説明

熱交換器

【課題】吸熱管の細管化を図った場合でも、簡易な構造で吸熱管の水抜きが適切に行われる熱交換器を提供する。
【解決手段】燃焼排気が流れるケース50内に吸熱管52を配置し、吸熱管52の一端部と他端部とをケース50の側板51に設けた流入ヘッダ6aと流出ヘッダ6bとに接続して吸熱管52内に流す水を燃焼排気により加熱する熱交換器5において、高さ位置が低位置側の流入ヘッダ6aには、吸熱管52内の水抜き時にパイプ端開口52aに達した水の水抜き流路を形成させるための水抜き板7がパイプ端開口52aに対向配置され、水抜き板7におけるパイプ端開口52aの対向面に形成された上下方向に延びる凹溝70により上記水抜き流路が形成され、上記凹溝70は、パイプ端開口52aの口径よりも溝幅が狭く且つパイプ端開口52aに対向されていて、上下方向に並設された複数のパイプ端開口52aに対して連続して対向される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入ヘッダと流出ヘッダとを介して吸熱管内に流す水を燃焼排気により熱交換加熱する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率給湯装置に搭載される潜熱熱交換器は、燃焼排気が流れるケース内に複数本の吸熱管を配置し、これら吸熱管の一端部と他端部とをケース側板の流入ヘッダと流出ヘッダとに接続し、この吸熱管に水を流して燃焼排気中の水蒸気を凝縮させて潜熱を回収するように構成されている(特許文献1)。
【0003】
このような潜熱熱交換器おいて、更なる小型化、高効率化を実現するため吸熱管の細管化が図られている。つまり、吸熱管の細管化を図ることで、ケースの限られたスペース内により多くの吸熱管を配置でき、吸熱管全体の伝熱面積を大きくできるからである。しかし、吸熱管の細管化を図った場合、冬季における吸熱管内の凍結防止のため吸熱管から水抜きを行う際、水の表面張力に起因して吸熱管のパイプ端開口に水膜が張って吸熱管内の流水方向下流部に水が残ってしまうことがあった。従って、吸熱管の細管化を図る場合には、吸熱管内の水抜き作業が円滑に行われることも望まれる。
【0004】
ところで、図8に示すように、従来の潜熱熱交換器805として、吸熱管850の端部に延設管体部851を接続し、この延設管体部851は、ケース870の外部に露出して先端部にヘッダ806Aを取付け、先端寄りほど高さが低くなる曲げ部851aを形成するものがある(特許文献2)。これによると、吸熱管850の細管化を図った場合でも、延設管体部851の曲げ部851aに存在する水の水頭圧が延設管体部851の先端に作用し、水抜き作業時に延設管体部851の先端開口に水膜が張ることを防止し円滑な水抜きが可能となるとしている。
【0005】
しかし、図8に示す従来の潜熱熱交換器805は、延設管体部851を新たに設けることにより熱交換器805の小型化を阻害し、また、複数本の吸熱管850のそれぞれに対して延設管体部851が必要なため、部品点数の増加及びロー付け等の接続箇所の増加等という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−163096
【0007】
【特許文献2】特開2007−333343
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、吸熱管の細管化を図った場合でも、簡易な構造で吸熱管の水抜きが適切に行われる熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る熱交換器は、
燃焼排気が流れるケース内に吸熱管を配置し、吸熱管の一端部と他端部とをケースの側板に設けた流入ヘッダと流出ヘッダとに接続して吸熱管内に流す水を燃焼排気により熱交換加熱する熱交換器において、
高さ位置が低位置側に配置されるヘッダには、吸熱管内の水抜き時にパイプ端開口に達した水の水抜き流路を形成させるための水抜き板を、上下方向に並設された複数のパイプ端開口に対して連続して対向配置したものである。
【0010】
これにより、吸熱管の水抜き時にパイプ端開口に水の表面張力に起因した水膜が保持されようとしても、このパイプ端開口に達した水は、水抜き板によって形成される水抜き流路に導かれてパイプ端開口から水抜き流路へ流出される。このパイプ端開口から水抜き流路への水の流出によってパイプ端開口における水の表面張力に起因した水膜の形成が阻止される。従って、吸熱管の細管化により口径を小さくした場合でも、吸熱管のパイプ端開口での水の表面張力に起因して吸熱管の流水方向下流部に水が残されることがなく吸熱管内の水抜きが確実に行われる。また、水抜き板は、ヘッダ内に設けられるため、熱交換器の小型化を阻害することもない。
【0011】
上記水抜き流路は、水抜き板に形成された上下方向に延びる凹溝により構成され、
上記凹溝は、パイプ端開口の口径よりも溝幅が狭く且つパイプ端開口に連通されていることが望ましい。
これにより、吸熱管の水抜き時にパイプ端開口に水の表面張力に起因した水膜が形成されようとしても、このパイプ端開口に達した水は、水抜き流路となる凹溝に導かれ、凹溝を伝って流下される。このパイプ端開口から凹溝へ水が流下することによってパイプ端開口における水の表面張力に起因した水膜の形成が阻止される。従って、吸熱管の細管化により口径を小さくした場合でも、吸熱管のパイプ端開口での水の表面張力に起因して吸熱管の流水方向下流部に水が残されることがなく吸熱管内の水抜きが確実に行われる。
【0012】
上記水抜き流路は、パイプ端開口と水抜き板との間の隙間により構成され、
上記隙間は、パイプ端開口に水の表面張力に起因して形成される水膜の盛り上がり量以下に設定されることが望ましい。
これにより、吸熱管の水抜き時にパイプ端開口に水の表面張力に起因した水膜が形成されようとしても、このパイプ端開口に達した水は、水抜き流路となる上記隙間に導かれ、その後は水抜き板を伝って流下される。このパイプ端開口から水抜き板を伝って水が流下することによってパイプ端開口における水の表面張力に起因した水膜の形成が阻止される。従って、吸熱管の細管化により口径を小さくした場合でも、吸熱管のパイプ端開口での水の表面張力に起因して吸熱管の流水方向下流部に水が残されることがなく吸熱管内の水抜きが確実に行われる。
【0013】
上記水抜き板は、水透過部材により構成される。
これにより、水が水抜き板を円滑に通過することができるので、熱交換器の通常使用時においてヘッダを介した吸熱管への水の流通を妨げることがなく円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る熱交換器によれば、吸熱管の細管化を図った場合でも、パイプ端開口に水抜き板を配置させるといった簡単な構成で吸熱管の水抜きを確実に行うことができる。従って、水抜き作業を行ったにもかかわらず吸熱管内に残水が存在して冬季に凍結し吸熱管を破損させるなどの不具合を起こすこともない。よって、小型化、高効率化を実現すると共に、吸熱管の水抜きを適切に行える熱交換器の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態における熱交換器を備えた給湯装置の構成を示す断面図である。
【図2】副熱交換器の流入ヘッダの部分を分解した斜視図である。
【図3】副熱交換器における流入ヘッダの内部構成を示す横断面図である。
【図4】副熱交換器における流入ヘッダの内部構成を示す縦断面図である。
【図5】水抜き板を示す図である。
【図6】他の実施形態による副熱交換器の流入ヘッダの内部構成を示す横断面図である。
【図7】他の実施形態による副熱交換器の流入ヘッダの内部構成を示す縦断面図である。
【図8】従来例として、吸熱管内の水抜き構造を備えた潜熱熱交換器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1に示す給湯装置1は、潜熱回収型給湯装置1であり、外装ケース2内に、ガスバーナ31を内蔵する燃焼筐3と、燃焼筐3の上方の主熱交換器4と、主熱交換器4の上方の副熱交換器5とを備えている。燃焼筐3の下側には、燃焼筐3内に燃焼用空気を供給する給気ファン11が設置されている。
【0017】
主熱交換器4は、ガスバーナ31の燃焼排気が流れる胴部40内に間隔を存して並設した多数の吸熱フィン41と、これら吸熱フィン41を蛇行形状に貫通する吸熱管42とを備えている。副熱交換器5は、潜熱熱交換器であり、ケース50内に横向き蛇行形状に配置した複数本の吸熱管52を備えている。吸熱管52は、耐食性金属、例えば、ステンレス製、チタン製等のコルゲート管を蛇行形状に曲げ加工して形成される。ケース50の横方向一側の側板51には、流入ヘッダ6aと流出ヘッダ6bとが設けられ、複数本の吸熱管52の一端部が流入ヘッダ6aに接続され、他端部が流出ヘッダ6bに接続されている。流入ヘッダ6aには給水管81が接続され、流出ヘッダ6bには主熱交換器4の吸熱管52の上流端に繋がる接続管83が接続されている。主熱交換器4の吸熱管52の下流端には出湯管82が接続されている。副熱交換器5は、底板53の後部には主熱交換器4を通過した燃焼排気の排気導入口54が開設され、ケース50の前面には副熱交換器5を通過した燃焼排気を排出する排気口55が設けられている。
【0018】
そして、出湯管82の下流端の出湯栓(図示せず)が開かれると給水管81から副熱交換器5の吸熱管52、主熱交換器4の吸熱管42へと通水され、また、ガスバーナ31が燃焼される。主熱交換器4では、ガスバーナ31の燃焼による燃焼排気中から主に顕熱を吸収して吸熱管42内を流れる水を熱交換加熱する。副熱交換器5では、燃焼排気中の水蒸気を凝縮して潜熱を吸収して吸熱管52内の水を熱交換加熱する。これにより、副熱交換器5及び主熱交換器4で加熱された温水が出湯管82から出湯される。
【0019】
なお、副熱交換器5は、後上がりに僅かに傾斜(約5°)して設置されている。副熱交換器5において燃焼排気中の水蒸気の凝縮により発生した酸性のドレン水は、傾斜した底板53に滴下され、低位置のドレン回収部56からドレン排水管57を通り中和器58で中和された後、下水に排水される。
【0020】
図2、図3、図4に示すように、副熱交換器5における流入ヘッダ6aと流出ヘッダ6bは、側板51の所定位置を絞り加工することによりケース50の内方へ凹ませた凹部よりなるヘッダ本体61と、ケース50の外側から配設されてヘッダ本体61との間に閉鎖空間60を画成するヘッダ蓋62とを備えている。ヘッダ本体61には、吸熱管52用の差込口63が複数本の吸熱管52に対応して複数開設され、ヘッダ蓋62には、給水管81や接続管83用の単一のジョイント部64が設けられている。ヘッダ蓋62は、ジョイント部64を設けない裏側が全周囲に周壁65を形成する浅い器状に形成されている。ヘッダ蓋62の裏側をヘッダ本体61の凹部に向けてヘッダ本体61の凹部内にヘッダ蓋62を嵌め込み、ヘッダ本体61の凹部内壁とヘッダ蓋62の周壁65外面とを重ね合わせた状態でロー付けして各ヘッダ6a,6bが形成される。
【0021】
流入ヘッダ6aと流出ヘッダ6bとは、ジョイント部64の位置は、流入ヘッダ6aが下側に設けられ、流出ヘッダ6bが上側に設けられている(図2参照)。副熱交換器5を傾けて設置することから、高さ位置は、流入ヘッダ6aの方が低位置に配置されている。
【0022】
さて、背景技術でも述べたとおり、熱交換器の更なる小型化、高熱効率化の要請より、副熱交換器5の吸熱管52の細管化が図られる。本実施形態における副熱交換器5では、吸熱管52の口径をφ10mmとし、8本の吸熱管52を配設する。これにより、限られたスペース内に多くの吸熱管52を配置し、小型化が図られ且つ吸熱管52の伝熱面積が増して高熱効率化を達成している。ところが、吸熱管52を細管化すると、吸熱管52内の水抜きに際して水の表面張力に起因してパイプ端開口52aに水膜が形成され吸熱管52の流水方向下流部に水が残ることがある。そこで、本実施形態では、吸熱管52を細管化しても、水抜きが円滑に行われるようにするため、以下のように構成する。
【0023】
低位置側に配置された流入ヘッダ6aには、パンチングメタルで形成する水抜き板7がパイプ端開口52aに対向してヘッダ本体61内の底部66に配置されている。水抜き板7の多数のパンチ孔75は、パイプ端開口52aよりも小径である。水抜き板7は、吸熱管52の水抜き時にパイプ端開口52aに達した水の水抜き流路を形成させるものである。水抜き板7は、パイプ端開口52aの対向面側に上下方向に延びる凹溝70が2箇所に形成されており、これら凹溝70が上記水抜き流路となる。各凹溝70は、左右位置に4つずつ上下方向に並設された各吸熱管52のパイプ端開口52aに対して連続して対向されている。これら凹溝70の溝幅は、パイプ端開口52aの口径よりも狭く形成されている。例えば、パイプ端開口52aの口径が10mmで、凹溝70の溝幅は、約1mmに設定される。
【0024】
図5を参照して、水抜き板7は、凹溝70を形成させるためのリブ山71が形成され、また、両端のそれぞれにリブ山71の側に曲げられた曲げ部73が形成されている。水抜き板7は、この曲げ部73の先端にヘッダ蓋62の周壁65の上端面が当接され、リブ山71の頂部72がヘッダ蓋62の底面67に当接される大きさに設定されている。水抜き板7は、外形がヘッダ本体61の底部66に略沿った大きさを有する。従って、リブ山71が水抜き板7の強度確保に寄与すると共に、ヘッダ蓋62をヘッダ本体61に嵌め込むとヘッダ蓋62の底面67にリブ山71が当接されて水抜き板7がパイプ端開口52aに接して保持される。水抜き板7の両側の曲げ部73もヘッダ蓋62の周壁65の上端面に当接されて水抜き板7の保持がなされる。このようにして、水抜き板7がパイプ端開口52aに接するように配置されることで、凹溝70の開口部がパイプ端開口52aに当接されている。
【0025】
そして、水抜き作業に際して、給水管81及び出湯管82における水抜き栓(図示せず)を開くと、最初は、吸熱管52の一端部と他端部との高低差により吸熱管52内の水がパイプ端開口52aから円滑に流出される。このとき、水抜き板7は、パンチングメタルで形成されているので、吸熱管52内の水は、パイプ端開口52aから水抜き板7の多数のパンチ孔75を通って排水される。そして、吸熱管52内の水が吸熱管52の流水方向下流部まで抜けると、吸熱管52の高低差による水の水頭圧が小さくなることから、水抜き板7を配しない場合は、水の表面張力に起因してパイプ端開口52aに水膜が形成されて吸熱管52の流水方向下流部に水が残ってしまうことがある。本実施形態では、吸熱管52の流水方向下流部まで水が抜けると、パイプ端開口52aに達した水は、水抜き板7の凹溝70内に進入し凹溝70内に沿って流下されて行く。従って、吸熱管52の流水方向下流部の水は、凹溝70を通じて排水される。
【0026】
この排水の原理は、以下のように考えられる。
パイプ端開口52aに達した水は、凹溝70での毛細管現象に基づいて凹溝70内に浸透され、この凹溝70に浸透した水は、その自重と凹溝70での毛細管現象とが相まって凹溝70内に沿って流下されると考えられる。このようにしてパイプ端開口52aに達した水が順次に凹溝70を通じて流されて行くことで、吸熱管52の高低差による水の水頭圧が小さくなっても、パイプ端開口52aには水の表面張力に起因した水膜が形成されることがなく、吸熱管52の流水方向下流部の水は、残らず凹溝70を通じて排水される。
【0027】
従って、吸熱管52の細管化により口径を小さくした場合でも、吸熱管52のパイプ端開口52aでの水の表面張力に起因して吸熱管52の流水方向下流部に水が残されることがなく吸熱管52内の水抜きが確実に行われる。このように、本実施形態における副熱交換器5によれば、吸熱管52の細管化を図った場合でも、パイプ端開口52aに水抜き板7を配置させるといった簡単な構成で吸熱管52の水抜きを確実に行うことができる。従って、水抜き作業を行ったにもかかわらず吸熱管52内に残水が存在して冬季に凍結し吸熱管52を破損させるなどの不具合を起こすこともない。よって、小型化、高効率化を実現すると共に、吸熱管52の水抜きを適切に行える潜熱熱交換器5の提供が可能となる。
【0028】
水抜き板7は、パンチングメタルにより構成されているので、水が水抜き板7を円滑に通過することができ、潜熱熱交換器5の通常使用時において流入ヘッダ6aを介した吸熱管52への水の流通を妨げることがなく円滑に行うことができる。なお、水抜き板7は、パンチングメタルで構成するが、これに限らず、エキスパンドメタル、網、メッシュ、フィルター等の種々の水透過部材により構成することができる。また、水抜き板7は、金属板が好適に使用されるが、プラスチック、セラミック等の材質が用いられてもよい。
【0029】
(他の実施形態)
図6、図7に示すように、他の実施形態では、パンチングメタルより形成された水抜き板7xがパイプ端開口52aと隙間70aを設けるように配置される。この水抜き板7xとパイプ端開口52aとの間の隙間70aは、パイプ端開口52aに水の表面張力に起因して形成される水膜の盛り上がり量以下に設定され、この隙間70aにより吸熱管52内の水抜き時の水抜き流路を形成する。例えば、パイプ端開口52aの口径が10mmで、隙間70aは、約1mmに設定される。
【0030】
この水抜き板7xは、幅方向の中央部に上下方向に延びたリブ山71が1つ形成され、このリブ山71の頂部72がヘッダ蓋62の底面67に当接される大きさに設定されている。水抜き板7xの両端のそれぞれには、ヘッダ蓋62の周壁65の上端面が当接されリブ山71の側に曲げられた曲げ部73が形成されている。従って、リブ山71が水抜き板7の強度確保に寄与すると共に、ヘッダ蓋62をヘッダ本体61に嵌め込むとヘッダ蓋62の底面67にリブ山71が当接されて水抜き板7xがパイプ端開口52aに隙間70aを有して保持される。水抜き板7xの両側の曲げ部73もヘッダ蓋62の周壁65の上端面に当接されて水抜き板7xの保持がなされる。
【0031】
そして、水抜き作業に際して、吸熱管52の流水方向下流部まで水が抜けると、パイプ端開口52aに達した水は、パイプ端開口52aと水抜き板7xとの間の隙間70aに誘導され水抜き板7xに沿って流下されて行く。従って、吸熱管52の流水方向下流部の水は、水抜き板7xに伝って排水される。
【0032】
つまり、パイプ端開口52aに達した水は、パイプ端開口52aで外方へ盛り上がり水抜き板7xに接するとパイプ端開口52aと水抜き板7との間の隙間70aの毛細管現象によりパイプ端開口52aと水抜き板7xとの間の隙間70aに誘導され、この隙間70aに誘導された水は、その自重と隙間70aの毛細管現象とが相まって水抜き板7xに沿って流下されると考えられる。このようにしてパイプ端開口52aに達した水が順次に水抜き板7xを通じて流されて行くことで、吸熱管52の高低差による水の水頭圧が小さくなっても、パイプ端開口52aには水の表面張力に起因した水膜が形成されることがなく、吸熱管52の流水方向下流部の水は、残らず水抜き板7xを通じて排水される。従って、吸熱管52の細管化により口径を小さくした場合でも、吸熱管52のパイプ端開口52aでの水の表面張力に起因して吸熱管52の流水方向下流部に水が残されることがなく吸熱管52内の水抜きが確実に行われる。図6,図7に示す他の実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、図3、図4に示す上記実施形態と同様である。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されず、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、吸熱管52は、横置き蛇行形状でなく、渦巻状、螺旋状等に配設されるものでもよい。
また、熱交換器は、給湯装置に限らず、各種の熱交換装置に用いられるものでもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 給湯装置
2 外装ケース
3 燃焼筐
4 主熱交換器
5 副熱交換器
6a 流入ヘッダ
6b 流出ヘッダ
7,7x 水抜き板
42 吸熱管
50 ケース
51 側板
52 吸熱管
52a パイプ端開口
61 ヘッダ本体
60 閉鎖空間
62 ヘッダ蓋
63 差込口
64 ジョイント部
65 ヘッダ蓋の周壁
66 ヘッダ本体の底部
67 ヘッダ蓋の底面
70 凹溝
70a 隙間
71 リブ山
72 リブ山の頂部
73 曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気が流れるケース内に吸熱管を配置し、吸熱管の一端部と他端部とをケースの側板に設けた流入ヘッダと流出ヘッダとに接続して吸熱管内に流す水を燃焼排気により熱交換加熱する熱交換器において、
高さ位置が低位置側に配置されるヘッダには、吸熱管内の水抜き時にパイプ端開口に達した水の水抜き流路を形成させるための水抜き板を、上下方向に並設された複数のパイプ端開口に対して連続して対向配置した熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
上記水抜き流路は、水抜き板に形成された上下方向に延びる凹溝により構成され、
上記凹溝は、パイプ端開口の口径よりも溝幅が狭く且つパイプ端開口に連通されている熱交換器。
【請求項3】
請求項1に記載の熱交換器において、
上記水抜き流路は、パイプ端開口と水抜き板との間の隙間により構成され、
上記隙間は、パイプ端開口に水の表面張力に起因して形成される水膜の盛り上がり量以下に設定される熱交換器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の熱交換器において、
上記水抜き板は、水透過部材により構成される熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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