説明

熱により局所的に腫瘍性組織のような生物組織を焼灼させる焼灼装置

本発明は、ニードル又はプローブと、電磁エネルギー源を活性化/不活性化させるコントロール手段と、を備えた熱により局所的に腫瘍性組織のような病変組織を焼灼させる焼灼装置であって、前記ニードル又はプローブの先端部が、除去すべき前記病変組織、又は、前記腫瘍性組織に配されるように設けられ、前記ニードル又はプローブが、薄いワイヤー又は糸のような細長い部材としての1以上の光ガイドを支持するように設けられ、前記ニードル又はプローブの一端が、レーザ光のような加熱用電磁エネルギーを発し、かつ、前記電磁エネルギーを照射する照射用先端部を介して前記光ガイドの端部につながるように設けられ、前記ニードル又はプローブの他端が、前記電磁エネルギー源に接続され、前記焼灼装置には、所定の大きさを有する空間の内部において、前記照射用先端部から発された電磁エネルギーによって発生した前記病変組織に対する加熱作用の分布を制御するする分布制御手段が設けられ、そして、前記分布制御手段には、現に治療が行われている前記病変組織部位のような前記病変組織部位の1以上の箇所で測定された温度の関数として前記病変組織部位をなす1以上の部分に対する前記電磁エネルギーの分布を変える手段が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードル又はプローブと、電磁エネルギー源を活性化/不活性化させるコントロール手段と、を備えた熱により局所的に腫瘍性組織のような病変組織を焼灼させる焼灼装置であって、前記ニードル又はプローブの先端部が、除去すべき前記病変組織、又は、前記腫瘍性組織に配されるように設けられ、前記ニードル又はプローブが、薄いワイヤー又は糸のような細長い部材としての1以上の光ガイドを支持するように設けられ、前記ニードル又はプローブの一端が、レーザ光のような加熱用電磁エネルギーを発し、かつ、前記電磁エネルギーを照射する照射用先端部を介して前記光ガイドの端部につながるように設けられ、そして、前記ニードル又はプローブの他端が、前記電磁エネルギー源に接続されている焼灼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタイプの装置は、医療分野において、特に、腫瘍性組織を除去する装置として知られ、そして、用いられている。これらの装置の最も優れたところは、その作用(腫瘍性組織を取り除く作用)が非侵襲的であり、かつ、患者がベッドで過ごす期間を非常に短くするということである。
【0003】
現時点では、様々な研究がなされており、これらの装置が、直径約10mmの小さな腫瘍のかたまり(tumoral mass)を除去するには非常に有効であることが分かった。しかし、より大きい腫瘍に関しては、その治療は依然として難しく、しかも、このような腫瘍性組織の完全な除去には、プローブおよびそれ以外の手段の移動が必要となる。
光ガイド(light guide)は概して光繊維のフィラメントからなっているので、運搬される光エネルギー(luminous energy)の減衰現象を減少させることができる共に、前記光ガイドの端部が挿入されているニードル又はプローブが非常に小さい直径を有することにより、ニードル又はプローブの侵襲的効果を制限することができる、といった、有利な効果を奏する。他方で、いくつかの腫瘍病変(tumoral lesion)が生命機能にかかわる臓器が占める場所であるとの解剖学的な知識を考慮すると、プローブ又はニードルを挿入したときに、臓器がダメージを受ける可能性が非常に高いとの理由からも、前記手法は有利である。
【0004】
光源は概して照射された組織の温度を治療に適した温度レベルまで上げるのに十分な強度を提供することができるレーザ光源からなる。
【0005】
しかしながら、電磁エネルギーの照射装置を用いる腫瘍焼灼技術(thermal ablation)を実際に使用した場合に、特に、より大きい病変組織部位を治療するときに起こり得る問題に遭遇する。この場合、大きい病変の治療における問題は、例えば、超音波のような様々な撮像装置(imaging means)によって、プローブ又はニードルの先端部をマーキングし、その後、前記治療すべき組織部位に対してプローブ又はニードルを、前記織部位をその大きさに沿って治療するのに必要な程度に移動させることによって、簡単に解決することができる。しかしながら、この場合に、治療すべき部位に対してニードル又はプローブを移動し、その後、この先端部に向けて電磁エネルギーを照射することによって、前記部位をなす様々な部分を照射することは、前記部位が照射されて、完全に治療される場合に限られるとの問題がある。したがって、より大きい(病変組織)部位に属する部分領域(partial area)が所定の治療効果を得るのに十分な方式で治療されたかどうかを決定しなければならないとの問題がある。この問題に加えて、そのように電磁エネルギーを照射して作動する種類の腫瘍焼灼装置は、組織を加熱する際に蒸気が発生するということに起因する更なる問題を抱えている。このように発生した蒸気は、治療をモニターするために超音波映像のような簡単でかつ安価な技術を用いることを妨げる。言い換えれば、超音波はそのような蒸気のために機能できなくなってしまう。
【0006】
USP6302878には、光束(optical flux)を逸脱させる手段を設けた、腫瘍性組織の焼灼用(thermoablation)装置、および、その方法が記載されている。この場合、発された電磁エネルギーを逸脱させ、又は、その焦点をあわせる反射手段が用いられる。
【0007】
EP0598984(A)には、到達されにくい部位に到達させるために、光束を異なる方向に逸脱させると共に、様々な治療法に適用することのできる装置が記載されている。このような偏向装置(deflection means)は、偏向特性を有する幾つかのスロット、又は、偏向特性を有する特定量の粒子(この粒子は、球のような空間に配されている。)からなる。
【0008】
US5454807には、熱を用いて病変部位を治療するシステム、および、その方法が記載されている。ここでは、前記治療を行うためにカニューレが用いられる。この文献によれば、カニューレは、冷却液用の通路として配されているが、電磁ビームを逸脱させるために別の配列を取ることも可能である。特別な解決手段として、治療すべき特定の症例によって異なる形状を有し得るミラーを用いて、電磁ビーム、および、冷却液を逸脱させ、それにより、病変の様々な表面に向けて作動させる。
【0009】
EP0411132(A)には、病変組織に対して熱を加えてそれを治療する装置が記載されている。その装置において、ニードル又はカニューレの先端部には膨張性ボール(inflatable ball)が設けられている。そのボールは、液体で満たされているが、その液体には所定量の偏向性粒子が溶解されている。
【0010】
しかし、電磁エネルギーを集中させて、治療すべき部位中の特定の部分に熱を与え、かつ、前記部分の温度に基づいて、それとは異なる部分に対して電磁エネルギーを集中させる手法については、未だ知られていない。
【0011】
病変組織にレーザ光を照射して焼灼させる手法に関するより一般的な観点から見たときに、より広い部位、あるいは、光線のガイド繊維のアウトプット端(output end)に直接露出された組織部位よりも大きい領域、又は、空間に亘って均等な加熱効果が得られにくいという問題がある。レーザビームのガイド繊維のアウトプット端に直接隣接した部位は小さい部位、又は、非常に小さい空間であるので、このような小さい領域に対しては加熱作用が奥深くまで及ぶが、一方で、前記アウトプット端からの距離が増加するにつれて前記加熱作用は急速に減少されてしまう。したがって、前記先端部に直接隣接した部位には過度な加熱が行われ、そして、その先端部からより離れた部位には治療が不十分に行われるリスクがある。したがって、前記先端部を取り巻く空間において、先端部からの距離に基づいて、熱の実質的な空間分布又は加熱効果を調節する手段を設けて、加熱効果、つまり、所定の治療効果の調整を可能にすることが必要とされている。
【0012】
組織と、電磁エネルギー(特に、レーザビーム)間の相互作用を理解するために様々な研究がなされてきた。図1は、組織のレーザ揮発(蒸発)(laser volatilization)と呼ばれるプロセスにおいて、組織に照射されたレーザエネルギーがどのようにはたらくのかを示す。これは切開(incision)、および、腫瘍の除去(tumoral ablation)に用いられるプロセスである。組織を除去する間に、組織における温度範囲に基づいて以下の通り定義される3つのステップが行われる。つまり、凝固(coagulation)は、55〜100℃の温度での組織加熱条件を定義する。水の蒸発(water vaporization)は、100〜400℃の加熱条件を定義する。燃焼(combustion)は、400℃を超える温度に加熱する際に起こる。組織の塊の喪失は、先ず治療される部位の照射フラックス(flux)による。1000J/cm2を超える値のフラックスに関連して、その効果は組織の美白化に相当する。ポップコーン蒸気療法(popcorn vaporization)と呼ばれるその現象は、1100〜1500J/cm2の熱エネルギーフラックスにおいて起こるが、炭化および燃焼反応は、照射フラックスが1500J/cm2を超えるときに起こる。
【0013】
熱を、組織、特に、健康な組織と病変組織との界面においてどのように分布させるかに関してはかなり研究が進んでいる。これらの研究によれば、熱の分布を決定するパラメーは複雑であるため、それらを一般化し、又は、全ての条件に当てはめるような一般原則を導くことは不可能とされている。特に、レーザ光で照射した後、組織において熱拡散(thermal diffusion)を行うという手法は、単に照射フラックスによるのではなく、とりわけ組織による電磁照射の吸収の面から捉えた組織の質(tissue quality)による。この場合、各々の異なるタイプ又は種の組織は、異なる挙動をとるため、先験的一般原則(priori general law)を定めることは難しい。
【0014】
蒸気の生成に関連して、現時点までは、その問題は、異なる組織の構成要素(特に、水)の照射に対する異なる応答を用いることで、蒸気を生成することなく組織に対して最も大きい加熱効果をもたらすために、エネルギー供給を調整しようとする試みを除けば、全く取り扱われていない。蒸気の発生を避けるために採用された解決策は、レーザ源をそれまでとは異なる方法で操作すること、つまり、組織に対してレーザ光パルスを照射することである。しかし、この解決策は、満足できる程度のものではなかった。その理由は、焼灼効果が、一定で、しかも、調整された照射により得られるものに対して少ないからである。
【特許文献1】USP6302878
【特許文献2】EP0598984(A)
【特許文献3】USP5454807
【特許文献4】EP0411132(A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、前述した公知の腫瘍焼灼装置を改良して、先ずは、公知の方法の欠点を克服することにある。言い換えれば、本発明は、いくつかの部分を燃焼させ、又は、そのほかの部分を不十分に加熱するという従来技術におけるリスクを伴わずに、より大きい病変組織部位をより簡単かつ安全に治療することができる腫瘍焼灼装置を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、外科医による直接的な調節という介入をできる限り減らせる自動、又は、半自動手段を用いて前述した改良を果たし、それにより、除去プロセス(即ち、腫瘍焼灼プロセス)の標準化を目指す。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前述したタイプの装置を提供することによって上記目的を達成する。この装置には、所定の大きさを有する空間(即ち、体積)の内部において、照射用先端部から発された前記電磁エネルギーによって発生した前記病変組織における加熱具合(即ち、加熱効果、又は、加熱作用)の分布を制御する分布制御手段が設けられている。
【0018】
前記分布制御手段には、現に治療が行われている前記病変組織部位のような前記病変組織部位に属する1以上の箇所で測定された温度の関数として前記病変組織部位をなす1以上の部分に対する前記電磁エネルギーの分布を変える手段が設けられている。
【0019】
前記分布制御手段は、前記病変組織部位をなす異なる部分に対して、前記照射用先端部から発された前記電磁エネルギーを分布(distributing)、投影(projecting)、又は、指向させる(pointing)電磁エネルギーの分布・投影・指向手段の一部として設けられている。そして、前記電磁エネルギーの分布・投影・指向手段は、前記病変組織部位をなす1以上の部分における温度の関数として、特に、現に治療が行われている前記病変組織部位の一部における温度の関数として、照射される前記病変組織部位の前記一部に関して調整できるように設けられ、そして、治療が行われている前記病変組織部位の前記一部が所定の温度に達した場合に、前記病変組織部位をなす前記一部とは異なる部分に対して前記電磁エネルギーを分布、投影、又は、指向させるように、前記電磁エネルギーの分布・投影・指向手段が自動調整可能に設けられている。
【0020】
別の実施例によれば、前記分布制御手段は、照射された前記病変組織部位の温度の関数として、発された前記電磁エネルギーの強度、及び/又は、スペクトルを自動的に変える手段の一部として設けられている。
【0021】
前記分布制御手段に関して、その大きさの面から見てより小さく、そして、電磁放射線、特に、レーザ光による焼灼術用プローブ又はニードルに統合された(又は、前記プローブ又はニードルと一体化された)形態のものなど異なる解決手段を利用することも可能である。
【0022】
前記第1の実施例によれば、前記分布制御手段は、前記前記病変組織領域に属する異なる部分に対して、前記照射用先端部によって照射された電磁放射線を分布させ、投影させ、又は、指向させるための能動的手段(active means)を備えている。
【0023】
この場合、前記照射用先端部から発された線又はビーム(例えば、光繊維の端部から発されたレーザビーム)は、拡散光学手段(例えば、トラバース拡散器)により、あるいは、反射又は投影手段により、その進行方向から偏向される。ここで、前記進行方向は、それが光繊維又はそれ以外のガイドから出る際のことを意味する。前記偏向(deflection)、反射(reflection)、投影(projection)、又は、拡散(diffusion)手段は、ビーム又は放射線の強度、方向、及び、インプレッション(impression)に関連して、前記手段又は治療すべき組織部位の温度から独立したものであり得る。それは、例えば、前記偏向手段、投影手段、拡散器に対する支持手段を用いて、温度に基づいて形状及び/又は大きさを変えることによって、様々な方式で得ることができる。概して可逆的、かつ、再現可能な機械的なゆがみ、例えば、形状記憶材料によって、レーザビーム用の投影又は拡散手段、あるいは、反射手段の方向(orientation)を変えることを可能にする。
【0024】
したがって、本発明によれば、特に、前記電磁エネルギーの分布・投影・指向手段には、前記電磁放射線を拡散、集中、又は、反射させる電磁放射線の拡散・集中・反射手段が設けられ、そして、前記電磁放射腺の拡散・集中・反射手段は、前記温度に基づいて、前記電磁放射線又はビームの方向、及び/又は、インプレッション、並びに、前記電磁放射線又はビームが入射された後の、又は、前記電磁放射線又はビームで照射された後の前記病変組織の部分を変えるように設けられている。
【0025】
これらのうち、前記電磁放射線の拡散・集中・反射手段は、その向きを変えることができるように支持体によって支持され、前記支持体の形状、及び/又は、大きさが、前記温度に依存し、又は、前記温度に基づいて変わるように設けられ、そして、前記支持体は、前記支持体を取り巻く環境と熱的に接触し、及び/又は、前記照射用先端部から発された前記電磁放射線による熱エネルギーにさらされるように設けられている。
【0026】
別の実施例によれば、前記照射用先端部には、前記照射用先端部から発される前記磁放射線又はビームの進行方向、及び/又は、前記光ガイドの軸方向に対してその向きを変えることができるように支持されている1以上の反射部材が設けられ、そして、前記反射部材の向きを制御する向き制御手段として、熱に敏感な機械的手段が設けられている。
【0027】
特に、前記向き制御手段は、熱的に敏感な形状記憶部材、2種類の金属からなる部材、或いは、所定の角度で曲げられ、又は、温度に基づいて所定角度だけ曲げられた部材で構成されている。
【0028】
特に、前記焼灼装置には、第1の進行方向に沿って電磁放射線又はビームを発する照射用先端部が設けられ、前記反射部材は、前記電磁放射線又はビームの進行方向に沿って、前記照射用先端部から所定距離だけ離れた箇所において振動状態を保ったまま支持され、そして、前記反射部材は、前記電磁放射線又はビームと同期して(coincident)設けられているが、前記温度により変化した所定角度に基づいて、前記電磁放射線又はビームを第2の進行方向にそらせるように設けられている。
【0029】
別の実施例によれば、前記反射部材は、前記電磁放射線またはビームの進行方向に沿って移動できるように支持され、かつ、温度に基づいてその長さを変えることができる支持手段に取り付けられている。
【0030】
熱に敏感な前記反射部材の前記支持手段は、それを取り巻く環境と熱的に接触して、前記環境との熱交換ができるように設けられている。
【0031】
特に、前記反射部材は、前記電磁放射線又はビームの進行方向に沿って設けられた支持シャフトの端部に支持され、かつ、温度に基づいて、前記方向を横切って延び、及び/又は、曲げられるように設けられている。
【0032】
特に、前記反射部材は、前記電磁放射線又はビームの進行方向軸に平行し、又は、それと一致する軸を中心に回転することによって前記軸に関して対称性を有し、或いは、前記対称性部材の角度セクターからなる。
【0033】
特に、前記照射用先端部には、所定の大きさを有する前記電磁放射線を拡散させる拡散部材が設けられ、そして、前記拡散部材は、温度に基づいて変わる透明度、及び/又は、拡散指数を有する材料で構成され、そして、前記拡散部材が、大きさの異なる部位に前記電磁放射線を拡散させるために、前記部位における局所温度に基づいて異なる条件を選択するように設けられている。
【0034】
特に、前記拡散部材には、前記電磁放射線を進行させる前記ガイドの長手方向軸、又は、前記照射用先端部から前記電磁放射線又はビームの進行方向に沿って延設された細長い部材が設けられ、前記細長い部材は、周壁を通して前記電磁放射線を拡散させる材料で構成され、そして、前記材料には、温度に基づいて、インプット電磁放射線の最小拡散値ないし最大拡散値の範囲内で変わる拡散指数が与えられている。
【0035】
特に、前記拡散部材は、温度に基づいて変わる透明度又は不透明度を有する材料層で覆われている。
【0036】
特に、前記拡散部材は、互いに隣接して配置された複数の拡散部材からなり、かつ、拡散指数と温度との相関関係にかかわる様々な関数を有している。
【0037】
特に、前記焼灼装置には、前記電磁放射線によって発生した熱を分布させる分布手段が設けられている。
【0038】
別の実施例によれば、前記分布手段は、前記照射用先端部から発された前記電磁放射線によって発生した熱を伝える固形の機械的手段として設けられ;前記分布手段は、1以上のワイヤー、バンド、又は、見返し部で構成され;前記ワイヤー、バンド、又は、見返し部は、傘のような形状を形成するように、前記電磁放射線の進行方向に沿って前記照射用先端部を越して軸方向に突き出され;前記ワイヤー、バンド、及び/又は、見返し部は、温度に基づいて変形可能な材料で構成され;前記照射用先端部には、前記ワイヤー、バンド、及び/又は、見返し部に対して、及び/又は、それらの内側に対して、前記電磁放射線又はビームを向け、及び/又は、発する手段が設けられて;そして、前記ワイヤー、バンド、及び/又は、見返し部は、次第に加熱されるにつれて、互いに大きく開くようにそれらの形状を変え、及び/又は、半径方向外向きに移動するように設けられている。
【0039】
別の実施例によれば、前記治療すべき部位又は領域内に存在する液体を加熱し、前記加熱された液体を前記治療すべき部位又は領域に提供し、それにより、前記貯蔵された熱を運ぶ。特に、前記液体は、電磁放射線によって加熱される際に自然発生する蒸気からなるが、それは、前記組織中にそもそも水が存在していたからである。
【0040】
この場合、本発明によれば、電磁放射線による腫瘍焼灼術を実施する際の欠点と考えられてきた蒸気(自然発生した蒸気)が、治療すべき全体積に対して加熱効果を均等に分布させる熱のキャリアー(heat carrier)として働くようになる。
【0041】
蒸気、又は、それ以外の液体は、前記蒸気又はキャリアー液体を吸引することによって、または、液体又は蒸気の吹き(blow)、あるいは、液体ジェットのような押し手段(pushing means)によって移動されることになる。
【0042】
前記液体の押し手段は、音波源、特に、超音波源によって発生した機械的な圧力波(mechanical pressure wave)であり得る。この場合、低周波超音波、3角形配置(triangular)、又は、鋸歯状配置(sawtooth pulse arrangement)を有する超音波を用いることが好ましい。
【0043】
前記特定の実施例は、前記照射用先端部から出てくる電磁ビームにより前記組織を加熱することによって発生した蒸気を、熱エネルギーを運搬する熱貯蔵用液体(thermal storing fluid)として提供する。
【0044】
加熱作用又は加熱効果を制御又は調節する手段と組み合わせることができるものとして、非常に広い病変組織部位の一部に対してすでに行われた治療をチェックできるように、病変組織の温度に基づいて変わる病変組織の物理的パラメータを検出する手段などがある。この場合、前記測定装置(検出手段)を、異なる部分を治療するプローブ又はニードルを移動させる自動手段と組み合わせ、及び/又は、別の実施例に関連して前述した1以上の手段と組み合わせることができる。
【0045】
この場合、本発明の装置は、加熱温度に基づいて病変組織の物理的パラメータを測定する1以上のセンサを含む。このセンサは、所定の位置において、前記照射用先端部から一定の距離をおいて支持されている。そこで、前記センサは、前記照射用先端部と前記センサとの間に設けられた前記病変組織の物理的パラメータにおける変化を測定する。また、前記装置は、(測定信号に基づいて)前記病変組織部位の加熱温度を測定するセンサの測定信号を加工する手段を有している。さらに、前記装置は、電磁ビームの自動調整手段、及び/又は、前記測定信号に基づいて動作する照射用先端部を動かせるための自動手段、及び/又は、信号化手段(signaling means)を有している。
【0046】
前記センサの代わりに、又は、前記センサと組み合わせて用いることができるものとして、電気、温度、音波、光(学)、レーザ、化学、電気化学、発光、RF波変調(RF wave change)、pH,位置(position)、ミクロ移動(micro-movement)、選択的組織タイプ(selective-tissue type)のものなどがある。
【0047】
所定の解剖的領域(district)における病変組織のタイプに関して、前記加熱効果と、熱拡散(heat diffusion)と、測定すべき物理的パラメータにおける変化との相関関数が定められる。この関数は、サンプル化され、かつ、テーブルの形で記憶されており、前記物理的パラメータの測定用センサによって発生した信号の比較・評価を可能にする。
【0048】
前述した実施例のうち1又はそれ以上の組み合わせの形で設けられる本発明の更なる特徴によれば、電磁放射線によって発生した熱を分布させる手段は、治療すべき組織部位に所定の時間内に浸透する物質、又は、前記組織部位に分布、又は、拡散する物質を備えている。ここで、前記物質は、レーザ放射線によって加熱され、かつ、治療すべき組織をかん流させることによって前記熱を分布させるものである。この場合、ニードルの照射用先端部は、熱を分布させ、あるいは、加熱作用をより良くし、又は、加熱作用を上手く調整できるようにするために、物質を局所的に注入又は提供するノズル7(注入手段とも称する。)を含む。
【0049】
第1の変形例によれば、前記注入手段(injection means)は、熱調整/熱貯蔵用物質(thermoregulating/storing substance)、特に、液体からガスに、及び/又は、固体から液体に、あるいは、ガスから液体に、及び/又は、液体から固体となるような所定の状態変化温度を有する物質を注入することができる。ここで、温度は、病変の熱処理温度に相当する。そのような物質と組み合わせて用いられるものとして、前記物質を収容する手段を所定の体積内に、及び/又は、その外側(外部)に、特に、所定の体積の周りに設けることができる。この場合、前記体積は、焼灼術を行おうとする病変組織が存在する空間(又は、体積)と概して一致する。
【0050】
この場合、熱調整用物質(thermoregulating substance)の前記作用は、強磁性挙動(ferromagnetic behavior)によって、又は、前記物質を、強磁性物質からなる運搬用キャリアー(conveying carrier)と結びつけることによって、得ることができる。したがって、概して治療すべき病変組織部位に相当する体積において熱調整物質を分布させ、又は、治療すべき前記組織部位を取り巻く(包んでいる)表面に沿って前記体積の周りに熱調整物質を分布させるために、単に病変組織部位を浸透し、及び/又は、治療すべき病変組織部位を取り巻く空間的位置、及び/又は、そのような大きさを有する磁気場を局所的に発生させる手段を設けることも可能である。
【0051】
この実施例において、熱調整/熱貯蔵物質(thermoregulating/storing substance)が、治療すべき病変組織部位の外部において熱進行(heat propagation)のバリヤーとして働くように物質であることが特に好ましい。ここで、発生された磁気場は、前記強磁性キャリアーが、治療すべき病変組織部位を包んでいるジャケット(enveloping jacket)に前記熱調整物質を集中させることができるように設けられる。また、前記熱調整物質は、35〜38℃の溶融温度、又は、気化(vaporization)温度を有することが好ましい。
【0052】
熱調整物質、及び/又は、強磁気性物質は、マイクロバブル(micro-bubble)、又は、マイクロボール(micro-ball)に収容されていても良い。また、前記マイクロバブル、又は、マイクロボールが強磁性物質であり得る。
【0053】
更なる変形例によれば、前記注入手段(injecting means)によって、熱貯蔵液体、特に、液体からガスへとのように状態の変化をもたらす所定の温度を有する物質が局所的に提供される。かかる温度は、病変の熱治療温度に相当する。前記注入手段(injector)は、照射用先端部の電磁ビームを発するアウトプットに設けられ、さらに、そこには、前記液体を機械的に押し出す手段が設けられている。
【0054】
前記熱貯蔵液体を機械的に押す手段(『押し手段』とも称する。)は、様々な手法で得ることができる。例えば、前記液体の押し手段は、天然リンパ液又は血液で構成された直接運搬キャリアーからなり得る。
【0055】
前述した構造の代わりに、又は、それに組み合わせることができるものとして、前記液体の押し手段は、液体ジェットで構成され、そして、前記プローブ又は前記ニードルの先端部には、前記ジェットを供給する1以上のノズルが設けられ得る。
【0056】
また、前記液体の押し手段は、音波源、特に超音波によって発生した機械的な圧力波からなり得る。この場合、低周波超音波、3角形配置、又は、鋸歯状配置を有するパルスを用いることが好ましい。
【0057】
特定の実施例によれば、熱エネルギーを運搬するための熱貯蔵液体として、前記照射用先端部から出る電磁ビームにより前記組織を加熱する際に発生する蒸気を用いることができる。
【0058】
別の実施例によれば、熱拡散を制御する物質として、前記病変組織に相当する部位に血液及び/又はリンパ液の循環(circulation)を変更させる物質を用いることができる。そのような実施例において、前記血液及び/又はリンパ液の循環を変更させる物質が、磁気流動学的な物質(magnetorheological substance)からなり、そこには、局所的に磁気場を生成する手段を設けることができる。この場合、前記磁気場は、前記磁気流動学的な物質が塊(agglomerate)を形成させる役割をする。そういった場合に、前記血液、及び/又は、リンパ液の流れを妨げて、かん流による(by perfusion)熱拡散に対するバリヤーを形成する。
【0059】
この場合、ニードル又はプローブの照射用先端部から、そこから離れる方向に向かっての熱が移動するという(関数における)有利な変化が得られる。
【0060】
この焼灼装置には、前記照射用先端部から発された前記放射線によって加熱された蒸気のような熱伝達用液体を注入する注入手段が設けられ得る。
【0061】
本発明に係る別の変形例によれば、焼灼装置が、液体を注入し、及び/又は、吸引して、前記治療部位に設けられた前記液体とは別の熱貯蔵用液体を押す注入/吸引手段を有し得る。
【0062】
ここで、熱貯蔵用液体は、前記電磁放射線の加熱作用によって前記治療部位に発生した蒸気からなり、そして、前記注入/吸入手段が、前記蒸気を、前記照射用先端部に近づく方向に、又は、前記照射用先端部から離れる方向に移動させ、又は、拡散させるのに必要なけん引力、及び/又は、吸引力を発生させるものであり得る。
【0063】
特に、本発明の焼灼装置には、蒸気のような熱伝達用液体を押す押し手段が設けられ、前記液体が、前記照射用先端部から発された前記放射線によって加熱され、そして、前記押し手段には、低周波数の圧力波が設けられていることもあり得る。
【0064】
ここで、前記低周波数の圧力波は、三角形又は鋸歯状の波形を有する低周波数超音波パルスで構成され得る。
【0065】
本発明にかかる別の実施例によれば、超音波パルスを発生させるトランスジューサー、又は、トランスジューサー・アセンブリは、前記照射用先端部に対して直接設けられ、又は、別途のユニットとして設けられ得る。
【0066】
さらに、前記押し手段は、液体ジェットで構成され、そして、前記プローブ又はニードルの前記先端部には、前記ジェットを供給する1以上のノズルが設けられ得る。
【0067】
前述した実施例がどのように組み合わせられるのかに注意する必要がある。特に、それらは、除去すべき病変の全面積に対して熱分布を制御する手段を、より多く存在するもの、および、より安全なものにするために、両立することができるときに、その組み合わせに注意が必要である。
【0068】
本発明は、熱により局所的に腫瘍性組織のような病変組織を焼灼させる方法であって、所定のエネルギー及び周波数を有する電磁放射線を発するステップ、前記病変部位、又は、その一部の温度が所定のレベルに達するまで、前記病変部位、又は、その一部に対して、所定の時間だけ局所的に前記電磁放射線を当てるステップと、所定の大きさを有する空間の内側において、前記電磁エネルギーにより発生した前記病変組織における加熱具合の分布を制御するステップと、を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0069】
この方法の第1実施例によれば、前記所定の大きさを有する空間の内側において、前記電磁エネルギーにより発生した前記病変組織における加熱具合の分布を制御するステップは、前記部位における前記温度に基づいて、前記病変組織部位の様々な部分に対して前記電磁放射線を分布、投影、又は、指向させる自動制御ステップを含む。または、前記所定の大きさを有する空間の内側において、前記電磁エネルギーにより発生した前記病変組織における加熱具合の分布を制御するステップは、前記部位における前記温度に基づいて、前記病変組織部位の様々な部分に対して前記電磁放射線を分布、投影、又は、指向させる自動制御手段によって行われる。
【0070】
特に、前記所定の大きさを有する空間の内側において、前記電磁エネルギーにより発生した前記病変組織における加熱具合の分布を制御するステップは、前記電磁放射線又はビームの方向、及び/又は、インプレッションのような温度に基づく電磁放射腺の拡散、集中、投影、又は、反射関連パラメータ、及び、前記電磁放射線又はビームが入射された後の、又は、前記電磁放射線又はビームで照射された後の前記病変組織の部分を変えるステップを含む。
【0071】
ここで、前記ステップ(D)を、機械的手段を用いて行い、前記機械的手段の形状、及び/又は、大きさを、前記温度に依存し、又は、前記温度に基づいて変わるものとして設け、そして、前記機械的手段を、それを取り巻く環境と熱的に接触させ、及び/又は、前記電磁放射線で加熱することも可能である。
【0072】
本発明の別の変形例によれば、前記ステップ(D)は、拡散部材の温度に基づいて透明度、及び/又は、拡散指数を変えるステップを含み、そして、大きさの異なる部位に対しては、前記部位の局所温度に基づいて、異なる拡散条件を選択することができる。
【0073】
本発明の更なる実施例によれば、前記ステップ(C)は、前記病変組織部位において熱伝達手段を移動させて、前記電磁放射線によって発生した熱の分布を変えるステップ(以下、『ステップE』という。)を含むこともあり得る。
【0074】
ここで、前記ステップ(E)において、前記熱伝達手段の移動が、前記電磁放射線によって発生した前記熱伝達手段の温度を利用する形状記憶効果に基づいて行われるのも可能である。
【0075】
また、前記ステップ(C)において、前記磁気放射線によって発生した熱を分布させるために、前記治療領域において加熱によって発生した蒸気のような液体を押し、又は、引くことにより前記液体を移動させることも可能である。
【0076】
特に、前記液体の押し手段が、液体ジェット源、又は、吸引源を備えていることも可能である。
【0077】
特に、前記液体の押し手段が、音波源、特に、超音波によって発生した機械的圧力を備えていることもあり得る。
【0078】
特に、前記超音波が、低周波数、及び、三角形、又は、鋸歯状の波形を有し得る。
【0079】
ここで、前記熱伝達手段は、前記電磁放射線で前記病変組織を加熱した時に発生した蒸気を有し得る。
【0080】
本発明の別の変形例によれば、熱の分布を制御する方法は、貯蔵された熱を運ぶ液体を移動させることによって得られる。この液体は、治療の対象となる組織の熱治療によって発生した蒸気からなり得る。前記移動は、例えば、圧力波(例えば、超音波)による運搬によって、又は、蒸気を吸引し、及び/又は、前記蒸気を吹くことによって行われる。
【0081】
本発明の装置および方法における更なる改良事項は、それ以外のクレームの発明特定事項である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
本発明の特徴、および、それに基づく効果は、添付した図面に表したいくつかの実施例(非制限的実施例)に関する以下の説明から明確になるだろう。
【0083】
図1は、より大きい部位(病変組織はその部位の一部をなす。)をなす様々な部分を治療するために、レーザ放射線(laser irradiation ray)又はビームを活性化して(actively)分布させ(distributing)、投影させ(projecting)、又は、指向させる(pointing)分布・投影・指向手段を自動的にそらせる(即ち、逸脱させる)本発明の第2の実施例に関する第1のバージョンである。この実施例には、レーザ放射線又はビームを投影させるミラーを動かせる、熱膨張性液体を有する、手段が設けられている。
【0084】
図2は、第2の実施例の変形例である。
【0085】
図3は、本発明の第2の実施例に係る装置に関する更なる変形例を示すものである。
【0086】
図4は、本発明の第2の実施例に係る装置に関する更なる変形例を示すものである。
【0087】
図5は、本発明の第3の実施例に関する変形例である。
【0088】
図6は、本発明の第3の実施例に関する変形例である。ここで、温度は、レーザビームに投影された部位および温度に基づいてレーザ光のアウトプットを変える照射用先端部の構造に影響を与える。
【0089】
図7は、電磁エネルギーによって発生した熱の分布手段が、治療すべき組織部位に浸透して、分布され、又は、拡散される物質で構成されている実施例である。ここで、前記物質は、レーザの照射によって加熱され、かつ、治療すべき組織に浸み込まれて熱を分布させるものである。
【0090】
これらの図においては、病変組織の焼灼処理(特に、レーザ光を用いて加熱して腫瘍性組織を除去する。)の用に供されるプローブ、又は ニードルが概略的に示されている。
【0091】
これらのプローブおよびニードルの構造は周知のものであるため、原則として、これらの図1〜7では、従来技術における問題ないし課題を解決するために、本発明においてなされた配置を示す。
【0092】
特に、現時点におけるレーザ光で加熱することによる焼灼装置および方法に関しては、文献[“Low Power Interstitial Photocoagulation in rat liver, Proc. of SPIE Vol. 1992, Laser-Tissue Interaction IV, ed S.L. Jacques, A. Katzir 8 Luglio 1993] Copyright SPIE”]、USP4,592,353,USP4,692,244,および、USP4,736,743に記載されている。
【0093】
特に、図1を参照すると、この図は、レーザビーム又は放射線を照射する先端部に相当する腫瘍焼灼処理用のニードル又はプローブの端部を示す。これは前記文献などに記載されているので、レーザ放射線又はビームはレーザ源によって発生し、かつ、薄い光繊維を通じて、照射用先端部を備えたニードル又はプローブの端部のほうに伝えられる。図1において、ニードルおよび繊維は符号1として示されているが、矢印2はレーザ放射線又はビームの透過方向(direction of transmission)を示している。放射線が出てくる照射用先端部によって、前記放射線は治療すべき部位101に直接向けられる。
【0094】
図1には、病変組織の異なる部分に対して電磁放射線の分布(distribution)、投影(projection)、又は、向き(pointing)を調整する手段を備えた、レーザ放射線による焼灼術に用いられるプローブ又はニードルに関する第1の実施例である。前記構造は、電磁放射線又はビームの方向および/又は強度(impression)のような電磁放射線の分布、集中、向き、又は、反射パラメータの温度に基づく変化、及び、前記電磁放射線又はビームによって照射された病変組織部位の部分の温度に基づく変化によって得られる。
【0095】
この実施例において、ニードル又はプローブはその端部に照射用先端部101'を備えているが、この照射用先端部101'は、1以上の方向に沿って(例えば、円錐ビームに沿って)アウトプットレーザ照射線を反射するように、配向された反射ミラー201を備えている。この場合、ミラー201は、矢印2で表したレーザ放射線を受光し、かつ、矢印2'で示したように、それを逆反射する。ミラー201は、照射用先端部にある滑り伸長部(sliding extension)301にて支持されている。この滑り伸長部301は、例えば、液体で満たされている。これを取り巻く組織によって得られた温度によって、その液体は温まり、膨張してミラー201を矢印Fの方向に押し、その結果、反射された放射線が、治療すべき病変組織部位Z(サークルZ)に属する様々な部分(即ち、異なる部分)に対して次第に向けられる。ここに示した条件は、ミラーが、直線方向に可能な限り多く移動した極端な位置に到達した例を挙げたものである。ミラーの移動範囲は、治療すべき部位の最大範囲に基づいて可動性のものとして設けられた(移動)限界ストップ(limit stop)によって定められる。
【0096】
この場合に、ニードル又はプローブには、更に前記限界ストップ手段を引いて、又は、押して前述した移動を可能にする柔軟なコントロール手段が設けられている。
【0097】
使用方法に関しては(図1に示したような実施例の場合)、加熱が行われていない最初の状態において、ミラーは限界ストップにおいて図1の右側(照射用先端部の最も外側の端部に近接している。)のほうに移動される。放射線による加熱が行われると、先ずは、前記照射用先端部近傍の部位が加熱される。ここで、照射用先端部に収容されている液体は、膨張して、ミラーを左側に押し始める。
【0098】
治療開始の際には、照射用先端部を、治療部位Zの範囲を定める右側の境界線(border)(照射用先端部101の端部側に存在する。)に配置することによって、ミラーを治療すべき部位Zとは正反対にある境界線のほうに次第に近接させる方向にミラーを移動させる。前記境界線領域(border area)に相当する位置における移動限界ストップ(movement limit stop)を定めることで、ミラーを自動的に移動させることができるようになる。したがって、人の介入を要することなく、治療すべき全領域Zに対してレーザ放射線を自動的に分布させることが可能となる。その結果、治療すべき全体積(whole volume)又は、それに属する大きい部分に対して実質的に均等な加熱効果が得られる。
【0099】
図2においては、ミラー201は自動コントロール回転支持体上に設けられている。特に、自動回転(automatic rotation)および自動軸方向移動(automatic axial movement)の両方を可能にするために、ミラー支持手段は、温度に基づいて伸長可能な支持手段と組み合わせられて、ミラーの軸方向移動に関与するが、それは、ミラーの回転支持手段の調節機能および加熱機能に基づく。ミラー201の軸方向移動の代わりに、ミラーの振動(oscillation)を提供して、反射線の方向を変えることも可能である。
【0100】
例えば、ミラーが、フォークの2つのブランチをつなぐ軸を中心に振動するように(フォーク上に)設けられた場合に、加熱効果によって伸長可能な部材はミラーの振動をコントロールすることができる。前記部材は、前記ミラー、又は、前記ミラーの振動軸における半径方向のアーム(radial arm)に動的に結合されて、膨張作用が前記振動軸に対して垂直方向に起こるようにし、かつ、前記振動アーム(oscillating arm)と不動マッチ(stationary match)との間に、前記振動アームに対して垂直方向に設けられた1以上の構成要素を有している。そのメカニズム(理解しやすい簡単な概念であるため、図示を省略する。)自体は、フォークの振動軸(axis of oscillation)に対して垂直方向に設けられたニードル又はプローブの軸方向に向けられたミラーを支持するシャフトを回転するのに用いられる。
【0101】
図3は、第3の変形例を示すが、ここでは、照射用先端部が、形状記憶管状部材5で構成されており、その各々の形状記憶管状部材5は、レーザ放射線が先端部105から発され、および/又は、それが横方向に拡散される光繊維を収容している。前記管状アームに隣接した組織に対する加熱効果に起因して、前記管状アームがその形状を変えたときに、レーザ放射線は治療すべき病変組織の様々な部分に分布される。プローブ又はニードルの端部(ここで、2,3、又は、それ以上の管状部材5が互いに独立的に、かつ、一種の傘のような配列を有するように設けられている。)に到達する主な光繊維(main optical fiber)は、分割され(例えば、前記各管状部材5に対して1つの光繊維というように分割され)、又は、前記光繊維と共に広がる。このような管状部材は形状記憶部材であり、温度が次第に高くなると、前記形状部材は、その温度の変化につれて、半径方向外向きに移動して、治療すべき部位の様々な部分において、前記放射線を投影、および/又は、拡散させる。管状部材の温度における変化は、それを取り巻く組織による間接的な加熱、及び/又は、それを通過する放射線による直接的な加熱に起因し得る。
【0102】
図4は、治療すべき組織を含む部位の大きさに対する加熱効果の分布が、形状記憶物質6で構成されている固形、又は、 中が空洞の歯(tine)又はワイヤーからなる傘を有する動的な(dynamic)ニードルを形成するという事実によって行われることに関する第3の変形例である。したがって、それは、病変組織(つまり、腫瘍)の周辺部位である。前記部位が所定の温度に達したら、前記歯又はワイヤーからなる傘は自らさらに中心部のほうに向かって移動する。
【0103】
この実施例は、照射用先端部の温度を提供し得るが、そこには、並進運動(translation)用の手段が設けられて、治療すべき部位の直径と同じ長さだけニードルを復帰させる。この場合、固形又は中が空洞の歯又はワイヤー6からなる傘は、管状先端部(tubular tip)に対しての、前記ワイヤー又は歯を有するニードルの漸進的なほどく作用(unthreading action)、又は、前進作用(advancing)によって伸縮する。歯は熱伝導材(thermally conducting material)又は光を通す中が空洞の材料からなる熱い繊維(hot fiber)であり、ニードルが、カニューレ(cannula)の端部に対して後退されて、歯又はワイヤーが次第に別の歯又はワイヤーに近付くようになっているときに、歯はニードル軸に対して半径方向外向きに曲がるように、及び/又は、移動方向に弾性的に予め負荷されている。一方で、カニューレの端部に対するニードルの移動は、カニューレが半径方向における、及び、ニードル、及び/又は、カニューレの中心軸に対しては外向き方向における、漸進的な移動(progressive movement)、及び/又は、漸進的な曲がり(progressive bending)を可能にするものであれば、端部から歯のより多くのアウトプットを導くような移動である。
【0104】
この場合において、カニューレに対するニードルの軸方向移動の結果、その端部に前記歯又はワイヤーを有するニードルに対して、前記歯又はワイヤーが互いに離れることになり、又は、歯又はワイヤーは互いに近付くことになる。このような効果は、例えば、軸方向にスライド可能な端部ブッシング(axially sliding end bushing)をカニューレに設けることなどによって、温度に基づいて自動的に得られる。ここで、前記軸方向にスライド可能な端部ブッシングは、熱膨張材によって軸方向にスライド可能に設けられ、それにより、前記ブッシングは温度に基づいて歯又はワイヤーに対して軸方向に移動することができる。
【0105】
前述した1以上の実施例の代わりに、又は、それらと組み合わせられる更なる実施例は、透明度及び/又は拡散指数における変化によって引き起こされる電磁放射線の拡散における変化を用いるという原理に基づくものである。ここで、透明度及び/又は拡散指数は、拡散部材の温度に基づいて変わるものであるので、部位の部分的な温度に基づいて、その大きさの異なる部位に電磁放射線を拡散させるために異なる条件を取ることが可能である。
【0106】
レーザ放射線を横方向外向きに拡散させる照射用先端部は先行技術などで知られており、その詳細は例えば、US5,370,649などに記載されている。
【0107】
温度に基づいてその特徴を変えてレーザ放射線を拡散させる物質の中に、及び/又は、そのような被膜(covering)と組み合わせられた先端部を提供することで、温度に基づいて病変組織の各部位に対する多様な治療が可能となる。
【0108】
図5および6の実施例において、照射用先端部は、所定の長さを有すると共に、拡散効果によってその長さに対して放射線を実質的に均等に照射するようになっている。
【0109】
前記細長い先端部101のセグメント(segment)又は一部(portion)、あるいは、一定部位(area)の部分(portion)が所定の温度に達したら、それは拡散係数を減らし、及び/又は、完全に不透明体となり得る。
【0110】
図6の実施例において、横方向に拡散させる照射用先端部101は様々なセグメント601からなり、それらの各セグメントは温度に基づいて電磁放射線の拡散特性を変えることができる。この場合、温度によってその拡散特性を変えるセグメント化された照射用先端部は、温度に基づいて多様な治療を行うことを可能にする。それは、温度条件が、セグメントがその特性を変える程度になっているときに、前記照射用先端部は、それに隣接した部位の治療(即ち、拡散特性を変える所定の温度に達した。)を完了したために、レーザ光は隣接したセグメントによって自動的に拡散されて、別の部位、例えば、より近接した部位を治療することとなる。
【0111】
図7は、電磁放射線によって発生した熱を分布する手段(即ち、熱分布手段)が、所定の時間内に治療される組織部位に分布、又は、拡散されるべき物質、又は、そこに浸透できる物質で構成されている本発明の実施例を示す。前記物質は、レーザ放射線によって加熱されて、治療すべき組織をかん流させる(perfuse)ことによって熱を分布する。
【0112】
この場合において、加熱される液体は蒸気で構成されているが、それは、電磁放射線による組織の加熱効果に起因する。蒸気は、所定の温度にて発生し、それは治療すべき部位の内側に移動するので、熱貯蔵および運搬用キャリアーとして働く。
【0113】
電磁エネルギーによって発生した蒸気を移動させるには様々な手法又は方法があり、そのうち1つを図7に示した。
【0114】
この場合、前記液体の押し手段は、液体のジェットで構成されており、プローブ又はニードルの先端部には前記ジェットを供給する1以上のノズルが設けられている。図7は、超過気圧(overpressure)、例えば、一吹き(blow)を部分的に供給・注入する(inject)ノズル7が設けられたニードルの照射用先端部を示す。ここで、蒸気は前記超過気圧によって押されることになる。
【0115】
超過気圧の代わりに、又は、それと組み合わせられるものとして、ノズル7は正反対の吸引作用を果たし得る。
【0116】
蒸気を移動させることに関する別の実施例では、音波、特に、超音波によって発生した機械的圧力波(mechanical pressure wave)を提供する。超音波は低周波を有し、三角形配列(arrangement)、又は、鋸歯状配列を有する。これは、蒸気を一箇所から治療すべき別のところに伝播方向(propagation direction)に沿って移動させることによって、蒸気を押し出す。
【0117】
別の実施例を参照して説明した本発明に係るいくつかの配列とは別に、又は、それらの配列と組み合わせて設けることができるこの実施例において、今までは電磁放射線による焼灼技術を実施するに当たってネガティブな要素と考えられてきた蒸気が、どのようにして、治療すべき全ての部位に対する均等な熱分布、という、有利な効果を奏することができるのかを具体的に示した。その結果、電磁放射線、特にレーザ光による焼灼術を実施する際に遭遇する前述の欠点は、本発明の概念によって、克服することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】図1は、より大きい部位(病変組織はその部位の一部をなす。)を構成する様々な部分を治療するために、レーザ放射線(laser irradiation ray)又はビームを積極的に(actively)分布させ、投影させ、又は、当てる手段を自動的に逸脱させる本発明の第2の実施例に関する第1のバージョンである。
【図2】図2は、第2の実施例の変形例である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施例に係る装置に関する更なる変形例を示すものである。
【図4】図4は、本発明の第2の実施例に係る装置に関する更なる変形例を示すものである。
【図5】図5は、本発明の第3の実施例に関する変形例である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施例に関する2つの変形例である。
【図7】図7は、電磁エネルギーによって発生した熱の分布手段が、治療すべき組織部位に浸透して、分布され、又は、拡散される物質で構成されている実施例である。
【符号の説明】
【0119】
101、101’ 照射用先端部
201 ミラー
301 滑り伸長部
Z 病変組織部位
105 先端部
5 管状部材
6 形状記憶部材
601 セグメント
7 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードル又はプローブと、電磁エネルギー源を活性化/不活性化させるコントロール手段と、を備えた熱により局所的に腫瘍性組織のような病変組織を焼灼させる焼灼装置であって、
前記ニードル又はプローブの先端部が、除去すべき前記病変組織、又は、前記腫瘍性組織に配され、
前記ニードル又はプローブによって、薄いワイヤー又は糸のような細長い部材で構成された1以上の光ガイドが支持され、
前記ニードル又はプローブの一端が、レーザ光のような加熱用電磁エネルギーを発し、かつ、前記電磁エネルギーを照射する照射用先端部を介して前記光ガイドの端部につながるように配置され、
前記ニードル又はプローブの他端が、前記電磁エネルギー源に接続され、
前記焼灼装置には、所定の大きさを有する空間の内部において、前記照射用先端部から発された電磁エネルギーによって発生した前記病変組織に対する加熱作用の分布を制御する分布制御手段が設けられ、そして、
前記分布制御手段には、現に治療が行われている前記病変組織部位のような前記病変組織部位の1以上の箇所で測定された温度の関数として前記病変組織部位をなす1以上の部分に対する前記電磁エネルギーの分布を変える手段が設けられている
ことを特徴とする焼灼装置。
【請求項2】
前記分布制御手段が、前記病変組織部位をなす異なる部分に対して、前記照射用先端部から発された前記電磁エネルギーを分布、投影、又は、指向させる電磁エネルギーの分布・投影・指向手段に設けられ、
前記電磁エネルギーの分布・投影・指向手段が、前記病変組織部位をなす1以上の部分における温度の関数として、特に、現に治療が行われている前記病変組織部位の一部における温度の関数として、照射される前記病変組織部位の前記一部に関して調整可能に設けられて、そして、
治療が行われている前記病変組織部位の前記一部が所定の温度に達した場合に、前記病変組織部位をなす前記一部とは異なる部分に対して前記電磁エネルギーを分布、投影、又は、指向させるように、前記電磁エネルギーの分布・投影・指向手段が自動調整可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の焼灼装置。
【請求項3】
前記分布制御手段が、照射された前記病変組織部位の温度の関数として、発された前記電磁エネルギーの強度、及び/又は、スペクトルを自動的に変える手段に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼灼装置。
【請求項4】
前記電磁エネルギーの分布・投影・指向手段には、前記電磁放射線を拡散、集中、又は、反射させる電磁放射線の拡散・集中・反射手段が設けられ、そして、
前記電磁放射腺の拡散・集中・反射手段が、前記温度に基づいて、前記電磁放射線又はビームの方向、及び/又は、インプレッション、並びに、前記電磁放射線又はビームが入射された後の、又は、前記電磁放射線又はビームで照射された後の前記病変組織の部分を変えるように設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項5】
前記電磁放射線の拡散・集中・反射手段が、その向きを変えることができるように支持体によって支持され、
前記支持体の形状、及び/又は、大きさが、前記温度に依存し、又は、前記温度に基づいて変わるように設けられ、そして、
前記支持体が、前記支持体を取り巻く環境と熱的に接触し、及び/又は、前記照射用先端部から発された前記電磁放射線による熱エネルギーにさらされている
ことを特徴とする請求項4に記載の焼灼装置。
【請求項6】
前記照射用先端部には、前記照射用先端部から発される前記磁放射線又はビームの進行方向、及び/又は、前記光ガイドの軸方向に対してその向きを変えることができるように支持されている1以上の反射部材が設けられ、そして、
前記反射部材の向きを制御する向き制御手段として、熱に敏感な機械的手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項7】
前記向き制御手段が、熱的に敏感な形状記憶部材、2種類の金属からなる部材、或いは、所定の角度で曲げられ、又は、温度に基づいて所定角度だけ曲げられた部材で構成されていることを特徴とする請求項6に記載の焼灼装置。
【請求項8】
前記焼灼装置には、第1の進行方向に沿って電磁放射線又はビームを発する照射用先端部が設けられ、
前記反射部材が、前記電磁放射線又はビームの進行方向に沿って、前記照射用先端部から所定距離だけ離れた箇所において振動状態を保ったまま支持され、そして、
前記反射部材が、前記電磁放射線又はビームと同期して設けられているが、前記温度により変化した所定角度に基づいて、前記電磁放射線又はビームを第2の進行方向にそらせるように設けられている
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の焼灼装置。
【請求項9】
前記反射部材が、前記電磁放射線またはビームの進行方向に沿って移動できるように支持され、かつ、温度に基づいてその長さを変えることができる支持手段に取り付けられていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項10】
熱に敏感な前記反射部材の前記支持手段が、それを取り巻く環境と熱的に接触して、前記環境との熱交換ができるように設けられている請求項6ないし9のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項11】
前記反射部材が、前記電磁放射線又はビームの進行方向に沿って設けられた支持シャフトの端部において支持され、かつ、温度に基づいて、前記方向を横切って延び、及び/又は、曲げられるように設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項12】
前記反射部材が、前記電磁放射線又はビームの進行方向軸に平行し、又は、それと一致する軸を中心に回転することによって前記軸に関して対称性を有し、或いは、前記対称性部材の角度セクターからなることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項13】
前記照射用先端部には、所定の大きさを有する前記電磁放射線を拡散させる拡散部材が設けられ、そして、
前記拡散部材が、温度に基づいて変わる透明度、及び/又は、拡散指数を有する材料で構成され、そして、
前記拡散部材が、大きさの異なる部位に前記電磁放射線を拡散させるために、前記部位における局所温度に基づいて異なる条件を選択するように設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項14】
前記拡散部材には、前記電磁放射線を進行させる前記ガイドの長手方向軸、又は、前記照射用先端部から前記電磁放射線又はビームの進行方向に沿って延設された細長い部材が設けられ、
前記細長い部材が、周壁を通して前記電磁放射線を拡散させる材料で構成され、そして、
前記材料には、温度に基づいて、インプット電磁放射線の最小拡散値ないし最大拡散値の範囲内で変わる拡散指数が与えられている
ことを特徴とする請求項13に記載の焼灼装置。
【請求項15】
前記拡散部材が、温度に基づいて変わる透明度又は不透明度を有する材料層で覆われていることを特徴とする請求項14に記載の焼灼装置。
【請求項16】
前記拡散部材が、互いに隣接して配置された複数の拡散部材からなり、かつ、拡散指数と温度との相関関係にかかわる様々な関数を有していることを特徴とする請求項13ないし15に記載の焼灼装置。
【請求項17】
前記焼灼装置には、前記電磁放射線によって発生した熱を分布させる分布手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか一項に記載の焼灼装置。
【請求項18】
前記分布手段が、前記照射用先端部から発された前記電磁放射線によって発生した熱を伝える固形の機械的手段として設けられ、
前記分布手段が、1以上のワイヤー、バンド、又は、見返し部で構成され、
前記ワイヤー、バンド、又は、見返し部が、傘のような形状を形成するように、前記電磁放射線の進行方向に沿って前記照射用先端部を越して軸方向に突き出され、
前記ワイヤー、バンド、及び/又は、見返し部が、温度に基づいて変形可能な材料で構成され、
前記照射用先端部には、前記ワイヤー、バンド、及び/又は、見返し部に対して、及び/又は、それらの内側に対して、前記電磁放射線又はビームを向け、及び/又は、発する手段が設けられて、そして、
前記ワイヤー、バンド、及び/又は、見返し部が、次第に加熱されるにつれて、互いに大きく開くようにそれらの形状を変え、及び/又は、半径方向外向きに移動するように設けられている
ことを特徴とする請求項17に記載の焼灼装置。
【請求項19】
前記焼灼装置には、前記照射用先端部から発された前記放射線によって加熱された蒸気のような熱伝達用液体を注入する注入手段が設けられていることを特徴とする請求項17に記載の焼灼装置。
【請求項20】
前記焼灼装置が、液体を注入し、及び/又は、吸引して、前記治療部位に設けられた前記液体とは別の熱貯蔵用液体を押す注入及び/又は吸引手段を有していることを特徴とする請求項19に記載の焼灼装置。
【請求項21】
前記熱貯蔵用液体が、前記電磁放射線の加熱作用によって前記治療部位に発生した蒸気からなり、そして、
前記注入/吸入手段が、前記蒸気を、前記照射用先端部に近づく方向に、或いは、前記照射用先端部から離れる方向に移動させ、又は、拡散させるのに必要なけん引力、及び/又は、吸引力を発生させるものである
ことを特徴とする請求項20に記載の焼灼装置。
【請求項22】
前記焼灼装置には、蒸気のような熱伝達用液体を押す押し手段が設けられ、
前記液体が、前記照射用先端部から発された前記放射線によって加熱され、そして、
前記押し手段には、低周波数の圧力波が設けられている
ことを特徴とする請求項17に記載の焼灼装置。
【請求項23】
前記低周波数の圧力波が、三角形又は鋸歯状の波形を有する低周波数超音波パルスで構成されていることを特徴とする請求項22に記載の焼灼装置。
【請求項24】
超音波パルスを発生させるトランスジューサー、又は、トランスジューサー・アセンブリが、前記照射用先端部に対して直接設けられ、又は、別途のユニットとして設けられていることを特徴とする請求項22又は23に記載の焼灼装置。
【請求項25】
前記押し手段が、液体ジェットで構成され、そして、前記プローブ又はニードルの前記先端部には、前記ジェットを供給する1以上のノズルが設けられていることを特徴とする請求項19又は20に記載の焼灼装置。
【請求項26】
熱により局所的に腫瘍性組織のような病変組織を焼灼させる方法であって、
(A)所定のエネルギー及び周波数を有する電磁放射線を発するステップ、
(B)前記病変部位、又は、その一部の温度が所定のレベルに達するまで、前記病変部位、又は、その一部に対して、所定の時間だけ局所的に前記電磁放射線を当てるステップと、
(C)所定の大きさを有する空間の内側において、前記電磁エネルギーにより発生した前記病変組織における加熱作用の分布を制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記ステップ(C)が、前記部位における前記温度に基づいて、前記病変組織部位の様々な部分に対して前記電磁放射線を分布、投影、又は、指向させる自動制御ステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ステップ(C)が、前記電磁放射線又はビームの方向、及び/又は、インプレッションのような温度に基づく電磁放射腺の拡散、集中、投影、又は、反射関連パラメータ、及び、前記電磁放射線又はビームが入射された後の、又は、前記電磁放射線又はビームで照射された後の前記病変組織の部分を変えるステップ(以下、『ステップ(D)』という。)を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ステップ(D)を、機械的手段を用いて行い、
前記機械的手段の形状、及び/又は、大きさを、前記温度に依存し、又は、前記温度に基づいて変わるものとして設け、そして、
前記機械的手段を、それを取り巻く環境と熱的に接触させ、及び/又は、前記電磁放射線で加熱する
ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ステップ(D)が、拡散部材の温度に基づいて透明度、及び/又は、拡散指数を変えるステップを含み、そして、
大きさの異なる部位に対しては、前記部位の局所温度に基づいて、異なる拡散条件を選択する
ことを特徴とする請求項27ないし29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ステップ(C)が、前記病変組織部位において熱伝達手段を移動させて、前記電磁放射線によって発生した熱の分布を変えるステップ(以下、『ステップE』という。)を含むことを特徴とする請求項27ないし30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ステップ(E)において、前記熱伝達手段の移動が、前記電磁放射線によって発生した前記熱伝達手段の温度を利用する形状記憶効果に基づくことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(C)において、前記磁気放射線によって発生した熱を分布させるために、前記治療領域において加熱によって発生した蒸気のような液体を押し、又は、引くことにより前記液体を移動させることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記液体の押し手段が、液体ジェット源、又は、吸引源を備えていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記液体の押し手段が、音波源、特に、超音波によって発生した機械的圧力を備えていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記超音波が、低周波数、及び、三角形、又は、鋸歯状の波形を有することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記熱伝達手段が、前記電磁放射線で前記病変組織を加熱した時に発生した蒸気を有していることを特徴とする請求項33ないし36のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−540991(P2009−540991A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517214(P2009−517214)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056506
【国際公開番号】WO2008/003640
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503427359)ブラッコ イメージング ソチエタ ペル アチオニ (19)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】