説明

照明装置

【課題】新しい光の演出効果が得られる照明装置11を提供する。
【解決手段】光源からの光をミラー22で反射させて照射する。ミラー22は、傾きの変化が許容された状態に支持する。ミラー駆動部31でミラー22の傾きを高速微細に変化させ、ミラー22からの反射光で任意の照射光形状を描く。音信号に連動してミラー駆動部31を制御することにより、音信号に対応して照射光形状を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい光の演出効果が得られる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスポットライトなどの照明装置では、この照明装置から光を照射する向きを上下左右の各方向に自動制御可能とし、入力された目的の位置に対して光を照射するように、照明装置から光を照射する向きを自動的に調整するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、照明装置からの照射する光の周辺部の一部を遮ることによって照射光の形状を円形以外に四角や三角などの形状に形成するものもある。
【特許文献1】特開平4−196006号公報(第2頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来、照明装置から光を照射する向きを上下左右の各方向に自動制御可能とし、入力された目的の位置に対して光を照射するものがあるが、単に光を照射するだけで、光の演出効果が十分でない場合がある。
【0005】
また、照明装置からの照射する光の周辺部の一部を遮ることによって照射光の形状を円形以外に四角や三角などの形状に形成するものもあるが、形成できる照射光の形状は四角や三角などといった単純な形状に限られ、光の演出効果が十分でない場合もある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、新しい光の演出効果が得られる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の照明装置は、光源と;傾きの変化が許容された状態に支持され、光源からの光を反射するミラーと;ミラーの傾きを変化させるミラー駆動部と;ミラーからの反射光で任意の照射光形状を描くようにミラー駆動部を高速微細に制御する制御部と;を具備しているものである。
【0008】
光源は、放電灯やハロゲンランプなどのランプ、発光ダイオード、レーザー光発振器などのいずれを用いてもよい。
【0009】
ミラーは、例えば、ミラーの中心部を弾性体を介して支持することにより、この弾性体の変形でミラーの傾きの変化が許容された状態に支持される。
【0010】
ミラー駆動部は、例えば、ミラーからの反射光で任意の照射光形状が描くように、ミラーの傾きを高速微細に変化させることが可能なもので、ミラーに取り付けられる永久磁石などの磁性体とこの磁性体に磁気作用をもたらす駆動コイルとで構成される電磁石などが適している。
【0011】
制御部は、例えば、外部から信号を入力し、入力した信号に対応してミラーからの反射光で任意の照射光形状を描くようにミラー駆動部を高速微細に制御する。
【0012】
ミラーからの反射光で描く任意の照射光形状は、特に限定されるものではなく、ミラーの傾きを高速微細に変化させることで描くことが可能な全ての照射光形状が含まれる。
【0013】
そして、例えば外部信号と連動してミラーの傾きを変化させ、このミラーからの反射光で任意の照射光形状を描くことにより、新しい演出効果を得ることができる。
【0014】
請求項2記載の照明装置は、請求項1記載の照明装置において、ミラー駆動部は、ミラーの裏面に取り付けられた磁性体とこの磁性体を磁気作用によって駆動する駆動コイルとで構成された電磁石であって、ミラーの中心部を基準としてX軸方向の傾きを駆動するX軸用の電磁石と、ミラーの中心部を基準としてY軸方向の傾きを駆動するY軸用の電磁石とを備えているものである。
【0015】
X軸方向およびY軸方向は、それぞれミラーの光を反射する面に沿った方向で、ミラーの中心部に対して互いに直交する方向を示す。
【0016】
磁性体としては、例えば、磁石が用いられる。
【0017】
X軸用の電磁石およびY軸用の電磁石は、1個ずつでも複数個を用いてもよい。
【0018】
そして、X軸用の電磁石およびY軸用の電磁石を用いることにより、ミラーの傾きを任意の方向に高速微細に変化させることができる。
【0019】
請求項3記載の照明装置は、請求項2記載の照明装置において、X軸用の電磁石およびY軸用の電磁石は、それぞれ2個ずつ備え、各2個の電磁石の駆動コイルは逆向きに磁界を発生するように構成され、一方の電磁石の吸引作用と他方の電磁石の反発作用とでミラーの傾きを変化させるものである。
【0020】
そして、X軸用およびY軸用の各2個の電磁石の吸引作用と反発作用との相乗作用により、ミラーの傾きを高速微細に変化させることができる。
【0021】
請求項4記載の照明装置は、請求項2または3記載の照明装置において、制御部からの信号を増幅してX軸用の電磁石の駆動コイルとY軸用の電磁石の駆動コイルとに与える増幅回路を具備しているものである。
【0022】
そして、電磁石に与える信号を増幅回路で増幅することにより、各電磁石を確実に動作させ、ミラーの傾きを高速微細に変化させることができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の照明装置によれば、例えば外部信号と連動してミラーの傾きを変化させ、このミラーからの反射光で任意の照射光形状を描くことにより、新しい演出効果を得ることができる。
【0024】
請求項2記載の照明装置によれば、請求項1記載の照明装置の効果に加えて、X軸用の電磁石およびY軸用の電磁石を用いることにより、ミラーの傾きを任意の方向に高速微細に変化させることができる。
【0025】
請求項3記載の照明装置によれば、請求項2記載の照明装置の効果に加えて、X軸用の電磁石およびY軸用の電磁石をそれぞれ2個ずつ用い、各2個の電磁石の駆動コイルが逆向きに磁界を発生するようにして、一方の電磁石の吸引作用と他方の電磁石の反発作用とでミラーの傾きを変化させることにより、ミラーの傾きを高速微細に変化させることができる。
【0026】
請求項4記載の照明装置によれば、請求項2または3記載の照明装置の効果に加えて、制御部からの信号を増幅回路で増幅してX軸用の電磁石の駆動コイルとY軸用の電磁石の駆動コイルとに与えることにより、各電磁石を確実に動作させ、ミラーの傾きを高速微細に変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は照明装置の構成図、図2は照明装置のブロック図、図3は照明装置の断面図である。
【0029】
図3に示すように、照明装置11は、機体12を有し、この機体12内に、照明ユニット13とミラーユニット14とが配設されている。
【0030】
照明ユニット13は、例えば放電灯やハロゲンランプなどの光源15、この光源15の光を反射させる反射体16、および光源15の光軸17上に配置されるレンズ18やフィルタなどが含まれる機構部19を有している。なお、この照明ユニット13は既存の照明器具を用いてもよい。
【0031】
また、ミラーユニット14は、光軸17に対して45度の角度に設置される第1のミラー21、およびこのミラー21で反射する光をさらに反射する位置に配置される第2のミラー22を有している。
【0032】
ミラー21は、光軸17を中心に回転可能な回転部23上に支持されている。この回転部23は駆動部としてのモータ24によって回転駆動される。モータ24から回転部23への駆動力伝達にはギヤを用いた伝達機構が用いられている。
【0033】
ミラー22は、ミラー支持部25に支持されている。このミラー支持部25は、回転部23上に設置された支持台26に対してミラー21の反射面に平行な揺動軸27で揺動可能に支持され、駆動部としてのモータ28によって揺動駆動される。モータ28からミラー支持部25への駆動力伝達にはプーリおよびベルトを用いた伝達機構が用いられている。
【0034】
機体12の端面には、ミラー22で反射した光を外部に照射する照射開口29が形成されている。
【0035】
次に、図1に示すように、ミラー22は、ミラー21に対向する一面を反射面22aとする円板状に形成され、この反射面22aに対して反対の裏面側において中心部が図示しないミラー軸でミラー支持部25に支持されている。このミラー22とミラー軸との間にはOリングなどの図示しない弾性体が介在され、この弾性体の弾性変形によってミラー22の傾きの変化がミラー軸を中心とする360度全ての方向に許容された状態に支持されている。
【0036】
このミラー22の裏面側には、ミラー22からの反射光で任意の照射光形状を描くようにミラー22の傾きを高速微細に変化させるミラー駆動部31が配設されている。このミラー駆動部31は、ミラー22の裏面に取り付けられた磁性体としての磁石32x,32yとミラー支持部25に取り付けられた駆動コイル33x,33yとで構成される複数の電磁石34x,34yを備えている。
【0037】
電磁石としては、ミラー22の中心部を基準としてX軸方向の傾きを駆動するX軸用の2個の電磁石34xと、ミラー22の中心部を基準としてY軸方向の傾きを駆動するY軸用の2個の電磁石34yとを備えている。X軸用の2個の電磁石34xはミラー22の中心部を基準としてX軸方向の対称位置に配設され、Y軸用の2個の電磁石34yはミラー22の中心部を基準としてY軸方向の対称位置に配設されている。これにより、ミラー22の傾きを任意の方向に高速微細に変化させることができる。
【0038】
X軸用の2個の電磁石34xの駆動コイル33xは逆向きに磁界を発生するように構成され、一方の電磁石34xの吸引作用と他方の電磁石34xの反発作用とでミラー22の傾きを変化させるように構成されている。同様に、Y軸用の2個の電磁石34yの駆動コイル33yは逆向きに磁界を発生するように構成され、一方の電磁石34yの吸引作用と他方の電磁石34yの反発作用とでミラー22の傾きを変化させるように構成されている。これにより、ミラー22の傾きを高速微細に変化させることができる。
【0039】
また、制御部36からの信号を増幅回路37x,37yで増幅してX軸用の電磁石34xの駆動コイル33xとY軸用の電磁石34yの駆動コイル33yとに与える。これにより、各電磁石34x,34yを確実に動作させ、ミラー22の傾きを高速微細に変化させることができる。
【0040】
図2に示すように、制御部36は、Sin波生成回路38からSin波を入力し、このSin波をスループット39、ゲート回路40x、増幅回路37xを通じてX軸の駆動コイル33xに出力し、Sin波の位相を90°遅延させる遅延回路41、ゲート回路40y、増幅回路37yを通じてY軸の駆動コイル33yに出力する。
【0041】
X軸の駆動コイル33xとY軸の駆動コイル33yとにSin波の位相を90°ずらした信号を入力させることにより、ミラー22の傾きが円を描くように高速微細に変化する。このSin波の周波数を変えることにより、ミラー22が動く速度の調整ができる。
【0042】
また、音源43からの音楽などの音信号を平滑回路44を通じて各ゲート回路40x,40yに入力し、このゲート回路40x,40yによってSin波を音信号で変調することにより、音信号に同期してミラー22の傾きの動きを変化させる。音源43は、例えば各種メディアのプレーヤ、マイク、音信号の外部入力などが含まれる。
【0043】
そして、照明装置11による光照射時には、光源15からの光が反射体16およびレンズ18を通じて各ミラー21,22で反射し、ミラー22で反射した反射光が機体12の照射開口29から外部に出射されて壁面、床面および天井面などの被照射面に照射される。モータ24を駆動することにより光軸17周りで光の照射方向を変化させ、また、モータ28を駆動することにより光の照射角度を変化させる。
【0044】
このとき、制御部36の制御により、例えばミラー22の傾きが円を描くように高速微細に変化させていれば、被照射面に照射された照射光が円を描いているように残像で見える。
【0045】
また、音楽などの音信号に連動してミラー22の高速微細な動きを変化させた場合には、例えば、音量によって照射光形状の大きさを変化させたり、音質によって照射光形状を別の形状に変化させるというように、照射光形状を変化させることができる。
【0046】
したがって、ミラー22の傾きを高速微細に変化させることにより、このミラー22からの反射光で任意の照射光形状を描くことができ、単に光を照射するだけの従来に対して、新しい演出効果を得ることができる。
【0047】
また、音楽などの音信号に連動してミラー22からの反射光で描く照射光形状を変化させることができ、音と光とによる演出効果を高めることができる。
【0048】
なお、音信号以外に映像信号に連動してミラー22からの反射光で描く照射光形状を変化させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態を示す照明装置の構成図である。
【図2】同上照明装置のブロック図である。
【図3】同上照明装置の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
11 照明装置
15 光源
22 ミラー
31 ミラー駆動部
32x,32y 磁性体としての磁石
33x,33y 駆動コイル
34x,34y 電磁石
36 制御部
37x,37y 増幅回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と;
傾きの変化が許容された状態に支持され、光源からの光を反射するミラーと;
ミラーの傾きを変化させるミラー駆動部と;
ミラーからの反射光で任意の照射光形状を描くようにミラー駆動部を高速微細に制御する制御部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
ミラー駆動部は、ミラーの裏面に取り付けられた磁性体とこの磁性体を磁気作用によって駆動する駆動コイルとで構成された電磁石であって、ミラーの中心部を基準としてX軸方向の傾きを駆動するX軸用の電磁石と、ミラーの中心部を基準としてY軸方向の傾きを駆動するY軸用の電磁石とを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
X軸用の電磁石およびY軸用の電磁石は、それぞれ2個ずつ備え、各2個の電磁石の駆動コイルは逆向きに磁界を発生するように構成され、一方の電磁石の吸引作用と他方の電磁石の反発作用とでミラーの傾きを変化させる
ことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
制御部からの信号を増幅してX軸用の電磁石の駆動コイルとY軸用の電磁石の駆動コイルとに与える増幅回路を具備している
ことを特徴とする請求項2または3記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−276978(P2008−276978A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116051(P2007−116051)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】