説明

熱処理炉の強制空冷装置

【構成】 ヒータ部14の開口端部に複数の吸気口32を設けるとともに、上面に排気口34を設け、この排気口34に接続された排気手段36でプロセスチューブ12とヒータ部14との間の空隙16の空気を排気することによってこの空隙16に空気を流通させ、これにより熱処理炉10の冷却を行う。
【効果】 空隙16を流れる空気の流れ抵抗を低減することができるので、空気の流量を増大させることができ、したがって、冷却速度を速くすることができる。また、空隙16を流れる空気の偏りを低減させることができるので、熱処理炉10全体を均一に冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体素子の製造工程等において使用される熱処理炉を空冷するための、熱処理炉の強制空冷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の熱処理炉の強制冷却装置について、半導体素子の製造工程において使用される熱処理装置の強制冷却装置を例に採って説明する。
【0003】かかる熱処理装置では、所定の処理ガス下で半導体ウエハを加熱することにより、例えば、半導体ウエハへの酸化膜の形成や、熱CVD法による薄膜形成、或いは、熱拡散法による高不純物濃度領域の形成などが行われる。
【0004】また、かかる装置では、通常、このような処理を行った後、一旦プロセスチューブ内の温度を所定の温度まで冷却した後に、半導体ウエハの搬出を行っている。これは、高温の半導体ウエハをそのまま装置外に搬出すると、半導体ウエハの表面に自然酸化膜が形成されてしまい、この半導体ウエハから半導体素子を製造する際の歩留まり低下や、製造された半導体素子の特性悪化の原因となるからである。
【0005】また、近年、集積回路は高速化、高集積化の度合いが高まり、拡散深さを浅くする傾向にあるため、拡散の精度を向上させ、再現性よく拡散深さを制御することが求められている。このように、浅い拡散深さを制御するためには、被処理体である半導体ウエハを、短時間で所定温度まで上昇させるとともに、所定の温度保持時間および温度降下時間を同じプログラムで再現することが必要である。
【0006】プロセスチューブ内の冷却を急速且つ均一に行うための技術としては、例えば実開昭63−121429号公報に開示されたものや、実公昭63−8128号公報に開示されたものがある。
【0007】実開昭63−121429号公報に開示された装置は、プロセスチューブに沿って形成した螺旋状の気流によって、このプロセスチューブの冷却を行うものである。
【0008】また、実公昭63−8128号公報に開示された装置は、加熱コイルとプロセスチューブとの間に冷却用圧縮空気を供給するための空気噴出用パイプを1または複数設けるとともに、反対の炉口から空気を排出するための排気管を複数設けるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの技術によっても、冷却速度、均一性共に十分ではなかった。
【0010】実開昭63−121429号公報に開示された装置では、現実には、プロセスチューブに沿って螺旋状の気流を形成することは困難である。また、仮に、導入した空気を螺旋状に流すためのガイド手段を設けること等により螺旋状の気流を形成することができたとしても、気流の流れ抵抗が大きくなるので十分な冷却速度は期待できず、また、装置が複雑となってしまう。
【0011】一方、実公昭63−8128号公報に開示された装置は、冷却用空気の供給、排出ともにパイプを用いていることより、気流のむらが生じ易く、冷却の均一性の向上に限界がある。また、この装置では、冷却用空気の供給を強制的に行い、排気は強制的には行っていないが、この点でも、均一な気流を発生させることは困難である。さらに、同様の問題点を持つものとして特開平2−94626号公報及び特開昭3−224217号公報に開示されたものがある。
【0012】本発明は、このような従来技術の課題に鑑みて試されたものであり、熱処理炉冷却を急速且つ均一に行うことができる熱処理炉の強制空冷装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる熱処理炉の強制空冷装置は、一端が開口したプロセスチューブとこのプロセスチューブを覆うヒータ部とを有する熱処理炉の冷却を、前記プロセスチューブと前記ヒータ部との間の空隙に空気を流通させることにより行う強制空冷装置において、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内に前記プロセスチューブの開口端側から空気を流入させるための、複数の吸気口と、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内の空気を前記プロセスチューブの閉端中央部付近から前記ヒータ部外に流出させるための、排気口と、この排気口に接続された排気手段と、を具備することを特徴とする。
【0014】かかる熱処理炉の強制空冷装置は、前記吸気口を塞ぐシャッタ手段と、前記排気口を塞ぐシャッタ手段と、をさらに具備することが望ましい。
【0015】また請求項3においては、一端が開口したプロセスチューブとこのプロセスチューブを覆うヒータ部とを有する熱処理炉の冷却を、前記プロセスチューブと前記ヒータ部との間の空隙に空気を流通させることにより行う強制空冷装置において、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内に前記プロセスチューブの開口端側から空気を流入させるための、複数の吸気口と、前記吸気口に挿入したノズルと、前記吸気口に空気を供給する給気手段と、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内の空気を前記プロセスチューブの閉端中央部付近から前記ヒータ部外に流出させるための、排気口と、この排気口に接続された排気手段と、を具備することを特徴とする。
【0016】かかる熱処理炉の強制空冷装置は、前記排気口を塞ぐシャッタ手段と、をさらに具備することが望ましい。
【0017】
【作用】ヒータ部の開口端部に複数の吸気口を設けるとともに上面に排気口を設け、この排気口に接続された排気手段でプロセスチューブとヒータ部との間の空隙の空気を排気することによってこの空隙に空気を流通させ、これにより熱処理炉の冷却を行う。
【0018】かかる構成によれば、プロセスチューブとヒータ部との間の空隙を流れる空気の流れ抵抗を低減することができるので、空気の流量を増大させることができ、したがって、冷却速度を速くすることができる。
【0019】また、プロセスチューブとヒータ部との間の空隙を流れる空気の偏りを低減させることができるので、熱処理炉全体を均一に冷却することができる。
【0020】さらに、吸気口を塞ぐシャッタ手段および排気口を塞ぐシャッタ手段を設けることにより、加熱処理時の空隙と外部との間の空気の流入および流出を防止することができるので、加熱効率および加熱の均一性を向上させることができる。
【0021】また、請求項3においては、吸気口にノズルを挿入し、また、吸気口に空気を供給する給気手段が設けられている。従って、これにより熱処理炉でバッチ処理されるウエハ間の空冷処理の均一性の向上を図ることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明に係わる熱処理装置の強制空冷装置の第1実施例について、縦型熱処理装置の場合を例に採って説明する。
【0023】図1において、本発明の第1実施例の熱処理炉10は、基台1に取付けたプロセスチューブ12とヒータ部14とを有している。また、このプロセスチューブ12とヒータ部14との間には、空隙16が設けられている。
【0024】プロセスチューブ12は、例えば石英等によって構成されている。このプロセスチューブ12には、下方の開口12aから、下部に保温筒21を持つウエハボート18が挿入される。なお、このウエハボート18は、半導体ウエハW(図示せず)を板厚方向に多数枚(例えば25〜150枚)収納できるように構成されている。
【0025】また、このプロセスチューブ12の下方の開口12aは、ウエハボート18を挿入した際に、保温筒21の下方に設けた蓋体20によって封止密閉される。これにより、このプロセスチューブ12をその下部に設けた排気管24を用いて真空引きし、さらに排気管24からの排気を行いつつガス導入管22から所定の処理ガスをプロセスチューブ12内に導入を行なうことが可能となる。
【0026】プロセスチューブ12を覆うヒータ部14は、加熱機構(例えば加熱コイル)26と、この加熱機構26をこれを密着して覆う断熱体28とを有している。加熱機構26としては、例えば、二ケイ化モリブデン(MoSi2 )を用いて形成した抵抗発熱体(コイル)を使用することができる。かかる発熱抵抗体は50〜100℃/分の急激な温度上昇が可能であり、プロセスチューブ12内の加熱速度を飛躍的に向上させることが可能である。
【0027】かかる熱処理炉10の上部には、強制空冷装置30が設けられている。この強制空冷装置30は、ヒータ部14の開口端部の炉口部に円周上に設けられた吸気ダクト33に形成された複数の吸気口32および熱処理炉10の上部に設けられた排気口34と、この排気口34に接続された熱交換器44と、排気手段としての排気用ファン36とを具備している。
【0028】吸気口32は、プロセスチューブ12とヒータ部14との間に設けられた空隙16の下端部(開口端部)から装置外の空気を流入させるために設けられたものである。かかる吸気口32は、外気と連通し、円周方向に等間隔で複数設けられた吸気開口32aと、ヒータ部14の下端部に前記空隙16に臨んで設けられた連通口32bと空気導入口32cとから構成されている。このように、吸気口32は、ヒータ部14の開口端部に、等間隔に配置することが望ましい。
【0029】本第1実施例では、かかる吸気口32を吸気ダクト33内に複数個設けることとしたので、後述する排気口34とともに作用して、空隙16の全域に均一に空気を流通させることができ、したがって、熱処理炉10の冷却の均一性を向上させることができる。さらに、吸気口32を複数個設けることとした場合、空気の流れ抵抗を小さくすることができるので、冷却速度を向上させることもできる。
【0030】本第1実施例では、この吸気開口32aの数を、16個とした。これにより、熱処理炉10の冷却の、充分な均一性および速度を得ることができた。
【0031】なお、この吸気口32は、例えば吸気開口32aのみを複数設け、連通口32bや空気導入口32cを吸気ダクト33の内部で互いに連通させる構成としてもよい。
【0032】また、排気口34は、空隙16内の空気を自然吸入して装置外に流出させるために設けられたものである。この排気口34は、ヒータ部14の上面14aの中央部(炉頂部10b)に設けることが望ましい。これにより、プロセスチューブ12の頂面12b付近およびヒータ部14の内側上面14a付近との温度差を少なくして冷却の均一性を十分に保証することが可能となる。すなわち、複数の吸気口32からそれぞれ導入され、空隙16内をプロセスチューブ12の外周面に沿って下方から上方に流れた空気は、排気口34によって1ケ所に集められて排気されるので、プロセスチューブ12の外周面を流れるときに気流のむらが生じにくく、プロセスチューブ12ひいては熱処理炉10の均一な冷却が可能となる。
【0033】なお、排気口から流出された空気は、工場内の温度の上昇を防止するために、熱交換器44で冷却された後、排気ダクト48から排気ファン50により工場外へ排気される。
【0034】この排気口34の下流に接続された排気用ファン36は、熱処理炉10の空隙16内の空気を装置外へ排気するために使用される。また、このようにして空隙16内の空気を排気することとすれば、この排気用ファン36による負圧の作用により、装置外の空気を吸気口32より空隙16に流入させることもできる。すなわち、本第1実施例の強制空冷装置では、排気用ファン36を用いて、装置外の空気を吸気口32より空隙16内に流入させ、さらに、この空隙16内の空気を排気口34から装置外へ流出させることにより、空隙16内で空気を流通させ、これによって熱処理炉10の冷却を行う。
【0035】なお、排気口34からの排気のみを排気用ファン36を用いて強制的に行なうこととし、吸気口32には強制的に吸気を行うための手段(以下、「吸気手段」と称す)を設けないこととしたのは、以下の理由によるものである。
【0036】排気口34に排気用ファン36を接続し、さらに、吸気口32にも強制的に吸気手段を設けることとすると、排気用ファン36が故障する等して吸気する空気量よりも排気する空気量の方が少なくなったときに、吸気手段を用いて空隙16内に強制的に導入された空気により空隙内の気圧が上昇する。そして、最後には、空隙16内の空気は、装置の隙間から装置外へ排出されることとなる。ここで、この空気漏れは、ダスト発生の原因になるので、半導体素子の歩留まりを低下させてしまうのである。
【0037】これに対して、排気口34からの排気のみを強制的に行なうこととした場合には、仮にこの排気用ファン36が故障しても、空隙16内で空気を流通させることができないだけなので、熱処理炉10の冷却が行われないだけであり、上述のようなダストの発生はない。
【0038】さらに、本第1実施例では、圧縮空気を供給してこの空気の正圧の作用によって排気を行うのではなく、上述のように、排気用ファン36によって強制的に排気を行ってこの排気による負圧の作用で吸気口32からの吸気を行うこととした。これにより、空隙16内の気流のむらをさらに減少させることが可能となる。
【0039】また、本第1実施例の強制空冷装置は、吸気口32を塞ぐシャッタ手段38および排気口34を塞ぐシャッタ手段40を具備している。なお、ここで、吸気口32のシャッタ手段38は例えばステンレススチールおよびテフロンによって構成され、また、排気口34のシャッタ手段40は、例えば石英等によって構成される。
【0040】本第1実施例では、熱処理炉10の空冷を行っていないとき、特に、加熱機構26を用いてプロセスチューブ12内を加熱しているときに、これらのシャッタ手段38,40を用いて吸気口32および排気口34を塞ぐこととする。
【0041】この吸気口シャッタ手段38は、図2(a)に示すように、リング状の回転円盤に、上述の吸気開口32aと同数の開口38aを等間隔で設けることによって構成されている。かかる構成によれば、このシャッタ手段38を一方の方向(ここでは、図2にAで示した方向とする)に一定の角度だけエアシリンダ39とリンク機構39aにより回転させることにより、シャッタ手段38は吸気ダクト33に形成した円環状溝に沿って回動し各吸気開口32aを同時に開くことができる。また、シャッタ手段38を逆方向(ここではBで示した方向)にエアシリンダ39により回転させることにより、各吸気開口32aを一時に閉じることができる。
【0042】また、排気口34のシャッタ手段40は、図2(b)に示すように、ケーシング41に軸止した支点軸42によって支持されている。この支点軸42を回転中心としてエアシリンダ43とシリンダロット43aとにより矢印方向に回転させることにより排気口34の開閉を行えるように構成されている。
【0043】なお、このシャッタ手段40は、図2(c)に示すように、エアシリンダ43とシリンダロット43aにより前後に扇動することにより開閉を行う構造にしてもよい。
【0044】シャッタ手段38を用いて吸気口32を塞ぐことにより、プロセスチューブ12内を加熱しているときにこの吸気口32から空隙16内の高温の空気が流出したり外部の低温の空気が空隙16内に流入したりすることを防止でき、これによって、加熱効率の低下や温度の均一性の乱れが生じることを防止することができる。
【0045】また図1に示すように、排気口34から流出した空気は、通常、上述の熱交換器44で冷却された後、工場内の排気システム46の排気ダクト48に送られ、排気ファン50によって、他の装置の排気とともに工場外へ排出される。本発明者の検討によれば、このような排気システム46に排気口34が接続されている場合には、たとえ排気用ファン36を停止させていても、排気口34から少量の空気が流出してしまうことが解った。このような空気の流出は、吸気口32の場合と同様、加熱効率の低下や温度の均一性の乱れの原因となる。したがって、排気口34にもシャッタ手段40を設け、かかる空気の流出を防止することにより、加熱中の放熱を防止することとしたのである。
【0046】次に、図1に示した縦型熱処理装置の動作について説明する。
【0047】■シャッタ手段38,40を閉じ、吸気口32および排気口34を塞ぐ。
【0048】■次に、半導体ウエハWを収納したウエハボート18を、図示していない搬入手段によって上昇させ、プロセスチューブ12内に挿入する。
【0049】■その後、ガス導入管22により処理ガスを導入しながら、ガス排気管24を用いてプロセスチューブ12内のガスを排出する。
【0050】■加熱機構26を用いてプロセスチューブ12内を例えば600℃から1000℃に加熱することにより、半導体ウエハWに所望の処理を行なう。このとき、吸気口32および排気口34はシャッタ手段38,40によって塞がれているので、上述したように、熱処理炉10の加熱効率は優れており、温度の均一性の乱れが生じるもない。また、例えば二ケイ化モリブデン(MoSi2 )を用いて形成した抵抗発熱体を使用することにより、急速な加熱を行うことが可能である。
【0051】■処理が終了すると、加熱機構26のスイッチをOFFにしてN2 ガス等のパージガスをプロセスチューブ12内に導入してパージを行う。この間N2 ガスは流し放し(例えば20〜30リットル〜分)にしておく。ついで、シャッタ手段38,40を開き、吸気口32と、排気口34とを開放し、次に、排気用ファン36を駆動させる。これにより、装置外の空気を吸気口32より空隙16内に流入させ、さらに、この空隙16内の空気を排気口34から装置外へ流出させることにより、空隙16内で空気を流通させることができ、熱処理炉10の冷却を急速かつ均一に行なうことができる。
【0052】■プロセスチューブ12内の温度が所定の温度まで低下すると、ウエハボート18を下降させ、処理後の半導体ウエハWをプロセスチューブ12内から取り出す。
【0053】以上説明したような本第1実施例の熱処理炉の強制空冷装置によれば、プロセスチューブ12とヒータ部14との間の空隙16を流れる空気の流れ抵抗を低減することができるので、空気の流量を増大させることができ、したがって、熱処理炉10の冷却速度を速くすることができる。本発明者の検討によれば、例えば半導体ウエハ上で測定して1000℃〜600℃の温度降下範囲で、さらに、全処理ウエハ間の温度差20℃以内で50℃/分の高速冷却が可能となった。
【0054】また、プロセスチューブ12とヒータ部14との間の空隙を流れる空気の偏りを低減させることができるので、プロセスチューブ12全体を均一に冷却することができる。
【0055】さらに、シャッタ手段38,40を吸気口32と排気口34に設けたことにより、加熱機構26によってプロセスチューブ12内を加熱する際の、加熱効率の低下や温度の均一性の乱れを防止することができる。
【0056】なお、以上説明した第1実施例では、本発明の熱処理装置について、縦型熱処理装置を例に採って説明したが、横型の熱処理装置においても同様の効果を得ることができるのはもちろんである。
【0057】次に本発明の熱処理炉の強制空冷装置の第2実施例について、図3を参照しつつ縦型熱処理装置にこれを搭載した場合を例にとって説明する。
【0058】図1に示した本発明の第1実施例の熱処理炉の強制空冷装置では、排気ファンによる自然吸入方式のたためプロセスチューブの縦方向でその冷却速度が不均一となり、特に炉口付近のプロセスチューブが冷え過ぎる傾向がある。
【0059】そこで、本発明の熱処理炉の強制冷却装置の第2実施例では、基本的な構成は第1実施例の強制空冷装置と同一であるが、図3に示すように、第1実施例の空気導入口32cにノズル51を挿入するとともに、シャッタ手段38をダクト33に固定するとともに吸気口32にブロワー52を接続して強制的に空気を炉内に押し込んで熱処理炉10の強制空冷を促進するようにした。
【0060】すなわち、この第2実施例のものでは、図3R>3に示すように、ダクト33に形成した空気導入口32cにノズル51を8本等間隔で挿入して空隙16内にまんべんなく空気を噴出させプロセスチューブ12に沿って上昇するようにする。このノズル51は石英等からなり、例えば25mm×12mmの楕円形断面を有し、その長さは縦方向に均一性を得るために、変えられる構造で、例えば200mm程度とする。
【0061】また、ノズル51は円形断面であっても良いのは当然である。
【0062】さらに、ダクト33の上面に固定した円環状をしたシャッタ手段38には1ヵ所開口が設けられこれに送入管53を介してブロワー52が接続されている。この構成によりブロワー52の回転により強制的に空気が吸気口32に押し込まれ、ノズル51からプロセスチューブ12と加熱機構26戸の間に形成された空隙16内に噴出され、プロセスチューブ12に沿って均一な強制空冷が促進される。 そこで、本発明の強制空冷装置の第2実施例の動作について説明する。強制空冷に際しては、まず、加熱機構26のスイッチをOFFとし、ついで排気口34のシャッタ手段40を開く。そして、排気ファン36を駆動させてから、数秒後にブロワー52を駆動させて、吸気口32に空気を押し込みノズル51から空気を所定時間噴出させてプロセスチューブ12の強制空冷を行う。その後、ウエハボート18を下降させて、処理済みの半導体ウエハWをプロセスチューブ12から取出す。
【0063】この本発明の第2実施例の空冷装置によると、縦方向の全処理ウエハ間の冷却の均一性が第1実施例に比べて約30%改善することができた。
【0064】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の熱処理炉の強制空冷装置によれば、熱処理炉冷却を急速且つ均一に行うことができる熱処理炉の強制空冷装置を提供することができる。
【0065】また、シャッタ手段を設けたことにより、加熱機構によってプロセスチューブ内を加熱する際の加熱効率の低下や温度の均一性の乱れを防止することができる。 また、ノズル及び、給気手段を設けることにより、熱処理炉でバッチ処理されるウエハ間の空冷処理の均一性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係わる熱処理炉の強制空冷装置を搭載した縦型熱処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図2(a)は吸気口に設けたシャッタ手段の構成を示す上面図、図2(b)および(c)は排気口に設けたシャッタ手段の構成を示す上面図である。
【図3】図3は本発明の第2実施例の熱処理炉の強制空冷装置を搭載した縦型熱処理装置の構成を概略的に示す縦断断面図である。
【符号の説明】
10 熱処理炉
12 プロセスチューブ
14 ヒータ部
16 空隙
18 ウエハボート
26 加熱機構
28 断熱体
30 強制空冷装置
32 吸気口
34 排気口
36 排気用ファン
38,40 シャッタ手段
44 熱交換器
46 排気システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端が開口したプロセスチューブとこのプロセスチューブを覆うヒータ部とを有する熱処理炉の冷却を、前記プロセスチューブと前記ヒータ部との間の空隙に空気を流通させることにより行う強制空冷装置において、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内に前記プロセスチューブの開口端側から空気を流入させるための、複数の吸気口と、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内の空気を前記プロセスチューブの閉端中央部付近から前記ヒータ部外に流出させるための排気口と、この排気口に接続された排気手段と、を具備することを特徴とする熱処理炉の強制空冷装置。
【請求項2】 前記吸気口を塞ぐシャッタ手段と、前記排気口を塞ぐシャッタ手段と、をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の熱処理炉の強制空冷装置。
【請求項3】 一端が開口したプロセスチューブとこのプロセスチューブを覆うヒータ部とを有する熱処理炉の冷却を、前記プロセスチューブと前記ヒータ部との間の空隙に空気を流通させることにより行う強制空冷装置において、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内に前記プロセスチューブの開口端側から空気を流入させるための、複数の吸気口と、前記吸気口に挿入したノズルと、前記吸気口に空気を供給する給気手段と、前記ヒータ部に設けられた、前記空隙内の空気を前記プロセスチューブの閉端中央部付近から前記ヒータ部外に流出させるための、排気口と、この排気口に接続された排気手段と、を備えた熱処理炉の強制空冷装置。
【請求項4】 前期排気口を塞ぐシャッタ手段をさらに具備することを特徴とする請求項3記載の熱処理炉の強制空冷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平5−196371
【公開日】平成5年(1993)8月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−180337
【出願日】平成4年(1992)6月15日
【出願人】(000109576)東京エレクトロン相模株式会社 (3)