説明

照明装置

【目的】 CCDを搭載したデジタルカメラの撮影用として、赤外線を出さずスペクトル特性もよい蛍光灯の特性を生かすと共に、チラツキ対策上インバーター蛍光灯を使用し、狭い範囲を強く照らすスッポト照明に適した、しかも低価格で、消耗した時の交換用蛍光灯の入手も容易で、且つ発熱対策も考慮した撮影用照明装置を提供しようとするものである。
【構成】 撮影専用仕様のインバーター蛍光灯を使用することなく、標準仕様のインバーター蛍光灯を使用しつつ、スッポト照明に適した撮影用照明装置となるように、この蛍光灯を反射鏡内に放射状に立設配置し、反射鏡の外側面には、カバーを覆設すると共に、照明装置内に冷却用ブロアを設けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は撮影用照明装置、特にデジタルカメラによる撮影に使用される照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フイルムを使用したカメラの撮影用照明装置には、一般に白熱電球や、ハロゲン電球等が用いられている。しかし、これらの電球は相当な発熱を生じる上に、可視光線のみならず、CCDによる撮影に有害な赤外線も放出する。そこでCCDを搭載したデジタルカメラを用いて撮影を行う場合、発熱による影響を少なくするために、照明点灯時間の短縮に気をつかう必要があるのみならず、撮影に際してはCCDカメラに赤外線除去フィルターを装着しなければならず、手間がかかるうえに、フィルターによる光の減衰を補うために、通常よりも強い照明が必要となっていた。又これらの電球のスペクトル特性がCCDに対して十分なものではないことも問題となっていた。これに対して、蛍光灯は発熱も少なく、赤外線を放出せず、又CCDに対するスペクトル特性もよいことから、デジタルカメラの撮影用光源としては好適であり、このため蛍光灯を使用した照明装置が関心を呼んでいる。例えば、この種の装置として、図12に示すような、直管式蛍光灯を使用した面発光タイプの蛍光灯照明装置A等が製作されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、CCDを搭載したデジタルカメラの場合、特にラインセンサ方式を採用している場合、商用電源を用いた蛍光灯照明では、蛍光灯のチラツキによる時間差で、撮像画像に縞状の明暗が生じることがある、という問題が生じた。そこで、チラツキによる影響を極力少なくすることが必要となり、このため商用電源を直接蛍光灯に加える、通常の蛍光灯の使用を避ける必要があった。又各種ケルビン数への対応や光量の増大に対処する必要もあり、この観点からも専用仕様の蛍光灯光源を用いざるを得ないと信じられてきた。このように、蛍光灯使用の従来の撮影用照明装置においては、これらの要求を満たすものとして、撮影専用のインバーター蛍光灯を使用しており、このためコストが高く、消耗した時の交換品の入手も容易ではない欠点があった。以上は、コスト面、入手容易性についての問題であるが、使用上の多くの問題も存在する。例えば、従来使用されているものは、図12に示すような、平面状反射板の表面上に直管式インバーター蛍光灯を並列に並べたものであるが、これは照明対象範囲が広い用途に適してはいるものの、狭い範囲を強く照らす所謂スポット照明には適したものではなかった。撮影対象物の描写を鮮明にする上で、或いは様々な画像効果を得る上で、所謂スポット照明は重要な役割を有するにも拘わらず、期待に応えられる状態ではなかった。この発明は、上記の欠点を改良するためになされたものであって、CCDを搭載したデジタルカメラの撮影に適した照明装置を提供せんとするもので、赤外線を出さずスペクトル特性にも優れている蛍光灯の特性を生かしながら、狭い範囲を強く照らすスポット照明に適した、しかも低価格で消耗した時の交換用蛍光灯の入手も容易で、発熱対策も考慮した照明装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、デジタルカメラの撮影用照明装置として、蛍光灯が上述のように赤外線を出さずスペクトル特性もよいことに注目し、しかもチラツキ対策上インバーター蛍光灯を使用することが好ましいとの認識の下、撮影用照明装置の投光部内の蛍光灯の装着方法を工夫することにより、撮影専用として販売されている専用仕様のインバーター蛍光灯を使用することなく、標準仕様のインバーター蛍光灯が使用でき、発熱対策も考慮した、スポット照明に適した照明装置を考案したものである。
【0005】具体的には、第1の解決手段は、前面が開口した断面が凹形の反射鏡1と、蛍光管部6が屈曲し給電部8が一端に設けられた複数のインバーター蛍光灯5と、前記反射鏡1の内面に配設された複数の給電ソッケト9と、前記インバーター蛍光灯5を点灯させる点灯手段とを備え、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その他端の蛍光管部先端が前記反射鏡1の前面側の中心軸線21上の一点22に向かって収束するように、放射状に立設配置して、照明装置を構成する。
【0006】第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その他端の蛍光管部先端が前記反射鏡1の前面側の中心軸線21上の一点22に向かって収束するように、放射状に立設配置するのに代えて、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その蛍光管部6が前記反射鏡1の中心軸線21と平行となるように、前記反射鏡1の前面側に立設配置する点が異なるのみで、それ以外は第1の解決手段と同様である。
【0007】第3の解決手段は、第1の解決手段において、前面が開口した断面が凹形の反射鏡1に代えて、前面が開口した椀状の反射鏡1にした点が異なるのみで、それ以外は第1の解決手段と同様である。
【0008】第4の解決手段は、第2の解決手段において、前面が開口した断面が凹形の反射鏡1に代えて、前面が開口した椀状の反射鏡1にした点が異なるのみで、それ以外は第2の解決手段と同様である。
【0009】第5の解決手段は、上記第1の解決手段から第4の解決手段のいずれかに、前記反射鏡1の外側面を覆い、前記反射鏡1との間に空隙13を設けて設置されるカバー12と、前記空隙13と連通して設けられた暖気集合空間14と、前記暖気集合空間14内に設けられ、前記空隙13に滞留する暖気を前記カバー12の背後に向かって強制排気するブロア15と、を付加したものである。
【0010】第6の解決手段は、第5の解決手段に、前記反射鏡1の内面に開口し、前記空隙13と連通する吸気孔19を、前記反射鏡1に設けたものである。
【0011】
【作用】まず、第1の解決手段から第4の解決手段のいずれの解決手段においても、給電ソッケト9に一端を嵌合させたインバーター蛍光灯5のそれぞれが、その他端の蛍光管部6の先端が反射鏡1の前面側の中心軸線21上の一点である収束点22に向かって収束するように放射状に立設配置されるか、又は、インバーター蛍光灯5の蛍光管部6が反射鏡1の中心軸線21と平行となるように、立設配置される。そのため、反射鏡1の開口面積が同一であれば、インバーター蛍光灯5をその蛍光管部6が反射鏡1の開口面と平行となるように配設した場合に比べて、より多くのインバーター蛍光灯5を、反射鏡1内に収納できる。又インバーター蛍光灯5の蛍光管部6の先端が、反射鏡1の中心軸21近くに集まることから、放射光が反射鏡1の中心軸21近くに集中することになり、中心光の強い光束を発生させることができる。
【0012】第5の解決手段においては、第1の解決手段から第4の解決手段の作用に加えて、次の作用を有する。即ち、ブロア15が、空隙13に滞留する暖気を、空隙・暖気集合空間間連通孔16及び暖気集合空間14を介して、暖気集合空間排気孔18により、カバー12の背後に向かって強制的に排気することにより、空隙13に空気の流れを生じさせ、この空気の流れにより反射鏡1をその裏面から冷却することによって、反射鏡1の内面が接する反射鏡1の内面空間の温度上昇を抑制できる。
【0013】第6の解決手段においては、第1の解決手段から第4の解決手段の作用に加えて、次の作用を有する。即ち、ブロア15が、空隙13に滞留する暖気のみならず、反射鏡1の内面空間の暖気をも、吸気孔19を介することによって、カバー12の背後に向かって強制的に排気する。従って、空隙13における空気の流れによる反射鏡1の裏面からの冷却による反射鏡1の内面空間の温度上昇の抑制のみならず、反射鏡1の開口面から空気が流入することによって、直接インバーター蛍光灯5および反射鏡1を表面から冷却することにより、反射鏡1の内面空間の温度上昇を抑制できる。それのみならず、吸気孔19を介して、反射鏡1の内面空間の空気をカバー12の背後に向かって強制的に排気することにより、反射鏡1の開口面からカバー12の背後に向かって空気の流れを生じさせ、この空気の流れにより、インバーター蛍光灯5の発熱により熱せられた反射鏡1の内面空間の暖気が、反射鏡1の開口面の前方にある撮影対象物の方へ移動するのを、防ぐことができる。
【0014】
【実施例】次に本発明の照明装置の詳細を、投光部をスタンドで保持するスタンド式照明装置を例に、図面に基づき説明する。まず第1実施例について説明する。図1は本実施例の外観正面図、図2は本実施例の外観側面図、図3は本実施例に使用するインバーター蛍光灯の側面図、図4はインバーター蛍光灯の平面図、図5は本実施例の投光部の縦断面図、図6は本実施例の投光部の横断面図、図7は本実施例の蛍光灯を除いた投光部の正面図である。
【0015】本実施例の外観は図1、図2に示すように構成される。即ち、投光部の外観は、金属製で中空の半球状の凹面反射鏡1の外側面に、半球状の金属製のカバー12を覆設し、このカバー12と反射鏡1との間に空隙13を形成する。具体的にはこのカバー12と反射鏡1との間に数箇所、スペーサー11をはさみ、ビスとナットでカバー12を反射鏡1に固定する。そしてカバー12の外面の頂部付近に、支柱取付部2を設け、この支柱取付部2の底部の下面に、締付けハンドル25を付設したユニバーサルジョイント部24を取り付け、このユニバーサルジョイント部24に支柱3の先端を装着し、更にこの支柱3を台座4で支持する。従って、締付けハンドル25を動かすことにより、投光部の照明方向を自由に操作できる。又投光部の反射鏡1の曲率半径及び前面開口面の直径は、スポット照明する対象範囲の大きさに応じて決定するが、一般的にはいずれもあまり大きくしない方がよい。
【0016】次に本実施例で使用するインバーター蛍光灯について説明する。既に述べたように、撮影用照明装置では、チラツキ対策上、点灯管とチョークコイルとからなる点灯回路を用いて、商用電源を直接蛍光灯に加える通常の蛍光灯は使えない。これは、蛍光灯のチラツキによる時間差で、撮像画像に縞状の明暗が生じることがある、という問題が生じるのを避ける必要があるからである。このためインバーターを用いて高い周波数で放電させる、インバーター蛍光灯を使用する必要がある。又、このインバーター蛍光灯を上記の比較的小型の投光部(反射鏡1)の内部に装着するには、その給電部が蛍光管部の両端に設けられた直管タイプではなく、蛍光管部を屈曲させて給電部が蛍光管部の片端に設けられたタイプを使用するのが、配線の容易性、露出する配線を少なくできることによる美観性、或いは装着スペースを節約できる点等で最適である。
【0017】本実施例では図3、図4に示すような、蛍光管部がU字状に折り曲げられたインバーター蛍光灯5を使用する。このようなインバーター蛍光灯は、標準仕様のインバーター蛍光灯として既に市場に多く出回っており、従来の撮影専用仕様のインバーター蛍光灯と比較して、光量は多少少ないが、コストは格段に低く、入手も容易である。又各種ケルビン数に対応したものも製作されている。図3、図4において、インバーター蛍光灯5は一般に、蛍光管部6、口金部7及び給電部8から構成される。蛍光管部6を点灯、発光させるインバーター回路(図示せず)は口金部7内に内臓され、給電部8に供給された電力は一旦直流に整流された後、このインバーター回路によって高周波交流に変換され、蛍光灯に供給される。蛍光灯はインバーター回路によって点灯されるため、点灯管とチョークコイルからなる点灯回路は不要である。インバーター回路は半導体回路によって構成できるから、小型軽量化にも貢献できる。
【0018】本実施例では蛍光灯として、1本のU字形蛍光管部を有するインバーター蛍光灯5を用いているが、これに限らず複数のU字形蛍光管部を有する蛍光灯でもよいし、蛍光管部の形状もU字形に限らずW字形等でもよい。或いは、ボール状のインバーター蛍光灯の使用も考えられる。
【0019】次にインバーター蛍光灯5の装着方法につき具体的に述べる。本発明は、反射鏡1に収納するインバーター蛍光灯5の装着方法に特徴を有しているが、例えば反射鏡1へのインバーター蛍光灯5の装着は図5、図6及び図7に示すように行う。蛍光灯5はその先端が反射鏡1の中心軸上の一点に集中するように取り付け、このためインバーター蛍光灯のサイズは、インバーター蛍光灯5の給電部8を給電ソケット9の給電部10に装着した状態で、半球状の反射鏡1の半径よりも短くなるようなサイズとする。
【0020】本実施例ではインバーター蛍光灯5を12本使用しているが、このインバーター蛍光灯5の給電部8が嵌合する、給電ソッケト9を12個、図7に示すように、反射鏡1の内面上に、その嵌合面が反射鏡1の内部に面するように垂設する。具体的には、反射鏡1の中心を中心として反射鏡1の内面上に描かれる、2重の同心円の外円上に8個、内円上に4個の計12個の給電ソッケト9の脚を等間隔に垂設する。
【0021】そうすると、図5及び図6において、反射鏡1は半球状の凹面鏡であることから、この反射鏡1の内面上のいかなる地点の垂直線も、反射鏡1の開口面の中心点、すなわち反射鏡1の中心軸線21と反射鏡1の開口面との交点22を通る。従って反射鏡1の中心軸線21と反射鏡1の開口面との交点である収束点22と、それぞれの給電ソッケト9の嵌合面の中心点とを結ぶ放射状線23に沿って、給電ソッケト9と嵌合したインバーター蛍光灯5が配設される。
【0022】本実施例では収束点22は、反射鏡1の中心軸線21と反射鏡1の開口面との交点としたが、これに限定されるわけではなく、反射鏡1の中心軸線21上で、反射鏡1の前面側にある一点であれば、他の点でもよい。つまり、給電ソッケト9に一端を嵌合させたインバーター蛍光灯5のそれぞれが、その他端の蛍光管部6の先端が反射鏡1の前面側の中心軸線21上の一点である収束点22に向かって収束するように、放射状に立設配置されればよい。又蛍光管部6の先端がすべて、正確に収束点22に向かって収束する必要はなく、多少ずれることも許される。
【0023】以上に述べたインバーター蛍光灯5の装着方法においては、インバーター蛍光灯5を反射鏡1の内面上に立設配置しているので、次の利点を有する。即ち、従来例の方式つまり、平面状反射板の表面上に蛍光灯を並列に並べた従来例の蛍光灯照明装置と同じように(この場合、蛍光灯の蛍光管部は照明装置の開口面と平行になる)、インバーター蛍光灯5をその蛍光管部6が反射鏡1の開口面と平行となるように、反射鏡1内に配設した場合に比べて、反射鏡1の開口面積が同一であれば、本実施例の照明装置は、より多くのインバーター蛍光灯5を収納することができる。そのため、使用本数を増やすことにより、従来例の蛍光灯照明装置に使用されている撮影専用仕様のインバーター蛍光灯を使用することなしに、既に市場に多く出回っている標準仕様のインバーター蛍光灯の使用のみで、投光部の単位開口面積当り、従来例の蛍光灯照明装置と同等あるいはそれ以上の強い光を発生させることができる。又本実施例ではインバーター蛍光灯5が反射鏡1の中心軸線21上で、反射鏡1の前面側にある一点に収束するように放射状に立設配置されるので、インバーター蛍光灯5の蛍光管部6の先端が、反射鏡1の中心軸近くに集まることから、放射光が反射鏡1の中心軸近くに集中することになり、中心光の強い光束を発生させることができる。従って、本実施例の照明装置により、狭い範囲を強く照らすスポット照明に適した照明装置が提供できる。又本実施例の照明装置では、既に市場に多く出回っている標準仕様のインバーター蛍光灯を使用するので、低価格で、消耗した時の交換用蛍光灯の入手も容易な、照明装置を提供できる。
【0024】又本実施例ではインバーター蛍光灯5を放射状に立設配置しているが、図8(第1実施例の応用例1の反射鏡の縦断面図)に示すように、インバーター蛍光灯5の蛍光管部6が反射鏡1の中心軸線21と平行となるように立設配置してもよい。この場合、反射鏡1の開口面積が同一であれば、放射状に立設配置する場合に比べて、より多くのインバーター蛍光灯5を収納することができ、より強力なスポット照明に適した照明装置が提供できる。又本実施例では反射鏡1に椀状反射鏡の1種である半球状の凹面鏡を使用しているが、他の椀状反射鏡、例えば断面が三日月形或いは放物線状等の反射鏡でもよい。この場合、反射鏡の形状が用途に応じて最適な照明装置を提供できる。又反射鏡1は椀状に限られず、図9(第1実施例の応用例2の反射鏡の縦断面図)に示すような円錐台状や、ピラミッド状のもの等も可能である。この場合、構造がシンプルであるため、製作が容易で低価格な照明装置を提供できる。
【0025】次に投光部の冷却について説明する。図5において、既に述べたように反射鏡1の外側面に、半球状の金属製のカバー12を覆設し、このカバー12と反射鏡1との間に空隙13を形成する。支柱取付部2は、カバー12の外面の頂部付近に付設する。そして、この支柱取付部2内の空間の名称を暖気集合空間14とする。この暖気集合空間14の内部の上方にブロア15を配設し、このブロア15は、暖気集合空間14の内壁に内設したブロア保持板17により保持する。そして暖気集合空間14の上面には、暖気集合空間排気孔18であるスリットを設ける。又暖気集合空間14を有する支柱取付部2を付設するカバー12の頂部付近に、空隙13と暖気集合空間14とを連通させるように、カバー12を貫通する空隙・暖気集合空間間連通孔16を設ける。又、前記反射鏡1の内面に開口し、前記空隙13と連通するように、反射鏡1の底部付近に、反射鏡1を貫通する吸気孔19を設ける。ブロア15は、空隙13に滞留する暖気のみならず、吸気孔19を介することによって、反射鏡1の内面空間の暖気を、空隙・暖気集合空間間連通孔16及び暖気集合空間14を介して、暖気集合空間排気孔18により、カバー12の背後に向かって強制的に排気するようにブロア15のファンの向きを設定して、取り付けられる。
【0026】上記の構成においては、インバーター蛍光灯5の点灯により、インバーター蛍光灯5の発熱による熱が、給電ソッケト9及び反射鏡1の内面空間を介して反射鏡1に伝わり、反射鏡1の温度が上昇して空隙13に滞留する空気の温度を上昇させる。しかし、ブロア15が、空隙13に滞留する暖気を、空隙・暖気集合空間間連通孔16及び暖気集合空間14を介して、暖気集合空間排気孔18により、カバー12の背後に向かって強制的に排気することにより、空隙13に空気の流れを生じさせ、この空気の流れにより反射鏡1をその裏面から冷却することによって、反射鏡1の内面が接する反射鏡1の内面空間の温度上昇を抑制できる。又、ブロア15は、空隙13に滞留する暖気のみならず、反射鏡1の内面空間の暖気をも、吸気孔19を介することによって、前記カバー12の背後に向かって強制的に排気する。従って、上で述べた反射鏡1の冷却によるのみならず、反射鏡1の開口面から空気が流入することによって、直接インバーター蛍光灯5および反射鏡1を表面から冷却することにより、反射鏡1の内面空間の温度上昇を抑制できる。それのみならず、吸気孔19を介して、反射鏡1の内面空間の空気をカバー12の背後に向かって強制的に排気することにより、反射鏡1の開口面からカバー12の背後に向かって空気の流れを生じさせ、この空気の流れにより、インバーター蛍光灯5の発熱により熱せられた反射鏡1の内面空間の暖気が、反射鏡1の開口面の前方にある撮影対象物の方へ移動するのを、防ぐことができる。
【0027】以上述べた点は次のような利点を有する。一般に撮影対象物としては、多種類の物があるが、これらの物は必ずしも耐熱性のあるものとは限らず、例えば、草花等の植物や、和菓子、ケーキ等の食料品等、熱に弱いものもある。このような撮影対象物の場合、撮影時の照明装置の発熱による影響を極力押さえる必要があるところ、蛍光灯照明装置でも、白熱電球やハロゲン電球等による照明装置程ではないにしろ、発熱は避けられない。そこで熱に弱い撮影対象物に対する、発熱の影響をできるだけ抑制するためには、第1に蛍光灯照明装置の発熱をできるだけ押さえる必要があり、第2に蛍光灯照明装置で発生した熱をできるだけ撮影対象物の方へ移動するのを、防ぐ必要がある。この観点から、本実施例の照明装置は上述のように、まず第1に撮影対象物の周りの空気と直接連なる空気が滞留する、反射鏡1の内面空間の温度上昇を抑制することができる。第2にそれのみならず、反射鏡1の開口面からカバー12の背後に向かう空気の流れにより、インバーター蛍光灯5の発熱により熱せられた暖気が、反射鏡1の開口面の前方にある撮影対象物の方へ移動するのを、防ぐことができる。従って上述の2つの要素の相乗効果で、より一層効果的に、熱に弱い撮影対象物に対する、蛍光灯照明装置による発熱の影響を少なくすることができる。そのため、熱に弱い撮影対象物に対する、発熱の影響の少ない、照明装置を提供できる。
【0028】本実施例では、空隙・暖気集合空間間連通孔16及び吸気孔19は、カバー12の頂部付近と反射鏡1の底部付近とに、それぞれ1個設けたが、これに限られず、複数個所、複数個とすることもできる。その場合は、より一層の冷却効果が期待できる。又本実施例では、支柱取付部2内の暖気集合空間14の内部の上方に、ブロア15を配設しているので、排気された空気は上方に向かって排出され、この照明装置の背後でこの照明装置を操作するオペレーターに排気流が当たらず、オペレーターに不快な思いをさせなくて済む利点があるが、ブロア15を暖気集合空間14の内部の後方に配設する方法もある。その場合は、空気の流れがよりスムースになり、より一層の冷却効果が期待できる。
【0029】尚、本実施例の照明装置の電源として、商用電源を使用するが、この商用電源が給電ソッケト9を介してインバーター蛍光灯5の給電部8及びブロア15に供給される。そこで図示されていないが、このための電源プラグ及び電源ケーブルを本実施例の照明装置に付属させると共に、電源ケーブルからの電力を給電ソッケト9及びブロア15に供給するための内部配線を本実施例の照明装置の内部に、又電源をON、OFFするスイッチを本実施例の支柱取付部2の上側面に設けている。ここで、電源ケーブルからの電力を給電ソッケト9に供給するための内部配線を、空隙13に収納することにより、内部配線を外部に露出しないようにでき、美観に優れた照明装置を提供できる。
【0030】本実施例ではインバーター蛍光灯5を使用するため、実質的な点灯手段はインバーター蛍光灯5に内蔵されていることから、上記の電源プラグ、電源ケーブル、内部配線及びスイッチが、照明装置としての点灯手段を構成することになる。しかし蛍光灯内臓のインバーター回路を利用する方法に限定されるわけではなく、支柱取付部2の内部にインバーター回路を内臓する方法もある。このようにすると、このインバーター回路も、前述の照明装置としての点灯手段に含まれる。この場合には、複数の蛍光灯の駆動用インバーター回路をまとめて1個とすることができ、照明装置のコスト低減に貢献できる。
【0031】次に第2実施例について説明する。図10はこの実施例の投光部の縦断面図である。本実施例では、第1実施例の照明装置において、反射鏡1の底部付近に設けられた、反射鏡1を貫通する吸気孔19を設けない以外は、第1実施例と全く同様である。
【0032】上記の第2実施例においては、第2実施例に比べて構造が多少シンプルになるため、製作が容易で低価格な照明装置を提供できる。又第1実施例で述べた効果の内の、次の効果を有する。即ち、標準仕様のインバーター蛍光灯の使用のみで、従来例の蛍光灯照明装置と同等あるいはそれ以上の、強い光を発生できる。又インバーター蛍光灯が放射状に立設配置されているので、中心光が強い光束を発生できる。そのため狭い範囲を強く照らすスポット照明に適した照明装置を提供できる。又標準仕様のインバーター蛍光灯を使用するので、低価格で入手も容易な照明装置を提供できる。又第1実施例で述べたブロアによる反射鏡の開口面からの空気の流入による、反射鏡の内面空間の温度上昇抑制及び、反射鏡の開口面からカバー12の背後に向かっての空気の流れによる、インバーター蛍光灯の発熱による熱の、撮影対象物への移動の防止はできないものの、反射鏡とカバーとの空隙内の空気の流れによる反射鏡の裏面からの冷却により、反射鏡の内面空間の温度上昇を抑制できる。従って、熱に弱い撮影対象物に対する、発熱の影響の少ない、照明装置を提供できる。
【0033】次に第3実施例について説明する。図11はこの実施例の投光部の縦断面図である。本実施例では、第2実施例の照明装置から、反射鏡1の外側面に覆設した金属製のカバー12及び、暖気集合空間14に内臓したブロア15を除いたもので、それ以外は第2実施例と全く同様である。本実施例では、支柱取付部2を反射鏡1の外面に直接、接合する。
【0034】上記の第3実施例においては、上述の第1実施例や第2実施例に比べて、構造が格段にシンプルであるため、製作が容易で低価格な照明装置を提供できる。又第2実施例で述べた効果の内、次の効果を有する。即ち、標準仕様のインバーター蛍光灯の使用のみで、従来例の蛍光灯照明装置と同等あるいはそれ以上の、強い光を発生できる。又インバーター蛍光灯が放射状に立設配置されているので、中心光が強い光束を発生できる。そのため狭い範囲を強く照らすスポット照明に適した照明装置を提供できる。又標準仕様のインバーター蛍光灯を使用するので、低価格で入手も容易な照明装置を提供できる。
【0035】上述の実施例の照明装置では、スタンド方式について説明したが、スタンド方式に限られず、投光部を天井等から懸垂させる照明装置等も考えられる。
【0036】
【発明の効果】本発明の照明装置は、次の効果を有する。請求項1記載の照明装置は、従来例の蛍光灯照明装置と比べてより多くのインバーター蛍光灯を収納できるので、使用本数を増やすことにより、撮影専用仕様のインバーター蛍光灯を使用すること無しに、標準仕様のインバーター蛍光灯の使用のみで、従来例の蛍光灯照明装置と同等あるいはそれ以上の、強い光を発生できる。又インバーター蛍光灯が放射状に立設配置されているので、中心光の強い光束を発生できる。そのため狭い範囲を強く照らすスポット照明に適した照明装置を提供できる。又標準仕様のインバーター蛍光灯を使用するので、低価格で消耗した時の交換用蛍光灯の入手も容易な、照明装置を提供できる。
【0037】請求項2、請求項3及び請求項4記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置と同様の効果を有する。
【0038】請求項5記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置の有する効果に加えて次の効果を有する。即ち、ブロアにより生じる、反射鏡とカバーとの空隙内の空気の流れによる反射鏡の裏面からの冷却により、反射鏡の内面空間の温度上昇を抑制できるので、熱に弱い撮影対象物に対する発熱の影響の少ない、照明装置を提供できる。又内部配線を空隙に収納することで、蛍光灯照明装置の外観の優れた照明装置を提供できる。
【0039】請求項6記載の照明装置は、請求項5記載の照明装置の有する効果に加えて次の効果を有する。即ち、ブロアにより生じる、反射鏡とカバーとの空隙内の空気の流れによる反射鏡の裏面からの冷却のみならず、反射鏡の開口面からの空気の流入により、直接インバーター蛍光灯および反射鏡を表面から冷却することにより、反射鏡の内面空間の温度上昇を抑制できる。又ブロアにより生じる、反射鏡の開口面からカバーの背後に向かう空気の流れにより、インバーター蛍光灯の発熱により熱せられた反射鏡の内面空間の暖気が、反射鏡の開口面の前方にある撮影対象物の方へ移動するのを防げる。従って、請求項5記載の照明装置以上に効果的に、熱に弱い撮影対象物に対する、発熱の影響の少ない、照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の外観正面図
【図2】第1実施例の外観側面図
【図3】インバター蛍光灯の側面図
【図4】インバター蛍光灯の平面図
【図5】第1実施例の投光部の縦断面図
【図6】第1実施例の投光部の横断面図
【図7】第1実施例の蛍光灯を除いた投光部の正面図
【図8】第1実施例の応用例1の反射鏡の縦断面図
【図9】第1実施例の応用例2の反射鏡の縦断面図
【図10】第2実施例の投光部の縦断面図
【図11】第3実施例の投光部の縦断面図
【図12】従来例の斜視図
【符号の説明】
1 反射鏡 2 支柱取付部
3 支柱 4 台座
5 インバーター蛍光灯 6 インバーター蛍光灯の蛍光管部
7 インバーター蛍光灯の口金部 8 インバーター蛍光灯の給電部
9 給電ソッケト 10 給電ソッケトの給電部
11 スペーサー 12 カバー
13 空隙 14 暖気集合空間
15 ブロア 16 空隙・暖気集合空間間連通孔
17 ブロア保持板 18 暖気集合空間排気孔
19 吸気孔
21 反射鏡の中心軸線 22 収束点
23 放射状線 24 ユニバーサルジョイント部
25 締付けハンドル
A 従来の蛍光灯照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 前面が開口した断面が凹形の反射鏡1と、蛍光管部6が屈曲し給電部8が一端に設けられた複数のインバーター蛍光灯5と、前記反射鏡1の内面に配設された複数の給電ソッケト9と、前記インバーター蛍光灯5を点灯させる点灯手段とを備え、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その他端の蛍光管部先端が前記反射鏡1の前面側の中心軸線21上の一点22に向かって収束するように、放射状に立設配置してなる、照明装置。
【請求項2】 前面が開口した断面が凹形の反射鏡1と、蛍光管部6が屈曲し給電部8が一端に設けられた複数のインバーター蛍光灯5と、前記反射鏡1の内面に配設された複数の給電ソッケト9と、前記インバーター蛍光灯5を点灯させる点灯手段とを備え、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その蛍光管部5が前記反射鏡1の中心軸線21と平行となるように、前記反射鏡1の前面側に立設配置してなる、照明装置。
【請求項3】 前面が開口した椀状の反射鏡1と、蛍光管部6が屈曲し給電部8が一端に設けられた複数のインバーター蛍光灯5と、前記反射鏡1の内面に配設された複数の給電ソッケト9と、前記インバーター蛍光灯5を点灯させる点灯手段とを備え、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その他端の蛍光管部先端が前記反射鏡1の前面側の中心軸線21上の一点22に向かって収束するように、放射状に立設配置してなる、照明装置。
【請求項4】 前面が開口した椀状の反射鏡1と、蛍光管部6が屈曲し給電部8が一端に設けられた複数のインバーター蛍光灯5と、前記反射鏡1の内面に配設された複数の給電ソッケト9と、前記インバーター蛍光灯5を点灯させる点灯手段とを備え、前記給電ソッケト9に一端を嵌合させた前記インバーター蛍光灯5のそれぞれを、その蛍光管部6が前記反射鏡1の中心軸線21と平行となるように、前記反射鏡1の前面側に立設配置してなる、照明装置。
【請求項5】 前記反射鏡1の外側面を覆い、前記反射鏡1との間に空隙13を設けて設置されるカバー12と、前記空隙13と連通して設けられた暖気集合空間14と、前記暖気集合空間14内に設けられ、前記空隙13に滞留する暖気を前記カバー12の背後に向かって強制排気するブロア15と、を具備させた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】 前記反射鏡1の外側面を覆い、前記反射鏡1との間に空隙13を設けて設置されるカバー12と、前記反射鏡1の内面に開口し、前記空隙13と連通する吸気孔19と、前記空隙13と連通して設けられた暖気集合空間14と、前記暖気集合空間14内に設けられ、前記空隙13及び前記反射鏡1の内面空間に滞留する暖気を前記カバー12の背後に向かって強制排気するブロア15と、を具備させた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2000−133002(P2000−133002A)
【公開日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−301189
【出願日】平成10年10月22日(1998.10.22)
【出願人】(596110981)
【Fターム(参考)】