説明

熱交換器用フィンの製造装置

【課題】プレス加工によって透孔が形成された金属帯状体を、急加速・急減速をさせずに移送することができる熱交換器用フィンの製造装置を提供する。
【解決手段】金属帯状体を送り方向に送るための送り装置101は、金属帯状体の透孔内に挿入される送りピンが設けられている複数の往復動部材と、プレス装置の上下動動作を送り方向とその反対方向への往復動動作へと変換し、往復動部材を往復動させる駆動手段102とを有し、駆動手段102は、プレス装置の1回の上下動動作の1サイクル中の所定の半サイクルにおいては、往復動部材100a,100bのうち、一方の往復動部材100aを送りピンを金属帯状体の透孔内に挿入させた状態で送り方向に移動させ、他方の往復動部材100bを送りピンを下降させた状態で反対方向に戻らせ、残りの半サイクルにおいては、各往復動部材100a,100bの送りピンの上昇・下降を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に用いるフィンの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クーラー等の熱交換器は、熱交換チューブを挿入する透孔が複数個穿設された熱交換器用フィンが複数枚積層されて構成されている。
かかる熱交換器用フィンは、図8に示す熱交換器用フィンの製造装置によって製造される。
熱交換器用フィンの製造装置には、アルミニウム等の金属製の薄板(金属帯状体)10がコイル状に巻かれたアンコイラー12が設けられている。アンコイラー12からピンチロール14を経て引き出された金属帯状体10は、オイル付与装置16に挿入され、加工用オイルをその表面に付着され、プレス装置18内に設けられた金型装置20に供給される。
【0003】
金型装置20は、内部に上下動可能な上型ダイセット22と、静止状態にある下型ダイセット24とが設けられている。この金型装置20を通過した金属帯状体10には、穿設された透孔の周囲に所定高さのカラーが形成された複数個のカラー付き透孔11(本明細書中、単に透孔と称する場合がある)が所定の方向に所定の間隔で形成される。
かかる金属帯状体10は、所定方向に所定距離移送された後、カッター26によって所定長さに切断された後、スタッカ28に収容される。
【0004】
プレス装置18には、所定の方向に所定の間隔で複数個の透孔11が形成された金属帯状体10を、カッター26の方向に間欠的に移送する送り装置が設けられている。
図9〜図10に、送り装置の動作による金属帯状体10の移送について説明する。
送り装置は、金属帯状体10に形成された透孔11内に送りピン68を下方から進入させ、送りピン68を送り方向に移動させることにより金属帯状体10を移送方向に移送させるものである。
金属帯状体10は、基準プレート64の上に載置されている。基準プレート64には、送りピン68が移動する範囲において開口したスリット66が形成されている。このスリット66から送りピン68が上方に突出する。
【0005】
送りピン68は、水平方向及び上下方向に移動可能なピンブロック56に、上方に向けて突出して設けられている。
金属帯状体10を移送方向に移送する場合には、ピンブロック56が上昇し、基準プレート64に載置された金属帯状体10の透孔11に送りピン68が進入する。そして、ピンブロック56が移送方向に移動する。金属帯状体10を所定位置まで移動させた後、ピンブロック56が下降し、送りピン68が透孔11から下方に抜き出る。そしてピンブロック56は送りピン68が金属帯状体10に接触しない位置のまま、初期位置まで戻るように移送方向と反対方向(戻り方向)に移動する。
【0006】
次に、図11〜図13に基づいて従来の送り装置の具体的な構造とその動作について説明する。
送り装置は、送り方向に往復動する往復動部材50を有しており、往復動部材50の上部には、移動ブロック54が設けられている。移動ブロック54は、往復動部材50の両端部近傍に対向して固定された2つの固定部材82a,82b間に、往復動部材50の移動方向と同一方向に移動可能に掛け渡されているシャフト60に固着されている。このため、移動ブロック54は、シャフト60と共に往復動部材50の移動方向に移動可能である。
【0007】
送りピン68を保持するピンブロック56は、移動ブロック54の上部に設けられており、上下に配置された2枚のプレート56a,56bを有している。ピンブロック56は、プレート56a,56bの間に複数の送りピン68を挟み込んで固着している。
ピンブロック56は、図示しないバネ等の付勢手段によって下方(移動ブロック54側)に付勢されている。このため、ピンブロック56は移動ブロック54と共に移動可能であり、付勢手段の付勢力に抗する上方への力がピンブロック56に作用したとき、ピンブロック56は基準プレート64側に上昇する。
【0008】
移動ブロック54とピンブロック56との間には、上下カム部80が設けられている。 上下カム部80は、ピンブロック56側に固設された上カム部76と、移動ブロック54側に設けられた下カム部78とから構成される。上カム部76及び下カム部78の各々の対向面には、凹凸部が形成されている。
この下カム部78は、固定部材82a,82bの間に位置する移動ブロック54上に載置した、移動ブロック54よりも幅広の幅広部材78aの上面に形成されている。幅広部材78aは、移動ブロック54及びピンブロック56よりも移送方向の両端部側に突出するような大きさに形成されている。
【0009】
上カム部76の凹凸部は、幅広部材78aの下カム部78と対向する対向面に形成されている。
また、幅広部材78aは、移動ブロック54上をスライド可能であって、その移動は固定部材82a,82bによって規制される。つまり、幅広部材78aが移送方向にスライドすると、幅広部材78aの移送方向側端部は、固定部材82bの内壁面に当接し、幅広部材78aが移送方向と逆方向にスライドすると、幅広部材78aの金属帯状体10の移送方向の逆側端部は、固定部材82aの内壁面に当接する。
【0010】
図13に示すように、幅広部材78aの移送方向側端部が固定部材82bに当接する場合には、上カム部76と下カム部78とに形成された凸部同士が互いに当接する。このため、ピンブロック56は付勢手段の付勢力に抗して上方に押し上げられ、ピンブロック56に設けられた送りピン68,68・・の先端部が基準プレート64に載置されている金属帯状体10の透孔内11に進入する。
【0011】
一方、図11及び図12に示すように、幅広部材78aが移送方向(固定部材82bの方向)にスライドし、幅広部材78aの他端が固定部材82bに当接する場合には、上カム部76と下カム部78とに形成された凹部と凸部とが嵌合する。このため、ピンブロック56は付勢手段の付勢力によって移動ブロック54に押し付けられ、ピンブロック56の送りピン68,68・・の先端部は基準プレート64に載置されている金属帯状体10の透孔11から下方に抜き出る。
【0012】
このような金属帯状体10の送り装置では、基準プレート64に載置された金属帯状体10は固定ブロック52bの方向に移送され、移送された後はこの位置で金属帯状体10を位置決めするための位置決めピン84が設けられている。
この位置決めピン84は、固定ブロック52bから上方に突出入するように設けられている。位置決めピン84は、固定ブロック52bに設けられた位置決めカム部86によって上下動する。
【0013】
位置決めカム部86は、互いに対向する対向面に凹凸部が形成された上部カム部86aと下部カム部86bとから構成されており、下部カム部86bは固定ブロック52bよりも幅広で且つスライド可能に形成された幅広材87に形成されている。
下部カム部86bが、両者の凸部同士が接合する方向にスライドすると、位置決めピン84の先端部は、基準プレート64上に突出し、基準プレート64に載置されている金属帯状体10の透孔11内に挿入され、金属帯状体10を位置決めする。
【0014】
他方、下部カム部86bが、両者の凸部と凹部とが嵌合する方向にスライドすると、位置決めピン84の先端部は、基準プレート64の基準面よりも下方に位置し、基準プレート64に載置されている金属帯状体10のカラー付き透孔11内から抜き出され、金属帯状体10の位置決めを解除できる。
【0015】
かかる下部カム部86bの幅広材87は、固定ブロック52bと対向する固定ブロック52aにスライド可能に挿入されたスライド部材88とシャフト90によって連結されている。
また、シャフト90は、移送方向に沿って対向して配置された2つの固定ブロック52a、52b間に亘って配置されている。シャフト90は、往復動部材50を貫通して配置されており、往復動部材50の移動を妨げないように設けられている。
【0016】
往復動部材50が移送方向に移動したとき、往復動部材50の移動方向側端部が、下部カム86bの幅広材87の端部を押圧するので、下部カム部86bが、上部カム部86aとの凸部同士が接合する方向にスライドする。
往復動部材50は移動方向と逆方向に移動したとき、往復動部材50の移動方向の逆側端部が、シャフト90の幅広材87が設けられている側と反対側のスライド部材88の端部を押圧するので、下部カム部86bが上部カム部86aとの間の凹部と凸部が嵌合する方向にスライドする。
【0017】
次に、図14〜図15に基づいて移動ブロックの移動動作について説明する。
移動ブロック54は、図示しないバネによって往復動部材50の中央部に保持されている。そして、往復動部材50には、移動ブロック54を往復動部材50の所定の位置に確実に所定の位置に保持する保持手段92が、往復動部材50から突出するようにして設けられている。
保持手段92は、往復動部材50から移動ブロック54に側に突出して先端部が移動ブロック54に係合するピン部材98を有している。ピン部材98は往復動部材の移動に伴って移動ブロック54の保持と保持解除を行えるように、構成されている。ピン部材98の下端部には移送方向に沿って回転する車輪97が設けられており、付勢手段95によって、車輪97は常に下方に向けて付勢されている。
【0018】
往復動部材50の下方には、上方に突出する台形状部を有するカム部材96が配置されている。このカム部材96の表面に、ピン部材98の車輪97が設けられた下端部が付勢手段95の付勢力によって当接している。
【0019】
車輪97がカム部材96の台形状部に位置するとき、ピン部材98の先端部は上昇して移動ブロック54の凹部に挿入されて両者は係合する。そして保持手段92は、移動ブロック54を往復動部材50の所定の位置に確実に保持できる。
一方、移動ブロック54の移動が終端近傍に到達したとき、車輪97がカム部材96の台形状部よりも低い位置に位置し、ピン部材98先端部は移動ブロック54の凹部から抜き出され、両者の係合が解除される。
【0020】
なお、往復動部材50の往復動は、プレス装置のプレス動作によって行われる。
プレス装置のプレス動作によって往復動部材を往復動させる駆動手段を、図16に示す。
かかる駆動手段は、プレス装置18と同期回転するクランク30の偏心ピンに連結棒32を連結し、ピン34を中心として揺動する第1のリンク36と、支点軸38を中心として回動するレバー40に連結した第2のリンク42とを、連結棒32の下端のピン44に連結している。
第1のリンク36には、その遥動角度を調整するシリンダ装置37が設けられている。このように、プレス装置18と同期しているクランク30の回転で、連結棒32が第1のリンク36と第2のリンク42を介して、レバー40を往復動させる。このレバー40が往復動部材50に接続されており、レバー40の往復動に基づいて往復動部材50も往復動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許第3881991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
プレス装置の上下動動作を回転動作で表したもの及び動作表を図17及び図18に示す。
プレス装置における型開きから型閉じを経て、再度型開きの状態になるまでの1回の上下動サイクルに基づいてクランク30が1回転(360°回転)とすると、0°の位置では金型の上死点、180°の位置が下死点となる。
このようなプレス装置の上下動1サイクルによる往復動部材50の移動は、クランク30の270°〜0°(上死点)〜90°の間では送り方向への移動であり、クランク30の90°〜180°(下死点)〜270°の間では送り方向と反対方向(つまり戻り方向)への移動となる。
【0023】
つまり、従来の技術では、クランク30の1回転で往復動部材50の往復動が完結するが、この間に送りピン68の上昇動作と下降動作、及び位置決めピン84の上昇動作及び下降動作も実行される。
送りピン68の下降及び位置決めピン84の上昇は、金属帯状体の送りが完了したとき(すなわち往復動部材50の送り方向への移動が終了する前)に行われるのであるから、図17のクランク30の90°よりも手前の位置で送りピン68が下降し、及び位置決めピン84が上昇する。
また、送りピン68の上昇及び位置決めピン84の下降は、金属帯状体の送り開始直前(すなわち往復動部材50の送り方向への移動の開始直前)に行われるのであるから、図17のクランク30の270°よりも手前の位置で送りピン68が上昇し、及び位置決めピン84が下降する。
【0024】
このように従来の技術では、プレス装置の1回の上下動サイクルの間で、往復動部材の往復と送りピンの上下動を行っていた。このため、送りピンの上下動の時間を除けば、往復動部材による金属帯状体の移送時間に割ける時間は短時間になってしまうこととなり、往復動部材の移動による金属帯状体の移送速度が高速化していた。
金属帯状体の移送速度が高速化すると、金属帯状体の停止時から移送開始時への加速度が大きく(急加速に)なり、且つ移送中から停止時への加速度が大きく(急減速に)なってしまう。
このように金属帯状体が急加速及び急減速で移送されると、金属帯状体に非常に大きな負荷がかかってしまうという課題がある。特に近年では、金属帯状体が非常に薄肉化しており、大きな負荷をかけることにより製品の変形等のおそれがある。
また、急加速・急減速を伴う移送では、金属帯状体の送り精度が悪いという課題もある。
【0025】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、プレス加工によって透孔が形成された金属帯状体を、急加速・急減速をさせずに移送することができる熱交換器用フィンの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明にかかる熱交換器用フィンの製造装置によれば、金属製の薄板に、該薄板の送り方向及び送り方向と直交する方向である幅方向に、それぞれ複数並列して複数の透孔をプレス加工により穿設して金属帯状体を形成するプレス装置と、プレス装置によって形成された金属帯状体を送り方向に送るための送り装置とを具備する熱交換器用フィンの製造装置において、前記送り装置は、上面に金属帯状体が載置され、上面と下面とを連通して金属帯状体の送り方向に延びるスリットが形成されている基準プレートと、該基準プレートの下方に設けられ、基準プレートと平行に金属帯状体の送り方向及びその反対方向に往復動し、且つ前記基準プレート側に上下動可能であって先端部が基準プレートに載置された金属帯状体の透孔内に挿入される送りピンが設けられている複数の往復動部材と、前記プレス装置の上下動動作を送り方向とその反対方向への往復動動作へと変換し、前記往復動部材を往復動させる駆動手段とを有し、各前記往復動部材は、前記往復動動作の順序が異なる2つの群に区分されており、前記駆動手段は、前記プレス装置の1回の上下動動作の1サイクル中の所定の半サイクルにおいては、前記2つの往復動部材群のうち、一方の往復動部材群が送りピンを金属帯状体の透孔内に挿入させた状態で送り方向に移動する送り工程と、他方の往復動部材群が送りピンを下降させた状態で送り方向と反対方向に戻る戻り工程とを実行するように、各往復動部材群を駆動し、残りの半サイクルにおいては、一方の往復動部材群の送りピンの下降工程と、他方の往復動部材群の送りピンの上昇工程とを実行して、各往復動部材群を送り方向及びその反対方向には駆動させないように動作することを特徴としている。
【0027】
この構成を採用することによって、送り装置では、プレス装置の1回の上下動サイクルのうちの半分のサイクルで往復動部材よる金属帯状体の移送を行い、残りの半分のサイクルで送りピンの上昇及び下降を行っている。このため、従来のように1回の上下動サイクルのうちの半分のサイクルで往復動部材による金属帯状体の移送と送りピンの下降を行い、残りの半分のサイクルで往復動部材の戻り動作と送りピンの上昇を行った場合よりも、金属帯状体の移送にかける時間を長くとることができ、金属帯状体の移送の際に急加速・急減速をさせることなく、さらには金属帯状体への負荷を軽減することができる。
【0028】
さらに、前記駆動手段は、プレス装置の上下動動作を送り方向とその反対方向への往復動動作に変換するリンク部と、該リンク部によって往復動するラックと、該ラックと噛み合ってラックの往復動を回転運動に変換する歯車機構と、該歯車機構内に設けられ、前記ラックの往復動動作のうち一方方向への動作のみを一方方向への回転運動に変換するクラッチ機構と、前記歯車機構から最終的に前記複数の往復動部材へ出力するため、幅方向に互いに噛み合って複数整列した最終出力歯車と、最終出力歯車の回転運動を、各前記往復動部材の往復動動作に変換するように最終出力歯車と各前記往復動部材とを連結した複数のリンクアームとを備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、まずクラッチ機構によりプレス装置の1回の上下動動作のうちの半分のサイクルにおける動作は最終出力歯車には伝達させないようにできる。このため、最終出力歯車に伝達されない期間は往復動部材の往復動動作はせずに、送りピンの上下動の動作に用いる時間とすることができる。
また、最終出力歯車は互いに噛み合って複数整列しているので、隣り合う最終出力歯車の回転方向は互いに逆方向となる。したがって、隣り合う最終出力歯車に連結されたリンクアームの動作は互いに逆方向に動作することとなり、隣り合う最終出力歯車に連結された往復動部材を、一方の往復動部材群を構成する往復動部材及び他方の往復動部材群を構成する往復動部材とすることができる。
【0029】
また、各前記往復動部材の送りピンの上下動を行う上下動手段が、前記プレス装置のプレス動作に基づく動作に基づいて動作する前記駆動手段とは別個に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、プレス装置の動作に基づいて送りピンの動作を行わなくても良いので、金属帯状体の移送にかける時間を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、急加速・急減速をさせずに金属帯状体を移送することができる。このため、移送対象となる金属帯状体に過大な負荷をかけることなく、また送り精度も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る熱交換器用フィンの製造装置の金属帯状体の送り動作の概要を示す説明図である。
【図2】図1の説明図をさらに模式的に示した説明図である。
【図3】送り装置の平面図である。
【図4】送り装置の側面図である。
【図5】駆動手段のうちクラッチ機構の構成を示す説明図である。
【図6】本実施形態の往復動部材の動作を説明する説明図である。
【図7】送り装置の第2の実施形態を示す平面図である。
【図8】熱交換器用フィン製造装置の概略構成を説明する説明図である。
【図9】送りピンによって金属帯状体を移送しているところを示す説明図である。
【図10】金属帯状体の移送後に送りピンが初期位置に戻るところを示す説明図である。
【図11】ピンブロックを上下動させるための構造について、移動ブロックが終端位置に到着して移送ピンが下降したところを示す説明図である。
【図12】図11において、初期位置方向に移動ブロックが初期位置方向に戻ろうとするところを示す説明図である。
【図13】図12において、初期位置に移動ブロックが戻ったところを示す説明図である。
【図14】従来の往復動部材の構造を示す説明図である。
【図15】図14において往復動部材と移動ブロックの係合が解除されたところを示す説明図である。
【図16】プレス装置のプレス動作によって往復動部材を往復動させる駆動手段を示す説明図である。
【図17】従来のプレス動作に基づく金属帯状体の送りタイミングを示す説明図である。
【図18】図17に基づいてプレス動作と金属帯状体の送り動作との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る熱交換器用フィンの製造装置全体としての概略構成は、図8で示した通りである。そこで、熱交換器用フィンの製造装置全体としての概略構成に関する説明は、従来の技術を参照し、ここでは説明を省略する。
以下、主として送り装置の構成について、好適な実施の形態を説明するが、従来の技術において説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0033】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の概念を従来の往復動部材の動作と比較した場合の説明図を示す。図2は、図1に示したような往復動部材の動作概念の具体例を概略的に示した説明図である。
まず、本発明の送り装置101においては、それぞれ送りピン68を有する複数の往復動部材100,100・・が設けられている。
プレス装置18の1回の上下動動作のうち、0°が上死点、180°が下死点である。このような上下動動作1回のサイクル中、270°〜90°の半サイクル間で、一方の往復動部材100aは、送りピン68を金属帯状体10の透孔11内に挿入して金属帯状体10を移送する。このとき、他方の往復動部材100bは、戻り方向に移動する。
次の半サイクル90°〜270°において、一方の往復動部材100aは送りピン68を下降させ、他方の往復動部材100bは送りピン68を上昇させる。
【0034】
そして、プレス装置18の次の上下動動作の2回目のサイクル中、270°〜90°の半サイクル間で、一方の往復動部材100aは、戻り方向に移動する。このとき、他方の往復動部材100bは、送りピン68を金属帯状体10の透孔11内に挿入して金属帯状体10を移送する。
次の半サイクル90°〜270°において、一方の往復動部材100aは送りピン68を上昇させ、他方の往復動部材100bは送りピン68を下降させる。
【0035】
このように、本願における送り装置101では、従来のように、半サイクルで金属帯状体10の移送並びに送りピン68の上昇動作及び下降動作を行わなくてはならなかった場合と比較して、金属帯状体10の移送にかける時間を長くすることができ、金属帯状体10にかかる急加速・急減速による負荷の軽減を図ることができる。
【0036】
図3に、第1の実施形態の具体的な送り装置の平面図を示す。図4には、図3に示した送り装置の側面図を示す。
第1の実施形態では、5つの往復動部材100が幅方向に整列し、各往復動部材100は互い違いに動作方向が異なっている。なお、図3では、5つの往復動部材100は、戻り位置にある3つの往復動部材100aと、送り方向に進んでいる2つの往復動部材100bとから構成されている。本実施形態では、特許請求の範囲でいう一方の往復動部材群が3つの往復動部材100a、他方の往復動部材群が2つの往復動部材100bに該当する。
【0037】
(送り装置の全体構成)
送り装置101は、上面に金属帯状体10が載置される基準プレート64と、それぞれに送りピン68が設けられている複数の往復動部材100a、100bと、往復動部材100a、100bを金属帯状体10の送り方向に沿って往復動させる駆動手段102とを備えている。
基準プレート64には、その上面と下面とを連通して金属帯状体10の送り方向に沿って長尺に形成されたスリット66が形成されており、このスリット66内に下方から送りピン68が進入して基準プレート64の上方に突出する。
【0038】
各往復動部材100a、100bは、送り方向に沿って配置されているガイド装置104に設けられている。ガイド装置104は、直線運動を効率よくガイドできるように低い抵抗値で動作できるように、レール部106と、レール部106に対して低抵抗で直動可能な動作部107とを有しており、往復動部材100の下部が動作部107に取り付けられている。
【0039】
(駆動手段)
駆動手段102は、プレス装置18の上下動動作を往復動動作に変換するリンク部を有している。リンク部の構成は、従来の技術で説明した図16と同一の構造であるので、ここでは図示及び説明を省略する。
図16に示したリンク部によって出力される送り方向に沿った往復動動作によってラック110が、送り方向に沿って往復動する。
【0040】
ラック110には、複数の歯車から構成される歯車機構が接続されている。歯車機構によってラックの往復動動作が回転動作に変換される。
本実施形態の歯車機構としては、ラック110と噛み合う第1歯車112と、第1歯車112と噛み合って第1歯車112の回動動作を一方方向のみへの回転動作に変換するクラッチ機構114と、クラッチ機構114と同軸上に設けられている第2歯車116と、第2歯車116と噛み合って最終出力歯車へ回転力を出力する第3歯車117とを有している。
【0041】
次に、クラッチ機構及びクラッチ機構を動作させる構成を、図5に示す。
クラッチ機構114としては、1回転クラッチと称されているクラッチを採用している。クラッチ機構114は、大径の外輪140と、外輪140と同軸上に配置されている小径の内輪142と、クラッチ部141と、外輪140及び内輪142の中心に配置された回転軸143とを備えている。
以下、クラッチ機構114におけるクラッチの切り換えについて説明する。
クラッチ部141の外周面には段差部115が形成されており、この段差部115に、ラック110の動作と連動するように設けられたレバー118が当接するとクラッチオフとなり、外輪140の回転を内輪142に伝達しない状態となる。段差部115からレバー118が離間することによってクラッチオンとなり、外輪140の回転を内輪142に伝達する状態となる。
なお、このような1回転クラッチの機構自体は公知のものである。
【0042】
レバー118は、平面視すると略T字状を成しており、T字の上片118aと、上片118aの中途部から図面下方に延びる中心片118bとから構成される。レバー118は、上片118aと中心片118bの交差部分を中心軸119として水平面内で回動可能に設けられている。レバー118の図面左右方向に延びる上片118aの一方の端部は、ラック110に連結されて移送方向に延びる往復動レバー120の先端部に連結されている。また、レバー118の上片118aの他方の端部には、送り装置本体101に立設された支柱121との間に引っ張りスプリング122が設けられている。
【0043】
レバー118の中心片118bの先端部が、クラッチ機構114の内輪142の段差部115に当接する箇所である。レバー118の中心片118bの先端部の、段差部115への当接は、レバー118の両端部に連結された往復動レバー120の動作と、引っ張りスプリング122のバランスによって行われる。
【0044】
往復動レバー120が、図面上方(送り方向と逆方向)の端部に移動したとき、往復動レバー120の送り方向と逆方向側の端部がレバー118の上片118aの一方の端部を図面上方(送り方向と逆方向)に押動する。すると、レバー118は引っ張りスプリング122の牽引力に抗して、中心軸119を中心として平面視時計回りに回動し、中心片118bの先端部が段差部115から離間する。
このときは、プレス装置18のサイクルでいうと270°の時である。
【0045】
レバー118が段差部115から外れると、ラック110と噛み合った第1歯車112からの回転力によって、クラッチ機構114の外輪140は平面視右回転(時計回り)に回転する。
また、往復動レバー120は図面下方(送り方向)に移動していくので、引っ張りスプリング122の牽引力によってレバー118は平面視左回転(逆時計回り)する。このため、レバー118の中心片118bの先端部がクラッチ機構114のクラッチ部141の外周面に押しつけられ、内輪142はそのまま回転を続行する。往復動レバー120が、図面下方(送り方向)に移動する途中で、プレス装置18のサイクルでいうと0°になる。
【0046】
往復動レバー120が図面下方(送り方向)の端部に位置したとき、プレス装置18のサイクルでいうと90°のときであり、内輪142はちょうど1回転したところである。すると、レバー118の中心片118bの先端部が段差部115にはまり込み、クラッチオフの状態となり内輪142の回転が停止する。
【0047】
往復動レバー120が、図面下方(送り方向)の端部から上昇し始め、図面上方(送り方向と逆方向)の端部へ到達する途中でプレス装置18のサイクルでいう180°になる。このときは、第1歯車112はラック110との噛み合いにより先ほどとは逆方向への回転となる。したがって、第1歯車112と噛み合っている外輪140は、先ほどまでと逆回転である平面視左回転(反時計回り)に回転する。
しかしながら、クラッチ機構114はこのときクラッチオフとなっており、外輪140の左回転は回転軸143への回転が伝達されない。
【0048】
クラッチ機構114の回転軸143の下部には、第2歯車116が設けられている。本実施形態ではクラッチ機構114が平面視右回転(時計回り)したときにのみ回転軸143が回転するので、第2歯車116は平面視右回転(時計回り)のみの回転となる。また、第2歯車116の回転は、上述したようにプレス装置の270°〜90°までの間である。
【0049】
第2歯車116と噛み合っている第3歯車117は、第2歯車116との回転比が、2:1となるように構成されている。したがって、第2歯車116が1回転すると、第3歯車117は半回転する。
また、第3歯車117と、第3歯車117に噛み合っている最終出力歯車124とは、回転比が1:1である。このようにすることにより、プレス半サイクルで1回転する第2歯車116に対して第3歯車117は半回転し、第3歯車117と1:1の回転比となっている最終出力歯車124も半回転する。
このように、最終出力歯車124は、プレス半サイクルの中で、往復動部材100が送り動作又は戻り動作のいずれかを実行することができる。
なお、上述した構成では、第2歯車116と第3歯車117との回転比が2:1になる場合について説明したが、本発明としては、第2歯車116と最終出力歯車124との回転比が2:1になればよい。したがって、第3歯車117を設けずに、第2歯車116と最終出力歯車124とを直接噛み合わせて回転比が2:1になるように構成してもよい。
【0050】
上述してきたようなクラッチ機構114を設けたことにより、プレス装置18の1回の上下動動作の半サイクルで往復動動作をせずに、その間に送りピン68の上昇動作と下降動作を実行する。
残りの半サイクルでは往復動部材100a、100bの往復動動作のみを行うようにすることができる。
【0051】
ここで図3及び図4に戻り、往復動部材100a、100bを動作させる構成について説明する。
第3歯車117は、各往復動部材100a,100bを動作させるための複数(本実施形態では5つ)の最終出力歯車124a〜124eのいずれか1つと噛み合っている。
最終出力歯車124a〜124eのそれぞれは、各往復動部材100a、100bを動作させるべく、幅方向(送り方向と直交する方向)に並列して配置された各往復動部材100a、100bと同様に、幅方向に互いに噛み合って整列している。
【0052】
整列した最終出力歯車124a〜124eのうちの1つ(本実施形態では124a)と噛み合った第3歯車117は、第2歯車116から伝達された回転力を最終出力歯車124aに伝達する。
5つの最終出力歯車124a〜124eのうち、第3歯車117に噛み合っている最終出力歯車124aは第3歯車117とは逆回転し、最終出力歯車124aと噛み合っている隣の最終出力歯車124bは最終出力歯車124aとは逆回転する。このように、互いに噛み合って整列している最終出力歯車124〜124eは、隣接するもの同士が互いに逆回転するように設けられている。
【0053】
次に、各最終出力歯車124の回転力を往復動部材100の往復動動作に変換する機構について説明する。
各最終出力歯車124の回転軸126に、回転軸126とともに回転する平板状のリンク部材132が設けられている。本実施形態におけるリンク部材132は、平面視すると概略四角形状の板状の部材であり、略中心位置に回転軸126の上端部が取り付けられている。リンク部材132の一部には、切り欠き部137が形成されており、この切り欠き部137内にローラ134bが収納されている。
【0054】
ローラ134bは、上下方向に貫通するシャフト135に対して回転可能に取り付けられており、さらにシャフト135の下端部には、ローラ134aがシャフト135に対して回転可能に取り付けられている。
また、四角形状のリンク部材132の回転軸126の周囲には、長円の溝128が形成された溝カム130が配置されている。溝128は、回転軸126を中心とするように形成されており、この溝カム130の溝128内には、上述したローラ134aが収納され、ローラ134aは回転軸126を中心とするように形成された溝128内で溝128の内壁面に当接しつつ回転しながら動作する。
本実施形態における溝カム130は、幅方向に延びる板状の部材であって、各最終出力歯車124の上方にそれぞれ溝128が形成されている。
【0055】
上述したシャフト135は、リンクアーム136の他端部に設けられている。リンクアーム136は、リンク部材132と往復動部材100との間を連結するために設けられているものであって、リンク部材132の切り欠き部137に収納されているローラ134bの動きによりリンクアーム136が動作する。
また、リンクアーム136の一端部は、シャフト139を介して往復動部材100に回動可能となるように取り付けられている。つまりリンクアーム136と、リンク部材132、ローラ134a、134bは、リンク部材132の回転によってリンクアーム136を往復運動させるクランクを構成している。
【0056】
このような機構に基づく往復動部材の動作について図6に基づいて説明する。
最終出力歯車124の回転軸126の回転動作に伴ってリンク部材132が水平面内で回転する。上述したように最終出力歯車124の回転軸126の回転方向は、互いに隣り合うもの同士で逆回転となる。図6では、左側から右回転、左回転、右回転となるように配置されている。
【0057】
リンク部材132の回転によって、リンク部材132の切り欠き部137に収納されているローラ134bが、回転軸126の周囲を周回する。
また、シャフト135の下端部に設けられているローラ134aは、溝カム130の溝128内に収納されているので、シャフト135は溝128の平面形状に沿って移動する。このローラ134aの溝128内の移動に基づく円運動(厳密には長円)により、リンクアーム136が往復運動する。このため、往復動部材100は、送り方向及びその逆方向に往復動する。
【0058】
なお、溝128の形状は、送り方向に長径となる長穴状に形成されている。つまり溝128の形状としては、プレス動作の270°及び90°付近では、送り方向への移動距離が他の箇所と比較して短くなるように形成されている。
このため、往復動部材100は、送りスタート時及び送り終了時にかけて送り方向への移動量が少なり、送りスタート時及び送り終了時には送り方向への移動が停止する。このようにすることで、送りスタート時及び送り終了時の急なスタート及び急な停止を防止することができ、金属帯状体10への負荷を軽減することができる。
【0059】
(送りピンの構成)
次に、送りピンの構成について図4に戻り説明する。
往復動部材100の上面には、送りピン68が上方に向けて突出するように配置されているピンブロック56が設けられている。
ピンブロック56は、図示しないバネ等の付勢手段によって下方(往復動部材100側)に付勢されている。ピンブロック56は往復動部材100と共に移動可能であり、付勢手段の付勢力に抗する上方への力がピンブロック56に作用したとき、ピンブロック56は基準プレート64側に上昇し、送りピン68を上昇させる。
【0060】
往復動部材100の上面とピンブロック56との間には、上下カム部80が設けられている。上下カム部80は、ピンブロック56側に固設された上カム部76と、往復動部材100側に設けられた下カム部78とから構成される。
上カム部76及び下カム部78の各々の対向面には、凹凸部が形成されている。
上カム部76は、ピンブロック56の下部において、下方にむけて凹凸部が突出するように設けられている。
下カム部78は、往復動部材100及びピンブロック56よりも移送方向の両端部側に突出するように形成された、往復動部材100よりも幅広(移送方向に長い)の幅広部材78aの上面に形成されている。このような下カム部78の凹凸部は上方に向けて突出するように形成されている。したがって、上カム部76と下カム部78の互いの凹凸部は対向するように配置される。
【0061】
下カム部78の幅広部材78aは、往復動部材100の上面をスライド可能に設けられている。幅広部材78aのスライドにより、上カム部76の凹凸部と下カム部78の凹凸部との接触位置がずれて、ピンブロック56を上下動させ、送りピン68を上昇又は下降させる。上カム部76の凸部と下カム部78の凸部が当接しているときはピンブロック56が上昇し、送りピン68が基準プレート64のスリット66から上方へ突出している。また、上カム部76と下カム部78の互いの凹凸部が嵌合している状態のときは、ピンブロック56が下降し、送りピン68が基準プレート64のスリット66から下方に下降している。
【0062】
本実施形態においては、下カム部78の幅広部材78aをスライドさせ、送りピン68を上下動させる上下動手段として、1つの往復動部材100につき、2つのエアシリンダー108、109を用いている。
エアシリンダー108、109は、往復動部材100の送り方向の初期位置(スタート位置)側と終端位置(エンド位置)側のそれぞれに設けられている。終端位置側に配置されたエアシリンダー108は、移送終了時点でロッド108aを突出させて幅広部材78aをスライドさせて送りピン68を下降させている。初期位置側に配置されたエアシリンダー109は、戻り終了時点でロッド109aを突出させて幅広部材78aをスライドさせて送りピン68を上昇させている。
【0063】
なお、本実施形態における各エアシリンダー108,109は、プレス装置18の上下動動作を往復動動作に変換して往復動部材100を動作させる駆動手段102とは接続されておらず、駆動手段102の動作とは切り離された制御部(図示せず)によって動作制御されている。
つまり、上述してきたように送りピン68の上下動動作は、プレス装置18の上下動動作のうちの往復動部材100が動作しない半サイクルで行われるため、停止中の駆動手段102により送りピン68の動作を行うことは困難であると考えられたためである。
【0064】
なお、本発明における熱交換器用フィンの製造装置では、プレス加工動作中に金属帯状体10を保持するための位置決めピンの必要は無く、金属帯状体10を送り方向に送った送りピン68をそのまま透孔11内に挿入させておくことで、従来の位置決めピンと同様の作用を奏することができる。
この点については、図2に示したように、送り動作終了後の次の半サイクルはプレス加工中であって、この半サイクルでは往復動部材100の移動が無いので、送りピン68をそのまま透孔11内に挿入させておくことができるため可能となったのである。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、往復動部材の配置が上述してきた実施形態とは異なる実施形態について説明する。なお、上述してきた実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
本実施形態は図7に示すように、互いに隣り合って逆方向に移動する往復動部材100a,100bの配置位置が、最終出力歯車124に対して送り方向に沿って逆方向となっている。さらに、逆方向に動作する往復動部材100a,100bはそれぞれ1つずつ設けられているのみである。
【0066】
往復動部材100a,100bの配置位置及びその数が異なるだけで、その他の構造及び動作は上述してきた実施形態と同一である。
なお、最終出力歯車124a〜124eの数は上述してきた実施形態5つで同じ数であり、複数のリンクアーム136は、幅方向に幅広に形成された各往復動部材100a,100bに共通に取り付けられている。
すなわち、最終出力歯車124a、124c、124eのそれぞれに設けられている各リンクアーム136は、送り方向に向いて取り付けられており、この3つのリンクアーム136が1つの往復動部材100aに取り付けられている。一方、最終出力歯車124b、124dのそれぞれに設けられている各リンクアーム136は、送り方向とは逆方向に向いて取り付けられており、この2つのリンクアーム136が1つの往復動部材100bに取り付けられている。
【0067】
このような構成とすることによっても、従来のように、半サイクルで金属帯状体10の移送並びに送りピン68の上昇動作及び下降動作を行わなくてはならなかった場合と比較して、金属帯状体10の移送にかける時間を長くすることができ、金属帯状体10にかかる急加速・急減速による負荷の軽減を図ることができる。
【0068】
なお、往復動部材100を往復動させる駆動手段102の構成としては、上述してきた各実施形態と同一のものに限定はされない。
すなわち、歯車の数も上述した実施形態と同様でなくてもよく、中間にさらに歯車を追加してもよい。
【0069】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0070】
10 金属帯状体
11 透孔
12 アンコイラー
14 ピンチロール
16 オイル付与装置
18 プレス装置
20 金型装置
22 上型ダイセット
24 下型ダイセット
26 カッター
28 スタッカ
30 クランク
32 連結棒
34,44 ピン
36 リンク
37 シリンダ装置
38 支点軸
40 レバー
42 リンク
50 往復動部材
52a、52b 固定ブロック
54 移動ブロック
56 ピンブロック
56a,56b プレート
60 シャフト
64 基準プレート
66 スリット
68 送りピン
76 上カム部
78 下カム部
78a 幅広部材
80 上下カム部
82a,82b 固定部材
84 ピン
86 カム部
87 幅広材
88 スライド部材
90 シャフト
92 保持手段
95 付勢手段
96 カム部材
97 車輪
98 ピン部材
100a,100b 往復動部材
101 装置本体
102 駆動手段
104 ガイド装置
106 レール部
107 動作部
108,109 エアシリンダー
108a,109a ロッド
110 ラック
112 第1歯車
114 クラッチ機構
115 段差部
116 第2歯車
117 第3歯車
118 レバー
118a 上片
118b 中心片
119 中心軸
120 往復動レバー
121 支柱
122 引っ張りスプリング
124 最終出力歯車
126 回転軸
127 切り欠き部
128 溝
130 溝カム
132 リンク部材
134a,134b ローラ
135 シャフト
136 リンクアーム
139 シャフト
140 外輪
142 内輪
143 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の薄板に、該薄板の送り方向及び送り方向と直交する方向である幅方向に、それぞれ複数並列して複数の透孔をプレス加工により穿設して金属帯状体を形成するプレス装置と、
プレス装置によって形成された金属帯状体を送り方向に送るための送り装置とを具備する熱交換器用フィンの製造装置において、
前記送り装置は、
上面に金属帯状体が載置され、上面と下面とを連通して金属帯状体の送り方向に延びるスリットが形成されている基準プレートと、
該基準プレートの下方に設けられ、基準プレートと平行に金属帯状体の送り方向及びその反対方向に往復動し、且つ前記基準プレート側に上下動可能であって先端部が基準プレートに載置された金属帯状体の透孔内に挿入される送りピンが設けられている複数の往復動部材と、
前記プレス装置の上下動動作を送り方向とその反対方向への往復動動作へと変換し、前記往復動部材を往復動させる駆動手段とを有し、
各前記往復動部材は、前記往復動動作の順序が異なる2つの群に区分されており、
前記駆動手段は、
前記プレス装置の1回の上下動動作の1サイクル中の所定の半サイクルにおいては、前記2つの往復動部材群のうち、一方の往復動部材群が送りピンを金属帯状体の透孔内に挿入させた状態で送り方向に移動する送り工程と、他方の往復動部材群が送りピンを下降させた状態で送り方向と反対方向に戻る戻り工程とを実行するように、各往復動部材群を駆動し、
残りの半サイクルにおいては、一方の往復動部材群の送りピンの下降工程と、他方の往復動部材群の送りピンの上昇工程とを実行して、各往復動部材群を送り方向及びその反対方向には駆動させないように動作することを特徴とする熱交換器用フィンの製造装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、
プレス装置の上下動動作を送り方向とその反対方向への往復動動作に変換するリンク部と、
該リンク部によって往復動するラックと、
該ラックと噛み合ってラックの往復動を回転運動に変換する歯車機構と、
該歯車機構内に設けられ、前記ラックの往復動動作のうち一方方向への動作のみを一方方向への回転運動に変換するクラッチ機構と、
前記歯車機構から最終的に前記複数の往復動部材へ出力するため、幅方向に互いに噛み合って複数整列した最終出力歯車と、
最終出力歯車の回転運動を、各前記往復動部材の往復動動作に変換するように最終出力歯車と各前記往復動部材とを連結した複数のリンクアームとを備えることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用フィンの製造装置。
【請求項3】
各前記往復動部材の送りピンの上下動を行う上下動手段が、前記プレス装置のプレス動作に基づく動作に基づいて動作する前記駆動手段とは別個に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱交換器用フィンの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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