返しサンプリングし、
・サンプリングして得られた電流の大きさから、発光切り替えタイミングの前後それぞれにおいて、LED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標(B1,B2,…,B9,A1,A2,… ,A9)を導出し、
・発光切り替えタイミングの前後における上記指標(B1,B2,…,B9,A1,A2,…,A9)の積算値SA、SBを求め、
・これらの積算値SA、SBを比較して次の周期における液晶スイッチ22の制御信号の切り替えタイミングを調整するものであった。
【0065】
これに対して、図6B及び図7Bに示されるものは、LED31、33の発光切り替えタイミング前後においてLED31、33に供給される電流の大きさをサンプリングする際の回数を減じて、上述した電流の変動に関連する指標の積算値SA、SBを推定によって求めるものである。
【0066】
図6Bを参照すると、LED31、33の発光切り替えタイミングt1の前においてLED33に供給される電流の大きさが3回サンプリング(b1,b6,b9)され、t1の後においてLED31に供給される電流の大きさが3回サンプリング(a1,a4,a9)される。以下、これらのサンプリングのタイミングについて説明する。
【0067】
時刻t1よりも前で、LED33が発光している状態において、LED33に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回サンプリングが行われ(b1)、LED33に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で2回サンプリングが行われて(b6,b9)いる。同様に、時刻t1より後で、LED31が発光している状態において、LED31に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回サンプリングが行われ(a9)、LED31に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で2回サンプリングが行われて(a1,a4)いる。
【0068】
上記のサンプリングのタイミングは、次のようにして設定することが可能である。液晶スイッチ切り替え制御信号が変化するタイミング、及びLED31、33の発光切り替えタイミングはいずれもタイミング生成部18によって把握されている。又、液晶スイッチ22の想定しうる温度範囲内における偏光変調状態の切り替わり速度(液晶スイッチ切り替え制御信号が切り替わってから液晶スイッチ22がその偏光変調状態を切り替え終えるまでの時間)も、事前の実験によって求めることができる。したがって、タイミング生成部18が時刻t0において液晶スイッチ切り替え制御信号を切り替え、時刻t1においてLED31、33の発光切り替えを行う場合に、どのようなタイミングでLED31、33に供給される電流の大きさのサンプリングを行えば上記のようなサンプリングb1,b6,b9,a1,a4,a9が可能かは容易に決定することが可能である。
【0069】
上記のサンプリングb1,b6,b9,a1,a4,a9によって得られたそれぞれの計測値を(b1,b6,b9,a1,a4,a9)と表すと、これらの計測値b1,b6,b9,a1,a4,a9に対し、図6Aを参照して先に説明した「正規化」の処理をして、LED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標(B1,B6,B9,A1,A4,A9)を導出する。次に、これらの指標(B1,B6,B9,A1,A4,A9)をもとに、先に説明した積算値SA、SBを求めるのであるが、図6Aを参照して説明したのと異なり、図6Bに示される例においては、これらの指標(B1,B6,B9,A1,A4,A9)から積算値SA、SBを近似によって求める。例えば、A/Dコンバータ16のサンプリング周波数に制約があって、より短い時間間隔でのサンプリングが行えないような場合に、図6B及び図7Bを参照して説明する方法が有効である。
【0070】
これらの積算値SA、SBは、図6Bの一番下に示されるグラフにおいて、時刻t1よりも右側の三角形の部分、左側の三角形の部分の面積に相当する。上記のように積算値SA、SBを求めて比較した結果に基づき、図6A及び図7Aを参照して説明したのと同様の方法によって次の周期における液晶スイッチ22の制御信号の切り替えタイミングを調整することができる。
【0071】
図7Bは、以上で図6Bを参照して説明した処理をタイミング生成部18内部で行う際の処理手順を示すフローチャートである。図7Bに示される処理は、タイミング生成部18内のCPUによって実行される光源制御プログラム中で、LED31、33の発光切り替え制御タイミング(図6Bの時刻t1)に先立ってコールされるサブルーチンとして示されている。図7Bに示される処理プログラムは、例えば液晶スイッチ22に対して偏光変調状態切り替えの制御信号を発するタイミングに近いタイミングでコールされて実行される。
【0072】
タイミング生成部18はS721において、図6Bに示すb1,b6,b9,a1,a4,a9のサンプリングをする処理を行う。すなわち、タイミング生成部18は、第1の光源としてのLED33が発光している状態において、LED33に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回(b1)、LED33に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で2回(b6,b9)、サンプリングを行う。同様に、時刻t1より後で、第2の光源としてのLED31が発光している状態において、LED31に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回(a9)、LED31に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で2回(a1,a4)サンプリングを行う。
【0073】
S722においてタイミング生成部18は、S721でサンプリングして得られた測定値(b1,b6,b9,a1,a4,a9)のそれぞれに対して下記式(3)、式(4)で示される「正規化」の処理を施して、LED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標(B1,B4,B9,A1,A4,A9)を求める。

Bi=bi/b1−1 … 式(3)

Ai=ai/a9−1 … 式(4)

S723においてタイミング生成部18は、S722で求めたLED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標(B1,B4,B9)及び(A1,A4,A9)の推定積算値SB、SAをそれぞれ算出する。この推定積算値SB、SAの算出方法について図7Bを参照して説明する。先ず、推定積算値SBを求めるにあたり、値が既に分かっているものを列挙すると、B1、B6、B9及びサンプリングb6とサンプリングb9との間の時間間隔tbである。そこで、tbを底辺とし、(B9−B6)を高さとする三角形の面積、すなわち0.5*tb*(B9−B6)を求める。ここで記号「*」は乗算を表す。次に、上記の計算結果に対し、高さ(B9−B6)を有する三角形と、高さ(B9−B1)を有する三角形との相似比(B9−B1)/(B9−B6)の二乗を乗じて式を整理すると、推定積算値SBを求める式は以下の式(5)で示されるものとなる。

SB=0.5*tb*(B9−B1)2/(B9−B6) … 式(5)

同様にして、推定積算値SAを求めるにあたり、値が既に分かっているものを列挙すると、A1、A4、A9及びサンプリングa1とサンプリングa4との間の時間間隔taである。推定積算値SBの求め方に関して以上に説明したのと同様にして、推定積算値SAは以下の式(6)で示されるものとなる。

SA=0.5*ta*(A1−A9)2/(A1−A4) … 式(6)
S724においてタイミング生成部18は、S723で算出した、LED31、33のそれぞれに供給される電流の大きさの変動に関連する指標の推定積算値SB、SAの大きさを比較し、積算値SBが積算値SAよりも大きいか否かを判定する。
【0074】
S724における判定が肯定された場合の分岐先であるS725においてタイミング生成部18は、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを所定時間遅らせる処理を実行してリターンする。その理由は、LED31に供給される電流の大きさの変動に比してLED33に供給される電流の大きさの変動が大きい(発光切り替え前の電流変動が大きい)ということは、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりタイミングが理想的な状態に対して早まっていることが予想されるからである。
【0075】
S724における判定が否定された場合の分岐先であるS726においてタイミング生成部18は、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを所定時間早める処理を実行してリターンする。その理由は、LED31に供給される電流の大きさの変動に比してLED33に供給される電流の大きさの変動が小さい(発光切り替え後の電流変動が大きい)ということは、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりタイミングが理想的な状態に対して遅くなっていることが予想されるからである。
【0076】
なお、図6B及び図7Bを参照しての上記説明において、タイミング生成部18が、
・第1の光源としてのLED33が発光している状態において、LED33に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回(b1)、LED33に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で2回(b6,b9)、サンプリングを行い、
・時刻t1より後で、第2の光源としてのLED31が発光している状態において、LED31に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回(a9)、LED31に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で2回(a1,a4)サンプリングを行う、
例について説明した。しかし、上記のサンプリング回数については、LED31又は33に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で2回以上とし、LED31又は33に供給される電流の大きさが変動する可能性のある時間帯で3回以上とするものであってもよい。
【0077】
図6C及び図7Cを参照して説明する以下の方法においては、LED31、33の発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内において、先ず第1の光源としてのLED33の発光期間中、LED33から出射される光の光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、LED33が消灯する寸前のタイミングで1回、LED33に供給される電流の大きさをサンプリングする。次に、第2の光源としてのLED31の発光期間中、LED31が点灯を開始した直後のタイミングで1回、前記第2の光源から出射される光の光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、LED31に供給される電流の大きさをサンプリングする。このようにサンプリングをして得た計測結果を用い、LED33に供給される電流の大きさの変動量に関連する指標とLED31に供給される電流の大きさの変動量に関連する指標とを算出してこれらを比較し、その比較結果に基づいて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調節する。図6A、図6B、図7A、図7Bを参照して説明した方法との大きな違いは、LED31、33に供給される電流の大きさの変動量に関連する指標の積算値を求める処理が無い点である。
【0078】
図6Cを参照すると、LED31、33の発光切り替えタイミングt1の前においてLED33に供給される電流が2回サンプリング(b1,b9)され、t1の後においてLED31に供給される電流が2回サンプリング(a1,a9)される。以下、これらのサンプリングのタイミングについて説明する。
【0079】
時刻t1よりも前で、LED33が発光している状態において、LED33に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中でサンプリングが1回行われ(b1)、LED33が消灯する寸前のタイミングでサンプリングが1回行われて(b9)いる。同様に、時刻t1より後で、LED31が発光している状態において、LED31が発光を開始した直後のタイミングでサンプリングが1回行われ(a1)、LED31に供給される電流が変動していないことが予想される時間帯中でサンプリングが1回行われて(a9)いる。
【0080】
上記のサンプリングのタイミングは、次のようにして設定することが可能である。液晶スイッチ切り替え制御信号が変化するタイミング、及びLED31、33の発光切り替えタイミングはいずれもタイミング生成部18によって把握されている。又、液晶スイッチ22の想定しうる温度範囲内における偏光変調状態の切り替わり速度(液晶スイッチ切り替え制御信号が切り替わってから液晶スイッチ22がその偏光変調状態を切り替え終えるまでの時間)も、事前の実験によって求めることができる。したがって、タイミング生成部18が時刻t0において液晶スイッチ切り替え制御信号を切り替え、時刻t1においてLED31、33の発光切り替えを行う場合に、どのようなタイミングでLED31、33に供給される電流のサンプリングを行えば上記のようなサンプリングb1,b9,a1,a9が可能かは容易に決定することが可能である。
【0081】
上記のサンプリングb1,b9,a1,a9によって得られたそれぞれの計測値を(b1,b9,a1,a9)と表すと、これらの計測値b1,b9,a1,a9を用い、図6Aを参照して先に説明した「正規化」の処理をして、LED31、33のそれぞれに供給される電流の変動に関連する指標(A,B)を導出する。図6Cに示される方法も、図6Bに示される用法と同様、例えば、A/Dコンバータ16のサンプリング周波数に制約があって、より短い時間間隔でのサンプリングが行えないような場合に有効である。
【0082】
これらの指標A、Bは、図6Cの一番下に示されるグラフにおいて、LED33が消灯する直前及びLED31が点灯を開始した直後、それぞれのタイミングにおいてLED31又は33に供給される電流の変動に関連する指標となっている。LED31、33それぞれに供給される電流は、LED31、33の発光切り替えタイミングにおいて最大となるので、上記指標も又LED31、33の発光切り替えタイミングにおいて最大となる。したがって、指標A及びBを比較することにより、LED33、31のうち、どちらに供給される電流の変動が多いかを判定することが可能であり、その結果に基づいて次の発光切り替えタイミングに際して行われる液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節することが可能となる。
【0083】
図7Cは、以上で図6Cを参照して説明した処理をタイミング生成部18内部で行う際の処理手順を示すフローチャートである。図7Cに示される処理は、タイミング生成部18内のCPUによって実行される光源制御プログラム中で、LED31、33の発光切り替え制御タイミング(図6Cの時刻t1)に先立ってコールされるサブルーチンとして示されている。図7Cに示される処理プログラムは、例えば液晶スイッチ22に対して偏光変調状態切り替えの制御信号を発するタイミングに近いタイミングでコールされて実行される。
【0084】
タイミング生成部18はS731において、図6Cに示すb1,b9,a1,a9のサンプリングをする処理を行う。すなわち、タイミング生成部18は、第1の光源としてのLED33が発光している状態において、LED33に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回(b1)、LED33が消灯する寸前で1回(b9)、サンプリングを行う。同様に、時刻t1より後で、第2の光源としてのLED31が発光している状態において、LED31が点灯を開始した直後で1回(a1)、LED31に供給される電流の大きさが変動していないことが予測される時間帯中で1回(a9)、サンプリングを行う。以上のサンプリングを行うことにより、LED33が点灯から消灯に切り替わるタイミングの前後において、LED33、31それぞれに供給される電流の定常値及び最大値をサンプリングすることができる。
【0085】
S732においてタイミング生成部18は、S731でサンプリングして得られた測定値(b1,b9,a1,a9)を用いて、下記式(7)、式(8)で示される「正規化」の処理を施して、LED31、33のそれぞれに供給される電流の変動に関連する指標(B,A)を求める。

B=b9/b1−1 … 式(7)

A=a1/a9−1 … 式(8)

S733においてタイミング生成部18は、S732で算出した、LED31、33のそれぞれに供給される電流の変動に関連する、指標Aと指標Bとを比較し、指標Bが指標Aよりも大きいか否かを判定する。
【0086】
S733における判定が肯定された場合の分岐先であるS734においてタイミング生成部18は、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを所定時間遅らせる処理を実行してリターンする。その理由は、LED31に供給される電流の変動に比してLED33に供給される電流の変動が大きい(LED33が消灯する寸前の電流変動の方が、LED31が点灯を開始した直後の電流変動よりも大きい)ということは、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりタイミングが理想的な状態に対して早まっていることが予想されるからである。
【0087】
S733における判定が否定された場合の分岐先であるS735においてタイミング生成部18は、液晶スイッチ切り替え制御信号の立ち下がりタイミングを所定時間早める処理を実行してリターンする。その理由は、LED31に供給される電流の変動に比してLED33に供給される電流の変動が小さい(LED33が消灯する寸前の電流変動よりも、LED31が点灯を開始した直後の電流変動の方が大きい)ということは、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替わりタイミングが理想的な状態に対して遅くなっていることが予想されるからである。
【0088】
以上、図6A、図7A、図6B、図7B、図6C、図7Cを参照して、LED33が点灯、LED31が消灯の状態から、LED33が消灯、LED31が点灯の状態に切り替わるタイミングt1の前後においてLED31、33に供給される電流の変動の大きさに基づいて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調整する例について説明した。本発明は上記に加えて、図3における時刻t3、すなわちLED33が消灯、LED31が点灯の状態から、LED33が点灯、LED31が消灯の状態に切り替わるタイミングにおいても以上に説明したのと同様の方法によって液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調節することが可能であることは当業者には明らかである。
【0089】
又、以上では、LED31、33に供給される電流の大きさを決定する基準電流Irefの値を、タイミング生成部18に接続されるA/Dコンバータ16を介して検出し、この検出結果からLED31、33に供給される電流の大きさを検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、LED31、33の発光切り替えと相前後して液晶スイッチ22の偏光変調状態が切り替えられる際に生じるLED31、33それぞれから出射される光の光量変動を検出できれば、LED31、33それぞれの光量変動の大きさを比較して、液晶スイッチ22の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節することができる。この、光量の変動の大きさを検出する方法の一例として以上ではLED31、33に供給される電流値の変動を検出する例について説明したが、他の方法を用いることもできる。これについて図8を参照して説明する。
【0090】
図8の(a)は、LED31、33に供給される電流と、これらのLED31、33の両端にかかる順方向電圧との関係を例示するグラフである。このような関係をルックアップテーブル化してタイミング生成部18内部のメモリに記憶しておくことが可能である。或いは、図8(a)に示されるようなグラフに対応する関数をプログラムしておき、検出される電流から順方向電圧を計算により求めることができる。そして、LED31、33に供給される電流の大きさを、A/Dコンバータ16を介して検出し、その電流の大きさに基づいて上記ルックアップテーブル又は関数から順方向電圧を求め、電流と順方向電圧との積から、LED31、33に供給される電力を求める構成を有していてもよい。或いは、別のA/Dコンバータを設けてLED31、33の順方向電圧を測定した結果をタイミング生成部18に入力するように構成することも可能である。そして、LED31、33に供給される電流の大きさに代えて、LED31、33に供給される電力の大きさを検出し、その電力の変動を検出して、以上に説明した方法に準じて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調整することができる。
【0091】
図8の(b)は、LED31、33に供給される電流の大きさとこれらLED31、33のそれぞれから出射される光の光量との関係を例図する図である。このような関係も又、タイミング生成部18内部のメモリにルックアップテーブル化して記憶しておくことができる。或いは、図8(b)に示されるようなグラフに対応する関数をプログラムしておき、検出される電流から光量を計算により求めることができる。そしてタイミング生成部18は、A/Dコンバータ16を介してLED31、33に供給される電流の大きさを検出し、その電流の大きさに基づいて上記ルックアップテーブル又は関数からLED31、33の光量を求めることができる。そして、LED31、33に供給される電流の大きさに代えて、LED31、33から出射される光の光量変動の大きさを検出し、以上に説明した方法に準じて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調整することができる。
【0092】
LED31、33から出射される光の光量変動の大きさを検出するために、例えば図1Aに示されるようにインテグレータロッド40にライトガイド50を介して光量センサ52を配置しておくことも可能である。そして、LED31、33の発光切り替えタイミングの前後において発光ダイオード31、33から出射される光の光量変動を光量センサ52で検出し、以上に説明した方法に準じて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調整することができる。以上のように、LED31、33のそれぞれから出射された光が共通の光路を経て進む位置に光量センサを設けることにより、一つの光量センサでLED31、33のいずれから出射する光の光量変動も検出することができる。或いは、テーパロッド30、38それぞれの近傍に不図示の光量センサをそれぞれ設け、LED31、33から出射される光の光量変動を独立して検出することも可能である。以上の説明から明らかなように、本発明においては、LED31、33から出射されるそれぞれの光の光量に関連する物理量を検出することにより、これらLED31、33から出射される光の光量の変動を検出することが可能となる。
【0093】
以上では、液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調節する際に、LED31、33の発光切り替え前後におけるLED31、33それぞれから出射される光の光量変動の大きさを比較し、その比較結果に基づいて上記偏光変調作用の切り替えタイミングをずらす例について説明した。これに対して、LED31、33の発光切り替え前後におけるLED31、33それぞれから出射される光の光量が変動を生じている時間の長さを求め、この時間の長さの比較結果に基づいて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを調節するようにしてもよい。例えば、図6Aを参照して説明すると、LED31、33の発光切り替えタイミングt1の前後にわたる時間においてサンプリング(b1,b2,…,b9,a1,a2,…,a9)を行う。このサンプリング結果から、LED31、33から出射される光に光量変動を生じているのは、サンプリング(b4,b5,…b9)が行われた時間帯及びサンプリング(a1,a2,…,a6)が行われた時間帯であることを判定する。これらの時間帯の長さを比較して、例えばサンプリング(a1,a2,…,a6)が行われた時間帯の長さの方が長いと判断された場合に、液晶スイッチ22の偏光変調作用切り替えタイミングを早める。理由は、LED33が発光しているとき(時刻t1よりも前側)で発光量に変動を生じている時間よりも、LED31が発光しているとき(時刻t1よりも後側)で発光量に変動を生じている時間の方が長い、ということは、液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングが遅れていることが予想されるからである。
【0094】
又、本発明に係る照明装置においては、以上に説明したように、例えば図5における、液晶スイッチ22の温度が35°Cの場合、すなわち被照明部に導かれる光の量が一定であっても、LED31、33の発光切り替えタイミングの前後においてLED31、33それぞれから出射する光の光量の変動に差を生じている場合には液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングが制御される。その結果、図5における、液晶スイッチ22の温度が20°Cの場合として示される状態に近い状態となり、特定のLEDだけ発光量の変動が大きくなって、エネルギを無駄に消費したり、LEDの寿命を縮めてしまったりするような不具合が抑制され、被照明部に導かれる光の量も一定に保たれる。これに代えて、液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミング制御を以下のようにすることも可能である。すなわち、液晶スイッチ22を透過して被照明部に導かれる光の光量を検出するためのセンサを設けるか、或いは上述した光量センサ10から信号を入力し、図5における液晶スイッチ22の温度が50°Cの場合のグラフに示されるように、被照明部に導かれる光が断続的、或いは光量に変動を生じていることを検出する。そして、LED31が発光している時間の中で被照明部に導かれる光が途切れている(或いは光量が変動している)時間と、LED33が発光している時間の中で被照明部に導かれる光が途切れている時間(或いは光量が変動している時間)とを比較し、その比較結果に基づいて液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを制御する。この場合、片方のLEDの光量変動が増え始めていること(図5における、液晶スイッチ22の温度が35°Cのような状態)は検出できないが、フリッカの発生は抑制できる。
【0095】
さらに、以上の説明において、LED31、33から出射される光の光量を制御するために、LED31、33に供給される電流の大きさを変化させる例について説明したが、LED31、33に供給する電流の大きさは一定としておき、PWM制御によって光量の制御を行うものであってもよい。その場合、LED31、33から出射される光の光量の変動を検出するためには、PWM制御に際してLED31、33に供給されるパルス状電流のデューティー比の変動を検出することが可能である。
【0096】
以上の説明においては、LED31、33の発光を切り替える度、液晶スイッチ22の偏光変調作用の切り替えタイミングを毎回制御する例について説明したが、これらLED31、33の発光切り替えを所定回数行う度に1回行うようにしてもよいし、所定の時間間隔をおいて行うようにしてもよい。
【0097】
ここで図9を参照して、本発明に係る照明装置を複数備える画像投影装置について説明する。図9に示される画像投影装置では、図1Aを参照して説明した照明装置が3つ用いられ、それぞれの照明装置はR(赤色)画像投影用照明装置、G(緑色)画像投影用照明装置、B(青色)画像投影用照明装置として機能する。これらR、G、B各色の画像投影用照明装置には符号100R、100G、100Bが付されている。図9では図示されていないが、これらの照明装置100R、100G、100Bのそれぞれには、図2を参照して説明した光量安定化装置200が接続されている。
【0098】
図9中に示される照明装置100R、100G、100Bそれぞれを構成する要素で、図1Aに示される照明装置100を構成する要素と同様の作用を有するものについては、照明装置100を構成する各要素に付された数字と同じ数字(例:30、40)が付されており、それらの数字の後にR、G、Bの文字が付されている(例:30R、30G、30B、40R、40B、40G)。上記のようにして符号が付された要素については、その説明を省略する。
【0099】
図9において、R、G、B各色の光を選択的に透過又は反射可能に構成されるクロスダイクロイックプリズム46が有する3つの入射面と、照明装置100R、100G、100Bそれぞれの照明光出射部とが対向するようにして、これらクロスダイクロイックプリズム46及びR、G、B各色の照明装置100R、100G、100Bが配置されている。
【0100】
R色照明装置100Rの照明光出射部とクロスダイクロイックプリズム46のR色用入射面との間には、R色画像生成用の透過形液晶表示素子43R(以下、「R液晶43R」と称する)と、R色検光子としての偏光板44Rとが配置されている。すなわち、照明装置100Rの照明光出射部から出射される光は、被照明部としてのR液晶43Rに入射し、このR液晶43R及び偏光板44R透過して形成されたR画像光はクロスダイクロイックプリズム46に入射してR色用反射面46rで反射され、出射面46eから出射する。
【0101】
B色照明装置100Bの照明光出射部とクロスダイクロイックプリズム46のB色用入射面との間には、B色画像生成用の透過形液晶表示素子43B(以下、「B液晶43B」と称する)と、B色検光子としての偏光板44Bとが配置されている。すなわち、照明装置100Bの照明光出射部から出射される光は、被照明部としてのB液晶43Bに入射し、このB液晶43B及び偏光板44B透過して形成されたB画像光はクロスダイクロイックプリズム46に入射してB色用反射面46bで反射され、出射面46eから出射する。
【0102】
G色照明装置100Gの照明光出射部とクロスダイクロイックプリズム46のG色用入射面との間には、G色画像生成用の透過形液晶表示素子43G(以下、「G液晶43G」と称する)と、G色検光子としての偏光板44Gとが配置されている。すなわち、照明装置100Gの照明光出射部から出射される光は、被照明部としてのG液晶43Gに入射し、このG液晶43G及び偏光板44G透過して形成されたG画像光はクロスダイクロイックプリズム46に入射してR色用反射面46r及びB色反射面46bを透過して直進し、出射面46eから出射する。
【0103】
以上に説明したようにクロスダイクロイックプリズム46の出射面46eから出射したR、G、Bの各色の画像光は投影レンズ48を介してスクリーンS上に投影される。R、G、B各色の照明装置100R、100G、100Bは、それぞれ独立して光量の安定化が図られ、それぞれの照明装置の液晶スイッチ22R、22G、22Bも又各色ごとに独立してそれらの偏光変調作用の切り替えタイミングが調節される。したがって、各色の照明装置100R、100G、100Bから被照明部に向けて出射される照明光の光量は安定し、カラーバランスの崩れやフリッカの無い高品位の画像を投影することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る照明装置は、内視鏡や顕微鏡などの照明装置、或いは他の用途向けの照明装置、例えば自動車用の前照灯などとして利用することができる。又、データ・プロジェクタ等の画像投影装置や、リヤプロジェクション式の画像表示装置等に利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1A】照明装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図1B】光源から出射された光が被照明部に向かって導かれる様子を示す光路図である。
【図2】光量安定化装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図3】光源の発光切り替えに連動して液晶スイッチの偏光変調作用が切り替えられる様子及び光源に供給される電流が変動する様子を説明するタイミング図である。
【図4】液晶スイッチの温度が変わるのに伴い、液晶スイッチ切り替え制御信号が切り替わってから液晶スイッチの偏光変調状態が切り替わるまでの過渡特性が変化する様子を説明するタイミング図である。
【図5】液晶スイッチの温度が変わるのに伴い、液晶スイッチ切り替え制御信号が切り替わってから液晶スイッチの偏光変調状態が切り替わるまでの過渡特性が変化し、それによって光源に供給される電流の変動量が変わる様子を説明するタイミング図である。
【図6A】光源の発光切り替えタイミングの前から後にわたる時間の間、各光源に供給される電流の大きさを測定して、その測定結果から光源に供給される電流の変動の大きさを求める方法の一例を説明する図である。
【図6B】光源の発光切り替えタイミングの前から後にわたる時間の間、各光源に供給される電流の大きさを測定して、その測定結果から光源に供給される電流の変動の大きさを求める方法の別の一例を説明する図である。
【図6C】光源の発光切り替えタイミングの前から後にわたる時間の間、各光源に供給される電流の大きさを測定して、その測定結果から光源に供給される電流の変動の大きさを求める方法のさらに別の一例を説明する図である。
【図7A】タイミング生成部により、図6Aに示される方法に従って液晶スイッチの偏光変調作用の切り替えタイミングが調整される際の手順を示すフローチャートである。
【図7B】タイミング生成部により、図6Bに示される方法に従って液晶スイッチの偏光変調作用の切り替えタイミングが調整される際の手順を示すフローチャートである。
【図7C】タイミング生成部により、図6Cに示される方法に従って液晶スイッチの偏光変調作用の切り替えタイミングが調整される際の手順を示すフローチャートである。
【図8】図8(a)は、光源としてのLEDに供給される電流と順方向電圧との関係を例示する図であり、図8(b)は、光源としてのLEDに供給される電流と光源から出射される光の光量との関係を例示する図である。
【図9】本発明に係る照明装置を画像投影装置に組み込む例を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0106】
10、52 光量センサ
16 A/Dコンバータ
18 タイミング生成部
22 液晶スイッチ
30、38 テーパロッド
31 LED(第1の光源)
32 PBS
33 LED(第2の光源)
34 直角プリズム
36 1/2波長板
40 インテグレータロッド
42 偏光板
44 偏光板(検光子)
46 クロスダイクロイックプリズム
48 投影レンズ
50 ライトガイド
60 ツェナーダイオード
72、74、76、78、80 電流増幅用のFET
82 基準電流生成用のFET
84 基準電流検出用の抵抗
86、88 スイッチング用のFET
100 照明装置
200 光量安定化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
P偏光光出射用のP偏光光源と、S偏光光出射用のS偏光光源とを有する偏光光発光部であって、予め定められた発光切り替えタイミングに従ってP偏光光及びS偏光光を同一の出射部から交互に出射可能に構成される、偏光光発光部と、
前記同一の出射部から出射される前記P偏光光及び前記S偏光光のうち、一方の偏光光が出射されるときにはその偏光状態を変えることなく透過させ、他方の偏光光が出射されるときにはその偏光状態を前記一方の偏光光と同じ偏光状態となるように変化させて透過させるように偏光変調作用を切り替え可能に構成される偏光変調手段と、
前記偏光変調手段を透過した光の光量を検出する光量検出手段と、
前記光量検出手段による前記光量の検出結果に基づき、前記P偏光光源及び前記S偏光光源から出射されるそれぞれの光の発光量を制御して、前記偏光変調手段を透過して被照明部に向かう光の光量が略一定となるように構成される光源光量制御手段と、
前記発光切り替えタイミングの前後において前記P偏光光源及び前記S偏光光源から出射されるそれぞれの光の、発光量の変動に関連する指標を導出する光源発光量変動導出手段と、
前記光源発光量変動導出手段による前記指標の導出結果に基づき、前記P偏光光源及び前記S偏光光源の前記発光切り替えタイミングに対する前記偏光変調手段の前記偏光変調作用の切り替えのタイミングを変化させるように構成される偏光変調作用切り替えタイミング制御手段と
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
点滅駆動可能な第1及び第2の光源と、
前記第1及び第2の光源の点灯及び消灯を予め定められた発光切り替えタイミングで交互に切り替え可能に構成される光源切り替え制御回路と、
前記第1の光源から出射される光は第1の偏光状態にする一方、前記第2の光源から出射される光は、前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態にして、前記第1及び第2の偏光状態の光を共通の光路に導くように構成される偏光導光部と、
第1の偏光変調状態と第2の偏光変調状態との間で偏光変調状態を切り替え可能な偏光変調素子であって、前記第1の偏光変調状態においては、前記共通の光路に導かれた前記第1の偏光状態を有する光を、その偏光状態を変化させることなく透過させて被照明部に向かって導く一方、前記第2の偏光変調状態においては、前記共通の光路に導かれた前記第2の偏光状態を有する光を、その偏光状態が前記第1の偏光状態となるように偏光状態を変化させて透過させ、前記被照明部に向かって導くように構成される、偏光変調素子と、
前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを制御するための偏光変調状態切り替え制御部と、
前記偏光変調素子を透過して前記被照明部に向かって導かれる光の光量を検出するための照明光量検出部と、
前記照明光量検出部で検出される光量に基づき、前記照明光量検出部で検出される光量が一定となるように前記第1及び第2の光源から出射される光の発光量を制御可能に構成される発光量制御回路と、
前記第1の光源及び前記第2の光源から出射されるそれぞれの光の発光量に関連する物理量を前記発光切り替えタイミングの前後においてそれぞれ複数回にわたって検出可能に構成される光源光量検出部と、
前記光源光量検出部で検出された前記物理量から、前記発光切り替えタイミングの前後における前記第1の光源及び前記第2の光源から出射されるそれぞれの光の、発光量の変動に関連する指標を導出する発光量変動導出部と、
を有し、前記偏光変調状態切り替え制御部は、前記指標の導出結果に基づき、前記発光量の変動が減じられるように前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成されることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記光源光量検出部は、前記第1及び第2の光源のそれぞれに供給される電流の大きさの変動を検出するための供給電流検出装置又は前記第1及び第2の光源のそれぞれに供給される電力の変動を検出するための供給電力検出装置を有することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源光量検出部は、前記第1及び第2の光源から出射され、前記偏光変調素子に入射する前の光の光量を検出する光量センサを有することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源光量検出部は、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定時間の間、前記第1の光源及び前記第2の光源から出射されるそれぞれの光の発光量に関連する前記物理量を繰り返しサンプリングするように構成され、
前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部で繰り返しサンプリングして得られた前記物理量から、前記発光切り替えタイミングの前後それぞれにおいて、前記発光量の変動に関連する指標を導出して積算することにより、発光切り替え前の発光量変動積算値及び発光切り替え後の発光量変動積算値を求めるように構成され、
前記偏光変調状態切り替え制御部は、前記発光切り替え前の発光量変動積算値と前記発光切り替え後の発光量変動積算値との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成されることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源光量検出部は、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第1の光源の発光期間中、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で少なくとも1回、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動する可能性のある時間帯で少なくとも2回、前記第1の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングし、又、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第2の光源の発光期間中、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で少なくとも1回、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動する可能性のある時間帯で少なくとも2回、前記第2の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングするように構成され、
前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部が前記サンプリングをして得た前記物理量から、前記第1及び第2の光源の発光期間中における前記発光量の変動に関連する指標をそれぞれ導出し、導出された前記指標から、前記第1の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値及び前記第2の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値をそれぞれ推定によって求め、
前記第1の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値と前記第2の光源の発光期間中における前記発光量変動積算値との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成されることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光源光量検出部は、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第1の光源の発光期間中、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第1の光源が消灯する寸前のタイミングで1回、前記第1の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングし、又、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第2の光源の発光期間中、前記第2の光源が点灯を開始した直後のタイミングで1回、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第2の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングするように構成され、
前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部が前記サンプリングをして得た前記物理量から、前記第1の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標及び前記第2の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標を求め、
前記第1の光源の発光期間中における前記指標と前記第2の光源の発光期間中における前記指標との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調節するように構成されることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源光量検出部は、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第2の光源の発光期間中、前記第2の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第2の光源が消灯する寸前のタイミングで1回、前記第2の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングし、又、前記発光切り替えタイミングの前から後にわたる一定の時間内における前記第1の光源の発光期間中、前記第1の光源が点灯を開始した直後のタイミングで1回、前記第1の光源から出射される光の発光量が変動していないことが予測される時間帯で1回、前記第1の光源から出射される光の発光量に関連する前記物理量をサンプリングするように構成され、
前記発光量変動導出部は、前記光源光量検出部が前記サンプリングをして得た前記物理量から、前記第2の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標及び前記第1の光源から出射される光の前記発光量変動に関連する指標を求め、
前記第2の光源の発光期間中における前記指標と前記第1の光源の発光期間中における前記指標との比較結果に基づき、前記偏光変調素子の偏光変調状態の切り替えタイミングを調整するように構成されることを特徴とする、請求項2から4及び7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記被照明部に配置された空間光変調素子であって、入力された画像信号に対応する画像を形成するための空間光変調素子と、
前記空間光変調素子で形成された画像を投影するための投影光学系とを、
請求項1から8のいずれか一つに記載の照明装置とともに有することを特徴とする画像投影装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一つに記載の照明装置を複数有する画像投影装置であって、
入力されたカラー画像信号から得られる複数の色成分ごとの画像信号に対応する画像を形成するように構成される複数の空間光変調素子と、
前記複数の空間光変調素子のそれぞれで形成される画像を一つに合成して投影するための投影光学系とを有し、
前記照明装置それぞれの被照明部に前記複数の空間光変調素子のいずれか一つが配置されることを特徴とする画像投影装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−203316(P2008−203316A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36139(P2007−36139)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】