説明

熱交換器用電子制菌装置

【課題】 これまで、電子制菌装置や作用極や対極自体の故障、又は制菌装置と作用極や対極との配線等に問題が起こった場合と、単に一時的に熱交換器の液流量や流速が不足した場合の区別がつかないため、液流量や流速が正常状態になった時点でも再起動することができずに、電子制菌装置の停止期間が長引いてしまうという問題があった。
【解決手段】 熱交換器に供給される液流量、液流速、液圧力のうち少なくとも一つを検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御することにより、単に一時的に熱交換器の液流量や流速が不足した場合には液流量が正常状態になった時点で再起動することができ、結果として、電子制菌装置の停止期間を短くすることができるばかりでなく、作用極や対極を劣化させたり、溶出させたりせずに、電極の寿命を長くすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の流路に生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止したり、水中に含まれる微生物や有機物の量を制御し、電気化学的に水質を制御したりする熱交換器用電子制菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水や淡水中には多くの生物が存在し、水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしている。例えば、船舶に付着すると推進抵抗の増大といった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着すると海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題などが発生する。
また、給排水のパイプ内やバルブ等に付着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染するといった問題を発生する。
【0003】
海水や淡水に接している構造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りである。まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さらにグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。
【0004】
上記、海水や淡水に接している水中構造物の表面に付着した生物による汚染に対する制菌方法としては、殺菌性を有する物質を被防汚面に添加したり、有機スズ系化合物を含有した塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物を溶出させたり、海水を電気分解する事により発生する塩素を利用したりする防汚方法が一般的に行われていた。しかし、これらの方法は有害物質が発生し、水質の汚染による生物への影響が懸念される
【0005】
近年、有害物質を発生させないで電気化学的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面などに付着する生物を制御する方法が提案されている。この電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させることが可能であるというものである(特公平6−91821号公報:特許文献1参照)。
また、特開平9−248554号公報(特許文献2参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板にさらに高い正電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している微生物の細胞を破壊し、導電性基板に付着し殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
また、特許3105024号公報(特許文献3参照)には、水中において、導電性基板に正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基板表面に吸着して殺菌する工程(+0〜1.5Vvs.SCE)と、前記導電性基板に負電位を印加することにより、前記導電性基板表面に吸着している殺菌された微生物を脱離する工程(−0〜−0.4Vvs.SCE)とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
また、特開2001−198572号公報(特許文献4参照)には、水中において、導電性基材に電気分解の起こらない正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電性基材表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基材に電気分解の起こる負電位を印加し、導電性基材表面を還元すると共にアルカリ性物質を導電性基材表面に誘導し、前記導電性基材表面に吸着している殺菌された微生物やその分解物を脱離する工程とを行うことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発明が記載されている。
【0006】
さらに、近似した防汚方法としては、導電性基材に酸素を発生させて防汚する方法が、特公平1−46595号公報(特許文献5参照)及び特開平11−303041号公報(特許文献6参照)に開示されている。これらの方法では、塩素発生電位以下で酸素発生する電位を0.55V〜1.1V程度とする範囲として制御している。
しかしながら、前記電気化学的防汚方法では、細胞と導電性基材とが直接接触したときに微生物の殺菌ができることを明らかにしているのに対して、上記近似した防汚方法では、ほぼ同電位にて発生する酸素が、導電性基材に接触しない微生物を殺菌し、防汚できること示す明確な証明がない。従って、導電性基材に微生物などが付着しないのは、前記電気化学的防汚方法との概念的分離が難しい。
また、導電性塗膜皮膜に正電位を印加し、次亜塩素酸イオンや塩素イオンを生成させる防汚方法が、特公平6−15069号公報(特許文献7参照)及び特公平8−14036号公報(特許文献8参照)に記載されており、海水電解装置による塩素注入方式による防汚効果を、被防汚面で直接塩素などを発生させているものと考えられる。
【0007】
また、電気化学的制御を実施するに当たり該防汚面と対になる対極構造及び配線方法が特開2002−102858号公報(特許文献9参照)に、溶出系の材質を用いた場合の接続方法を要旨とする発明が記載されている。
【0008】
また、特開2003−105576号公報(特許文献10参照)には、電解液中に浸漬した導電性基材に正電位を印加してなる工程と、前記導電性基材に負電位を印加してなる工程とよりなり、任意の工程を導電性基材に対する電解液の水位が所定の位置を超えたとき行うようなしたことを特徴とする電気化学的制菌方法を要旨とする発明が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特公平6−91821号公報
【特許文献2】特開平9−248554号公報
【特許文献3】特許3105024号公報
【特許文献4】特開2001−198572号公報
【特許文献5】特公平1−46595号公報
【特許文献6】特開平11−303041号公報
【特許文献7】特公平6−15069号公報
【特許文献8】特公平8−14036号公報
【特許文献9】特開2002−102858号公報
【特許文献10】特開2003−105576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の熱交換器用電子制菌装置においては、電子制菌装置自体が故障した場合、又は熱交換器の液流量や流速、が減少したり、圧力変動した場合に電流や電圧が不安定になる。電流や電圧が不安定になることで、熱交換器の流路に生物やスケールなどが付着することを電気化学的に防止したり、水中に含まれる微生物や有機物の量を制御し、電気化学的に水質を制御したりする機能も不安定になり、所望の効果を得ることが出来なくなってしまう。不安定状態のまま稼働させておくと、十分な制菌効果が得られないばかりか、作用極や対極を劣化させたり、溶出させたり、電極の寿命を縮めることもあり得るため、電流や電圧が不安定になった原因を管理者が確認し、適切な対処をした後、再起動させるまで、電子制菌装置は停止した状態のままになっていた。
【0011】
熱交換器の液流量の減少によって一時的に停止した電子制菌装置は、液流量が正常状態になった時点で、再起動することにより通常動作状態(電子制菌状態)に戻すことができる。しかし、これまでは電子制菌装置自体に問題が起こった場合と、単に一時的に熱交換器の溶液の流量や流速が不足した場合の区別がつかないため、液流量や流速が正常状態になった時点でも再起動することができずに、結果として、電子制菌装置の停止期間が長引いてしまうという問題があった。
【0012】
特に、プレート型熱交換器に用いられる電子制菌装置においては、制菌するプレートとプレートとの間隔が非常に狭く、プレート間に対極を設置することができない。そのために対極をプレートとプレートの間以外の場所に設置しなければならず、全てのプレートの間に溶液を流通させるために設けられているプレートのノズル部分に対極を設置する。プレートと溶液の接する全ての場所で制菌するためには、その狭いプレートとプレートの間を流れる溶液を通して対極−作用極間の電流を供給する。よって、プレートとプレートの間の溶液流路には、高い電流密度で電流を流すことになりプレートの対極に近い場所と対極から遠い場所では対極−作用極間の電位差に差が発生し、プレート上の対極から遠い場所では制菌効果が劣る。また、対極−作用極間の高い電位差は制菌効果だけでなく、いろいろな電気化学反応を引き起こし、塩素や水素の発生、さらにはプレート表面の劣化やプレートの溶出などを招く。この結果、プレート表面の劣化による熱交換効率低下やプレートの溶出による漏れ等の事故が発生する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、導電性基材より成る作用極と短絡しない位置に対極を通電可能なように配置すると共に、前記作用極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実施できるように、前記作用極と対極との間に通電する電源を設けた熱交換器用電子制菌装置において、熱交換器に供給される容器の流量、流速、圧力のうち少なくとも一つを検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御することを特徴とする熱交換器用電子制菌装置を要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱交換器に供給される溶液の流量、流速、圧力のうち少なくとも一つを検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御することにより、電子制菌装置や作用極や対極自体の故障、又は電子制菌装置と作用極や対極との配線等に問題が起こった場合と、単に一時的に熱交換器の液流量や流速が不足した場合の区別がつけられるばかりでなく、一時的に液流量が不足した場合には液流量が正常状態になった時点で再起動することができ、結果として、電子制菌装置の停止期間を短くすることができるばかりでなく、作用極や対極を劣化させたり、溶出させたりせずに、電極の寿命を長くすることが出来る。
さらに、極めて狭い流路を有する熱交換器においても、作用極の対極に近い場所と対極から遠い場所での対極−作用極間の電位差の差を極めて小さくすることが出来るため、作用極上の場所によらず、全面において均一な制菌効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る電子制菌装置は、少なくとも導電性基材と、対極と、前記導電性基材及び前記対極に通電可能なように設置された電源とを備え、前記導電性基材を作用極となし、前記導電性基材と短絡しない位置に対極を通電可能なように配置すると共に、作用極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実施できるように、作用極と対極との間に通電する電源が設けられ、熱交換器に供給される溶液の流量、流速、圧力のうち少なくとも一つを検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御出来ればよい。熱交換器に供給される溶液とは、熱交換器で使用される高温流体と低温流体である。この溶液は熱交換器で使用されるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、発電所においては、発電に伴う廃熱を含む高温流体を熱交換器の基体上で、海水などを用いて冷却することが行われている。また、作用極や対極の形状や材質、それぞれの個数、及び通電する電圧の大きさや電流量を制限するものではない。
【0016】
作用極と対極との間に通電する電源は、出力制御装置として、電子制菌を実施する対象の条件によって、一定の電圧を出力し続けるものであったり、タイマによって通電のオン/オフを繰り返すものであったり、電位及び/又は電流を計測し、それらが予め定めた時間と共に変動する指示値と一致するようにフィードバック制御を行うものであったり、フィードバック制御の結果変動する出力電圧や電位/電流制御において流れる電流が予め定めた範囲を超える異常事態が発生したことを検出して装置の出力を停止する機能を持つものであったりする。また、電子制菌装置自身は、コンセントによって電源を供給されるものでも、電池や蓄電池によって電源を供給されるものでもよい。
【0017】
本発明の電子制菌装置においては、検出した熱交換器の液流量や液流速、液圧力等の環境計測データの他に、電源の出力電位や出力電圧等の運行データに基づいて、制御状態が正常か異常か判断し、電源出力を制御することができる。
【0018】
次に、計測データや運行データが正常か異常か判断する基準について述べる。
例えば液流量については、測定対象値である流量が規定の流量値に対して20%以上の低下を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分以上継続した場合に、制御状態が異常であると判断する。また、規定の流量を1分以上継続した場合には正常に復したと判断する。
また、電位制御時には、制御対象値である電位が、指示値に対して1%以上、好ましくは、10%以上の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分以上継続した場合に、制御状態が異常であると判断する。
同様に、出力電圧が、電位の指示値に対して5%以上、好ましくは20%以上の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分以上継続した場合に、制御状態が異常であると判断する。
又、電流については、出力電圧値が安定している期間における電流値と比較して、5%以上、好ましくは20%以上の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分以上継続した場合に、制御状態が異常であると判断する。
次に、電流制御時には、制御対象値である電流が、指示値に対して1%以上、好ましくは10%以上の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分以上継続した場合に、制御状態が異常であると判断する。
同様に、電流の指示値に対して出力電圧が、5%以上、好ましくは20%以上の変位を示した場合及び/又はその変位が1分以上、好ましくは10分以上継続した場合に、制御状態が異常であると判断する。
【0019】
上記したいずれの現象も、直接本装置の性能や過電流、過電圧といった現象による電極材料の劣化を引き起こし、電子制菌効果を減少させる要因となりうる情報である。また、制御状態が異常であると判定する場合、例えば指示値を動的に変化させている期間及び指示値を一定にした直後は、電極を含めた系の構成及び出力制御装置の性能/設定によって決まる電位制御値や電流制御値の追従性能に起因するオーバーシュートやアンダーシュートが発生する可能性があり、必ずしも電位や電流は指示値と常に一致せず、従ってその期間の計測データは、異常判定の誤作動を誘引する原因となるため、異常発生の継続時間の設定は重要である。
【0020】
また、本発明の電子制菌装置は、出力制御装置や電極の状態を運行データとして計測したり、環境の状態を環境計測データとして計測したりし、それらのデータを定期的及び/又は非定期的に、もしくは運行データや計測データが予め定めた条件に合致した場合にそのような事象が発生したという情報やデータ自体を、予め定めた通知先に自動通知する機能を持っていることが好ましい。
【0021】
出力制御装置と通信装置は、それぞれ別体となし、制菌機能を発現する部位のデータを計測するための配線で結線した別々の装置でもよいし、全てを組み込んだ一体の装置となしてもよい。一般的に、出力制御装置は、電極の電位を計測するデータ計測部と、指示値を保持したり計測値から出力電圧値を計算するための演算処理部とを備えることが多い。ただし、自動通知する内容の一つとして、停電などの電源に関する異常事態を自動通知するには、制菌装置に電力を供給する電源に異常が発生した後も、少なくともその事態の発生を予め定めた通知先に通知するまでは、状態通知手段は正常に稼働する必要がある。従って、電源に関する異常事態を通知する機能を持つためには、状態通知手段は、少なくとも異常事態の発生を予め定めた通知先に自動通知するのに必要な電力を供給できる電池を装備し、電源の状態を監視して、正常時は制菌装置に供給されるのと同一の電源から電力を受け、電源に停電などの異常が発生した場合には、通信装置に電池から電力を供給するように切り換える機能を持つようにして、出力制御装置とある程度独立させても良い。
これは、制菌装置の電源がコンセントにより供給される場合にも、電池によって供給される場合にも当てはまるが、もともとの電源が電池である場合、通信装置の消費電力を抑え、正常時においても、出力制御装置と通信装置に電力を供給するために別々の電池を用意する構成も可能である。ここで電池は、乾電池を使用し、定期的に交換するようにしてもよいし、蓄電池を使用し、充電して再利用するようにしてもよい。通信装置に蓄電池を装備し、且つ装置の電力がコンセントにより供給される構成の場合は、コンセントから蓄電池に充電する機能を装備することにより、通信装置が非常時に動作しない危険性を低減させることが可能である。
【0022】
通信装置は、演算処理部からの指示により通知先にデータを通信する機能を持つものである。通信手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、公衆電話回線、携帯電話、その他のデータ通信専用回線、ローカルエリア/ワイドエリアネットワーク、インターネットといった有線及び/又は無線の通信回線を用いたデータ通信が挙げられる。
【0023】
作用極となる導電性基材は金属、樹脂、無機材料からなり、構造を維持する機能を有するものであれば特に限定されない。金属材料の例としては鉄、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニオブ、およびそれらの合金、ステンレス等が挙げられる。樹脂材料の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。無機材料の例としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、セメント等が挙げられる。
作用極となる導電性基材として、樹脂、無機材料などの非導電性材料を用いる場合、導電性微粒子を材料に充填し、基材を形成することにより導電性を付与し用いればよい。導電性微粒子の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カーボン繊維からなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金属の酸化物の微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の金属炭化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハーフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジウム、ケイ化タングステン等の金属ケイ化物などの微粒子が挙げられる。
【0024】
また、上記導電性微粒子をバインダー樹脂に充填、分散させた導電性組成物を、前記非導電性材料製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。バインダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アルキッド樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然ゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチレンゴム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性材料が挙げられる。導電性組成物は、導電性シートを形成して非導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗膜層として形成してもよい。
【0025】
上記の導電性微粒子の他に、電子移動反応を促進する作用を有する特定の化合物を添加してもよい。すなわち、電子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料と共に使用することによって、より効率的に反応を行うことができる。電子メディエータの例としては、フェロセン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセンジカルボン酸または、〔(トリメチルアミン)メチル〕フェロセン等のフェロセンおよびその誘導体、H4Fe(CN)6、K4Fe(CN)6、Na4Fe(CN)6等のフェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールインドール、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノン、フタロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カロシアニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル−ジスルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブルー、トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲン、アリザリンブリリアントブルー、フェノシアジノン、フェナジンエトサルフェート等が挙げられる。
この様な電子メディエータを担持した導電性基材としてはフェロセン修飾電極を挙げることができる。
【0026】
また、抗菌性を有する材料を添加してもよい。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機物に属するものとがある。
無機物としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれらの酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、有機キレート化合物などが挙げられる。
有機物としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノキシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデシルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
【0027】
さらに、導電性基材の一部又は全部が、少なくともチタン、チタン合金及びそれらの酸化物や白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物からなるものを使用してもよい。このような導電性基材に電位を印加することにより、水や海水から酸素や塩素の発生の無い正電位を印加することにより、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物を殺菌し、増殖を抑制すると共に、酸素や塩素が発生する電位を印加することにより、水や海水などから塩素化合物や酸素などの電解物質を生成させ、導電性基材表面に直接または間接的に接触する水生生物の殺菌及びスケールなどの有機物の脱離洗浄、また導電性基材を再活性化させることができる。
電解液が海水の場合には、塩素過電圧が酸素過電圧より低い正電位となるように、少なくともチタン、チタン合金及びそれらの酸化物や白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ましい。また、電解液が塩素化合物を含まない水の場合には、酸素過電圧が、微生物との直接電子移動反応が起こる電位との間に電位差が認められる正電位となるように、白金及び/又は金属酸化物から選ばれた単一金属酸化物又は混合金属酸化物又は複合金属酸化物を構成することが好ましい。導電性基材の基盤上に上記の物質を導電性膜となしたものも好ましく用いられる。
【0028】
この導電性膜は、金属又はその化合物から構成でき、具体的には、白金族金属、バルブ金属及びそれらの酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の何れかから構成することができる。特に、金属酸化物が、酸化チタン、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化スズおよび酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化ジルコニウムから選ばれた少なくとも1種又は2種以上から構成されることが好ましい。
導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパッタリング、イオンプレーティングなどの方法を採用することができる。
金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物については既に記載してあるが、記載した材料はその一部であり、形成方法によっては2種類以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、さらにはこれらの化合物が2種以上混合されることから、特に限定はされない。これらの金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物は0.1μm以上の厚さの膜であればよく、最大の厚さは特に限定しないが、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
【0029】
本発明で使用される対極は、全体が導電性材料から形成されていてもよいが、少なくともその表面または水中に浸漬している一部表面が導電性であることが必要である。上記作用極である導電性基材と同様の材料を対極材料として用いることができる。
また、対極形状は特に限定されることなく、板状、くし状、棒状、円錐状、円筒状等を単数もしくは複数又はこれらを組み合わせて用いればよい。
【0030】
尚、本発明により利用できる水は、特に限定されない。例えば、海水、河川の水、湖沼の水、水道水、飲料水、または各種緩衝液などが挙げられる。また、対象となる生物も、それらの水中に存在する生物であれば特に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例中図1〜2は、装置図面が煩雑にならないよう単純な構成を模式的に表現したものである。本発明は、以下の実施例に限定されるものでなく、本発明の技術範囲において、種々の変形例を含むものである。以下の実施例においては、熱交換器に供給される液流量、を検出する手段を設け、この検出した液流量のデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御する場合を記載しているが、液流量に代わって、液流速や液圧力を用いても良い。また、各実施例において、同じ構成については同じ参照符号を付けた。
【0032】
(実施例1)
図1は実施例1になる電子制菌装置のブロック図である。プレート型熱交換器のプレートを導電性基材1としてチタン材を使用し、対極2及び参照極3(図に不示)をそれぞれ設置した。
逆流防止弁7の付いた入水口6をパイプ先端に設け海水中に設置しポンプで冷却水としての海水を供給する。プレート型熱交換器を通過した海水20は流量計5を通過し排水口9より排出される。導電性基材1、対極2及び参照極3は、相互に直接短絡せず、海水20によって通電可能なように配置した。対極2の設置部分の拡大図を図2に示す。対極2は、全てのプレートの間に冷却水である海水を流通させるために設けられているプレートのノズル部分に設置した。予め必要な出力電圧が判明している場合、もしくは電流制御を主に行う場合などは、参照極3を特に必要としないため、設置しない構成も可能である。
出力制御装置4は導電性基材1と対極2の間に電圧を出力する。出力制御装置4は、導電性基材1、対極2、及び参照極3の電位、又導電性基材1に流れる電流を計測する機能を持ち、予め指定した電位もしくは電流を得るように出力電圧を制御することが可能である。また、出力制御装置4は流量計5の流量データを監視し、予め指定した海水流量以下の場合は、電磁開閉器15により出力制御装置4と導電性基材1及び対極2との接続を切断することができる。また、予め指定した海水流量以上の場合は、電磁開閉器15により出力制御装置4と導電性基材1及び対極2とを接続することができる。通信装置16は出力制御装置4からの制御で装置の異常及び正常を遠隔点の通信装置16に連絡しパソコン18にその異常及び正常を表示し監視者に状態を自動通知する。
なお、本実施例では電子制菌装置の電源としてAC100Vを使用するが、通信装置16は、図示しない蓄電池を備え、電源のAC100Vが停電した場合には、一定時間動作を継続することが可能である。電源のAC100Vが停電すると、出力制御装置4は動作を停止し、通信装置16は、蓄電池により動作して、停電の発生を通知する。電源のAC100Vが停電から復旧すると、出力制御装置4は再び動作を開始する。またポンプ電源が切断されポンプ5が停止しても逆流防支弁7により海水20は逆流しないので、停電から復旧するとポンプ5は再び海水20をプレート型熱交換器10へ供給開始する。
【0033】
図3は出力制御装置4及び電極の簡易的な電気的ブロック図である。図示しない電源は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)11、OPアンプ12、OPアンプ13、電磁開閉器15、流量計5に電力を供給する。出力制御装置4は、導電性基材1、対極2、参照極3、及び流量計5とリード線もしくはケーブルなどで電気的に接続している。
MPU11はCPU(中央処理装置)、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(読み書き可能メモリ)、D/A変換器(デジタル・アナログ変換器)、A/D変換器(アナログ・デジタル変換器)などを必要に応じて集積したマイクロプロセッサであるが、各要素に関して独立した部品を使用してもよい。MPU11は、ROMに予め収めたプログラムを読み出し、RAMやレジスタを作業領域としてCPUによる演算処理を実行する。OPアンプ12はMPU11の電圧指示に応じて導電性基材1に電圧を出力する。OPアンプ13はMPU11の電圧指示に応じて対極2に電圧を出力する。また、電磁開閉器15はmPU11の指示により開閉され、導電性基材1及び対極2への接続及び切断をおこなう。正常時には接続し、異常時及び停止時には切断する。
MPU11は、導電性基材1、対極2、及び参照極3の電位をそれぞれ計測することができる。MPU11は、参照極3の電位を基準にして導電性基材1の電位を算出して、それらが所定の電位になるようにOPアンプ12、13の出力を調整することにより、電位制御を実現できる。
一方、MPU11は、電流検出抵抗14の両端の電位を計測して、導電性基材1に流れる電流を算出することができる。電流検出抵抗14は、必要に応じて対極2側に配置してもよいし、両側に配置してもよい。MPU11が、電流計測値が所定の値になるようにOPアンプ12、13の出力を調整することにより、電流制御を実現することができる。
mPU11は、接続された流量計5の情報から常時流量を計測することができる。mPU11はその流量があらかじめ定めた所定の流量以上か判定し、以上なら電磁開閉器を接続する。以下であれば電磁開閉器を切断する。
出力制御装置4及び通信装置16は、導電性基材1、対極2及び参照極3を設置したプレート型熱交換器の脇に風雨を避けるために制御盤を設置し、その中に配置した。制御盤へは、AC100Vの配線及び通信網を敷設した。
【0034】
実施例1の電子制菌装置の生物付着抑制効果を確認するために、下記の制御条件で6ヶ月間試験を実施した。
開始時の制御条件:導電性基材1に
0.9Vvs.Ag/AgClを60分間通電後、
−0.6Vvs.Ag/AgClを20分間交互に印加した。
発明者の常勤する工場の部署を通知先として予め定め、通信装置10を設置した。
電子制菌装置の異常時の制御条件としては、以下のものを設定した。
(1)流量異常が発生した場合の電磁開閉器15の制御条件としては、規定の流量を20%下回る場合、もしくは10パーセント下回る状態が1分以上継続した場合に電磁開閉器により作用極1及び対極2への接続を切断し制菌を停止した。また、規定の流量を1分以上継続した場合には電磁開閉器15により作用極1及び対極2に接続し制菌を開始した。
(2)電位制御における出力電圧異常(電位制御において、指示電位を実現するために、設定した範囲を超えて電圧を出力していること、もしくは装置の故障、電極系の断線や異物の接触等、出力している電圧と計測している電圧が一致しないこと等を示す)が発生した場合の異常条件としては、出力電圧が、電位の指示値に対して20%以上の変位を示した場合、もしくは5%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合は、電磁開閉器15により作用極1及び対極2との接続を切断した。
(3)電位制御において、出力電流異常の条件としては、出力電圧値が安定している期間における電流値と比較して20%以上の変位を示した場合、もしくは5%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合とした。要因として、装置の故障、電極系間のショートや遺物の接触等、異常に電流が流れる状態等がある
本実施例における試験は、電位制御により実施した。試験期間中、潮の干満及び停電によるポンプ停止が原因で何回かの流量低下通知を受けて停止したが、短時間で動作を開始した。電位制御による出力電圧異常及び電流異常は発生しなかった。
【0035】
(比較例1)
比較のため、流量計5を持たないことを除いて実施例1と同じ構成を持つ電子制菌装置とした。
【0036】
比較例1の電子制菌装置の生物付着抑制効果を確認するために、異常時の制御条件として(1)を設定せずに、(2)、(3)のみを設定した以外は実施例1と全く同様にして6ヶ月間試験を実施した。
本比較例にかかる試験においては、定期的に、発明者の常勤する工場の部署に設置した通信装置16よりパソコン18に接続し、運行データの確認を行った。その結果、潮の干満及び停電によるポンプ停止により装置が停止する事態が発生した。実施例1の場合は、出力電流異常または電圧異常ではなく、流量異常と異常判断されたため流量が適正に戻ると装置は自動で動作を開始することができ、停止時間を短くすることができた。これに対し、比較例1では、出力電流異常または電圧異常と異常判断されたため自動で動作を開始することができなかった。出力電流異常及び電圧異常の場合は、流量異常なのか、導電性基材異常なのか、対極異常なのか、制御装置の異常なのか判断がつかないために自動で動作を開始するのが危険なためである。よって、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、必要な処置をとった後、再起動させ復旧させた。
【0037】
実施例1及び比較例1のそれぞれの導電性基材1に対する6ヶ月経過後の生物付着量の目視評価を行った。その結果、実施例1における導電性基材1への生物付着は、導電性基材全面に渡って認められなかった。しかし、比較例1における導電性基材1に対する生物付着量は少なかったが、特に対極設置位置から離れた部分において確認された。これは、比較例1においては、現場に要員を派遣して状況を確認してから動作を開始するために停止時間が長引いたためと考えられる。また、設置場所へ赴いてのチェック回数などの労力、コストに対しても有効性が確認できた。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同じ構成を持つ電子制菌装置において、下記の制御条件で6ヶ月間試験を実施した。
開始時の制御条件:導電性基材1に
85mA/m2で180分間通電後、
−50mA/m2を40分間通電し、これを繰り返した。
発明者の常勤する工場の部署を通知先として予め定め、通信装置16を設置した。
電子防汚装置の異常時の制御条件としては、以下のものを設定した。
(1)流量異常が発生した場合の電磁開閉器15の制御条件としては、規定の流量を20%下回る場合、もしくは10パーセント下回る状態が1分以上継続した場合に電磁開閉器により作用極1及び対極2への接続を切断し制菌を停止した。また、規定の流量を1分以上継続した場合には電磁開閉器15により作用極1及び対極2に接続し制菌を開始した。
(2)電流制御における出力電圧異常(電流制御において、指示電流を実現するために、設定した範囲を超えて電圧を出力していること、もしくは装置の故障、電極系の断線や異物の接触等、出力している電圧と計測している電圧が一致しないこと等を示す)が発生した場合の異常条件としては、出力電流の指示値に対して出力電圧が、20%以上の変位を示した場合、もしくは5%以上の変位を示し、その変位が1分以上継続した場合は、電磁開閉器15により作用極1及び対極2との接続を切断した。
(3)電流制御において、出力電流異常の条件としては、流れる電流値が予め定めた下限値を下回る場合や予め定めた上限値を上回る場合とした。電流値が少なくなると、生物付着抑制効果が低下することが懸念され、電流値が多くなると電極材料の劣化が懸念される
本実施例における試験は、電流制御により実施した。試験期間中、潮の干満及び停電によるポンプ停止が原因で何回かの流量低下通知を受けて停止したが、短時間で動作を開始した。電流制御による出力電圧異常及び電流異常は発生しなかった。
【0039】
(比較例2)
比較のため、流量計5を持たないことを除いて実施例2と同じ構成を持つ電子制菌装置とした。
【0040】
比較例2の電子制菌装置の生物付着抑制効果を確認するために、異常時の制御条件として(1)を設定せずに、(2)、(3)のみを設定した以外は実施例2と全く同様にして6ヶ月間試験を実施した。
本比較例にかかる試験においては、定期的に、発明者の常勤する工場の部署に設置した通信装置16よりパソコン18に接続し、運行データの確認を行った。その結果、潮の干満及び停電によるポンプ停止により装置が停止する事態が発生した。実施例2の場合は、出力電流異常または電圧異常ではなく、流量異常と異常判断されたため流量が適正に戻ると装置は自動で動作を開始することができ、停止時間を短くすることができた。これに対し、比較例2では、出力電流異常または電圧異常と異常判断されたため自動で動作を開始することができなかった。出力電流異常及び電圧異常の場合は、流量異常なのか、導電性基材異常なのか、対極異常なのか、制御装置の異常なのか判断がつかないために自動で動作を開始するのが危険なためである。よって、電子制菌装置を設置している現場に要員を派遣して状況を確認し、必要な処置をとった後、再起動させ復旧させた。
【0041】
実施例2及び比較例2のそれぞれの導電性基材1に対する6ヶ月経過後の生物付着量の目視評価を行った。その結果、実施例2における導電性基材1への生物付着は、導電性基材全面に渡って認められなかった。しかし、比較例2における導電性基材1に対する生物付着量は少なかったが、特に対極設置位置から離れた部分において確認された。これは、比較例2においては、現場に要員を派遣して状況を確認してから動作を開始するために停止時間が長引いたためと考えられる。また、設置場所へ赴いてのチェック回数などの労力、コストに対しても有効性が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0042】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基材より成る作用極と短絡しない位置に対極を通電可能なように配置すると共に、前記作用極と生物との直接電子移動反応が発生する工程を少なくとも実施できるように、前記作用極と対極との間に通電する電源を設けた熱交換器用電子制菌装置において、熱交換器に供給される溶液の流量、流速、圧力のうち少なくとも一つを検出する手段を設けると共に、この検出したデータに基づき電子制菌装置の電源出力を制御することを特徴とする熱交換器用電子制菌装置。


【図1】実施例1の構成図
【図2】実施例1の一部拡大図
【図3】電気的ブロック図
【符号の説明】
【0043】
1 導電性基材
2 対極
3 参照極
4 出力制御装置
5 流量計
6 入水口
7 逆流防止弁
8 ポンプ
9 排水口
10 プレート型熱交換器
11 MPU(マイクロプロセッシングユニット)
12 OPアンプ
13 OPアンプ
14 電流検出抵抗
15 電磁開閉器
16 通信装置
17 通信網
18 パソコン
19 ノズル
20 海水
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−102570(P2006−102570A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289427(P2004−289427)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】