照明装置
【課題】 曲管式誘電体バリア放電ランプ(EEFL)を多灯具備し同時点灯させる照明装置にあって、ランプ湾曲部の電極と管端部の電極との温度差を少なくしてランプ管内の水銀の偏りを防ぎ、また発光面上の輝度ムラを低減する。
【解決手段】 湾曲部1Aを持つ曲管式EEFL1を複数本並設した照明装置において、曲管式EEFL各々の両端部と湾曲部とに外部電極3,5を形成し、両端部の外部電極3にそれぞれ逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、湾曲部の外部電極5をGNDに接続した。
【解決手段】 湾曲部1Aを持つ曲管式EEFL1を複数本並設した照明装置において、曲管式EEFL各々の両端部と湾曲部とに外部電極3,5を形成し、両端部の外部電極3にそれぞれ逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、湾曲部の外部電極5をGNDに接続した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶用ディスプレイ、液晶TV、計器用表示パネル等に用いられる蛍光ランプを多灯具備する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶用ディスプレイ、液晶TV、計器用表示パネル用のバックライトとして、低消費電力化及びコスト削減の目的で、内壁に蛍光体を塗布し、両端を封止した透明のガラス管の内部に水銀を含むネオン・アルゴンなどの混合ガスを放電媒体として封入し、ガラス管両端の外壁に金属等を薄膜コーティングして外部電極を形成した誘電体バリア放電ランプ(「EEFL」と称する)の短ピッチU管又はC管を多灯使用したバックライトが主流となってきている。このようなC管EEFL又はU管EEFLを用いたバックライトの構造を図10に示してあるが、短ピッチU管状又はC管状にベンディングされたガラス管の両端の外部にのみ電極3が配置された外部電極式のEEFL1をバックライトフレーム2内に具備した構成である。
【0003】
ところが、EEFLは管電圧2000V(片側1000Vrms)以上で点灯させるとオゾンが発生する。現在、ランプ本数の低減から、U管又はC管の使用が主要になってきているが、管電圧が2000Vrmsを超えてしまうことより、大型バックライトにてEEFLは使用できない。また、U管及びC管を多灯使用したバックライトの設計において、ランプの湾曲部1A(U管の場合は短辺部)を有効発光部外に設置した場合、図11に示すように電極3側に比べて湾曲部1A側の管壁温度が低くなるため、水銀偏りの原因となってしまう。また、図12に示すように、電極3側に比べ湾曲部1A側の方がランプ光量が多くなり、バックライトの板面上の輝度ムラが発生する。この部分の光をゴムホルダー等で遮断すれば光学的には問題ないが、ランプの管壁温度が低下し、ランプに封入されている水銀が偏在する原因となってしまう問題点があった。
【特許文献1】特開2002−82327号公報
【特許文献2】特開2001−507824号公報
【特許文献3】特開昭61−18585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、C管又はU管のような曲管式誘電体バリア放電ランプ(EEFL)を多灯具備し同時点灯させる照明装置にあって、ランプ湾曲部の電極と管端部の電極との温度差を少なくすることでランプ管内の水銀の偏りを防ぐことができ、ランプ湾曲部の輝度を低下させて発光面上の輝度ムラを低減できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、前記両端部の外部電極にそれぞれ逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続したものである。
【0006】
請求項2の発明は、ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、前記両端部の外部電極にそれぞれ同相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続したものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2の照明装置において、前記曲管式蛍光ランプは、C管形状又はU管形状であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明装置によれば、C管又はU管のような曲管式EEFLの多数を同時点灯させるに当たり、ランプ湾曲部の外部電極と管端部の外部電極との温度差を少なくしてランプ管内の水銀の偏りを防ぐことができ、ランプ湾曲部の輝度を低下させて発光面上の輝度をムラなく均一化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0010】
(第1の実施の形態)図1は本発明の照明装置の第1の実施の形態としての曲管式多灯式のバックライトを示している。本実施の形態のバックライトは、複数本のC管EEFL1をフレーム2に並設し、各EEFL1の両端それぞれに設けた外部電極3を電極内蔵の、若しくは導電性のゴムホルダー4に装着し、また各EEFL1の湾曲部1Aに外部電極5を設け、GNDに接続した構成である。各EEFL1の湾曲部1Aは有効発光領域に位置するようにしてある。尚、各EEFL1の両端のゴムホルダー4にはインバータ7からトランス6,6を通じて逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加するように電源回路を構成してある。図中のサークル10内は、印加電圧波形を示している。
【0011】
上記構成のバックライトの点灯時の輝度分布を図2に示し、温度分布を図3に示してある。上述のように各C管EEFL1の湾曲部1Aに外部電極5を設け、これを接地してGND電位とし、各EEFL1の両端の電極3に逆位相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加することで管電圧を低減することができる。また、湾曲部1Aを有効発光域に設置することで、図2のグラフに示したように、各EEFL1における湾曲部1A側と電極3側の温度差が少なくなり水銀の偏りを防ぐことができ、結果としてピンク放電の発生が抑制できる。さらに、電極5の形成により湾曲部1Aの光を遮断することより、図3に示したように各EEFL1の湾曲部1Aの輝度を低下させ、バックライト板面上の輝度ムラを低減させることができる。
【0012】
尚、上記実施の形態ではC管EEFLを採用したが、これに代えてU管EEFLを採用することもでき、またそれらC管、U管の曲管式でランプ管の管断面が円形だけでなく楕円形の扁平管を採用することもできる。また、本実施の形態ではC管EEFLを採用したのでその曲り部分を「湾曲部」と称したが、U管EEFLにあっては「短辺部」と称される連結部分について同様に共通の名称「湾曲部」と称することにする。これらは、以下の他の実施の形態でも同様である。
【0013】
(第2の実施の形態)図3、図4は本発明の第2の実施の形態のバックライトを示している。本実施の形態は、複数本のC管EEFL1それぞれを湾曲部1Aと外部電極3を内蔵するゴムホルター4へ装着する管端部とが互い違いに位置する配列にし、かつフレーム2の裏側において、インバータ6を2台両側に配置し、各端部の外部電極3に対して逆位相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加するトランス7をそれぞれの外部電極3に近接する位置に設置した構造を特徴とする。尚、図4、図5において、図1に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を付して示してある。これによって、第2の実施の形態のバックライトでは、ランプ軸方向温度差、板面輝度差を低減させることができる。
【0014】
(第3の実施の形態)次に、本発明の第3の実施の形態のバックライトについて図6を用いて説明する。第3の実施の形態の特徴は、図1に示した第1の実施の形態に対して、各C管EEFL1の両端側のゴムホルダー4に印加する矩形波電圧若しくは正弦波電圧を同相にした点にある。
【0015】
すなわち、本実施の形態のバックライトは、複数本のC管EEFL1をフレーム2に並設し、各EEFL1の両端それぞれの外部電極3を電極内蔵の、若しくは導電性のゴムホルダー4に装着し、また各EEFL1の湾曲部1Aに外部電極5を設け、GNDに接続している。各EEFL1の湾曲部1Aは有効発光領域に位置するようにする。尚、各EEFL1の両端のゴムホルダー4にはインバータ7から共通のトランス6を通じて同相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加するように電源回路を構成してある。図中のサークル11内は印加電圧波形を示している。
【0016】
上記構成のバックライトの点灯時の輝度分布、温度分布は第1の実施の形態とほぼ同様であり、結果としてピンク放電の発生が抑制でき、またバックライト板面上の輝度ムラを低減できる。加えて、図1に示した第1の実施の形態の場合には逆相の電圧を印加するために少なくとも2台のトランス6を必要とするが、これに対してこの第2の実施の形態の場合には最低1台のトランス6を共通に利用できる利点がある。
【0017】
尚、上記実施の形態でもC管EEFLを採用したが、これに代えてU管EEFLを採用することもでき、またそれらC管、U管の曲管式でランプ管の管断面が円形だけでなく楕円形の扁平管を採用することもできる。
【0018】
(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の形態のバックライトを図7〜図9を用いて説明する。本実施の形態の特徴は、多灯の曲管式EEFL1の間欠点灯機能にある。図7に示すように、EEFL1は、ガラス管の内壁に蛍光体が塗布されていて、ガラス管の内部を負圧状態にした後に少量のArガス、Neガスと水銀を封入し、このガラス管の両端を封止し、さらに当該ガラス管の両端部に電極3としてSn、Ag等の金属から構成される長さ20mm程度の半田層を形成した構造である。電極3の膜厚は0.5μ〜2μmの厚みに設定してあり、ランプ自身の形状はC型である。ガラス管の外径寸法は、φ2.4mm〜φ4mmまで対応可能である。さらに本実施の形態で使用する曲管式EEFL1はその湾曲部1Aの管外壁に両端部の外部電極3の電極材と同じく外部電極5を形成している。この湾曲部1Aの外部電極5は、管両端の外部電極3の2倍の電極長を有している。湾曲部1Aに流れる電流は管両端に流れる電流の2倍になるため、その耐久性能を上げる必要があり、電極長を2倍にして表面積を増やしているのである。
【0019】
本実施の形態で採用するEEFL1の駆動方法は、ランプ両端の外部電極3には40kHzから数百kHzまでの同位相の正弦波電圧を印加させ、湾曲部1Aの電極5には管両端部へ印加する同じ周波数で逆位相の正弦波電圧を印加する。この方法であれば電気的に安全、かつこれまで不可能とされていたランプ長800mm以上の管長、外径寸法がφ4mm以下でコロナ放電、オゾンの発生もないEEFLを実現できるからである。尚、C型曲管式EEFL1に代えて、図8に示したU型曲管式EEFL1を採用することができる。この場合、サイズ、電極長さ、厚み等は図7のものと同等である。
【0020】
次に、上記曲管式EEFL1を多灯、間欠的に点灯させるバックライトの構成を図9を用いて説明する。本実施の形態のバックライトでは、多灯の曲管式EEFL1それぞれの両端電極3と湾曲部1Aの電極5にトランス6にて矩形波であ又は正弦波電圧を印加して放電点灯させる。
【0021】
説明の便宜のため、多灯のEEFL1を区別するために符号は順に1−1,1−2,…とし、各EEFL1の直管部分を区別するためにEEFL1−1の両側の直管部分はそれぞれ1−11,1−12と符号を付して示してある。また各直管部を点灯させるためにそれぞれ電極3に電圧を印加するトランスも6−11,6−12,6−13,…と区別している。さらに、各EEFL1の湾曲部1Aの電極に電圧を印加するトランスについても6−21,6−22,6−23,…と区別する。
【0022】
上記実施の形態のバックライトにおける駆動方法を説明する。各EEFL1の湾曲部1Aに形成した外部電極5には管両端部の外部電極3,3と同じ電圧、同じ周波数(数10kHzから数100kHz)を逆位相で印加する。管両端部の電極3に印加する電圧は、電気的に安全な設計として波形は同位相とする。そこで、回路内に配置されたIC等によって出力電気信号を可変させ、両端電極3に順次電圧を印加する。これによって、各EEFL1の直管部分1−11,1−12,1−21,1−22,…を順次発光させる間欠駆動が可能となる。
【0023】
尚、バックライト自身の輝度を変えるためには、直管部分の間欠駆動でなく、全灯のEEFL1を間欠駆動することも必要となるが、その場合の駆動方法としては、湾曲部1Aの外部電極5に上記と同様に管両端部の外部電極3への印加電圧と同じ電圧を印加し、さらに管両端部の外部電極3に電圧を加えることにより、全灯を一度に間欠駆動させることも可能になる。
【0024】
尚、上記で本発明の実施の形態としてバックライトについて例示したが、本発明は同様の構成で用途の異なる照明装置に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態のバックライトの平面図。
【図2】上記実施の形態のバックライトの温度分布グラフ。
【図3】上記実施の形態のバックライトの輝度分布グラフ。
【図4】本発明の第2の実施の形態のバックライトの平面図。
【図5】上記実施の形態のバックライトの底面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態のバックライトの平面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態のバックライトに使用するC型曲管式EEFLの平面図及び側面図。
【図8】本発明の第4の実施の形態のバックライトに使用するU型曲管式EEFLの平面図及び側面図。
【図9】上記第4の実施の形態のバックライトの一部省略せる平面図。
【図10】従来例のバックライトの平面図。
【図11】従来例のバックライトの温度分布グラフ。
【図12】従来例のバックライトの輝度分布グラフ。
【符号の説明】
【0026】
1 EEFL
1A 湾曲部
2 フレーム
3 電極
4 ゴムホルダー
5 電極
6 トランス
7 インバータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶用ディスプレイ、液晶TV、計器用表示パネル等に用いられる蛍光ランプを多灯具備する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶用ディスプレイ、液晶TV、計器用表示パネル用のバックライトとして、低消費電力化及びコスト削減の目的で、内壁に蛍光体を塗布し、両端を封止した透明のガラス管の内部に水銀を含むネオン・アルゴンなどの混合ガスを放電媒体として封入し、ガラス管両端の外壁に金属等を薄膜コーティングして外部電極を形成した誘電体バリア放電ランプ(「EEFL」と称する)の短ピッチU管又はC管を多灯使用したバックライトが主流となってきている。このようなC管EEFL又はU管EEFLを用いたバックライトの構造を図10に示してあるが、短ピッチU管状又はC管状にベンディングされたガラス管の両端の外部にのみ電極3が配置された外部電極式のEEFL1をバックライトフレーム2内に具備した構成である。
【0003】
ところが、EEFLは管電圧2000V(片側1000Vrms)以上で点灯させるとオゾンが発生する。現在、ランプ本数の低減から、U管又はC管の使用が主要になってきているが、管電圧が2000Vrmsを超えてしまうことより、大型バックライトにてEEFLは使用できない。また、U管及びC管を多灯使用したバックライトの設計において、ランプの湾曲部1A(U管の場合は短辺部)を有効発光部外に設置した場合、図11に示すように電極3側に比べて湾曲部1A側の管壁温度が低くなるため、水銀偏りの原因となってしまう。また、図12に示すように、電極3側に比べ湾曲部1A側の方がランプ光量が多くなり、バックライトの板面上の輝度ムラが発生する。この部分の光をゴムホルダー等で遮断すれば光学的には問題ないが、ランプの管壁温度が低下し、ランプに封入されている水銀が偏在する原因となってしまう問題点があった。
【特許文献1】特開2002−82327号公報
【特許文献2】特開2001−507824号公報
【特許文献3】特開昭61−18585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、C管又はU管のような曲管式誘電体バリア放電ランプ(EEFL)を多灯具備し同時点灯させる照明装置にあって、ランプ湾曲部の電極と管端部の電極との温度差を少なくすることでランプ管内の水銀の偏りを防ぐことができ、ランプ湾曲部の輝度を低下させて発光面上の輝度ムラを低減できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、前記両端部の外部電極にそれぞれ逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続したものである。
【0006】
請求項2の発明は、ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、前記両端部の外部電極にそれぞれ同相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続したものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2の照明装置において、前記曲管式蛍光ランプは、C管形状又はU管形状であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明装置によれば、C管又はU管のような曲管式EEFLの多数を同時点灯させるに当たり、ランプ湾曲部の外部電極と管端部の外部電極との温度差を少なくしてランプ管内の水銀の偏りを防ぐことができ、ランプ湾曲部の輝度を低下させて発光面上の輝度をムラなく均一化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0010】
(第1の実施の形態)図1は本発明の照明装置の第1の実施の形態としての曲管式多灯式のバックライトを示している。本実施の形態のバックライトは、複数本のC管EEFL1をフレーム2に並設し、各EEFL1の両端それぞれに設けた外部電極3を電極内蔵の、若しくは導電性のゴムホルダー4に装着し、また各EEFL1の湾曲部1Aに外部電極5を設け、GNDに接続した構成である。各EEFL1の湾曲部1Aは有効発光領域に位置するようにしてある。尚、各EEFL1の両端のゴムホルダー4にはインバータ7からトランス6,6を通じて逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加するように電源回路を構成してある。図中のサークル10内は、印加電圧波形を示している。
【0011】
上記構成のバックライトの点灯時の輝度分布を図2に示し、温度分布を図3に示してある。上述のように各C管EEFL1の湾曲部1Aに外部電極5を設け、これを接地してGND電位とし、各EEFL1の両端の電極3に逆位相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加することで管電圧を低減することができる。また、湾曲部1Aを有効発光域に設置することで、図2のグラフに示したように、各EEFL1における湾曲部1A側と電極3側の温度差が少なくなり水銀の偏りを防ぐことができ、結果としてピンク放電の発生が抑制できる。さらに、電極5の形成により湾曲部1Aの光を遮断することより、図3に示したように各EEFL1の湾曲部1Aの輝度を低下させ、バックライト板面上の輝度ムラを低減させることができる。
【0012】
尚、上記実施の形態ではC管EEFLを採用したが、これに代えてU管EEFLを採用することもでき、またそれらC管、U管の曲管式でランプ管の管断面が円形だけでなく楕円形の扁平管を採用することもできる。また、本実施の形態ではC管EEFLを採用したのでその曲り部分を「湾曲部」と称したが、U管EEFLにあっては「短辺部」と称される連結部分について同様に共通の名称「湾曲部」と称することにする。これらは、以下の他の実施の形態でも同様である。
【0013】
(第2の実施の形態)図3、図4は本発明の第2の実施の形態のバックライトを示している。本実施の形態は、複数本のC管EEFL1それぞれを湾曲部1Aと外部電極3を内蔵するゴムホルター4へ装着する管端部とが互い違いに位置する配列にし、かつフレーム2の裏側において、インバータ6を2台両側に配置し、各端部の外部電極3に対して逆位相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加するトランス7をそれぞれの外部電極3に近接する位置に設置した構造を特徴とする。尚、図4、図5において、図1に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を付して示してある。これによって、第2の実施の形態のバックライトでは、ランプ軸方向温度差、板面輝度差を低減させることができる。
【0014】
(第3の実施の形態)次に、本発明の第3の実施の形態のバックライトについて図6を用いて説明する。第3の実施の形態の特徴は、図1に示した第1の実施の形態に対して、各C管EEFL1の両端側のゴムホルダー4に印加する矩形波電圧若しくは正弦波電圧を同相にした点にある。
【0015】
すなわち、本実施の形態のバックライトは、複数本のC管EEFL1をフレーム2に並設し、各EEFL1の両端それぞれの外部電極3を電極内蔵の、若しくは導電性のゴムホルダー4に装着し、また各EEFL1の湾曲部1Aに外部電極5を設け、GNDに接続している。各EEFL1の湾曲部1Aは有効発光領域に位置するようにする。尚、各EEFL1の両端のゴムホルダー4にはインバータ7から共通のトランス6を通じて同相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加するように電源回路を構成してある。図中のサークル11内は印加電圧波形を示している。
【0016】
上記構成のバックライトの点灯時の輝度分布、温度分布は第1の実施の形態とほぼ同様であり、結果としてピンク放電の発生が抑制でき、またバックライト板面上の輝度ムラを低減できる。加えて、図1に示した第1の実施の形態の場合には逆相の電圧を印加するために少なくとも2台のトランス6を必要とするが、これに対してこの第2の実施の形態の場合には最低1台のトランス6を共通に利用できる利点がある。
【0017】
尚、上記実施の形態でもC管EEFLを採用したが、これに代えてU管EEFLを採用することもでき、またそれらC管、U管の曲管式でランプ管の管断面が円形だけでなく楕円形の扁平管を採用することもできる。
【0018】
(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の形態のバックライトを図7〜図9を用いて説明する。本実施の形態の特徴は、多灯の曲管式EEFL1の間欠点灯機能にある。図7に示すように、EEFL1は、ガラス管の内壁に蛍光体が塗布されていて、ガラス管の内部を負圧状態にした後に少量のArガス、Neガスと水銀を封入し、このガラス管の両端を封止し、さらに当該ガラス管の両端部に電極3としてSn、Ag等の金属から構成される長さ20mm程度の半田層を形成した構造である。電極3の膜厚は0.5μ〜2μmの厚みに設定してあり、ランプ自身の形状はC型である。ガラス管の外径寸法は、φ2.4mm〜φ4mmまで対応可能である。さらに本実施の形態で使用する曲管式EEFL1はその湾曲部1Aの管外壁に両端部の外部電極3の電極材と同じく外部電極5を形成している。この湾曲部1Aの外部電極5は、管両端の外部電極3の2倍の電極長を有している。湾曲部1Aに流れる電流は管両端に流れる電流の2倍になるため、その耐久性能を上げる必要があり、電極長を2倍にして表面積を増やしているのである。
【0019】
本実施の形態で採用するEEFL1の駆動方法は、ランプ両端の外部電極3には40kHzから数百kHzまでの同位相の正弦波電圧を印加させ、湾曲部1Aの電極5には管両端部へ印加する同じ周波数で逆位相の正弦波電圧を印加する。この方法であれば電気的に安全、かつこれまで不可能とされていたランプ長800mm以上の管長、外径寸法がφ4mm以下でコロナ放電、オゾンの発生もないEEFLを実現できるからである。尚、C型曲管式EEFL1に代えて、図8に示したU型曲管式EEFL1を採用することができる。この場合、サイズ、電極長さ、厚み等は図7のものと同等である。
【0020】
次に、上記曲管式EEFL1を多灯、間欠的に点灯させるバックライトの構成を図9を用いて説明する。本実施の形態のバックライトでは、多灯の曲管式EEFL1それぞれの両端電極3と湾曲部1Aの電極5にトランス6にて矩形波であ又は正弦波電圧を印加して放電点灯させる。
【0021】
説明の便宜のため、多灯のEEFL1を区別するために符号は順に1−1,1−2,…とし、各EEFL1の直管部分を区別するためにEEFL1−1の両側の直管部分はそれぞれ1−11,1−12と符号を付して示してある。また各直管部を点灯させるためにそれぞれ電極3に電圧を印加するトランスも6−11,6−12,6−13,…と区別している。さらに、各EEFL1の湾曲部1Aの電極に電圧を印加するトランスについても6−21,6−22,6−23,…と区別する。
【0022】
上記実施の形態のバックライトにおける駆動方法を説明する。各EEFL1の湾曲部1Aに形成した外部電極5には管両端部の外部電極3,3と同じ電圧、同じ周波数(数10kHzから数100kHz)を逆位相で印加する。管両端部の電極3に印加する電圧は、電気的に安全な設計として波形は同位相とする。そこで、回路内に配置されたIC等によって出力電気信号を可変させ、両端電極3に順次電圧を印加する。これによって、各EEFL1の直管部分1−11,1−12,1−21,1−22,…を順次発光させる間欠駆動が可能となる。
【0023】
尚、バックライト自身の輝度を変えるためには、直管部分の間欠駆動でなく、全灯のEEFL1を間欠駆動することも必要となるが、その場合の駆動方法としては、湾曲部1Aの外部電極5に上記と同様に管両端部の外部電極3への印加電圧と同じ電圧を印加し、さらに管両端部の外部電極3に電圧を加えることにより、全灯を一度に間欠駆動させることも可能になる。
【0024】
尚、上記で本発明の実施の形態としてバックライトについて例示したが、本発明は同様の構成で用途の異なる照明装置に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態のバックライトの平面図。
【図2】上記実施の形態のバックライトの温度分布グラフ。
【図3】上記実施の形態のバックライトの輝度分布グラフ。
【図4】本発明の第2の実施の形態のバックライトの平面図。
【図5】上記実施の形態のバックライトの底面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態のバックライトの平面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態のバックライトに使用するC型曲管式EEFLの平面図及び側面図。
【図8】本発明の第4の実施の形態のバックライトに使用するU型曲管式EEFLの平面図及び側面図。
【図9】上記第4の実施の形態のバックライトの一部省略せる平面図。
【図10】従来例のバックライトの平面図。
【図11】従来例のバックライトの温度分布グラフ。
【図12】従来例のバックライトの輝度分布グラフ。
【符号の説明】
【0026】
1 EEFL
1A 湾曲部
2 フレーム
3 電極
4 ゴムホルダー
5 電極
6 トランス
7 インバータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、
前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、
前記両端部の外部電極にそれぞれ逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続した照明装置。
【請求項2】
ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、
前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、
前記両端部の外部電極にそれぞれ同相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続した照明装置。
【請求項3】
前記曲管式蛍光ランプは、C管形状又はU管形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項1】
ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、
前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、
前記両端部の外部電極にそれぞれ逆相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続した照明装置。
【請求項2】
ガラス管の内壁に蛍光体皮膜が形成され、前記ガラス管の内部放電空間に1種類以上の希ガス、又は水銀及び1種類以上の希ガスが封入され、前記ガラス管の両端が閉塞され、かつ前記ガラス管の中間部に湾曲部が形成されている曲管式蛍光ランプを複数本並設した照明装置において、
前記曲管式蛍光ランプの両端部と湾曲部とに外部電極を形成し、
前記両端部の外部電極にそれぞれ同相の矩形波電圧若しくは正弦波電圧を印加し、前記湾曲部の外部電極をGNDに接続した照明装置。
【請求項3】
前記曲管式蛍光ランプは、C管形状又はU管形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−202517(P2006−202517A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10171(P2005−10171)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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