説明

照明装置

【課題】施工が簡易で見栄えが良い照明装置によって使用者の好みに応じた快適なトイレ空間照明装置を提供する。
【解決手段】トイレ室に設置する照明装置の点灯部10,11,12、および、点灯部10,11,12の制御を行う制御部14の少なくとも一部をトイレ室内の便器9の周囲に配設されたキャビネット1、カウンター5、手洗い器6からなる群より選ばれた少なくとも1種の設備の内部に設け、照明装置の点灯部10,11,12の制御を行う信号線および照明装置の点灯部10,11,12の電力線を設備の内部に設けることで、照明装置の点灯部10,11,12と制御部14と設備とのシステム的に一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレルームに使用する照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第6図に一般的な従来のトイレ空間を示す。従来のトイレ室内の照明装置は、一般に明るくても60W程度の照明装置であり、天井に固定されて設置されていた。この照明装置はトイレの入り口に設置されたスイッチを使用者が操作することで室内全体を照らす照明装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的にトイレ室内は上記したように暗い空間であり、且つ単一照明であるため使用者や便器などの影になって手元や足元などが更に暗くなっていた。このため、高齢者など手足がおぼつかない使用者にとっては使用しづらく、危険であった。
【0004】
またトイレ室内はくつろぎを求められるにも関わらず、天井もしくは壁からの直接的な単一の照明装置しか備えておらず、装飾的な雰囲気がなく明るい雰囲気が出しづらいものであった。さらにトイレ室内で新聞や本などを読む使用者にとってはトイレの単一照明は暗くて視力に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあった。
【0005】
老朽化をきっかけにトイレの改造を行う場合に使用者の要望として多いのは上記を踏まえてトイレを明るくしたいという要望である。しかし、装飾用の照明装置やスポット的に手元足元を照らす照明をトイレ全体照明とは別途にトイレ室内に設置した場合、使用者は複数の照明装置のスイッチを個別に操作しなければならず、スイッチ操作は当然の事ながら煩雑となり、使用者にとって甚だ使用しづらいものとなる。さらにトイレは外から照明の切り忘れなどに気づきにくいため、うっかりスイッチを切り忘れて電気を無駄に浪費してしまったりしていた。
【0006】
また、これらの照明装置を設ける場合、特に増改築にあっては配線処理の電気配線工事には、壁面をやり直す工事が必要となる場合が多く、高額な費用や工事日数を要してしまっていた。反対に配線処理を怠って配線をむき出しにすると見栄えを悪いものとなるばかりでなく、子供が触れる恐れがあって危険なものとなってしまっていた。
【0007】
トイレ全体の照明装置、手元・足元のスポット的な照明装置および装飾的な照明装置、これら複数の照明装置をひとつのスイッチで兼用した場合には、スイッチ操作は簡単になる。しかしこの場合には照明を独立して点灯することができないため、例えば窓からの採光で十分明るい昼間でも手元・足元の照明を無駄に点灯させてしまったり、夜中では一度に照明がつくことで眩し過ぎるように感じてしまうなうなどして使用勝手が良くないものとなってしまっていた。
【0008】
本発明は以上の問題点を解決し、簡易な工事で設置ができ、見栄えが良い、使用操作が簡単で消し忘れのない、装飾的あるいは手足の部分的な照明が簡単に可能で、かつ安全なトイレ室内の照明装置を使用者に提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、トイレ室内に設置したキャビネットやカウンター、手洗い器などの設備内部に照明装置の点灯部および、照明装置の点灯部の制御を行う制御部の少なくとも一部を設置した。照明装置は制御装置を備えることで自由な制御が可能となるのみならず、トイレ設備内に制御部を設けているため、外観の見栄えも良く、また、子供が誤って制御部に触れてしまうこともなく、安全である。
【0010】
さらに前記制御部は、トイレ室内の使用者を検出する人体検出部からの出力に基づいて、照明装置の制御を行ったり、タイマー機能をもって制御することにより、きめ細やかな制御が可能で、使用勝手に優れている。また、制御部が照明装置の照明点灯時は徐々に照度が高くなるよう制御する事で、暗い夜中にトイレに入った時にいきなり明るくなって眩しくなることもなく、快適である。
【0011】
トイレ室内の設備には、上記した人体検出センサーやトイレ室内の明るさを検出する照度センサーなどのセンサーが附設され、これらのセンサーの出力信号は照明装置の制御部へ入力されることによって、使用者の動きや、トイレ室内の明るさに応じて、さらに快適に照明装置を作動させる様に制御することが可能となる。制御部と同じようにセンサーがトイレ室内の設備に附設して設けられる為、センサーが単独で露出しないので見栄えが良く、かつ確実に設置することができる。
【0012】
人体検出センサーはトイレ室内の人の有無を検出するのみならず、その動作を検出するものが好ましくマイクロ波を用いたセンサーであったり、もしくは画像認識装置によって、使用者を特定認識できるものであったりするとさらに好ましいものである。
【0013】
上記センサーからの信号を制御部に送信する信号線や照明装置の電力線などは、トイレ室内の設備内に設置されるため、見栄えも良い。また配線処理に苦慮することもなく確実に配線が固定できる。さらに配線を子供が悪戯で引っ張ったり、トイレ掃除時に誤って引っ張ったりして線を損傷することもなく、従って機器・人体ともに安全である。
【0014】
さらに本発明の好ましい態様としては、照明装置の制御を行う信号を電力線で搬送することで、電線の本数を減らす事ができる。
【0015】
温水洗浄便座の設置されるトイレ空間においては、人体検出センサーなどの信号を照明装置の制御部に信号を送信する事で、人体検出センサーを温水洗浄便座と照明装置で兼用することができ、コスト上安価な装置を提供することが出来る。
【0016】
上記で述べた照明装置はトイレ室内において、手元や足元などを照らすことで弱視になり易い高齢者の安全を図って使用したり、トイレで読書をする使用者のスポット的な手元照明として使用することができる。あるいはトイレ壁面や棚などに飾った装飾品を照らす事によって、トイレをより快適な空間として演出することが可能となる。これらの照明は直接光を投光する直接照明でなくとも良く、場合によっては間接的に光を投光する間接照明を用いることで、さらに効果的である。
【0017】
照明装置は照明方向を可変する可変駆動部を有しており、手動もしくは自動で照明方向を変更することが出来る。自動の場合は前記した照明装置の制御部が可変駆動部を制御すると照明の点灯やセンサーなどと連動して駆動することができ、またセンサーや制御部が兼用できるため、機能的、コスト的により好ましい。
【0018】
照明装置には操作部が設けられている事によって、使用者に応じて制御方法を変更することが出来る為、自由度が大きく、使用勝手が良い。
【0019】
さらに照明装置の発熱部近傍には温度過昇防止装置が配置されているため、万一照明装置が発熱した場合も火災に至ることなく安全に使用することができる。また、制御部には電流ヒューズなどの過電流保護装置が設けられており、過電流が流れた場合なども安全に装置を停止状態とすることができ、さらに安全性が増す。
【発明の効果】
【0020】
トイレ室内のキャビネットなどのトイレ設備に照明装置の制御部やセンサー、あるいは配線を埋設するように構成したので、使用者は快適かつ安全に照明装置を使用することができる。また使用者は配線のためにトイレ壁面を改修するなどのわずらわしい工事を行う事がなく見栄えも良いものとなる。従って安価にまた手軽にトイレ室内の照明を装飾として用いる事ができる。また各種のセンサーや操作部の入力に基づいて照明装置を細かくかつ自動的に制御することが出来るので、使用者にとっては煩わしい操作もなく快適に使用することができ、電気の浪費もない。照明には温度ヒューズなどの過電流防止装置やバイメタルなどの温度過昇防止装置を近接させたので、照明装置が万一異常な温度になった場合でも安全に停止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を示す一実施例の外観図である。
【図2】本発明の制御部の一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明の操作部を示す一実施例の外観図である。
【図4】本発明を示す一実施例の制御フローチャートである。
【図5】本発明を示す一実施例の出力シーケンスタイミングチャートである。
【図6】従来のトイレ空間を表わす模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1図は本発明の好適な1実施例を示すトイレ室内の外観図である。トイレ室内に設置される設備として、便器洗浄の水を蓄えるロータンクを収納するキャビネット1、キャビネットの側部にはサイドカウンター5、サイドカウンター5の先には手洗い器6が設置されている。手洗い器6の下にはサイドキャビネット7が置かれ、トイレ室内にはこのほかに便器9や温水洗浄便座8などが設置されている。
【0023】
キャビネット1は上段部、中段部、下段部の3つにより構成される。キャビネット上段部4には収納棚18が設けられ、タオルやトイレットペーパーなどのトイレ用品を収納することが出来るようになっている。収納棚18の側部にはその光軸が可動自在な照明装置11が取り付けられている。また、キャビネット上段部4にはトイレ室内の使用者の有無や個人認識を行うために、人体検出センサー20や個人識別センサー21が埋設されており、トイレ室内の照度を検出する為に照度センサー19が同じく埋設されている。
【0024】
照度センサー19は使用者の影になりにくい上部に、また人体検出センサー20や個人認識センサー21は使用者を速やかに検出できるようにトイレの入室口に向いて配置されている。勿論これらのセンサー配置はそれぞれの目的に応じて好ましい位置に取り付けられるようにするべきで、図示した以外の場所でも良いことは言うまでもない。
【0025】
使用者の視線が向かいがちなキャビネット中段部3にはカウンター13が設けられ、カウンター13の上には使用者の好みに応じて観葉植物17や(図示しないが)写真を立て掛けたりすることが出来るようになっている。キャビネット中段部3の奥面にコルクボードなどを設置してカレンダーや写真が貼りつけられるようにしても好ましい。そして、カウンター13上には間接的な照明装置5が設置されている。
【0026】
キャビネット下段部2には、トイレ洗剤や清掃用ブラシといったトイレ用品が収納される収納空間(図示せず)が設けられている。キャビネット下段部2には照明装置10、11および後述する照明装置12を制御する制御部4が収納されている。制御部4は湿度やトイレ独特の雰囲気などによる腐食に絶えられるように制御基板はケースに収納されて樹脂モールドされ、結露水の付着や結露水だまりを防止するためにケースを上方にしてモールド面を下方にするようにキャビネット内に固定される。あるいは制御基板を横や斜めに配置することも有効である。また、基板を収納するケースは万一の電子部品損傷による発火による家屋の焼損を防止する為に、少なくとも一部が難燃性の樹脂あるいは金属材料で作られている。
【0027】
使用者が扱いやすいトイレ側壁のサイドカウンター5には照明装置の制御の操作部として操作部15が設置されており、見栄えをすっきりとしたものにするために通常はカバーにて覆われている。手洗い器6下方にあるサイドキャビネット7の下方には足元を照らすための照明装置12が設置されている。
【0028】
照明装置10、11、12と制御部14、あるいは制御部14と操作部15、人体検出センサー20、個人認識センサー21、照度センサー19の各々は第1図の点線22に示すようにキャビネット内を通る信号線や電力線によって接続されている。これらの電線はキャビネット内部で配線固定される様に構成されている。例えば、化粧柱16はキャビネット上段部4をキャビネット下段部2に支える柱としての役割のみならず、電力線を覆い隠すことが出来る様に中空に作られている。また図示していないが、その他の配線はキャビネット内に固定できる様に固定具がキャビネットの適当な位置に設置されており、キャビネット内部でふらつかないようになっている。尚、配線は引き回すことによってノイズを拾う事がないようにシールド線を用いるとより好ましい。
【0029】
キャビネット上段部4に設けられた照明装置11は可動式機構を持ち、操作部15の操作によって照明装置近傍に設置されたモータが駆動して照明の光軸が上下左右に変えられるようになっている。また、モータによる駆動でなくとも手動で可動自在となるように構成されていても良い。この照明装置はレンズを用いることによってトイレ使用者の手元をスポット的に照らすことが出来る。
【0030】
キャビネット中段部3のカウンター13に設けられた照明装置10は間接的な照明装置であり、カウンター13上に使用者が飾った観葉植物や写真、あるいは奥面を照らす。間接的な照明を用いることによってやわらかい照明感を演出することができる上に、トイレに入室した使用者に眩しくないので快適である。
【0031】
サイドキャビネットに設けられた照明装置12もまた間接的な照明装置であり、トイレ室内の床付近を照らすよう設置されている。床面に近い低い位置から足元を照らす為、便器や使用者自身の影で暗くなることもなく足元を確実に照らすことができ、高齢の使用者にとっても安全で快適に使用することができる。さらに間接照明であることによって、照明の光が使用者の目に直接入ることがなく、眩しくないので快適である。
【0032】
上記した複数の照明装置10、11、12は着脱が自在に出荷できるよう構成されており、制御部4はこれらの照明装置の有無を検出し、照明装置の有無に応じて制御できるようにできている。
【0033】
第3図は操作部15の操作パネルを表わす1実施例である。運転スイッチ51は制御を入/切するスイッチで運転「切」にすると照明装置の制御「切」の状態となる。長時間使用しない場合、あるいは一定期間使用を中止する場合には運転「切」とすることで省エネを図ることが出来る。明るさセンサー入/切スイッチ51は照度センサー入力の有効/無効を意味しており、スイッチ「切」状態では照明装置が照度センサーの入力を無視して制御される。通常はスイッチを「入」にすることでトイレ室内の明るさに応じて照明制御を行うが、特にこれを用いたくない使用者にはスイッチ「切」状態で使用する事もできるわけである。ボリュームスイッチ53、54、55は各々照明装置12、11、10の照明照度(即ち照明出力)を調整する為のボリュームであり、使用者の好みに応じて任意に設定できるようになっている。従って使用者はそれぞれの照明装置について自分の好みの光強度を設定することができる。またボリュームを「切」位置に設定することで、設定した照明を消灯することもできる。さらに照明方向スイッチ56を操作することによって照明装置11の照明の光軸を自由に可変することが出来るため、使用者が照らしたい部分を自由に選択できるようになっており使用の自由度が格段に増す。
【0034】
第2図は本発明の照明装置を制御する制御部4の一例を示すブロック図である。制御部4は大きく保護回路25、電源回路部26、中央演算装置(以降CPUとよぶ)27、入力回路部28、出力回路部29から成り立っており、入力回路部28には照度センサー19、人体検知センサー20、個人認識センサー21、操作部15からの信号が入力される。
【0035】
保護回路部25は制御部4の保護素子で構成され、主にはノイズ防止素子、過電圧保護素子(図示せず)と過電流保護素子31から成り立っている。特に過電流保護装置31は電流ヒューズなどであり、機器の万一のショートなどによって過大な電流が流れて制御部や照明装置が破損・焼損しないように設置されている。電源回路部26では制御に必要な直流電流を作り出している。CPU27内部にある照度(出力)調節部32とタイマー機能部33、センサー入力判断部34、操作部入力判定部35の情報によって、出力判定部36は照明装置の出力時間と出力強度を判断する。そして出力信号発生部37からの信号に応じて照明出力スイッチング部A、B、C(各々図示する38、39,40)によって照明装置が駆動される。照明装置の出力可変は、電圧を可変したり、オン時間のデューティーを可変したりして制御される。また、照明方向可変駆動部41によって、照明装置の光軸が可変される。勿論、照明出力スイッチング部A、B、Cは夫々独立して駆動することができるようになっているので、照明装置は各々独立した照明強度、照明点灯/消灯タイミング、を持つことができることになる。既述したようにこれら3つのスイッチング部は操作部の設定ボリューム53、54、55に応じて照明装置38、39、40の光強度(出力)は独立して可変できる。
【0036】
つづいて、制御部4の制御フローチャートの実施例について、第4図(a)に示す。
【0037】
操作部15の明るさセンサー入/切スイッチ31が「入」の時には、ステップS02からステップS03へ進み、照度センサーによって検出された照度S0が取り込まれ、ステップ04で予め基準値として設定された要求照度値Sと比較される。検出照度S0が要求照度S以下であった時(即ちトイレ室内が暗いことを意味する)にはステップS05へと移行する。検出照度S0が要求照度S以上の時(即ち昼間などでトイレ室内が十分に明るいことを意味する)にはそのままステップS09へ進行し終了する。従って、窓があるトイレで昼間などトイレ室内が明るい時に無駄に照明を付けて電力が無駄に浪費されることが防止されて好ましい。
【0038】
ステップS05では人体検出センサー25によってトイレ室内の人体検出を行い、トイレ室内に人がいない時にステップS09へ移行し、使用者が居ない時に無駄に照明を付けないようになっている。ステップS05でトイレ室内に使用者が検出された場合には、ステップS06へと進行する。
【0039】
ステップS06では個人認識センサー26によって個人識別が行われ、その出力に基づいて、個人個人にあった出力方式が選定される。出力方式AであるS08では第1図の照明装置10、11、12を全て駆動し、出力方式BであるS09では第1図の照明装置10、11のみを駆動する。例えば識別したトイレ使用者が高齢者の場合には足元の照明12を照らし、トイレ使用者がその他の場合には足元の照明12は照らさずに節電することが可能であり、使用者は個人に適して快適に使用することができる。さらに上記した聡明装置の出力有無のみに関わらず、照明の強度や照明の光軸などを識別した個人で設定するとさらに快適な空間とすることができる。
【0040】
第5図に本発明の照明装置の出力シーケンスの1実施例を示す。照明装置を制御する制御部4はCPU出力を内臓するため、シーケンス的な動作も簡単に実施可能である。図中の出力A、B、Cはそれぞれ第1図の照明装置11、10、12の出力を表わす。
【0041】
照度センサーの検出照度値が低い(即ちトイレ室内が暗い)時に人体検出センサー25がトイレ室内に使用者を検出すると、出力Bと出力Cが最大出力となる(T1)。つまり、使用者がトイレ室内に入るとキャビネット中段部3にある照明装置10が点灯し、キャビネット中段部のカウンター13上に飾られた観葉植物や写真などを照らし出し、装飾的な雰囲気を増長することで使用者に快適感を与えることができる。さらにサイドキャビネット7下方にある照明装置12が点灯することで、足元が照らし出され、安心して便座に着座することができる。手元を照らす照明装置11の出力Aは使用者が眩しくないように徐々に出力を上げていくように配慮されており、目に優しい。反対に照明装置10、12は使用者が着座してしまうと意味合いが薄くなるので、出力を低下させて節電すると共に、複数の照明装置が同時に点灯することで電気配線容量を圧迫しないので好ましい(T1〜T2)。
【0042】
人体検出センサーがトイレ室内の使用者を検出しなくなると、使用者が退室していると見なし、照明装置12が一定時間徐々に照度を落としながら足元をサポートする。その他の照明装置10、11は消灯する(T2)。
【0043】
照度センサーの検出照度値が高い(即ちトイレ室内が明るい)時に人体検出センサー25がトイレ室内に使用者を検出すると、出力Aは消灯したまま、出力Bと出力Cが出力を押さえて補助的に点灯される(T3)。
【0044】
以上述べてきたように、制御部4と各種のセンサーを用いることによって、トイレの照明装置を無駄無く使用することができ、使用者にとってはトイレでの快適感が格段に向上する。さらに、これらの制御部やセンサーはトイレ室内の設備に設けられている為、見栄えも良く、また配線工事なども安価に簡単に行うことができる。
【0045】
尚、本発明で述べた各種のセンサーはその目的を達成するものであれば上記したものに限らない。人体検出センサーは、赤外光を用いてもよいし、マイクロ波を用いても良い。マイクロ波を用いた人体検出センサーを用いれば、ドップラー効果を利用して使用者の動きを確認することができ、さらにセンサー部もキャビネット内部に収納することができて見栄えも良い。この他単純に使用者から反射する光量で人体を検出しても良いし、測距センサーを用いても良い。多面レンズ体を用いて使用者の動作を検出しても良い。また人体検出センサー25と個人識別センサ26は個別にある必要性はなく、目的を兼用する一つのセンサーでもよい。さらに人体検知センサーなどは温水洗浄便座や暖房便座の人体検知センサを用いるものであっても良い。
【0046】
以上述べてきた以外にも、制御部4を用いて照明装置を有効に活用することもできる。例えば近年、トイレ室内に観葉植物を設置する家庭も少なくないが、アパートやマンションなどではトイレ室に窓が設けられていない場合が多く、観葉植物を設置したとしても、この観葉植物に光が当るのは居住者がトイレを使用する非常に少ない時間のみに限られてしまい、やがては枯れてしまっていた。しかしながら、タイマー機能を使って運転することによって効率よく植物だけに一定時間光を当てて植物を育てる事などもでき、わざわざ屋外に植物を出す煩わしさから解放される。
【0047】
照明装置には図示しないが、照明発熱部近傍にバイメタルスイッチなどの安全装置が設けられており、万一故障で照明装置が発熱した場合などにも家屋へ延焼しない様に設計されている。また、制御部4のCPUにはタイマー機能が設置されているため、故障などで、異常に長い時間トイレ照明がついていた場合にはタイマーで自動的に照明を消灯する安全装置などを設ける事も可能となり、さらに安全性が高まる。
【符号の説明】
【0048】
1…トイレキャビネット(全体)
2…トイレキャビネット下段部
3…トイレキャビネット中段部
4…トイレキャビネット上段部
5…サイドカウンター
6…手洗い器
7…サイドキャビネット
8…温水洗浄便座
9…便器
10…照明装置
11…照明装置
12…照明装置
13…カウンター
14…制御部
15…操作部
16…化粧柱
17…観葉植物
18…収納棚
19…照度センサー
20…人体検知センサー
21…個人認識センサー
22…配線
25…保護回路部
26…電源回路部
27…CPU
28入力回路部
29…出力回路部
50…操作パネル
51…運転入/切スイッチ
52…明るさセンサー入/切スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設置する照明装置において、前記照明装置の点灯部および、前記照明装置の点灯部の制御を行う制御部の少なくとも一部を前記トイレ室内の便器の周囲に配設されたキャビネット、カウンター、手洗い器からなる群より選ばれた少なくとも1種の設備の内部に設け、
前記照明装置の点灯部の制御を行う信号線および前記照明装置の点灯部の電力線を前記設備の内部に設けることで、前記照明装置の点灯部と前記制御部と前記設備とのシステム的な一体化を図った事を特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、タイマー機能を有する事を特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は照明装置の照明点灯時は徐々に照度が高くなるよう制御する事を特徴とする請求項1乃至請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
トイレ室に設置する照明装置において、前記照明装置の制御部に信号を送信するセンサーの少なくとも一部をトイレ室内の設備に設けた事を特徴とする照明装置。
【請求項5】
前記センサーはトイレ室内の人体を検出する人体検出センサーである事を特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
前記人体検出センサーはマイクロ波もしくは画像認識装置を用いた事を特徴とした請求項5記載の照明装置。
【請求項7】
前記センサーはトイレ室内の明るさを検出するセンサーである事を特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記照明装置の制御を行う信号を電力線で搬送する事を特徴とする請求項1乃至請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
前記照明装置の制御部に信号を送信するセンサーを温水洗浄便座に附設もしくは埋設した事を特徴とする請求項5乃至請求項7記載の照明装置。
【請求項10】
前記照明装置はトイレ室内の一部分をスポット的に照明する事を特徴とする請求項1乃至請求項9記載の照明装置。
【請求項11】
前記照明装置は間接的な照明である事を特徴とする請求項1乃至請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記照明装置の照明方向を可変する可変駆動部を有する事を特徴とする請求項1乃至請求項11記載の照明装置。
【請求項13】
操作部による信号を前記制御部に入力可能とした事を特徴とする請求項1乃至請求項12記載の照明装置。
【請求項14】
前記照明装置の発熱部近傍に温度過昇防止装置を配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項13記載の照明装置。
【請求項15】
前記照明装置の制御部に過電流保護装置を配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項14記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182680(P2010−182680A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41956(P2010−41956)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【分割の表示】特願2000−95816(P2000−95816)の分割
【原出願日】平成12年3月30日(2000.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】