熱交換器およびそれを備えた衛生洗浄装置
【課題】発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減する。
【解決手段】水を温めて温水とする熱交換器1であって、円柱状の外形を有し、水を加熱する発熱体としてのヒータ2と、ヒータ2の外周を覆い、ヒータ外周面2cとの間にヒータ2により加熱する水の流路を形成するケース3と、ヒータ外周面2cを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、前記流路におけるヒータ2の軸方向の流れを規制する水流規制手段としての複数の金属輪11とを備える。
【解決手段】水を温めて温水とする熱交換器1であって、円柱状の外形を有し、水を加熱する発熱体としてのヒータ2と、ヒータ2の外周を覆い、ヒータ外周面2cとの間にヒータ2により加熱する水の流路を形成するケース3と、ヒータ外周面2cを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、前記流路におけるヒータ2の軸方向の流れを規制する水流規制手段としての複数の金属輪11とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して温水とする熱交換器、およびそれにより得られた温水を洗浄水として人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を加熱して温水とする熱交換器として、円柱状の発熱体と、この発熱体を収容する筒状のケースとを備え、発熱体の外周面とケースの内周面との間に、加熱する対象の水の流路を形成する構成を有するものがある。このように発熱体とケースとの間に形成される流路は、水を発熱体の軸方向に送るための流路である。このような熱交換器は、例えば人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に備えられ、洗浄水を温水とするために用いられる。
【0003】
上記のような構成の熱交換器においては、発熱体により水が過度に加熱されることによって、沸騰音が発生するという問題がある。こうした沸騰音の問題は、発熱体の表面温度が過度に上昇することが原因であるため、発熱体のワット密度が高くなると生じやすくなる。
【0004】
したがって、沸騰音の問題は、発熱体の発熱量が一定の条件下では、熱交換器の小型化を図るために発熱体の表面積が縮小される場合、より深刻な問題となる。つまり、発熱体の発熱量が一定の場合、発熱体の表面積が小さくなると、ワット密度が高くなり、沸騰音が発生しやすくなる。近年、熱交換器の小型化は顕著であり、例えば発熱体の長さを従来の約半分にしようという試みもなされている。
【0005】
沸騰音の問題を解消するためには、発熱体の表面温度を下げる必要がある。発熱体の表面温度を下げるためには、発熱体と水の間の熱伝達を向上させることが重要である。そこで、従来、上記のような構成の熱交換器において、発熱体と水の間の熱伝達を向上させるため、発熱体とケースとの間に螺旋状の流路を形成する技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献1および特許文献2においては、螺旋状の流路は、螺旋状に形成されるバネ等の金属製の部材が発熱体の外周に嵌め込まれることにより、あるいはケースの内周面側の部分により、発熱体とケースとの間の空間が螺旋状に仕切られることで形成されている。螺旋状の流路により、発熱体とケースとの間の空間が仕切られない場合の流路、つまり発熱体の外周面とケースの内周面とにより略円筒状の空間として形成され水を発熱体の軸方向に沿って流す流路との比較において、流路面積を狭くすることができ、水の流速を上げることができる。発熱体の周囲を流れる水の流速が速くなると、発熱体と水の間の熱伝達が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−171580号公報
【特許文献2】特開平8−94175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発熱体とケースとの間に螺旋状の流路を形成する従来の技術においては、次のような問題がある。従来の技術では、実際に螺旋状の流路を形成しようとした場合、例えばバネ等の螺旋状の流路を形成するための部材と発熱体の表面との間に、発熱体の外径の寸法公差やバネの寸法公差等によって隙間が生じる。こうした螺旋状の流路を形成する部材と発熱体の表面との間に生じる隙間は、発熱体が例えばセラミック等の曲がりや寸法公差等が比較的大きい材料により構成される場合に顕著となる。
【0009】
螺旋状の流路を形成する部材と発熱体の表面との間に隙間が存在することにより、その隙間が水を通してしまうことから、螺旋状の流路を形成する部材に沿う螺旋状の流れに加え、発熱体の軸方向に沿う流れが形成されるという現象が生じる。
【0010】
具体的には、発熱体とケースとの間に形成される流路は、発熱体により加熱する水を発熱体の軸方向に送るための流路である。このため、発熱体とケースとの間に形成される流路を流れる水は、本来的に発熱体の軸方向に沿って流れようとする。上述したような螺旋状の流路は、発熱体の軸方向に沿う水の流れを規制して発熱体の周方向に沿う螺旋状の流れに変換することで、流路面積を狭くして流速を高めようとするものである。そこで、上述したように螺旋状の流路を形成する部材と発熱体の表面との間に隙間が存在することにより、発熱体の軸方向に沿う水の流れが螺旋の方向に十分に規制されずに、一部の水が隙間を通ることで発熱体の軸方向に沿う流れが形成されてしまう。
【0011】
このように、従来の技術では、発熱体とケースとの間で螺旋状の流れを形成することを目的とした流路構成において、発熱体の表面に沿って発熱体の軸方向の水の流れが生じるという"中抜け"の問題が生じる。こうした中抜けの問題が生じることにより、螺旋状の流路を形成することによって流路面積を狭くするという作用を十分に得ることができず、流速を速くすることが困難となる。結果として、従来の技術によれば、発熱体の表面温度を下げるために発熱体と水の間の熱伝達の効率を十分に高めることができず、沸騰音の問題を解消するには至らない。
【0012】
一方、発熱体の表面温度を下げるために熱伝達の効率を向上させる方法として、発熱体の伝熱面積を大きくするということがある。この点、従来の技術では、螺旋状の通路を形成する部材と発熱体の表面との間に隙間が存在することにより、螺旋状の通路を形成する部材と発熱体との接触面積が小さく、十分な伝熱面積を確保することが難しい。
【0013】
特に、熱交換器を小型にするため、熱交換の効率を維持しつつ発熱体を縮小させ、所望の量の温水を供給するためには、十分な伝熱面積が確保される必要がある。また、温水の供給量を確保しつつ発熱体を縮小するためには、ワット密度が高くなることから、沸騰音が発生しやすくなる。
【0014】
このように、従来の技術では、熱交換器を小型化するに際し、十分な伝熱面積を確保することが難しい。結果として、従来の技術によれば、発熱体の表面温度を下げるために熱伝達の効率を十分に高めることができず、沸騰音の問題を解消するには至らない。
【0015】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる熱交換器およびそれを備えた衛生洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱交換器は、水を温めて温水とする熱交換器であって、円柱状の外形を有し、水を加熱する発熱体と、前記発熱体の外周を覆い、前記発熱体の外周面との間に前記発熱体により加熱する水の流路を形成するケースと、前記発熱体の外周面を形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、前記流路における前記発熱体の軸方向の流れを規制する水流規制手段と、を備えるものである。このような構成により、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる。
【0017】
本発明の熱交換器は、好ましくは、前記水流規制手段は、前記発熱体の径方向に突出するように、前記発熱体の軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材により構成され、前記円環状の板部材は、前記発熱体の外周面に密着し、前記流路における通水を確保するための切欠部を有するものである。このような構成により、円環状の板部材を発熱体に密着させることで、発熱体の熱の伝熱面積を容易に大きくすることができ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0018】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材は、弾性変形可能である。このような構成により、発熱体の表面にうねりなどがあったとしても円環状の板部材を発熱体に密着させることできるので、発熱体の熱を確実に伝熱させ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0019】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、複数の前記円環状の板部材は、前記発熱体の軸方向に隣り合う前記円環状の板部材間で、前記切欠部が前記発熱体の軸方向視で重ならないように設けられているものである。このような構成により、水が切欠部を通って発熱体の軸方向に抜けることを防止することができるので、確実に円環状の板部材により形成される流路に沿って水を流すことができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0020】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材は、弾性変形することにより前記発熱体の外周面に密着する部分として、円環状の外形における内周縁部に、円周方向に沿って複数設けられ、前記発熱体の軸方向に向けて折れ曲がった状態で、弾性により前記発熱体の外周面に押し付けられる歯部を有するものである。このような構成により、発熱体に曲がりや寸法公差が存在する場合であっても、円環状の板部材を発熱体に確実に密着させることができるので、円環状の板部材によって確実に伝熱面積を大きくすることができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0021】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材の内径は、前記発熱体の外径よりも小さく、前記円環状の板部材は、弾性変形することにより、前記発熱体の外周面に密着するものである。このような構成により、発熱体に曲がりや寸法公差が存在する場合であっても、簡単な構造で円環状の板部材を発熱体に確実に密着させることができるので、円環状の板部材によって確実かつ容易に伝熱面積を大きくすることができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0022】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材は、前記発熱体の軸方向の一方側の隣り合う前記円環状の板部材と係合することで、前記一方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止突部と、前記発熱体の軸方向の他方側の隣り合う前記円環状の板部材が有する前記係止突部を嵌合させ、前記他方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止凹部と、を有するものである。このような構成により、切欠部の周方向の位置決めを容易に行うことができるので、決まった位置に水を通すことができ、発熱体に対して万遍なく水が接触する流路を確実かつ容易に形成することができ、確実に熱伝達を向上させることができる。
【0023】
本発明の熱交換器は、好ましくは、前記水流規制手段は、前記流路に充填される充填物であるものである。このような構成により、充填物によって発熱体の熱の伝熱面積を容易に大きくすることができ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0024】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記充填物は、発泡金属である。このような構成により、発泡金属は、金属が空隙を介して連続的につながっているものであるため、伝熱が良好であり、また、空隙の存在により曲げや圧縮が比較的自由に行えるので、流路内に効果的に充填できる。
【0025】
本発明の衛生洗浄装置は、前記熱交換器を備え、前記熱交換器により生成した温水を洗浄水とし、該洗浄水をノズルから吐出することで、人体の局部を洗浄するものである。このような構成により、局部の洗浄を受ける使用者にとって不快な熱交換器における沸騰音を低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る金属輪の構成を示す図。(a)は正面図、(b)は(a)におけるX−X断面図。
【図3】本発明の第二実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図4】本発明の第二実施形態に係る金属輪の構成を示す図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る金属輪の構成の変形例を示す図。(a)は正面図、(b)は(a)におけるY矢視部分拡大図。
【図6】本発明の第三実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図7】本発明の第四実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図8】本発明の第四実施形態に係るブッシュの構成を示す図。(a)は正面図、(b)は(a)におけるY−Y断面図。
【図9】本発明の第五実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図10】本発明の第六実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図11】本発明の第六実施形態に係る熱交換器の構成の他の例を示す断面図。
【図12】本発明の第七実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図13】本発明の第八実施形態に係る熱交換器の充填物の一例を示す断面図。
【図14】本発明の第八実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図15】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置の適用例を示す斜視図。
【図16】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、円柱状の外形を有する発熱体の外周側と、発熱体を収容するケースの内周側との間に流路を形成する構成において、発熱体からの伝熱面積を大きくすることにより、発熱体と水の間の熱伝達を向上させ、発熱体の表面温度を下げ、沸騰音を低減しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
本発明の第一実施形態について、図1および図2を用いて説明する。本実施形態に係る熱交換器1は、水を温めて温水とするものであり、例えば便器等に設置されて人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に備えられ、洗浄水を温水とするために用いられる。
【0030】
図1に示すように、熱交換器1は、発熱体としてのヒータ2と、ヒータ2を収容するケース3とを備える。熱交換器1は、ヒータ2により形成される入水口4と、ケース3により形成される吐水口5とを有する。つまり、熱交換器1においては、入水口4から流入した水が、ヒータ2によって温められ、温水となって吐水口5から流出する。
【0031】
ヒータ2は、円柱状の外形を有し、水を加熱する。ヒータ2は、パイプ状に構成されることで、円柱状の外形を有する。ヒータ2は、軸方向(図1における左右方向、以下「ヒータ軸方向」という。)からケース3内に挿入されることで、ケース3に組み付けられる。ヒータ2は、ヒータ軸方向の中途部に、パイプ状のヒータ2を部分的に拡径させるフランジ部2aを有する。ヒータ2は、ヒータ軸方向でフランジ部2aよりも一側(図1において右側)の部分がケース3に挿入された状態で収容される。
【0032】
ヒータ2は、いわゆるセラミックパイプヒータであり、内周面(以下「ヒータ内周面」という。)2bおよび外周面(以下「ヒータ外周面」)2cからの発熱によって、ヒータ2の内周側および外周側を通過する水を加熱する。ヒータ2においては、セラミックによって形成される外装部分の内部に、タングステン等からなる帯状のヒータパターンが印刷等によってヒータ軸方向に沿って形成される。パイプ状に構成されるヒータ2のケース3に挿入される側と反対側の端部の開口部により、熱交換器1の入水口4が形成される。
【0033】
ケース3は、樹脂や金属等により構成され、全体として略直方体状の外形を有するとともに、略円周面として形成される内周面部を有する。ケース3は、ヒータ2の収容空間を形成するケース本体3aと、ケース本体3aの一端側に形成される開口部を覆う蓋体3bとを有する。
【0034】
ケース本体3aは、略直方体状の外形を有し、長手方向の両端側が開口する略筒状の部材である。ケース本体3aの一方の開口部が、蓋体3bにより塞がれる。蓋体3bは、ケース本体3aの外形に沿う形状を有する板状の部材であり、ケース本体3aの開口端面にボルト等によって固定されることで、ケース本体3aと一体的にケース3を構成する。蓋体3bは、ケース本体3aの開口端面と蓋体3bとの間に介装されるOリング6により、ケース本体3aの内部空間に対して水密に固定される。
【0035】
ヒータ2は、ケース本体3aの蓋体3bにより塞がれる側と反対側の開口部から、ケース3に挿入されて組み付けられる。ヒータ2は、フランジ部2aがケース3を構成するケース本体3aの開口端面にボルト等の締結具によって固定されることで、ケース3に組み付けられる。フランジ部2aは、ケース3の外形形状に対応して略矩形板状に形成される。フランジ部2aの四隅には、ケース本体3aへの固定のための締結具を貫通させる孔部2dが形成されている。ヒータ2は、フランジ部2aとケース本体3aの開口端面との間に介装されるOリング7により、ケース3の内部空間に対して水密に固定される。
【0036】
ヒータ2がフランジ部2aによってケース3に組み付けられた状態においては、ヒータ2の先端と蓋体3bの内側の面との間に隙間が存在する。つまり、ヒータ2のケース3に収容される側の開口部は、蓋体3bによって塞がれることなく、ケース3内において開口する。
【0037】
このように、ケース3は、ヒータ2のフランジ部2aよりもケース3に対する挿入側の部分を挿入させた状態で、ヒータ2の外周を覆う。熱交換器1が有する吐水口5は、ケース3を構成するケース本体3aの周壁部に形成される。吐水口5は、ケース本体3aの蓋体3bが取り付けられる側と反対側の開口端の近傍に設けられる。本実施形態では、吐水口5は、ケース本体3aの内部空間を上側に開口させる。
【0038】
ケース3は、ヒータ外周面2cとの間にヒータ2により加熱する水の流路を形成する。以下では、ヒータ外周面2cとケース3との間に形成される流路を「外周側流路」とする。ヒータ外周面2cは、ヒータ2の円柱状の外形における外周面である。また、ヒータ2が挿入されるケース3の内部空間は、略円周面として形成される内周面部を有する。そこで、互いに対向するヒータ外周面2cとケース3の内周面部との間に、外周側流路が形成される。
【0039】
以上のような構成を備える熱交換器1においては、入水口4から流入した水が、ヒータ内周面2bにより形成されるヒータ2の内部流路内を加熱されながら流れ(図1、矢印A1参照)、ヒータ2の内部流路の開口端部からケース3の内部空間内に吐出される。そして、ヒータ2の内部流路からケース3の内部空間内に吐出された水は、ヒータ外周面2cによって加熱されながら外周側流路によってヒータ軸方向で反対側に運ばれ、吐水口5から吐出される。
【0040】
そして、本実施形態の熱交換器1は、ヒータ外周面2cを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、外周側流路におけるヒータ軸方向の流れを規制する水流規制手段を備える。
【0041】
本実施形態では、ヒータ外周面2cは、セラミックにより形成される。このため、水流規制手段を構成する材料としては、セラミックよりも熱伝導率の高い材料、例えば銅やステンレス鋼やアルミニウム等の金属が用いられる。
【0042】
また、水流規制手段は、外周側流路をヒータ2の周方向(以下「ヒータ周方向」という。)に沿う方向に仕切ることにより、外周側流路において、例えばヒータ軸方向に対して垂直方向の周方向の流れ等、ヒータ周方向に沿う方向の流れを形成する。したがって、水流規制手段によって外周側流路が仕切られることでヒータ周方向に沿う方向の流れが形成される構成においては、ヒータ周方向に沿う方向の流れが保持される限り、ヒータ軸方向に沿う方向の流れは規制される。
【0043】
そこで、水流規制手段は、ヒータ周方向に沿う方向の流れを保持することで、外周側流路におけるヒータ軸方向の流れを規制する。具体的には、水流形成手段は、外周側流路において、内周側については、ヒータ外周面2cとの間に隙間を介することなく、また、外周側については、ケース3の内周面部との間に隙間を介することなく設けられることで、ヒータ周方向に沿う方向の流れを保持する。つまり、水流規制手段は、外周側流路において、ヒータ軸方向視で、外周側流路を貫通して向こう側が見えないように、ヒータ周方向に沿う方向の流れを形成する。
【0044】
このように、熱交換器1が、ヒータ外周面2cを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、外周側流路におけるヒータ軸方向の流れを規制する水流規制手段を備えることにより、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる。以下、水流規制手段の具体的な形態について説明する。
【0045】
図1および図2に示すように、本実施形態の熱交換器1においては、水流規制手段が、ヒータ2の径方向に突出するように、ヒータ軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材である金属輪11により構成される。
【0046】
金属輪11は、例えば、銅やステンレス鋼やアルミニウム等、比較的熱伝導率の高い材料により構成される。図2(a)に示すように、金属輪11は、ドーナツ型の板状部材であり、ヒータ2を貫通させた状態で、ヒータ2に保持される。図1に示すように、複数の金属輪11がヒータ2に装着されることにより、ヒータ外周面2cからヒータ2の径方向に突出する複数の鍔状の部分が形成される。図1においては、ヒータ軸方向に略等間隔を隔てて十枚の金属輪11がヒータ2に装着されている。
【0047】
金属輪11は、弾性変形することにより、ヒータ外周面2cに密着する。図2に示すように、本実施形態の金属輪11は、弾性変形することによりヒータ外周面2cに密着する部分として、複数の歯部11aを有する。歯部11aは、金属輪11の内径側から径方向の外側に向けて複数箇所に切込み部11bが形成されることにより、金属輪11の内周側の縁端部が切り出されることで形成される。本実施形態では、金属輪11の周方向に五箇所に切込み部11bが設けられることで、五枚の歯部11aが形成されている。
【0048】
図2(b)に示すように、歯部11aは、金属輪11の板厚方向の一側(図2(b)において上側)に向けて折り曲げられた状態とされる。歯部11aは、金属輪11の内径がヒータ2の外径よりも若干小さくなる程度に折り曲げられる。したがって、金属輪11に対して歯部11aが折れ曲がる側と反対側からヒータ2が差し込まれることにともない、折れ曲った状態の歯部11aが弾性によってさらに折れ曲がる方向に変形する。これにより、金属輪11がヒータ2に装着された状態においては、歯部11aが弾性によってヒータ外周面2cに押し付けられて密着した状態となる。ここで、あらかじめ曲げられた状態とされる歯部11aの曲げ具合は、例えば、金属輪11がヒータ2に装着されることによってヒータ外周面2cに傷が付かない程度とされる。
【0049】
このように、金属輪11が弾性変形することによりヒータ外周面2cに密着する部分として有する歯部11aは、金属輪11の円環状の外形における内周縁部に、円周方向に沿って複数設けられ、ヒータ軸方向に向けて折れ曲がった状態で、弾性によりヒータ外周面2cに押し付けられる。
【0050】
金属輪11は、外周端が筒状のケース3の内周面3cに接触するように形成される。つまり、金属輪11の外径寸法は、ケース3の内径寸法と略同じとなるように設定される。このように、ヒータ2に対してヒータ軸方向に間隔を隔てて複数装着される金属輪11が、ケース3の内周面3cに接触するように設けられることにより、ヒータ外周面2cとケース3の内周面3cとの間に形成される外周側流路が、ヒータ軸方向に対して垂直方向に複数に仕切られる。つまり、ヒータ外周面2cと、ケース3の内周面3cと、ヒータ軸方向に隣り合う一対の金属輪11とによって複数の円環状の空間が形成される。
【0051】
そして、金属輪11は、外周側流路における通水を確保するための切欠部11cを有する。本実施形態では、切欠部11cは、金属輪11の外周側に、金属輪11の周方向について一箇所に形成される。切欠部11cにより、ヒータ2に装着された状態の金属輪11が筒状のケース3の内周面3cに接触した状態で複数の円環状の空間が形成される構成において、金属輪11によって仕切られる空間同士の通水が確保される。つまり、切欠部11cは、ケース3の内周面3cとともに金属輪11による仕切りにおける開口部を形成し、金属輪11によって仕切られる空間内に存在する水は、切欠部11cによって形成される開口部を介して隣の(図1において左隣の)空間部分に流れ込む。
【0052】
複数の金属輪11がヒータ2に装着される構成において、各金属輪11が有する切欠部11cの位相(円周方向の位置)は特に限定されないが、ヒータ軸方向に隣り合う金属輪11間では、各金属輪11の切欠部11cが互いに周方向にずれた位置に存在することが好ましい。つまり、ヒータ軸方向に隣り合う各金属輪11の切欠部11c同士がヒータ軸方向に重なる部分を有しないことが好ましい。
【0053】
このように、複数の金属輪11は、ヒータ軸方向に隣り合う金属輪11間で、切欠部11cがヒータ軸方向視で重ならないように設けられている。これにより、隣り合う金属輪11が有する切欠部11cが周方向にずれた位置に配置されるので、水が複数の金属輪11それぞれが有する切欠部11cを連続的に通って水がヒータ軸方向に抜けてしまうことを防止することができる。したがって、確実に複数の金属輪11により形成される流路に沿って水を流すことができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0054】
また、各金属輪11が有する切欠部11cの位相については、隣り合う金属輪11間で180°ずれていることが好ましい。この場合、例えばある金属輪11の切欠部11cが上側に位置する場合、その金属輪11の隣の金属輪11が有する切欠部11cは下側に位置するように配置される。このような切欠部11cの位置関係が用いられることで、ヒータ外周面2cとケース3の内周面3cとの間において水を万遍なくヒータ外周面2cに沿わせることができる。
【0055】
このように、複数の金属輪11が、隣り合う金属輪11間で切欠部11cの位相が180°ずれた状態となるように設けられる場合において、金属輪11により仕切られる空間部分の水の流れは次のとおりである。図1に示すように、金属輪11をヒータ軸方向に沿って通過しようとする水は、切欠部11cの部分から通過する(矢印B1参照)。切欠部11cを通過した水は、ヒータ外周面2cの周囲に沿って反対側の位相まで流れる(矢印B2参照)。そして、直前に通過した切欠部11cとは逆位相にある切欠部11cを通過することで、金属輪11を通過して次の空間部分へと流れ込む(矢印B3参照)。このような互いに反対位相にある切欠部11cを金属輪11ごとに交互に通過する流れが、外周側流路において吐水口5まで繰り返される。
【0056】
本実施形態の熱交換器1によれば、複数の金属輪11がヒータ軸方向に連続して設けられる構成であるため、ヒータ2とケース3との間の流路を仕切るための構造を、ヒータ2の曲がりや寸法公差等に追従させることが容易となる。これにより、ヒータ2に曲がりや寸法公差があっても、金属輪11をヒータ2に密着させることができ、歯部11aによって金属輪11のヒータ外周面2cに対する接触面積を増やすことができることから、熱伝達の効率を高めることができる。また、ヒータ2の抵抗値のばらつき等によりヒータ2の表面温度に個体差がある場合でも、金属輪11の枚数を調整することで伝熱面積の増減が容易に行えるため、沸騰音を低減することが容易となる。また、金属輪11は、複数の歯部11aによってしっかりとヒータ外周面2cの表面に密着することから、熱交換器1の運搬中や施工中等に金属輪11がずれることを防止することができる。
【0057】
また、本実施形態の熱交換器1においては、次のようなメリットを得ることができる。本実施形態の熱交換器1においては、金属輪11の切欠部11cの位相を一段ごとに変えることにより、水がヒータ2の周りを万遍なく流れる構成にすることができる。また、歯部11aを形成するための切込み部11bの位相を、隣り合う金属輪11間でずらすことにより、ヒータ外周面2cに沿うヒータ軸方向の流れを確実に規制することができる。したがって、上述のとおり切欠部11cを180°ずらして交互に配置する構成を採用する場合は、周方向に等間隔に設けられる切込み部11bの数は、奇数個であることが好ましい。これにより、隣り合う金属輪11間において、切込み部11bの位相が自動的にずれることとなる。
【0058】
また、金属輪11は、比較的公差を小さく作ることが可能であるため、金属輪11とケース3との間に隙間を生じさせにくい。これにより、金属輪11の外周側を通過するヒータ軸方向の流れ(外抜け)を効果的に防止することができる。さらに、金属輪11にヒータ軸方向に沿う突出部分(足)を形成することで、複数の金属輪11についてヒータ軸方向の位置決め(ピッチ決め)を行うことが可能となる。このような位置決めのための突出部分は、本実施形態に係る金属輪11が有する切込み部11bで兼用することができる。
【0059】
本発明の第二実施形態について、図3、図4および図5を用いて説明する。なお、以下に説明する各実施形態においては、第一実施形態と共通する構成については、同一の符号を用いて適宜説明を省略する。図3に示すように、本実施形態の熱交換器20は、第一実施形態と同様に、水流規制手段が、ヒータ2の径方向に突出するように、ヒータ軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材である金属輪21により構成される。そして、図4に示すように、金属輪21が、円環状における周方向の一部が切り欠かれた切欠部21aを有する略C字状の板状部材である。
【0060】
金属輪21は、切欠部21aを利用して周方向に弾性変形することにより、ヒータ外周面2cに密着する。つまり、金属輪21の内径は、ヒータ2の外径よりも小さく設定され、金属輪21がヒータ2に装着される際には、切欠部21aの間隔が広がるように弾性変形させられる(矢印C1参照)。また、金属輪21が有する切欠部21aにより、外周側流路における通水が確保される。また、第一実施形態の場合と同様に、各金属輪21が有する切欠部21aの位相については、隣り合う金属輪21間で180°ずれていることが好ましい。
【0061】
本実施形態の熱交換器20によれば、ヒータ2に曲がりや寸法公差が存在する場合であっても、簡単な構造で金属輪21をヒータ2に確実に密着させることができるので、金属輪21によって確実かつ容易に伝熱面積を大きくすることができ、熱伝達をより向上させることができる。また、金属輪21の切欠部21aにより、通水を確保する機能と、ヒータ2の曲がりや寸法公差等を吸収するための機能とを兼ねることができる。また、金属輪21は、ヒータ2の外径公差に対しても比較的広範囲で追従することができ、金属輪21をヒータ2にしっかり取り付けることができる。
【0062】
図5に、金属輪21の変形例を示す。図5に示すように、本例に係る金属輪21は、複数の曲げ部21bを有する。曲げ部21bは、板状の部分が曲がることによって金属輪21の略径方向に沿うように筋状に形成される突部(反対側の面から見ると溝部)である。曲げ部21bは、金属輪21の周方向に複数形成される。本例では、図5に示すように、曲げ部21bは、金属輪21の周方向に略等間隔を隔てて五箇所に形成されている。このように、金属輪21は、曲げ部21bを有することによってより弾性変形しやすくなり、金属輪21のヒータ2への装着が容易となる。
【0063】
本発明の第三実施形態について、図6を用いて説明する。なお、第二実施形態と共通する構成については、同一の符号を用いて適宜説明を省略する。図6に示すように、本実施形態の熱交換器30は、複数の金属輪21の外周側を覆う筒状のシート部材31を有する。
【0064】
シート部材31は、ゴムや樹脂等の弾性体により構成される。シート部材31は、ヒータ2に装着される複数の金属輪21の外周端に接触するように形成される。つまり、シート部材31の内径は、金属輪21の外径と略同じ寸法とされる。シート部材31は、ヒータ2に装着される全ての金属輪21を外周側から覆うことができる長さを有する。シート部材31は、例えば、ケース3の内周面3cのヒータ軸方向の長さと略同じ長さを有する。シート部材31には、シート部材31によって囲まれる内部空間を吐水口5に連通させるための開口部31aが形成されている。
【0065】
このように、本実施形態の熱交換器30においては、水流規制手段が、弾性体により構成され複数の金属輪21の外周端に密着する筒状のシート部材31を有する。本実施形態の熱交換器30によれば、シート部材31によって、金属輪21の外周端とケース3の内周面3cとの間の隙間を発生させることなく、金属輪21の外周側を通過するヒータ軸方向の流れ(外抜け)を効果的に防止することができる。なお、シート部材31の外周側とケース3の内周面3cとの間には、シート部材31の外側とケース3の内周面3cとの間の水の流れを防止するためのOリングを設けてもよい。また、ヒータ2の傾きがシート部材31の弾性変形によって吸収されることから、ヒータ2がケース3内において傾いている場合であっても、金属輪21の外周側に隙間を生じさせることがない。これにより、ヒータ2からの伝熱面積を確実に確保することができる。
【0066】
本発明の第四実施形態について、図7および図8を用いて説明する。図7に示すように、本実施形態の熱交換器40においては、水流規制手段が、ヒータ2の径方向に突出するように、ヒータ軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材であるブッシュ41により構成される。
【0067】
図8に示すように、ブッシュ41は、ヒータ軸方向を中心軸の方向とする筒状の筒部41aと、この筒部41aの一端側から径方向外側に突出するフランジ部41bとを有する。図8(a)に示すように、ブッシュ41は、円環状における周方向の一部が切り欠かれた切欠部41cを有する略C字状の部材である。ブッシュ41は、例えば深絞り加工等によって作製することができる。
【0068】
図8(b)に示すように、ブッシュ41は、隣り合うブッシュ41との関係において周方向についての相対的な位置決めのため、ヒータ軸方向の一端部に、係止突部41dを有し、ヒータ軸方向の他端部に、係止凹部41eを有する。係止突部41dは、ヒータ軸方向の一方側の隣り合うブッシュ41と係合することで、一方側の隣り合うブッシュ41に対する周方向の相対回転を規制する。そして、係止凹部41eは、ヒータ軸方向の他方側の隣り合うブッシュ41が有する係止突部41dを嵌合させ、他方側の隣り合うブッシュ41に対する周方向の相対回転を規制する。
【0069】
係止突部41dは、三角形状の突部として形成され、係止凹部41eは、係止突部41dがヒータ軸方向に沿って嵌合可能な三角形状の凹部として形成される。ただし、係止突部41dおよび係止凹部41eについては、形状や設けられる数や位置等については特に限定されない。また、上述したように、隣り合うブッシュ41間で切欠部41cの位相を180°ずらす構成を採用する場合、係止突部41dおよび係止凹部41eについては、それぞれ切欠部41cから周方向の両側に略90°ずれた二箇所の位置に設けられることが好ましい。これにより、切欠部41cの位相をずらす構成において、切欠部41cがいずれの位相にあるかにかかわらず、係止突部41dおよび係止凹部41eを共用することができ、複数種類のブッシュ41を準備する必要がない。
【0070】
本実施形態の熱交換器40によれば、ヒータ2からの伝熱面積を広げることができ、熱交換器40の熱伝達を向上させることができる。特に、ヒータ外周面2cに接触する部分である筒部41aの幅(ヒータ軸方向の寸法)を長くすることにより、効率的に伝熱面積を広げることができる。
【0071】
また、切欠部41cの周方向の位置決めを容易に行うことができるので、決まった位置に水を通すことができ、ヒータ2に対して万遍なく水が接触する流路を確実かつ容易に形成することができ、確実に熱伝達を向上させることができる。また、ブッシュ41の周方向の位置決めが容易となり、切欠部41cの位相を一段ずつずらす作業が容易となる。また、ブッシュ41の筒部41aの長さを規定することで、ブッシュ41をヒータ2上で重ねていくだけで、複数のブッシュ41間において自動的に一定のピッチを得ることができ、組立てが容易である。なお、本実施形態においても、第三実施形態と同様に、シート部材31を備える構成を採用することができる。
【0072】
本発明の第五実施形態について、図9を用いて説明する。本実施形態の熱交換器50は、第四実施形態の熱交換器40との比較において、複数のブッシュ41が一体の螺旋状の部材として構成されている点で異なる。本実施形態の熱交換器50においては、水流規制手段が、断面形状がL字型となるバネ51により構成されている。
【0073】
図9に示すように、バネ51を構成する螺旋状の部材は、ヒータ外周面2cに沿うように板状に形成される周壁部51aと、周壁部51aの一端側(図9においては右端側)から径方向外側に突出形成されるフランジ部51bとを有し、断面形状がL字状となるように形成される。
【0074】
したがって、図9に示すように、L字断面のバネ51は、ヒータ2に装着された状態において、周壁部51aの部分をヒータ外周面2cに接触させるとともに、フランジ部51bをヒータ2の径方向外側に向けて鍔状に突出させる。
【0075】
このように、第一の規制部を構成する部材としてL字断面のバネ51を用いることにより、簡単な構造により、ヒータ2からの伝熱面積を広げることができ、熱交換器40の熱伝達を向上させることができる。
【0076】
本発明の第六実施形態について、図10を用いて説明する。本実施形態の熱交換器60においては、水流規制手段が、外周側流路に充填される充填物である。
【0077】
図10に示すように、本実施形態の熱交換器60は、外周側流路に充填される充填物として、発泡金属61を有する。また、本実施形態の熱交換器60は、ヒータ2の内部流路内にも、充填物としての発泡金属61を有する。
【0078】
発泡金属61は、例えば銅等の熱伝導率の高い金属材料により構成される。発泡金属61は、ケース3内またはヒータ2内に圧入されることにより充填される。発泡金属61は、空隙部分を利用して曲げたり圧縮したりすることが可能な部材であるため、発泡金属61の外形寸法を充填される空間の寸法よりも大きくすることで、ヒータ2に曲がりや寸法公差等があっても、発泡金属61を圧縮した状態で充填することができ、発泡金属61とヒータ外周面2cおよびケース3の内周面3cとの間、ならびに発泡金属61とヒータ内周面2bとの間において隙間が生じることを防止することができる。また、発泡金属61は、ヒータ2との接触面積を大きく取ることができる。
【0079】
また、発泡金属61は、金属同士が空隙を介して連続的に結びついているものであるため、充填空間内での変形や移動等が生じないので、充填空間内での変形や移動等を規制するための構成を設ける必要がなく、構成が簡単でコストメリットがある。また、発泡金属61は、金属同士が連続的につながったものであるため、伝熱が良好で金属間の熱が伝わりやすく、高い伝熱効果を得ることができる。また、発泡金属61によれば、空隙の存在により曲げや圧縮が比較的自由に行えるので、流路内に効果的に充填できる。
【0080】
このように、発泡金属61によれば、高い伝熱効果を得ることができることから、伝熱量を多くするため、発泡金属61は、ヒータ軸方向について、ヒータ2においてヒータ軸方向に沿って形成されるヒータパターンが設けられる範囲を含む範囲で充填されることが望ましい。
【0081】
さらに、発泡金属61は、金属同士が空隙を介して結びついた一体物であるため、組立てが容易である。また、発泡金属61の発泡率を調整することで、伝熱面積の増減や圧損の増減を容易に調整できる。また、水中に含まれる微少なごみや、カルシウム等の析出によって目詰まりしない大きさに発泡金属61内の空隙の大きさを最適な大きさに調節することも容易である。
【0082】
なお、発泡金属61は、例えば図11(a)に示すように、ヒータ2の内部流路を含む部分のみに設けてもよく、また、同図(b)に示すように、ヒータ2の内部流路を除いて外周側流路を含む部分に設けてもよい。ここで、例えば図11(a)に示すように、発泡金属61がヒータ2の内部流路を含む部分のみに設けられる場合、柱状に形成される発泡金属61が、ヒータ2のケース3内側の開口部から挿入されることで、ヒータ2内に充填される。そこで、ヒータ2のケース3に対する組付けに際し、柱状の発泡金属61をケース3の蓋体3bに当接するようにヒータ2から余分に突出させておき、その状態でヒータ2をケース3に組み付けるようにする。これにより、ヒータ2のケース3に対する組付けにともなって発泡金属61が蓋体3bにより押されて、ヒータ2のケース3に対する組付けの完了とともに、発泡金属61が所定の範囲までヒータ2内に挿入される。このように、ヒータ2内に挿入される柱状の発泡金属61は、ヒータ2からの突出量の調整により、ヒータ2に対する発泡金属61の位置決めに用いることができ、ヒータ2内への挿入量を一定にすることができる。
【0083】
本発明の第七実施形態について、図12を用いて説明する。本実施形態の熱交換器70においては、水流規制手段が、第六実施形態の熱交換器60と同様に、外周側流路に充填される充填物である。図12に示すように、本実施形態の熱交換器70は、外周側流路に充填される充填物として、複数の金属片71を有する。また、本実施形態の熱交換器70は、ヒータ2の内部流路内にも、充填物としての金属片71を有する。
【0084】
金属片71としては、金属体(金属の塊)や、焼結金属や、発泡金属等が用いられる。本実施形態の熱交換器70は、入水口4からの金属片71の流出を防止するため、ヒータ2の内部流路に、水を通過させる蓋体4aを有し、吐水口5からの金属片71の流出を防止するため、ケース3において吐水口5を形成する壁部に、水を通過させる蓋体5aを有する。蓋体4a、5aは、例えばメッシュ状の部材により構成される。ただし、吐水口5については、金属片71を吐水口5よりも大きくすることにより、吐水口5からの金属片71の流出を防ぐことができる。
【0085】
また、金属片71として、例えば工場等における工程で発生した金属片を利用することができるので、コストメリットがある。また、複数の金属片71を充填物として採用することにより、各金属片71は独立した部材であって、複数の金属片71間においてそれぞれが充填された状態で可動であるため、ヒータ2の膨張・収縮等が生じても、ヒータ2に対する接触状態を維持することができる。さらに、金属片71として空孔を多数有する焼結金属や発泡金属を用いることにより、金属片71によって流路を完全に塞いでしまうという状況を避けることができる。
【0086】
本発明の第八実施形態について、図13および図14を用いて説明する。本実施形態の熱交換器80においては、水流規制手段が、第六実施形態の熱交換器60と同様に、外周側流路に充填される充填物である。本実施形態の熱交換器80では、図13に示すように、外周側流路に充填される充填物として、カール線材81が用いられる。また、カール線材81は、ヒータ2の内部流路内にも充填されてもよい。
【0087】
カール線材81は、例えば銅等の熱伝導率の高い金属材料により構成される。カール線材81は、線材を圧延することにより形成される。カール線材81は、外周側流路等に充填されるに際して、ランダムに詰め込まれる態様で充填されても、規則的に巻かれた状態で充填されてもよい。カール線材81は、例えば図14に示すように、ヒータ2の外周側に巻き付けることによって用いられてもよい。
【0088】
カール線材81が充填物として用いられることで、流路よりも大きい径でカールさせることにより、流路内に圧入することができ、ヒータ2に密着させることができる。
【0089】
以上のように、水流規制手段として、充填物を用いることにより、充填物によってヒータ2の熱の伝熱面積を容易に大きくすることができ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0090】
なお、以上説明したような各実施形態に例示した水流規制手段は、ケース3内に形成される流路を流れる水の流速を速くすることによって熱伝達を向上させてヒータ2の表面温度を下げるものである。このため、水流規制手段によれば、水の流速が速くなることから、ヒータ2の表面等に発生するスケールの生成を抑制することができ、また、ヒータ2の表面に生じたスケールを剥離する効果も期待できる。さらに、スケールと同様にヒータ2の表面に存在することでヒータ2と水との熱伝達を低下させる要因となる気泡についても、水流規制手段による流速が速くなる作用によって、ヒータ2の表面から剥離する効果を規定することができる。このように、水流規制手段によれば、流速が速くなることによってヒータ2の表面に生じるスケールや気泡を取り除く効果を期待することができ、熱伝達の低下を効果的に抑制することができる。
【0091】
以下では、上述したような各実施形態に係る熱交換器を備える衛生洗浄装置の一例について、図15および図16を用いて説明する。図15に示すように、本実施形態に係る衛生洗浄装置200は、トイレ装置300において、洋式腰掛便器301の上に設置された状態で設けられる。
【0092】
衛生洗浄装置200は、本体部201と、本体部201に対して開閉自在に軸支された便座202及び便蓋203と、ノズル204とを備える。ノズル204は、トイレ装置300の使用者によるスイッチ操作等に応じて、本体部201から洋式腰掛便器301のボウル内に対して進退可能に設けられる。衛生洗浄装置200は、ノズル204を洋式腰掛便器301のボウル内に伸び出した状態で、ノズル204の先端部に設けられる吐水口から洗浄水を噴射する。ノズル204から噴射された洗浄水は、人体の局部を洗浄する。
【0093】
図16に示すように、衛生洗浄装置200は、水道や貯水タンクなどの給水源205から給水される水を、バルブユニット206を介して熱交換器1に供給する。そして、熱交換器1において、供給された水が温められた温水とされ、洗浄水としてノズル204に供給される。バルブユニット206は、止水弁としての機能を有する電磁開閉弁や調圧弁等の弁機構を有する。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る衛生洗浄装置200は、第一実施形態に係る熱交換器1を備え、熱交換器1により生成した温水を洗浄水とし、この洗浄水をノズル204から吐出することで、人体の局部を洗浄する。このように、本実施形態に係る熱交換器1を備える衛生洗浄装置200によれば、局部の洗浄を受ける使用者にとって不快な熱交換器における沸騰音を低減することができる。なお、衛生洗浄装置200においては、第一実施形態の熱交換器1に限らず、他の実施形態の熱交換器であっても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 熱交換器
2 ヒータ(発熱体)
3 ケース
11 金属輪(円環状の板部材)
11a 歯部
21 金属輪(円環状の板部材)
41 ブッシュ(円環状の板部材)
41d 係止突部
41e 係止凹部
51 バネ
61 発泡金属
71 金属片
81 カール線材
200 衛生洗浄装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を加熱して温水とする熱交換器、およびそれにより得られた温水を洗浄水として人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を加熱して温水とする熱交換器として、円柱状の発熱体と、この発熱体を収容する筒状のケースとを備え、発熱体の外周面とケースの内周面との間に、加熱する対象の水の流路を形成する構成を有するものがある。このように発熱体とケースとの間に形成される流路は、水を発熱体の軸方向に送るための流路である。このような熱交換器は、例えば人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に備えられ、洗浄水を温水とするために用いられる。
【0003】
上記のような構成の熱交換器においては、発熱体により水が過度に加熱されることによって、沸騰音が発生するという問題がある。こうした沸騰音の問題は、発熱体の表面温度が過度に上昇することが原因であるため、発熱体のワット密度が高くなると生じやすくなる。
【0004】
したがって、沸騰音の問題は、発熱体の発熱量が一定の条件下では、熱交換器の小型化を図るために発熱体の表面積が縮小される場合、より深刻な問題となる。つまり、発熱体の発熱量が一定の場合、発熱体の表面積が小さくなると、ワット密度が高くなり、沸騰音が発生しやすくなる。近年、熱交換器の小型化は顕著であり、例えば発熱体の長さを従来の約半分にしようという試みもなされている。
【0005】
沸騰音の問題を解消するためには、発熱体の表面温度を下げる必要がある。発熱体の表面温度を下げるためには、発熱体と水の間の熱伝達を向上させることが重要である。そこで、従来、上記のような構成の熱交換器において、発熱体と水の間の熱伝達を向上させるため、発熱体とケースとの間に螺旋状の流路を形成する技術がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献1および特許文献2においては、螺旋状の流路は、螺旋状に形成されるバネ等の金属製の部材が発熱体の外周に嵌め込まれることにより、あるいはケースの内周面側の部分により、発熱体とケースとの間の空間が螺旋状に仕切られることで形成されている。螺旋状の流路により、発熱体とケースとの間の空間が仕切られない場合の流路、つまり発熱体の外周面とケースの内周面とにより略円筒状の空間として形成され水を発熱体の軸方向に沿って流す流路との比較において、流路面積を狭くすることができ、水の流速を上げることができる。発熱体の周囲を流れる水の流速が速くなると、発熱体と水の間の熱伝達が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−171580号公報
【特許文献2】特開平8−94175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発熱体とケースとの間に螺旋状の流路を形成する従来の技術においては、次のような問題がある。従来の技術では、実際に螺旋状の流路を形成しようとした場合、例えばバネ等の螺旋状の流路を形成するための部材と発熱体の表面との間に、発熱体の外径の寸法公差やバネの寸法公差等によって隙間が生じる。こうした螺旋状の流路を形成する部材と発熱体の表面との間に生じる隙間は、発熱体が例えばセラミック等の曲がりや寸法公差等が比較的大きい材料により構成される場合に顕著となる。
【0009】
螺旋状の流路を形成する部材と発熱体の表面との間に隙間が存在することにより、その隙間が水を通してしまうことから、螺旋状の流路を形成する部材に沿う螺旋状の流れに加え、発熱体の軸方向に沿う流れが形成されるという現象が生じる。
【0010】
具体的には、発熱体とケースとの間に形成される流路は、発熱体により加熱する水を発熱体の軸方向に送るための流路である。このため、発熱体とケースとの間に形成される流路を流れる水は、本来的に発熱体の軸方向に沿って流れようとする。上述したような螺旋状の流路は、発熱体の軸方向に沿う水の流れを規制して発熱体の周方向に沿う螺旋状の流れに変換することで、流路面積を狭くして流速を高めようとするものである。そこで、上述したように螺旋状の流路を形成する部材と発熱体の表面との間に隙間が存在することにより、発熱体の軸方向に沿う水の流れが螺旋の方向に十分に規制されずに、一部の水が隙間を通ることで発熱体の軸方向に沿う流れが形成されてしまう。
【0011】
このように、従来の技術では、発熱体とケースとの間で螺旋状の流れを形成することを目的とした流路構成において、発熱体の表面に沿って発熱体の軸方向の水の流れが生じるという"中抜け"の問題が生じる。こうした中抜けの問題が生じることにより、螺旋状の流路を形成することによって流路面積を狭くするという作用を十分に得ることができず、流速を速くすることが困難となる。結果として、従来の技術によれば、発熱体の表面温度を下げるために発熱体と水の間の熱伝達の効率を十分に高めることができず、沸騰音の問題を解消するには至らない。
【0012】
一方、発熱体の表面温度を下げるために熱伝達の効率を向上させる方法として、発熱体の伝熱面積を大きくするということがある。この点、従来の技術では、螺旋状の通路を形成する部材と発熱体の表面との間に隙間が存在することにより、螺旋状の通路を形成する部材と発熱体との接触面積が小さく、十分な伝熱面積を確保することが難しい。
【0013】
特に、熱交換器を小型にするため、熱交換の効率を維持しつつ発熱体を縮小させ、所望の量の温水を供給するためには、十分な伝熱面積が確保される必要がある。また、温水の供給量を確保しつつ発熱体を縮小するためには、ワット密度が高くなることから、沸騰音が発生しやすくなる。
【0014】
このように、従来の技術では、熱交換器を小型化するに際し、十分な伝熱面積を確保することが難しい。結果として、従来の技術によれば、発熱体の表面温度を下げるために熱伝達の効率を十分に高めることができず、沸騰音の問題を解消するには至らない。
【0015】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる熱交換器およびそれを備えた衛生洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱交換器は、水を温めて温水とする熱交換器であって、円柱状の外形を有し、水を加熱する発熱体と、前記発熱体の外周を覆い、前記発熱体の外周面との間に前記発熱体により加熱する水の流路を形成するケースと、前記発熱体の外周面を形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、前記流路における前記発熱体の軸方向の流れを規制する水流規制手段と、を備えるものである。このような構成により、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる。
【0017】
本発明の熱交換器は、好ましくは、前記水流規制手段は、前記発熱体の径方向に突出するように、前記発熱体の軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材により構成され、前記円環状の板部材は、前記発熱体の外周面に密着し、前記流路における通水を確保するための切欠部を有するものである。このような構成により、円環状の板部材を発熱体に密着させることで、発熱体の熱の伝熱面積を容易に大きくすることができ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0018】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材は、弾性変形可能である。このような構成により、発熱体の表面にうねりなどがあったとしても円環状の板部材を発熱体に密着させることできるので、発熱体の熱を確実に伝熱させ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0019】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、複数の前記円環状の板部材は、前記発熱体の軸方向に隣り合う前記円環状の板部材間で、前記切欠部が前記発熱体の軸方向視で重ならないように設けられているものである。このような構成により、水が切欠部を通って発熱体の軸方向に抜けることを防止することができるので、確実に円環状の板部材により形成される流路に沿って水を流すことができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0020】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材は、弾性変形することにより前記発熱体の外周面に密着する部分として、円環状の外形における内周縁部に、円周方向に沿って複数設けられ、前記発熱体の軸方向に向けて折れ曲がった状態で、弾性により前記発熱体の外周面に押し付けられる歯部を有するものである。このような構成により、発熱体に曲がりや寸法公差が存在する場合であっても、円環状の板部材を発熱体に確実に密着させることができるので、円環状の板部材によって確実に伝熱面積を大きくすることができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0021】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材の内径は、前記発熱体の外径よりも小さく、前記円環状の板部材は、弾性変形することにより、前記発熱体の外周面に密着するものである。このような構成により、発熱体に曲がりや寸法公差が存在する場合であっても、簡単な構造で円環状の板部材を発熱体に確実に密着させることができるので、円環状の板部材によって確実かつ容易に伝熱面積を大きくすることができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0022】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記円環状の板部材は、前記発熱体の軸方向の一方側の隣り合う前記円環状の板部材と係合することで、前記一方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止突部と、前記発熱体の軸方向の他方側の隣り合う前記円環状の板部材が有する前記係止突部を嵌合させ、前記他方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止凹部と、を有するものである。このような構成により、切欠部の周方向の位置決めを容易に行うことができるので、決まった位置に水を通すことができ、発熱体に対して万遍なく水が接触する流路を確実かつ容易に形成することができ、確実に熱伝達を向上させることができる。
【0023】
本発明の熱交換器は、好ましくは、前記水流規制手段は、前記流路に充填される充填物であるものである。このような構成により、充填物によって発熱体の熱の伝熱面積を容易に大きくすることができ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0024】
また、本発明の熱交換器は、好ましくは、前記充填物は、発泡金属である。このような構成により、発泡金属は、金属が空隙を介して連続的につながっているものであるため、伝熱が良好であり、また、空隙の存在により曲げや圧縮が比較的自由に行えるので、流路内に効果的に充填できる。
【0025】
本発明の衛生洗浄装置は、前記熱交換器を備え、前記熱交換器により生成した温水を洗浄水とし、該洗浄水をノズルから吐出することで、人体の局部を洗浄するものである。このような構成により、局部の洗浄を受ける使用者にとって不快な熱交換器における沸騰音を低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る金属輪の構成を示す図。(a)は正面図、(b)は(a)におけるX−X断面図。
【図3】本発明の第二実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図4】本発明の第二実施形態に係る金属輪の構成を示す図。
【図5】本発明の第二実施形態に係る金属輪の構成の変形例を示す図。(a)は正面図、(b)は(a)におけるY矢視部分拡大図。
【図6】本発明の第三実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図7】本発明の第四実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図8】本発明の第四実施形態に係るブッシュの構成を示す図。(a)は正面図、(b)は(a)におけるY−Y断面図。
【図9】本発明の第五実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図10】本発明の第六実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図11】本発明の第六実施形態に係る熱交換器の構成の他の例を示す断面図。
【図12】本発明の第七実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図13】本発明の第八実施形態に係る熱交換器の充填物の一例を示す断面図。
【図14】本発明の第八実施形態に係る熱交換器の構成を示す断面図。
【図15】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置の適用例を示す斜視図。
【図16】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、円柱状の外形を有する発熱体の外周側と、発熱体を収容するケースの内周側との間に流路を形成する構成において、発熱体からの伝熱面積を大きくすることにより、発熱体と水の間の熱伝達を向上させ、発熱体の表面温度を下げ、沸騰音を低減しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
本発明の第一実施形態について、図1および図2を用いて説明する。本実施形態に係る熱交換器1は、水を温めて温水とするものであり、例えば便器等に設置されて人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置に備えられ、洗浄水を温水とするために用いられる。
【0030】
図1に示すように、熱交換器1は、発熱体としてのヒータ2と、ヒータ2を収容するケース3とを備える。熱交換器1は、ヒータ2により形成される入水口4と、ケース3により形成される吐水口5とを有する。つまり、熱交換器1においては、入水口4から流入した水が、ヒータ2によって温められ、温水となって吐水口5から流出する。
【0031】
ヒータ2は、円柱状の外形を有し、水を加熱する。ヒータ2は、パイプ状に構成されることで、円柱状の外形を有する。ヒータ2は、軸方向(図1における左右方向、以下「ヒータ軸方向」という。)からケース3内に挿入されることで、ケース3に組み付けられる。ヒータ2は、ヒータ軸方向の中途部に、パイプ状のヒータ2を部分的に拡径させるフランジ部2aを有する。ヒータ2は、ヒータ軸方向でフランジ部2aよりも一側(図1において右側)の部分がケース3に挿入された状態で収容される。
【0032】
ヒータ2は、いわゆるセラミックパイプヒータであり、内周面(以下「ヒータ内周面」という。)2bおよび外周面(以下「ヒータ外周面」)2cからの発熱によって、ヒータ2の内周側および外周側を通過する水を加熱する。ヒータ2においては、セラミックによって形成される外装部分の内部に、タングステン等からなる帯状のヒータパターンが印刷等によってヒータ軸方向に沿って形成される。パイプ状に構成されるヒータ2のケース3に挿入される側と反対側の端部の開口部により、熱交換器1の入水口4が形成される。
【0033】
ケース3は、樹脂や金属等により構成され、全体として略直方体状の外形を有するとともに、略円周面として形成される内周面部を有する。ケース3は、ヒータ2の収容空間を形成するケース本体3aと、ケース本体3aの一端側に形成される開口部を覆う蓋体3bとを有する。
【0034】
ケース本体3aは、略直方体状の外形を有し、長手方向の両端側が開口する略筒状の部材である。ケース本体3aの一方の開口部が、蓋体3bにより塞がれる。蓋体3bは、ケース本体3aの外形に沿う形状を有する板状の部材であり、ケース本体3aの開口端面にボルト等によって固定されることで、ケース本体3aと一体的にケース3を構成する。蓋体3bは、ケース本体3aの開口端面と蓋体3bとの間に介装されるOリング6により、ケース本体3aの内部空間に対して水密に固定される。
【0035】
ヒータ2は、ケース本体3aの蓋体3bにより塞がれる側と反対側の開口部から、ケース3に挿入されて組み付けられる。ヒータ2は、フランジ部2aがケース3を構成するケース本体3aの開口端面にボルト等の締結具によって固定されることで、ケース3に組み付けられる。フランジ部2aは、ケース3の外形形状に対応して略矩形板状に形成される。フランジ部2aの四隅には、ケース本体3aへの固定のための締結具を貫通させる孔部2dが形成されている。ヒータ2は、フランジ部2aとケース本体3aの開口端面との間に介装されるOリング7により、ケース3の内部空間に対して水密に固定される。
【0036】
ヒータ2がフランジ部2aによってケース3に組み付けられた状態においては、ヒータ2の先端と蓋体3bの内側の面との間に隙間が存在する。つまり、ヒータ2のケース3に収容される側の開口部は、蓋体3bによって塞がれることなく、ケース3内において開口する。
【0037】
このように、ケース3は、ヒータ2のフランジ部2aよりもケース3に対する挿入側の部分を挿入させた状態で、ヒータ2の外周を覆う。熱交換器1が有する吐水口5は、ケース3を構成するケース本体3aの周壁部に形成される。吐水口5は、ケース本体3aの蓋体3bが取り付けられる側と反対側の開口端の近傍に設けられる。本実施形態では、吐水口5は、ケース本体3aの内部空間を上側に開口させる。
【0038】
ケース3は、ヒータ外周面2cとの間にヒータ2により加熱する水の流路を形成する。以下では、ヒータ外周面2cとケース3との間に形成される流路を「外周側流路」とする。ヒータ外周面2cは、ヒータ2の円柱状の外形における外周面である。また、ヒータ2が挿入されるケース3の内部空間は、略円周面として形成される内周面部を有する。そこで、互いに対向するヒータ外周面2cとケース3の内周面部との間に、外周側流路が形成される。
【0039】
以上のような構成を備える熱交換器1においては、入水口4から流入した水が、ヒータ内周面2bにより形成されるヒータ2の内部流路内を加熱されながら流れ(図1、矢印A1参照)、ヒータ2の内部流路の開口端部からケース3の内部空間内に吐出される。そして、ヒータ2の内部流路からケース3の内部空間内に吐出された水は、ヒータ外周面2cによって加熱されながら外周側流路によってヒータ軸方向で反対側に運ばれ、吐水口5から吐出される。
【0040】
そして、本実施形態の熱交換器1は、ヒータ外周面2cを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、外周側流路におけるヒータ軸方向の流れを規制する水流規制手段を備える。
【0041】
本実施形態では、ヒータ外周面2cは、セラミックにより形成される。このため、水流規制手段を構成する材料としては、セラミックよりも熱伝導率の高い材料、例えば銅やステンレス鋼やアルミニウム等の金属が用いられる。
【0042】
また、水流規制手段は、外周側流路をヒータ2の周方向(以下「ヒータ周方向」という。)に沿う方向に仕切ることにより、外周側流路において、例えばヒータ軸方向に対して垂直方向の周方向の流れ等、ヒータ周方向に沿う方向の流れを形成する。したがって、水流規制手段によって外周側流路が仕切られることでヒータ周方向に沿う方向の流れが形成される構成においては、ヒータ周方向に沿う方向の流れが保持される限り、ヒータ軸方向に沿う方向の流れは規制される。
【0043】
そこで、水流規制手段は、ヒータ周方向に沿う方向の流れを保持することで、外周側流路におけるヒータ軸方向の流れを規制する。具体的には、水流形成手段は、外周側流路において、内周側については、ヒータ外周面2cとの間に隙間を介することなく、また、外周側については、ケース3の内周面部との間に隙間を介することなく設けられることで、ヒータ周方向に沿う方向の流れを保持する。つまり、水流規制手段は、外周側流路において、ヒータ軸方向視で、外周側流路を貫通して向こう側が見えないように、ヒータ周方向に沿う方向の流れを形成する。
【0044】
このように、熱交換器1が、ヒータ外周面2cを形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、外周側流路におけるヒータ軸方向の流れを規制する水流規制手段を備えることにより、発熱体からの伝熱面積を大きくすることによって発熱体と水の間の熱伝達を向上させて発熱体の表面温度を下げることができ、沸騰音を低減することができる。以下、水流規制手段の具体的な形態について説明する。
【0045】
図1および図2に示すように、本実施形態の熱交換器1においては、水流規制手段が、ヒータ2の径方向に突出するように、ヒータ軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材である金属輪11により構成される。
【0046】
金属輪11は、例えば、銅やステンレス鋼やアルミニウム等、比較的熱伝導率の高い材料により構成される。図2(a)に示すように、金属輪11は、ドーナツ型の板状部材であり、ヒータ2を貫通させた状態で、ヒータ2に保持される。図1に示すように、複数の金属輪11がヒータ2に装着されることにより、ヒータ外周面2cからヒータ2の径方向に突出する複数の鍔状の部分が形成される。図1においては、ヒータ軸方向に略等間隔を隔てて十枚の金属輪11がヒータ2に装着されている。
【0047】
金属輪11は、弾性変形することにより、ヒータ外周面2cに密着する。図2に示すように、本実施形態の金属輪11は、弾性変形することによりヒータ外周面2cに密着する部分として、複数の歯部11aを有する。歯部11aは、金属輪11の内径側から径方向の外側に向けて複数箇所に切込み部11bが形成されることにより、金属輪11の内周側の縁端部が切り出されることで形成される。本実施形態では、金属輪11の周方向に五箇所に切込み部11bが設けられることで、五枚の歯部11aが形成されている。
【0048】
図2(b)に示すように、歯部11aは、金属輪11の板厚方向の一側(図2(b)において上側)に向けて折り曲げられた状態とされる。歯部11aは、金属輪11の内径がヒータ2の外径よりも若干小さくなる程度に折り曲げられる。したがって、金属輪11に対して歯部11aが折れ曲がる側と反対側からヒータ2が差し込まれることにともない、折れ曲った状態の歯部11aが弾性によってさらに折れ曲がる方向に変形する。これにより、金属輪11がヒータ2に装着された状態においては、歯部11aが弾性によってヒータ外周面2cに押し付けられて密着した状態となる。ここで、あらかじめ曲げられた状態とされる歯部11aの曲げ具合は、例えば、金属輪11がヒータ2に装着されることによってヒータ外周面2cに傷が付かない程度とされる。
【0049】
このように、金属輪11が弾性変形することによりヒータ外周面2cに密着する部分として有する歯部11aは、金属輪11の円環状の外形における内周縁部に、円周方向に沿って複数設けられ、ヒータ軸方向に向けて折れ曲がった状態で、弾性によりヒータ外周面2cに押し付けられる。
【0050】
金属輪11は、外周端が筒状のケース3の内周面3cに接触するように形成される。つまり、金属輪11の外径寸法は、ケース3の内径寸法と略同じとなるように設定される。このように、ヒータ2に対してヒータ軸方向に間隔を隔てて複数装着される金属輪11が、ケース3の内周面3cに接触するように設けられることにより、ヒータ外周面2cとケース3の内周面3cとの間に形成される外周側流路が、ヒータ軸方向に対して垂直方向に複数に仕切られる。つまり、ヒータ外周面2cと、ケース3の内周面3cと、ヒータ軸方向に隣り合う一対の金属輪11とによって複数の円環状の空間が形成される。
【0051】
そして、金属輪11は、外周側流路における通水を確保するための切欠部11cを有する。本実施形態では、切欠部11cは、金属輪11の外周側に、金属輪11の周方向について一箇所に形成される。切欠部11cにより、ヒータ2に装着された状態の金属輪11が筒状のケース3の内周面3cに接触した状態で複数の円環状の空間が形成される構成において、金属輪11によって仕切られる空間同士の通水が確保される。つまり、切欠部11cは、ケース3の内周面3cとともに金属輪11による仕切りにおける開口部を形成し、金属輪11によって仕切られる空間内に存在する水は、切欠部11cによって形成される開口部を介して隣の(図1において左隣の)空間部分に流れ込む。
【0052】
複数の金属輪11がヒータ2に装着される構成において、各金属輪11が有する切欠部11cの位相(円周方向の位置)は特に限定されないが、ヒータ軸方向に隣り合う金属輪11間では、各金属輪11の切欠部11cが互いに周方向にずれた位置に存在することが好ましい。つまり、ヒータ軸方向に隣り合う各金属輪11の切欠部11c同士がヒータ軸方向に重なる部分を有しないことが好ましい。
【0053】
このように、複数の金属輪11は、ヒータ軸方向に隣り合う金属輪11間で、切欠部11cがヒータ軸方向視で重ならないように設けられている。これにより、隣り合う金属輪11が有する切欠部11cが周方向にずれた位置に配置されるので、水が複数の金属輪11それぞれが有する切欠部11cを連続的に通って水がヒータ軸方向に抜けてしまうことを防止することができる。したがって、確実に複数の金属輪11により形成される流路に沿って水を流すことができ、熱伝達をより向上させることができる。
【0054】
また、各金属輪11が有する切欠部11cの位相については、隣り合う金属輪11間で180°ずれていることが好ましい。この場合、例えばある金属輪11の切欠部11cが上側に位置する場合、その金属輪11の隣の金属輪11が有する切欠部11cは下側に位置するように配置される。このような切欠部11cの位置関係が用いられることで、ヒータ外周面2cとケース3の内周面3cとの間において水を万遍なくヒータ外周面2cに沿わせることができる。
【0055】
このように、複数の金属輪11が、隣り合う金属輪11間で切欠部11cの位相が180°ずれた状態となるように設けられる場合において、金属輪11により仕切られる空間部分の水の流れは次のとおりである。図1に示すように、金属輪11をヒータ軸方向に沿って通過しようとする水は、切欠部11cの部分から通過する(矢印B1参照)。切欠部11cを通過した水は、ヒータ外周面2cの周囲に沿って反対側の位相まで流れる(矢印B2参照)。そして、直前に通過した切欠部11cとは逆位相にある切欠部11cを通過することで、金属輪11を通過して次の空間部分へと流れ込む(矢印B3参照)。このような互いに反対位相にある切欠部11cを金属輪11ごとに交互に通過する流れが、外周側流路において吐水口5まで繰り返される。
【0056】
本実施形態の熱交換器1によれば、複数の金属輪11がヒータ軸方向に連続して設けられる構成であるため、ヒータ2とケース3との間の流路を仕切るための構造を、ヒータ2の曲がりや寸法公差等に追従させることが容易となる。これにより、ヒータ2に曲がりや寸法公差があっても、金属輪11をヒータ2に密着させることができ、歯部11aによって金属輪11のヒータ外周面2cに対する接触面積を増やすことができることから、熱伝達の効率を高めることができる。また、ヒータ2の抵抗値のばらつき等によりヒータ2の表面温度に個体差がある場合でも、金属輪11の枚数を調整することで伝熱面積の増減が容易に行えるため、沸騰音を低減することが容易となる。また、金属輪11は、複数の歯部11aによってしっかりとヒータ外周面2cの表面に密着することから、熱交換器1の運搬中や施工中等に金属輪11がずれることを防止することができる。
【0057】
また、本実施形態の熱交換器1においては、次のようなメリットを得ることができる。本実施形態の熱交換器1においては、金属輪11の切欠部11cの位相を一段ごとに変えることにより、水がヒータ2の周りを万遍なく流れる構成にすることができる。また、歯部11aを形成するための切込み部11bの位相を、隣り合う金属輪11間でずらすことにより、ヒータ外周面2cに沿うヒータ軸方向の流れを確実に規制することができる。したがって、上述のとおり切欠部11cを180°ずらして交互に配置する構成を採用する場合は、周方向に等間隔に設けられる切込み部11bの数は、奇数個であることが好ましい。これにより、隣り合う金属輪11間において、切込み部11bの位相が自動的にずれることとなる。
【0058】
また、金属輪11は、比較的公差を小さく作ることが可能であるため、金属輪11とケース3との間に隙間を生じさせにくい。これにより、金属輪11の外周側を通過するヒータ軸方向の流れ(外抜け)を効果的に防止することができる。さらに、金属輪11にヒータ軸方向に沿う突出部分(足)を形成することで、複数の金属輪11についてヒータ軸方向の位置決め(ピッチ決め)を行うことが可能となる。このような位置決めのための突出部分は、本実施形態に係る金属輪11が有する切込み部11bで兼用することができる。
【0059】
本発明の第二実施形態について、図3、図4および図5を用いて説明する。なお、以下に説明する各実施形態においては、第一実施形態と共通する構成については、同一の符号を用いて適宜説明を省略する。図3に示すように、本実施形態の熱交換器20は、第一実施形態と同様に、水流規制手段が、ヒータ2の径方向に突出するように、ヒータ軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材である金属輪21により構成される。そして、図4に示すように、金属輪21が、円環状における周方向の一部が切り欠かれた切欠部21aを有する略C字状の板状部材である。
【0060】
金属輪21は、切欠部21aを利用して周方向に弾性変形することにより、ヒータ外周面2cに密着する。つまり、金属輪21の内径は、ヒータ2の外径よりも小さく設定され、金属輪21がヒータ2に装着される際には、切欠部21aの間隔が広がるように弾性変形させられる(矢印C1参照)。また、金属輪21が有する切欠部21aにより、外周側流路における通水が確保される。また、第一実施形態の場合と同様に、各金属輪21が有する切欠部21aの位相については、隣り合う金属輪21間で180°ずれていることが好ましい。
【0061】
本実施形態の熱交換器20によれば、ヒータ2に曲がりや寸法公差が存在する場合であっても、簡単な構造で金属輪21をヒータ2に確実に密着させることができるので、金属輪21によって確実かつ容易に伝熱面積を大きくすることができ、熱伝達をより向上させることができる。また、金属輪21の切欠部21aにより、通水を確保する機能と、ヒータ2の曲がりや寸法公差等を吸収するための機能とを兼ねることができる。また、金属輪21は、ヒータ2の外径公差に対しても比較的広範囲で追従することができ、金属輪21をヒータ2にしっかり取り付けることができる。
【0062】
図5に、金属輪21の変形例を示す。図5に示すように、本例に係る金属輪21は、複数の曲げ部21bを有する。曲げ部21bは、板状の部分が曲がることによって金属輪21の略径方向に沿うように筋状に形成される突部(反対側の面から見ると溝部)である。曲げ部21bは、金属輪21の周方向に複数形成される。本例では、図5に示すように、曲げ部21bは、金属輪21の周方向に略等間隔を隔てて五箇所に形成されている。このように、金属輪21は、曲げ部21bを有することによってより弾性変形しやすくなり、金属輪21のヒータ2への装着が容易となる。
【0063】
本発明の第三実施形態について、図6を用いて説明する。なお、第二実施形態と共通する構成については、同一の符号を用いて適宜説明を省略する。図6に示すように、本実施形態の熱交換器30は、複数の金属輪21の外周側を覆う筒状のシート部材31を有する。
【0064】
シート部材31は、ゴムや樹脂等の弾性体により構成される。シート部材31は、ヒータ2に装着される複数の金属輪21の外周端に接触するように形成される。つまり、シート部材31の内径は、金属輪21の外径と略同じ寸法とされる。シート部材31は、ヒータ2に装着される全ての金属輪21を外周側から覆うことができる長さを有する。シート部材31は、例えば、ケース3の内周面3cのヒータ軸方向の長さと略同じ長さを有する。シート部材31には、シート部材31によって囲まれる内部空間を吐水口5に連通させるための開口部31aが形成されている。
【0065】
このように、本実施形態の熱交換器30においては、水流規制手段が、弾性体により構成され複数の金属輪21の外周端に密着する筒状のシート部材31を有する。本実施形態の熱交換器30によれば、シート部材31によって、金属輪21の外周端とケース3の内周面3cとの間の隙間を発生させることなく、金属輪21の外周側を通過するヒータ軸方向の流れ(外抜け)を効果的に防止することができる。なお、シート部材31の外周側とケース3の内周面3cとの間には、シート部材31の外側とケース3の内周面3cとの間の水の流れを防止するためのOリングを設けてもよい。また、ヒータ2の傾きがシート部材31の弾性変形によって吸収されることから、ヒータ2がケース3内において傾いている場合であっても、金属輪21の外周側に隙間を生じさせることがない。これにより、ヒータ2からの伝熱面積を確実に確保することができる。
【0066】
本発明の第四実施形態について、図7および図8を用いて説明する。図7に示すように、本実施形態の熱交換器40においては、水流規制手段が、ヒータ2の径方向に突出するように、ヒータ軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材であるブッシュ41により構成される。
【0067】
図8に示すように、ブッシュ41は、ヒータ軸方向を中心軸の方向とする筒状の筒部41aと、この筒部41aの一端側から径方向外側に突出するフランジ部41bとを有する。図8(a)に示すように、ブッシュ41は、円環状における周方向の一部が切り欠かれた切欠部41cを有する略C字状の部材である。ブッシュ41は、例えば深絞り加工等によって作製することができる。
【0068】
図8(b)に示すように、ブッシュ41は、隣り合うブッシュ41との関係において周方向についての相対的な位置決めのため、ヒータ軸方向の一端部に、係止突部41dを有し、ヒータ軸方向の他端部に、係止凹部41eを有する。係止突部41dは、ヒータ軸方向の一方側の隣り合うブッシュ41と係合することで、一方側の隣り合うブッシュ41に対する周方向の相対回転を規制する。そして、係止凹部41eは、ヒータ軸方向の他方側の隣り合うブッシュ41が有する係止突部41dを嵌合させ、他方側の隣り合うブッシュ41に対する周方向の相対回転を規制する。
【0069】
係止突部41dは、三角形状の突部として形成され、係止凹部41eは、係止突部41dがヒータ軸方向に沿って嵌合可能な三角形状の凹部として形成される。ただし、係止突部41dおよび係止凹部41eについては、形状や設けられる数や位置等については特に限定されない。また、上述したように、隣り合うブッシュ41間で切欠部41cの位相を180°ずらす構成を採用する場合、係止突部41dおよび係止凹部41eについては、それぞれ切欠部41cから周方向の両側に略90°ずれた二箇所の位置に設けられることが好ましい。これにより、切欠部41cの位相をずらす構成において、切欠部41cがいずれの位相にあるかにかかわらず、係止突部41dおよび係止凹部41eを共用することができ、複数種類のブッシュ41を準備する必要がない。
【0070】
本実施形態の熱交換器40によれば、ヒータ2からの伝熱面積を広げることができ、熱交換器40の熱伝達を向上させることができる。特に、ヒータ外周面2cに接触する部分である筒部41aの幅(ヒータ軸方向の寸法)を長くすることにより、効率的に伝熱面積を広げることができる。
【0071】
また、切欠部41cの周方向の位置決めを容易に行うことができるので、決まった位置に水を通すことができ、ヒータ2に対して万遍なく水が接触する流路を確実かつ容易に形成することができ、確実に熱伝達を向上させることができる。また、ブッシュ41の周方向の位置決めが容易となり、切欠部41cの位相を一段ずつずらす作業が容易となる。また、ブッシュ41の筒部41aの長さを規定することで、ブッシュ41をヒータ2上で重ねていくだけで、複数のブッシュ41間において自動的に一定のピッチを得ることができ、組立てが容易である。なお、本実施形態においても、第三実施形態と同様に、シート部材31を備える構成を採用することができる。
【0072】
本発明の第五実施形態について、図9を用いて説明する。本実施形態の熱交換器50は、第四実施形態の熱交換器40との比較において、複数のブッシュ41が一体の螺旋状の部材として構成されている点で異なる。本実施形態の熱交換器50においては、水流規制手段が、断面形状がL字型となるバネ51により構成されている。
【0073】
図9に示すように、バネ51を構成する螺旋状の部材は、ヒータ外周面2cに沿うように板状に形成される周壁部51aと、周壁部51aの一端側(図9においては右端側)から径方向外側に突出形成されるフランジ部51bとを有し、断面形状がL字状となるように形成される。
【0074】
したがって、図9に示すように、L字断面のバネ51は、ヒータ2に装着された状態において、周壁部51aの部分をヒータ外周面2cに接触させるとともに、フランジ部51bをヒータ2の径方向外側に向けて鍔状に突出させる。
【0075】
このように、第一の規制部を構成する部材としてL字断面のバネ51を用いることにより、簡単な構造により、ヒータ2からの伝熱面積を広げることができ、熱交換器40の熱伝達を向上させることができる。
【0076】
本発明の第六実施形態について、図10を用いて説明する。本実施形態の熱交換器60においては、水流規制手段が、外周側流路に充填される充填物である。
【0077】
図10に示すように、本実施形態の熱交換器60は、外周側流路に充填される充填物として、発泡金属61を有する。また、本実施形態の熱交換器60は、ヒータ2の内部流路内にも、充填物としての発泡金属61を有する。
【0078】
発泡金属61は、例えば銅等の熱伝導率の高い金属材料により構成される。発泡金属61は、ケース3内またはヒータ2内に圧入されることにより充填される。発泡金属61は、空隙部分を利用して曲げたり圧縮したりすることが可能な部材であるため、発泡金属61の外形寸法を充填される空間の寸法よりも大きくすることで、ヒータ2に曲がりや寸法公差等があっても、発泡金属61を圧縮した状態で充填することができ、発泡金属61とヒータ外周面2cおよびケース3の内周面3cとの間、ならびに発泡金属61とヒータ内周面2bとの間において隙間が生じることを防止することができる。また、発泡金属61は、ヒータ2との接触面積を大きく取ることができる。
【0079】
また、発泡金属61は、金属同士が空隙を介して連続的に結びついているものであるため、充填空間内での変形や移動等が生じないので、充填空間内での変形や移動等を規制するための構成を設ける必要がなく、構成が簡単でコストメリットがある。また、発泡金属61は、金属同士が連続的につながったものであるため、伝熱が良好で金属間の熱が伝わりやすく、高い伝熱効果を得ることができる。また、発泡金属61によれば、空隙の存在により曲げや圧縮が比較的自由に行えるので、流路内に効果的に充填できる。
【0080】
このように、発泡金属61によれば、高い伝熱効果を得ることができることから、伝熱量を多くするため、発泡金属61は、ヒータ軸方向について、ヒータ2においてヒータ軸方向に沿って形成されるヒータパターンが設けられる範囲を含む範囲で充填されることが望ましい。
【0081】
さらに、発泡金属61は、金属同士が空隙を介して結びついた一体物であるため、組立てが容易である。また、発泡金属61の発泡率を調整することで、伝熱面積の増減や圧損の増減を容易に調整できる。また、水中に含まれる微少なごみや、カルシウム等の析出によって目詰まりしない大きさに発泡金属61内の空隙の大きさを最適な大きさに調節することも容易である。
【0082】
なお、発泡金属61は、例えば図11(a)に示すように、ヒータ2の内部流路を含む部分のみに設けてもよく、また、同図(b)に示すように、ヒータ2の内部流路を除いて外周側流路を含む部分に設けてもよい。ここで、例えば図11(a)に示すように、発泡金属61がヒータ2の内部流路を含む部分のみに設けられる場合、柱状に形成される発泡金属61が、ヒータ2のケース3内側の開口部から挿入されることで、ヒータ2内に充填される。そこで、ヒータ2のケース3に対する組付けに際し、柱状の発泡金属61をケース3の蓋体3bに当接するようにヒータ2から余分に突出させておき、その状態でヒータ2をケース3に組み付けるようにする。これにより、ヒータ2のケース3に対する組付けにともなって発泡金属61が蓋体3bにより押されて、ヒータ2のケース3に対する組付けの完了とともに、発泡金属61が所定の範囲までヒータ2内に挿入される。このように、ヒータ2内に挿入される柱状の発泡金属61は、ヒータ2からの突出量の調整により、ヒータ2に対する発泡金属61の位置決めに用いることができ、ヒータ2内への挿入量を一定にすることができる。
【0083】
本発明の第七実施形態について、図12を用いて説明する。本実施形態の熱交換器70においては、水流規制手段が、第六実施形態の熱交換器60と同様に、外周側流路に充填される充填物である。図12に示すように、本実施形態の熱交換器70は、外周側流路に充填される充填物として、複数の金属片71を有する。また、本実施形態の熱交換器70は、ヒータ2の内部流路内にも、充填物としての金属片71を有する。
【0084】
金属片71としては、金属体(金属の塊)や、焼結金属や、発泡金属等が用いられる。本実施形態の熱交換器70は、入水口4からの金属片71の流出を防止するため、ヒータ2の内部流路に、水を通過させる蓋体4aを有し、吐水口5からの金属片71の流出を防止するため、ケース3において吐水口5を形成する壁部に、水を通過させる蓋体5aを有する。蓋体4a、5aは、例えばメッシュ状の部材により構成される。ただし、吐水口5については、金属片71を吐水口5よりも大きくすることにより、吐水口5からの金属片71の流出を防ぐことができる。
【0085】
また、金属片71として、例えば工場等における工程で発生した金属片を利用することができるので、コストメリットがある。また、複数の金属片71を充填物として採用することにより、各金属片71は独立した部材であって、複数の金属片71間においてそれぞれが充填された状態で可動であるため、ヒータ2の膨張・収縮等が生じても、ヒータ2に対する接触状態を維持することができる。さらに、金属片71として空孔を多数有する焼結金属や発泡金属を用いることにより、金属片71によって流路を完全に塞いでしまうという状況を避けることができる。
【0086】
本発明の第八実施形態について、図13および図14を用いて説明する。本実施形態の熱交換器80においては、水流規制手段が、第六実施形態の熱交換器60と同様に、外周側流路に充填される充填物である。本実施形態の熱交換器80では、図13に示すように、外周側流路に充填される充填物として、カール線材81が用いられる。また、カール線材81は、ヒータ2の内部流路内にも充填されてもよい。
【0087】
カール線材81は、例えば銅等の熱伝導率の高い金属材料により構成される。カール線材81は、線材を圧延することにより形成される。カール線材81は、外周側流路等に充填されるに際して、ランダムに詰め込まれる態様で充填されても、規則的に巻かれた状態で充填されてもよい。カール線材81は、例えば図14に示すように、ヒータ2の外周側に巻き付けることによって用いられてもよい。
【0088】
カール線材81が充填物として用いられることで、流路よりも大きい径でカールさせることにより、流路内に圧入することができ、ヒータ2に密着させることができる。
【0089】
以上のように、水流規制手段として、充填物を用いることにより、充填物によってヒータ2の熱の伝熱面積を容易に大きくすることができ、効果的に発熱体の温度を下げることができる。
【0090】
なお、以上説明したような各実施形態に例示した水流規制手段は、ケース3内に形成される流路を流れる水の流速を速くすることによって熱伝達を向上させてヒータ2の表面温度を下げるものである。このため、水流規制手段によれば、水の流速が速くなることから、ヒータ2の表面等に発生するスケールの生成を抑制することができ、また、ヒータ2の表面に生じたスケールを剥離する効果も期待できる。さらに、スケールと同様にヒータ2の表面に存在することでヒータ2と水との熱伝達を低下させる要因となる気泡についても、水流規制手段による流速が速くなる作用によって、ヒータ2の表面から剥離する効果を規定することができる。このように、水流規制手段によれば、流速が速くなることによってヒータ2の表面に生じるスケールや気泡を取り除く効果を期待することができ、熱伝達の低下を効果的に抑制することができる。
【0091】
以下では、上述したような各実施形態に係る熱交換器を備える衛生洗浄装置の一例について、図15および図16を用いて説明する。図15に示すように、本実施形態に係る衛生洗浄装置200は、トイレ装置300において、洋式腰掛便器301の上に設置された状態で設けられる。
【0092】
衛生洗浄装置200は、本体部201と、本体部201に対して開閉自在に軸支された便座202及び便蓋203と、ノズル204とを備える。ノズル204は、トイレ装置300の使用者によるスイッチ操作等に応じて、本体部201から洋式腰掛便器301のボウル内に対して進退可能に設けられる。衛生洗浄装置200は、ノズル204を洋式腰掛便器301のボウル内に伸び出した状態で、ノズル204の先端部に設けられる吐水口から洗浄水を噴射する。ノズル204から噴射された洗浄水は、人体の局部を洗浄する。
【0093】
図16に示すように、衛生洗浄装置200は、水道や貯水タンクなどの給水源205から給水される水を、バルブユニット206を介して熱交換器1に供給する。そして、熱交換器1において、供給された水が温められた温水とされ、洗浄水としてノズル204に供給される。バルブユニット206は、止水弁としての機能を有する電磁開閉弁や調圧弁等の弁機構を有する。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る衛生洗浄装置200は、第一実施形態に係る熱交換器1を備え、熱交換器1により生成した温水を洗浄水とし、この洗浄水をノズル204から吐出することで、人体の局部を洗浄する。このように、本実施形態に係る熱交換器1を備える衛生洗浄装置200によれば、局部の洗浄を受ける使用者にとって不快な熱交換器における沸騰音を低減することができる。なお、衛生洗浄装置200においては、第一実施形態の熱交換器1に限らず、他の実施形態の熱交換器であっても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 熱交換器
2 ヒータ(発熱体)
3 ケース
11 金属輪(円環状の板部材)
11a 歯部
21 金属輪(円環状の板部材)
41 ブッシュ(円環状の板部材)
41d 係止突部
41e 係止凹部
51 バネ
61 発泡金属
71 金属片
81 カール線材
200 衛生洗浄装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を温めて温水とする熱交換器であって、
円柱状の外形を有し、水を加熱する発熱体と、
前記発熱体の外周を覆い、前記発熱体の外周面との間に前記発熱体により加熱する水の流路を形成するケースと、
前記発熱体の外周面を形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、前記流路における前記発熱体の軸方向の流れを規制する水流規制手段と、
を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記水流規制手段は、
前記発熱体の径方向に突出するように、前記発熱体の軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材により構成され、
前記円環状の板部材は、前記発熱体の外周面に密着し、前記流路における通水を確保するための切欠部を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記円環状の板部材は、弾性変形可能であることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
複数の前記円環状の板部材は、前記発熱体の軸方向に隣り合う前記円環状の板部材間で、前記切欠部が前記発熱体の軸方向視で重ならないように設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記円環状の板部材は、
弾性変形することにより前記発熱体の外周面に密着する部分として、
円環状の外形における内周縁部に、円周方向に沿って複数設けられ、前記発熱体の軸方向に向けて折れ曲がった状態で、弾性により前記発熱体の外周面に押し付けられる歯部を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記円環状の板部材の内径は、前記発熱体の外径よりも小さく、
前記円環状の板部材は、弾性変形することにより、前記発熱体の外周面に密着することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記円環状の板部材は、
前記発熱体の軸方向の一方側の隣り合う前記円環状の板部材と係合することで、前記一方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止突部と、
前記発熱体の軸方向の他方側の隣り合う前記円環状の板部材が有する前記係止突部を嵌合させ、前記他方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止凹部と、を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記水流規制手段は、前記流路に充填される充填物であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記充填物は、発泡金属であることを特徴とする請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱交換器を備え、
前記熱交換器により生成した温水を洗浄水とし、該洗浄水をノズルから吐出することで、人体の局部を洗浄することを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項1】
水を温めて温水とする熱交換器であって、
円柱状の外形を有し、水を加熱する発熱体と、
前記発熱体の外周を覆い、前記発熱体の外周面との間に前記発熱体により加熱する水の流路を形成するケースと、
前記発熱体の外周面を形成する材料よりも熱伝導率の高い材料により構成され、前記流路における前記発熱体の軸方向の流れを規制する水流規制手段と、
を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記水流規制手段は、
前記発熱体の径方向に突出するように、前記発熱体の軸方向に間隔を隔てて設けられる複数の円環状の板部材により構成され、
前記円環状の板部材は、前記発熱体の外周面に密着し、前記流路における通水を確保するための切欠部を有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記円環状の板部材は、弾性変形可能であることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
複数の前記円環状の板部材は、前記発熱体の軸方向に隣り合う前記円環状の板部材間で、前記切欠部が前記発熱体の軸方向視で重ならないように設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記円環状の板部材は、
弾性変形することにより前記発熱体の外周面に密着する部分として、
円環状の外形における内周縁部に、円周方向に沿って複数設けられ、前記発熱体の軸方向に向けて折れ曲がった状態で、弾性により前記発熱体の外周面に押し付けられる歯部を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記円環状の板部材の内径は、前記発熱体の外径よりも小さく、
前記円環状の板部材は、弾性変形することにより、前記発熱体の外周面に密着することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記円環状の板部材は、
前記発熱体の軸方向の一方側の隣り合う前記円環状の板部材と係合することで、前記一方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止突部と、
前記発熱体の軸方向の他方側の隣り合う前記円環状の板部材が有する前記係止突部を嵌合させ、前記他方側の隣り合う前記円環状の板部材に対する周方向の相対回転を規制する係止凹部と、を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記水流規制手段は、前記流路に充填される充填物であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記充填物は、発泡金属であることを特徴とする請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱交換器を備え、
前記熱交換器により生成した温水を洗浄水とし、該洗浄水をノズルから吐出することで、人体の局部を洗浄することを特徴とする衛生洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−214788(P2011−214788A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84637(P2010−84637)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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