説明

照明装置

【課題】コストアップや信頼性低下を抑制しつつ仕様の異なる複数種類をラインナップできる、リング形状の照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、複数のレンズと、複数のレンズをそれぞれ独立して装着するための複数の窓部が環状に並べて設けられている照射面を有するとともに、当該照射面と対向する位置に開口部を有する第1の筐体と、複数のレンズの各々と対応付けて配置される、少なくとも1つの発光素子が実装された第1の基板とを含む。第1の筐体は、複数の窓部の各々に関連付けて設けられた保持部を含む。保持部の各々は、第1の筐体の開口部の側からのレンズの装着を許容するとともに、第1の筐体の照射面の側へのレンズの移動を規制し、かつ、レンズが装着された場合に、当該レンズの光軸方向が第1の筐体の中心軸に対して予め定められた角度を有するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を有する照明装置に関し、特に、画像を取得する際に撮像対象物を照らすためのリング形状の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)分野などにおいては、各種の画像処理技術が利用されている。典型的には、検査対象物を撮像して得られた画像データに基づいて、検査対象物に印字されている文字を認識したり、検査対象物の表面におけるキズの有無などを検査したりする画像処理技術が広く実用化されている。
【0003】
このような画像処理技術を用いて検査対象物に対する各種計測処理を行う場合には、検査対象物を表す画像を適切に取得する必要がある。そのため、撮像時に適切な照度を確保するために、検査対象物を照らすための照明装置が設けられることが多い。このような照明装置としては、低消費電力でかつ長寿命な発光素子(LED:Light Emitting Diode)を用いたものが実用化されている。
【0004】
たとえば、特開2008−139708号公報(特許文献1)に開示されるリング型照明装置では、複数のLED列を同心円状に設けるとともに各LED列に対応させて複数の光学部材を同心円状に設け、各LED列によるワークへの照明態様が互いに異なるように構成する一方、各光学部材を連続させて一体構造とされている。これにより、複数種の対物レンズやワークに1台で対応することができる。
【0005】
また、特開2009−146841号公報(特許文献2)に開示されるLED照明装置では、平坦なベース部に設けた位置決めピンを、複数のLEDが実装された平坦なLED基板に設けた貫通孔と、複数のレンズを保持する一体型のレンズホルダに設けた位置決めピン挿入穴とに挿入することにより、LED基板に対してレンズホルダが位置決めされる構造とされている。これにより、複数のLED個々に対して個々のレンズを位置決めすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−139708号公報
【特許文献2】特開2009−146841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなFA分野における画像処理技術においては、多種多様な検査対象物を計測できることが必要である。たとえば、検査対象物としては、小型の電子部品から自動車などの完成品まで多岐に渡っている。そのため、照明装置についても、多種多様なアプリケーションに対応できるように、照明視野や照明距離(設置距離:Work Distance)についての多数のバリエーション(製品群)をラインナップすることが好ましい。
【0008】
このような多数のバリエーション(製品群)をラインナップするためには、発光素子と光路制御のためのレンズとを組合せることが好ましい。
【0009】
また、照明装置の形状としては、中心孔の周囲に発光素子を同心円状に配置したリング形状がよく採用されている。このようなリング形状を採用することで、ワークに対して光を均等に照射することができ、より適切な撮像が可能となる。
【0010】
一方、このようなリング形状の照明装置においては、中心孔の軸上に位置するワークに向けて光を照射させることになる、各発光素子の光軸を中心孔の軸に対して傾斜するように取り付ける必要がある。
【0011】
特許文献1に開示されるリング型照明装置では、視野およびワークディスタンスのバリエーションと同じ数だけレンズの種類を用意する必要があり、コストアップの要因になるという課題がある。また、特許文献2に開示されるLED照明装置では、発光素子およびレンズを傾斜させることができないため、視野およびワークディスタンスについてとれるバリエーションには限りがある。また、レンズがレンズホルダに対して光照射面の側に配置されるため、レンズが落下してワークに向かう恐れがあり、FA用の視覚センサ用の照明装置としては不向きである。
【0012】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、その目的は、コストアップや信頼性低下を抑制しつつ仕様の異なる複数種類をラインナップできる、リング形状の照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の照明装置は、複数のレンズと、複数のレンズをそれぞれ独立して装着するための複数の窓部が環状に並べて設けられている照射面を有するとともに、当該照射面と対向する位置に開口部を有する第1の筐体と、複数のレンズの各々と対応付けて配置される第1の基板と、第1の筐体の開口部を塞ぐ第2の筐体とを含む。第1の基板の各々には、少なくとも1つの発光素子が実装されている。第1の筐体は、複数の窓部の各々に関連付けて設けられた保持部を含む。保持部の各々は、第1の筐体の開口部の側からのレンズの装着を許容するとともに、第1の筐体の照射面の側へのレンズの移動を規制し、かつ、レンズが装着された場合に、当該レンズの光軸方向が第1の筐体の中心軸に対して予め定められた角度を有するように構成される。
【0014】
好ましくは、照明装置は、第1の基板の間を電気的に接続するための第2の基板をさらに含む。第1の基板は、剛体として構成され、第2の基板は、可撓性を有するように構成される。
【0015】
さらに好ましくは、第2の基板は、複数の窓部の並びに沿って屈曲されており、第1の基板の各々は、第2の基板の対応する部分に対して、保持部に保持されるレンズの傾きに応じた角度に屈曲されている。
【0016】
さらに好ましくは、保持部の各々は、さらに、レンズに対して予め定められた相対的な位置関係を維持できるように、第1の基板を保持する。
【0017】
好ましくは、第2の筐体は、第1の筐体と結合された場合に、第1の筐体に装着された第1の基板の各々を照射面の向きに押付けるための押付け部を含む。
【0018】
さらに好ましくは、押付け部の各々は、対応する第1の基板の両端を押付けるように構成される。
【0019】
さらに好ましくは、照明装置は、第1の基板と第2の筐体の押付け部との間に介挿される、伝熱性および弾性を有するシートをさらに含む。
【0020】
さらに好ましくは、シートは、略円状に形成されるとともに、第1の基板の配置形状に対応して区画させるように、切込み部が形成されている。
【0021】
好ましくは、照明装置は、第1および第2の筐体を貫通して内部に導入される電源ケーブルをさらに含む。第2の基板は、電源ケーブルと電気的に接続するための一対のコネクタを含み、一対のコネクタは、電源ケーブルの導入位置に応じた向きに設けられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コストアップや信頼性低下を抑制しつつ仕様の異なる複数種類をラインナップできる、リング形状の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る照明装置を利用した視覚センサシステムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る照明装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る照明装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る照明装置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る照明装置の組立手順を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る照明装置のベースの外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る照明装置のベースに形成された保持部の構造を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る照明装置のベースに形成された保持部の構造を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る照明装置のレンズの外観を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る照明装置の別形態のレンズの外観を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の構成について説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板に対する給電方法を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板に装着される補助固定部材を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板における配線パターンの例を説明するための図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板における配線パターンの例を説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例に装着される補助固定部材を説明するための図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例における配線パターンの例を説明するための図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例における配線パターンの例を説明するための図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る照明装置の発光素子の実装例を説明するための図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る照明装置の放熱シートの構成について説明するための図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る照明装置のケースの外観を示す斜視図である。
【図26】本発明の実施の形態に係る照明装置が一体化された状態における断面図である。
【図27】本発明の実施の形態の変形例に係る照明装置の外観を示す斜視図である。
【図28】本発明の実施の形態のさらに別の変形例に係る照明装置の外観を示す斜視図である。
【図29】本発明の実施の形態に係る点灯用のコントローラの回路構成を示す模式図である。
【図30】本発明の実施の形態に係る点灯用のコントローラの回路構成を示す模式図である。
【図31】本発明の実施の形態に係る点灯用のコントローラの回路構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0025】
《A.システム構成》
図1は、本発明の実施の形態に係る照明装置を利用した視覚センサシステムSYSの概要を示す模式図である。図1を参照して、視覚センサシステムSYSは、典型的には、生産ラインなどに組込まれて検査対象物(ワーク)Wを撮像して得られる画像に基づいて、文字認識やキズ検査といった処理(計測処理)を実行する。
【0026】
より具体的には、視覚センサシステムSYSは、画像処理装置3と、画像処理装置3に接続されたカメラ2と、カメラ2の視野範囲およびその近傍を照明するためのリング形状(ドーナツ形状)の照明装置1とを含む。カメラ2は、生産ライン4上を搬送されるワークWを適切なタイミングで撮像して画像データを生成し、この生成した画像データを画像処理装置3へ出力する。
【0027】
画像処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどを含むコンピュータであり、図1に示す例においては、計測処理結果などを表示するためのディスプレイと一体的に形成されている。
【0028】
本実施の形態に係る照明装置1は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子を光源とするものである。照明装置1の光源としてのLEDは、その形状および実装形態などの違いに応じて、砲弾型LED、表面実装型チップLED、ベアチップ実装型LEDなどを採用することができる。特に、本実施の形態に係る照明装置においては、表面実装型チップLEDまたはベアチップ実装型LEDを採用する場合に好適である。
【0029】
なお、図1には、照明装置1をカメラ2の周囲に装着する構成を示すが、照明装置1をカメラ2に対してワークWの近傍または遠方に配置することもできる。
【0030】
《B.照明装置の外観》
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る照明装置1の外観について説明する。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の外観を示す斜視図である。ここで、図2(a)は、照明装置1の照射面側を表したものであり、図2(b)は、照明装置1の背面側を表したものである。
【0032】
図2(a)および図2(b)に示すように、照明装置1は、全体としてリング形状を有する。より具体的には、照明装置1は、第1の筐体に対応するベース100と、第2の筐体に対応するケース500とを含む。後述するように、ベース100とケース500とは、スナップフィットなどによって互いに嵌合されることで、一体のリング形状として構成される。
【0033】
ベース100の照射面には、複数のレンズ200が露出するように同心円状に配置されて装着される。このベース100の照射面は、ベース100およびケース500を貫通するように形成された中心孔700の中心軸に対して所定角度を有するように傾斜面として形成される。
【0034】
ケース500内には、レンズ200の各々と対応付けて発光素子が実装されたユニット基板が配置されており、これらの発光素子に電力を供給するための電源ケーブル600がケース500の側面に形成された切欠部を通じて装着される。
【0035】
《C.基本構造》
次に、図3および図4を参照して、照明装置1の基本構成について説明する。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の分解斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の断面図である。
【0037】
図3を参照して、照明装置1では、リング形状のベース100の背面側から、レンズ200が装着される。後述するように、ベース100のレンズ200が装着される窓部には、レンズ200を保持するとともに、ベース100の照射面(露出面)側へのレンズ200の移動を規制するための保持部が設けられる。
【0038】
レンズ200の配置形状に対応付けて、同心円状に形成されたリジッドフレキシブル基板300が配置される。このリジッドフレキシブル基板300は、同心円状に配置された複数のレンズ200にそれぞれ対応付けられた発光素子が実装されたユニット基板を含む。このリジッドフレキシブル基板300には、電源ケーブル600を介して発光素子を駆動するための電力が供給される。
【0039】
リジッドフレキシブル基板300とケース500との間には、リジッドフレキシブル基板300の発光素子で発生する熱を放熱させるための略円状の放熱シート400が介挿される。この放熱シート400は、弾性を有する素材で形成されており、ベース100とケース500との間の空間に挿入されるレンズ200およびリジッドフレキシブル基板300に対する緩衝材あるいは押付け部としても機能する。
【0040】
ケース500には、そのベース100側の表面において、レンズ200と発光素子が実装されたユニット基板とからなる各セットを固定するための凸部が形成されている。
【0041】
図4に示すように、レンズ200の各々は、その配置位置において、その光軸がベース100の照射面に対して略垂直となるように位置決めされる。そのため、レンズ200の各々の光軸は、中心孔700の中心軸とは平行とはならず、照射面の傾斜角に対応する所定角度をもって保持される。すなわち、レンズ200の各々の光軸(光軸AX1およびAX2)は、中心孔700の中心軸(光軸AXC)に対して非平行である。レンズ200の各々の光軸(光軸AX1およびAX2)の間についても非平行である。
【0042】
《D.組立手順》
次に、図5を参照して、照明装置1の組立手順について説明する。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の組立手順を示す模式図である。ここで、図5(a)は、ベース100へのレンズ200の装着段階を示し、図5(b)は、レンズ200に対応付けたリジッドフレキシブル基板300の装着段階を示し、図5(c)は、リジッドフレキシブル基板300への電源ケーブルの装着段階を示し、図5(d)は、放熱シート400の装着段階を示し、図5(e)は、ベース100とケース500との嵌合段階を示す。
【0044】
図5(a)に示すように、第1段階として、ベース100の背面側(開口部の側)からレンズ200をそれぞれの窓部へ装着する。このとき、それぞれの窓部には、レンズ200を保持するための保持部が形成されており、この保持部にレンズ200を嵌め込むことでレンズ200がベース100に固定される。
【0045】
続いて、図5(b)に示すように、それぞれのレンズ200にユニット基板を対応付けて、リジッドフレキシブル基板300を装着する。このリジッドフレキシブル基板300は、その表面にそれぞれチップLEDが実装された複数のユニット基板を含む。ベース100の窓部に形成された部材は、レンズ200に加えて、リジッドフレキシブル基板300の各ユニット基板についても保持できるように構成されている。この構造により、レンズ200と発光素子(ユニット基板)との間の光学的な結合を確実に行うことができる。
【0046】
続いて、図5(c)に示すように、リジッドフレキシブル基板300に形成された一対のコネクタ351,352に、電源ケーブル600が接続される。なお、リジッドフレキシブル基板300には、複数の発光素子が直列接続されるように配線パターンが形成されており、電源ケーブル600を介して供給される+電極をこの直列接続の一端に接続し、−電極をこの直列接続の他端に接続する。
【0047】
続いて、図5(d)に示すように、リジッドフレキシブル基板300の上部に放熱シート400が配置される。最終的に、図5(e)に示すように、ベース100に対してケース500が装着されることで、照明装置1が完成する。このベース100とケース500との一体化は、接着剤などを用いて行ってもよいが、製作の手間を低減するために、スナップフィットなどを用いて、両者を嵌合することが好ましい。
【0048】
以下、各構成部材の詳細について説明する。
《E.ベースの詳細》
次に、図6〜図8を参照して、本実施の形態に係る照明装置1のベース100について説明する。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のベース100の外観を示す斜視図である。ここで、図6(a)は、ベース100の照射面160側を表したものであり、図6(b)は、ベース100の背面側(開口部側)を表したものである。図7および図8は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のベース100に形成された保持部の構造を説明するための図である。
【0050】
図6(a)に示すように、ベース100の照射面160には、その傾斜面に沿ってレンズ200を装着するための窓部102−1〜102−8が形成されている。この窓部102−1〜102−8は、中心孔700の中心軸に対して同心円状に配置される。すなわち、第1の筐体であるベース100は、複数のレンズ200をそれぞれ独立して装着するための複数の窓部102−1〜102−8が環状に並べて設けられている照射面160を有するとともに、当該照射面160と対向する位置に開口部170を有する。
【0051】
なお、ベース100の照射面には、図示しない拡散板を取り付けることができるように、ネジ穴140−1〜140−4が設けられている。
【0052】
また、ベース100の外周面には、ケース500と係合するための嵌合穴130−1〜130−4が設けられている。この嵌合穴130−1〜130−4は、ケース500に設けられたスナップフィットと係合することで、ケース500をベース100に固定する。すなわち、第2の筐体であるケース500が第1の筐体であるベース100の開口部を塞ぐように構成される。
【0053】
図6(b)に示すように、ベース100の外周面の一部は切り欠かかれて、電源ケーブル600をベース100の内部に導入するための電源ケーブル通し用凹部150が設けられている。
【0054】
次に、図6(b)に示す、窓部102−1〜102−8の各々に関連付けて設けられた保持部110について、図7および図8を参照して説明する。
【0055】
図7を参照して、窓部102−1〜102−8の各々に関連付けて設けられた保持部110は、レンズ200およびリジッドフレキシブル基板300(図8)の各ユニット基板320(図8)を保持するための構成を有する。
【0056】
保持部110は、第1の筐体であるベース100の開口部の側からのレンズ200の装着を許容するとともに、ベース100の照射面の側へのレンズ200の移動を規制する。さらに、保持部110は、レンズ200が装着された場合に、レンズ200の光軸方向(図4に示す光軸AX1およびAX2)がベース100の中心軸(図4に示す光軸AXC)に対して予め定められた角度を有するように構成される。なお、図4に示したように、レンズ200の光軸AX1およびAX2は、中心孔700の光軸AXCに対して非平行となっている。
【0057】
より具体的には、レンズ200の位置決めを行う部材として、スナップフィット111と、底面保持部112および113と、側面規制部114および115と、底面保持部116−1,116−2と、軽圧入用爪117−1,117−2と、側面規制部118−1,118−2とを含む。
【0058】
より具体的には、図7および図8(a)を参照して、スナップフィット111は、レンズ200と係合し、レンズ200の光軸方向への位置決めおよび移動の規制を行う。スナップフィット111と係合したレンズ200は、底面保持部112および113によってその底面を保持される。これによって、レンズ200がベース100の露出面側へ移動することが規制される。また、スナップフィット111と係合したレンズ200は、側面規制部114および115によってその側面を規制され、これによって、レンズ200の光軸方向に直交する方向での位置決めがなされる。
【0059】
また、図7および図8(b)を参照して、軽圧入用爪117は、リジッドフレキシブル基板300の各ユニット基板320と係合し、ユニット基板320の光軸方向への位置決めおよび移動の規制を行う。軽圧入用爪117と係合したユニット基板320は、底面保持部116−1,116−2によってその底面を保持される。これによって、ユニット基板320がベース100の露出面側へ移動することが規制される。また、ユニット基板320は、側面規制部118−1,118−2によってその側面を規制され、これによって、レンズ200の光軸方向に直交する方向での位置決めがなされる。
【0060】
すなわち、保持部110は、レンズ200に対して予め定められた相対的な位置関係を維持できるように、第1の基板であるユニット基板320を保持する。
【0061】
本実施の形態に係る照明装置1においては、冷却などを行うために、レンズ200とユニット基板320との間には所定の空間が形成されている。
【0062】
このように、レンズ200およびリジッドフレキシブル基板300のユニット基板320の各々は、ベース100を基準にして組み付けられるので、レンズ200および発光素子の位置精度をベース100の成形精度と同程度に維持することができる。すなわち、レンズ200の位置およびベース100に対するレンズ200の取り付け角などは、ベース100に設けられた保持部110によって位置決めされるので、ベース100を適切な精度で成形することで、照明装置1の全体として所望の精度を確保することができる。
【0063】
また、このような保持部110を設けた上で、ベース100の背面(開口部の側)からレンズ200を装着するとともに、照射面側へ移動しないように規制する。これにより、照明装置1は、その照射面が重力下向きとなるように設置されることが多いが、このような使用環境であっても、レンズ200がワークの方向へ落下するといった事態を回避できる。
【0064】
さらに、ベース100の窓部102−1〜102−8に対してレンズ200を装着した後、リジッドフレキシブル基板300のユニット基板320を軽圧入することで、レンズ200およびユニット基板320を保持させることができるので、その後の電源ケーブル600の接続やベース100に対するケース500の係合といった組立作業を簡単化できる。
【0065】
《F.レンズの詳細》
次に、図9および図10を参照して、本実施の形態に係る照明装置1のレンズ200について説明する。
【0066】
図9は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のレンズ200の外観を示す斜視図である。図10は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の別形態のレンズ200Aの外観を示す斜視図である。
【0067】
図9を参照して、レンズ200は、その中心部に、リジッドフレキシブル基板300のユニット基板320に実装された発光素子が収納される凹部210を有している。この凹部210は、図面上側に凸部202と連通しており、発光素子で発生した光は、この凸部202を通じて所定の方向に照射される。凸部202は、略四角形のベース部と一体的に形成されている。このベース部には各辺に対応付けて耳部が設けられている。
【0068】
このうち一対の耳部は、図7および図8に示すスナップフィット111と係合する接面204−1,204−2に相当する。すなわち、これらの接面204−1および204−2は、それぞれスナップフィット111と係合する。さらに、この耳部は、接面208−1,208−2,206において、保持部110の底面保持部112および113と接合する。
【0069】
また、レンズ200のベース部の四隅には、保持部の側面規制部114,115と接合する接面212−1,212−2,214−1,214−2が設けられる。すなわち、ベース部の四隅には、接面212−1,212−2,214−1,214−2を形成する切欠部がそれぞれ形成される。
【0070】
図9に示すレンズ200に代えて、光の反射効率を高めたレンズ200Aを採用してもよい。このレンズ200Aは、凸部203と反対側の面において、基板側に所定の区画毎に複数の反射面214が形成される。凹部210に収納された発光素子から照射される光の多くは直接的に凸部203へ導かれる。残りの光のうち、光軸とは異なる方向に導かれた光は、反射面214で反射される。その結果、これらの光は、伝搬方向を変化させ、凸部203が形成された面(光出射面)の側へ導かれる。このような反射面214を設けることで、発光素子から照射される光をより効率的に光出射面から照射させることができる。
【0071】
このレンズ200Aがベース100の窓部102−1〜102−8に装着される場合には、その接面205−1,205−2においてスナップフィット111(図7および図8参照)とそれぞれ係合する。また、接面205−1,205−2に対向する接面209−1,209−2,207において、保持部110の底面保持部112および113と接合する。
【0072】
さらに、レンズ200Aの四隅の切欠部に形成される接面213−1,213−2,215−1,215−2において、保持部の側面規制部114,115と接合する。
【0073】
このレンズ200Aによれば、照明光を効率的に照射できるので、照明強度を高めることができる。照明強度(照明効率)を高めることで、計測精度を向上できるとともに、必要な照明強度をより少ない電力量で実現できるため、消費電力や発生熱を抑制することもできる。
【0074】
《G.リジッドフレキシブル基板の詳細》
次に、図11〜図23を参照して、本実施の形態に係る照明装置1のリジッドフレキシブル基板300について説明する。
【0075】
[g1:基本構成]
図11は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のリジッドフレキシブル基板300の構成について説明するための図である。すなわち、図11(a)は、製造直後のリジッドフレキシブル基板300について示す図であり、図11(b)は、ベース100に組み入れる前のリジッドフレキシブル基板300の状態を示す図である。図12は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のリジッドフレキシブル基板300に対する給電方法を説明するための図である。
【0076】
図11(a)を参照して、リジッドフレキシブル基板300は、ベース100に装着されるレンズ200の数に対応する数のユニット基板320−1〜320−8(これらを総称して「ユニット基板320」とも称す。)を含む。このユニット基板320−1〜320−8の各々は、上述したような位置決めおよび固定を行うために、相対的に硬い材質からなる物体(剛体)として構成される。具体的には、ユニット基板320−1〜320−8は、ガラスエポキシ基板からなる。
【0077】
このガラスエポキシ基板(ユニット基板320−1〜320−8)の上に、光を発生するための発光素子330−1〜330−8(これらを総称して「発光素子330」とも称す。)がそれぞれ実装される。より具体的には、発光素子330は、表面実装またはベアチップ実装によりユニット基板320の所定位置に実装される。さらに、発光素子330の各々に対応付けてマイクロレンズが実装される場合もある。なお、各ユニット基板320に実装される発光素子の数は、複数であってもよく、照明装置1に要求される設計値(照射強度)などに応じて、適宜設定される。
【0078】
ユニット基板320としてこのような剛体の基板を用いることで、前述のようにベース100に圧入固定しても基板が変形することがなく、発光素子をレンズに対して精度良く位置決めすることができる。
【0079】
リジッドフレキシブル基板300は、ユニット基板320−1〜320−8(の上に実装される発光素子330−1〜330−8)の間を電気的に接続するためのフレキシブルプリント基板(以下、「フレキシブル基板」とも称す。)340を含む。このフレキシブル基板340には、発光素子330に電力を供給するための配線などが形成される。より具体的には、フレキシブル基板340は、フィルム状の絶縁体(ベースフィルム)上に配線パターンを示す導体箔が形成された上に、さらに絶縁体で覆われている。
【0080】
すなわち、照明装置1には、複数のレンズ200の各々と対応付けて配置される第1の基板であるユニット基板320が組込まれる。ここで、ユニット基板320の各々には、少なくとも1つの発光素子が実装される。さらに、照明装置1には、第1の基板であるユニット基板320の間を電気的に接続するためのフレキシブル基板340が組込まれる。ここで、ユニット基板320は、剛体として構成され、フレキシブル基板340は、可撓性を有するように構成される。
【0081】
このようなリジッドフレキシブル基板300は、図11(b)に示すように同心円状に形成した上で、ベース100に組み込まれる。すなわち、リジッドフレキシブル基板300のフレキシブル基板340では、複数のユニット基板320に亘って直線的に形成される部分340aと、部分340aからそれぞれのユニット基板320に分岐する部分340bとが一体的に構成される。直線的に形成される部分340aの破線で示す部分(図11(a)参照)で、フレキシブル基板340をそれぞれ折り曲げることで、図11(b)に示すように、フレキシブル基板340が亀甲形状に成形される。さらに、ユニット基板320に分岐する部分340bの破線で示す部分(図11(a)参照)で、フレキシブル基板340をそれぞれ外周側に折り曲げることで、フレキシブル基板340が構成する略円状(亀甲形状)が規定する平面に対して、ユニット基板320−1〜320−8が所定角度をもつように形成される。なお、フレキシブル基板340を屈曲させる場合には、ユニット基板320との関係で、図11(b)に示すような多角形形状となることが好ましい。この場合には、図11(a)の波線で示す部分については折り曲げを容易にさせるための加工をすることが好ましい。但し、フレキシブル基板340を円状に屈曲させてもよい。このような場合には、図11(a)の破線で示す部分で必ずしも折り曲げる必要はない。
【0082】
ユニット基板320として剛体の基板を用いることで、図11(b)に示すようにフレキシブル基板340を屈曲させた状態であってもユニット基板320は変形しない。よってユニット基板320に表面実装される発光素子330には応力が加わらず、信頼性の低下を招かずにすむ。
【0083】
このようにリジッドフレキシブル基板300では、フレキシブル基板340については、所定の平面形状をベース100の円周方向に沿って成形されており、ユニット基板320の各々は、フレキシブル基板340の対応する部分(複数のユニット基板320に亘って直線的に形成される部分340a)に対して、ベース100の保持部110に保持されるレンズ200の傾きに応じた角度に屈曲されている。すなわち、フレキシブル基板340は、複数の窓部102−1〜102−8の並びに沿って屈曲されている。
【0084】
後述するように、フレキシブル基板340は、ユニット基板320−1〜320−8の上に実装される発光素子330−1〜330−8の間が直列接続されるように、配線パターンが形成されている。そのため、発光素子330を含むフレキシブル基板340によって形成される配線経路上の2点の間で給電することで、一群の発光素子330−1〜330−8を点灯駆動できる。
【0085】
より具体的には、図12に示すように、リジッドフレキシブル基板300を構成するユニット基板320のうち、ベース100およびケース500を貫通して内部に導入される電源ケーブル600(電源ケーブル通し用凹部150)の近傍に位置する2つのユニット基板320の上に、コネクタ353および354をそれぞれ実装するとともに、このコネクタ353および354に、電源ケーブル600に含まれる+電極および一電極の配線601および602の端部に装着されたコネクタ351および352を接続する。
【0086】
なお、コネクタ353および354は、ユニット基板320の長手方向および短手方向のいずれとも非平行な向きに設けられる。すなわち、電源ケーブル600からの配線601および602の取り回しがより容易化するように、コネクタ353および354に対して配線601および602がそれぞれ接続される向きが、電源ケーブル600の方向を向くように設定される。言い換えれば、フレキシブル基板340は、電源ケーブル600と電気的に接続するための一対のコネクタ353および354を含み、この一対のコネクタ353,354は、電源ケーブル600の導入位置に応じた向きに設けられる。
【0087】
後述するように、点灯すべき発光素子330の数が多い場合には、所定数の直列接続された発光素子330を必要な数だけ並列接続するような構成を採用することもできる。
【0088】
また、各ユニット基板320の発光素子330が実装されない側の面には、発光素子330を駆動するための回路部品358が実装される。すなわち、各ユニット基板320においては、発光素子330以外の回路部品は、基本的には、発光素子330が実装された面とは反対側の面に実装される。これにより、スペース効率が高まり、各ユニット基板320の基板サイズを小さくできる。
【0089】
[g2:組立の容易化]
図3を参照して説明したように、リジッドフレキシブル基板300は、同心円状に形成された上で、第1の筐体に対応するベース100と、第2の筐体に対応するケース500との間に挿入される。このようなケースへの組込作業時に、屈曲させた状態にあるフレキシブル基板340が変形して、第1の筐体に対応するベース100と、第2の筐体に対応するケース500との間に噛み込む恐れがある。すなわち、フレキシブル基板340が本来の位置より、内側または外側に倒れることで、ベース100またはケース500と干渉する可能性がある。
【0090】
そこで、図13に示すような補助固定部材を用いることで、組立性をより改善することができる。
【0091】
図13は、本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板に装着される補助固定部材を説明するための図である。図13(a)には、同心円状に形成されたリジッドフレキシブル基板300に対して補助固定部材であるリング状部材360が装着されている状態を示し、図13(b)には、同心円状に形成されたリジッドフレキシブル基板300に対して補助固定部材であるリング状部材360を装着する状態を示す。
【0092】
図13(b)に示すように、補助固定部材として、リング状部材360が採用される。このリング状部材360の内径は、同心円状に形成されたフレキシブル基板340の外接円より所定のマージン分だけ大きくなるように設計される。そして、リング状部材360は、同心円状に形成されたフレキシブル基板340の外周側に装着される。なお、リング状部材360としては、樹脂などの材料で形成されることが好ましい。
【0093】
このように、リング状部材360でフレキシブル基板340を支えることで、フレキシブル基板340の変形(本来の位置より内側または外側に倒れること)を防止することができる。これによって、フレキシブル基板340が、第1の筐体に対応するベース100と、第2の筐体に対応するケース500との間に噛み込むといった事態を回避できる。その結果、組立性を改善することができる。
【0094】
[g3:配線パターン]
次に、リジッドフレキシブル基板における配線パターンの例について説明する。
【0095】
図14および図15は、本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板における配線パターンの例を説明するための図である。図14には、1個のリジッドフレキシブル基板上に8個の発光素子330が実装されている例を示し、図15には、1個のリジッドフレキシブル基板上に12個の発光素子330が実装されている例を示す。特に、図14および図15には、電力供給に係るコネクタを1個に集約できる構成例を示す。
【0096】
図14に示すリジッドフレキシブル基板300では、ユニット基板320−1〜320−8上にそれぞれ実装された発光素子330−1〜330−8を直列に接続するような供給ライン332がフレキシブル基板340上に形成されている。この供給ライン332の両端は、いずれもコネクタ356に接続されている。さらに、このコネクタ356を介して、後述するような発光素子330を点灯するためのコントローラに接続される。すなわち、供給ライン332の一端には、コネクタ356を介して+電位が供給され、供給ライン332の他端には、コネクタ356を介して−電位が供給される。
【0097】
図15に示すリジッドフレキシブル基板300Aにおいては、供給ラインに印加する電圧が過剰に高くならないように、12個の発光素子330に対して、2つの供給ライン332Aおよび332Bを用いて6個づつ並列に給電する。すなわち、図15において実線で示す供給ライン332Aは、奇数番目のユニット基板320−1,320−3,320−5,320−7,320−9,320−11を直列に接続するように形成され、図15において破線で示す供給ライン332Bは、偶数番目のユニット基板320−2,320−4,320−6,320−8,320−10,320−12を直列に接続するように形成される。
【0098】
後述するように、発光素子330に対しては、所定の大きさの一定電流を供給するように制御されるので、供給ラインを流れる電流の大きさがばらつかないように、それぞれの供給ライン332Aおよび332Bは、互いに独立して供給電流が制御される。そのため、供給ライン332Aおよび332Bの一端は、コネクタ356Aを介して共通に+電位が供給されるが、供給ライン332Aおよび332Bのそれぞれの他端は、コネクタ356Aを介して異なる−電位の端子に接続される。
【0099】
なお、フレキシブル基板340上において、供給ライン332Aと供給ライン332Bとを絶縁を保ちつつ交差させることができないので、一般的には、フレキシブル基板340の一方面上に供給ライン332Aが形成され、フレキシブル基板340の他方面上に供給ライン332Bが形成される。この例を、図15(b)に示す。
【0100】
[g4:変形例1]
リジッドフレキシブル基板の構成としては、上述した図11〜図15に示す形態に代えて、図16〜図19に示すような構成を採用することもできる。
【0101】
図16は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。図17は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のリジッドフレキシブル基板の変形例に装着される補助固定部材を説明するための図である。図18および図19は、本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例における配線パターンの例を説明するための図である。
【0102】
図16を参照して、リジッドフレキシブル基板300Bは、発光素子330が実装されるユニット基板320Aを千鳥状に配置(両側交互配置)した構成を示す。これらのユニット基板320Bは、フレキシブル基板340Bを介して接続される。このリジッドフレキシブル基板300Bについても、フレキシブル基板340Bを適宜折り曲げることで、図12に示すようなベース100への組み込みに適した形状に構成することができる。
【0103】
より具体的には、紙面上側に配置されたユニット基板320Bと接続されるフレキシブル基板340Bの部分は、紙面下側に配置されたユニット基板320Bと接続されるフレキシブル基板340Bの部分に比較して長くなっている。そして、紙面上側に配置されたユニット基板320Bは、紙面上下方向に沿って折り曲げられることで、図11(a)に示されるリジッドフレキシブル基板300と同様の構造を実現できる。すなわち、紙面上側に配置された4個のユニット基板320Bは、破線で示される位置で折り曲げられ、さらに、フレキシブル基板340Bが略円状(亀甲形状)に屈曲される。そのため、フレキシブル基板340Bにおいては、紙面下側に位置するユニット基板320B上で発光素子330が実装される面と、紙面上側に位置するユニット基板320B上で発光素子330が実装される面とは反対となる。
【0104】
すなわち、図17に示すように、リジッドフレキシブル基板300Bのうち4個のユニット基板320B(図16において紙面上側に位置するもの)が外周側に折り曲げられた上で、リング状に形成される。この変形例においても、組立性をより改善するために、図17(b)に示すような補助固定部材を用いることが好ましい。図17(b)に示す補助固定部材であるリング状部材360Bは、基本的には、図13(b)に示すリング状部材360と同様であるが、外周側に折り曲げる4個のリジッドフレキシブル基板300Bに対応する位置には、切欠部3601が設けられている。この切欠部3601は、フレキシブル基板340Bが折り返されることで生じる厚みを吸収するための部分である。
【0105】
最終的には、図17(a)に示すように、同心円状に形成されたリジッドフレキシブル基板300Bに対して補助固定部材であるリング状部材360Bが装着され、その上で、ケースに組み込まれる。
【0106】
上述のような構成を採用することで、図11に示すようなフレキシブル基板340の長手方向の一方側にユニット基板が配置される構成(片側配置)に比較して、ユニット基板のピッチをより狭くすることができるので、最終的に形成される照明装置1のリング径をより小さくできる。また、リジッドフレキシブル基板自体も小型化できる。
【0107】
次に、図18および図19を参照して、リジッドフレキシブル基板300Bにおける配線パターンの例を説明するための図である。図18には、1個のリジッドフレキシブル基板上に8個の発光素子330が実装されている例を示し、図19には、1個のリジッドフレキシブル基板上に16個の発光素子330が実装されている例を示す。
【0108】
図18に示すリジッドフレキシブル基板300Bでは、8個のユニット基板320B上にそれぞれ実装された8個の発光素子330を直列に接続するような供給ライン333がフレキシブル基板340B上に形成されている。この供給ライン333の両端は、いずれもコネクタ356に接続されている。さらに、このコネクタ356を介して、後述するような発光素子330を点灯するためのコントローラに接続される。すなわち、供給ライン333の一端には、コネクタ356を介して+電位が供給され、供給ライン333の他端には、コネクタ356を介して−電位が供給される。
【0109】
図19に示すリジッドフレキシブル基板300Cにおいては、供給ラインに印加する電圧が過剰に高くならないように、16個の発光素子330に対して、2つの供給ライン333Aおよび333Bを用いて8個づつ並列に給電する。すなわち、供給ライン333Aは、紙面下側に配置されたユニット基板320Cを直列に接続するように形成され、供給ライン333Bは、紙面上側に配置されたユニット基板320Cを直列に接続するように形成される。
【0110】
後述するように、発光素子330に対しては、所定の大きさの一定電流を供給するように制御されるので、供給ラインを流れる電流の大きさがばらつかないように、それぞれの供給ライン333Aおよび333Bは、互いに独立して供給電流が制御される。そのため、供給ライン333Aおよび333Bの一端は、コネクタ356Aを介して共通に+電位が供給されるが、供給ライン333Aおよび333Bのそれぞれの他端は、コネクタ356Bを介して異なる−電位の端子に接続される。
【0111】
図19に示すリジッドフレキシブル基板300Cでは、供給ライン333Aと供給ライン333Bとは交差することなく形成できるので、フレキシブル基板340の一方面上に2つの供給ライン333Aおよび333Bを形成できる。
【0112】
[g5:変形例2]
図20は、本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。図20を参照して、リジッドフレキシブル基板300Dは、発光素子が実装されるユニット基板320Dを同心円状(放射状)に配置した構成を示す。図20に示すリジッドフレキシブル基板300Dでは、フレキシブル基板340Dが中心側に位置しており、その外周側にユニット基板320Dが位置することになる。これらのユニット基板320Dの各々は、フレキシブル基板340Dを介して両隣に位置するユニット基板320Dと電気的に接続される。このリジッドフレキシブル基板300Dについても、フレキシブル基板340Dを適宜折り曲げることで、図12に示すようなベース100への組み込みに適した形状に構成することができる。
【0113】
[g6:変形例3]
図21は、本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。図21を参照して、リジッドフレキシブル基板300Eは、図20に示すリジッドフレキシブル基板300Dと同様に、発光素子が実装されるユニット基板320Eが同心円状(放射状)に配置される。但し、図21に示すリジッドフレキシブル基板300Eでは、フレキシブル基板340Eが外周側に位置しており、その内周側にユニット基板320Eが位置することになる。
【0114】
また、ユニット基板320Eの各々は、フレキシブル基板340Eを介して両隣に位置するユニット基板320Eと電気的に接続される。このリジッドフレキシブル基板300Eについても、フレキシブル基板340Eを適宜折り曲げることで、図12に示すようなベース100への組み込みに適した形状に構成することができる。
【0115】
[g7:変形例4]
図22は、本発明の実施の形態に係る照明装置のリジッドフレキシブル基板の変形例を示す図である。図22を参照して、複数のリジッドフレキシブル基板300Fを組合せることで、発光素子を同心円状に形成されたリング形状を構成してもよい。たとえば、図22に示すように、4個のユニット基板320からなるリジッドフレキシブル基板300Fを、略円状(亀甲形状)の一部(半周分)を構成するように屈曲させ、さらに、それらを2個組合せることで、発光素子がリンク形状に構成された照明モジュールを構成する。
【0116】
このように、より少ないユニット基板320からなるリジッドフレキシブル基板を複数組合せる方法を採用することで、多数のバリエーション(製品群)をラインナップする場合であっても、リジッドフレキシブル基板の種類を低減することができる。
【0117】
[g8:発光素子の実装形態]
本実施の形態に係る照明装置においては、ユニット基板320上に発光素子330が実装される。この発光素子330は、典型的には、チップLEDである。このようなチップLEDを実装する際には、チップLED自体から発生する熱などによる劣化を抑制するように以下に説明するような実装形態を採用することが好ましい。
【0118】
図23は、本発明の実施の形態に係る照明装置の発光素子の実装例を説明するための図である。図23を参照して、発光素子330は、ユニット基板320上に形成されたランド322aおよび322bの上に配置される。このランド322aおよび322bは、それぞれ+電位および−電位を供給するための電極(パッド)に相当する。
【0119】
ランド322aおよび322bは、その間を所定の距離だけ離して配置される。さらに、本実施の形態に係る照明装置1においては、ユニット基板320上の、ランド322aおよび322bの間の空隙に対応する領域に、フラックスを放出するための孔部324が形成される。このフラックスは、発光素子330をランド322aおよび322bに実装する際に利用された半田に含まれていた成分であり、製造工程では、完全には取り除くことが難しい。
【0120】
ランド322aとランド322bとの間にフラックスの揮発成分が充填された状態で、発光素子330へ供給される電圧が印加され、かつ、発光素子330による発熱によって高温環境にさらされると、発光素子330とランド322aおよび322bとを電気的に接続するための半田がランド表面またはユニット基板表面を移動する。この半田の移動によって、デンドライトが発生し、この発生したデンドライトによって、ランド322aとランド322bとの間が絶縁不良となる。
【0121】
そこで、本実施の形態に係る照明装置1のユニット基板320においては、製造工程で完全には除去できないフラックス(の揮発成分)を逃がすための孔部324(スリットまたは窪み)が、ユニット基板320上のランド間に設けられる。
【0122】
孔部324は、主として、発光素子330によって形成される空間にフラックスを充填させないことを目的として設けられるので、孔部324の長手方向の長さは、ユニット基板320の上面視にて発光素子330からはみ出る部分が生じる程度までとすることが好ましい。すなわち、ユニット基板320の上面視にて、発光素子330によって孔部324のすべてが隠れないように構成することが好ましい。
【0123】
このように構成することで、ユニット基板320の下面側が放熱シート400等で覆われたとしても、フラックスを上面方向へ十分に逃がすことができる。なお、ユニット基板320の撓みを防止するために、孔部324とユニット基板320の端部とは十分に間隔を設けることが好ましい。
【0124】
典型的な実装例としては、ランド322aおよび322bは、その厚みが18μm程度に構成され、孔部324の短手方向の幅d1は0.8mm程度に構成される。さらに、ランド322aとランド322bとの間の空隙部326の幅は、1mm程度に構成される。なお、空隙部326の幅d1と空隙部326の幅との差d2は0.1mm程度であり、発光素子330の底面に形成されているパッドの剥がれを防止するための隙間である。
【0125】
このように発光素子330を実装することで、実装工程によって残留したフラックスによる影響を低減でき、その結果、本実施の形態に係る照明装置の信頼性を高めることができる。
【0126】
《H.放熱シートの詳細》
次に、図24を参照して、本実施の形態に係る照明装置1の放熱シート400について説明する。
【0127】
図24は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の放熱シート400の構成について説明するための図である。図24を参照して、放熱シート400は、基本的には、レンズ200に対応付けて配置される発光素子330から発生する熱を伝達して、発光素子330の周辺が加熱することを抑制する。より具体的には、放熱シート400は、シリコーンゲルを主体としたシートであり、相対的に高い熱伝導性を有している。放熱シート400の表面には、セパレータおよび離型フィルムが形成されており、柔軟性を有している。すなわち、放熱シート400は、凹凸面へのフィット性に優れており、このような特性を利用して、ベース100とケース500との間の空間に挿入されるレンズ200およびリジッドフレキシブル基板300(発光素子330)に対する緩衝材あるいは押付け部としても機能する。すなわち、放熱シート400は、ユニット基板320とケース500の押付け部との間に介挿される、伝熱性および弾性を有するシートである。
【0128】
上述したような目的を達するため、この放熱シート400としては、ベース100に装着されるリジッドフレキシブル基板300を構成するそれぞれのユニット基板320の位置を少なくともカバーするような形状が採用される。
【0129】
さらに、本実施の形態に係る照明装置1では、レンズ200およびユニット基板320(発光素子330)が中心孔700の中心軸(光軸AXC)に対して所定の角度をもった状態で位置決めされるので、それぞれのユニット基板320の面は同一面には存在しない。すなわち、ユニット基板320の背面は、照明装置1の照射面に対応して凹形状となる。
【0130】
そこで、このような非平面ではない面により密着させるために、放熱シート400には、所定角度毎に切込み部402が設けられる。このような切込み部402によって、放熱シート400の全体をより容易に凹状に変形させることができ、発光素子330との密着性を高めることができる。より具体的には、放熱シート400は、切込み部402によって区分されたそれぞれのユニット基板320に対応する複数の片を含む。すなわち、放熱シート400は、略円状に形成されるとともに、ユニット基板320の配置形状に対応して区画させるように、切込み部402が形成されている。
【0131】
《I.ケースの詳細》
次に、図25を参照して、本実施の形態に係る照明装置1のケース500について説明する。
【0132】
図25は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のケース500の外観を示す斜視図である。すなわち、図25(a)は、ケース500の照射面側を表したものであり、図25(b)は、ケース500の背面側を表したものである。
【0133】
図25(a)に示すように、ケース500には、上述したような、レンズ200およびリジッドフレキシブル基板300(厳密には、ユニット基板320に実装される発光素子330)をベース100に対して位置決めするための保持/規制部が設けられている。より具体的には、ケース500には、複数のレンズ200(発光素子330)の各々に対して、一対の押付け部512−1,512−2が設けられる。この一対の押付け部512−1,512−2は、ベース100とケース500とが係合されたときに、対応するユニット基板320の両端を押付けるように構成される。これにより、押付け部512−1,512−2は、対応するユニット基板320をその両端において押付けることで、ベース100に対する位置決めおよび固定を行う。
【0134】
より具体的には、押付け部512−1,512−2の接面(押さえ面)は、ベース100におけるレンズの光軸方向についての位置決め面に平行となる。言い換えれば、押付け部512−1,512−2は、照明装置1の対応する照射面と平行な方向に、レンズ200およびユニット基板320を押し込むことになる。すなわち、ケース500は、ベース100と結合された場合に、ベース100に装着されたユニット基板320の各々を照射面の向きに押付けるための押付け部512−1,512−2を含む。
【0135】
なお、ユニット基板320とケース500との間には、放熱シート400が介挿されるので、押付け部512−1,512−2の大きさ(光軸方向の長さ)については、この放熱シート400の厚みなどを考慮して決定される。
【0136】
ベース100とケース500とが一体化された状態において、ユニット基板320と押付け部512−1,512−2との間に、放熱シート400の厚みより小さい隙間を設けることが好ましい。
【0137】
図26は、本発明の実施の形態に係る照明装置1が一体化された状態における断面図である。ここで、図26(a)は、照明装置1を径方向に切断した場合の断面図であり、図26(b)は、照明装置1を周方向に切断した場合(図26(a)に示す破断線A−A)の断面図である。
【0138】
図26を参照して、まず、押付け部512−1,512−2などからの押圧によって、放熱シート400を弾性変形させてユニット基板320に押付けることで、ベース100およびケース500の寸法公差を吸収する。同時に、レンズ200およびユニット基板320の固定を図るとともに、ユニット基板320を放熱させる。
【0139】
このとき、ベース100とケース500とが一体化された状態において、ユニット基板320と押付け部512−1,512−2との間に、放熱シート400の厚みより小さい隙間180を設けることが好ましい。このとき、ユニット基板320に実装された発光素子330およびそれを駆動する回路などの部品は、押付け部512−1と押付け部512−2との間に位置するように配置することが好ましい。そのため、押付け部512−1,512−2は、対応するユニット基板320の両端と接触するように構成される。
【0140】
ケース500には、リジッドフレキシブル基板300のフレキシブル基板340を収納するための収納スペース520が設けられる。すなわち、リジッドフレキシブル基板300は、図11に示すように、フレキシブル基板340を亀甲形状に形成するとともに、それぞれのユニット基板320を外周側に折り曲げた状態で、ベース100に挿入する。このリジッドフレキシブル基板300の亀甲形状に形成されたフレキシブル基板340は、内周面を構成する部材に沿って形勢された収納スペース520に収納される。
【0141】
ケース500の外周面の一部は切り欠かかれて、電源ケーブル600をケース500の内部に導入するための電源ケーブル通し用凹部550が設けられている。図6に示すベース100の電源ケーブル通し用凹部150と図25に示すケース500の電源ケーブル通し用凹部550とが組み合わされて、電源ケーブル600を貫通させるための円状の孔が形成される。
【0142】
また、ケース500の背面側には、照明装置1を取り付け治具等に固定するためのネジ穴540−1〜540−4が設けられる。
【0143】
ベース100とケース500との間は、スナップフィットを用いて互いを係合することで、一体化される。より具体的には、ケース500には、スナップフィットの嵌合爪530−1〜530−4が設けられており、これらがベース100の対応する嵌合穴130−1〜130−4と嵌合することで、ベース100に対するケース500が位置決めされる。
【0144】
《J.照明装置のバリエーション》
上述の説明では、主として、照射面に8つのレンズが装着された照明装置1について例示したが、これらの構成に代えて、より多くのレンズまたはより少ないレンズを装着した構成を採用することもできる。
【0145】
図27は、本発明の実施の形態の変形例に係る照明装置1Aの外観を示す斜視図である。図28は、本発明の実施の形態のさらに別の変形例に係る照明装置1Bの外観を示す斜視図である。ここで、図27(a)および図28(a)は、照明装置の照射面側を表したものであり、図27(b)および図28(b)は、照明装置の背面側を表したものである。
【0146】
図27に示すように、図2に示す照明装置1に比較して、より多くのレンズ200(および発光素子330)を装着した構成を採用してもよい。図27に示す例では、基本的には、中心孔700Aの径は図2に示す照明装置1の中心孔700の径に比較して大きくなっている。但し、レンズ200については、図2に示す照明装置1において用いられていたレンズ200と同じものを利用することができるものとする。
【0147】
一方、図28に示すように、図2に示す照明装置1に比較して、より少ないレンズ200(および発光素子330)を装着した構成を採用してもよい。図28に示す例では、基本的には、中心孔700Bの径は図2に示す照明装置1の中心孔700の径に比較して大きくなっている。但し、レンズ200については、図2に示す照明装置1において用いられていたレンズ200と同じものを利用することができるものとする。
【0148】
《K.点灯用のコントローラ》
次に、上述したような照明装置1を点灯するためのコントローラ(電源供給部)について説明する。図29〜図31は、本発明の実施の形態に係る点灯用のコントローラ800の回路構成を示す模式図である。
【0149】
図29を参照して、コントローラ800は、制御回路810と、昇圧回路820と、過電流検出回路830と、定電流回路840と、定電圧回路850とを含む。制御回路810は、外部からの入力信号に従って、各回路に対して制御信号を与えることで、要求された電流を照明装置1(発光素子330)へ供給する。また、制御回路810は、現在の電流供給の状態などを示す表示信号を外部出力する。
【0150】
昇圧回路820は、入力電圧(24V)を予め指定された電圧に変換して出力する。この昇圧回路820は、入力ノードと接地ノードとの間に直列配置されたトランジスタ(典型的には、電界効果トランジスタ(FET:Field Effective Transistor))に対して、基準電位発生回路から出力すべき電圧に対応する指令値が与えられる。
【0151】
過電流検出回路830は、接続される発光素子330を流れる電流が過大にならないように制限する回路である。具体的には、過電流検出回路830は、電流の供給路上に抵抗素子が挿入されており、供給電流がこの抵抗素子を流れることで生じる電位差がトランジスタのベース−エミッタ間に与えられようになっている。この抵抗素子の両端に予め定められたしきい値を超える電圧が発生すると、トランジスタが導通状態になり、このトランジスタの状態変化が制御回路810へ伝えられる。制御回路810は、この過電流検出回路830からの信号に応答して、コントローラ800による電流供給を停止または一時的に遮断する。
【0152】
定電流回路840は、接続される発光素子330に対して、予め定められた一定値に電流を供給する。図29に示す定電流回路840は、2系統(1chおよび2ch)の電力供給が可能となっている。さらに、定電流回路840では、各系統において、より多くの発光素子330群に対して電流を供給できるように、電流を制御するためのトランジスタ(典型的には、FET)が並列に接続されている。すなわち、1chには、定電流ドライバ841aおよび841bが並列に接続されており、2chには、定電流ドライバ842aおよび842bが並列に接続されている。
【0153】
これらの定電流回路840は、FETドライバ860からの指令に応じた電流値を流す。このFETドライバ860を駆動するための電力は、定電圧回路850により供給される。定電圧回路850は、制御回路810からの指令信号に従って、制御電圧(1.5V)を指定された電圧まで降下させてFETドライバ860へ出力する。
【0154】
上述したように、本実施の形態に係るコントローラ800は、発光素子330を駆動するための電流を2系統で出力することができる。そのため、図29に示すように、発光素子330が4個ずつ直列に接続されたリジッドフレキシブル基板300をそれぞれ独立に駆動させることができる。発光素子330の順方向電圧にも依存するが、その順方向電圧の合計値がコントローラ800から出力可能な電圧値を超えない数だけ、発光素子330を直列に接続することができる。
【0155】
たとえば、図30には、それぞれ8個の発光素子330が直列接続されたリジッドフレキシブル基板300を2個駆動する例を示す。より多くの発光素子330を同時に駆動する場合には、図31に示すように、1個のリジッドフレキシブル基板300において、上限値以下の数だけ直列接続した発光素子330のストリングを複数実装するようにしてもよい。なお、この場合には、各ストリングを流れる電流のアンバランスを抑制するために、各ストリングに制限抵抗321を挿入しておくことが好ましい。
【0156】
上述のように、複数の発光素子330を直列接続して、それを流れる電流の大きさを制御することで、各発光素子330が発生する明るさを適切に制御することができる。この結果、リング状の照明装置1を構成した場合であっても、部分的な明るさのムラの発生などを抑制できる。
【0157】
《L.利点》
本実施の形態によれば、ベース100側に設けられた保持部110によって、それぞれのレンズ200および対応する発光素子330を実装したユニット基板320を位置決めおよび固定できる。このように、筐体を基準として、光の照射に必要な光学部品を装着できるので、信頼性を高めることができるとともに、光学的な精度を維持することができる。
【0158】
また、本実施の形態によれば、ベース100側に設けられた保持部110によって、レンズ200およびユニット基板320を略固定できるので、これらの光学部品を背面側から固定するための構造を簡略化できる。これによって、部品点数を減らしてコストを低減できるとともに、組立工数を削減できる。さらに、組立工数が減少することで、信頼性を高めることもできる。
【0159】
また、本実施の形態によれば、ベース100側に設けられた保持部110がレンズ200の照射面側への移動を規制するので、レンズ200がワークなどの方向へ落下するといった可能性を排除できる。この意味においても、信頼性を高めることができる。
【0160】
また、本実施の形態によれば、相対的に硬い材質からなる物体(剛体)として構成されるユニット基板320上に発光素子330が実装されるとともに、ユニット基板320と接続された、相対的に柔らかい材質からなるフレキシブル基板340を同心円状に形成することで、発光素子330を位置決めする。そのため、発光素子330に対して機械的なストレスを与えることを抑制できる。
【0161】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0162】
1,1A,1B 照明装置、2 カメラ、3 画像処理装置、4 生産ライン、100 ベース、102 窓部、110 保持部、111 スナップフィット、112,116 端面規制部、114,115,118 側面規制部、117 軽圧入用爪、130 嵌合穴、140,540 ネジ穴、150,550 電源ケーブル通し用凹部、160 照射面、170 開口部、180 隙間、200,200A レンズ、202,203 凸部、204,205,208,209,212,213 接面、210 凹部、214 反射面、300,300A,300B,300C,300D,300E,300F リジッドフレキシブル基板、320,320A,320B,320C,320D,320E ユニット基板、321 制限抵抗、322a,322b ランド、324 孔部、326 空隙部、330 発光素子、340,340A,340B,340D,340E フレキシブル基板、351,352,353,354 コネクタ、400 放熱シート、402 切込み部、500 ケース、512 押付け部、520 収納スペース、530 嵌合爪、600 電源ケーブル、601 配線、700,700A,700B 中心孔、800 コントローラ、810 制御回路、820 昇圧回路、830 過電流検出回路、840 定電流回路、841a,842a 定電流ドライバ、850 定電圧回路、860 FETドライバ、SYS 視覚センサシステム、W ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置であって、
複数のレンズと、
前記複数のレンズをそれぞれ独立して装着するための複数の窓部が環状に並べて設けられている照射面を有するとともに、当該照射面と対向する位置に開口部を有する第1の筐体と、
前記複数のレンズの各々と対応付けて配置される第1の基板とを備え、前記第1の基板の各々には、少なくとも1つの発光素子が実装されており、
前記第1の筐体の前記開口部を塞ぐ第2の筐体を備え、
前記第1の筐体は、前記複数の窓部の各々に関連付けて設けられた保持部を含み、
前記保持部の各々は、
前記第1の筐体の前記開口部の側からの前記レンズの装着を許容するとともに、前記第1の筐体の前記照射面の側への前記レンズの移動を規制し、かつ、
前記レンズが装着された場合に、当該レンズの光軸方向が前記第1の筐体の中心軸に対して予め定められた角度を有するように構成される、照明装置。
【請求項2】
前記第1の基板の間を電気的に接続するための第2の基板をさらに備え、
前記第1の基板は、剛体として構成され、
前記第2の基板は、可撓性を有するように構成される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第2の基板は、前記複数の窓部の並びに沿って屈曲されており、
前記第1の基板の各々は、前記第2の基板の対応する部分に対して、前記保持部に保持される前記レンズの傾きに応じた角度に屈曲されている、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記保持部の各々は、さらに、前記レンズに対して予め定められた相対的な位置関係を維持できるように、前記第1の基板を保持する、請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2の筐体は、前記第1の筐体と結合された場合に、前記第1の筐体に装着された前記第1の基板の各々を前記照射面の向きに押付けるための押付け部を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記押付け部の各々は、対応する前記第1の基板の両端を押付けるように構成される、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1の基板と前記第2の筐体の前記押付け部との間に介挿される、伝熱性および弾性を有するシートをさらに備える、請求項5または6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記シートは、略円状に形成されるとともに、前記第1の基板の配置形状に対応して区画させるように、切込み部が形成されている、請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1および第2の筐体を貫通して内部に導入される電源ケーブルをさらに備え、
前記第2の基板は、前記電源ケーブルと電気的に接続するための一対のコネクタを含み、
前記一対のコネクタは、前記電源ケーブルの導入位置に応じた向きに設けられている、請求項2〜8のいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−124138(P2012−124138A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20895(P2011−20895)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】