説明

熱伝導率測定装置及び熱伝導率の測定方法

【課題】 ロッドと被測定体の外周からの熱漏洩を妨げ、z軸方向のみの理想的な一次元熱伝導を実現し、接触熱抵抗Rcおよび熱伝導率kを精度良く測定できる熱伝導率測定装置を提供する。
【解決手段】 加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22の間に被測定体23を挟持し、加熱側ロッド21、被測定体23及び冷却側ロッド22を通して熱量を流入・流出させることにより被測定体23の熱伝導率またはロッド21,22と被測定体23との間の接触熱抵抗を測定する熱伝導率測定装置であって、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定体23の外周に補償ヒータ32をそれぞれ複数個配置し、各補償ヒータ32の温度と、上記各補償ヒータ32の温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定体23の温度とが等しくなるように、補償ヒータ23の発熱量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの間に被測定体を挟持し、加熱側ロッド、被測定体及び冷却側ロッドを通して熱量を伝達させ、被測定体の熱伝導率またはロッドと被測定体との間の接触熱抵抗を測定する熱伝導率測定装置及び熱伝導率の測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、L.S.Flether等によって発表された論文Themal Conductance of Multilayered Metalic Sheets(AIAA26th Thermophysics Conference、June 24−26、1991/ Honolulu Hawaii)に開示された熱伝導率測定装置の構成図である。図8の測定装置において、被測定体23の上下に予め熱伝導率krotが既知な加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22が設けられ、加熱側ロッド21の最上部は加熱ブロック11により加熱され、冷却側ロッド22の最下部は冷却ブロック12により冷却するようになっている。加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22内には、温度分布測定用のために所定間隔毎に孔が設けられており、この孔内に熱電対から構成される温度測定センサ41,42が埋設されている。また、加熱ブロック11の上部には、ロッド21,22と被測定体23の間の接触面圧力を制御する付加力装置15が配設されており、接触面圧力の測定用にロードセル13が設置されている。
【0003】
図8の熱伝導率測定装置を使用した接触熱抵抗の測定原理は以下の通りである。ここでは、二つのロッド21、22および被測定体23の断面積は同じものとするが、断面形状に制約されない。
【0004】
加熱ブロック11から加熱側ロッド21に流入し、被測定体23を伝わって、冷却側ロッド22から流出し、冷却ブロック12内を通過する冷却水へ流れる熱流束qは、次の(式1)から求めることができる。
【0005】
【数1】

【0006】
ここで、q:加熱側ロッド21から被測定体23へ流入した熱流束(W/m)、
:被測定体23から冷却側ロッド22へ流入した熱流束(W/m)であり、次の(式2)、(式3)で与えられる。
【0007】
【数2】

【0008】
したがって、二つのロッド21,22の間の接触熱抵抗Rは、測定した二つのロッド21,22の温度勾配から(式4)により求められる。
【0009】
【数3】

【0010】
また、接触熱抵抗Rは、二つのロッド21,22及び被測定体23間の接触圧力に依存する。したがって、付加力装置15及びロードセル13を使用して、二つのロッド21,22及び被測定体23間の接触圧力を可変しながら、所定の圧力値毎に上記温度勾配を測定して上記接触熱抵抗Rを求める。
【0011】
次に、被測定体23の熱伝導率kを調べたい場合、z軸方向に厚みのある被測定体23に設けた孔に熱電対から構成された温度測定センサを埋設し、被測定体23のz軸方向の温度勾配を測定する。このとき、被測定体23を通過する熱流束qは(式5)で定義される。
【0012】
【数4】

【0013】
したがって、被測定体23の熱伝導率kは、被測定体23の温度勾配を用いて(式6)で求められる。
【0014】
【数5】

【0015】
なお、被測定体23の熱伝導率kを算出する際、被測定体23のz軸方向の厚みがほとんどなく孔に熱電対を埋設できない場合、被測定体23のz軸方向の温度勾配を(式4)のΔT(二つのロッド内のそれぞれの温度勾配の外挿線から求めた温度差)により求めて、(式6)に代入しても良い。
【0016】
以上のように、図8の熱伝動率測定装置を使用すれば、接触熱抵抗および熱伝導率を測定することが可能である。
【0017】
また、従来、コークリートの温度予測装置として、内部にコンクリートの打設空間を形成しかつ周囲4面を断熱状態に保持する周壁を備えた筒状の断熱槽と、この断熱槽内に打設されたコンクリートの履歴温度を検出する温度検出器と、前記断熱槽の両開口部を覆いかつ内部に温度の制御空間を形成するケーシングと、このケーシング内の温度を制御する制御手段とを具備したものがあった(例えば、特許文献1)。
【0018】
【非特許文献1】L.S.Flether等著、「Themal Conductance of Multilayered Metalic Sheets」(AIAA26th Thermophysics Conference、 June 24−26、1991/ Honolulu Hawaii)
【特許文献1】特開昭63−117249号公報(請求項1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ここで、上記非特許文献における(式4)と(式6)を見ると、接触熱抵抗Rおよび熱伝導率kの測定値の精度は、ロッド21,22または被測定体23の温度勾配の測定値の精度に大きく影響していることがわかる。したがって測定時には、ロッド21,22または被測定体23のz軸を法線とする断面での温度が均一でかつ上記温度勾配を理想的な一次直線として測定されるように、ロッド21から被測定体23、ロッド22へz軸方向のみの熱伝導を実現させるのが望ましい。そこで、図8の測定装置を真空状態の環境内に設置して、ロッド21,22と被測定体23からz軸以外の方向へ熱漏洩するのを防ぐ方法も考えられるが、測定環境を整えるのに多大な労力を要する。
【0020】
また、ロッド21,22と被測定体23の外周を断熱材で覆って測定する方法もあるが、実際にその方法を用いた場合のロッド21,22、被測定体23の温度分布を図9に示す。図9の横軸はロッドまたは被測定体の温度測定点、縦軸に温度を示している。なお、プロットは実測値で、直線はこの実測値をもとにした近似直線である。この時、z軸方向のみへの一次元熱伝導を実現させようとしても断熱材を通しての熱漏洩が存在するため、実際は図9に示すようにロッド21,22あるいは被測定体23の温度勾配は理想的な一次直線にならない。このことは(式4)で表される接触熱抵抗Rおよび(式6)で表される熱伝導率kの精度悪化の原因となる。
【0021】
なお、上記特許文献1では、コンクリートのz軸を法線とする断面での温度が均一でかつ温度勾配が理想的な一次直線となるように、すなわち同じ位置におけるコンクリート内の温度とケーシング内の温度が同じになるようにヒータを制御していることは開示されていない。
【0022】
この発明は上記のような従来の課題を解消するためになされたものであり、多大な労力を要せずに、ロッドと被測定体の外周からの熱漏洩を妨げ、z軸方向のみの理想的な一次元熱伝導を実現し、接触熱抵抗Rcおよび熱伝導率kを精度良く測定できる熱伝導率測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明に係る熱伝導率測定装置は、被測定体をその間に挟持する加熱側ロッド及び冷却側ロッドを備え、加熱側ロッドの被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、加熱側ロッド、被測定体及び冷却側ロッドを通して、冷却側ロッドの被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、両ロッド内の温度勾配を測定することにより被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と被測定体の温度勾配から被測定体の熱伝導率またはロッドと被測定体との間の接触熱抵抗を測定する熱伝導率測定装置であって、加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体の外周に補償ヒータを各々複数個配置し、各補償ヒータの温度と、各補償ヒータの温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体の温度とが等しくなるように、補償ヒータの発熱量が制御されていることを特徴とする。
【0024】
また、この発明に係る熱伝導率測定装置は、被測定体をその間に挟持する加熱側ロッド及び冷却側ロッドを備え、加熱側ロッドの被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、加熱側ロッド、被測定体及び冷却側ロッドを通して、冷却側ロッドの被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、両ロッド内の温度勾配を測定することにより被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と被測定体の温度勾配から被測定体の熱伝導率またはロッドと被測定体との間の接触熱抵抗を測定する熱伝導率測定装置であって、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの外周に補償ヒータをそれぞれ複数個配置し、各補償ヒータの温度と、上記各補償ヒータの温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド及び冷却側ロッドの温度とが等しくなるように、補償ヒータの発熱量が制御されていることを特徴とする。
【0025】
また、この発明に係る熱伝導率の測定方法は、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの間に被測定体を挟持する工程と、加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体の外周の温度を、それと同じ高さに位置する加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体自体の温度と等しくなるように制御する工程と、加熱側ロッドの被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、加熱側ロッド、被測定体及び冷却側ロッドを通して、冷却側ロッドの被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、両ロッド内の温度勾配を測定することにより被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と被測定体の温度勾配から被測定体の熱伝導率またはロッドと被測定体との間の接触熱抵抗を測定する工程とを備えたことを特徴とする。
【0026】
また、この発明に係る熱伝導率の測定方法は、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの間に被測定体を挟持する工程と、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの外周の温度を、それと同じ高さに位置する加熱側ロッド及び冷却側ロッド自体の温度と等しくなるように制御する工程と、加熱側ロッドの被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、加熱側ロッド、被測定体及び冷却側ロッドを通して、冷却側ロッドの被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、両ロッド内の温度勾配を測定することにより被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と被測定体の温度勾配から被測定体の熱伝導率またはロッドと被測定体との間の接触熱抵抗を測定する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
この発明の熱伝導率測定装置によれば、加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体の外周に補償ヒータを各々複数個配置し、各補償ヒータの温度と、各補償ヒータの温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体の温度とが等しくなるように、補償ヒータの発熱量を制御しているので、加熱側ロッド、冷却側ロッド又は被測定体から周囲方向への熱漏洩量を減らすことができ、流入した熱量が加熱側ロッドから被測定体を通して冷却ロッドへ一次元的に伝わることができることから、被測定体の熱伝導率の測定値の精度が高まる。
【0028】
また、この発明の熱伝導率測定装置によれば、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの外周に補償ヒータをそれぞれ複数個配置し、各補償ヒータの温度と、上記各補償ヒータの温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド及び冷却側ロッドの温度とが等しくなるように、補償ヒータの発熱量が制御されているので、加熱側ロッド及び冷却側ロッドから周囲方向への熱漏洩量を減らすことができ、流入した熱量が加熱側ロッドから被測定体を通して冷却ロッドへ一次元的に伝わることができることから、被測定体の熱伝導率の測定値の精度が高まる。
【0029】
また、この発明の熱伝導率の測定方法によれば、加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体の外周の温度を、それと同じ高さに位置する加熱側ロッド、冷却側ロッド及び被測定体自体の温度と等しくなるように制御したので、加熱側ロッド、冷却側ロッド又は被測定体から周囲方向への熱漏洩量を減らすことができ、流入した熱量が加熱側ロッドから被測定体を通して冷却ロッドへ一次元的に伝わることができることから、被測定体の熱伝導率の測定値の精度が高まる。
【0030】
また、この発明の熱伝導率の測定方法によれば、加熱側ロッド及び冷却側ロッドの外周の温度を、それと同じ高さに位置する加熱側ロッド及び冷却側ロッド自体の温度と等しくなるように制御したので、加熱側ロッド及び冷却側ロッドから周囲方向への熱漏洩量を減らすことができ、流入した熱量が加熱側ロッドから被測定体を通して冷却ロッドへ一次元的に伝わることができることから、被測定体の熱伝導率の測定値の精度が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0032】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。図において、被測定体23は二つのロッド21及び22に挟まれており、z軸方向に見て被測定体23の上側のロッドを加熱側ロッド21、下側のロッドを冷却側ロッド22とする。加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22には、そのz軸方向に複数個の孔が設けられ、それぞれの孔内には、ロッド内のz軸方向温度分布を測定するための熱電対から構成されるロッド温度測定センサ41、42が挿入されている。また、被測定体23にも、そのz軸方向に複数個の孔が設けられ、その孔内には被測定体内部のz軸方向温度分布を測定するための熱電対から構成される被測定体温度測定センサ43が挿入されている。
【0033】
加熱側ロッド21の被測定体23と接触する面の反対側には、ヒータ10が挿入されている加熱ブロック11が配置されている。また、冷却側ロッド22の被測定体23と接触する面の反対側には、冷媒が内部を流れている冷却ブロック12が配置されている。なお、図1では加熱ブロック11にヒータ10を挿入しているものを示したが、ヒータ10はセラミックヒータ等どんな構成でも構わない。また、冷却ブロック12の内部に冷媒が通っていると説明したが、ヒートシンクやペルチェ素子等の冷却装置を使用しても構わない。
【0034】
加熱ブロック11の上部には、ロッド21,22と被測定体23の間の接触面圧力を可変させるための付加力装置15を配設している。図1では、付加力装置15としてねじ機構で動作するスライド式の加圧装置を示したが、その他の構成の加圧装置であっても良い。なお、15aは付加力装置15のロッド、15bはバネである。また、付加力装置15により変化する接触面圧力の測定用としてロードセル13が設置されている。この場合、ロードセル13の温度が加熱ブロック11から熱が伝わって高温にならないように、加熱ブロック11とロードセル13の間に断熱性の支持部材14が配設されている。
【0035】
加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定物23の外周には、補償ヒータ用フランジ31によって支持された補償ヒータ32が配置されている。図2は、加熱側ロッド21の構成を示す拡大図である。冷却側ロッド22及び被測定体23に関しても図2と同様に構成される。
【0036】
図2において、補償ヒータ用フランジ31は加熱側ロッド21の外周全体を被覆するように配置され、断熱性部材で構成されている。本例では、補償ヒータ用フランジ31として、加熱側ロッド21の外周を被覆する円筒形状の断熱性樹脂成形品を使用している。補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)は、補償ヒータ用フランジ31のz軸方向の所定間隔(均等間隔が好ましい)毎に複数個配設されている。この場合、補償ヒータ32と加熱側ロッド21との隙間34は、これらが接触しない程度にできるだけ少なくしている。
【0037】
また、補償ヒータ用フランジ31には孔が設けられ、この孔内には各補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)の温度を計測するための熱電対からなる補償ヒータ温度測定センサ33(33a、33b、33c、33d、33e)が埋設されている。各補償ヒータ温度測定センサ33(33a、33b、33c、33d、33e)は、前述のロッド温度測定センサ41(41a、41b、41c、41d、41e)とz軸方向において同じ高さ位置になるように配設されている。
【0038】
補償ヒータ温度検出部101は、補償ヒータ温度測定センサ33(33a、33b、33c、33d、33e)からの信号を入力し、各補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)の温度を算出する役割を果たす。ロッド(被測定体)温度検出部102は、ロッド温度測定センサ41(41a、41b、41c、41d、41e)、42又は被測定体温度測定センサ43からの信号を入力し、ロッド21,22又は被測定体23のz軸方向の温度を算出する役割を果たす。補償ヒータ温度制御部103は、補償ヒータ温度検出部101において算出された各補償ヒータの温度と、ロッド(被測定体)温度検出部102において算出されたロッド又は被測定体のz軸方向の温度とが一致するように各補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)の発熱量を制御する役割を果たす。
【0039】
また、図1に示すように、被測定体23の厚みが計測できるように、被測定体23を挟み込むように2枚の変位測定板61a、61bを設け、この2枚の変位測定板61a、61b間を測定する接触式変位測定計62を配設している。なお、接触式変位測定計62は変位測定板61a、61bの間に位置するように変位測定計用フランジ63によって支持されている。
【0040】
次に、この発明の実施の形態1による熱伝導率測定装置の動作を説明する。ヒータ10により加熱された加熱ブロック11の熱量は、より温度の低い方向へ、つまり加熱側ロッド21、被測定体23、冷却側ロッド22、そして冷却ブロック12とz軸の負の方向へ順に伝わっていく。被測定体23を挟む2つのロッド21、22のそれぞれの温度勾配(∂T/∂z)および(∂T/∂z)を計測することにより、(式1)で表される被測定体23へ流入及び流出する熱流束qを計測することができる。そして、接触熱抵抗Rまたは被測定体の熱伝導率kは、前記において説明したとおり、下記の(式4)又は(式6)により求められる。
【0041】
【数6】

【0042】
【数7】

【0043】
次に、本実施の形態の特徴である補償ヒータ32の温度制御について、図2の加熱側ロッド21の構成図に基づいて説明する。補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)の温度は、補償ヒータ温度測定センサ33(33a、33b、33c、33d、33e)によって逐次計測され、補償ヒータ温度検出部101により算出される。一方、補償ヒータ温度測定センサ33(33a、33b、33c、33d、33e)とz軸方向の同位置にあるロッド21の温度は、ロッド温度測定センサ41(41a、41b、41c、41d、41e)によって逐次計測され、ロッド(被測定体)温度検出部102により算出される。そして、補償ヒータ温度制御部103は、補償ヒータ温度検出部101において算出された各補償ヒータの温度と、ロッド(被測定体)温度検出部102において算出されたロッドのz軸方向の温度とが一致するように、補償ヒータ入力線36に通電制御して、補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)の温度を制御する。
【0044】
図2に示すように、加熱側ロッド21内の温度を計測するためのロッド温度測定センサ41は例えば5つ設けられており、このセンサ41に対応するようにz軸方向の同じ高さに補償ヒータ32の温度を測定するための補償ヒータ温度測定センサ33も補償ヒータ用フランジ31上に例えば5つ設けられている。これら全ての補償ヒータ32の各温度が同じ高さにある加熱側ロッド21内の各温度と等しくなるように制御できれば、加熱側ロッド21内のz軸を法線とするロッド断面内での熱移動が無くなり、z軸方向へのみ熱が移動することになり、ロッドの温度勾配(∂T/∂z)も理想的な一次直線になる。
【0045】
また、補償ヒータ32の数を加熱側ロッド21の温度測定センサ41の総数と同じ、あるいはそれ以上になるように配設すれば、補償ヒータ32を細かく制御することができるため、ロッドの温度勾配(∂T/∂z)もより精度の良い一次直線になる。
【0046】
しかしながら、補償ヒータ32とロッド21との間に自然対流による熱伝達が存在すると、ロッド21内部でz軸を法線とするロッド断面内での熱移動が生じることになる。そのため、ロッド21の内部を熱伝導で伝わる熱がz軸方向のみでなくなるので、z軸を法線とする同一ロッド断面内の温度が均一でなくなり、温度勾配(∂T/∂z)も理想的な一次直線でなくなる。そこで、自然対流による熱伝達を防ぐために、ロッド21と補償ヒータ32の隙間34はできるだけ少なくした方がいい。一方、ロッド21と補償ヒータ32とを接触させると、ロッド21と補償ヒータ32との間で熱伝導による熱移動が発生する場合があるため、接触させてはならない。したがって、前記隙間34はロッド21と補償ヒータ32とを接触させない程度にできるだけ隙間を少なくした方が望ましい。
【0047】
また、補償ヒータ32(32a、32b、32c、32d、32e)の配置において、隣合う補償ヒータ間の温度差による熱移動を避けるために、隣合う補償ヒータ32は密着させず隙間35を設けた方が望ましい。また、補償ヒータ用フランジ31を介して熱伝導で伝わる熱移動を避けるために、補償ヒータ用フランジ31は断熱性部材で構成された方が望ましい。
【0048】
上記の説明は、加熱側ロッド21に関しての説明であったが、これは冷却側ロッド22及び被測定体23についても同様に適用できる。このようにして、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定体23のZ軸方向の温度勾配を理想的な一次直線にすることができるので、(式4)、(式6)で表される接触熱抵抗R、被測定体の熱伝導率kを精度良く測定できるようになる。
【0049】
また、被測定体23が高温になるとそれ自体の厚みが変化する場合も考えられる。被測定体23の厚みの変化は、被測定体23の温度勾配(∂T/∂z)に影響を与えてしまう。そこで、変化する被測定体23の厚みを逐次測定できれば、被測定体23の温度勾配(∂T/∂z)も逐次補正できる利点がある。そのため、被測定体23の厚みが計測できるように、被測定体23を挟み込むように2枚の変位測定板61a及び61bを配置し、この変位測定板61a及び61bの間に接触式変位測定計62を設置している。すなわち、接触式変位測定計62により上下に位置する2枚の変位測定板61a及び61bの変位を計測することで、被測定体23の厚みを測定し、被測定体23の温度勾配(∂T/∂z)を逐次補正する。
【0050】
以上のように本実施の形態によれば、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定体23の外周に補償ヒータ32をそれぞれ複数個配置し、各補償ヒータ32の温度と、各補償ヒータ32の温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定体23の温度とが等しくなるように、補償ヒータ32の発熱量を制御しているので、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22及び被測定体23から周囲方向への熱漏洩量を減らすことができ、流入した熱量が加熱側ロッド21から被測定体23を通して冷却ロッド22へ一次元的に伝わることができる。その結果、ロッドと被測定体の接触熱抵抗R又は熱伝導率kの測定値の精度を高めることができる。
【0051】
また、補償ヒータ32の設置個数を、ロッド又は被測定体の温度測定点の合計又はそれ以上になるように配置し、それぞれの補償ヒータ32を独立して制御しているので、ロッド又は被測定体から周囲方向への熱漏洩量を抑えることができ、熱がロッドから被測定体へ一次元的に伝わることができることから、被測定体の熱伝導率の測定値の精度を高めることができる。
【0052】
また、補償ヒータ32はロッド又は被測定体の外周を覆っているフランジ31上に固定されており、隣り合う補償ヒータ32は接触していないので、隣り合う補償ヒータ32間での熱移動量が少なくなり、フランジ31がロッドまたは被測定体外周からの自然対流による熱漏洩を防いでくれるため、補償ヒータ32へ入力する熱量を少なくすることができる。
【0053】
さらに、フランジ31として、ロッド又は被測定体の外周を隙間を残して被覆する断熱部材により構成し、補償ヒータはこの断熱部材上のロッド側又は被測定体側に配設されているので、フランジ内部での熱移動量が少なくなるため、補償ヒータから発熱する熱量を少なくできる。また、断熱部材がロッド又は被測定体の外周からの自然対流による熱漏洩を防いでくれるため、ロッド又は被測定体から周囲方向への熱漏洩量を抑えることができ、熱がロッドから被測定体へ一次元的に伝わることができることから被測定体の熱伝導率の測定値の精度が高まる。
【0054】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。
【0055】
上記実施の形態1では、z軸の下方から正方向に向かって冷却ブロック12、冷却側ロッド22、被測定体23、加熱側ロッド21、加熱ブロック11と積層されて構成されている。このため、加熱側ブロック11からの熱がz軸の負の方向へ流れるように、かつロードセル13の温度が上がらないように、加熱ブロック11の加熱側ロッド21と接触する面の反対側に断熱性の支持部材14を介在する必要があった。
【0056】
実施の形態2では、図3に示すように、z軸の下方から正の方向に向かって加熱ブロック11、加熱側ロッド21、被測定体23、冷却側ロッド22、冷却ブロック12と積層させており、冷却ブロック12の上側にロードセル13を配置している。この構成によれば、ロードセル13と加熱ブロック11との間の距離が増え、熱抵抗も増加することから、熱がロードセル13の方へ流れずロードセル13の温度が上がらない。従って、実施の形態1で述べた断熱性の支持部材14が不要となり、熱伝導率測定装置1の構成がシンプルになる。
【0057】
なお、本実施の形態において、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22並びに被測定体23の外周に、実施の形態1と同様の補償ヒータが配置しているのは言うまでもない。
【0058】
実施の形態3.
図4及び図5はこの発明の実施の形態3による熱伝導率測定装置のロッドを示す構成図である。図4及び図5は代表例として加熱側ロッドの拡大図を示しているが、冷却側ロッド及び被測定体についても同様であり、以下の説明でも同様に適用できる。
【0059】
上記実施の形態1では、加熱側ロッド21と補償ヒータ32との隙間34を接触させない程度に、できるだけ縮めた方がいいと述べた。これは、この隙間34が大きいと加熱側ロッド21の側面上のz軸方向の温度差によって加熱側ロッド21と補償ヒータ32とで形成される空間38に自然対流が発生し、この自然対流熱伝達によって加熱側ロッド21のz軸を法線とするロッド断面内の温度が均一にならず、熱移動が生じることになる。すなわち、加熱側ロッド21の内部を熱伝導で伝わる熱がz軸方向のみでなくなることから、温度勾配(∂T/∂z)も理想的な一次直線でなくなる。
【0060】
しかし、実際には前記隙間34を接触させない程度に、できるだけ縮めるという作業は難しい。そこで、本実施の形態では、図4に示すように、最適な隙間34が得られるように隙間支持部材37を設けている。この隙間支持部材37は補償ヒータ32と同様、補償ヒータ用フランジ31で支持されている。そして、この隙間支持部材37の先端が加熱側ロッド21と接触することにより、加熱側ロッド21を支持している。さらに、加熱側ロッド21からの熱が隙間支持部材37に伝わらないように、隙間支持部材37は断熱性部材により構成されている。また、補償ヒータ32と加熱側ロッド21とで形成される空間38が、隙間支持部材37によってz軸方向に小さく分断されるため、分断された各空間内の最大温度と最小温度との温度差も小さくなることから、温度差に依存する自然対流熱伝達の発生を抑えられるメリットもある。
【0061】
また、この隙間支持部材37を適当な長さにすることで、簡単に隙間34を最適な値にすることが可能になる。
【0062】
したがって、加熱側ロッド21内のz軸を法線とするロッド断面内の温度が均一になり、この面内での熱移動が無くなり、z軸方向へのみ熱が移動することになる。そのため、ロッド内の温度勾配(∂T/∂z)も理想的な一次直線になる結果、式(4)、式(6)で表される接触熱抵抗R、被測定体の熱伝導率kを精度良く測定できるようになる。
【0063】
また、断熱性を有する隙間支持部材37を隣り合う補助ヒータ32間に配置することで、補助ヒータ32間の温度差による熱伝導を防ぐことができるため、補償ヒータ32への入力量も少なくて済み、補償ヒータ32の制御が簡易になる。
【0064】
一方、図5は加熱側ロッド21と補償ヒータ32の隙間34にフィン状の自然対流防止板39を設置した構成である。この自然対流防止板39は補償ヒータ32側から加熱側ロッド21側へフィン51が突き出しており、フィン51の先端が加熱側ロッド21に接触することで、加熱側ロッド21を支持している。また、加熱側ロッド21からの熱が自然対流防止板39に伝わらないように、自然対流防止板39は断熱性を有している。
【0065】
この自然対流防止板39のフィン51も、図4の隙間支持部材37と同様に、補償ヒータ32と加熱側ロッド21とで形成される空間38をz軸方向に小さく分断するため、分断された各空間内の最大温度と最小温度との温度差も小さくなることから、温度差に依存する自然対流熱伝達の発生も抑えられる。したがって、加熱側ロッド21内のz軸を法線とするロッド断面内での熱移動が無くなり、z軸方向へのみ熱が移動することになる。その結果、ロッド内の温度勾配(∂T/∂z)も理想的な一次直線になるため、式(4)、式(6)で表される接触熱抵抗R及び被測定体の熱伝導率kを精度良く測定できるようになる。
【0066】
なお、本実施の形態において、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22並びに被測定体23の外周に、実施の形態1と同様の補償ヒータが配置しているのは言うまでもない。
【0067】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。本実施の形態では、冷却側ロッド22と冷却ブロック12との間に補償加熱ブロック16を設けたことを特徴としている。
【0068】
被測定体23の熱伝導率に温度依存性がある場合、被測定体23を最適な温度条件にする必要がある。上記実施の形態1では、被測定体23は加熱側ロッド21と冷却側ロッド22に挟まれて積層された構成であり、被測定体23の温度を高温にしたい場合、加熱側ロッド21の温度も更に高温にする必要があり、作業性が悪化する。
【0069】
そこで、本実施の形態では、冷却側ロッド22と冷却ブロック12との間に補償加熱ブロック16を設け、補償加熱ブロック16を所定温度に上げることにより、冷却側ロッド22の温度も上げてやる。それにより、加熱ブロック11からの熱量をそれほど増加することなく、被測定体23の温度を高温にすることができるので、作業性が向上するメリットがある。
【0070】
以上のように本実施の形態によれば、加熱側ロッド21の被測定体23と接触しない側から発熱量Q1を負荷すると共に、冷却側ロッド22の被測定体23と接触しない側からも発熱量Q2(Q1>Q2)を負荷するようにしたので、温度依存性を有する熱伝導率を測定する場合であっても、ロッド21が高温になることを抑えられ、作業性が向上する。
【0071】
なお、本実施の形態において、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22並びに被測定体23の外周に、実施の形態1と同様の補償ヒータが配置しているのは言うまでもない。
【0072】
実施の形態5.
図7はこの発明の実施の形態5による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。
【0073】
上記実施の形態1では、被測定体23の厚みを測定するために、被測定体23の上下に2枚の変位測定板61a、61bを配置し、その間に接触式変位測定計62を配置していた。しかし、接触式変位測定計62は前記2枚の変位測定板61a、61bと直接接触していることから、被測定体23の厚みに影響を与える可能性もある。
【0074】
そこで、本実施の形態では、接触式変位測定計62ではなくレーザ変位測定計64を用いたことを特徴としている。すなわち、レーザ変位測定計64から2枚の変位測定板61a、61bに向けてレーザ光65を発信し、2枚の変位測定板61a、61bで反射した前記レーザ光65をレーザ変位測定計64で受信する。そして、受信したレーザ光65の時間差を計測することで、2枚の変位測定板61a、61bの変位、つまり被測定体23の厚みを測定する。
【0075】
以上のように実施の形態5によれば、2枚の変位測定板61a、61bの間の距離を非接触で測定することができるので、被測定体23の厚みに影響を与えることなく、被測定体23の厚みを測定できる。
【0076】
なお、本実施の形態において、加熱側ロッド21、冷却側ロッド22並びに被測定体23の外周に、実施の形態1と同様の補償ヒータが配置しているのは言うまでもない。
【0077】
実施の形態6.
上記実施の形態では、被測定体23にz軸方向に複数個の孔が設けられ、その孔内に被測定体内部のz軸方向温度分布を測定するための熱電対から構成される被測定体温度測定センサ43が挿入されているものを示した。しかしながら、被測定体23のz軸方向の厚みがほとんどない場合や、被測定体23に熱電対等の温度センサを取り付けることができない場合などには、加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22内のz軸方向温度分布を測定するためのロッド温度測定センサ41、42を取り付けると共に、加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22の外周に補償ヒータ32を複数個配置し、補償ヒータ32の温度と、補償ヒータ32の温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22の温度とが等しくなるように、補償ヒータ32の発熱量を制御しても良い。この場合、被測定体23の熱伝導率kを算出する際には、被測定体23のz軸方向の温度勾配を(式4)に示したΔT(二つのロッド内のそれぞれの温度勾配の外挿線から求めた温度差)により求めて、(式6)に代入することにより算出する。
【0078】
以上のように本実施の形態によれば、加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22の外周に補償ヒータ32を各々複数個配置し、各補償ヒータ32の温度と、各補償ヒータ32の温度計測点と同じ高さにある加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22の温度とが等しくなるように、補償ヒータ32の発熱量を制御しているので、加熱側ロッド21及び冷却側ロッド22から周囲方向への熱漏洩量を減らすことができ、流入した熱量が加熱側ロッド21から被測定体23を通して冷却ロッド22へ一次元的に伝わることができることから、被測定体23の熱伝導率の測定値の精度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】この発明の実施の形態1による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1の熱伝導率測定装置の加熱側ロッドの構成を示す拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態2による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3による熱伝導率測定装置のロッドを示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3による熱伝導率測定装置のロッドを示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。
【図7】この発明の実施の形態5による熱伝導率測定装置を示す全体構成図である。
【図8】論文Themal Conductance of Multilayered Metalic Sheetsに開示された熱伝導率測定装置の構成図である。
【図9】図8の熱伝導率測定装置のロッド及び被測定体の温度分布を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 熱伝導率測定装置、10 ヒータ、11 加熱ブロック、12 冷却ブロック、
13 ロードセル、14 支持部材、15 付加力装置、21 加熱側ロッド、
22 冷却側ロッド、23 被測定体、31 補償ヒータ用フランジ、
32 補償ヒータ、33 補償ヒータ温度測定センサ、
41,42 ロッド温度測定センサ、43 被測定体温度測定センサ、
61a,61b 変位測定板、62 接触式変位測定板、
101 補償ヒータ温度検出部、102 ロッド(被測定体)温度検出部、
103 補償ヒータ温度制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定体をその間に挟持する加熱側ロッド及び冷却側ロッドを備え、上記加熱側ロッドの上記被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、上記加熱側ロッド、上記被測定体及び上記冷却側ロッドを通して、上記冷却側ロッドの上記被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、上記両ロッド内の温度勾配を測定することにより上記被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と上記被測定体の温度勾配から上記被測定体の熱伝導率または上記ロッドと上記被測定体との間の接触熱抵抗を測定する熱伝導率測定装置であって、
上記加熱側ロッド、上記冷却側ロッド及び上記被測定体の外周に補償ヒータをそれぞれ複数個配置し、上記各補償ヒータの温度と、上記各補償ヒータの温度計測点と同じ高さにある上記加熱側ロッド、上記冷却側ロッド及び上記被測定体の温度とが等しくなるように、上記補償ヒータの発熱量が制御されていることを特徴とする熱伝導率測定装置。
【請求項2】
被測定体をその間に挟持する加熱側ロッド及び冷却側ロッドを備え、上記加熱側ロッドの上記被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、上記加熱側ロッド、上記被測定体及び上記冷却側ロッドを通して、上記冷却側ロッドの上記被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、上記両ロッド内の温度勾配を測定することにより上記被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と上記被測定体の温度勾配から上記被測定体の熱伝導率または上記ロッドと上記被測定体との間の接触熱抵抗を測定する熱伝導率測定装置であって、上記加熱側ロッド及び上記冷却側ロッドの外周に補償ヒータをそれぞれ複数個配置し、
上記各補償ヒータの温度と、上記各補償ヒータの温度計測点と同じ高さにある上記加熱側ロッド及び上記冷却側ロッドの温度とが等しくなるように、上記補償ヒータの発熱量が制御されていることを特徴とする熱伝導率測定装置。
【請求項3】
上記補償ヒータの設置個数は、上記ロッド又は上記被測定体の温度測定点の合計又はそれ以上になるように配置され、それぞれの上記補償ヒータは独立して制御されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項4】
上記補償ヒータは、上記ロッド又は上記被測定体の外周を隙間を残して被覆しているフランジ上に固定されており、隣り合う上記補償ヒータは接触していないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項5】
上記フランジは、上記ロッド又は上記被測定体の外周を隙間を残して被覆している断熱部材により構成され、上記補償ヒータはこの断熱部材上の上記ロッド側又は上記被測定体側に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項6】
上記フランジに、上記ロッド又は上記被測定体の外周表面に接触する隙間支持部材が配設されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項7】
上記フランジと上記ロッド又は上記被測定体の外周の間の隙間に、上記ロッド又は上記被測定体の外周表面に接触するフィンを有する自然対流防止板を配設したことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項8】
上記ロッド及び上記被測定体の間の接触面圧力を可変させるための付加力装置と、上記接触面圧力を測定するための圧力センサを配設していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項9】
上記圧力センサは、上記冷却側ロッド側に配設されていることを特徴とする請求項8に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項10】
上記被測定体の上記冷却ロッドとの接触しない側から補償加熱ブロックにより熱量を負荷して、上記被測定体の温度を制御していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項11】
上記被測定体の厚みを測定する変位測定計を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項12】
上記変位測定計は、非接触型変位測定計であることを特徴とする請求項9に記載の熱伝導率測定装置。
【請求項13】
加熱側ロッド及び冷却側ロッドの間に被測定体を挟持する工程と、
上記加熱側ロッド、上記冷却側ロッド及び上記被測定体の外周の温度を、それと同じ高さに位置する上記加熱側ロッド、上記冷却側ロッド及び上記被測定体自体の温度と等しくなるように制御する工程と、上記加熱側ロッドの上記被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、上記加熱側ロッド、上記被測定体及び上記冷却側ロッドを通して、上記冷却側ロッドの上記被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、上記両ロッド内の温度勾配を測定することにより上記被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と上記被測定体の温度勾配から上記被測定体の熱伝導率または上記ロッドと上記被測定体との間の接触熱抵抗を測定する工程とを備えたことを特徴とする熱伝導率の測定方法。
【請求項14】
加熱側ロッド及び冷却側ロッドの間に被測定体を挟持する工程と、
上記加熱側ロッド及び上記冷却側ロッドの外周の温度を、それと同じ高さに位置する上記加熱側ロッド及び上記冷却側ロッド自体の温度と等しくなるように制御する工程と、
上記加熱側ロッドの上記被測定体と接触しない側から熱量を流入させ、上記加熱側ロッド、上記被測定体及び上記冷却側ロッドを通して、上記冷却側ロッドの上記被測定体と接触しない側から上記熱量を流出させ、上記両ロッド内の温度勾配を測定することにより上記被測定体に入力する熱量を算出し、算出した熱量と上記被測定体の温度勾配から上記被測定体の熱伝導率または上記ロッドと上記被測定体との間の接触熱抵抗を測定する工程とを備えたことを特徴とする熱伝導率の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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