説明

照明装置及び表示装置

【課題】調光によって低輝度に設定された場合であっても精度良く光量を制御することができる照明装置及び該照明装置をバックライトとして用いる表示装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、光源1からの光量を測定する光センサ5からの出力を増幅する増幅部6と、増幅後の出力から測定値を取得する測定値取得部7にて得られる測定値に基づき、測定値が所定の閾値より大きい値であると判断できる場合には増幅部6における増幅率を通常用いる倍率に維持し、測定値が所定の閾値以下であって低輝度であると判断できる場合に増幅部6における増幅率を通常よりも大きな倍率へ変更する制御を行なう増幅率制御部8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定される輝度で安定して点灯する照明装置に関し、特に、調光によって低輝度に設定された場合に精度良く光量を制御することができる照明装置及び該照明装置をバックライトとして用いる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置に用いられる光源は、夫々の特性を有して明るさにばらつきを持つ。同一の光量で発光させようと輝度信号を与えたとしても、異なる光源では異なる明るさになる場合がある。更に、同一の光源であっても、経年変化で光量が変化する。
【0003】
一方、照明装置を用いるユーザは、照明装置からの光量を調光する場合がある。ユーザは、周辺環境が明るい時には最大輝度で発光させて明るくするようにしておき、周辺環境が暗いときには暗くするなど調光を行なって、目が疲れないようにする場合がある。また、照明装置によっては周辺環境の照度に応じて光量を自動的に調光するものもある。特に、照明装置をバックライトとして用いるLCD(Liquid Crystal Display)表示装置では、ユーザの好みの輝度又は色温度で画像を表示できるようにOSD(On Screen Display)によって調整することが可能なものが多い。
【0004】
発光する光量によって特性が変化する光源もある。また、所望の同じ光量に設定したとしても輝度又は色度が安定せずに変化する。したがって、設定された光量で安定するように光源を制御する必要がある。特に、光量が少ない低輝度に光源が設定された場合、光源からの輝度の変動は、人の目には敏感に感じられる。したがって、低輝度に設定される照明装置では、より高精度に輝度を制御する必要がある。
【0005】
特許文献1には、LCDを用いた表示装置におけるバックライトの輝度を制御する装置の発明が開示されている。この装置を備える表示装置は、検出結果を電圧値として出力する光センサを内蔵しており、バックライトが最大輝度で点灯しているときの光量の検出結果(電流電圧変換後の電圧値)を基準(MAX)として光量を検出し、設定された輝度となるように光センサからの出力を参照して輝度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−222129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された制御装置では、光センサからの出力をフィードバックさせて精度良くバックライトの光量を制御することができる。しかしながら、光センサは、最大輝度で点灯しているときの検出結果が0.9Vのものと、3.0Vのものとがあるなどばらつきがある。特許文献1では、光センサのばらつきについては言及していないが、LCDを用いたこれまでの表示装置には、このようなばらつきを抑えるための制御がなされているものがある。具体的には、最大輝度の時の検出結果が3.0Vであった光センサからの出力はそのままとし、最大輝度の時の検出結果が0.9Vであった光センサからの出力は3倍に増幅して分解能を上げるなどの制御がなされている。
【0008】
光センサからの出力を増幅することにより、用いられるバックライト及び光センサそのものの特性のばらつきに起因して検出結果が定まらないことによる分解能の低下を解消することはできる。しかしながら、光源からの光量を低減させたときに必要となる高精度な分解能については考慮されてこなかった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、調光によって低輝度に設定された場合であっても精度良く光量を制御することができる照明装置及び該照明装置をバックライトとして用いる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る照明装置は、調光信号を入力され、該調光信号に基づき光量が変化する光源と、該光源からの光量を測定し、光量に応じたレベルの信号を出力する光学センサと、前記光源からの光量の目標値を算出する目標値算出部と、前記光学センサからの出力及び算出された目標値に基づき前記調光信号を制御する調光制御部とを備える照明装置において、前記光学センサから出力された信号を増幅する増幅部と、前記光源からの光量に応じて前記増幅部における増幅率を増減させる増幅率制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る照明装置は、前記増幅部は、直列又は並列に接続され、夫々所定の倍率で入力信号を増幅させる複数の増幅回路を備え、前記増幅率制御部は、該複数の増幅回路の内のいずれか1つ又は複数による増幅の有効/無効を切り替えるか、又はいずれか1つの増幅回路の増幅率を変更して増幅率を増減するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る照明装置は、前記増幅率制御部は、前記光源からの光量に対する所定の不感帯を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る照明装置は、目標光量の設定を受け付ける設定部を備え、前記目標値算出部は、前記設定部で受け付けられた設定に基づき、目標値を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る照明装置は、前記増幅率制御部は、前記光源からの光量によらず、前記設定部で受け付けられた設定に基づき、前記増幅部における増幅率を増減させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る照明装置は、前記光源は、複数の有彩色を各発光する複数の発光素子にて構成され、前記光学センサは色別に光量を測定する光学センサであり、前記増幅部は、各色の光学センサからの出力を増幅するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る照明装置は、前記増幅率制御部は、色別に増幅率を増減させることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る照明装置は、周辺温度を検出する温度センサを更に備え、前記目標値算出部は、前記温度センサにより検出された温度に基づき目標値を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る表示装置は、上述の発明の内のいずれか1つの照明装置を備え、該照明装置からの光を色別に変調させて画像を表示することを特徴とする。
【0019】
本発明では、調光することが可能な光源が用いられ、光源からの光量を光学センサにて測定し、光源からの光の特性の目標値と測定結果に基づいて前記光源での調光を制御するに際し、光量に応じて光学センサから出力される信号の増幅率が変更される。これにより、光量が比較的に少ない、例えば最大光量の3割程度に抑えられた場合であっても光学センサによる光量測定の分解能が疑似的に増加するので、より精度良く光源からの光を制御することが可能である。
なお、増幅部による増幅率の変更は、ソフトウェア的に行なってもよいし、ハードウェア的に行なってもよい。
【0020】
本発明では、増幅部による増幅率の変更が、直列又は並列に接続され、夫々所定の倍率で入力信号を増幅させる複数の増幅回路の組み合わせと、それらの有効(ON)/無効(OFF)のソフトウェア的な切替制御、又はいずれかの増幅回路における増幅率の切替制御により行なわれる。
例えば、増幅部は第1の倍率で増幅させる第1の増幅回路と、第1の増幅回路の後段に直列的に接続される第2の倍率で増幅させる第2の増幅回路とを備え、第2の増幅回路による増幅の有効/無効を切り替えることにより、増幅率が増減される。
【0021】
本発明では、光源からの光量に応じて増幅率が増減されるに際し、光量に対する不感帯が設定されることにより、無用に増幅率が変更されない。ここでいう不感帯とは、光源からの光量に対する閾値に値の異なる第1の閾値と第2の閾値とを持たせ、光量がその間の値であるときに増幅率の増減がされない場合があることとする。
光量に応じた増幅率の増減は、光量の連続的な変化に対して連続的に増減させるようにしてもよいが、第1の方法として、光源からの光量が所定の閾値よりも少ないか否かによって制御され、所定の閾値前後で変化するとき以外は増幅率の増減がされない。
更に第2の方法として、増幅率の増減にヒステリシスを持たせる。つまり、光源からの光量に応じた増幅率の増減が、第1の閾値のみならず、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を基準として制御される。これにより、増幅率が過度に頻繁に変更されることなく、ちらつきや光量の変化を押さえることが可能になる。
なおこのとき、増幅率の増減の基準となる第1の閾値と第2の閾値との間の差分は、光学センサからの出力信号に対するリップル若しくはノイズ、又は両方の大きさなどを考慮して設定されることが好ましい。これにより、リップル又はノイズなどによって誤って増幅率が変更されることを回避することが可能である。
【0022】
本発明では、目標光量についての設定がユーザによって設定部により行なわれ、目標光量は設定に基づき算出される。これにより、ユーザが所望の光量に設定することが可能になり、更に所望の光量に設定した場合に安定した光量を得ることができる。
【0023】
本発明では、目標光量の設定が受け付けられる場合に、設定された目標光量に合わせて増幅率が増減される。これにより、フィードバックを待つ間の光量の変化を回避することが可能である。
【0024】
本発明では、複数の有彩色を各発光する複数の発光素子で構成される光源を用いた場合であっても、夫々に対応する光学センサを用いてフィードバック制御することが可能であり、且つ、出力の増幅率を変更することで、光量が比較的に少ない場合であっても各光源からの光量を精度よく制御することが可能である。
【0025】
本発明では、複数の有彩色を各発光する複数の発光素子で構成される光源と、各光源に対する光学センサとを複数用いる場合に、色別に増幅率を変更してより精度良く光源からの光量を制御することが可能である。
【0026】
本発明では、周辺温度(例えば光源周辺、又は装置周辺の環境温度)の検出結果に基づき、目標輝度値が算出され、当該目標輝度値で安定するように光学センサからの出力の増幅率が変更される。これにより、光源の目標輝度値を変化させる必要があるような周辺温度の変化があったときでも、より精度良く光源から発生させる光量を制御することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明による場合、光源からの光量の多少に応じて、光源からの光量を測定する光学センサからの出力の増幅率を変更できるので、光量が比較的に少ない、例えば最大輝度の3割程度に抑えられた場合であっても、より精度良く光源からの光量を制御し、光量を一定に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の照明装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の照明装置にて実行される基本的な増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の照明装置による低輝度での光センサの出力を読み取るAD変換の分解能の向上を模式的に示す説明図である。
【図4】実施の形態1における照明装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1における照明装置にて実行される増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2における照明装置の構成を示すブロック図である。
【図7】光センサから出力される信号の例を示すタイムチャートである。
【図8】実施の形態2における照明装置にて実行される増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態3における照明装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3における照明装置にて実行される増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態4における照明装置の構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態5における照明装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態6における照明装置の構成を示すブロック図である。
【図14】変形例1における増幅部の一例を示すブロック図である。
【図15】変形例2における増幅部の一例を示すブロック図である。
【図16】実施の形態7における表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0030】
図1は、本発明の照明装置の構成を示すブロック図である。照明装置は、後述するように表示装置にてバックライトとして用いられる照明装置でもよいし、室内外を照らす照明であってもよい。照明装置は、光源1と、光源1を駆動させる光源駆動部2と、光源駆動部2へ調光信号を入力する調光制御部3と、調光制御部3が目標とする目標値を算出する目標値算出部4と、光源1からの光量を測定する光センサ5と、光センサ5から出力される信号を増幅させる増幅部6と、増幅部6から出力された信号から測定値を取得する測定値取得部7と、測定値取得部7から測定値を得て増幅部6における増幅率を増減させる増幅率制御部8とを備える。調光制御部3は、測定値取得部7から測定値を取得し、且つ、増幅率制御部8から増幅率を参照できるように構成されている。図1中、矢印によって信号の入力方向を示している。なお太い矢印は、アナログ信号を示している。
【0031】
光源1は例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いる。光源1は、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)、OLED(Organic Light Emitting Diode)、又はレーザー光源を用いてもよい。
【0032】
光源駆動部2は、入力する調光信号に基づき光源1への駆動電流を制御する。
【0033】
調光制御部3は、目標値算出部4から得られる目標輝度値と、測定値取得部7から得られる光源1からの光量とを比較し、光源1からの輝度が目標輝度値に合うようにPWM(Pulse Width Modulation)制御による調光信号を光源駆動部2へ与える。なお、調光制御部3は、測定値取得部7から得られた光量測定値を正確に把握するために、増幅部6における増幅率を増幅率制御部8から入力し、現状の増幅率での光量測定値に換算するようにしてある。なお、調光制御部3による調光制御はPWM制御に限られず、DC制御による調光信号を用いて制御してもよい。
【0034】
目標値算出部4は、予め設定してある目標輝度値、又は以下の各実施の形態で説明するように、ユーザによって設定された目標輝度値、若しくは種々のセンサによる検出値に基づき、光源1からの目標輝度値を算出し、調光制御部3へ与える。なお目標値算出部4は、目標輝度値ではなく、目標色度値、目標発光強度値、又は目標三刺激値など、光源1からの光の他の特性に対する目標値を算出し、調光制御部3へ与えるようにしてもよい。
【0035】
光センサ5は例えば、フォトトランジスタ又はフォトダイオードなどの受光素子を用い、検出した光量に応じた電流値を出力する。なお、フォトトランジスタ又はフォトダイオードからの出力は、それ自体が持つ特性のばらつきにより、特に輝度が低いほどに、出力される電流値にばらつきを有しており、正確性が低い。
【0036】
増幅部6は、光センサ5からの出力を電流電圧変換し、電圧出力を例えばアナログのゲイン回路を用いて増幅する。ゲイン回路は増幅率を可変にできるように構成されている。電流電圧変換における抵抗定数を変化させて増幅率を可変にするようにしてもよい。増幅部6はソフトウェア的に増幅を実行する構成とし、増幅率を変更できるようにしてもよい。
【0037】
測定値取得部7は、AD変換器を備え、増幅部6から出力されたアナログ信号(電圧値)をデジタルの測定値に変換して出力する。
【0038】
増幅率制御部8は、測定値取得部7から得られる測定値に基づき、測定値が所定の閾値より大きい値であると判断できる場合には増幅部6における増幅率を通常用いる倍率に維持しておき、測定値が所定の閾値以下であって低輝度であると判断できる場合に増幅部6における増幅率を、通常用いる倍率よりも大きな倍率へ変更する制御を行なう。また、増幅率制御部8は、増幅部6における増幅率を調光制御部3へ通知する。
【0039】
図2は、本発明の照明装置にて実行される基本的な増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。照明装置は、目標輝度値が変更になるようなトリガが発生した場合に、以下の処理を実行する。
【0040】
照明装置は目標値算出部4により、目標輝度値を算出する(ステップS1)。調光制御部3は、算出してある目標輝度値に基づきパルス幅を調整して調光信号を出力する(ステップS2)。
【0041】
フィードバック制御のために増幅率制御部8は測定値を取得し(ステップS3)、取得した測定値が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS4)。増幅率制御部8は、測定値が所定の閾値を超えると判断した場合(S4:NO)、増幅率を通常の倍率のまま維持し(ステップS5)、測定値が所定の閾値以下であると判断した場合(S4:YES)、増幅率を通常よりも大きな倍率へ変更する(ステップS6)。なおこのとき増幅率制御部8は、増幅率が既に通常よりも大きな倍率へ変更してある場合には、更に大きな倍率へ変更しなくてもよい。勿論、更に分解能を上げるべく、より大きな倍率へ変更するようにしてもよい。なお、所定の閾値には不感帯、例えば増幅率の増減の制御にヒステリシスを設けることにより、無用に増幅率が変更されずに安定した制御が可能である。
【0042】
調光制御部3は、ステップS3で取得した測定値と増幅率制御部8から現状の増幅率を参照し、現状の増幅率での測定値に換算して、算出されてある目標輝度値とを比較し、目標輝度値に近づくようにパルス幅を調整して調光信号を出力する(ステップS7)。
【0043】
照明装置は、ステップS7の後に処理をステップS3へ戻す。調光制御部3は、測定値取得部7から、増幅された光センサ5からの出力による測定値を取得し(S3)、増幅率制御部8から現状の増幅率を参照し、現状の増幅率での測定値に換算して、換算後の測定値と算出されてある目標輝度値とを比較し、目標輝度値に近づくようにパルス幅を調整して調光信号を出力する処理を繰り返す。照明装置は、照明装置が電源OFFになるまで又は光量が安定するまで、ステップS3〜S7の処理を繰り返し、光源1が目標輝度値で安定して発光するように制御する。
【0044】
これにより、光源1からの輝度が比較的に低輝度であるときには光センサ5からの出力を読み取るAD変換の分解能を上げることが可能となり、低輝度(例えば最大輝度の30%)であっても精度良く光源1からの光量を安定して制御することができる。
【0045】
図3は、本発明の照明装置による低輝度での光センサ5の出力を読み取るAD変換の分解能の向上を模式的に示す説明図である。図3は横軸に、光センサ5からの出力を電流電圧変換し、変換後のアナログ電圧値を1024段階で0〜1023のデジタル値へ変換した場合のAD値を示し、縦軸に光源1からの光量をグラフで示している。
【0046】
光センサ個々の特性のばらつきにより、同一の光源1が100%の光量で発光していた場合の出力電圧が例えば279であるときと、930であるときとによって、光センサ5から得られるAD値のばらつきが破線で示す矢印のように大きい可能性がある。グラフ中のaは、光源1が100%の光量で発光していた場合のAD値が例えば279である場合の当該光センサの分解能を示す。当該光センサは、100%の光量までを0〜279の分解能でしか測定できない。本発明の照明装置では増幅部6にて通常の増幅率(例えば3倍)で増幅することにより、aのような分解能を持つ光センサの分解能を、例えば3倍に増幅してbのような分解能とし、100%の光量までを0〜837にて測定できるようになる。更に、本発明の照明装置は、bのような分解能では光量が33%以下となったときにはやはり不足する場合、出力電圧を更に例えば3倍するなどして分解能をdに示すように向上させることが可能である。これにより、人間の目の感度が高い低輝度における光センサ5の分解能を向上させ、低輝度における光量の制御をより精度良くすることが可能になる。
【0047】
なお、本発明を実施するにあたっては、増幅部6、増幅率制御部8及び目標値算出部4の具体的な構成として種々の形態が考えられる。以下、実施の形態1から8にて夫々説明する。各実施の形態1から8において、上述した本発明の照明装置の各構成部の内、変更がない構成部については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0048】
(実施の形態1)
実施の形態1では、増幅部6を2つのアナログのゲイン回路で実現し、且つ後段のゲイン回路のON/OFFによって増幅率を増減させる。また、実施の形態1では、ユーザによる目標輝度値の設定を受け付ける構成とし、設定された輝度値に基づき目標輝度値が算出される。勿論、受け付けられる目標値は輝度値のみならず、目標色度値、目標発光強度値、又は目標三刺激値などでもよい。
【0049】
図4は、実施の形態1における照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態1における照明装置は、電流電圧変換回路62、第1増幅回路63、及び第2増幅回路64を有する増幅部61を備える。また、実施の形態1における照明装置は、記憶部82に記憶してある閾値を基準に、第2増幅回路64による増幅の有効(ON)/無効(OFF)を切り替えて増幅率を変更する増幅率制御部81を備える。更に実施の形態1における照明装置は設定部9を備え、目標値算出部4は、設定部9における操作に基づき設定される光量に基づき目標輝度値を算出する。
【0050】
電流電圧変換回路62は、光センサ5から出力される光量に応じた電流値を、電圧値へ変換して出力する。
【0051】
第1増幅回路63は、光センサ5からの出力に応じた倍率にて電流電圧変換回路62から出力される電圧値を第1の倍率で増幅するように構成されている。例えば、光量100%で発光する光源1を光センサ5で検出したときの電流電圧変換後の出力電圧値のばらつきが0.3V〜1.0Vである場合、0.3Vが出力されるときには第1の倍率は3倍とし、1.0Vが出力されるときには第1の倍率は1倍とする。
【0052】
第2増幅回路64は、第1増幅回路63の後段に接続され、第1増幅回路63から出力された電圧値を第2の倍率(例えば3倍)に増倍するように構成されている。なお、第2増幅回路64は通常はOFFとされており、増幅率制御部81によりON/OFFが制御される。
【0053】
このような増幅部61により、光量100%で発光する光源1を光センサ5で検出したときの電流電圧変換後の出力電圧値のばらつきが0.3V〜1.0Vであったときに、増幅部61からの出力は2.7V〜3.0Vとなり、ばらつきを抑えつつ分解能が向上する。
【0054】
増幅率制御部81は、記憶部82に記憶してある閾値(例えば最大光量の33%)83を読み出すことが可能である。増幅率制御部81は、測定値取得部7から取得した測定値が、記憶部82に記憶してある閾値83以下であるか否かを判断し、閾値83以下である場合に第2増幅回路64をONとし、閾値83を超えている場合には第2増幅回路64をOFFとする。増幅率制御部81は勿論、測定値取得部7から取得した測定値を、増幅部61における増幅率を考慮して参照する。増幅率制御部81は、第2増幅回路64のON/OFFにより、増幅部61における増幅率を増減させる。なお、増幅率制御部81は、電流電圧変換回路62の抵抗定数を変化させて増幅率を増減させてもよいし、第1増幅回路63の増幅率を増減させる構成としてもよい。
【0055】
設定部9は、照明装置に設けられたボタン等で構成され、ユーザが押下することが可能である。設定部9は例えば「プラス」ボタン、及び「マイナス」ボタンであり、ユーザがこれらのボタンを押下する毎に、100%を最大として例えば数%ずつ上げ下げされて設定される。照明装置が表示装置のバックライトとして使用される場合には、設定部9は表示装置のOSDであり、ユーザの操作により光量が設定される。
【0056】
図5は、実施の形態1における照明装置にて実行される増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。照明装置は、設定部9により光量の設定が変更される都度、以下の処理を実行する。なお、図5のフローチャートに示す各処理手順の内、図2のフローチャートの処理手順と同一の手順については、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
増幅率制御部81は、測定値取得部7から測定値を取得し(ステップS3)、取得した測定値が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS4)。増幅率制御部81は、測定値が所定の閾値を超えると判断した場合(S4:NO)、そのまま処理を次のステップS7に進める。増幅率制御部81は、測定値が所定の閾値以下であると判断した場合(S4:YES)、第2増幅回路64をONにする(ステップS61)。増幅率制御部81は、第2増幅回路64が既にONの場合はステップS61の処理を省略して次のステップS7へ進める。即ち、増幅率制御部81は、第2増幅回路64をONとしている間は所定の閾値に対して不感である。
【0058】
その後、調光制御部3が、増幅率制御部8から現状の増幅率を参照して現状の増幅率での測定値に換算し、目標輝度値と比較し、目標輝度値に近づくようにパルス幅を調整して調光信号を出力する(S7)。以後、実施の形態1における照明装置では電源OFFになるまで又は光量が安定するまでステップS3から7の処理を繰り返し、光源1が比較的低輝度である間は光センサ5の出力のAD変換分解能を上げ、光源1が目標輝度値で安定して発光するように制御する。
【0059】
これにより、従前から第1増幅回路63を用いて光センサ5からの出力を増幅する構成としていた場合に、それらのリソースを利用しつつ、第2増幅回路64を追加し、且つ第2増幅回路64のON/OFFの制御を行なう幅倍率制御部81を追加するのみで、本発明を実現することが可能である。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態2では、増幅率制御部8の測定値に対する閾値以下であるか否かの判断にヒステリシスを持たせる。
【0061】
図6は、実施の形態2における照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2における照明装置は、実施の形態1の照明装置と同様の増幅部61及び設定部9の他に、2つの閾値が記憶された記憶部85を参照する増幅率制御部84を備える。増幅部61及び設定部9の構成については、実施の形態1における構成と同様であるので同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0062】
実施の形態2における増幅率制御部84は、記憶部85に記憶してある第1の閾値86と第2の閾値87とを読み出すことが可能である。増幅率制御部81は、測定値取得部7から取得した測定値が、記憶部85に記憶してある第1の閾値86以下である場合には第2増幅回路64をONとし、第2の閾値87以上である場合には第2増幅回路64をOFFとする。
【0063】
第1の閾値86と第2の閾値87との間の差分は、光センサ5からの出力のリップル又はノイズの大きさに基づき設定されている。図7は、光センサ5から出力される信号の例を示すタイムチャートである。図7には上段から、調光制御部3からの調光信号(PWM信号)、光センサ5からの出力の平滑化前及び平滑化後を示している。図7では、横軸にて時間を示し、縦軸に夫々の信号の信号レベル(電圧値)を示している。調光制御部3からの調光信号は、図7に示すようにPWM信号であり、これに応じて光源1が発光するから光センサ3で捉えた光量(光センサ5からの出力を電流電圧変換回路62により変換した後)は、図7の中段に示すように矩形波にて変動している。光センサ5からの出力は、図示しないRC積分回路で平滑化されて図7の下段に示すような波形となり、リプルを有する。また、平滑化後の信号にはノイズも含まれる。第1の閾値86と第2の閾値87との差分は、図7に示すようにこれらのリプル又はノイズなどによる信号レベルの変更幅よりも大きくなるように設定されており、リプル又はノイズによって不要に第2増幅回路64のON/OFFが切り替えられ、増幅率が増減されないように構成されている。
【0064】
図8は、実施の形態2における照明装置にて実行される増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。照明装置は、設定部9により光量の設定が変更される都度、以下の処理を実行する。なお、図8のフローチャートに示す各処理手順の内、図2のフローチャートの処理手順と同一の手順については、同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
増幅率制御部84は、測定値取得部7から測定値を取得し(ステップS3)、取得した測定値が、記憶部85から読み出した第1の閾値86以下であるか否かを判断する(ステップS41)。増幅率制御部84は、測定値が第1の閾値86以下であると判断した場合(S41:YES)、第2増幅回路64をONにする(ステップS62)。増幅率制御部84は、第2増幅回路64が既にONの場合はステップS62の処理を省略して次のステップS7へ進める。即ち、増幅率制御部84は、第2増幅回路64をONとしている間は、第1の閾値86に対して不感である。
【0066】
増幅率制御部84は、取得した測定値が、記憶部85から読み出した第1の閾値86を超えると判断した場合(S41:NO)、取得した測定値が記憶部85から読み出した第2の閾値87以上であるか否かを判断する(ステップS42)。増幅率制御部84は、測定値が第2の閾値87以上であると判断した場合(S42:YES)、第2増幅回路64をOFFにする(ステップS63)。このとき増幅率制御部84は、第2増幅回路64が既にOFFの場合はステップS63の処理を省略して次のステップS7へ進める。即ち、増幅率制御部84は、第2増幅回路64をOFFとしている間は、第2の閾値87に対して不感である。
【0067】
増幅率制御部84は、取得した測定値が第1の閾値86を超え、第2の閾値87未満である場合は(S41:NO、S42:NO)、第2増幅回路64がONであってもOFFであっても、処理をそのままステップS7へ進める。
【0068】
その後、調光制御部3が、増幅率制御部8から現状の増幅率を参照して現状の増幅率での測定値に換算し、目標輝度値と比較し、目標輝度値に近づくようにパルス幅を調整して調光信号を出力する(S7)。以後、実施の形態2における照明装置でも、電源OFFになるまで又は光量が安定するまでステップS3から7の処理を繰り返し、光源1が比較的低輝度である間は光センサ5の出力のAD変換分解能を上げ、比較的高輝度である間は分解能を戻し、光源1が目標輝度値で安定して発光するように制御する。
【0069】
これにより、第2増幅回路64のON/OFFを切り替えるための閾値にヒステリシスが持たされる。したがって、第2増幅回路64が不要にON/OFFを繰り返して、増幅率が不安定となることを回避し、光源1の光量を安定して制御することができる。
【0070】
(実施の形態3)
実施の形態3では、増幅率制御部8による増幅率の増減のタイミングを、目標輝度値が変更になった時点とする。
【0071】
図9は、実施の形態3における照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態3における照明装置の構成は、目標値算出部4からの出力をトリガに増幅率を増減させる増幅率制御部88を備える点以外、実施の形態2における構成とほぼ同様である。したがって、共通する構成部には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0072】
実施の形態3では、目標値算出部4は、設定部9における操作に基づき設定される光量を、調光制御部3のみならず増幅率制御部88へ入力する。増幅率制御部88は、目標値算出部4から得られた設定された光量と、記憶部85に記憶してある第1の閾値86とを比較し、設定された光量が第1の閾値86以下であると判断した場合に第2増幅回路64をONにし、それ以外では第2増幅回路64をOFFとする制御を行なう。
【0073】
図10は、実施の形態3における照明装置にて実行される増幅率変更の処理手順を示すフローチャートである。照明装置は、設定部9により光量の設定が変更された場合に、以下の処理を実行する。
【0074】
照明装置は目標値算出部4により、目標輝度値を算出する(ステップS11)。算出された目標輝度値は調光制御部3及び増幅率制御部88へ入力される。
【0075】
調光制御部3による調光制御の前にまず、増幅率制御部88は、算出された目標輝度値が記憶部85から読み出した第1の閾値86以下であるか否かを判断する(ステップS12)。増幅率制御部88は、目標輝度値が第1の閾値86以下であると判断した場合(S12:YES)、第2増幅回路64をONにする(ステップS13)。増幅率制御部88は、第2増幅回路64が既にONの場合はステップS13の処理を省略して次のステップS16へ進める。
【0076】
そして増幅率制御部88は、算出された目標輝度値が第1の閾値86を超えると判断した場合(S12:NO)、算出された目標輝度値が、記憶部85から読み出した第2の閾値87以上であるか否かを判断する(ステップS14)。増幅率制御部88は、目標輝度値が第2の閾値87以上であると判断した場合(S14:YES)、第2増幅回路64をOFFにする(ステップS15)。このとき増幅率制御部88は、第2増幅回路64が既にOFFの場合はステップS15の処理を省略して次のステップS16へ進める。
【0077】
増幅率制御部88は、算出された目標輝度値が、第1の閾値86を超え、第2の閾値87未満である場合は(S12:NO、S14:NO)、第2増幅回路64がONであってもOFFであっても、処理をそのままステップS16へ進める。
【0078】
そして調光制御部3は、算出してある目標輝度値に基づきパルス幅を調整して調光信号を出力する(ステップS16)。
【0079】
以後照明装置では、フィードバック制御のために、調光制御部3は、測定値取得部7から光センサ5の出力による測定値を取得し(ステップS17)、増幅率制御部88から現状の増幅率を参照し、現状の増幅率での測定値に換算して、換算後の測定値と算出されてある目標輝度値とを比較し、目標輝度値に近づくようにパルス幅を調整して調光信号を出力する(ステップS18)。そして、設定部9により光量の設定が変更されるまで、ステップS17及びS18の処理を繰り返す。このようにして照明装置は、光源1が目標輝度値で安定して発光するように制御する。
【0080】
実施の形態3では、算出された目標輝度値について第2増幅回路64のON/OFFの要否を判断する。これにより、実際に光センサ5にて測定値を取得するためにフィードバック周期を待つ必要なしに、光源1からの光量の制御を行なうことが可能である。これにより、フィードバック周期を待つ間に、場合によっては第2増幅回路64のON/OFFの切り替えの際に輝度又は色度が目視で確認できるほどに変化する可能性があるところ、事前に増幅率が変更されるので目視できるほどの変化を回避できる。
【0081】
(実施の形態4)
実施の形態4では、照明装置は温度センサを備え、設定部9から設定された光量のみならず、周辺温度に基づいて目標輝度値が算出される構成とする。
【0082】
図11は、実施の形態4における照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態4における照明装置は、設定部9のみならず温度センサ10が接続された目標値算出部41を備える。目標値算出部41以外の構成については、実施の形態2における構成と同様であるので同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
また、実施の形態4における照明装置の目標値算出部41は、温度センサ10のみならず、照度センサ、カラーセンサ、人感センサ、角速度センサ、加速度センサなどのセンサ群20と接続される構成としてもよい。
【0084】
温度センサ10は、光源1の周辺温度を測定し、測定結果を出力する。
【0085】
目標値算出部41は、温度センサ10にて得られる周辺温度が所定の温度よりも高くなったときに目標輝度値を、例えば最大輝度の33%の光量に低減させるように算出する。
【0086】
センサ群20と接続される場合も目標輝度算出部41は、照度センサにより光源1から照らされる場所の照度が所定値よりも低下した場合、又は人感センサにより照明装置の周辺に人がいなくなったときにその都度、目標輝度値を低減させるように算出する。また、角速度センサ、加速度センサにより照明装置が動かされたことを検知した場合にその都度、目標輝度値を増加させたり、逆に照明装置が一定期間の間動かされていない場合に目標輝度値を低減させたりするように算出するなどしてもよい。
【0087】
これにより、光源の目標輝度を変化させる必要があるような装置内部、又は周辺環境の変化があったときでも、より精度良く光源から発生させる光量を制御することが可能である。
【0088】
なお実施の形態3同様に、温度センサ10、又はセンサ群20と接続される目標値算出部41から、目標輝度値を入力する増幅率制御部88を備え、増幅率制御部88が目標輝度値と閾値との比較に応じて増幅部61における増幅率を増減、即ち第2増幅回路64のON/OFFを制御する構成としてもよい。
【0089】
(実施の形態5)
実施の形態5では、照明装置の光源1をRGB(R:赤、G:緑、B:青)の3つの有彩色を各発光する発光素子で構成する。また、実施の形態5では、各色の光源に対応するセンサからの出力の増幅率を各々に対応して設けられる増幅率制御部にて制御する構成とする。
【0090】
図12は、実施の形態5における照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態5における照明装置は、夫々RGBの3つの有彩色を各発光する複数の発光素子からなるR光源11、G光源12、及びB光源13と、各光の光源を駆動させるR光源駆動部21、G光源駆動部22、及びB光源駆動部23とを備える。また、実施の形態5における照明装置は、設定部9及び温度センサ10を備え、これらから情報を取得する目標値算出部41を備える。更に、実施の形態5における照明装置は、各光源からの光量を測定するR光センサ51、G光センサ52、及びB光センサ53と、各光センサから出力される信号を増幅させるR増幅部65、G増幅部66、及びB増幅部67と、各増幅部から出力された信号から測定値を取得するR測定値取得部71、G測定値取得部72、及びB測定値取得部73と、各増幅部における増幅率を夫々増減させるR増幅率制御部89、G増幅率制御部90、及びB増幅率制御部91と、各増幅率制御部が参照する閾値を記憶するR記憶部92、G記憶部93、及びB記憶部94とを備える。
【0091】
R光源11、G光源12及びB光源13は、夫々LEDを用いる。R光源駆動部21、G光源駆動部22、及びB光源駆動部23は夫々、入力する調光信号に基づき、対応する光源への駆動電流を制御する。
【0092】
調光制御部3は、目標値算出部41から得られる目標値と、R測定値取得部71、G測定値取得部72、及びB測定値取得部73から夫々得られる色別の光量とを比較し、各色の光量が目標値に合うようにPWM制御による調光信号を色別に、R光源駆動部21、G光源駆動部22、及びB光源駆動部23へ与える。なお、調光制御部3は、R測定値取得部71、G測定値取得部72、及びB測定値取得部73から得られた光量測定値を正確に把握するために、各色のR増幅部65、G増幅部66及びB増幅部67における増幅率を各色のR増幅率制御部89、G増幅率制御部90、及びB増幅率制御部91から入力するようにしてある。
【0093】
目標値算出部41は、設定部9にて受け付けられたユーザによる目標値の設定及び温度センサ10にて得られる周辺温度に基づき、目標輝度値をRGBの色別に算出し、調光制御部3及び色別のR増幅率制御部89、G増幅率制御部90及びB増幅率制御部91へ出力する。
【0094】
各色別のR光センサ51、G光センサ52、及びB光センサ53は、検出した光量に応じた電流値を出力する。
【0095】
R増幅部65はR光センサ51からの出力を電流電圧変換し、可変の増幅率にて増幅する。実施の形態1と同様に、R増幅部65は電流電圧変換回路、第1増幅回路及び第2増幅回路(いずれも図示せず)を備え、第2増幅回路のON/OFFによって増幅率を増減させる。G増幅部66及びB増幅部67も同様である。
【0096】
R測定値取得部71はAD変換器を備え、R増幅部65から出力されたアナログ信号(電圧値)をデジタルの測定値に変換して出力する。G測定値取得部72、及びB測定値取得部73も同様である。
【0097】
R増幅率制御部89は、目標値算出部41から得られるR色の目標輝度値がR記憶部92に記憶してある所定の閾値より大きい値である場合にはR増幅部65における第2増幅回路はOFFにしておき、所定の閾値以下である場合に第2増幅回路をONとして変更する制御を行なう。また、R増幅率制御部89は、R増幅部65における増幅率を調光制御部3へ通知する。G増幅率制御部90及びB増幅率制御部91も同様である。
【0098】
R増幅率制御部89、G増幅率制御部90、及びB増幅率制御部91における増幅率制御の処理手順は、実施の形態3に示した増幅率制御部88による処理手順(図10)と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0099】
このように、光源がRGBを各発光する発光素子で構成される光源を用いた場合であっても、各光源について設定される光量に応じて増幅してフィードバック制御する。これにより、光量が例えば最大輝度の33%以下などの低輝度に設定されたときにも光源からの光量を精度よく制御することが可能である。
【0100】
実施の形態5では、R増幅率制御部89、G増幅率制御部90、及びB増幅率制御部91は、目標値算出部41から目標輝度値を入力し、目標輝度値に合わせて第2増幅回路のON/OFFを制御する構成とした。しかしながら、R増幅率制御部89、G増幅率制御部90、及びB増幅率制御部91は、実施の形態1及び2と同様に(図4及び図6参照)、R測定値取得部71、G測定値取得部72及びB測定値取得部73夫々から測定値を入力し、測定結果と閾値とを比較し、R増幅部65、G増幅部66及びB増幅部67における増幅率を増減する構成としてもよい。
【0101】
(実施の形態6)
実施の形態6では、実施の形態5同様に照明装置の光源をRGBの3つの有彩色を夫々発光する発光素子で構成する。ただし、各色の光源に対応するセンサからの出力の増幅率を1つの増幅率制御部にて制御する構成とする。
【0102】
図13は、実施の形態6における照明装置の構成を示すブロック図である。実施の形態6における照明装置は、R増幅部65、G増幅部66、及びB増幅部67における増幅率を増減させる増幅率制御部95と、増幅率制御部95が参照する閾値を記憶する記憶部96とを備える。その他の構成部は、実施の形態5における構成と同様であるので同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0103】
実施の形態6における照明装置の増幅率制御部95は、目標値算出部41から得られるRGB各色の目標輝度値の内、最も高い目標輝度値と、記憶部96に記憶してある所定の閾値とを比較し、目標輝度値が閾値以下である場合に、各R増幅部65、G増幅部66、及びB増幅部67の第2増幅回路をONとして増幅率を増加させる制御を行なう。逆に増幅率制御部95は、目標値算出部41から得られるRGB各色の目標輝度値の内、最も低い目標輝度値と、記憶部96に記憶してある所定の閾値とを比較し、目標輝度値が閾値よりも大きい場合に各第2増幅回路をOFFとして増幅率を減少させる制御を行なう。
【0104】
増幅率制御部95に増幅率制御の処理手順は、実施の形態3に示した増幅率制御部88による処理手順(図10)と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0105】
このように、光源がRGBを各発光する発光素子で構成される光源を用いた場合であっても、各光源について設定される光量に応じて増幅してフィードバック制御する。これにより、光量が例えば最大輝度の33%以下などの低輝度に設定されたときにも光源からの光量を精度よく制御することが可能である。
【0106】
実施の形態6でも実施の形態5同様に、増幅率制御部95は、目標値算出部41から目標輝度値を入力する構成とした。しかしながら、増幅率制御部95は、実施の形態1及び2と同様に(図4及び図6参照)、R測定値取得部71、G測定値取得部72及びB測定値取得部73夫々から測定値を入力し、測定結果と閾値とを比較し、R増幅部65、G増幅部66及びB増幅部67における増幅率を増減する構成としてもよい。
【0107】
(変形例)
実施の形態1から6における照明装置の増幅部6(増幅部61、又はR増幅部65,G増幅部66,B増幅部67)はいずれも、電流電圧変換回路62、第1増幅回路63及び第2増幅回路64が直列的に接続される構成であった。そして、第2増幅回路64のON/OFFが制御される構成であった。しかしながら本発明はこれに限らず、以下に示す変形例1〜3のように、並列に接続される構成や、更に増幅回路を接続した構成なども含まれる。
【0108】
(変形例1)
図14は、変形例1における増幅部の一例を示すブロック図である。変形例1における増幅部601は、電流電圧変換回路602と、並列に接続される第1増幅回路603及び第2増幅回路604とを備える。電流電圧変換回路602は、第1増幅回路603及び第2増幅回路604のいずれにも電圧値を出力する。第1増幅回路603及び第2増幅回路604のいずれからも、増幅された電圧値が出力される。
【0109】
例えば第1増幅回路603は、光センサ5が、光源1が最大輝度である場合に0.3Vを出力するものである場合には3倍、1.0Vを出力するものである場合には1倍で増幅して出力する。第2増幅回路604は、例えば3倍に増倍する。そして、第1増幅回路603及び第2増幅回路604は、相補的にON/OFFされるように構成される。
【0110】
増幅部が図14に示すような構成である場合、増幅率制御部8は、測定値又は設定された目標値に応じて、第1増幅回路603及び第2増幅回路604のいずれをONとするかを制御する。
【0111】
(変形例2)
図15は、変形例2における増幅部の一例を示すブロック図である。変形例2における増幅部605は、電流電圧変換回路606と、直列的に接続される第1増幅回路607、第2増幅回路608、第3増幅回路609、及び第4増幅回路610とを備える。電流電圧変換回路606は、第1増幅回路607へ電圧値を出力し、第1〜第4増幅回路608〜610にて増幅された電圧値が出力される。
【0112】
第1増幅回路607における増幅率は、光センサ5のばらつきを抑えるために光センサ5に応じて1〜3倍の倍率としてある。第2〜第4増幅回路608〜610夫々における増幅率は、夫々2倍、3倍、4倍などとする。
【0113】
図15に示すような構成である場合、増幅率制御部8は、測定値又は目標値に応じて、第2〜第4増幅回路608〜610夫々のON/OFFを制御し、2〜24倍の幅で倍率を増減させる。
【0114】
なお、変形例1の後段に更に第3増幅回路が接続されるなど、直列的接続及び並列的接続を組み合わせてもよい。
【0115】
また、実施の形態1から6における第2増幅回路64が、第2の倍率として、1倍/2倍/4倍/8倍などと複数の倍率を持ち、増幅率制御部8が第2増幅回路64における倍率を切り替える構成としてもよい。
【0116】
このように、増幅部の構成は多様な可能性があり、変形例1及び2に示した構成以外にも、増幅率の増減を制御することができるような構成が考え得る。
【0117】
(実施の形態7)
実施の形態7では、本発明に係る照明装置をバックライトとして用いる表示装置の例を示す。
【0118】
図16は、実施の形態7における表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、本発明に係る光源1、光源駆動部2、調光制御部3、目標値算出部4、光センサ5、増幅部6、測定値取得部7、及び増幅率制御部8を有する照明装置を内部に備える。照明装置100は更に、他の映像信号出力装置(図示せず)から映像信号を入力する映像信号入力部101と、入力した映像信号に対して適宜画像処理を実行する画像処理部102と、画像処理部102による処理がされた映像信号に応じて光変調部104を駆動する光変調部駆動部103と、光変調部104とを備える。
【0119】
画像処理部102は、入力された映像信号に対して適宜画像処理を行なう。例えば設定部9にて設定されている目標輝度値が最大輝度の3割程度の低輝度である場合に、特定の色成分を強くするなどの画像処理を行なうようにしてある。映像信号の映像の種類に応じて色温度を変更する画像処理を行なってもよい。この場合、変更した結果の色温度が目標値算出部4に入力され、映像信号に施される画像処理の内容に応じて目標輝度値が算出される構成としてもよい。
【0120】
光変調部104は、例えば透過型の光変調素子を用いる液晶であり、光変調部駆動部103は液晶駆動部である。他の光変調素子を用いる構成としてもよい。
【0121】
このように、表示装置にて用いるバックライトに、本発明の照明装置を利用することにより、自動的に又はユーザにより設定された光量又は色温度などに応じて精度良く光源からの光量を制御することが可能である。特に、光量が比較的に少ない、例えば最大光量の3割程度に抑えられた場合であっても光量測定の分解能が疑似的に増加するので、精度良く光源からの光量を制御することが可能である。
【0122】
実施の形態7における表示装置100が内蔵する照明装置は、実施の形態1から6及び変形例のいずれの照明装置であってもよいことは勿論である。
【0123】
なお、開示された実施の形態1から7及び変形例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 光源
11 R光源
12 G光源
13 B光源
3 調光制御部
4,41 目標値算出部
5 光センサ
51 R光センサ
52 G光センサ
53 B光センサ
6,61,601,605 増幅部
63,603,607 第1増幅回路
64,604,608 第2増幅回路
609 第3増幅回路
610 第4増幅回路
8,81,84,88,95 増幅率制御部
82,85,96 記憶部
65 R増幅部
66 G増幅部
67 B増幅部
89 R増幅率制御部
90 G増幅率制御部
91 B増幅率制御部
92 R記憶部
93 G記憶部
94 B記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光信号を入力され、該調光信号に基づき光量が変化する光源と、該光源からの光量を測定し、光量に応じたレベルの信号を出力する光学センサと、前記光源からの光量の目標値を算出する目標値算出部と、前記光学センサからの出力及び算出された目標値に基づき前記調光信号を制御する調光制御部とを備える照明装置において、
前記光学センサから出力された信号を増幅する増幅部と、
前記光源からの光量に応じて前記増幅部における増幅率を増減させる増幅率制御部と
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記増幅部は、直列又は並列に接続され、夫々所定の倍率で入力信号を増幅させる複数の増幅回路を備え、
前記増幅率制御部は、該複数の増幅回路の内のいずれか1つ又は複数による増幅の有効/無効を切り替えるか、又はいずれか1つの増幅回路の増幅率を変更して増幅率を増減するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記増幅率制御部は、
前記光源からの光量に対する所定の不感帯を有していること
を特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
目標光量の設定を受け付ける設定部を備え、
前記目標値算出部は、前記設定部で受け付けられた設定に基づき、目標値を算出するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記増幅率制御部は、
前記光源からの光量によらず、前記設定部で受け付けられた設定に基づき、前記増幅部における増幅率を増減させること
を特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源は、複数の有彩色を各発光する複数の発光素子にて構成され、
前記光学センサは色別に光量を測定する光学センサであり、
前記増幅部は、各色の光学センサからの出力を増幅するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記増幅率制御部は、色別に増幅率を増減させること
を特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
周辺温度を検出する温度センサを更に備え、
前記目標値算出部は、前記温度センサにより検出された温度に基づき目標値を算出するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1つの照明装置を備え、該照明装置からの光を色別に変調させて画像を表示することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−77522(P2013−77522A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218136(P2011−218136)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(391010116)株式会社ナナオ (160)
【Fターム(参考)】