説明

熱利用設備及び熱源機

【課題】湯水を発生する熱源機と浴槽、あるいは同熱源機と熱消費端末との間に湯水の循環路を形成して、当該循環路に設置される循環ポンプに関して、循環ポンプを風呂設備の設置環境に適合した適切な状態で運転することができる風呂設備を提供する。
【解決手段】循環ポンプとして回転速度可変型のポンプが採用され、循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する探索手段を設け、通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索手段により探索される下限流量回転速度以上に設定する設定手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器を備えた熱源機と熱消費端末又は浴槽との間に、湯水の循環路を備え、前記循環路に備えられる循環ポンプにより、加熱された湯水が往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給されるとともに、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻される熱利用設備に関する。さらに、このような熱利用設備を構築できる熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、熱効率の向上、発生するCO2 削減等の利点を利用することを目的として、潜熱回収式の熱交換器を備えた熱源機を有する熱利用設備が採用されつつある。この種の熱利用設備の代表例が風呂設備である。以下、風呂設備について説明する。
この種の潜熱回収まで行える熱源機では、潜熱回収に伴って発生するドレンの処理が必要となる(特許文献1)。新築の住宅では、このドレン用の配管を設けることは可能となるが、既設の住宅では、新たに配管を設けるには障害がある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−337710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、熱源機と浴槽との間に設けられる浴槽用戻り路の内部にドレン排水用の管を通し、ドレンを浴室に設けられている排水口へ排水することを、発明者らは提案する。このようにして、既設住宅においても、潜熱回収まで実行する熱源機を採用することで、限られた資源の有効利用が可能となるとともに、発生するCO2 も低減することができる。
【0005】
上記の熱源機と浴槽との間に設けられる浴槽用循環路に関して、この循環路には湯水を熱源機と浴槽との間で循環させる循環ポンプが設けられるが、循環ポンプとしては、従来、その回転速度が一定である定回転速度型のものが採用されていた。そして、その循環ポンプの選定基準は、熱源機から浴槽までの距離がかなりあっても、その距離には影響されることなく、確実に循環流量を確保できる回転速度の循環ポンプとしていた。
上記のように、浴槽用戻り路内にドレン配管を挿入する場合、この配管は二重構造となるが、内管は循環流れには使用されないので、熱源機と浴槽との間の循環流れについて抵抗(負荷)となる。即ち、ドレン配管を内挿することで、抵抗が増大する。
【0006】
一方、先に説明したように、循環路を設ける場合に、その循環路長がかなりあっても確実に循環流量を確保できるように、循環ポンプの回転速度を高めておく必要があるが、この点に関して、従来、循環ポンプの回転速度はかなり余裕をもって設定されている。
結果、例えば、熱源機と浴槽との間の距離が殆どない場合は、ドレン配管を内挿する場合も必要以上の回転速度を選択していることとなり、好ましくない。
【0007】
このような問題は、上記のような熱源機と浴槽との間に設けられる循環路に設置する循環ポンプで発生するとともに、熱源機と、浴室乾燥機、床暖房装置等の熱消費機器との間に設けられる循環路に設置する循環ポンプについても発生する。
また、同様の問題は、潜熱回収をしない熱交換器を備えた熱源機と浴槽等との間に設けられる循環路に設置する循環ポンプについても発生する。
【0008】
本発明の目的は、湯水を発生する熱源機と浴槽、あるいは同熱源機と熱消費端末との間に湯水の循環路を形成して、当該循環路に設置される循環ポンプに関して、循環ポンプを熱利用設備の設置状態に適合した適切な状態で運転することができる熱利用設備を提供することにある。ここで、設置状態としては、ドレン配管を浴槽戻り路に内挿する状態、あるいは、循環路の路長が短い状態等がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための、熱交換器を備えた熱源機と熱消費端末又は浴槽との間に、湯水の循環路を備え、前記循環路に備えられる循環ポンプにより、加熱された湯水が往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給されるとともに、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻される熱利用設備の第1特徴構成は、
前記循環ポンプとして回転速度可変型のポンプが採用され、
前記循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する探索手段を設け、
通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索手段により探索される下限流量回転速度以上に設定する設定手段を備えたことにある。
この熱利用設備では、循環路に循環ポンプとして回転速度可変型のポンプを備え、その循環ポンプの回転速度を適切に決定するものとする。即ち、熱源機と熱消費端末又は浴槽との間或いはそれらの両方の間で、循環路の配管を完了した段階で、探索手段が、循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する。この下限流量回転速度は、例えば、循環路を流れる湯水の最低必要量、熱消費端末の適切な運転に必要な流量或いは浴槽内の湯水の追焚を所定の時間で行うのに必要な流量等に対する回転速度となる。そして、探索手段が、この下限流量回転速度を探索して、設定手段が、この下限流量回転速度を基準に、この値以上の回転速度を、通常運転時の前記循環ポンプの回転速度とすることで、循環路の路長に対応して、或いはドレン排水管を浴槽用循環路内に内挿する構成を採用する場合に対応して、適切な循環ポンプの回転速度を設定できる。
【0010】
さて、本願の構成は、前記循環路が熱交換器と浴槽との間に形成される浴槽用循環路であり、循環ポンプが、浴槽内の湯水の追焚運転時に働く追焚用循環ポンプである場合に採用することができる。この構成が本願第2特徴構成である。
この構成を採用することで、浴槽用循環路に於ける追焚時の浴槽内の湯水の循環を、適正に追焚用循環ポンプの回転速度で実行でき、浴槽用循環路の路長に適合した運転を行える。
【0011】
さらに、この構成において、熱交換器として潜熱回収式の熱交換器を備え、熱源機から排出されるドレンを浴槽側の排水口に導くドレン排水管を設け、ドレン排水管の一部が、浴槽用循環路内を介して浴槽側の排水口に導かれる構成を採用することで、ドレン排水管の一部が、浴槽用循環路内に挿入され、ドレンを浴室に設けられる排水口を介して排出される設備でも、循環路を流れる温水の流量を適正な量とできる。
【0012】
さて、これまで説明してきた構成を採用するに、浴槽用循環路を流れる湯水の流量が所定値以上である場合にふろ水流有りとする有り信号を、所定値未満である場合にふろ水流無しとする無し信号を出力する出力手段を備えるとともに、当該出力手段の出力に従って、浴槽内に残湯が有るか否かを判定する残湯循環判定手段を備え、前記残湯循環判定手段による残湯循環判定時に、前記探索手段による下限流量回転速度の探索が実行される構成を採用すると、残湯循環判定と、循環ポンプに回転速度の決定を同じ動作で行える。この構成が本願第3特徴構成である。
【0013】
上記本願第1特徴構成の熱利用設備で使用する熱源機は、以下の構成となる。
熱交換器を備え、
前記熱交換器と熱消費端末又は浴槽との間に湯水の循環路を形成可能に構成されるとともに、
形成された循環路に関して、加熱された湯水を往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給し、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻す循環ポンプを備えた熱源機であって、
前記循環ポンプが回転速度可変型のポンプであり、
前記循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する探索手段を設け、
通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索手段により探索される下限流量回転速度以上に設定する設定手段を備えた熱源機。
【0014】
上記本願第2特徴構成の熱利用設備で使用する熱源機は、以下の構成を追加した熱源機となる。
形成される循環路が前記熱交換器と前記浴槽との間に形成される浴槽用循環路であり、前記循環ポンプが、浴槽内の湯水の追焚運転時に働く追焚用循環ポンプである熱源機。
【0015】
上記本願第3特徴構成の熱利用設備で使用する熱源機は、以下の構成を追加した熱源機となる。
前記形成される浴槽用循環路を流れる湯水の流量が所定値以上である場合にふろ水流有りとする有り信号を、前記所定値未満である場合にふろ水流無しとする無し信号を出力する出力手段を備えるとともに、当該出力手段の出力に従って、浴槽内に残湯が有るか否かを判定する残湯循環判定手段を備え、前記残湯循環判定手段による残湯循環判定時に、前記探索手段による下限流量回転速度の探索が実行される熱源機。
【0016】
さらに上記目的を達成することができる循環ポンプの回転速度設定方法は、熱交換器を備えた熱源機と熱消費端末又は浴槽との間に、湯水の循環路を備え、前記循環路に備えられる循環ポンプにより、加熱された湯水が往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給されるとともに、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻される熱利用設備に、前記循環ポンプとして回転速度可変型のポンプを採用し、
前記循環ポンプの回転速度を設定するに、
前記循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索し、通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索される下限流量回転速度以上に設定するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る熱利用設備の一例としての風呂設備を図1〜図7に基づいて説明する。
風呂設備は、湯水加熱用の潜熱回収式の熱交換器(以下、潜熱回収熱交換器と記載する場合がある)N2を備えた熱源機Gと、その熱源機Gにて加熱された湯水を浴槽Yに供給する浴槽用湯水管Pと、前記熱源機Gから排出されるドレンを前記浴槽側の排水口Dに導くドレン排水管4等を備えて構成されている。ちなみに、前記排水口Dは、浴槽Yが設置された浴室の床面に設けられている。
【0018】
〔基本構成〕
図1に示すように、前記熱源機Gは、一般家庭用の水道管に接続された給水路1からの水をガス燃焼式のバーナg1によって加熱して、加熱後の湯水を先端に給湯栓2を備えた給湯路3に供給する給湯用動作部A、ガス燃焼式のバーナg2によって、熱消費端末Tに循環供給する湯水を加熱したり浴槽Yの湯水を追焚きする温水循環用動作部B、熱源機Gの運転を制御する運転制御部C、メインリモコンR1、及び、浴室リモコンR2等を備えて構成されている。
熱消費端末Tとして、例えば、浴室暖房乾燥機、床暖房装置等が設けられる。メインリモコンR1は炊事場の近く等に設けられ、浴室リモコンR2は前記浴室内に設けられる。
【0019】
前記給湯用動作部A及び温水循環用動作部Bについて説明を加える。
給湯用動作部A及び温水循環用動作部Bはいずれも、前記潜熱回収熱交換器N2に加えて主熱交換器N1を備えて構成され、それら主熱交換器N1及び潜熱回収熱交換器N2は、バーナg1,g2から排気路5に向かう燃焼排ガス流動方向において潜熱回収熱交換器N2が下手側に位置する状態で、その燃焼排ガス流動方向に沿って並べて設けられている。
そして、潜熱回収熱交換器N2にて、主として各バーナg1,g2の燃焼排ガスの潜熱により湯水を加熱し、主熱交換器N1にて、主として各バーナg1,g2の燃焼排ガスの顕熱により、前記潜熱回収熱交換器N2にて加熱された湯水を加熱するように構成されている。
【0020】
各潜熱回収熱交換器N2からは、燃焼生成水である酸性の凝縮水、即ち、前記ドレンが生成するが、このドレンはドレンパン6によって集められて中和器7に供給され、その中和器7にて中和されたのち、ドレンタンク8に貯留されるように構成されている。この中和器7は、詳述はしないがドレンに対して中和作用する中和剤(例えば、炭酸カルシウム)が装填されている。又、前記ドレンタンク8には、そのドレンタンク8におけるドレンの貯留量が上限貯留量以上であることを検出する上限センサ8sが設けられている。
そして、ドレン排水ポンプ9により、ドレンタンク8に貯留されているドレンが前記ドレン排水管4を通して送出されて、前記排水口Dから排出されることになる。
【0021】
前記給湯用動作部A及び温水循環用動作部Bには、各バーナg1、g2に一般家庭用の燃料ガスを供給するガス供給路Kが接続され、そのガス供給路Kには、燃料ガス供給量を調整する電磁式のガス比例弁10、燃料ガスの供給を断続する断続弁11が設けられている。又、前記給湯用動作部A及び温水循環用動作部Bには、各バーナg1、g2に燃焼用空気を供給する燃焼用ファン12が設けられ、更に、図示を省略するが、各バーナg1、g2の近くには、点火動作を実行する点火用のイグナイタと着火されたか否かを検出するフレームロッドが設けられている。
【0022】
前記給水路1が前記給湯用動作部Aにおける潜熱回収熱交換器N2の湯水入口部に接続され、前記給湯路3が前記給湯用動作部Aにおける主熱交換器N1の湯水出口部に接続されて、給水路1を通して供給される水が潜熱回収熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱されて給湯路3を通して給湯栓2に供給されるように構成されている。
【0023】
前記給水路1には、給水温度を検出する給水サ−ミスタ13と給水量を検出する水量センサ14とが設けられ、給水路1における給水サ−ミスタ13及び水量センサ14よりも下流側の箇所と前記給湯路3とが、熱交換器N1,N2を迂回するように給水バイパス路15にて接続されている。
前記給湯路3と前記給水バイパス路15との接続箇所には、主熱交換器N1からの湯量と給水バイパス路15からの水量との混合比を調整するミキシング弁17が設けられ、前記給湯路3における前記給水バイパス路15の接続箇所よりも上流側には、主熱交換器N1から送出される湯水の温度を検出する出湯サーミスタ16が設けられ、前記給湯路3における前記給水バイパス路15の接続箇所よりも下流側には、上流側から順に、前記ミキシング弁17により混合された後の湯水の温度を検出する給湯サーミスタ18、湯水の量を調整する水比例弁19、一般給湯の割込みを検出する割込み水量センサ20が設けられている。
【0024】
前記熱消費端末Tの湯水出口部と前記温水循環用動作部Bにおける潜熱回収熱交換器N2の入口部とが温水循環用戻り路21にて接続され、前記温水循環用動作部Bにおける主熱交換器N1の湯水出口部と前記熱消費端末Tの湯水入口部とが温水循環用往き路22にて接続され、温水循環用戻り路21には、膨張タンク23が介装され、更に、その温水循環用戻り路21における膨張タンク23よりも下流側の箇所には、膨張タンク23内の湯水を吸引して温水循環用動作部Bの潜熱回収熱交換器N2に送出するように温水循環ポンプ24が設けられている。
そして、温水循環ポンプ24の通流作用により、湯水が、温水循環用往き路22及び温水循環用戻り路21を通して潜熱回収熱交換器N2及び主熱交換器N1と熱消費端末Tとにわたって循環されることになり、潜熱回収熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱された湯水が熱消費端末Tに循環供給されるように構成されている。
【0025】
前記温水循環用往き路22には、潜熱回収熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱されたのちの湯水の温度を検出する循環温水サーミスタ25、及び、熱消費端末Tへの湯水の供給を断続する端末用熱動弁26が設けられている。
【0026】
前記温水循環用往き路22と温水循環用戻り路21における膨張タンク23よりも上流側の箇所とは、前記熱消費端末Tを迂回させて湯水を循環させる温水循環バイパス路27にて接続され、そのバイパス路27には、前記浴槽Y内の湯水を追焚するための追焚用熱交換器28と追焚用熱動弁29とが設けられている。
この追焚用熱交換器28の湯水出口部と浴槽Yに装備された循環アダプタ30とが浴槽用往き路31にて接続され、その循環アダプタ30と追焚用熱交換器28の湯水入口部とが浴槽用戻り路32にて接続され、その浴槽用戻り路32に、浴槽Yの湯水を吸引して追焚用熱交換器28に送出するように追焚用循環ポンプ33が設けられている。
その追焚用循環ポンプ33の通流作用により、浴槽Yの湯水が浴槽用往き路31及び浴槽用戻り路32を通して追焚用熱交換器28に循環供給されるように構成されている。
【0027】
そして、端末用熱動弁26を閉弁し且つ追焚用熱動弁29を開弁した状態で温水循環ポンプ24を作動させて、潜熱回収熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱された湯水を熱消費端末Tを迂回させる状態で追焚用熱交換器28に循環供給し、追焚用循環ポンプ33を作動させて、浴槽Yの湯水を追焚用熱交換器28に循環供給することにより、追焚用熱交換器28にて浴槽Yの湯水を加熱して、浴槽Yを追焚するように構成されている。
つまり、前記温水循環用動作部Bは、前記バーナg2、前記主熱交換器N1及び前記潜熱回収熱交換器N2に加えて、前記温水循環用往き路22、前記温水循環用戻り路21、前記温水循環ポンプ24、前記温水循環バイパス路27、前記追焚用熱交換器28、前記端末用熱動弁26及び前記追焚用熱動弁29等を備えて構成されている。
【0028】
前記浴槽用戻り路32には、上流側から順に、圧力を検出することによって浴槽Y内の水位を検出する水位センサ34、浴槽Yから取り出される湯水の温度、即ち、浴槽Yの湯水の温度を検出する浴槽戻り温サ−ミスタ35、浴槽用戻り路32を開閉する電磁式の風呂2方弁36、前記追焚用循環ポンプ33、ふろ水流スイッチ37が設けられ、前記浴槽用往き路31には、浴槽Yに供給される湯水の温度を検出する浴槽往き温サ−ミスタ38が設けられている。
【0029】
前記給湯路3における水比例弁19と割込み水量センサ20との間の箇所から、給湯路3からの湯水を浴槽Yに供給するための湯張り路41が分岐されて、その湯張り路41が、前記浴槽用戻り路32における追焚用循環ポンプ33とふろ水流スイッチ37との間の箇所に接続され、この湯張り路41には、上流側から順に、湯張り路41を開閉する湯張り電磁弁42と、湯張り逆止弁43とが設けられている。本願においては、この追焚用循環ポンプ33(循環ポンプの一例)として回転速度可変型のポンプが採用している。
前記湯張り路41における湯張り電磁弁42と湯張り逆止弁43との間の箇所には、その湯張り路41に連通する空気層形成用ホッパ44が介装されている。この空気層形成用ホッパ44には、湯水を排水する排水路45と、その排水路45を開閉する電磁式の排水弁46とが設けられ、排水路45の端部が浴槽用戻り路32における風呂2方弁36と追焚用循環ポンプ33との間の箇所に接続されている。図1において、47、48は、それぞれ往き用接続部47及び戻り用接続部48である。
【0030】
そして、前記湯張り電磁弁42を開弁すると、前記給湯用動作部Aにて加熱されて湯張り路41を通して供給される湯水が浴槽用戻り路32を浴槽Y側と前記追焚用熱交換器28側の両側に通流して、湯張り路41を通して供給される湯水が浴槽用往き路31及び浴槽用戻り路32の両方を通して浴槽Yに供給されることになる。
【0031】
〔ドレンの処理〕
次に、潜熱熱交換器N2から発生するドレンの処理について説明する。
図1及び図2に示すように、前記浴槽用往き路31は、前記追焚用熱交換器28に接続された状態で前記熱源機Gのケーシング39内に設けられる浴槽往き内管31aと、浴槽Yに装備された前記循環アダプタ30に接続された状態で前記熱源機Gのケーシング39外に設けられる浴槽往き外管31bとから構成され、前記浴槽用戻り路32は、前記追焚用熱交換器28に接続された状態で前記熱源機Gのケーシング39内に設けられる浴槽戻り内管32aと、前記循環アダプタ30に接続された状態で前記熱源機Gのケーシング39外に設けられる浴槽戻り外管32bとから構成されている。
この実施形態では、前記浴槽往き外管31bや前記浴槽戻り外管32bが、前記浴槽用湯水管Pに相当することになる。
【0032】
図1及び図2に示すように、前記浴槽用湯水管Pとしての浴槽戻り外管32bにおける熱源機側の端部に、熱源機側接続部61と浴槽用湯水管側接続部62とを内部通路63(図3参照)にて連通させる状態で備える熱源機側継手60が設けられ、且つ、前記浴槽戻り用外管32bにおける浴槽側の端部に、浴槽側接続部71と浴槽用湯水管側接続部72とを内部通路73(図4参照)にて連通させる浴槽側継手70が設けられている。
ちなみに、図3は、前記熱源機側継手60の詳細な構成を示す図であり、図4は、前記浴槽側継手70の詳細な構成を示す図である。
【0033】
図1〜図4に示すように、前記熱源機側継手60における前記熱源機側接続部61と前記浴槽用湯水管側接続部62との間の側壁部に、前記内部通路63を外部に連通するドレン排水管挿通部64が備えられ、そのドレン排水管挿通部64に、前記ドレン排水管4を挿通した状態で水密状に封止する封止部材65が備えられている。
前記浴槽側継手70における前記浴槽側接続部71と前記浴槽用湯水管側接続部72との間の側壁部に、前記内部通路73を外部に連通するドレン排水管挿通部74が備えられ、そのドレン排水管挿通部74に、前記ドレン排水管4を挿通した状態で水密状に封止する封止部材75が備えられている。
図3、図4に示すように、前記ドレン排水管4が、その熱源機側の端部が前記熱源機側継手60のドレン排水管挿通部64から外部に突出し且つその浴槽側の端部が前記浴槽側継手70のドレン排水管挿通部74から外部に突出する状態で、前記浴槽戻り外管32b内に位置するように設けられている。
【0034】
図3に示すように、前記熱源機側継手60に関しては、この熱源機側継手60の継手本体部が、一端側の筒状の熱源機側接続部61と、他端側の筒状の浴槽用湯水管側接続部62と、それら熱源機側接続部61及び浴槽用湯水管側接続部62を連通する内部通路63とを直線状に連なる状態で備えるように構成されている。
図4に示すように、前記浴槽側継手70に関しては、この浴槽側継手70の継手本体部が、一端側の筒状の浴槽側接続部71と、他端側の筒状の浴槽用湯水管側接続部72と、それら熱源機側接続部71及び浴槽用湯水管側接続部72を連通する内部通路73とを直線状に連なる状態で備えるように構成されている。
【0035】
〔動作制御〕
以下、前記運転制御部Cの制御動作について簡単に説明する。
この運転制御部Cは、前記メインリモコンR1及び前記浴室リモコンR2夫々と通信可能に構成されている。
図1、図5に示すように、メインリモコンR1及び浴室リモコンR2には、運転の開始と停止を指令する運転スイッチ81、風呂自動運転を指令する風呂自動スイッチ82、一般給湯温度を設定する給湯温度設定スイッチ83、浴槽Y内の目標温度を設定する浴槽温度設定スイッチ84、浴槽Y内の目標水位を設定する水位設定スイッチ85、浴槽に追加で湯張り給湯する足し湯スイッチ86、追焚運転を指令する追焚スイッチ87、設定温度等の各種情報を表示する表示部88等が設けられている。
【0036】
前記運転制御部Cは、運転スイッチ81が操作されると制御可能な状態になり、給湯栓2が開操作されると給湯栓2から湯水を給湯する一般給湯運転を給湯運転制御手段M1により実行する。又、運転制御部Cは、風呂自動スイッチ82が操作されると風呂自動運転を風呂自動運転制御手段M2により実行し、足し湯スイッチ86が操作されると足し湯運転を足し湯運転制御手段M3により実行し、追焚スイッチ87が操作されると追焚運転を追焚運転制御手段M4により実行し、前記上限センサ8sによりドレンタンク8のドレン貯留量が上限貯留量以上であることが検出されると、ドレン排水運転をドレン排水運転制御手段M3により実行する。さらに、この運転制御部Cには、通常運転時の追焚用循環ポンプ33の回転速度を決定・設定する回転速度決定手段M6が設けられている。この回転速度決定手段M6は、図5に示すように探索手段M6aと設定手段M6bとを備えており、この例では、試運転時に追焚用循環ポンプ33の回転速度を決定・設定すべく働くように構成されている。
【0037】
前記一般給湯運転では、給湯運転制御手段M1は、給湯栓2が開かれて水量センサ14による検出水量が所定量以上になると、給湯用動作部Aにおける燃焼用ファン12を駆動した後、断続弁11を開弁してイグナイタによりバーナg1に点火し、給湯温度設定スイッチ83による設定温度、水量センサ14の検出水量、給水サ−ミスタ13の検出水温及び給湯サーミスタ18の検出温度などに基づいて、給湯サーミスタ18の検出温度が給湯温度設定スイッチ83による設定温度になるようにガス比例弁10の開度及びミキシング弁17の開度を調節する。水量センサ14により通水が検出されなくなると、断続弁11を閉弁してバーナg1の燃焼を停止し、燃焼用ファン12も停止して一般給湯運転を終了する。
【0038】
風呂自動運転では、風呂自動運転制御手段M2は、先ず、湯張り運転を実行する。この湯張り運転では、前記湯張り電磁弁42を開弁操作して、浴槽Yへの湯水の供給を開始し、上述の一般給湯運転と同様にバーナg1に点火し、浴槽温度設定スイッチ84による設定温度、水量センサ14の検出水量、給水サ−ミスタ13の検出水温及び給湯サーミスタ18の検出温度などに基づいて、給湯サーミスタ18の検出温度が浴槽温度設定スイッチ84による設定温度になるようにガス比例弁10の開度及びミキシング弁17の開度を調節し、水位センサ34の検出水位が水位設定スイッチ85にて設定された設定水位以上になると、バーナg1の燃焼を停止して湯張り運転を終了する。
この湯張り運転では、浴槽用戻り路32及び浴槽用往き路31の両方を通して浴槽Yに湯水が供給されることになる。
【0039】
風呂自動運転において湯張り運転が終了したときに、浴槽戻り温サーミスタ35の検出温度が浴槽温度設定スイッチ84による設定温度よりも低いときは、追焚運転を実行する。この追焚運転では、追焚運転制御手段M4は、端末用熱動弁26を閉弁し且つ追焚用熱動弁29を開弁した状態で温水循環ポンプ24及び追焚用循環ポンプ33を作動させて、浴槽Y内の湯水を浴槽用戻り路32及び浴槽用往き路31を通して循環させ、温水循環用動作部Bにおける燃焼用ファン12を駆動した後、断続弁11を開弁してイグナイタによりバーナg2に点火し、浴槽往き温サーミスタ38の検出温度が追焚用設定出湯温度(例えば60°C)になるようにガス比例弁10の開度を調節し、浴槽戻り温サ−ミスタ35の検出温度が浴槽温度設定スイッチ84による設定温度に達すると、断続弁11を閉弁させてバーナg2の燃焼を停止させ、燃焼用ファン12を停止させて追焚運転を終了する。
その後、引き続いて、設定時間の間キープ運転を実行する。このキープ運転では、浴槽Yの湯水の温度が浴槽温度設定スイッチ84による設定温度になり且つ浴槽Yの水位が水位設定スイッチ85にて設定された設定水位になるように、前記湯張り運転及び前記追焚運転を実行する。
【0040】
前記足し湯運転では、足し湯運転制御手段M3は、水位センサ34の検出水位が水位設定スイッチ85による設定水位以上になるように湯張り運転を実行する。
追焚スイッチ87が操作されたときの追焚運転における制御動作は、上述の湯張り運転での追焚運転における制御動作と同様であるので、説明を省略する。
【0041】
前記ドレン排水運転では、ドレン排水運転制御手段M5は、ドレン排水用設定時間の間、前記ドレン排水ポンプ9を作動させる。このドレン排水運転が実行されると、前記ドレンタンク8内のドレンが前記ドレン排水管4を通して浴室の排水口Dにまで導かれて、その排水口Dから排出されることになる。ちなみに、前記ドレン排水用設定時間は、例えば、前記ドレンタンク8における前記上限貯留量の90%程度の量のドレンを排出することができる時間に設定される。
【0042】
〔循環ポンプの回転速度設定〕
以上が、通常運転に関係する本願に係る風呂設備の構成及びその運転状態であるが、以下、図1に示すように、熱源機Gと浴槽Yとの間で追焚用の循環路(浴槽用往き路31と浴槽用戻り路32とからなる)が完成した状態で、先に説明した回転速度決定手段M6が働き、循環ポンプ(追焚用循環ポンプ33)の回転速度を、現場の状況に適合して決定・設定する動作について説明する。この状況では、浴槽用戻り路32の内部にドレン排水管4が挿入されており、潜熱熱交換器N2で発生したドレンは浴室に送られ、浴室の排水口Dから排水可能となっている。循環路の流路抵抗は、ドレン排水管4が挿入されることで、挿入されない場合より大きくなっている。また、循環路の路長は確定している。
【0043】
先にも説明したように、この回転速度決定手段M6は、探索手段M6aと設定手段M6bとを備えて構成されている。探索手段M6aは、循環ポンプ33の回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、循環路31、32を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプ33の回転速度を下限流量回転速度として探索し、設定手段M6bは、通常運転時の前記循環ポンプ33の回転速度を、探索手段M6aにより探索される下限流量回転速度以上に設定する。このとき、循環路に配設されている出力手段としてのふろ水流スイッチ37が、流量が所定値以上となることを検知し、運転制御部Cの探索手段M6aに出力する。
ふろ水流スイッチ37は、常時OFFで、所定値以上の水流が流れた場合にONする接点信号を出力する。
【0044】
この処理の詳細を図6に示す、循環ポンプ33の回転速度設定ルーチンに即して説明する。
この処理を実行する場合、探索手段M6aは、循環ポンプ33の回転速度を、予め記憶されている、あるいは現場で入力される下限設定値(MIN値と記載)に設定し(ステップ#1)、循環ポンプ33の運転を開始する(ステップ#2)。
【0045】
この状態で、浴槽Y内に残湯がある場合は、循環路31,32内を湯水が流れることとなるが、この循環路31、32に設けられているふろ水流スイッチ37は、常時OFFで、所定値以上の水流が流れた場合にON(有り信号の一例)される構成のため、回転速度が低い場合は、循環路31,32内を流れる流量が低いままとなり、ふろ水流スイッチ37はOFF(無し信号の一例)となる。従って、先の下限設定値は、ふろ水流スイッチ37がOFFに維持される回転速度とされている。
【0046】
ふろ水流スイッチ37がOFFのままの状態で(ステップ#3)、所定時間、その回転速度で循環ポンプ33の運転を維持するとともに(ステップ#4:no)、所定時間の経過後(ステップ#4:yes)、ポンプ33の回転速度を順次、上限設定値(MAX値と記載)まで上昇させる操作を実行する(ステップ#5:no,ステップ#6)。図示する例では、回転速度を10%づつ上昇させていく例を示している。この上昇割合は、この値より小さくても、大きくてもかまわない。ここで、前記の上限設定値(MAX値)は、従来、定回転速度型のポンプを使用していた場合の回転速度であり、循環路31,32の路長として、有りうる最大の路長に対応した値である。
【0047】
回転速度を順次上昇させながら、ふろ水流スイッチ37がONとなった場合は(ステップ#3:yes)、その時点の回転速度が、現場の設置状況に適合した回転速度(下限流量回転速度)として探索される。
【0048】
このようにして探索された回転速度(現在のポンプ回転速度と記載)に対して、設定手段M6bは、以降の循環ポンプ33の回転速度(通常のポンプ回転速度と記載)として、探索された回転速度の1.2倍の回転速度を通常の回転速度として設定する(ステップ#7)。
【0049】
以上が、循環ポンプ33の回転速度のシーケンスであるが、残湯の有無を判定する場合にこの手法を採用する場合は、ふろ水流スイッチ37がOFFのまま、回転速度が上限設定値(MAX値)に到達した場合に(ステップ#5:yes)、この状況で、「残湯なし」とすることができる(ステップ#8)。一方、回転速度の上昇操作に伴って、ふろ水流スイッチ37がONした場合に(ステップ#3:yes)、「残湯あり」とすることができる(ステップ#9)。その後、ポンプ33の運転を停止する(ステップ#10)ことで、回転速度の決定・設定処理を終えることができる。
以上のようにして、以降の循環ポンプ33の運転において、現場の状況に適合した循環ポンプに回転速度を決定することができる。
【0050】
比較のために、図7に、このような適正な回転速度探索を実行しない場合の、残湯循環判定処理を示した。この場合は、循環ポンプ33の回転速度は、これまで説明してきた回転速度(図6において通常のポンプ回転速度と記載)を使用する。図7に示すように、残湯循環判定は、ふろ水流スイッチ37のON、OFFに依存することとなり、通常のポンプ回転速度で循環ポンプ33を運転し(ステップ#11)、ふろ水流スイッチ37がONした場合(ステップ#12:yes)に、「残湯あり」と判定し(ステップ#14)、ふろ水流スイッチ37がOFF状態に維持された場合(ステップ#12:no)に、「残湯なし」と判定することができる(ステップ#13)。この判定を行う手段が本願における残湯循環判定手段である。
【0051】
〔別実施形態〕
上記の実施の形態にあっては、
循環ポンプとして回転速度可変型のポンプを採用し、循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する探索手段と、通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、探索手段により探索される下限流量回転速度以上に設定する設定手段とを設けて構成し、例えば、試験運転時に循環ポンプの回転速度として現場の状況に適合した回転速度を自動的に決定・設定する風呂設備に関して説明したが、現場の状況に適合した循環ポンプの回転速度を人為的に設定可能としてもよい。
【0052】
この場合も、循環ポンプ33としては、同様に回転速度可変型のポンプを採用する。そして、先に説明した運連制御部Cに備えられる回転速度決定手段M6の代わりに、循環ポンプを異なった複数の回転速度で運転できる回路及び選択スイッチを設けておき、外部入力等により先に説明した下限流量回転速度から順次上限回転速度まで循環ポンプの回転速度を選択しながら上昇させ、ふろ水流スイッチがONとなった回転速度を作業者が確認できるように構成する。そして、その確認された回転速度に基づいて、作業者が以降、使用する回転速度を、決定し、外部入力により設定できるようにしてもよい。
この場合は、熱源機Gに循環ポンプ33を異なった複数の回転速度で運転できる回路及び、外部操作により当該回転速度を選択できる選択スイッチを設けておき、さらに、現状で選択されている回転速度を表示できるようにするとともに、通常使用する回転速度を外部入力できるようにしておけばよい。ふろ水流スイッチ37のON・OFF状態に関しても、この状態を外部出力できるようにしておけばよい。
【0053】
他の別実施形態を説明する。
(イ) 上記の実施形態にあっては、循環ポンプとして追焚用循環ポンプの回転
速度を循環路の状態に適合させて決定・設定する例を示したが、熱源機と、この熱源機から湯水が供給され、両者間で湯水が循環する循環路を構成する例としては、先に示した実施形態において、熱源機と熱消費端末との間にも循環路が形成され、この循環路に温水循環ポンプ24が配設される。従って、この温水循環ポンプとして、回転速度可変型のポンプを採用するとともに、そのポンプの回転速度を、現場の状況に合わせて、追焚用循環ポンプと同様の手法で、決定するものとしてもよい。
(ロ) 上記の実施形態にあっては、下限流量回転速度から一割づつ回転速度を上昇させたが、その割合は限られるものではなく、実質的に連続的に上昇させても良いし、他の割合で上昇させてもよい。
(ハ) 上記の実施形態にあっては、設定手段により循環ポンプの回転速度を設定するに、探索手段により探索される回転速度に対して、2割増しの回転速度を、以降使用する回転速度(即ち、通常の回転速度)としたが、この割合は、少なくともふろ水流スイッチがONすればよく、探索される回転速度以上であればよい。但し、本願に趣旨から3割増し程度が、余裕を持たせるという意味から、実質的な上限となる。
(ニ) 上記の実施形態にあっては、主に、ドレン排水管を浴槽用循環路内に挿入することにより発生する流路抵抗の増加を問題とする場合に関して説明したが、
当然に、熱源機と熱消費端末又は浴槽との距離により循環路の流路抵抗が変化する場合にも、本願の手法を採用することが好ましい。
(ホ) 上記の実施形態にあっては、熱源機を現場で据付け、試運転を行う時点で追焚用循環ポンプの回転速度を決定する例を示したが、このような回転速度の探索は、実質的に残湯循環判定を伴うため、例えば、風呂自動運転時に、その初期に残湯循環判定手段が行う残湯循環判定において、回転速度の探索・設定を同時に行ってもよい。例えば、図6に示す処理を、一ヶ月に一回行うようにしてもよい。このようにすることで、循環路の流路抵抗が変化した場合も良好に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願に係る風呂設備の全体構成を示すブロック図
【図2】本願に係る風呂設備の要部構成を示す概略図
【図3】熱源機側継手の構成を示す断面図
【図4】浴槽側継手の構成を示す断面図
【図5】運転制御部及びリモコンの構成を示す図
【図6】循環ポンプの回転速度決定・設定処理のフローを示す図
【図7】通常時の残湯循環判定フローを示す図
【符号の説明】
【0055】
4 ドレン排水管
24 循環ポンプ
28 熱交換器
31 浴槽用循環路
32 浴槽用循環路
33 循環ポンプ
G 熱源機
M6a 探索手段
M6b 設定手段
N2 潜熱回収式の熱交換器(熱交換器)
P 浴槽用湯水管
Y 浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を備えた熱源機と熱消費端末又は浴槽との間に、湯水の循環路を備え、前記循環路に備えられる循環ポンプにより、加熱された湯水が往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給されるとともに、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻される熱利用設備であって、
前記循環ポンプとして回転速度可変型のポンプが採用され、
前記循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する探索手段を設け、
通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索手段により探索される下限流量回転速度以上に設定する設定手段を備えた熱利用設備。
【請求項2】
前記循環路が前記熱交換器と前記浴槽との間に形成される浴槽用循環路であり、前記循環ポンプが、浴槽内の湯水の追焚運転時に働く追焚用循環ポンプである請求項1記載の熱利用設備。
【請求項3】
熱交換器として潜熱回収式の熱交換器を備え、前記熱源機から排出されるドレンを前記浴槽側の排水口に導くドレン排水管を設け、前記ドレン排水管の一部が、前記浴槽用循環路内を介して前記浴槽側の排水口に導かれている請求項2記載の熱利用設備。
【請求項4】
前記浴槽用循環路を流れる湯水の流量が所定値以上である場合にふろ水流有りとする有り信号を、前記所定値未満である場合にふろ水流無しとする無し信号を出力する出力手段を備えるとともに、当該出力手段の出力に従って、浴槽内に残湯が有るか否かを判定する残湯循環判定手段を備え、前記残湯循環判定手段による残湯循環判定時に、前記探索手段による下限流量回転速度の探索が実行される請求項2又は3記載の熱利用設備。
【請求項5】
熱交換器を備え、前記熱交換器と熱消費端末又は浴槽との間に湯水の循環路を形成可能に構成されるとともに、
形成された循環路に関して、加熱された湯水を往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給し、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻す循環ポンプを備えた熱源機であって、
前記循環ポンプが回転速度可変型のポンプであり、
前記循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索する探索手段を設け、
通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索手段により探索される下限流量回転速度以上に設定する設定手段を備えた熱源機。
【請求項6】
前記形成される循環路が前記熱交換器と前記浴槽との間に形成される浴槽用循環路であり、前記循環ポンプが、浴槽内の湯水の追焚運転時に働く追焚用循環ポンプである請求項5記載の熱源機。
【請求項7】
前記形成される浴槽用循環路を流れる湯水の流量が所定値以上である場合にふろ水流有りとする有り信号を、前記所定値未満である場合にふろ水流無しとする無し信号を出力する出力手段を備えるとともに、当該出力手段の出力に従って、浴槽内に残湯が有るか否かを判定する残湯循環判定手段を備え、前記残湯循環判定手段による残湯循環判定時に、前記探索手段による下限流量回転速度の探索が実行される請求項6記載の熱源機。
【請求項8】
熱交換器を備えた熱源機と熱消費端末又は浴槽との間に、湯水の循環路を備え、前記循環路に備えられる循環ポンプにより、加熱された湯水が往き路を介して前記熱消費端末又は浴槽に供給されるとともに、前記熱消費端末又は浴槽から戻り路を介して前記熱交換器に戻される熱利用設備に、前記循環ポンプとして回転速度可変型のポンプを採用し、
前記循環ポンプの回転速度を設定するに、
前記循環ポンプの回転速度を下限設定値から上昇させるとともに、当該回転速度の上昇過程において、前記循環路を流れる湯水の流量が所定値以上となる循環ポンプの回転速度を下限流量回転速度として探索し、通常運転時の前記循環ポンプの回転速度を、前記探索される下限流量回転速度以上に設定する熱利用設備に備えられる循環ポンプの回転速度設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−54127(P2010−54127A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220092(P2008−220092)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】