熱シール装置及び被シール体の搬送方法
【課題】 本発明は搬送機構への挿入時及び搬送時に被シール体がずれることなく、適切なシール作業を実行可能な熱シール装置及び被シール体の搬送方法を提供すること。
【解決手段】搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイド71を備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する。複数の搬送機構は、主搬送機構と主搬送機構へ被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備える。主搬送機構及び補助搬送機構の搬送方向は平行する。主搬送機構の搬送方向上手側端は、補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられる。挿入ガイド71は、補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、主搬送機構の搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部71cを有する。突出部71cは搬送方向に平行して設けられる。
【解決手段】搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイド71を備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する。複数の搬送機構は、主搬送機構と主搬送機構へ被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備える。主搬送機構及び補助搬送機構の搬送方向は平行する。主搬送機構の搬送方向上手側端は、補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられる。挿入ガイド71は、補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、主搬送機構の搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部71cを有する。突出部71cは搬送方向に平行して設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱シール装置及び被シール体の搬送方法に関する。さらに詳しくは、搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイドを備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する熱シール装置及び被シール体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱シール装置においては、例えば特許文献1のように、送出機構の入口側に入口ガイド板が取り付けられているものがある。しかし、被シール体が入口ガイド板を離れベルトで挟持されるまでの間に隙間があり、入口ガイド板とベルトが不連続となっていた。この不連続性により、送出機構によって挟持される際に被シール体がずれることがあり、挿入時のシール作業に熟練を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−11774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は搬送機構への挿入時及び搬送時に被シール体がずれることなく、適切なシール作業を実行可能な熱シール装置及び被シール体の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る熱シール装置の特徴は、搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイドを備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する熱シール装置であって、前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられることにある。
【0006】
上記構成により、被シール体が挿入ガイドの突出部に当接しながら補助搬送機構によって挟持かつ搬送される。また、補助搬送機構に挟持かつ搬送されながら、突出部から連続して主搬送機構によって挟持かつ搬送される。したがって、搬出機構への挿入時及び搬送機構による搬送時に、被シール体がずれることなく挟持かつ搬送され、適切なシール作業が実行可能となる。
【0007】
また、前記挿入ガイドは、前記被シール体の一部を載置させる載置部と、前記被シール体を当接させる当接部を有し、前記当接部は前記載置部側に傾斜しているよい。被シール体の鉛直上方向への動きが制限され、被シール体の挿入ガイド上におけるずれを更に防止することができる。結果として、被シール部分のずれを防止し、適切なシール作業が可能となる。
【0008】
係る場合、前記挿入ガイドは、前記被シール体の搬送方向に直交する水平方向にスライド可能であってもよい。挿入ガイドによるガイドを維持しながら被シール体のシール幅の変更調整が可能となる。
【0009】
さらに、脱気機構を有し、前記脱気機構は、前記挿入ガイドと一体的に前記被シール体の搬送方向と直交する水平方向にスライド可能であってもよい。被シール体と挿入ガイドの当接部分及び被シール体と脱気機構の当接部分の連続性が維持されるため、シール幅の変更調整しても脱気機構の吸引力が維持される。
【0010】
前記挿入ガイドの前記突出部は、前記主搬送機構の前記第一プーリーの可動限界位置まで突出してもよい。また、前記被シール体は開口部を有する包装袋が好ましい。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る熱シール装置における被シール体の搬送方法の特徴は、前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられ、前記被シール体が前記挿入ガイドの前記突出部に当接しながら前記補助搬送機構によって挟持かつ搬送され、前記補助搬送機構に挟持かつ搬送されながら前記突出部から連続して前記主搬送機構によって挟持かつ搬送されることにある。
【0012】
上記構成によれば、被シール体が常に挿入ガイドによってガイド、または搬送機構によって挟持かつ搬送されるため、被シール体がずれることがない。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明に係る熱シール装置及び被シール体の搬送方法の特徴によれば、搬出機構への挿入時及び搬送機構による搬送時に、被シール体がずれることなく挟持かつ搬送され、適切なシール作業が実行可能となった。
【0014】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る熱シール装置の正面図である。
【図2】本発明に係る熱シール装置の平面図である。
【図3】挿入ガイドを示す、(a)斜視図、(b)右側面図である。
【図4】挿入ガイド近傍の拡大正面図である。
【図5】挿入ガイド近傍の拡大平面図である。
【図6】挿入ガイド近傍の拡大右側面図である。
【図7】挿入ガイドをスライドさせた場合のシール幅の変化を示す模式図である。
【図8】主搬送機構の第一プーリーと挿入ガイドとの位置関係を示す模式図である。
【図9】被シール体のガイド及び搬送方法を示す挿入ガイド近傍の斜視図である。
【図10】脱気ユニットを有さない実施形態における挿入ガイドの平面図である。
【図11】挿入ガイドの別実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る熱シール装置1は、図1に示す如く、大略、基礎フレーム2の上にコンベアユニット3,シールユニット4,コントロールユニット5、脱気ユニット6及び挿入ガイド71を順次取り付けてなる。主モーター8はコンベアユニット3及びシールユニット4を駆動させ、被シール体としての包装袋100を搬送する。コンベアユニット3及びシールユニット4は、水平面に対する傾斜角度及び高さを調整可能である。さらに、コンベアユニット3はシールユニット4に対して相対位置を上下方向に調整可能となっている。
【0017】
ここで、本発明の理解の便宜のため、相互に直交するX軸,Y軸,Z軸について説明する。図4の拡大正面図において、鉛直方向をZ軸とし、このZ軸に直交する図4紙面の左右方向をX軸とする。また、Y軸はX軸に同一平面上で直交する軸である。
【0018】
図1,2に示すように、コンベアユニット3はコンベアフレーム10の左右に支持した第一、第二ローラー11,12間にコンベアベルト13を回転可能に支持してなる。コンベアフレーム10の上面は解放され、搬送ベルト13の上面が同図右から左に移動し、包装袋100を搬送支持する。
【0019】
図1,2に示すように、シールユニット4は、包装袋100を主搬送機構30へと搬送する補助搬送機構20と、その包装袋100を搬送する主搬送機構30と、包装袋100の口部101をヒールシールする加熱冷却機構40と、ヒートシールされた包装袋100を外部へ排出する排出機構50よりなる。なお、シールユニット4は、図示しないカバーで覆われている。
【0020】
補助搬送機構20は、図1,2に示すように、一対の第一プーリー21と第二プーリー22の間にVベルト25が掛け渡され、その下側に対向するように一対の第三プーリー23と第四プーリー24の間にVベルト26が掛け渡されてなる。この上下Vベルト25,26が包装袋100の口部101を挟持し搬送する。第一プーリー21及び第三プーリー23は、挿入側(搬送方向上手側)に位置するものであり、以下、搬送機構において第一プーリー〜第四プーリーの位置関係は同様である。
【0021】
主搬送機構30は、図1,2に示すように、一対の第一プーリー31と第二プーリー32の間にVベルト35が掛け渡され、その下側に対向するように一対の第三プーリー33と第四プーリー34の間にVベルト36が掛け渡されてなる。この上下Vベルト35,36間に搬送された包装袋100を挟み込んで後述の加熱冷却機構40を通過させ、ヒーター等の熱を伝導させる。
【0022】
図1,2に示すように、主搬送機構30及び補助搬送機構20は、搬送方向が平行するようにシールユニット4に固定されている。主搬送機構の搬送方向上手側端、すなわち第一プーリー31及び第三プーリー33は、補助搬送機構20の搬送方向下手側端、すなわち第二プーリー22及び第四プーリー24より搬送方向上手側に設けられている。換言すると、主搬送機構30の第一プーリー31は、補助搬送機構20の第一プーリー21と第二プーリー22の間に、第三プーリー33は、補助搬送機構20の第三プーリー23及び第四プーリー24の間に、それぞれ設けられている。
【0023】
図1,2に示すように、加熱冷却機構40は、大略、温度が一定となるように自動制御された上下一対の加熱板で加熱する加熱部41と、加熱された包装袋100の口部101を押圧して圧着させる第一押圧部42と、上下一対の冷却板の貫通孔より冷風を吹き付けることで冷却し硬化を促進する冷却部43よりなる。第一押圧部42は、加熱部41及び冷却部43の間に位置する。
【0024】
排出機構50は、図1,2に示すように、先の主搬送機構の第二プーリー32及び第四プーリー34と同軸上の第一プーリー51及び第三プーリー53と、第二プーリー52及び第四プーリー54の間に上下Vベルト55,56が掛け渡されてなる。この排出機構50が、加熱冷却機構40を通過した包装袋100を受け取り、シール部に模様を付与する第二押圧部57を通過させて外へ排出する。
【0025】
図1に示すように、脱気ユニット6の脱気ノズル61は、後述の挿入ガイド71のほぼ中央に一体的に設けられている。この脱気ノズル61はフッ素樹脂等の耐熱樹脂で形成され、水平に形成された脱気溝61aを介してホース64,吸引機65を通じて脱気を行う。
【0026】
シールユニット4の挿入側には、図1,2に示すように、補助搬送機構20への包装袋100の挿入をガイドする挿入ガイド71が設けられている。図3に示すように、挿入ガイド71は、包装袋100の一部を載置させる載置部71aと、切欠71bによって形成される突出部71c、及び包装袋100の口部101の一端を当接面71eにより当接させる当接部71dを有する。突出部は換言すれば、延在部、張出部、または残存部とも表現可能である。この当接部71dは、図3(b)に示すように、載置部71a側に傾斜し、載置部71a及び突出部71cにおいて連続する。この傾斜により、包装袋100のZ方向への動きが制限され、包装袋100の挿入ガイド71上におけるずれを更に防止することができる。結果として、被シール部分のずれを防止し、適切なシール作業が可能となる。
【0027】
ここで、図4〜6を参照しながら、補助搬送機構20、主搬送機構30及び挿入ガイド71の位置関係について説明する。
図4,5に示すように、補助搬送機構20の第一プーリー21及び第三プーリー23は、主搬送機構30の第一プーリー31及び第三プーリー33よりシールユニット4の挿入側に設けられている。挿入ガイド71は、補助搬送機構20の第一プーリー21及び第三プーリー23との接近部分において切欠71bを有する。また、補助搬送機構20の第一プーリー21及び第三プーリー23近傍から、主搬送機構30の第一プーリー31及び第三プーリー33近傍まで、搬送方向すなわちX方向へと突出する突出部71cを有する。
【0028】
上記位置関係によって、挿入ガイド71上を脱気ノズル61を通過するようにX方向に包装袋100をスライドした場合、挿入ガイド71の突出部71cによって、包装袋100をX方向へガイドしながら、同時に補助搬送機構20の上下Vベルト25,26によって包装袋100の一端、すなわち開口部101を挟持かつ搬送することが可能となる。また、補助搬送機構20の上下Vベルト25,26による挟持かつ搬送を維持しながら、突出部71cから連続して主搬送機構30が包装袋100を挟持かつ搬送することが可能となる。この連続性により包装袋100がずれが防止される。
【0029】
図4に示すように、脱気ノズル61には挿入ガイド71の載置部71aとX方向へ沿って連続する脱気溝61aが設けられている。また、図6に示すように、脱気ノズル61と包装袋100の当接部61bは挿入ガイド71と包装袋100との当接面71eと連続するよう形成されている。これにより、脱気を行いながら、同時に包装袋100をガイドすることが可能となる。
【0030】
次に、挿入ガイドの取付について説明する。
図4〜6に示すように、挿入ガイド71は、L型取付パネル72の長辺部72a上に固定される。L型取付パネル72の短辺部72bは、ボルト73a,bにより脱気ノズル61が取り付けられたL型取付パネル62の短辺部62bに固定される。L型取付パネル62の長辺部62aは、別のL型取付パネル74の長辺部74aの上に載置され、L型パネル74の短辺部74bは、ボルト75a,bによりシールユニット4の筺体側面に固定される。また、L型取付パネル62によって、脱気ノズル61と挿入ガイド71が一体的に固定される。
【0031】
L型取付パネル62の長辺部62aは、L型取付パネル74の長辺部74a上おいて、ボルト76a〜dによって長辺部74aに固定されたガイドパネル77a,bによって挟まれ、搬送方向に直交する方向、すなわちY方向又はその逆方向へスライド可能となっている。よって、L型取付パネル62に一体的に取り付けられた挿入ガイド71及び脱気ノズル61は、一体的にY方向又はその逆方向へとスライド可能である。
【0032】
挿入ガイド71がスライド可能であるため、挿入ガイド71によるガイドを維持しながら包装袋100のシール幅の変更調整が可能となる。また、脱気ノズル61も併せて一体的にスライド可能であるため、包装袋100と挿入ガイド71との当接面71e及び包装袋100と脱気ノズル61との当接部分61bが常に連続する。よって、シール幅の変更調整しても脱気ノズル61の吸引力を維持することが可能となる。
【0033】
また、図7に挿入ガイド71をスライドさせた場合の包装袋100のシール幅の変化を模式的に示す。図7中の挿入ガイド71にガイドされた場合、主搬送機構30のベルト幅と同一の幅W1がシール溶着部分となる。そして同時に幅W2の耳部分が形成される。この場合、挿入ガイド71、主搬送機構30及び補助搬送機構20の相乗効果による幅W3分の保持が可能であるため、包装袋100の安定したシール作業が可能となる。
【0034】
挿入ガイドをY方向へスライドさせて、挿入ガイド71’とした場合、狭幅W4が包装袋100’のシール溶着部分となる。このように挿入ガイド71をスライドさせて、包装袋のシール幅の変更調整が可能である。この狭幅のシール幅の場合であっても、挿入ガイド71、主搬送機構30の一部及び補助搬送機構20の相乗効果による幅W5分の保持が可能であるため、安定したシール作業が可能となる。
【0035】
次に、主搬送機構30と挿入ガイド71との位置関係の詳細について説明する。
Vベルトは一定のテンションをかけた状態で搬送機構のプーリーに掛け渡す。そのため、図8に模式的に示すように、第一プーリー31のプーリー軸31aは、シールユニット4の内部においてスライド孔44を介してスライド可能に取り付けられている。この場合、Vベルトが老朽等によって切れたり、または何らかの理由によりプーリーからはずれると、プーリー軸31aはスライド孔44内をX方向の逆方向へ距離W6分スライドすることになる。その結果、第一プーリー31も同じ距離W7分スライドすることとなる。挿入ガイド71の突出部71cは、第一プーリー31の可動限界位置Pまで突出するように配置されている。したがって、Vベルトがテンションを維持した状態で掛け渡されている場合は、挿入ガイド71と第一プーリー31との間には一定の幅W8分の空隙が存在する。よって、Vベルトがプーリーからはずれても、挿入ガイド71と第一プーリー31の衝突が防止される。すなわち、突出部71cが突出する第一プーリー31及び第三プーリー33近傍とは、第一プーリー31との関係で支障が生じない程度の距離を意味する。
【0036】
次に、包装袋100の搬送方法について説明する。
図9に示すように、包装袋100の口部101を挿入ガイド71の載置面71a上に載置し、傾斜した当接部71dの当接面71eに当接させる。この当接面71eに当接した状態で、補助搬送機構20の上下Vベルト25,26に挟持され、包装袋100の口部101のX方向への搬送が開始される。そして、包装袋100の口部101は、挿入ガイド71の突出部71cにガイドされながら、同時に平行する補助搬送機構20の上下Vベルト25,26で挟持かつ搬送され、補助搬送機構20の上下Vベルト25,26による挟持かつ搬送を維持した状態で、突出部71cから連続して主搬送機構30の上下Vベルト35,36によって挟持かつ搬送される。この搬送方法によって、包装袋100はずれることなく、良好にヒートシールされることとなる。
【0037】
ここで、脱気ユニット6を有さない場合の実施形態について説明する。
その場合、図10に示すように、挿入ガイド71の載置部71aは、連続して形成される。これにより、包装袋100の挿入ガイド71への当接がより目視しやすくなる。また、包装袋100を補助搬送機構20のより近傍からスライドさせることが可能となり、包装袋100のずれが防止される。なお、この場合においても、上述の取付パネルとは構成が異なる取付パネル78によって、Y方向又はその逆方向へとスライド可能である。
【0038】
最後に本発明のさらに別の実施形態の可能性を列挙する。なお、上記実施形態と同様の部材には、同一の符号を付してある。
【0039】
挿入ガイド71は、補助搬送機構20と主搬送機構30との位置関係が重要である。すなわち、挿入ガイド71の突出部71cが、主搬送機構30及び補助搬送機構20の搬送方向と平行して設けられ、補助搬送機構20の搬送方向上手側端の近傍から主搬送機構30の搬送方向上手側端の近傍まで突出する形状であれば、その他の部分の形態は変更可能である。例えば、図11(a)に示すように、挿入ガイド71をY方向において短くすることも可能である。また、図11(b)に示すように、挿入ガイド71のY方向において長くすることも可能である。これらY方向における長短は、対象とする包装袋の形態やコンベアユニットとの位置関係を考慮して適宜変更可能である。さらに、挿入ガイド71のX方向とは逆の方向への長短も同様に変更可能である。
【0040】
また、上記各実施形態のように、主搬送機構30と補助搬送機構20の上下ベルトの対向面及び挿入ガイド71は同一平面上に位置してもよいが、包装袋100の材質等に合わせてプーリー軸を傾斜させ、主搬送機構30の上下ベルトの対向面と補助搬送機構20の上下ベルトの対向面が同一平面上に位置しないように、主搬送機構30及び補助搬送機構20を配置してもよい。その場合、挿入ガイド71と主搬送機構30は同一平面上に位置することが望ましい。
【0041】
上記各実施形態において挿入ガイド71の当接部71dは、平坦面にて形成した。しかし、包装袋100のZ方向への動きが制限される形状であれば、適宜変更可能である。例えば、載置部71a側へ凹状又は凸状に湾曲する曲面で形成してもよい。また、上記各実施形態において当接部71dは、載置部71a側に傾斜するよう形成した。しかし、傾斜角度は適宜変更可能であり、当接部71dが載置部71aと直交するよう、すなわち挿入ガイド71がL型になるよう形成してもよい。但し、被シール部分のずれを防止できる点で、上記実施形態が優れている。
【0042】
また、上記各実施形態において、コンベアユニット3はシールユニット4に対して相対位置を上下方向に調整可能となっている。これにより、包装袋100のZ方向の厚みの変化に対応可能である。よって、図9に示す如き、厚みのある包装袋100の他、薄い包装袋にも適用可能である。
【0043】
上記各実施形態において、被シール部は包装袋100の口部101としたが、口部以外の端部も熱シール可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、食料品、医薬品、生活用品又は工業製品等の各種商品が収容された包装袋等の口部をヒートシールする熱シール装置及び包装袋の搬送方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:熱シール装置、2:基礎フレーム、3:コンベアユニット、4:シールユニット、5:コントロールユニット、6:脱気ユニット、8:主モーター、10:コンベアフレーム、11:第一ローラー、12:第二ローラー、13:コンベアベルト、20:補助搬送機構、21:第一プーリー、22:第二プーリー、23:第三プーリー、24:第四プーリー、25:上Vベルト、26:下Vベルト、30:主搬送機構、31:第一プーリー、32:第二プーリー、33:第三プーリー、34:第四プーリー、35:上Vベルト、36:下Vベルト、40:加熱冷却機構、41:加熱部、42:第一押圧部、43:冷却部、50:排出機構、51:第一プーリー、52:第二プーリー、53:第三プーリー、54:第四プーリー、55:上Vベルト、56:下Vベルト、57:第二押圧部、61:脱気ノズル、61a:脱気溝、61b:当接部、62:取付パネル、62a:長辺部、62b:短辺部、64:ホース、65:吸引機、71:挿入ガイド、71a:載置部、71b:切欠、71c:突出部、71d:当接部、71e:当接面、72:L型取付パネル、72a:長辺部、72b:短辺部、73a,b:ボルト、74:L型取付パネル、74a:長辺部、74b:短辺部、75a,b:ボルト、76a〜d:ボルト、77a,b:ガイドパネル、100:包装袋、101:口部、P:可動限界位置、W:幅、X:搬送方向、Y:直交方向、Z:鉛直方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱シール装置及び被シール体の搬送方法に関する。さらに詳しくは、搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイドを備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する熱シール装置及び被シール体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱シール装置においては、例えば特許文献1のように、送出機構の入口側に入口ガイド板が取り付けられているものがある。しかし、被シール体が入口ガイド板を離れベルトで挟持されるまでの間に隙間があり、入口ガイド板とベルトが不連続となっていた。この不連続性により、送出機構によって挟持される際に被シール体がずれることがあり、挿入時のシール作業に熟練を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−11774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は搬送機構への挿入時及び搬送時に被シール体がずれることなく、適切なシール作業を実行可能な熱シール装置及び被シール体の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る熱シール装置の特徴は、搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイドを備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する熱シール装置であって、前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられることにある。
【0006】
上記構成により、被シール体が挿入ガイドの突出部に当接しながら補助搬送機構によって挟持かつ搬送される。また、補助搬送機構に挟持かつ搬送されながら、突出部から連続して主搬送機構によって挟持かつ搬送される。したがって、搬出機構への挿入時及び搬送機構による搬送時に、被シール体がずれることなく挟持かつ搬送され、適切なシール作業が実行可能となる。
【0007】
また、前記挿入ガイドは、前記被シール体の一部を載置させる載置部と、前記被シール体を当接させる当接部を有し、前記当接部は前記載置部側に傾斜しているよい。被シール体の鉛直上方向への動きが制限され、被シール体の挿入ガイド上におけるずれを更に防止することができる。結果として、被シール部分のずれを防止し、適切なシール作業が可能となる。
【0008】
係る場合、前記挿入ガイドは、前記被シール体の搬送方向に直交する水平方向にスライド可能であってもよい。挿入ガイドによるガイドを維持しながら被シール体のシール幅の変更調整が可能となる。
【0009】
さらに、脱気機構を有し、前記脱気機構は、前記挿入ガイドと一体的に前記被シール体の搬送方向と直交する水平方向にスライド可能であってもよい。被シール体と挿入ガイドの当接部分及び被シール体と脱気機構の当接部分の連続性が維持されるため、シール幅の変更調整しても脱気機構の吸引力が維持される。
【0010】
前記挿入ガイドの前記突出部は、前記主搬送機構の前記第一プーリーの可動限界位置まで突出してもよい。また、前記被シール体は開口部を有する包装袋が好ましい。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る熱シール装置における被シール体の搬送方法の特徴は、前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられ、前記被シール体が前記挿入ガイドの前記突出部に当接しながら前記補助搬送機構によって挟持かつ搬送され、前記補助搬送機構に挟持かつ搬送されながら前記突出部から連続して前記主搬送機構によって挟持かつ搬送されることにある。
【0012】
上記構成によれば、被シール体が常に挿入ガイドによってガイド、または搬送機構によって挟持かつ搬送されるため、被シール体がずれることがない。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明に係る熱シール装置及び被シール体の搬送方法の特徴によれば、搬出機構への挿入時及び搬送機構による搬送時に、被シール体がずれることなく挟持かつ搬送され、適切なシール作業が実行可能となった。
【0014】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る熱シール装置の正面図である。
【図2】本発明に係る熱シール装置の平面図である。
【図3】挿入ガイドを示す、(a)斜視図、(b)右側面図である。
【図4】挿入ガイド近傍の拡大正面図である。
【図5】挿入ガイド近傍の拡大平面図である。
【図6】挿入ガイド近傍の拡大右側面図である。
【図7】挿入ガイドをスライドさせた場合のシール幅の変化を示す模式図である。
【図8】主搬送機構の第一プーリーと挿入ガイドとの位置関係を示す模式図である。
【図9】被シール体のガイド及び搬送方法を示す挿入ガイド近傍の斜視図である。
【図10】脱気ユニットを有さない実施形態における挿入ガイドの平面図である。
【図11】挿入ガイドの別実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る熱シール装置1は、図1に示す如く、大略、基礎フレーム2の上にコンベアユニット3,シールユニット4,コントロールユニット5、脱気ユニット6及び挿入ガイド71を順次取り付けてなる。主モーター8はコンベアユニット3及びシールユニット4を駆動させ、被シール体としての包装袋100を搬送する。コンベアユニット3及びシールユニット4は、水平面に対する傾斜角度及び高さを調整可能である。さらに、コンベアユニット3はシールユニット4に対して相対位置を上下方向に調整可能となっている。
【0017】
ここで、本発明の理解の便宜のため、相互に直交するX軸,Y軸,Z軸について説明する。図4の拡大正面図において、鉛直方向をZ軸とし、このZ軸に直交する図4紙面の左右方向をX軸とする。また、Y軸はX軸に同一平面上で直交する軸である。
【0018】
図1,2に示すように、コンベアユニット3はコンベアフレーム10の左右に支持した第一、第二ローラー11,12間にコンベアベルト13を回転可能に支持してなる。コンベアフレーム10の上面は解放され、搬送ベルト13の上面が同図右から左に移動し、包装袋100を搬送支持する。
【0019】
図1,2に示すように、シールユニット4は、包装袋100を主搬送機構30へと搬送する補助搬送機構20と、その包装袋100を搬送する主搬送機構30と、包装袋100の口部101をヒールシールする加熱冷却機構40と、ヒートシールされた包装袋100を外部へ排出する排出機構50よりなる。なお、シールユニット4は、図示しないカバーで覆われている。
【0020】
補助搬送機構20は、図1,2に示すように、一対の第一プーリー21と第二プーリー22の間にVベルト25が掛け渡され、その下側に対向するように一対の第三プーリー23と第四プーリー24の間にVベルト26が掛け渡されてなる。この上下Vベルト25,26が包装袋100の口部101を挟持し搬送する。第一プーリー21及び第三プーリー23は、挿入側(搬送方向上手側)に位置するものであり、以下、搬送機構において第一プーリー〜第四プーリーの位置関係は同様である。
【0021】
主搬送機構30は、図1,2に示すように、一対の第一プーリー31と第二プーリー32の間にVベルト35が掛け渡され、その下側に対向するように一対の第三プーリー33と第四プーリー34の間にVベルト36が掛け渡されてなる。この上下Vベルト35,36間に搬送された包装袋100を挟み込んで後述の加熱冷却機構40を通過させ、ヒーター等の熱を伝導させる。
【0022】
図1,2に示すように、主搬送機構30及び補助搬送機構20は、搬送方向が平行するようにシールユニット4に固定されている。主搬送機構の搬送方向上手側端、すなわち第一プーリー31及び第三プーリー33は、補助搬送機構20の搬送方向下手側端、すなわち第二プーリー22及び第四プーリー24より搬送方向上手側に設けられている。換言すると、主搬送機構30の第一プーリー31は、補助搬送機構20の第一プーリー21と第二プーリー22の間に、第三プーリー33は、補助搬送機構20の第三プーリー23及び第四プーリー24の間に、それぞれ設けられている。
【0023】
図1,2に示すように、加熱冷却機構40は、大略、温度が一定となるように自動制御された上下一対の加熱板で加熱する加熱部41と、加熱された包装袋100の口部101を押圧して圧着させる第一押圧部42と、上下一対の冷却板の貫通孔より冷風を吹き付けることで冷却し硬化を促進する冷却部43よりなる。第一押圧部42は、加熱部41及び冷却部43の間に位置する。
【0024】
排出機構50は、図1,2に示すように、先の主搬送機構の第二プーリー32及び第四プーリー34と同軸上の第一プーリー51及び第三プーリー53と、第二プーリー52及び第四プーリー54の間に上下Vベルト55,56が掛け渡されてなる。この排出機構50が、加熱冷却機構40を通過した包装袋100を受け取り、シール部に模様を付与する第二押圧部57を通過させて外へ排出する。
【0025】
図1に示すように、脱気ユニット6の脱気ノズル61は、後述の挿入ガイド71のほぼ中央に一体的に設けられている。この脱気ノズル61はフッ素樹脂等の耐熱樹脂で形成され、水平に形成された脱気溝61aを介してホース64,吸引機65を通じて脱気を行う。
【0026】
シールユニット4の挿入側には、図1,2に示すように、補助搬送機構20への包装袋100の挿入をガイドする挿入ガイド71が設けられている。図3に示すように、挿入ガイド71は、包装袋100の一部を載置させる載置部71aと、切欠71bによって形成される突出部71c、及び包装袋100の口部101の一端を当接面71eにより当接させる当接部71dを有する。突出部は換言すれば、延在部、張出部、または残存部とも表現可能である。この当接部71dは、図3(b)に示すように、載置部71a側に傾斜し、載置部71a及び突出部71cにおいて連続する。この傾斜により、包装袋100のZ方向への動きが制限され、包装袋100の挿入ガイド71上におけるずれを更に防止することができる。結果として、被シール部分のずれを防止し、適切なシール作業が可能となる。
【0027】
ここで、図4〜6を参照しながら、補助搬送機構20、主搬送機構30及び挿入ガイド71の位置関係について説明する。
図4,5に示すように、補助搬送機構20の第一プーリー21及び第三プーリー23は、主搬送機構30の第一プーリー31及び第三プーリー33よりシールユニット4の挿入側に設けられている。挿入ガイド71は、補助搬送機構20の第一プーリー21及び第三プーリー23との接近部分において切欠71bを有する。また、補助搬送機構20の第一プーリー21及び第三プーリー23近傍から、主搬送機構30の第一プーリー31及び第三プーリー33近傍まで、搬送方向すなわちX方向へと突出する突出部71cを有する。
【0028】
上記位置関係によって、挿入ガイド71上を脱気ノズル61を通過するようにX方向に包装袋100をスライドした場合、挿入ガイド71の突出部71cによって、包装袋100をX方向へガイドしながら、同時に補助搬送機構20の上下Vベルト25,26によって包装袋100の一端、すなわち開口部101を挟持かつ搬送することが可能となる。また、補助搬送機構20の上下Vベルト25,26による挟持かつ搬送を維持しながら、突出部71cから連続して主搬送機構30が包装袋100を挟持かつ搬送することが可能となる。この連続性により包装袋100がずれが防止される。
【0029】
図4に示すように、脱気ノズル61には挿入ガイド71の載置部71aとX方向へ沿って連続する脱気溝61aが設けられている。また、図6に示すように、脱気ノズル61と包装袋100の当接部61bは挿入ガイド71と包装袋100との当接面71eと連続するよう形成されている。これにより、脱気を行いながら、同時に包装袋100をガイドすることが可能となる。
【0030】
次に、挿入ガイドの取付について説明する。
図4〜6に示すように、挿入ガイド71は、L型取付パネル72の長辺部72a上に固定される。L型取付パネル72の短辺部72bは、ボルト73a,bにより脱気ノズル61が取り付けられたL型取付パネル62の短辺部62bに固定される。L型取付パネル62の長辺部62aは、別のL型取付パネル74の長辺部74aの上に載置され、L型パネル74の短辺部74bは、ボルト75a,bによりシールユニット4の筺体側面に固定される。また、L型取付パネル62によって、脱気ノズル61と挿入ガイド71が一体的に固定される。
【0031】
L型取付パネル62の長辺部62aは、L型取付パネル74の長辺部74a上おいて、ボルト76a〜dによって長辺部74aに固定されたガイドパネル77a,bによって挟まれ、搬送方向に直交する方向、すなわちY方向又はその逆方向へスライド可能となっている。よって、L型取付パネル62に一体的に取り付けられた挿入ガイド71及び脱気ノズル61は、一体的にY方向又はその逆方向へとスライド可能である。
【0032】
挿入ガイド71がスライド可能であるため、挿入ガイド71によるガイドを維持しながら包装袋100のシール幅の変更調整が可能となる。また、脱気ノズル61も併せて一体的にスライド可能であるため、包装袋100と挿入ガイド71との当接面71e及び包装袋100と脱気ノズル61との当接部分61bが常に連続する。よって、シール幅の変更調整しても脱気ノズル61の吸引力を維持することが可能となる。
【0033】
また、図7に挿入ガイド71をスライドさせた場合の包装袋100のシール幅の変化を模式的に示す。図7中の挿入ガイド71にガイドされた場合、主搬送機構30のベルト幅と同一の幅W1がシール溶着部分となる。そして同時に幅W2の耳部分が形成される。この場合、挿入ガイド71、主搬送機構30及び補助搬送機構20の相乗効果による幅W3分の保持が可能であるため、包装袋100の安定したシール作業が可能となる。
【0034】
挿入ガイドをY方向へスライドさせて、挿入ガイド71’とした場合、狭幅W4が包装袋100’のシール溶着部分となる。このように挿入ガイド71をスライドさせて、包装袋のシール幅の変更調整が可能である。この狭幅のシール幅の場合であっても、挿入ガイド71、主搬送機構30の一部及び補助搬送機構20の相乗効果による幅W5分の保持が可能であるため、安定したシール作業が可能となる。
【0035】
次に、主搬送機構30と挿入ガイド71との位置関係の詳細について説明する。
Vベルトは一定のテンションをかけた状態で搬送機構のプーリーに掛け渡す。そのため、図8に模式的に示すように、第一プーリー31のプーリー軸31aは、シールユニット4の内部においてスライド孔44を介してスライド可能に取り付けられている。この場合、Vベルトが老朽等によって切れたり、または何らかの理由によりプーリーからはずれると、プーリー軸31aはスライド孔44内をX方向の逆方向へ距離W6分スライドすることになる。その結果、第一プーリー31も同じ距離W7分スライドすることとなる。挿入ガイド71の突出部71cは、第一プーリー31の可動限界位置Pまで突出するように配置されている。したがって、Vベルトがテンションを維持した状態で掛け渡されている場合は、挿入ガイド71と第一プーリー31との間には一定の幅W8分の空隙が存在する。よって、Vベルトがプーリーからはずれても、挿入ガイド71と第一プーリー31の衝突が防止される。すなわち、突出部71cが突出する第一プーリー31及び第三プーリー33近傍とは、第一プーリー31との関係で支障が生じない程度の距離を意味する。
【0036】
次に、包装袋100の搬送方法について説明する。
図9に示すように、包装袋100の口部101を挿入ガイド71の載置面71a上に載置し、傾斜した当接部71dの当接面71eに当接させる。この当接面71eに当接した状態で、補助搬送機構20の上下Vベルト25,26に挟持され、包装袋100の口部101のX方向への搬送が開始される。そして、包装袋100の口部101は、挿入ガイド71の突出部71cにガイドされながら、同時に平行する補助搬送機構20の上下Vベルト25,26で挟持かつ搬送され、補助搬送機構20の上下Vベルト25,26による挟持かつ搬送を維持した状態で、突出部71cから連続して主搬送機構30の上下Vベルト35,36によって挟持かつ搬送される。この搬送方法によって、包装袋100はずれることなく、良好にヒートシールされることとなる。
【0037】
ここで、脱気ユニット6を有さない場合の実施形態について説明する。
その場合、図10に示すように、挿入ガイド71の載置部71aは、連続して形成される。これにより、包装袋100の挿入ガイド71への当接がより目視しやすくなる。また、包装袋100を補助搬送機構20のより近傍からスライドさせることが可能となり、包装袋100のずれが防止される。なお、この場合においても、上述の取付パネルとは構成が異なる取付パネル78によって、Y方向又はその逆方向へとスライド可能である。
【0038】
最後に本発明のさらに別の実施形態の可能性を列挙する。なお、上記実施形態と同様の部材には、同一の符号を付してある。
【0039】
挿入ガイド71は、補助搬送機構20と主搬送機構30との位置関係が重要である。すなわち、挿入ガイド71の突出部71cが、主搬送機構30及び補助搬送機構20の搬送方向と平行して設けられ、補助搬送機構20の搬送方向上手側端の近傍から主搬送機構30の搬送方向上手側端の近傍まで突出する形状であれば、その他の部分の形態は変更可能である。例えば、図11(a)に示すように、挿入ガイド71をY方向において短くすることも可能である。また、図11(b)に示すように、挿入ガイド71のY方向において長くすることも可能である。これらY方向における長短は、対象とする包装袋の形態やコンベアユニットとの位置関係を考慮して適宜変更可能である。さらに、挿入ガイド71のX方向とは逆の方向への長短も同様に変更可能である。
【0040】
また、上記各実施形態のように、主搬送機構30と補助搬送機構20の上下ベルトの対向面及び挿入ガイド71は同一平面上に位置してもよいが、包装袋100の材質等に合わせてプーリー軸を傾斜させ、主搬送機構30の上下ベルトの対向面と補助搬送機構20の上下ベルトの対向面が同一平面上に位置しないように、主搬送機構30及び補助搬送機構20を配置してもよい。その場合、挿入ガイド71と主搬送機構30は同一平面上に位置することが望ましい。
【0041】
上記各実施形態において挿入ガイド71の当接部71dは、平坦面にて形成した。しかし、包装袋100のZ方向への動きが制限される形状であれば、適宜変更可能である。例えば、載置部71a側へ凹状又は凸状に湾曲する曲面で形成してもよい。また、上記各実施形態において当接部71dは、載置部71a側に傾斜するよう形成した。しかし、傾斜角度は適宜変更可能であり、当接部71dが載置部71aと直交するよう、すなわち挿入ガイド71がL型になるよう形成してもよい。但し、被シール部分のずれを防止できる点で、上記実施形態が優れている。
【0042】
また、上記各実施形態において、コンベアユニット3はシールユニット4に対して相対位置を上下方向に調整可能となっている。これにより、包装袋100のZ方向の厚みの変化に対応可能である。よって、図9に示す如き、厚みのある包装袋100の他、薄い包装袋にも適用可能である。
【0043】
上記各実施形態において、被シール部は包装袋100の口部101としたが、口部以外の端部も熱シール可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、食料品、医薬品、生活用品又は工業製品等の各種商品が収容された包装袋等の口部をヒートシールする熱シール装置及び包装袋の搬送方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:熱シール装置、2:基礎フレーム、3:コンベアユニット、4:シールユニット、5:コントロールユニット、6:脱気ユニット、8:主モーター、10:コンベアフレーム、11:第一ローラー、12:第二ローラー、13:コンベアベルト、20:補助搬送機構、21:第一プーリー、22:第二プーリー、23:第三プーリー、24:第四プーリー、25:上Vベルト、26:下Vベルト、30:主搬送機構、31:第一プーリー、32:第二プーリー、33:第三プーリー、34:第四プーリー、35:上Vベルト、36:下Vベルト、40:加熱冷却機構、41:加熱部、42:第一押圧部、43:冷却部、50:排出機構、51:第一プーリー、52:第二プーリー、53:第三プーリー、54:第四プーリー、55:上Vベルト、56:下Vベルト、57:第二押圧部、61:脱気ノズル、61a:脱気溝、61b:当接部、62:取付パネル、62a:長辺部、62b:短辺部、64:ホース、65:吸引機、71:挿入ガイド、71a:載置部、71b:切欠、71c:突出部、71d:当接部、71e:当接面、72:L型取付パネル、72a:長辺部、72b:短辺部、73a,b:ボルト、74:L型取付パネル、74a:長辺部、74b:短辺部、75a,b:ボルト、76a〜d:ボルト、77a,b:ガイドパネル、100:包装袋、101:口部、P:可動限界位置、W:幅、X:搬送方向、Y:直交方向、Z:鉛直方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイドを備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する熱シール装置であって、
前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられる熱シール装置。
【請求項2】
前記挿入ガイドは、前記被シール体の一部を載置させる載置部と、前記被シール体を当接させる当接部を有し、前記当接部は前記載置部側に傾斜している請求項1記載の熱シール装置。
【請求項3】
前記挿入ガイドは、前記被シール体の搬送方向に直交する水平方向にスライド可能である請求項1又は2記載の熱シール装置。
【請求項4】
脱気機構を有し、前記脱気機構は、前記挿入ガイドと一体的に前記被シール体の搬送方向と直交する水平方向にスライド可能である請求項1〜3のいずれかに記載の熱シール装置。
【請求項5】
前記挿入ガイドの前記突出部は、前記主搬送機構の前記第一プーリーの可動限界位置まで突出する請求項1〜4のいずれかに記載の熱シール装置。
【請求項6】
前記被シール体は開口部を有する包装袋である請求項1〜5のいずれかに記載の熱シール装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱シール装置における被シール体の搬送方法であって、
前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられ、前記被シール体が前記挿入ガイドの前記突出部に当接しながら前記補助搬送機構によって挟持かつ搬送され、前記補助搬送機構に挟持かつ搬送されながら前記突出部から連続して前記主搬送機構によって挟持かつ搬送される被シール体の搬送方法。
【請求項1】
搬送機構への被シール体の挿入をガイドする挿入ガイドを備え、一対のプーリーの間に掛け渡したベルトを上下一対対向させた搬送機構を複数備え、該複数の搬送機構で被シール体の一部を挟持して搬送する熱シール装置であって、
前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられる熱シール装置。
【請求項2】
前記挿入ガイドは、前記被シール体の一部を載置させる載置部と、前記被シール体を当接させる当接部を有し、前記当接部は前記載置部側に傾斜している請求項1記載の熱シール装置。
【請求項3】
前記挿入ガイドは、前記被シール体の搬送方向に直交する水平方向にスライド可能である請求項1又は2記載の熱シール装置。
【請求項4】
脱気機構を有し、前記脱気機構は、前記挿入ガイドと一体的に前記被シール体の搬送方向と直交する水平方向にスライド可能である請求項1〜3のいずれかに記載の熱シール装置。
【請求項5】
前記挿入ガイドの前記突出部は、前記主搬送機構の前記第一プーリーの可動限界位置まで突出する請求項1〜4のいずれかに記載の熱シール装置。
【請求項6】
前記被シール体は開口部を有する包装袋である請求項1〜5のいずれかに記載の熱シール装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱シール装置における被シール体の搬送方法であって、
前記複数の搬送機構は、主搬送機構と前記主搬送機構へ前記被シール体を搬送する補助搬送機構を少なくとも備え、前記主搬送機構及び前記補助搬送機構の搬送方向は平行し、前記主搬送機構の搬送方向上手側端は、前記補助搬送機構の搬送方向下手側端より搬送方向上手側に設けられ、前記挿入ガイドは、前記補助搬送機構の搬送方向上手側端の近傍から、前記主搬送機構の前記搬送方向上手側端の近傍まで突出する突出部を有し、前記突出部は前記搬送方向に平行して設けられ、前記被シール体が前記挿入ガイドの前記突出部に当接しながら前記補助搬送機構によって挟持かつ搬送され、前記補助搬送機構に挟持かつ搬送されながら前記突出部から連続して前記主搬送機構によって挟持かつ搬送される被シール体の搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−240706(P2012−240706A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112465(P2011−112465)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(595123427)シール栄登株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(595123427)シール栄登株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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