説明

熱交換器

【課題】軽量且つ低コストで得られ、しかも熱交換効率が高い熱交換器を提供する。
【解決手段】第1の熱媒流路11を通過する第1の熱媒と、第2の熱媒流路21を通過する第2の熱媒との間で両熱媒同士が直接接触することなく熱交換を行う熱交換器において、前記第1の熱媒が気体であり、前記第2の熱媒が液体であり、前記気体が通過する第1の熱媒流路11が、接合する2枚の金属プレート10,12の接合面の一方の面又は両方の面に形成されており、前記液体が通過する第2の熱媒流路21が、合成樹脂プレート20の少なくとも片面に形成されており、前記接合する2枚の金属プレート10,12の少なくとも片側面に、前記第2の熱媒流路21が形成された面が接する状態で前記合成樹脂プレート20が接合された構成であることを特徴とする熱交換器1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器はエネルギーを生産或いは消費する機器、装置、設備、プラントに幅広く用いられている。家庭用では、給湯器(ヒートポンプ式やガス燃焼式)、空調機、冷蔵庫等に、また、産業部門では、火力や原子力発電プラント(復水器や給水加熱器)、化学プラント(加熱器)、製鉄プラント(排熱回収)等がある。
【0003】
「省エネルギー技術戦略報告書」の第3章の3.1.1民生部門によれば、「家庭でのエネルギー消費の大部分を占める暖房、給湯等の熱利用の効率化が先ず挙げられる」としている。この内で、本発明は、重点課題に挙げられている「(1)民生部門(家庭)1」冷暖房、給湯等の熱利用の効率化」の内で給湯の熱利用の効率化に関連している。給湯については、省エネルギー効果の大きい家庭用ヒートポンプ式給湯器(エコキュート)の普及が現下において最も緊急の課題である。
【0004】
従来、代表的な熱交換器としては、積層する複数枚の各金属プレートの表・裏面に伝熱を促進するためのフィン等の凹凸から構成される熱媒流路を形成し、この熱媒流路の一方の面に高温の熱媒(流体)を流し、他方の面に低温の熱媒(流体)を流して熱交換させる構成となっている(例えば、特許文献1〜4等参照)。
【0005】
特許文献1〜4の技術では、金属プレートの表・裏面の熱媒流路の形成を、銅板等の伝熱性金属板を切削加工したりエッチング加工する等して行っている。
【0006】
従って、金属板の切削加工、エッチング加工及びプレス加工はいずれも容易ではなく、手間・時間・コストのいずれもがかかるという欠点を有している。
【0007】
また、熱媒流路が形成される金属プレートは重量が嵩み易く、熱交換器の軽量化・小型化の障害になるという欠点を有している。
【0008】
更に、金属プレートが熱交換器の構成材料として一般的な銅製ないしは銅を含む金属製の場合は緑青が生じ易く、銅以外の金属の場合も錆等が生じ易いため、メンテナンスが容易ではないという欠点を有している。
【0009】
そこで本発明者は、上記した従来の課題を解決するために、表・裏面に第1の熱媒流路及び/又は第2の熱媒流路を形成した合成樹脂プレートを伝熱プレートを介して2以上積層した構成により、熱媒流路の形成が容易且つ低コストで得られ、軽量化・小型化が可能であり、メンテナンス性の良好な熱交換器(特願2006−227416)を先に提案した。
【0010】
【特許文献1】特開2004−333064号公報
【特許文献2】特開2004−183916号公報
【特許文献3】特開2004−108690号公報
【特許文献4】特開2000−227295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、この先提案技術を基に更に研究を続けたところ、熱交換効率の点で未だ改良の余地を残していることが判明した。
【0012】
そこで本発明者は、前記特許文献1〜4等に記載の金属プレートの利用に再着目して、数々の試作・実験を繰り返したが、重量が嵩む点を解決できなかった。
【0013】
本発明の課題は、軽量且つ低コストで得られ、しかも熱交換効率が高い熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0015】
1.第1の熱媒流路を通過する第1の熱媒と、第2の熱媒流路を通過する第2の熱媒との間で両熱媒同士が直接接触することなく熱交換を行う熱交換器において、
前記第1の熱媒が気体であり、
前記第2の熱媒が液体であり、
前記気体が通過する第1の熱媒流路が、接合する2枚の金属プレートの接合面の一方の面又は両方の面に形成されており、
前記液体が通過する第2の熱媒流路が、合成樹脂プレートの少なくとも片面に形成されており、
前記接合する2枚の金属プレートの少なくとも片側面に、前記第2の熱媒流路が形成された面が接する状態で前記合成樹脂プレートが接合された構成であることを特徴とする熱交換器。
【0016】
2.前記接合する2枚の金属プレートが、別なる金属プレートを間に挟着された状態で接合された構成であることを特徴とする上記1に記載の熱交換器。
【0017】
3.前記接合する金属プレートの接合面が拡散接合された構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の熱交換器。
【0018】
4.前記接合する2枚の金属プレートと該金属プレートに接合する合成樹脂プレートとの組合せが、2以上積層された構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に示す発明によれば、軽量且つ低コストで得られ、しかも熱交換効率が高い熱交換器を提供することができる。
【0020】
特に、気体が通過する第1の熱媒流路を金属プレートに形成したことにより、高圧となる第1の熱媒流路側の耐圧性を容易に確保することができる。
また、液体が通過する第2の熱媒流路を合成樹脂プレートに形成したことにより、第1の熱媒流路側のプレートに比して厚板で嵩のはる第2の熱媒流路側のプレートが軽量となるので、熱交換器全体としての軽量化が可能である。
しかも、気体と液体との熱交換が合成樹脂プレートを介することなく熱伝導率の高い金属プレートを介してのみ行われるので、熱交換効率が高い。
【0021】
請求項2に示す発明によれば、気体と該気体が通る流路面である金属面との接触面積が増加するので熱交換効率をより高めることができる。
【0022】
請求項3に示す発明によれば、熱伝導率が高い接合手段である拡散接合で接合する金属プレートを接合することによって熱交換効率をより高めることができる。
【0023】
請求項4に示す発明によれば、接合する2枚の金属プレートと該金属プレートに接合する合成樹脂プレートとの組合せを複数用意して積層することでより多くの熱交換を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の詳細について添付図面に基き説明する。
【0025】
図1は本発明に係る熱交換器の一実施例を示す概略断面図、図2は熱媒流路を構成する凸部であるフィン形状の例を示す概略図、図3〜図5は本発明に係る熱交換器の他の実施例を示す概略断面図である。
【0026】
図1に示すように、本発明に係る熱交換器1は、第1の熱媒流路11を通過する第1の熱媒である気体と、第2の熱媒流路21を通過する第2の熱媒である液体との間で両熱媒同士が直接接触することなく熱交換を行うものである。第1の熱媒である気体としては、熱交換器の熱媒として用いられる気体として公知公用のものを特別の制限なく挙げることができ、例えば、CO2を好ましく用いることができる。また、第2の熱媒である液体としては、熱交換器の熱媒として用いられる液体として公知公用のものを特別の制限なく挙げることができ、例えば、水を好ましく用いることができる。
【0027】
気体が通過する第1の熱媒流路(以下、単に気体流路と言う。)11は、接合する2枚の金属プレート10・10の接合面の両方の面に形成されている。本実施例では、接合する2枚の金属プレート10・10は、別なる金属プレート12を間に挟着した状態で接合する構成となっている。
【0028】
金属プレート10は、熱交換器の熱媒流路が形成される伝熱プレートとして公知公用の伝熱性を有する金属製板材によって形成されている。伝熱性を有する金属製板材としては、銅、アルミニウム、ステンレス等の高伝熱性の金属製板材が好ましく、中でもステンレス製の板材が高圧となる気体流路11の気密性及び耐圧性を高めることができるので特に好ましい。また、別なる金属プレート12についても、前記金属プレート10と同様に伝熱性を有する金属製板材で形成され、前記金属プレート10と同じ金属製板材で形成されることが好ましい。
【0029】
金属プレート10に形成される気体流路11の形状としては、熱交換器の気体が通過する熱媒流路として公知公用のものを挙げることができる。気体流路11を構成する凸部であるフィン形状の具体例を図2の(A)〜(J)に挙げる。図2(A)はS字フィン、図2(B)はジグザグフィン、図2(C)はフラットフィン、図2(D)はステアフィン、図2(E)はスリットフィン、図2(F)はルーバーフィン、図2(G)はスーパースリットフィン、図2(H)はワッフルスリットフィン、図2(I)はピンフィン、図2(J)は波形フィンを各々示す。
【0030】
金属プレート10の気体流路11の形成方法としては、切削加工や金属エッチング加工等の公知公用の手段を採ることができる。
【0031】
金属プレート10には、気体流路11の他に該気体流路11に連絡する気体入口と気体出口が形成されており、該気体入口及び気体出口を通じて熱媒である気体の気体流路11への送出及び気体流路11からの排出、或いは他層の金属プレート10に形成された気体流路11への移動送出及び気体流路11への移動排出が行われる。気体入口及び気体出口としては、熱交換器の熱媒流路に連絡するように形成される熱媒入口及び熱媒出口として公知公用の構成を採ることができ、例えば、前述した本願出願人による先提案技術(特願2006−227416)の段落番号[0031]〜[0033]に記載の構成を採ることができる。
【0032】
2枚の金属プレート10・10及び別なる金属プレート12との接合は、拡散接合によって一体化した状態とすることが好ましい。拡散接合は、熱伝導率が高い接合手段であるため、各金属プレート10・10及び12間での熱伝導がスムースに行われるので、熱交換効率をより高めることができる。
【0033】
液体が通過する第2の熱媒流路(以下、単に液体流路と言う。)21は、合成樹脂プレート20の片面に形成されており、図1に示す本実施例では、液体流路21が片面に各々形成された2枚の合成樹脂プレート20・20が、前記接合する2枚の金属プレート10・10の両側面に、液体流路21・21が形成された面が接する状態で接合する構成となっている。
【0034】
合成樹脂プレート20は、金属プレート10と接合した際に熱媒である液体が液体流路21を液密状態で且つ金属プレート10を介して気体流路11を通過する気体と熱交換を効率的に行えるものであればよく、熱交換器の液体を用いた熱媒流路が形成されるプレーとして公知公用の合成樹脂製板材によって形成されている。
【0035】
液体流路21が形成される合成樹脂プレート20は、熱媒が低圧で通過する液体であることから金属プレート10のような耐圧性が要求されず、金属プレート10に比して安価且つ軽量な合成樹脂製板材を用いることができる。特に、液体流路21側である合成樹脂プレート20は、気体流路11側である金属プレート10に比して流路の断面積が大きく、プレート自体の厚みも厚いので、合成樹脂プレート20側を軽量な合成樹脂製板材で形成することにより熱交換器1としての全体の総重量を著しく軽減することができる。
【0036】
また、該合成樹脂プレート20は伝熱性を有していることが好ましく、例えば、炭素繊維、銅繊維、銅粉、カーボンブラック(カーボンナノチューブ、ナノカーボン等を含む。)、セラミックスの如き熱伝導性フィラー等を混合した合成樹脂との複合材料を挙げることができる。
【0037】
合成樹脂プレート20に用いられる合成樹脂には、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂であって、JIS K 7191で規定する荷重たわみ温度が100℃以上の耐熱性樹脂を用いることができる。具体例には、熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフタールアミド、そしてポリアミド等、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、そして尿素樹脂等を挙げることができるが、PPSが好ましい。PPSは溶融時の粘度が低くフィラーが分散し易いので、フィラーを高充填できるからである。また、PPSは耐熱性が高いので、用いる低融点合金の選択の自由度を大きくすることができる。また、シリコーン樹脂、特にシリコーンゴムも好ましく用いられる。
【0038】
尚、低融点合金及びフィラーとの混練に際しては、熱可塑性樹脂の場合、その融点以上の温度、好ましくは250℃〜400℃、より好ましくは300℃〜350℃の温度範囲に加熱して混練する。また、熱硬化性樹脂の場合、その分解温度以下の温度、好ましくは300℃以下の温度で混練することができる。
【0039】
用いるシリコーンゴムは、ジメチル系、メチルビニル系、メチルビニルフェニル系、メチルフロロアルキル系等のいずれであってもよい。
【0040】
本発明の実施態様は、下記構成を包含する。即ち、
(1)合成樹脂40重量%以上と、該合成樹脂に分散された熱伝導性フィラー10〜55重量%と、残部が該熱伝導性フィラー同士を連結する融点500℃以下の低融点合金から成り、
上記低融点合金と上記熱伝導性フィラーの体積含有率の比率が、低融点合金/熱伝導性フィラー=1/30〜3/1の範囲にあること、
(2)上記低融点合金が、Sn−Cu、Sn−Al、Sn−Zn、Sn−Pt、Sn−Mn、Sn−Mg、Sn−Ag、Sn−Au、Al−Li及びZn−Liから成る群から選択された少なくとも1種であること、
(3)上記熱伝導性フィラーは、少なくとも銅粉とグラファイト粉又はカーボンブラックとを含むこと、
(4)上記熱伝導性フィラーは、炭素繊維を5〜15重量%含むこと、
(5)合成樹脂と、熱伝導性フィラーと、融点500℃以下の低融点合金とを含む混合粉を加熱して、低融点合金が固相部と液相部が混在した半溶融状態とし、合成樹脂を溶融状態として混練し、混合物を所望形状に成形すること、
である。
【0041】
尚、熱伝導性フィラーに用いる炭素繊維は、セルロース系、PAN系、そしてピッチ系を主原料とするもの、あるいは気相成長法によるものを挙げることができる。炭素繊維には金属あるいは金属酸化物等の無機系フィラーに比べ、高い熱伝導率を有するものがある。しかし、繊維方向には良好な熱伝導性を示す一方、熱拡散性や放熱性は十分ではない。そこで、無機系フィラーと併用することにより、無機系フィラー同士が炭素繊維を介して接続されて3次元的な熱伝導経路が形成される結果、樹脂組成物の熱拡散性や放熱性が向上する。もちろん、炭素繊維同士が低融点合金を介して連結され3次元的な熱伝導経路が形成され、樹脂組成物の熱拡散性や放熱性が向上する効果も得られる。
【0042】
合成樹脂プレート20に形成される液体流路21の形状としては、熱交換器の液体が通過する熱媒流路として公知公用のものを挙げることができる。液体流路21を構成する凸部であるフィン形状の具体例としては、前述した気体流路11と同様に図2の(A)〜(J)を挙げることができる。
【0043】
合成樹脂プレート20の液体流路21の形成方法としては、合成樹脂原板を切削加工することで形成してもよいが、好ましくは、射出成形、圧縮成形、その他の成形法によって液体流路21が設けられた合成樹脂プレート20を形成することである。
【0044】
液体流路21を構成する凸部であるフィン形状の合成樹脂製板材への形成は、金属製板材への形成に比して著しく短時間で容易に且つ低コストで可能である。従って、気体流路11側である金属プレート10に比して流路の断面積が大きく且つプレート自体の厚みも厚く嵩のはる液体流路21側である合成樹脂プレート20を合成樹脂製としたことによって、熱交換器1としての全体の総加工手間を著しく軽減することができるのでコストダウンを図ることができる。
【0045】
合成樹脂プレート20には、液体流路21の他に該液体流路21に連絡する液体入口と液体出口が形成されており、該液体入口及び液体出口を通じて熱媒である液体の液体流路21への送出及び液体流路21からの排出、或いは他層の合成樹脂プレート20に形成された液体流路21への移動送出及び液体流路21への移動排出が行われる。液体入口及び液体出口としては、熱交換器の熱媒流路に連絡するように形成される熱媒入口及び熱媒出口として公知公用の構成を採ることができ、例えば、前述した本願出願人による先提案技術(特願2006−227416)の段落番号[0031]〜[0033]に記載の構成を採ることができる。
【0046】
前記接合する2枚の金属プレート10・10の両側面に、液体流路21・21が形成された面が接する状態で2枚の合成樹脂プレート20・20を接合する際、液体流路21・21の液密性を確保するためにパッキンとなるシール部材を接合面に配設してもよい。シール部材の構成としては、この種の熱交換器に用いられる公知公用のシール構成を挙げることができ、例えば、前述した本願出願人による先提案技術(特願2006−227416)の段落番号[0053]〜[0063]及び図9〜図16に示すシール構成を挙げることができる。
【0047】
以上説明した構成、即ち、接合する2枚の金属プレート10・10と該金属プレート10・10(及び別なる金属プレート12)に接合する合成樹脂プレート20・20との組合せを1層又は2以上積層する構成として、気体流路11に気体を通し、液体流路21に液体を通すことにより、熱媒である気体と液体との間で熱交換が行われる熱交換器1を得ることができる。
【0048】
尚、接合する2枚の金属プレート10・10と該金属プレート10・10(及び別なる金属プレート12)に接合する合成樹脂プレート20・20との組合せを1層又は2以上積層した状態で、前述した本願出願人による先提案技術(特願2006−227416)の段落番号[0029]、[0044]〜[0046]並びに図1、図2、図7及び図8に示すように最外層両側に表固定板と裏固定板を配設し、ボルト・ナットで両固定板を挟着固定することで、気密性及び液密性の確保をより確実にすることもできる。
【0049】
以上、本発明に係る熱交換器の一実施例について図1及び図2に基き説明したが、本発明は上記に限定されず、他の態様を採ることができる。
【0050】
例えば、図1に示す上記実施例では、接合する2枚の金属プレート10・10間に別なる金属プレート12を挟着した構成としているが、図3に示すように、別なる金属プレート12を介在させることなく金属プレート10・10を接合した構成としてもよい。かかる構成の場合、気体流路11・11は連通した一つの熱媒流路となる。
【0051】
また、図1に示す上記実施例では、気体流路11を接合する2枚の金属プレート10・10の接合面の両方の面に形成した構成としているが、図4に示すように、一方の金属プレート10の面のみとし、他方の金属プレート10Aは図1の別なる金属プレート12と同様の単なる金属製板材を接合した構成としてもよい。
【0052】
更に、図1に示す上記実施例では、液体流路21を合成樹脂プレート20の片面に形成した形成した構成としているが、図5に示すように、合成樹脂プレート20Aの両面に形成した構成としてもよい。かかる構成の場合、合成樹脂プレート20Aの両面を金属プレート10に接する状態で接合する構成とすることができる。
【0053】
更にまた、図1に示す上記実施例では、接合する2枚の金属プレート10・10の両側面に2枚の合成樹脂プレート20・20を各々接合した構成としているが、2枚の接合する金属プレート10・10の片側面にのみ合成樹脂プレート20を接合した構成も本発明に包含される。
【実施例】
【0054】
[実験例]
次に、図6に示す構造であって、各構成部材の材質を下記比較例1及び2並びに実験例1に示すように変えた熱交換器を各々用意し、該各々の熱交換器を用いて液体と気体との熱交換の実験を行った。即ち、図1に示す態様の場合において、液体流路側プレート同志をシール部材を介して両端部接合した態様とした。尚、気体と液体との熱交換は入口と出口とが相互に向かい合う向流方式とした。
【0055】
[比較例1]
2枚の気体流路側プレート、2枚の液体流路側プレート、別なるプレートの全てのプレートをステンレス製とし、気体流路にCO2を通し、液体流路に水を通して熱交換を行ったところ、総括伝熱係数は1318W/m2Kであった。
【0056】
[比較例2]
2枚の気体流路側プレート及び別なるプレートを熱伝導度0.233W/mKの合成樹脂製とし、2枚の液体流路側プレートを前記比較例1と同様のステンレス製とし、前記比較例1と同様に気体流路にCO2を通し、液体流路に水を通して熱交換を行ったところ、総括伝熱係数は160W/m2Kであった。これは、前記比較例1の総括伝熱係数を100%とした場合、比較例2は12%の熱交換性能しか発揮できないということである。
また、図6に示す構造の熱交換器の装置重量について、前記比較例1を100%とした場合、比較例2は86%の重さであった。
即ち、比較例2の構成では、比較例1と比して、装置重量が14%しか軽量化できないにもかかわらず、熱交換性能は88%も低下してしまうことが判った。
【0057】
[実験例1]
2枚の気体流路側プレート及び別なるプレートを前記比較例1と同様のステンレス製とし、2枚の液体流路側プレートを前記比較例2の気体流路側プレートに用いた合成樹脂と同様の熱伝導度0.233W/mKの合成樹脂製とし、前記比較例1及び2と同様に気体流路にCO2を通し、液体流路に水を通して熱交換を行ったところ、総括伝熱係数は999W/m2Kであった。これは、前記比較例1の総括伝熱係数を100%とした場合、実験例1は76%の熱交換性能を発揮しているということである。
また、図6に示す構造の熱交換器の装置重量について、前記比較例1を100%とした場合、実験例1は29%であった。
即ち、本発明の実施態様である実験例1の構成によれば、比較例1と比して、装置重量を71%も軽減できているにもかかわらず、熱交換性能は24%の低下だけで済むことが判った。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る熱交換器の一実施例を示す概略断面図
【図2】熱媒流路を構成する凸部であるフィン形状の例を示す概略図
【図3】本発明に係る熱交換器の他の実施例を示す概略断面図
【図4】本発明に係る熱交換器の他の実施例を示す概略断面図
【図5】本発明に係る熱交換器の他の実施例を示す概略断面図
【図6】実験例に用いられた熱交換器を示す概略断面図
【符号の説明】
【0059】
1 熱交換器
10 金属プレート
10A 金属プレート
11 第1の熱媒流路(気体流路)
12 別なる金属プレート
20 合成樹脂プレート
20A 合成樹脂プレート
21 第2の熱媒流路(液体流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱媒流路を通過する第1の熱媒と、第2の熱媒流路を通過する第2の熱媒との間で両熱媒同士が直接接触することなく熱交換を行う熱交換器において、
前記第1の熱媒が気体であり、
前記第2の熱媒が液体であり、
前記気体が通過する第1の熱媒流路が、接合する2枚の金属プレートの接合面の一方の面又は両方の面に形成されており、
前記液体が通過する第2の熱媒流路が、合成樹脂プレートの少なくとも片面に形成されており、
前記接合する2枚の金属プレートの少なくとも片側面に、前記第2の熱媒流路が形成された面が接する状態で前記合成樹脂プレートが接合された構成であることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記接合する2枚の金属プレートが、別なる金属プレートを間に挟着された状態で接合された構成であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記接合する金属プレートの接合面が拡散接合された構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記接合する2枚の金属プレートと該金属プレートに接合する合成樹脂プレートとの組合せが、2以上積層された構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−2592(P2009−2592A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164635(P2007−164635)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(394018225)フィーサ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】