説明

熱交換器の製造方法および製造装置

【課題】飛散させたスラリーが滴下することによるフィンの隙間への吸着剤やバインダーの目詰まりを防止する。
【解決手段】本発明の吸着熱交換器(20)の製造は、吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を準備し、スラリー(32)を熱交換器本体(25)のフィン(26)の表面に塗布する工程と、スラリー(32)を塗布した熱交換器本体(25)を容器(60)内に収容した状態において熱交換器本体(25)を回転させて熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)の一部を飛散させる飛散工程とを備え、飛散工程では、容器(60)の内周面(61c)のうち、容器(60)内の熱交換器本体(25)の上方に位置する部分に飛散して付着したスラリー(32)を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器本体の表面に吸着剤を含む吸着層が形成される熱交換器の製造方法および製造装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気中の水分を吸脱着して室内の調湿を行う調湿装置が知られている。特許文献1に示すように、この種の調湿装置では、空気中の水分の吸着と空気中への水分の脱離とを行う吸着剤が表面に担持された吸着熱交換器が2つ設けられた冷媒回路を備え、凝縮器となる熱交換器が加湿側となり、蒸発器となる熱交換器が除湿側となって、四路切換弁の切り換えによって2つの熱交換器が加湿側と除湿側とに交互に切り換わるように構成されている。
【0003】
具体的に吸着熱交換器は、熱交換器本体と、この熱交換器本体に形成される吸着剤の積層膜(吸着膜)とによって構成されている。上記熱交換器本体は、長方形板状に形成されて互いに平行に配列されるアルミニウム製の多数のフィンと各フィンを貫通する銅製の伝熱管とから成るフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。また、上記吸着剤としては、無機材料である粉末状のゼオライト、シリカゲル又は活性炭などが用いられている。
【0004】
特許文献2には、上述したような吸着熱交換器の熱交換器本体の表面に吸着層を形成する方法が開示されている。この方法では、原料液であって、吸着剤およびバインダーを含むスラリー中で熱交換器本体を回転させてフィンの表面全域にスラリーを付着させ、次に、図12に示すように、熱交換器本体(a)を蓋(c)を閉じた容器(b)中で回転させてフィンの隙間に滞る余分なスラリーを飛散させることでフィンの表面全域にスラリーの膜を形成するようにしている。ここで、図13に示すように、容器(b)の蓋(c)を開くと、該蓋(c)の内周面に付着したスラリーは蓋(c)の内周面に沿って下方に流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−294048号公報
【特許文献2】特開2007−46902号公報
【特許文献3】特開2010−270972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3に示すように、吸着熱交換器に担持される吸着剤として高分子材料を用いているものが知られている。この吸着剤を用いると、吸着剤、アルコールおよびバインダーを含んで構成されるスラリーの粘度が高くなる。また、アルコールが蒸発するとスラリーの粘度が高くなる。これらのため、容器(b)内で飛散させたスラリーが蓋(c)の内周面を流れず、図14に示すように、容器(b)の蓋(c)の開閉時などにスラリーが熱交換器本体(b)に滴下し、この結果、フィンの隙間に吸着剤やバインダーが目詰まりしてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、熱交換器の製造において、飛散させたスラリーの滴下を阻止することでフィンの隙間への吸着剤やバインダーの目詰まりを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、飛散させたスラリー(32)を加熱することでスラリー(32)が滴下して熱交換器本体(25)に付着するのを阻止し、これによってフィン(26)の隙間へ吸着剤(31)やバインダーの目詰まりを防止するようにした。
【0009】
第1の発明は、吸湿することにより膨潤し且つ放湿することにより収縮する吸着剤(31)が熱交換器本体(25)における少なくともフィン(26)の表面に担持された熱交換器の製造方法であって、上記吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を準備し、該スラリー(32)を上記熱交換器本体(25)の少なくともフィン(26)の表面に塗布する塗布工程と、上記スラリー(32)を塗布した上記熱交換器本体(25)を容器(60)内に収容した状態において該熱交換器本体(25)を回転させて該熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)の一部を飛散させる飛散工程とを備え、上記飛散工程では、上記容器(60)の内周面(61c)のうち、該容器(60)内の熱交換器本体(25)の上方に位置する部分に飛散して付着した上記スラリー(32)を加熱するものである。
【0010】
上記第1の発明では、熱交換器の製造時において、吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を準備し、該スラリー(32)を熱交換器本体(25)の少なくともフィン(26)の表面に塗布する。
【0011】
次に、飛散工程が行われる。本飛散工程では、熱交換器本体(25)を容器(60)の内部に収容した状態において該熱交換器本体(25)を回転させ、この熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)の一部を飛散させる。その結果、熱交換器本体(25)に付着した余分なスラリー(32)が遠心力によって飛散する。飛散したスラリー(32)は、容器(60)の内周面(61c)に付着する。
【0012】
また、飛散工程では、容器(60)の内周面(61c)のうち、熱交換器本体(25)の上方に位置する部分に付着したスラリー(32)を加熱する。こうすることで容器(60)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)が乾燥固化する。これにより、容器(60)の内周面(61c)のスラリー(32)が滴下しなくなるため、熱交換器本体(25)にスラリー(32)が付着しない。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記容器(60)は、上記熱交換器本体(25)の上方において上下に開閉して該熱交換器本体(25)の出し入れをする開閉扉(61)を有し、上記飛散工程では、上記容器(60)の開閉扉(61)を加熱することによって該開閉扉(61)の内周面(61c)に飛散して付着した上記スラリー(32)を加熱するよう構成されているものである。
【0014】
上記第2の発明では、熱交換器本体(25)は、開閉扉(61)を介して出し入れされる。この開閉扉(61)は、熱交換器本体(25)の上方において上下に開閉する。飛散工程では、開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱して乾燥固化する。こうすることで、開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)が、開閉扉(61)を開いたときに熱交換器本体(25)の上方から滴下しない。したがって、飛散工程後に熱交換器本体(25)を容器(60)から取り出しても、その際に開閉扉(61)の内周面(61c)からスラリー(32)が滴下しないため、熱交換器本体(25)にスラリー(32)が付着しない。
【0015】
第3の発明は、吸湿することにより膨潤し且つ放湿することにより収縮する吸着剤(31)が熱交換器本体(25)における少なくともフィン(26)の表面に担持された熱交換器の製造装置であって、上記吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を少なくともフィン(26)の表面に塗布した上記熱交換器本体(25)を収容する容器(60)と、上記容器(60)内において上記熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)の一部を飛散させる回転機構(56)と、上記容器(60)の内周面(61c)のうち、該容器(60)内に収容した熱交換器本体(25)の上方に位置する部分に飛散して付着したスラリー(32)を加熱する加熱装置(70)とを備えているものである。
【0016】
上記第3の発明では、熱交換器本体(25)における少なくともフィン(26)の表面に吸着剤(31)が担持された熱交換器を製造する製造装置に、容器(60)と回転機構(56)と加熱装置(70)が設けられている。容器(60)には、吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を少なくともフィン(26)の表面に塗布した熱交換器本体(25)が収容される。そして、回転機構(56)は、容器(60)中で熱交換器本体(25)を回転させる。加熱装置(70)が熱交換器本体(25)の上方に位置する容器(60)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱すると、該スラリー(32)が乾燥して固化する。これにより、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が滴下しなくなるため、熱交換器本体(25)にスラリー(32)が付着しない。
【0017】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記容器(60)が、上記熱交換器本体(25)の上方において上下に開閉して該熱交換器本体(25)を出し入れする開閉扉(61)を有し、上記加熱装置(70)は、上記開閉扉(61)を加熱することによって該開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱するように構成されているものである。
【0018】
上記第4の発明では、上下に開閉して熱交換器本体(25)を出し入れする開閉扉(61)が容器(60)に設けられている。また、容器(60)には、開閉扉(61)を加熱する加熱装置(70)が設けられている。加熱装置(70)が開閉扉(61)を加熱すると、該開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)が加熱され、該スラリー(32)が乾燥して固化する。
【0019】
そして、開閉扉(61)を開いたとき、熱交換器本体(25)の上方に位置する開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)は加熱されて乾燥固化しているため、熱交換器本体(25)を容器(60)から取り出しても、その際に開閉扉(61)の内周面(61c)からスラリー(32)が滴下しない。このため、熱交換器本体(25)にスラリー(32)が付着しない。
【発明の効果】
【0020】
上記第1および第3の発明によれば、容器(60)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱するようにしたため、付着したスラリー(32)を乾燥して固化させることができる。これにより、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が熱交換器本体(25)へ滴下するのを確実に防止することができる。また、容器(60)から熱交換器本体(25)を取り出す際にも、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が熱交換器本体(25)へが滴下するのを確実に防止することができる。この結果、熱交換器の製造において、フィン(26)の隙間への吸着剤(31)やバインダーの目詰まりを防止することができる。
【0021】
上記第2および第4の発明によれば、容器(60)の開閉扉(61)を加熱するようにしたため、開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を乾燥固化することができる。これにより、容器(60)から熱交換器本体(25)を取り出す際にも、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が熱交換器本体(25)へが滴下するのを確実に防止することができる。この結果、熱交換器の製造において、フィン(26)の隙間への吸着剤(31)やバインダーの目詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、調湿装置の冷媒回路の構成を示す配管系統図であって、(A)は第1動作中の動作を示すものであり、(B)は第2動作中の動作を示すものである。
【図2】図2は、吸着熱交換器の概略の斜視図である。
【図3】図3は、吸着熱交換器を構成する熱交換器ユニットの側面図である。
【図4】図4は、図3におけるA−A断面を示す断面図である。
【図5】図5は、吸着熱交換器の製造装置の構成を示す模式図である。
【図6】図6は、スラリーの粘度および揺変係数を示す図である。
【図7】図7は、吸着熱交換器の製造方法における飛散工程を示す模式図である。
【図8】図8は、飛散工程後に容器の扉部の開いた状態を示す模式図である。
【図9】図9は、実施形態の変形例の吸着熱交換器を構成する熱交換器本体の概略斜視図である。
【図10】図10は、実施形態の変形例の熱交換器本体を構成する伝熱管の概略斜視図である。
【図11】図11は、実施形態の変形例の熱交換器本体を構成するフィンの概略斜視図である。
【図12】図12は、従来例に係る吸着熱交換器の製造装置の構成を示す模式図である。
【図13】図13は、従来例に係る容器の扉部の開いた状態を示す模式図である。
【図14】図14は、従来例に係る開いた扉部からスラリーが滴下する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<調湿装置の構成>
本実施形態は、図1に示すように、調湿装置に吸着熱交換器(20)を設けたものである。この調湿装置は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とが可能に構成されている。
【0025】
上記調湿装置は、冷媒回路(10)を備えている。図1に示すように、この冷媒回路(10)は、第1吸着部材(11)、第2吸着部材(12)、圧縮機(13)、四方切換弁(14)、及び電動膨張弁(15)が設けられた閉回路であって、冷媒が充填されている。この冷媒回路(10)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
【0026】
上記圧縮機(13)は、その吐出側が四方切換弁(14)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(14)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着部材(11)の一端は、四方切換弁(14)の第3のポートに接続されている。第1吸着部材(11)の他端は、電動膨張弁(15)を介して第2吸着部材(12)の一端に接続されている。第2吸着部材(12)の他端は、四方切換弁(14)の第4のポートに接続されている。
【0027】
上記四方切換弁(14)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0028】
<吸着熱交換器の構成>
第1吸着部材(11)および第2吸着部材(12)は、それぞれが吸着熱交換器(20)によって構成されている。この吸着熱交換器(20)は、熱交換器を構成している。吸着熱交換器(20)について図2および図3を参照しながら説明する。
【0029】
吸着熱交換器(20)は、二つのサブユニット(21,22)を備えている(図2参照)。各サブユニット(21,22)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である熱交換器本体(25)と、熱交換器本体(25)の表面を覆うように形成された吸着剤層(30)とを備えている(図4参照)。吸着熱交換器(20)は、二つのサブユニット(21,22)が互いに重なり合うように配置され、吸着熱交換器(20)を通過する空気流の上流側に位置するものが第1サブユニット(21)を、その下流側に位置するものが第2サブユニット(22)をそれぞれ構成している。
【0030】
熱交換器本体(25)は、伝熱管部材である円管状の伝熱管(27)と、多数のフィン(26)とを備えている。各フィン(26)は、長方形状の板状に形成されたアルミニウム製の部材である。各フィン(26)は、互いに対面する状態で平行に設けられ、互いに一定の間隔をおいて一列に配置されている。伝熱管(27)は、直管部(28)とU字管部(29)が交互に形成されて左右に蛇行する形状となっている。伝熱管(27)は、その直管部(28)が配列された各フィン(26)を貫通するように設けられている。伝熱管(27)の直管部(28)は、フィン(26)と接合され、その外周面がフィン(26)と密着している。
【0031】
図4に示すように、吸着剤層(30)は、フィン(26)の両側面を覆うように形成されている。この吸着剤層(30)の厚さは、約0.25mmである。この吸着剤層(30)の厚さは、0.1mm以上0.35mm以下であるのが望ましい。尚、吸着剤層(30)は、フィン(26)の表面だけでなく伝熱管(27)のうちフィン(26)に覆われていない部分(U字管部(29))などの表面にも形成されている。ただし、フィン(26)以外の部分に形成された吸着剤層(30)の厚さは、0.1mm以上0.35mm以下の範囲から外れていても構わない。
【0032】
吸着剤層(30)は、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤(31)を含有している。この吸着剤(31)は、例えば平均粒径が約50μmの粒子状に形成されている。この吸着剤(31)では、分子中に親水性の極性基(親水基)を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋され、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0033】
この吸着剤(31)は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤(31)が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
【0034】
このように、本実施形態の吸着剤層(30)に設けられた吸着剤(31)では、水蒸気が吸着剤(31)に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤(31)に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤(31)には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤(31)に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤(31)には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0035】
また、この吸着剤(31)は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤(31)が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤(31)の体積が減少する。
【0036】
尚、本実施形態の吸着剤として用いられる材料は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するものであれば上述した材料に限定されず、例えば吸湿性を有するイオン交換樹脂であってもよい。
【0037】
−調湿装置の動作−
ここで、上記調湿装置の運転動作について説明する。上記調湿装置は、除湿運転と加湿運転とを行う。この調湿装置は、除湿運転中や加湿運転中の何れにおいても、第1動作と第2動作を所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返す。
【0038】
上記調湿装置は、除湿運転中であれば第1空気として室外空気(OA)を、第2空気として室内空気(RA)をそれぞれ取り込む。また、上記調湿装置は、加湿運転中であれば第1空気として室内空気(RA)を、第2空気として室外空気(OA)をそれぞれ取り込む。
【0039】
<第1動作>
先ず、第1動作について説明する。第1動作中には、第1吸着部材(11)へ第2空気が、第2吸着部材(12)へ第1空気がそれぞれ送り込まれる。この第1動作では、第1吸着部材(11)についての再生動作と、第2吸着部材(12)についての吸着動作とが行われる。
【0040】
図1(A)に示すように、第1動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第1状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)内で冷媒が循環する。具体的に、圧縮機(13)から吐出された冷媒は、第1吸着部材(11)で放熱して凝縮する。第1吸着部材(11)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(15)を通過する際に減圧され、その後に第2吸着部材(12)で吸熱して蒸発する。第2吸着部材(12)で蒸発した冷媒は、圧縮機(13)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(13)から吐出される。
【0041】
このように、第1動作中の冷媒回路(10)では、第1吸着部材(11)が凝縮器となり、第2吸着部材(12)が蒸発器となる。吸着熱交換器(20)により構成された第1吸着部材(11)では、フィン(26)表面の吸着剤層(30)が伝熱管(27)内の冷媒によって加熱されて放湿し、吸着剤層(30)から放出された水蒸気が第2空気に付与される。また、同じく吸着熱交換器(20)により構成された第2吸着部材(12)では、フィン(26)表面の吸着剤層(30)が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱が伝熱管(27)内の冷媒に吸収される。
【0042】
そして、除湿運転中であれば、第2吸着部材(12)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第1吸着部材(11)から放出された水蒸気が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第1吸着部材(11)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第2吸着部材(12)に水蒸気を奪われた第1空気が室外へ排出される。
【0043】
<第2動作>
次に、第2動作について説明する。第2動作中には、第1吸着部材(11)へ第1空気が、第2吸着部材(12)へ第2空気がそれぞれ送り込まれる。この第2動作では、第2吸着部材(12)についての再生動作と、第1吸着部材(11)についての吸着動作とが行われる。
【0044】
図1(B)に示すように、第2動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第2状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)内で冷媒が循環する。具体的に、圧縮機(13)から吐出された冷媒は、第2吸着部材(12)で放熱して凝縮する。第2吸着部材(12)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(15)を通過する際に減圧され、その後に第1吸着部材(11)で吸熱して蒸発する。第1吸着部材(11)で蒸発した冷媒は、圧縮機(13)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(13)から吐出される。
【0045】
このように、冷媒回路(10)では、第2吸着部材(12)が凝縮器となり、第1吸着部材(11)が蒸発器となる。吸着熱交換器(20)により構成された第2吸着部材(12)では、フィン(26)表面の吸着剤層(30)が伝熱管(27)内の冷媒によって加熱されて放湿し、吸着剤層(30)から放出された水蒸気が第2空気に付与される。また、同じく吸着熱交換器(20)により構成された第1吸着部材(11)では、フィン(26)表面の吸着剤層(30)が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱が伝熱管(27)内の冷媒に吸熱される。
【0046】
そして、除湿運転中であれば、第1吸着部材(11)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第2吸着部材(12)から放出された水蒸気が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第2吸着部材(12)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第1吸着部材(11)に水蒸気を奪われた第1空気が室外へ排出される。
【0047】
−吸着熱交換器の製造装置−
次に、吸着熱交換器(20)の製造装置(55)について説明する。図5に示すように、製造装置(55)は、容器(60)と回転機構(56)と加熱器(70)とを備えている。この製造装置(55)は、スラリー(32)に浸漬させた熱交換器本体(25)から余分なスラリー(32)を飛散させるためのものである。尚、本実施形態では、図5の左側を前側とし、右側を後側として説明する。
【0048】
原料液であるスラリー(32)は、例えば、吸着剤(31)が100重量部、バインダー(33)が30重量部、水が30重量部およびアルコールが220重量部である。つまり、水30重量部とアルコール220重量部が溶媒(34)を構成している。尚、バインダー(33)および水は、1つの水系樹脂(35)を構成しているものを用いている。また、尚、上記水系樹脂(35)は、固形分であるバインダー(33)が45質量%以上(水分45質量%以下)のものであればよく、要するに、バインダー(33)の濃度が濃いものであればよい。
【0049】
また、上記アルコールは、有機系溶媒(34)であって、各種のアルコールを用いることができるが、エタノールを主成分とし、他の複数のアルコールを添加した工業用アルコールが好ましい。具体的に、上記アルコールは、エタノールが85.5%、ノルマルプロピルアルコールが9.8%、イソプロピルアルコールが4.8%および水が0.2%で構成したものを用いている。
【0050】
このスラリー(32)は、図6に示すように、60rpmの条件におけるB型回転粘度計で測定した粘度が150mPa・s以上300mPa・S以下となり、揺変係数(TI)が5〜7となる。尚、揺変係数(TI)は、B型粘度計において6rpmの条件での粘度を60rpmの条件での粘度で除した値をいうものである。
【0051】
尚、無機系の吸着剤を用いたスラリーは、図6に示すように、60rpmの条件におけるB型回転粘度計で測定した粘度が25mPa・s以上100mPa・s以下となり、揺変係数(TI)が2〜3となる。
【0052】
また、無機系の吸着剤を用いたスラリーは、水を追加することにより所望の粘度に調整することができる。その一方、本実施形態に係るスラリー(32)は、アルコールを溶媒としているため、所望の粘度に調整することができず、また、アルコールが蒸発して粘度が高くなり易い。
【0053】
図5に示すように、上記回転機構(56)は、回転軸としての軸部材(57)、駆動モータ(図示なし)および支持部材(58)を備えている。上記軸部材(57)は、水平方向に延びて形成されており、その両端側の部位がそれぞれ軸受け支持部(図示なし)に支持されている。この軸部材(57)の一端には、駆動モータが連結されている。この駆動モータは軸部材(57)を回転させるものである。
【0054】
上記軸部材(57)の外周には、一対の軸受け支持部の間に一対の上記支持部材(58)が連結されている。支持部材(58)は、軸部材(57)が貫通されて該軸部材(57)の外周面に接合され、径方向外側に伸長した板状に形成されている。
【0055】
上記一対の支持部材(58)には、2つの熱交換器本体(25,25)が同時に支持される。具体的に、各熱交換器本体(25,25)は、それぞれ一対の支持部材(58)に跨って配置される。そして、各熱交換器本体(25,25)の複数のフィン(26)の配列方向と軸部材(57)の軸方向とが互いに平行となる姿勢で、一対の支持部材(58)に支持される。この状態で軸部材(57)が回転すると、一対の支持部材(58)が各熱交換器本体(25,25)を保持しながら軸部材(57)の周りを回転する。その結果、各熱交換器本体(25,25)は、自転はせずに軸部材(57)の軸心を中心に旋回する。
【0056】
上記容器(60)は、内部に回転機構(56)と各熱交換器本体(25,25)を収容し、該各熱交換器本体(25,25)に付着した余分なスラリー(32)を飛散させるための容器である。この容器(60)は、略円筒状に形成された中空の容器に形成されている。容器(60)は、上部を形成する開閉可能な扉部(61)と、下部を形成する貯留部(62)とで構成されている。
【0057】
上記扉部(61)は、容器(60)の内部の各熱交換器本体(25,25)の出し入れをするための開閉可能な扉であって、開閉扉を構成している。扉部(61)は、下方が開放された略半円筒状に形成され、容器(60)の上半分を構成している。扉部(61)は、容器(60)の内側の面が内周面(61c)に形成され、この内周面(61)のうち、容器(60)の前端側の縁部が前縁部(61e)に形成されている。また、扉部(61)は、容器(60)の外側の面が外周面(61d)に形成されている。この扉部(61)は、その円周方向の前端部(61a)が貯留部(62)の円周方向の前端部と長手方向に亘って連結し、且つその円周方向の後端部(61b)が貯留部(62)の円周方向の後端部と長手方向に亘って連結することで容器(60)が閉じられる。そして、扉部(61)は、その後端部(61b)を支点として容器(60)の上方に開くように構成されている。扉部(61)の前側には、把手(65)が設けられている。扉部(61)は、その前端部(61a)が回転機構(56)の軸部材(57)の略上方となる位置まで開くことができる。扉部(61)は、その内周面(61c)に各熱交換器本体(25,25)から飛散した余分なスラリー(32)が付着するよう構成され、その外周面(61d)に後述するシリコンラバー(71)が取り付けられている。
【0058】
上記貯留部(62)は、容器(60)内で各熱交換器本体(25,25)から飛散したスラリー(32)の一部を貯留するためのものである。この貯留部(62)は、上方が開放された略半円筒状に形成され、容器(60)の下半分を構成している。この貯留部(62)は、その円周方向の前端部が扉部(61)の円周方向の前端部(61a)と長手方向に亘って連結し、且つその円周方向の後端部が扉部(61)の円周方向の後端部(61b)と長手方向に亘って連結している。貯留部(62)の底部には、貯留したスラリー(32)を排出するための排出孔(64)が形成されている。
【0059】
上記加熱器(70)は、扉部(61)に取り付けられて該扉部(61)の内周面(61c)へ飛散して付着したスラリー(32)を加熱するためのものであって、加熱装置を構成している。この加熱器(70)は、シリコンラバー(71)とリード線(図示なし)とを備えた、いわゆるラバーヒータに構成されている。
【0060】
上記シリコンラバー(71)は、シリコン系のゴム材料によって構成される伝熱部材である。シリコンラバー(71)は、帯状に形成され、扉部(61)の外周面(61d)に該外周面(61d)の形状に沿って覆うように取り付けられている。尚、伝熱部材の材料としては、上記シリコン系のゴム材料に限られるものではない。
【0061】
上記リード線は、ニッケルクロム系合金によって構成される発熱体である。リード線は、シリコンラバー(71)の内部に挿入されている。つまり、加熱器(70)は、リード線で発熱することでシリコンラバー(71)が熱せられ、該シリコンラバー(71)を介して容器(60)の扉部(61)を加熱するように構成されている。
【0062】
−吸着熱交換器の製造方法−
次に、吸着熱交換器(20,20)の製造方法について詳細に説明する。この吸着熱交換器(20)の製造方法では、調整工程と塗布工程と飛散工程と乾燥工程とが行われる。上記各工程は、繰り返し行われる。
【0063】
先ず、上記調整工程は、吸着剤(31)が配合されたスラリー(32)を準備する工程である。スラリー(32)の具体的構成は、上述した通りである。調整工程は、原料粉末である多数の粒子状の吸着剤(31)とバインダー(33)とを溶媒に混ぜ合わせ、原料液であるスラリー(32)を生成する。このスラリー(32)は、吸着剤(31)とバインダー(33)と溶媒(34)とを混ぜ合わせることによって作られる。
【0064】
上記吸着剤(31)は、親水基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋することによって三次元構造を形成している。そして、この吸着剤は、空気から吸湿する際に、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う。本実施形態において、吸着剤(31)の平均粒径は、例えば、約50μmとなっている。
【0065】
上記塗布工程は、熱交換器本体(25)をスラリー(32)に浸漬する浸漬工程である。つまり、上記塗布工程は、一般的なフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成された熱交換器本体(25)をスラリー(32)に浸漬し、熱交換器本体(25)の表面にスラリー(32)を塗布する。尚、上記塗布工程では、熱交換器本体(25)の隅々にまでスラリー(32)を行き渡らせるために、熱交換器本体(25)をスラリー(32)に浸す動作と、スラリー(32)から熱交換器本体(25)を引き上げる動作を交互に繰り返し行ってもよいし、スラリー(32)中で熱交換器本体(25)を揺り動かす動作を行ってもよい。このような動作を行えば、フィン(26)の間の狭い空間にもスラリー(32)が確実に入り込み、熱交換器本体(25)の表面の全体にスラリー(32)が確実に付着する。
【0066】
特に、塗布工程におけるスラリー(32)は、上記吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)であり、ここでいう吸着剤(31)の収縮状態とは、吸着剤(31)が水系樹脂(35)を構成する水のみを吸収した状態をいい、原料粉末の状態における粒径をほぼ維持した状態であり、例えば、約50μmの径を維持した状態である。
【0067】
次に飛散行程が行われる。飛散工程では、図7に示すように、軸部材(57)および支持部材(58)が回転する。その結果、熱交換器本体(25,25)は空気中で旋回する。なお、この飛散行程において、軸部材(57)は、例えば500rpmで高速回転する。
【0068】
容器(60)内で各熱交換器本体(25,25)が回転すると、各熱交換器本体(25,25)の各フィン(26)の隙間に滞った余分なスラリー(32)が遠心力によって飛散する(図7の破線の矢印)。その結果、各熱交換器(41,42)では、各フィン(26)の隙間における余分なスラリー(32)が排除され、各フィン(26)の表面全域に付着したスラリー(32)が均一化される。その一方で、遠心力によって飛散した余分なスラリー(32)は、容器(60)の内周面、すなわち貯留部(62)の内周面および扉部(61)の内周面(61c)に付着する。
【0069】
また、図7に示すように、飛散工程中に扉部(61)に付着したスラリー(32)を加熱することで該スラリー(32)を乾燥させて固化させる。具体的には、リード線が通電されて発熱する。そして、リード線で生じた熱は、シリコンラバー(71)を介して容器(60)の扉部(61)の全域へ伝わる。容器(60)の扉部(61)の熱は、飛散工程によって該扉部(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱する。このため、容器(60)の扉部(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)が乾燥して固化する。つまり、容器(60)の扉部(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)が下方の熱交換器本体(25)に垂れることがなくなる。また、図8に示すように、容器(60)の扉部(61)を上方に開いて各熱交換器本体(25,25)を取り出す際にも、該扉部(61)の内周面(61c)のうち、前縁部(61e)に付着したスラリー(32)が下方の各熱交換器本体(25,25)へ垂れることがない。
【0070】
次に、乾燥工程は、浸漬工程を経た熱交換器本体(25)(即ち、表面にスラリー(32)を塗布した状態の熱交換器本体(25))を乾燥させる。この乾燥工程では、熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)に含まれる溶媒(34)(アルコール及び水)が蒸発し、粒子状の吸着剤(31)とバインダー(33)とが熱交換器本体(25)の表面に残存する。粒子状の吸着剤(31)は、バインダー(33)によって、熱交換器本体(25)の表面や隣接する他の吸着剤(31)と接着する。
【0071】
乾燥工程を経た熱交換器本体(25)では、その表面に薄い吸着剤層(30)が形成されている。本実施形態の製造方法では、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着剤層(30)の厚さを増すために、浸漬工程と飛散工程と乾燥工程とが数回から十数回繰り返される。そして、最後の乾燥工程が終わると、吸着熱交換器(20)が完成する。完成した吸着熱交換器(20)では、熱交換器本体(25)の表面に、厚さ0.25mm程度の吸着剤層(30)が形成される。
【0072】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、容器(60)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱するようにしたため、付着したスラリー(32)を乾燥して固化させることができる。これにより、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が熱交換器本体(25)へ滴下するのを確実に防止することができる。また、容器(60)から熱交換器本体(25)を取り出す際にも、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が熱交換器本体(25)へが滴下するのを確実に防止することができる。この結果、吸着熱交換器(20)の製造において、フィン(26)の隙間への吸着剤(31)やバインダー(33)の目詰まりを防止することができる。
【0073】
また、容器(60)の開閉扉(61)を加熱するようにしたため、開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を乾燥固化することができる。これにより、容器(60)から熱交換器本体(25)を取り出す際にも、容器(60)の内周面(61c)からスラリー(32)が熱交換器本体(25)へが滴下するのを確実に防止することができる。この結果、吸着熱交換器(20)の製造において、フィン(26)の隙間への吸着剤(31)やバインダー(33)の目詰まりを防止することができる。
【0074】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0075】
上記実施形態では、吸着熱交換器(20)の熱交換器本体(25)が、図9に示すようなラジエータ型のアルミニウム製の熱交換器であってもよい。本変形例の熱交換器本体(25)には、アルミニウム製の伝熱管(27)と、同じくアルミニウム製のフィン(26)とが複数ずつ設けられている。また、この熱交換器本体(25)には、二つのヘッダ(41,42)が設けられている。そして、本変形例の吸着熱交換器(20)では、この熱交換器本体(25)を構成する伝熱管(27)、フィン(26)、及びヘッダ(41,42)の表面に吸着剤層(30)が形成されている。
【0076】
上記伝熱管(27)は、図10に示すように、その断面形状が扁平な長円形となっている。また、一本の伝熱管(27)には、その軸方向へ延びる複数の流通路(45)が一列に並んで形成されている。熱交換器本体(25)において、複数の伝熱管(27)は、互いに対面する姿勢で互いに一定の間隔をおいて立設されている。また、熱交換器本体(25)の各伝熱管(27)は、それぞれの一端が第1ヘッダ(41)に接続され、それぞれの他端が第2ヘッダ(42)に接続されている。
【0077】
上記フィン(26)は、図11に示すように、細長い薄板を波形に形成したものであって、いわゆるコルゲートフィン(26)を構成している。このフィン(26)は、各伝熱管(27)の間に挟み込まれ、ロウ付け等によって伝熱管(27)と接合されている。
【0078】
また、上記実施形態においては、熱交換器本体(25)の表面全体に吸着剤層(30)を形成している。しかしながら、本発明では、熱交換器本体(25)の少なくともフィン(26)の表面に吸着剤層(30)を形成したものであってもよい。
【0079】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明は、熱交換器本体の表面に吸着剤を含む吸着層が形成される熱交換器の製造方法および製造装置について有用である。
【符号の説明】
【0081】
25 熱交換器本体
26 フィン
31 吸着剤
32 スラリー
60 容器
61 扉部
61c (扉部の)内周面
70 加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿することにより膨潤し且つ放湿することにより収縮する吸着剤(31)が熱交換器本体(25)における少なくともフィン(26)の表面に担持された熱交換器の製造方法であって、
上記吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を準備し、該スラリー(32)を上記熱交換器本体(25)の少なくともフィン(26)の表面に塗布する塗布工程と、
上記スラリー(32)を塗布した上記熱交換器本体(25)を容器(60)内に収容した状態において該熱交換器本体(25)を回転させて該熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)の一部を飛散させる飛散工程とを備え、
上記飛散工程では、上記容器(60)の内周面(61c)のうち、該容器(60)内の熱交換器本体(25)の上方に位置する部分に飛散して付着した上記スラリー(32)を加熱する
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記容器(60)は、上記熱交換器本体(25)の上方において上下に開閉して該熱交換器本体(25)の出し入れをする開閉扉(61)を有し、
上記飛散工程では、上記容器(60)の開閉扉(61)を加熱することによって該開閉扉(61)の内周面(61c)に飛散して付着した上記スラリー(32)を加熱するよう構成されている
ことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項3】
吸湿することにより膨潤し且つ放湿することにより収縮する吸着剤(31)が熱交換器本体(25)における少なくともフィン(26)の表面に担持された熱交換器の製造装置であって、
上記吸着剤(31)を収縮状態で含むスラリー(32)を少なくともフィン(26)の表面に塗布した上記熱交換器本体(25)を収容する容器(60)と、
上記容器(60)内において上記熱交換器本体(25)に付着したスラリー(32)の一部を飛散させる回転機構(56)と、
上記容器(60)の内周面(61c)のうち、該容器(60)内に収容した熱交換器本体(25)の上方に位置する部分に飛散して付着したスラリー(32)を加熱する加熱装置(70)とを備えている
ことを特徴とする熱交換器の製造装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記容器(60)は、上記熱交換器本体(25)の上方において上下に開閉して該熱交換器本体(25)を出し入れする開閉扉(61)を有し、
上記加熱装置(70)は、上記開閉扉(61)を加熱することによって該開閉扉(61)の内周面(61c)に付着したスラリー(32)を加熱するように構成されている
ことを特徴とする熱交換器の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−211743(P2012−211743A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78290(P2011−78290)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】