説明

熱処理方法

【課題】ワークに設けた環状の複数の被熱処理領域を簡素な構成で熱処理することが可能で、しかも熱処理欠陥の発生を防止できる熱処理方法を提供する。
【解決手段】環形状のワークWに沿う環状の被熱処理領域H1,H2を複数設け、被熱処理領域H1,H2毎に順次熱処理を施すために、第1被熱処理領域H1を加熱する第1加熱工程S11と、加熱された第1被熱処理領域H1を急冷する第1冷却工程S12と、第1冷却工程S12後に第1被熱処理領域H1を加熱して冷却する第1焼戻工程S13と、第1焼戻工程S13後に第2被熱処理領域H2を加熱する第2加熱工程S15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに環状の被熱処理領域を複数設けて被熱処理領域毎に順次熱処理を施す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環形状のワークを熱処理するために、加熱コイルにより誘導加熱し、冷却することが行われている。例えば環形状を有する大きなワークを加熱する場合、環状の被熱処理領域の一部に加熱コイルを対向させてワークを回転させることで、環状のワークの被熱処理領域の全長を加熱して冷却する熱処理装置が提案されている。
【0003】
下記特許文献1では、大きな軸受軌道輪のようなリング状ワークを加熱可能な高周波熱処理装置が開示されている。この高周波熱処理装置を用いてワークを焼入れ処理するには、複数の馬蹄形の加熱コイルをリング状ワークの円周方向の複数箇所に配置し、リング状ワークを回転させながら複数の加熱コイルにより誘導加熱し、加熱後に各馬蹄形の加熱コイルから冷却液を吐出して急冷する。
【0004】
下記特許文献2では、環状部品全体に高周波熱処理を行う装置が開示されている。この装置を用いて焼入れ処理するには、環状部品の外径面又は内径面を位置決めローラで位置決めし、環状部品の内周面、外周面、側面等の一部にそれぞれ加熱コイルを配置し、環状部品を回転させつつ誘導加熱し、その後急冷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−325409号公報
【特許文献2】特開2009−287074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の熱処理装置を用いて環状に設けられた被熱処理領域を熱処理するには、ワークの全面やワークの被熱処理領域の全てを纏めて加熱し、全体を急冷することで熱処理していた。
このような熱処理方法では、例えば環状の被熱処理領域を複数有するワークを熱処理する場合、複数の被熱処理領域を一度に加熱して冷却しているため、ワークの形状や大きさに応じた加熱コイルが多数種類必要となり、また加熱コイルの形状や構造、ワークの支持構造などが複雑になって、装置構成が複雑であった。
しかも、複数の被熱処理領域を一度に加熱して冷却する構造では、加熱コイルにより加熱する面積が広いため、その分大きな電力が必要となる。大きなワークの場合、十分な電力を給電しなければ、所望の温度まで被加熱領域を昇温することができない。十分な電力を給電するとすれば、ワークの大きさに応じた大電力が必要になり、電源設備が大型化していた。
【0007】
一方、環状の被熱処理領域を複数有するワークに対して、被熱処理領域毎に加熱するとすれば、一部の被加熱領域に熱処理を施すことで、他の部位と異なる組織がワークに無端環状に形成される。そのため歪みが生じ易く、熱処理後に焼割れや変形などの熱処理欠陥が生じる。特に、大型のワークの場合には、局部的な環状の領域にそのような変態組織が生じると変形や応力もワークの大きさに応じて大きくなるため、熱処理欠陥が生じ易いことが明らかになった。
【0008】
そこで、本発明は、ワークに設けた環状の複数の被熱処理領域を簡素な構成で熱処理することが可能な熱処理方法を提供することを目的とし、ワークに環状の被熱処理領域を設けて熱処理領域毎に熱処理を施す際、熱処理欠陥の発生を防止できる熱処理方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明熱処理方法は、環形状のワークに沿う環状の被熱処理領域を複数設け、被熱処理領域毎に順次熱処理を施す方法であって、第1被熱処理領域を加熱する第1加熱工程と、加熱された第1被熱処理領域を急冷する第1冷却工程と、第1冷却工程後に第1被熱処理領域を加熱して冷却する焼戻工程と、焼戻工程後に第2被熱処理領域を加熱する第2加熱工程とを備えている。
ワークは、第2被熱処理領域が加熱されたときに第2被熱処理領域の一方の縁側と他方の縁側とで変形量が異なるものであってもよい。
【0010】
好ましくは第1加熱工程及び焼戻工程では、第1被熱処理領域を同じ加熱コイルにより誘導加熱する。
また好ましくは第1加熱工程及び第2加熱工程では、第1被熱処理領域と第2被熱処理領域とを同じ加熱コイルで誘導加熱する。その場合、第1被熱処理領域と第2被熱処理領域とが面対称形状を有し、焼戻工程後にワークを反転させるのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱処理方法によれば、環形状のワークの複数箇所にワーク形状に沿う環状の被熱処理領域を設けて複数の被熱処理領域を順次熱処理するので、ワークの大きさや形状にかかわりなく、被熱処理領域の形状に応じた構成を有する加熱部により加熱することができる。そのためワークの大きさや形状に依存しない簡素な加熱部を用いて被熱処理領域を加熱でき、簡素な構成の熱処理装置により熱処理できる熱処理方法を提供することができる。
しかもこの熱処理方法によれば、環形状のワークの複数箇所にワーク形状に沿って局部的に設けた環状の被熱処理領域を順次熱処理する際、第1被熱処理領域を第1加熱工程及び第1冷却工程により熱処理した後、焼戻工程により第1被熱処理領域を加熱及び冷却してから第2被熱処理領域を加熱している。そのため第2被熱処理領域を加熱するまでの間や加熱中などに、例えば変形や焼割れのような熱処理欠陥の発生を低減又は防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の加熱対象のワークを示す部分断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る熱処理装置の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る熱処理装置の側面図であり、手前側に設けられた加熱部を省略して示している。
【図4】本発明の実施形態に係る熱処理装置の治具を搬送ローダに連結した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る熱処理装置の加熱セクションを示す概略平面図である。
【図6】本発明の実施形態の加熱セクションにおける加熱部及び変位手段の側面図である。
【図7】本発明の実施形態の加熱セクションにおける位置検出部の部分側面図である。
【図8】(a)は実施形態の熱処理装置における加熱コイルを示す正面図、(b)は変形例の加熱コイルにおけるワークとの対向部分の形状を示す部分正面図、(c)は変形例の加熱コイルにおけるワークとの対向部分の形状を示す部分正面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る冷却セクションの部分断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る第1被熱処理領域及び第2被熱処理領域を熱処理する工程を示すフローチャートである。
【図11】(a)〜(d)は本発明の実施形態に係る第1被熱処理領域の熱処理手順を説明する図である。
【図12】(a)〜(d)は本発明の実施形態に係る第2被熱処理領域の熱処理手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて詳細に説明する。
本実施形態では、旋回型熱処理装置を用いて熱処理対象のワークWを熱処理する例について説明する。ここで熱処理とは、ワークWに加熱と冷却とを組み合わせて各種の条件で施すことで、ワークWの組織を変化させて硬度や靱性のような性質を変化させる処理であり、例えば焼入処理が含まれる。ここでは、大型の円環形状を有するワークWを焼入れして焼戻し又は焼鈍する。
【0014】
[ワーク]
まず、本発明の熱処理対象であるワークについて説明する。
熱処理対象のワークWは鋼材のように熱処理可能な材料からなり、図1に示すように、環形状を有して表面に被熱処理領域H1,H2が局部的に2カ所以上に設けられている。各被熱処理領域H1,H2はそれぞれワークWの環形状に沿って環状に設けられている。
本実施形態のワークWは円環形状を有し、断面形状では基部W1と基部W1から内側に突出する突出部W2とを備え、突出部W2に内側に向けて逆方向に傾斜する傾斜面W3を有している。一方の傾斜面W3には第1被熱処理領域H1が、他方の傾斜面W3には第2被熱処理領域H2が、それぞれ環形状に沿って無端状に設けられている。第1及び第2被熱処理領域H1,H2は、表面側のみが加熱される領域であっても、内部まで加熱される領域であってもよいが、ここでは表面側のみが加熱される領域となっている。
このワークWは直径が1m以上、ここでは3m以上の円環形状を有した大型の旋回輪や大型の軸受などを構成する外輪の例である。
【0015】
このワークWでは、第1及び第2被熱処理領域H1,H2はそれぞれ互いに略平行に略一定形状で延びており、第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2とが面対称形状を有し、ワークWの一方の端面と他方の端面を反転させることで、第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2とが同じ位置に配置される形状となっている。
また被熱処理領域H1,H2が誘導加熱されると、被熱処理領域H1,H2の幅方向における一方の縁側と他方の縁側とで熱膨張による変形量が異なる形状となっている。被熱処理領域H1,H2と直交する断面形状において、被熱処理領域H1,H2の一方の縁側と他方の縁側とで大きく形状が異なるため、被熱処理領域H1,H2の両縁側で誘導加熱されたときの熱膨張による変形量が異なるからである。
【0016】
[熱処理装置]
次に、本実施形態で使用する熱処理装置について説明する。
熱処理装置10は、図2乃至図4に示すように、ワークWを支持する治具100と、ワークWを搬入及び搬出する搬入搬出セクション300と、治具100を吊り下げて搬送する搬送機構200と、治具100に載置されたワークWを回転させつつ加熱する加熱セクション400と、加熱セクション400の下方に設けられた冷却セクション500と、搬入搬出セクション300とは反対側に設けられた部品交換セクション600と、を備える。
【0017】
治具100は、図4に示すように、ワークWを載置するワーク支持部110と、ワーク支持部110の中央に設けられた中央構造部130とを備える。ワーク支持部110は、放射方向に延びる複数の放射架台111の先端側に、放射方向に沿って配置された相対移動手段としての回転ローラ112を備える。回転ローラ112は中央構造部130へ入力される駆動力で回転駆動可能である。ワークWは、各回転ローラ112を回転させることで環形状に沿って移動可能である。
【0018】
搬入搬出セクション300は、図2及び図3に示すように、搬入搬出位置P1でワークWを治具100のワーク支持部110に載置し、吊り下げ位置P2へ移動させて治具100を吊り下げ位置P2に精度よく配置できる構造となっている。
【0019】
搬送機構200は、図2及び図3に示すように、各セクションの上方に配設された搬送レール210と、搬送レール210に沿って移動する搬送ローダ部220とを有する。搬送ローダ220は、図4に示すように、治具100の中央構造部130に連結可能で、連結した状態で治具100を吊り下げて搬送する構造を有する。搬送ローダ220には回転駆動手段246が設けられており、搬送ローダ220が治具100の中央構造部130に連結することで、回転駆動手段246により治具100の各回転ローラ112が回転駆動可能となる。
【0020】
加熱セクション400は、図2及び図3に示すように、治具100を所定位置に配置した状態で、治具100に載置されたワークWを回転させつつ均一に加熱する構造となっている。
【0021】
冷却セクション500は、図3に示すように、加熱セクション400の下方に設けられ、治具100を下降して配置した状態で、ワークWを回転させつつ冷却ジャケット520から冷却液を供給して冷却する機構を有する。
【0022】
部品交換セクション600は、図2及び図3に示すように、部品交換治具620に加熱セクション400や冷却セクション500の部品を支持させて搬送し、各セクションの部品を交換できる機構を有している。
【0023】
[加熱セクション]
加熱セクション400は、図5に示すように、治具100の放射架台111を下から支持し周方向の移動を規制する治具保持機構410と、治具100に載置されたワークWを加熱する複数の加熱部450と、を備える。治具保持機構410及び加熱部450は、治具100の中心であるワークWの回転中心Cに対して周囲に複数設けられている。ここでは治具100の互いに隣接する放射架台111間に、ワークWの加熱位置P3が設けられており、各加熱部450は加熱位置P3に対応するように配設されている。
【0024】
[加熱部]
各加熱部450は、図5及び図6に示すように、ワークWの表面位置を検出する位置検出手段480と、各加熱位置P3で治具100上に載置されたワークWの被熱処理領域H1,H2に対向配置される加熱コイル451と、加熱コイル451を支持する支持ボックス452と、位置検出手段480の検出結果に基づいて支持ボックス452を変位及び変向させることでワークWに対する加熱コイル451の相対位置を変位させると共に、相対角度を変向させる変位手段460と、一方の被熱処理領域H1,H2を加熱時に他の部位、特に他方の被熱処理領域H1,H2を冷却するように該部位に冷却液を吹き付ける補助冷却部440と、を備えている。
【0025】
[位置検出手段]
位置検出手段480は、加熱時にワーク表面の位置を検出するものであり、図5に示すように、各加熱位置P3の上流側に配置されている。本実施形態では、2つの加熱位置P3毎に、その上流側に配置される治具100の放射架台111と対応する位置に配置されている。
【0026】
具体的には、各位置検出手段480は、図7に示すように、加熱冷却架台40の位置検出支柱43上に設けられた位置検出台44に装着されている。各位置検出手段480は、位置検出支柱43に第1進退機構481を介して装着された径方向位置検出具483と、第2進退機構482を介して装着された軸方向位置検出具484とを備える。径方向位置検出具483と軸方向位置検出具484とは互いに直交方向に配設されている。
【0027】
第1及び第2進退機構481,482は、エアーシリンダ等からなる進退用駆動手段485と、進退用駆動手段485のロッド486と平行な複数のガイドロッド487と、を備える。各進退機構481,482は、ロッド486及びガイドロッド487により、各位置検出具483,484の検出方向に沿う倒れが防止されている。
【0028】
径方向位置検出具483及び軸方向位置検出具484は、それぞれワークWの表面に当接して転動可能な耐熱性の接触子488と、接触子488をワークW側に付勢しつつ接触子488の進退量を検出する変化量検出部489とを備える。各変化量検出部489としては、例えばリニアセンサ付エアーシリンダを使用できる。
【0029】
加熱時に被加熱領域Hの温度が高温となるため、被加熱領域H以外の位置に接触子488を当接させて検出する。径方向位置検出具483では、接触子488をワークWの外周面の中間部位に当接させ、ワークWの回転中心Cから放射方向に沿うワークWの表面位置を検出する。軸方向位置検出具484では、接触子を治具100に載置されたワークWの上面の外側部位に当接させ、ワークWの回転中心Cの軸線に沿うワークの表面位置を検出する。
【0030】
加熱時には、各位置検出手段480では、径方向位置検出具483及び軸方向位置検出具484の接触子488をワークWに当接させる。ワークWが回転すると、表面に接した接触子488が転動しつつワークW表面の変位に応じて進退する。例えばワークWの周方向における任意の位置を基準位置とし、接触子488の進退量を測定することで、ワークWの周方向の各位置における基準位置からの変位量が検出される。ワークWが環状体であるため、ワークWが1回転することで元の位置にもどる。
このように、接触子488の変位量を変化量検出部489において検出することで、ワークW表面の上下方向の変位及び水平方向の変位が検出され、測定位置を示す信号が出力される。
【0031】
[加熱コイル]
加熱コイル451は、被熱処理領域H1,H2の一方向に沿う全長のうちの一部に対向する大きさに形成され、ワークWの全周のうちの加熱位置P3に配置される部位に対向配置される。各加熱部450の加熱コイル451は互いに所定間隔を開けて、被熱処理領域H1,H2の全長において均等に配置されている。
加熱コイル451の形状は適宜選択可能であり、平面視においてワークWの加熱部位の弧形状に対応した形状であって、ワークWの縦断面形状に対応した縦断面形状となっている。ここでは複数の加熱コイル451、好ましくは全ての加熱コイル451が同じ形状を有する。
【0032】
例えば、各加熱コイル451は、ワークWの周方向の所定領域において、略一定断面のパイプ状、棒状或いは板状のコイル材料を上下に繰り返し蛇行させた形状としてもよい。具体的には、図8(a)に示すように、全長で中空部が連続するように角パイプを接合し、両端に冷却液の入口451b及び出口451cを設け、ワークWと対向する部位が複数の屈曲部451dで屈曲したジグザク形状であってもよい。図8(b)に示すように、ワークWに対向する部位が、断面丸形のパイプ状のコイル材料を複数の湾曲部451eで湾曲させたジグザグ形状であってもよい。
【0033】
被熱処理領域H1,H2の内側と外側とで周長が異なるような場合には、加熱コイル451としては、図8(c)に示すようなものを使用してもよい。この加熱コイル451は、ワークWに対向する部位が角パイプからなり、角パイプをワーク内側及び外側の複数の屈曲部451fと、屈曲部451f間に設けられた屈曲部451gとで屈曲させてジグザク形状に形成したものであってもよい。この加熱コイル451では、回転中心Cから遠い部位における周方向の長さが回転中心Wから近い部位における周方向の長さに比べて長く構成されていてもよい。
【0034】
このような加熱コイル451では、被熱処理領域H1,H2をより均一に加熱するためには、加熱コイル451と被熱処理領域H1,H2との間のギャップが全体でなるべく均一となるのが望ましい。
そのために被熱処理領域H1,H2の形状と加熱コイル451の被熱処理領域H1,H2と対向する面の形状とが、なるべく広い範囲で一致するのがよい。また加熱コイル451の被熱処理領域H1,H2と対向する面の面積である対向面積が、被熱処理領域H1,H2の幅方向においてなるべく均一になるのがよい。さらに被熱処理領域H1,H2と直交する断面において、加熱コイル451の被熱処理領域H1,H2と対向する面と被熱処理領域H1,H2との間の角度はなるべく小さくするのがよく、好ましくは0度にする。
【0035】
加熱コイル451の被熱処理領域H1,H2と直交する方向の幅は被熱処理領域H1,H2の幅と同等にするのがよい。加熱コイル451の幅が狭い場合、複数の加熱コイル451の配置を幅方向にずらすことで被熱処理領域H1,H2の全幅により均一に加熱できる。
この実施形態の加熱コイル451は、被熱処理領域H1,H2と対向する面が被熱処理領域H1,H2に対応した形状を有し、被熱処理領域H1,H2と直交する幅が被熱処理領域H1,H2の幅より若干狭く形成されている。
【0036】
[冷却セクション]
冷却セクション500は、図9に示すように、加熱セクション400の下方に設けられた水槽510と、水槽510内に配置された冷却部としての複数の冷却ジャケット520とを備え、治具100の放射架台111を安定して支持可能となっている。
水槽510は、冷却液の飛散を防止するように治具100及びワークWを囲んで設けられている。複数の冷却ジャケット520は、ワークWに対して大量の冷却液を吐出してワークWに接触させるようにワークWに対向してワークWの周方向の複数位置に略均等に配設されている。
【0037】
[変位手段]
変位手段460は、ワークWと加熱コイル451との相対位置を変位させ、且つ、相対角度を変向するものである。
変位手段460は、図6に示すように、支持ボックス452を上下に変位させる上下変位部462と、支持ボックス452をワークWの回転中心Cからの放射方向に沿って水平方向に変位させる水平変位部463と、支持ボックス452の傾斜を調整する角度変向部492と、を備える。
【0038】
上下変位部462は、加熱冷却架台40上に固定された変位架台42と、変位架台42上に配置された下架台464と、変位架台42に対して下架台464を上下動させる上下駆動機構465とを備える。
上下駆動機構465は、下架台464に固定されて上下方向に配置された変位ガイドロッド466及び縦変位ネジ軸467と、変位架台42に固定されて変位ガイドロッド466を上下動可能に支持する変位軸受468と、変位架台42に固定されたサーボモータ等からなる上下駆動モータ469と、変位架台42に設けられて上下駆動モータ469の回転により縦変位ネジ軸467を上下動させる連結体471とを備える。
【0039】
水平変位部463は、下架台464上にワークWの放射方向に対して略直交方向に配設された第1変位レール472と、第1変位レール472上を移動可能な上架台473と、上架台473を第1変位レール472に沿って移動させる第1変位駆動機構474と、上架台473上にワークWの放射方向に沿って配設された第2変位レール475とを備え、第2変位レール475上に移動可能に支持された支持ボックス452を第2変位レール475に沿って移動させる第2変位駆動機構476とを備える。
【0040】
第1及び第2変位駆動機構474,476は、それぞれサーボモータ等からなる変位駆動モータ477と、変位駆動モータ477と連結されて第1又は第2変位レール472,475に沿って配設され回転駆動される横変位ネジ軸478と、上架台473又は支持ボックス452に設けられて横変位ネジ軸478と螺合した変位突部479とを備える。ワークWの放射方向に対して略直交方向に加熱コイル451を予め位置合わせ可能であれば、第1変位駆動機構474を設けなくてもよい。
【0041】
角度変向部492は、支持ボックス452に設けられており、例えば第1又は第2変位レール472,475に支持された支持ボックス452の下部に対し、支持ボックス452の上部を前側と後側とで異なる高さに上昇又は下降させることで、支持ボックス452の傾斜を変化するようになっている。詳細な図示は省略しているが、支持ボックス452の各位置を上昇又は下降するために、上部及び下部にステップモータにより回動する雄ネジ部を設け、他方に雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を設けている。
【0042】
角度変向部492により、支持ボックス452のワークW側とその反対側とで高さを異ならせることで、加熱コイル451を被熱処理領域H1,H2の長手方向に沿う軸周りに変向させることができる。
【0043】
[熱処理方法]
次に、このような熱処理装置10を用いてワークWを熱処理する方法について説明する。
本実施形態の熱処理方法では、ワークWに応じて各部を設定する準備工程と、ワークWを搬入して治具100に載置する搬入工程と、ワークWを載置した治具100を搬送する搬送工程とを行った後、各被熱処理領域H1,H2の熱処理を行う。その後、ワークWを搬出する搬出工程を行う。
【0044】
準備工程では、加熱処理対象のワークWの大きさや形状に応じて各部の設定を行う。加熱コイル451のような加熱部450の構成部品を加熱部450に装着するには、図2及び図3に示す部品交換セクション600及び部品交換治具620を利用して行うことができる。
【0045】
搬入工程では、図2及び図3に示す搬入搬出セクション300で加熱処理対象のワークWを搬入し、治具100に載置して搬送可能な状態にする。
搬入搬出セクション300の搬入搬出位置P1において、治具100にワークWを支持させる。図4に示すように、ワークWは治具100の複数の回転ローラ112上に、中央構造部130を囲むと共に、一方の端面を下向きにして載置する。その後、ワークWが載置された治具100を吊り下げ位置P2に移動して停止させる。
搬送工程では、図3及び図4に示すように、ワークWが載置された治具100を搬送機構200の搬送ローダ部220に接続し、吊り下げて加熱セクション400に搬送する。
【0046】
そしてワークWが加熱セクション400に搬送された後、各被熱処理領域H1,H2の熱処理を行う。この熱処理では被熱処理領域H1,H2毎に順次熱処理を施す。
具体的には図10に示すように、治具100上に載置されたワークWの第1被熱処理領域H1を加熱する第1加熱工程S11と、加熱された第1被熱処理領域H1を急冷する第1冷却工程S12と、第1冷却工程S12の後に第1被熱処理領域H1を加熱して徐冷する第1焼戻工程S13とを行い、次いで、第1焼戻工程S13の後でワークWを反転させて治具100上に載置する反転工程S14を行う。その後、反転されたワークWの第2被熱処理領域H2を加熱する第2加熱工程S15と、加熱された第2被熱処理領域H2を急冷する第2冷却工程S16と、第2冷却工程S16の後に第2被熱処理領域H2を加熱して徐冷する第2焼戻工程S17とを行う。
【0047】
第1加熱工程S11では、図6及び図11(a)に示すように、加熱セクション400で治具100を所定位置に配置し、治具100を上下方向及び周方向の移動を規制して配置することで、治具100上に載置されたワークWの第1被熱処理領域H1を各加熱位置P3に配置し加熱する。
【0048】
ワークWの回転及び冷却を継続して行うと共に、加熱コイル451をワークWの表面に追従させ、加熱コイル451に高周波電力を給電し、第1被熱処理領域H1を誘導加熱する。
各位置検出手段480によりワークWの径方向位置及び軸方向位置を検出することで、各加熱位置P3における第1被熱処理領域H1の位置が算出される。そのため変位手段460を動作させ、各加熱コイル451をワークWに追従させつつ加熱する。例えばワークWが治具100の中心から偏心した状態で配置されるなどにより、ワークWが回動する際に径方向に変位しながら旋回するような場合であっても、加熱コイル451をワークWに追従させて加熱することができる。
【0049】
誘導加熱を継続することで、第1被熱処理領域H1が昇温される。加熱中には補助冷却部440からワークWに冷却液を継続的に吹き付け、第1被熱処理領域H1以外の部位、特に第2被熱処理領域H2が熱処理温度に昇温することを防止する。
所定の加熱完了状態まで加熱を継続し、被熱処理領域H1の全体を均一に加熱する。例えば第1被熱処理領域H1の温度が所望の温度、例えばA3変態点やA1変態点以上の温度に到達して所定の加熱時間が終了したとき、第1加熱工程S11を終了する。
【0050】
第1冷却工程S12では、図9及び図11(b)に示すように、第1加熱工程S11が終了した後、搬送ローダ部220により治具100を下降させ、冷却セクション500に治具100上のワークWを配置し、ワークWを回転させながら、複数位置に設けられた冷却ジャケット520からワークWに多量の冷却液を噴射し、ワークWの第1被熱処理領域H1全体を急冷する。これにより第1被熱処理領域H1に焼入処理を施す。ここでは、加熱セクション400の下方に冷却セクション500が設けられているため、加熱後短時間の間に冷却が開始される。これによりワークWの所望の焼入処理が行われる。
ワークWの第1被熱処理領域H1の温度が十分に低下した段階で冷却工程を終了する。
【0051】
第1冷却工程S12の後、図6及び図11(c)に示すように、第1被熱処理領域H1を加熱して徐冷する第1焼戻工程S13を行う。
【0052】
この第1焼戻工程S13では、搬送ローダ部220により図6に示す治具100を上昇させて、加熱セクション400で治具100の上下方向及び周方向の移動を規制して配置することで、治具100上に載置されたワークWの第1被熱処理領域H1を各加熱位置P3に配置し加熱する。加熱時には、第1加熱工程S11で使用したものと同じ加熱コイル451の全部又は一部を用いる。ワークWの回転及び冷却を行うと共に加熱コイル451をワークWの表面に追従させつつ、加熱コイル451に電力を給電して誘導加熱を行い、第1被熱処理領域の表面温度を例えば170℃〜200℃に加熱する。所定時間経過後、例えば大気中で冷却する。これによりワークWに低温焼戻処理を施し、第1加熱工程S11及び第1冷却工程S12により形成された硬く脆い組織を焼戻組織にすることで、例えば靱性が向上する。
【0053】
次いで、図9及び図11(d)に示すように、搬送ローダ部220により図6に示す治具100を再び下降させ、冷却セクション500に治具100上のワークWを配置し、ワークWを回転させながら、複数位置に設けられた冷却ジャケット520からワークWに多量の冷却液を噴射し、ワークW全体を冷却して十分に低温にする。
【0054】
第1焼戻工程S13が終了した後、ワークWの上下を反転させて、図6に示す治具100上に載置する反転工程S14を行う。反転工程S14ではワークWの両端面の向きを反転させる。これにより第1被熱処理領域H1が下方に配置され、第2被熱処理領域H2が上方に配置される。
次いで、ワークWが載置された図6に示す治具100を移動して、ワークWの第2被熱処理領域H2を各加熱位置P3に配置する。
【0055】
反転工程S14の終了後、ワークWの第2被熱処理領域H2を加熱する第2加熱工程S15を行う。本実施形態のワークWでは、第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2とが面対称形状で、ワークWを反転させることで第2被熱処理領域H2を反転前の第1被熱処理領域H1と同等に配置できるため、第2加熱工程S15では、第1加熱工程S11で用いたものと同じ加熱コイル451を用いる。
【0056】
第2加熱工程S15では、図6及び図12(a)に示すように、第1加熱工程S11と同様にして治具100上に載置されたワークWの第2被熱処理領域H2を加熱する。第2被熱処理領域H2の加熱中には、補助冷却部440から第2被熱処理領域H2に冷却液を継続的に吹き付け、第2被熱処理領域H2が例えばA1、A3変態点以上のような熱処理温度まで昇温することを確実に防止する。
【0057】
第2加熱工程S15が終了した後で第2冷却工程S16を行う。第2冷却工程S16では、図9及び図12(b)に示すように加熱された第2被熱処理領域H2を第1冷却工程S12と同様にして冷却セクション500に直ちに移動させて急冷する。これにより第2被熱処理領域H2に焼入処理を施す。
【0058】
本実施形態では、第2冷却工程S16後に第2焼戻工程S17を行う。第2焼戻工程S17では、図6及び図12(c)に示すように、第1焼戻工程S13と同様に行う。即ち、治具100を上昇させて、治具100上に載置されたワークWの第2被熱処理領域H2を各加熱位置P3に配置し、第2加熱工程S15で使用した加熱コイル451の全部又は一部を用いて例えば170℃〜200℃に加熱し、大気中で冷却する。これによりワークWに低温焼戻処理を施し、第2加熱工程S15及び第2冷却工程S16により形成された硬く脆い組織を焼戻組織にすることで、例えば靱性を向上する。
次いで、図9及び図12(d)に示すように、搬送ローダ部220により図6に示す治具100を再び下降させ、冷却セクション500に治具100上のワークWを配置し、ワークWを回転させながら、複数位置に設けられた冷却ジャケット520からワークWに多量の冷却液を噴射し、ワークW全体を冷却する。
【0059】
その後、焼入されたワークWは治具100と共に搬送ローダ部220に吊り下げられ、図3に示す搬入搬出セクション300に搬送されて、ワークWの全被熱処理領域H1,H2の熱処理が完了する。
【0060】
以上のような熱処理方法によれば、環形状のワークWの複数箇所にワーク形状に沿う環状の被熱処理領域H1,H2を設け、複数の被熱処理領域H1,H2を順次熱処理するので、ワークWの大きさや形状にかかわりなく、被熱処理領域H1,H2の形状だけに応じた加熱部450により加熱することができる。そのため、加熱部450をワークWの大きさやワークW自体の形状に依存しない簡素な構成にできる。
また、ワークWの全ての被熱処理領域H1,H2を同時に加熱する場合に比べて、加熱時に同時に必要な電力を抑えられる。そのため給電設備を簡素に構成できる。
【0061】
しかもこの熱処理方法によれば、環形状のワークWの複数箇所にワーク形状に沿って局部的に設けた環状の被熱処理領域H1,H2を順次熱処理する際、第1被熱処理領域H1を第1加熱工程S11及び第1冷却工程S12により熱処理した後、第1焼戻工程S13により第1被熱処理領域H1を加熱及び冷却することで焼戻しを施してから、第2被熱処理領域H2を加熱している。そのため第2被熱処理領域H2を加熱するまでの間や加熱中などに、例えば変形や焼割れのような熱処理欠陥の発生を低減又は防止できる。
【0062】
ここではワークWが第2被熱処理領域H2を加熱したときに第2被熱処理領域H2の一方の縁側と他方の縁側とで変形量が異なるものとなっている。このようなワークWでは、被熱処理領域H2が加熱されるとワークWが不均一に変形するため、第1被熱処理領域H1には変形や焼割れのような熱処理欠陥が生じ易くなるが、この実施形態では焼戻しを施すことで熱処理欠陥を有効に防止できる。
【0063】
この実施形態の熱処理方法では、第1加熱工程S11と第1焼戻工程S13とで同じ加熱コイル451により誘導加熱している。そのため加熱コイル451を別々に設ける必要がなく、熱処理装置10の構成を簡素化できる。
【0064】
また第1加熱工程S11と第2加熱工程S15とで、第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2とを同じ加熱コイル451で誘導加熱している。そのため加熱コイル451を別々に設ける必要がなく、熱処理装置10の構成をより簡素化できる。
する、
しかも第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2とが面対称形状を有しており、第1焼戻工程S13後にワークWを反転させて誘導加熱している。そのため、加熱コイル451を共通に使用できることに加え、加熱コイル451の位置調整等を簡略化でき、被熱処理領域H1,H2を複数有するワークWであっても容易に熱処理を行える。
【0065】
上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば上記では第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2との2箇所の被熱処理領域を有するワークWを熱処理する例について説明したが、被熱処理領域の数は複数であれば何ら限定されるものではない。3箇所以上に環状の被熱処理領域が設けられている場合には、被熱処理領域毎に順次加熱する際、各被熱処理領域の焼入処理が終了する毎に焼戻工程を実施すれば、次の被熱処理領域を熱処理する際に焼割れや変形のような熱処理欠陥の発生を抑制できる。
【0066】
上記では第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2とが面対称形状の場合について説明したが、ワークWを反転させた際、第2被熱処理領域H2が第1被熱処理領域H1と傾斜や幅等が異なる場合であっても、複数の加熱コイル451の配置や向きを調整することで、同じ加熱コイル451を用いて第2加熱工程S15を行うことができる。
また第1被熱処理領域H1と第2被熱処理領域H2との形状が全く異なるような場合には、第1加熱工程S11と第2加熱工程S15とで加熱コイル451を交換して加熱することで、本発明を同様に適用することが可能である。
【0067】
上記では、円環形状のワークWの例について説明したが、ワークWは、例えば板状、棒状、塊状等、他の形状であってもよく、複数の被熱処理領域H1,H2が環状に設けるものであれば適用可能である。
上記では、第1焼戻工程S13及び第2焼戻工程S17では170℃〜200℃に加熱して大気中で冷却したが、他の方法により行うことも可能である。
【符号の説明】
【0068】
W ワーク
W1 基部
W2 突出部
W3 傾斜面
H 被加熱領域
C 回転中心
P1 搬入搬出位置
P2 吊り下げ位置
P3 加熱位置
S11 第1加熱工程
S12 第1冷却工程
S13 第1焼戻工程
S14 反転工程
S15 第2加熱工程
S16 第2冷却工程
S17 第2焼戻工程
10 熱処理装置
40 加熱冷却架台
42 変位架台
43 位置検出支柱
44 位置検出台
100 治具
110 ワーク支持部
111 放射架台
112 回転ローラ
130 中央構造部
200 搬送機構
210 搬送レール
220 搬送ローダ部
246 回転駆動手段
255 回転駆動モータ
300 搬入搬出セクション
400 加熱セクション
410 治具保持機構
440 加熱冷却部
450 加熱部
451 加熱コイル
452 支持ボックス
460 変位手段
461 位置調整ハンドル
462 上下変位部
463 水平変位部
464 下架台
465 上下駆動機構
466 変位ガイドロッド
467 縦変位ネジ軸
468 変位軸受
469 上下駆動モータ
471 連結体
472 第1変位レール
473 上架台
474 第1変位駆動機構
475 第2変位レール
476 第2変位駆動機構
477 変位駆動モータ
478 横変位ネジ軸
479 変位突部
480 位置検出手段
481 第1進退機構
482 第2進退機構
483 径方向位置検出具
484 軸方向位置検出具
485 進退用駆動手段
486 ロッド
487 ガイドロッド
488 接触子
500 冷却セクション
520 冷却ジャケット
600 部品交換セクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環形状のワークに沿う環状の被熱処理領域を複数設け、該被熱処理領域毎に順次熱処理を施す方法であって、
第1被熱処理領域を加熱する第1加熱工程と、
加熱された該第1被熱処理領域を急冷する第1冷却工程と、
該第1冷却工程後に上記第1被熱処理領域を加熱して冷却する焼戻工程と、
該焼戻工程後に第2被熱処理領域を加熱する第2加熱工程とを備える、熱処理方法。
【請求項2】
前記ワークは、前記第2被熱処理領域が加熱されたときに該第2被熱処理領域の一方の縁側と他方の縁側とで変形量が異なるものである、請求項1に記載の熱処理方法。
【請求項3】
前記第1加熱工程及び前記焼戻工程では、前記第1被熱処理領域を同じ加熱コイルで誘導加熱する、請求項1又は2に記載の熱処理方法。
【請求項4】
前記第1加熱工程及び前記第2加熱工程では、前記第1被熱処理領域と前記第2被熱処理領域とを同じ加熱コイルで誘導加熱する、請求項1乃至3の何れかに記載の熱処理方法。
【請求項5】
前記第1被熱処理領域と前記第2被熱処理領域とが面対称形状を有し、前記焼戻工程後に前記ワークを反転させる、請求項4に記載の熱処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−251185(P2012−251185A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122977(P2011−122977)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(390029089)高周波熱錬株式会社 (288)
【Fターム(参考)】