説明

照明装置

【課題】多数設けられている照明の中から所望のものだけを迷わず、確実、簡単に遠隔操作できるとともに、発光状態の切り替えに関する誤動作を防止できる照明装置を提供する。
【解決手段】照明光を射出する発光部2と、レーザポインタ等の操作手段から出力される可視領域の光である操作光を受光する少なくとも2つの受光部32と、前記受光部32又は当該受光部32で受光した光が導出される位置に設けられた電変換素子31と、前記光電変換素子31からの出力信号に基づいて前記発光部2の発光状態を切り替える切替部4とを備え、前記受光部3が、前記発光部2の周囲に互いに離間させて設けられており、前記切替部4が、前記光電変換素子31から所定値よりも大きい値の出力信号が出力されてから、所定時間以内に再び所定値よりも大きい値の出力信号が出力された場合に、前記発光部2の発光状態を切り替えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線リモコン等の専用のコントローラを用いずに遠隔操作することができる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
会議室やオフィス等では、天井照明の全てを1つのスイッチで一斉にオンオフするのではなく、天井照明をいくつかのグループに分けて、各グループの照明ごとに独立してオンオフできるようにする場合が多い。
【0003】
このような照明システムを採用する理由としては、例えば会議室においては、プレゼン時に使用されるスクリーンの手前を他の照明から独立してオンオフできるようにしてスクリーンに映し出される映像を見えやすくするためであり、また、オフィス等の大部屋においては、例えばエコの観点から必要な照明だけを点灯できるようにするためである。
【0004】
ところで、このような照明システムでは、当然のことながら、壁にスイッチパネルを取り付ける等して、独立照明の数だけスイッチを設ける必要がある。
【0005】
そして、前述したスイッチパネルのように、スイッチが1箇所に集められていると、どのスイッチがどの照明に対応しているかが分かりにくく、所望の照明を迷わずに操作することが難しくなる。さらに、照明をオンオフするためには、スイッチパネルにまで足を運ばなければならず特に大きな部屋では操作がわずらわしい。
【0006】
かかるわずらわしさは、例えば会議室でプレゼンをする場合等に顕著となる。具体的には会議中において話し合いからプレゼンに移る時に、スクリーン手前の照明を消そうとしてスイッチパネルにまで足を運んで操作をするのでは、会議の流れが途切れてしまうし、さらに、切り替えるべき照明に対応するスイッチが分かりにくいと、操作に手間取って進行が妨げられることもある。
【0007】
そこで、特許文献1、2には各蛍光灯の近傍にそれぞれセンサを1つずつ設けておき、レーザポインタで所望の蛍光灯に付随するセンサをポインティングすることによって、当該蛍光灯をオンオフできるようにした構成が開示されている。
【0008】
しかしながら、このようなものでは可視光によりオンオフ制御をしているため、蛍光灯からの光等で誤動作する恐れが高い。具体的に説明すると、特許文献1、2に記載の蛍光灯では、センサからの出力信号には近傍にある蛍光灯からの光等によるバックグラウンドノイズが強く現れてしまうため、センサにレーザ光が当たったとしても、それぞれの判別がつきにくく、蛍光灯のオンオフ制御がうまく行われなかったり、レーザ光を当てていないのに勝手にオンオフが切り換えられてしまったりすることがある。
【0009】
かといって、上述したような誤動作を防ぐために操作光に変調光を用いると、市販のレーザポインタが使えなくなるし、赤外光や紫外光など特殊な光を用いると、操作者が視認できないので、使い勝手が悪くなるという不具合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−259540号公報
【特許文献2】特開2009−32442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述したような問題点を一挙に解決するためになされたものであり、多数設けられている照明の中から所望のものだけを迷わず、確実、簡単に遠隔操作できるとともに、発光状態の切り替えにおける誤動作を防ぐことができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の照明装置は、照明光を射出する発光部と、レーザポインタ等の別に設けられた操作手段から出力される可視領域の光である操作光を受光する少なくとも2つの受光部と、前記受光部又は当該受光部で受光した光が導出される位置に設けられ、前記受光部が受光した光の光量に応じた値の出力信号を出力する光電変換素子と、前記光電変換素子からの出力信号に基づいて前記発光部の発光状態を切り替える切替部とを備え、前記受光部が、前記発光部の周囲に互いに離間させて設けられており、前記切替部が、前記光電変換素子から所定値よりも大きい値の出力信号が出力されてから、所定時間以内に再び所定値よりも大きい値の出力信号が出力された場合に、前記発光部の発光状態を切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
このようなものであれば、各受光部が互いに離間しているので、操作光を横切らせた際に各受光部で受光した操作光による光電変換素子からの出力信号には時間差が生じる。さらに、前記切替部は、操作光が各受光部に時間差を持ってそれぞれに入射した場合に、前記発光部の発光状態を切り替えるように構成されているので、照明光によるバックグラウンドノイズが出力信号に乗っていたとしても発光状態の切り替えに誤動作が生じることを防ぐことができる。
【0014】
さらに、バックグラウンドノイズの影響を考慮する必要がないため、前記各受光部を前記発光部の周囲という操作者にとって分かりやすい位置に配置することができ、例えば前記発光部の周囲に対して操作光を横切らせるだけで、各受光部に操作光を容易かつ確実に当てることができるようになる。
【0015】
このように、例えば発光部からの照明光のように時間差なく各受光部に入射する光により発光部の発光状態が切り替えられるのを防ぎつつ、可視領域の光である操作光によって容易かつ確実に発光状態を切り替えることができる。
【0016】
また、操作光により生じる時間差を有した出力信号に基づいて、前記発光部の発光状態を切り替えることにより誤動作を防ぐことができるので、従来のように変調された赤外線を用いた赤外線リモコン等を用いる必要が無く、連続であるとともに可視領域の光を操作光として用いることができ、例えばレーザポインタ等を用いることができる。
【0017】
操作光を各受光部に対して横切らせる方向をより分かりやすくし、前記発光部の発光状態を容易に切り替えやすく操作しやすいものにするためには、前記発光部が直線状をなすものであり、複数の前記受光部が一列に並んで受光列をなし、少なくとも2つの受光列が当該発光部を挟むように並列に配置され、前記切替部が、ある受光列が受光した光によって前記光電変換素子から所定値よりも大きい値の出力信号が出力されてから、所定時間以内に別の受光列が受光した光によって前記光電変換素子から所定値よりも大きい値の出力信号が出力された場合に前記発光部の発光状態を切り替えることを特徴とするものであればよい。
【0018】
前記各受光部が広い範囲で操作光を受光できるようにするとともに、照明装置内での光電変換素子のレイアウトの自由度を大きくするには、前記受光部が長尺状をなすライトガイドの側面に設けられており、当該ライトガイドが、前記受光部で受光した光を内部へと導入し、前記受光部から導入された光をその端面から外部へと導出するように構成されており、前記光電変換素子が前記端面と対向するように設けられていればよい。このようなものであれば、例えば光電変換素子を基板の略全領域に多数設ける必要が無いので、実装に係る手間を大幅に減らすことができる。
【0019】
前記ライトガイドの具体的な実施の態様としては、前側面に切り込みを形成して前記受光部とし、当該受光部から内部へ導入された光を端面から導出するように構成された光ファイバが挙げられる。
【0020】
発光部からの照明光等によるバックグラウンドの出力信号から、操作光が各受光部に入射した際の出力信号を検出しやすくして、より発光状態の切り替えに関する誤動作を起こりにくくするには、前記光電変換素子が少なくとも2つ設けられ、それぞれ異なる受光部が受光した光の光量に応じた値の出力信号を出力するものであり、前記各受光部が前記発光部の点灯している状態において、前記照明光による前記光電変換素子から出力される出力信号の値が略等しくなる位置に設けられており、前記切替部が、ある受光部に対応する光電変換素子と別の受光部に対応する光電変換素子の出力信号の差分の絶対値が所定値よりも大きい値となってから、所定時間以内に再び所定値よりも大きい値となった場合に、前記発光部の発光状態を切り替えるように構成されたものであればよい。
【0021】
前記操作光をより受光部に入射させやすくするには、前記受光部を覆うように設けられ、前記操作光を拡散させる拡散板を更に備えたものであればよい。
【0022】
各受光部の数が少なかったとしても操作光を各受光部により入射させやすくするには、前記拡散板が、入射した光を線状に拡散するよう構成されたものであればよい。このようなものであれば、線状になった操作光を発光部全体等に横切るようにするだけで確実に受光部に操作光を受光させることができるようになる。
【0023】
前述した照明装置が複数設けられた照明システムであれば、複数設けてある照明装置のうち、ある一つだけに可視光の操作光をポインティングして横切らせることにより、1つの照明装置だけのオンオフを切り替えることができる。このため、人が少ない場合には必要な照明だけをオンにして、電気の無駄使いを防いだり、部屋の一部だけ明るさを調整したい場合にも容易に切り替えを行ったりすることができる。
【0024】
前記受光部を少ない手間で広い範囲で設けることができ、容易に操作光を受光部に入射させることができるようにするとともに、発光部の発光状態の切り替えに誤動作を起きにくくするには、照明光を射出する発光部と、レーザポインタ等の別に設けられた操作手段から出力される可視領域の光である操作光を受光する、前記発光部の周囲に離間させて設けられた受光部と、前記受光部が側面に設けられており、前記受光部で受光した光を内部へと導入し、前記受光部から導入された光をその端面から外部へと導出するように構成されたライトガイドと、前記端面と対向するように設けられ、前記受光部が受光した光の光量に応じた値の出力信号を出力する光電変換素子と、前記光電変換素子からの出力信号に基づいて前記発光部の発光状態を切り替える切替部と、備えたものであればよい。
【0025】
また、従来の照明システムでは、複数の蛍光灯が予め決められたグループとしてスイッチによりオンオフされるようになっているため、決まったパターンの中でしか蛍光灯の切り替えができないところを、本発明の照明システムであれば各照明装置のオンオフを独立して切り替えることができるので、例えば、部屋の中にばらばらに人がいる場合にはそれぞれ人のいる箇所だけ点灯したり、窓に近い外光の入るところだけ消灯したりすることができる。つまり、本発明の照明システムによれば、非常に自由度の高い照明パターンを作ることができる。
【発明の効果】
【0026】
このように本発明の照明装置によれば、前記発光部の周囲に少なくとも2つの受光部が互いに離間して配置されているので、前記発光部の周囲に対して操作光を横切らせるだけで、簡単かつ確実に操作光を各受光部に当てることができる。さらに、各受光部が離間させて配置されているので、操作光を横切らせた際に各受光部に入射した操作光による出力信号には時間差が生じる。この時間差のある出力信号に基づいて前記発光部の発光状態を切り替えるように構成されているので、例えば発光部の照明光のように時間差なく各受光部に入る光により、発光状態が切り換えられてしまうといった誤動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED蛍光管の模式図。
【図2】同実施形態におけるLED蛍光管の発光部及び受光部を示す模式図。
【図3】同実施形態における受光部の模式的拡大図。
【図4】同実施形態におけるLED蛍光灯の機能ブロック図。
【図5】同実施形態における操作光を横切らせた時の出力信号の一例を示す模式図。
【図6】同実施形態におけるオンオフ切替の流れを示すフローチャート。
【図7】本発明の別の実施形態に係るLED蛍光管の光ファイバの配置を示す模式図。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係るLED蛍光管の拡散板について説明する模式図。
【図9】本発明の異なる実施形態に係るLED蛍光管を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態の照明装置は、図1(a)の斜視図に示すように屋内において天井等に設けられている蛍光灯本体6に、蛍光灯の替わりに取り付けられるLED蛍光管100である。このLED蛍光管100に操作手段であるレーザポインタからのレーザ光を横切らせることにより、その発光状態を切り替え可能に構成してある。より具体的には、蛍光灯本体6側に交流を直流に変換するための直流変換回路を組み込むことにより、LEDを直流で駆動できるようにしてあるものである。また、照明光を射出する発光部2の周囲に設けてある受光列3に入射した操作光による光電変換素子31の出力信号に基づいて、切替部4が発光部2の発光状態を切り替えるようにしてある。
【0030】
前記LED蛍光管100は、図1に示すように概略細円筒状のものであり、その両端に設けられた前記蛍光灯本体6に取り付けられる口金部11と、2つの前記口金部11に挟まれる円筒状の照明部Lとから構成してあるものである。例えばこのLED蛍光管100を天井に多数ある蛍光灯本体に取り付けることにより照明システムを構成する。
【0031】
前記照明部Lは、図1(b)の横断面図、図2の縦断面図に示すように、前記LED蛍光管100の長手方向に伸びるLEDが実装される基板12と、前記基板12の裏側に設けられ、長手方向に伸びる概略直方体形状のLEDの放熱を行うための放熱部13と、前記放熱部13に係止され、前記基板12の表側を覆うように概略C字状に曲がって長手方向に伸びるカバー部14とから構成してある。前記カバー部14は本実施形態では半透明のものであり、前記基板12上に実装される後述する発光部22からの光を透過するように構成してある。また、前記カバー部14は、後述するオンオフの操作のために外部から入射するレーザ光については、当該レーザ光を拡散させた後に基板12の広範囲に入射するようにしてある。
【0032】
前記基板12の表側には、LEDを長手方向に並べて直線状にした照明光を射出する発光部2と、前記発光部2の周囲に設けてあり、操作手段であるレーザポインタから射出される可視領域の光である操作光を受光する受光部31を複数並べた受光列3が2つ設けてある。前記受光列3は、前記発光部2と同様に長手方向に延びるとともに、前記発光部2を挟むように互いに半径方向に離間させて並列に設けてある。
【0033】
前記発光部2は、図2(a)、(b)に示すように基板12上において長手方向にわたって設けてある。より具体的には、前記発光部2は、複数の発光素子21であるLEDから構成されるものであり、前記発光素子21は、前記基板12上において長手方向に等間隔で一列に設けてある。
【0034】
前記受光列3を構成する前記各受光部32は、図2(b)及び図3(a)に示すように、長尺状のライトガイドの側面に切り込みを入れて微小な傷を形成することにより形成してあるものである。当該ライトガイドは、前記受光部32から前記操作光を内部へ導入し、内部に導入された操作光を端面から外部へと導出するように構成してあり、前記光電変換素子31はライトガイドの内部から外部へと光が導出される位置に設けてある。
【0035】
より具体的には、前記ライトガイドは内部のコア33と外周を覆うクアッド34によって形成された光ファイバFであり、前記2本の光ファイバは前記発光部2を中心に等距離だけ離れて挟み、平行に長手方向に延ばして設けてある。このように各光ファイバFを配置することによって、前記発光部2から各光ファイバFへと入射する照明光の光量が略同じになるようにしてある。また、側面に形成した傷は、前記発光部2が延びている範囲において等間隔で均等に多数形成してあり、各図に示してある受光部は一部のものを代表させて記載している。
【0036】
前記光ファイバFは、前述したように通常の使い方とは異なり、側面に形成してある複数の前記受光部32から導入された光をその端面から外部へと導出するよう構成してあり、その端面と対向して光電変換素子31が設けてある。つまり、図3(b)の拡大図に示すように、光ファイバFの側面に設けられた傷から内部へと入射した操作光は、光ファイバFの内部において全反射を繰り返して進行した後に当該光ファイバFの端面35から導出される。この端面35には、光電変換素子31が対向させて設けてあるので、当該光電変換素子31によって前記受光列3に入射した光の光量に応じた出力信号が出力される。ここで、本実施形態では光ファイバFの端面35の近傍はまっすぐに延ばしてあるが、例えば曲げて光電変換素子31を所望の位置に配置できるようにしても構わない。
【0037】
前記光電変換素子31は、例えばCCDやCMOS等のデバイスを用いてもよいし、LEDを光電変換素子として使用しても構わない。要するに、光を電気信号へと変換できるものであればよい。本実施形態では、各光ファイバFの端面に1つずつ設けてあり、各受光列3に入射する光の光量を独立に検出できるようにしてある。
【0038】
なお、以下の説明では説明の便宜上、図2において上側に設けてある受光列3を第1受光列3(1)、下側に設けてある受光列3を第2受光列3(2)とする。また、第1受光列3(1)、第2受光列3(2)のそれぞれの光量に応じた出力信号を出力する光電変換素子31をそれぞれ第1光電変換素子31(1)、第2光電変換素子31(2)とする。
【0039】
前記口金部11の内部には、図5に示すように前記照明部Lの各種制御を行う制御部Cが設けてある。前記制御部Cは、A/Dボード、タイマ、CPU、メモリ等を有する制御用のマイコンによってその機能が実現されるものであって、少なくとも、前記各光電変換素子が出力する各受光列3が受光した光に関する出力信号に基づいて、前記発光部2のオンオフを制御する切替部4としての機能を発揮するものである。
【0040】
前記切替部4は、第1受光列3(1)と第2受光列3(2)にそれぞれ操作光が入射する際に時間差が発生することを利用して発光部2の発光状態を切り替えるように構成してある。本実施形態では、前記切替部4はある光電変換素子31から所定値よりも大きい値の出力信号が出力されてから、所定時間以内に別の光電変換素子31から所定値よりも大きい値の出力信号が出力された場合に、前記発光部2のオンオフを切り替えるものである。
【0041】
さらに前記切替部4は、バックグラウンドノイズがあったとしても操作光による出力信号をより検出しやすくして、誤動作なくオンオフを切り替えられるようにするために、各光電変換素子31からの出力信号の差分を用いるようにしている。
【0042】
具体的には、図4の機能ブロック図に示すように前記切替部4は、第1光電変換素子31(1)の出力信号と、第2光電変換素子31(2)の出力信号の差分を取る差分取得部41と、前記差分取得部41で作られる差分信号の絶対値が所定の値よりも大きい値となってから、再び所定の値よりも大きい値となるまでの時間差を測定する時間差測定部42と、前記時間差測定部42で測定される時間差が所定時間よりも短い場合に、発光部のオンオフを切り替えるスイッチ部43とから構成してある。つまり、操作光が所定時間内に各受光列3を横切ったことを検出して、使用者により点消灯の操作が行われたと判断するように構成してある。
【0043】
このように構成されたLED蛍光管100におけるオンオフの切り替え時の動作について図5及び図6のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、操作光としては市販のレーザポインタから射出されるレーザ光が用いており、レーザ光は連続光であり、特に変調等は行われていないものである。
【0044】
LED蛍光管100をオンの状態からオフの状態に変えたい場合に、操作者は、操作光であるレーザ光を、LED蛍光管100の照明部Lを半径方向に横切るように動かす。すると、例えば図5(a)に示すようにレーザ光は、前記第1受光列3(1)、前記発光部2、前記第2受光列3(2)の順でそれぞれを通過していくことになる。
【0045】
このとき、前記各光電変換素子31の出力信号は、第1受光列3(1)の方が第2受光列3(2)よりも先に操作光が入射することから、図5(b)のグラフに示すように第1光電変換素子31(1)の方が先にパルス状の出力信号が表れ、すぐそのあとに第2光電変換素子31(2)からもパルス状の出力信号が表れることになる。
【0046】
前記差分取得部41が第1光電変換素子31(1)の出力信号から第2光電変換素子31(2)の出力信号を差し引くことにより差分を取ると、図5(c)のグラフに示すように発光部2からの照明光等によるバックグラウンドノイズが低減された状態となり、操作光による出力信号が明確になる。
【0047】
この差分取得部41が取得した出力信号に基づいて、第1受光列3(1)と第2受光列3(2)に操作光が入射する時間差が前記時間差測定部42にて測定される。この際図6のフローチャートに示すように、前記時間差測定部42は、差分出力信号において、その値の絶対値が所定の値である閾値よりも大きい場合に時間の測定を開始し(ステップS1、S2)、再び絶対値が所定の値よりも大きい値が表れた時点で測定を終了する(ステップS3、S4)。
【0048】
前記スイッチ部43が測定された時間が所定時間以内であれば、オンオフの切り替えを行い、所定時間以上であればオンオフの切り替えは行わない(ステップS5、S6)。
【0049】
本動作説明では、発光部2が点灯している場合に基づいて説明を行ったが、消灯していたとしても同様にしてオンオフが切り換えられることになる。
【0050】
このように、本実施形態のLED蛍光管100によれば、前記発光部2の周囲において、長手方向に直線状に設けられた発光部2を挟むように並列に2つの受光列3を設けてあるので、LED蛍光管100を長手方向に対して横切るように操作光を動かすだけで、各受光列3に操作光を容易かつ確実に当てることができる。
【0051】
また、各受光列3は、光ファイバFの側面に切り込みを形成して、内部に操作光を導入するようにした複数の受光部32を並べて形成してあるので、受光列3のどこに操作光が当たっても光ファイバFの内部に操作光を導入することができ、受光できる範囲を容易に広くすることができる。また、光電変換素子31を複数並べることにより、広範囲に受光列3を形成する場合、多くの光電変換素子31を並べて配線するのは非常に手間がかかるが、本実施形態では2本の光ファイバFを基板上に取り付けるだけでよいので、実装の手間を大幅に軽減することができる。
【0052】
また、各受光列3が互いに離間して並列となるように配置されているので、操作光を横切らせた際に各受光列3からの出力信号に時間差を生じさせることができる。前記切替部4は、操作光を横切らせた際に生じる時間差を検出して発光部2のオンオフを切り替えるように構成してあるので、例えば発光部2からの照明光のように各受光列3に時間差なく入射する光によってオンオフが切り換えられるのを防ぐことができる。
【0053】
このように光電変換素子31の出力信号の時間差を用いてオンオフを切り替えるように構成することにより、照明光等のバックグラウンドノイズが前記光電変換素子31から出力されていたとしても、オンオフの誤動作を防ぐことができる。このため従来のように変調された赤外線を用いた赤外線リモコン等を用いる必要が無く、連続光で可視光の操作光を用いることができる。従って、操作光がポインティングされている照明装置を確認しながらオンオフを切り替えることができるので、複数の照明装置がある場合でも所望の照明装置だけを簡単、確実に操作できる。
【0054】
その他の実施形態について説明する。
【0055】
前記実施形態では、各光ファイバFにそれぞれ別の光電変換素子31を端面に対向させて設けていたが、例えば図7に示すように、各光ファイバの端面を1箇所に集めておき、1つの光電変換素子31で各受光列3の受光した光を検出するように構成しても構わない。このような構成でも、操作光を横切らせた際に生じる時間差のある所定値以上の2つの出力信号を検知することにより前記切替部4が前記発光部2のオンオフを切り替えることができる。
【0056】
図8に示すように、前記発光部2及び前記受光部32を覆うように設けられている拡散板であるカバーが、入射した操作光を長手方向に線状に拡散するものであってもよい。例えば、前記カバーをナバシート等で形成すればよい。このようなものであれば、図8(a)の斜視図、及び図8(b)の平面図に示すように基板上に照射される操作光がLED蛍光管100の長手方向に延びる直線Nとなるので、受光部32が設けられている基板全体に対して一度に操作光を横切らせることが可能となる。従って、一度レーザポインタにより操作光を発光部に対して横切らせるだけで、必ず受光部32に入射させることができ、発光部の発光状態をより簡単、確実に切り替えることができるようになる。また、このように操作光を長手方向延びる直線状に拡散することができるので、受光部32をそれほど多く設けなくても操作光を受光できる。例えば、発光部を挟んで受光部32を1つずつ設けておくだけでもよい。
【0057】
さらに、図9(a)に示すように受光列3が複数の光電変換素子31を一列に並べて配置することにより形成されたものであっても構わない。この場合、各受光列3を形成する各光電変換素子31を接続する回路構成に注目すると複数の光電変換素子が並列に接続され、それぞれ独立な回路が形成しておき、各受光部の操作光による出力信号の時間差が検出できるようにしておけばよい。このような実施形態の場合、図9(b)の拡大図に示すように光電変換素子31としてチップ型LEDを用いている例に基づいて説明すると、チップ型LEDの開口部が請求項での受光部32に相当し、LEDチップが光電変換素子31に相当する。
【0058】
また、光ファイバの側面に受光部を形成するための方法としては、側面に微小な切り込みを設けることだけでなく、例えば光ファイバを複数点において屈曲させておき、そこから光を内部に導入できるようにする等様々な方法で受光部を形成しても構わない。また、傷を設けるのではなく、逆に微小な凸部を光ファイバの側面に複数設けておき、受光部としても構わない。
【0059】
前記実施形態では、各光電変換素子からの出力信号の差分を用いて、操作光が入射した時間差を検出し、オンオフを切り替えるようにしていたが、バックグラウンドノイズが小さい場合等には、差分を取ることなく各光電変換素子の出力信号から時間差を検出するようにしても構わない。具体的には、図5(b)の各光電変換素子からの出力信号をそのまま用いて前記切替部が発光部の発光状態を切り替えるようにしたものであっても構わない。
【0060】
前記実施形態では、2つの受光列が前記発光部に沿って挟むように設けていたが、更に複数の受光列を並列に設けても構わない。また、発光部を挟むのではなく、どちらか片側だけに偏って複数の受光部が並列に設けてあるものであっても構わない。加えて、前記実施形態ではライトガイドとして光ファイバを用いていたが、例えば長尺状に形成した導光板を用いてもよい。要するに、側面に傷をつけることにより複数の受光部を形成し、受光部から導入された操作光を端面から導出して、光電変換素子にてその光量を検出できるようにしたものであればよい。
【0061】
前記実施形態では、前記切替部は制御用のマイコンにより構成されていたが、点灯/消灯状態をラッチ切り替え可能なフリップフロップ等のロジックICで構成しても構わない。光電変換素子だけでなく、増幅器やフィルタ等を備えたものであっても構わない。また、各受光部からの出力信号の差分を取った後においても、増幅器やフィルタによる信号処理を行っても構わない。
【0062】
前記受光部に入射する光のうち、前記操作光以外の波長の光を遮る遮光フィルタを更に備えたものであっても構わない。例えば、前記カバー部の表面等に遮光フィルタを形成しても構わないし、前記各受光部を覆うように遮光フィルタを設けても構わない。このようなものであれば、前記受光部に入射する光を操作光と同じ波長のものだけに限定することができ、入射する光の量が多すぎて受光部から出力される出力信号の値が飽和してしまうことを防ぎ、常に操作光が入射しているかどうかを検出することができる。
【0063】
前記実施形態では、切替部は、発光部のオンオフを切り替えるものであったが例えば段階的に明るさを切り替えるものであっても構わない。例えば、レーザポインタからの操作光を発光部に対して横切らせた際に、発光部の光量をより明るくする又は暗くするといったものであってもよい。この場合、発光部に対して操作光を横切らせる方向によって、光量の増減を予め決めておいてもよい。例えば右から左に横切らせた場合には光量を増加させ、左から右に横切らせた際には光量を低下させること等が考えられる。具体的な構成としては、前記切替部において第1光電変換素子又は第2光電変換素子のどちらに先に操作光が入射したかについても記憶させておき、その結果によって各受光部に操作光を入射した順番を判断するように構成しておけばよい。
【0064】
前記実施形態では照明装置は、棒状のLED蛍光管であったが、その他の形状であっても構わない。例えば円環状のLED蛍光管等であっても構わない。また、照明装置はLED蛍光管に限られるものではなく、その他の一般的な照明であっても構わない。例えば、LEDを平面に敷き詰めて形成した概略長方形状の面発光型の照明装置等であっても構わない。このようなものであれば、直管型のLED蛍光管に比べて面積が広いため、レーザポインタからの操作光を入射させやすいので、遠方からでも点消灯の操作をし易いものとすることができる。
【0065】
前記実施形態の照明装置を複数並べて設けた照明システムを構成しても構わない。このようなものであれば、非常に多数の照明装置が並んでいたとしても、レーザポインタにより点消灯を切り替えたい照明装置を指すだけで、その照明装置の点消灯を切り替えることができるので、ごく一部だけ明るさを変更したり、人が作業するのに必要な領域だけを点灯させたりすることができる。このため、従来であればスイッチにより大雑把な領域ごとにしか点消灯を切り替える事が出来なかったところを一つずつの照明装置の点消灯を固定のパターンに限られることなく自由に切り替えることができるので、電気代の節約等のエコを推進することができる。
【0066】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0067】
100・・・照明装置
2・・・発光部
3・・・受光部
31・・・光電変換素子
4・・・切替部
41・・・光導入部
F・・・光ファイバ
14・・・拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を射出する発光部と、
レーザポインタ等の別に設けられた操作手段から出力される可視領域の光である操作光を受光する少なくとも2つの受光部と、
前記受光部又は当該受光部で受光した光が導出される位置に設けられ、前記受光部が受光した光の光量に応じた値の出力信号を出力する光電変換素子と、
前記光電変換素子からの出力信号に基づいて前記発光部の発光状態を切り替える切替部とを備え、
前記受光部が、前記発光部の周囲に互いに離間させて設けられており、
前記切替部が、前記光電変換素子から所定値よりも大きい値の出力信号が出力されてから、所定時間以内に再び所定値よりも大きい値の出力信号が出力された場合に、前記発光部の発光状態を切り替えるように構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光部が直線状をなすものであり、
複数の前記受光部が一列に並んで受光列をなし、少なくとも2つの受光列が当該発光部を挟むように並列に配置され、
前記切替部が、ある受光列が受光した光によって前記光電変換素子から所定値よりも大きい値の出力信号が出力されてから、所定時間以内に別の受光列が受光した光によって前記光電変換素子から所定値よりも大きい値の出力信号が出力された場合に前記発光部の発光状態を切り替えるように構成されている請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記受光部が長尺状をなすライトガイドの側面に設けられており、
当該ライトガイドが、前記受光部で受光した光を内部へと導入し、前記受光部から導入された光をその端面から外部へと導出するように構成されており、
前記光電変換素子が前記端面と対向するように設けられている請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記ライトガイドが、側面に切り込みを形成して前記受光部とし、当該受光部から内部へ導入された光を端面から導出するように構成された光ファイバである請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
前記光電変換素子が少なくとも2つ設けられ、それぞれ異なる受光部が受光した光の光量に応じた値の出力信号を出力するものであり、
前記各受光部が前記発光部の点灯している状態において、前記照明光による前記光電変換素子から出力される出力信号の値が略等しくなる位置に設けられており、
前記切替部が、ある受光部に対応する光電変換素子と別の受光部に対応する光電変換素子の出力信号の差分の絶対値が所定値よりも大きい値となってから、所定時間以内に再び所定値よりも大きい値となった場合に、前記発光部の発光状態を切り替えるように構成された請求項1、2、3又は4記載の照明装置。
【請求項6】
前記受光部を覆うように設けられ、前記操作光を拡散させる拡散板を更に備えた請求項1、2、3、4又は5記載の照明装置。
【請求項7】
前記拡散板が、入射した光を線状に拡散するよう構成された請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の照明装置を複数備えた照明システム。
【請求項9】
照明光を射出する発光部と、
レーザポインタ等の別に設けられた操作手段から出力される可視領域の光である操作光を受光する、前記発光部の周囲に離間させて設けられた受光部と、
前記受光部が側面に設けられており、前記受光部で受光した光を内部へと導入し、前記受光部から導入された光をその端面から外部へと導出するように構成された長尺状をなすライトガイドと、
前記端面と対向するように設けられ、前記受光部が受光した光の光量に応じた値の出力信号を出力する光電変換素子と、
前記光電変換素子からの出力信号に基づいて前記発光部の発光状態を切り替える切替部と、を備えた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114028(P2012−114028A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263730(P2010−263730)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(596099446)シーシーエス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】