説明

熱可塑性エラストマー樹脂組成物

【課題】成形加工が容易で、密封性、ガスバリア性、耐熱変形性に優れ、内容液への溶出性も小さい熱可塑性エラストマー組成物、および、それを用いた医療用ゴム栓、パッキンを提供する。
【解決手段】架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)100重量部と、架橋性官能基を有さない重量平均分子量が4万から8万であるポリイソブチレン(B)10〜100重量部と、ポリオレフィン系樹脂(C)10〜100重量部と、ヒドロシリル基含有化合物(D)0.1〜10重量部と、を含み(B)成分と(C)成分中で、(A)成分を(D)成分により、溶融混練しながら動的に架橋した熱可塑性エラストマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形加工が容易で、密封性、ガスバリア性、耐熱変形性に優れ、内容液への溶出性も小さい熱可塑性エラストマー、および、それを用いた医療用ゴム栓およびパッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、注射剤容器のゴム栓など、医療用ゴム栓を製造するためのゴム組成物には各種合成ゴムを主成分とする組成物が用いられてきたが、これらの中でも、ブチル系ゴム(ポリイソブチレン骨格を基本とする、ブチルゴム(イソブチレン−イソプレン共重合体)、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体の臭素化物など)は、酸素や水蒸気などの気体透過性が低く、ガスバリア性に優れていることから、最も適した材料として実用化されている。
【0003】
これらブチル系ゴムを用いてゴム栓を製造する場合、その製造にあたって必ず使用しなければならない添加剤として、架橋剤(または加硫剤ともいう)や架橋助剤があり、例えば架橋剤として比較的シンプルな有機過酸化物を用いた場合においてさえも、架橋剤の分解物や二次反応物が架橋ゴム中に残留し、ゴム栓の各処理工程を経ても残留している。特にブチル系ゴムの場合は製造工程中においてこれら架橋剤や架橋助剤が極めて拡散、溶出、揮散され難く、長時間を経て系外へ揮発、浸出してくるため、長期間にわたって高い化学清浄度が要求される医療用ゴム栓として好ましくないという問題点を有している。また、一般に、ゴムを架橋する際には、高温で長時間の加熱加圧工程を要するので、生産性が悪いという問題点もある。
【0004】
この架橋工程の簡略化を目的として、架橋が不要な熱可塑性エラストマーを使用し、射出成形機などを用いて、短時間に成形する技術が提案されている。このような熱可塑性エラストマーを用いた技術としては、芳香族ビニル化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体の水素添加誘導体とゴム用軟化剤とオレフィン系樹脂からなる止栓(特許文献1、2)、シリンジ用ガスケット(特許文献3、4)等がある。これらの技術では架橋工程が不要なため、架橋剤由来の溶出性物質は無いものの、一般のゴム用軟化剤はアルコール系の薬剤への溶出性が高いこと、またガス透過係数が大きいため、内容液に対するガスバリア性が不足する問題点があった。
【0005】
そこで、ガスバリア性を改良した熱可塑性エラストマーを使用した医療用シール性物品として、芳香族ビニル化合物とイソブチレンとのブロック共重合体を使用したものが提案されている(特許文献5)。この技術では、従来のブチルゴムと同様のポリイソブチレン構造を利用しているため、ガスバリア性には優れているものの、耐熱変形性が不足しており、蒸気滅菌処理を行うと変形が激しいため、実用上、問題があった。
【0006】
さらに、この耐熱変形性の課題を改良した熱可塑性エラストマーからなる医療容器用止栓として、オレフィン系樹脂および水添ジエン系共重合体の存在下で、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム(ブチルゴム)を動的に架橋したものが提案されている(特許文献6)。しかし、この技術においても、架橋剤や架橋助剤として、従来のブチル系ゴムで使用されてきた一般的なものが使用されているため、溶出性の問題が残っていた。
【0007】
さらに耐熱変形性と溶出性の課題を改良した熱可塑性エラストマーからなる医療容器用止栓として、オレフィン系樹脂の存在下でイソブチレン系重合体をヒドロシリル基含有物により動的に架橋した組成物と軟化剤からなるものが提案されている(特許文献7)。しかし、この技術においてもアルコール系の薬剤の場合において軟化剤の溶出という課題があり全ての課題を解決するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−37242号公報
【特許文献2】特公平2−4296号公報
【特許文献3】特公平2−17578号公報
【特許文献4】特公平2−17579号公報
【特許文献5】特開平5−212104号公報
【特許文献6】特許第3700215号公報
【特許文献7】WO2007/119687公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、成形加工が容易で、密封性、ガスバリア性、耐熱変形性に優れ、内容液への溶出性も小さい熱可塑性エラストマー、および、それを用いた医療用ゴム栓、パッキンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、下記の発明を達成するに至った。
すなわち本発明は、架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)100重量部と、
架橋性官能基を有さない重量平均分子量が4万から8万であるポリイソブチレン(B)10〜100重量部と、
ポリオレフィン系樹脂(C)10〜100重量部と、
ヒドロシリル基含有化合物(D)0.1〜10重量部と、を含み(B)成分と(C)成分中で、(A)成分を(D)成分により、溶融混練しながら動的に架橋したことを特徴とする熱可塑性エラストマーに関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)が、末端にアリル基を有するポリイソブチレンであることを特徴とする熱可塑性エラストマーに関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)の重量平均分子量が4万から8万であることを特徴とする熱可塑性エラストマーに関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、ポリオレフィン系樹脂(C)がポリプロピレンであることを特徴とする熱可塑性エラストマーに関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、ヒドロシリル基含有化合物がポリメチルハイドロジェンシロキサン、又はジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンとの共重合体のいずれかであることを特徴とする熱可塑性エラストマーに関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、さらに芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)からなるイソブチレン系ブロック共重合体(E)を1〜50重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマーに関する。
【0016】
さらに本発明は、上記記載の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする医療用ゴム栓に関する。
【0017】
さらに本発明は、上記記載の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする医療用パッキンに関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱可塑性エラストマーは、成形加工が容易で、密封性、ガスバリア性、耐熱変形性に優れ、内容液への溶出性も小さい。したがって、該熱可塑性エラストマーを含む医療用ゴム栓、およびパッキンは、密封時の形状追随性が良いだけでなく、注射剤等の内容物への酸素の透過による酸化劣化や、真空採血管における真空度の低下が起こりにくい。また、ヒドロシリル基含有化合物による架橋であるため、ゴム栓からの成分溶出も非常に少ないという性質を維持しながら耐熱変形性を大幅に改善できる。その結果、成形加工が容易で、密封性、ガスバリア性に優れ、内容物への溶出性も小さく、針刺し性も良好な医療用ゴム栓が得られることとなる。従って、バイアル瓶やプレフィルドシリンジなどの注射剤容器、真空採血管等のゴム栓、パッキンとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の熱可塑性エラストマーは架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)100重量部と、架橋性官能基を有しない重量平均分子量が4万から8万のポリイソブチレン(B)10〜100重量部と、ポリオレフィン系樹脂(C)10〜100重量部と、ヒドロシリル基含有化合物(D)0.1〜10重量部と、を含み(B)成分と(C)成分中で、(A)成分を(D)成分により、溶融混練しながら動的に架橋することで得られる。
【0020】
本発明の架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)とは、イソブチレンに由来するユニットが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占める、架橋性官能基を有するポリイソブチレンのことをいう。イソブチレン以外の単量体としては、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。(A)成分の分子量はGPC測定による重量平均分子量で40,000から300,000であるのが好ましく、40,000から80,000が特に好ましい。重量平均分子量が40,000未満の場合、抽出性が悪化する傾向があり、また、300,000を超える場合溶融混練性が低下し、また、架橋時の反応性が低下する傾向がある。
【0021】
本発明の架橋性官能基を有するポリイソブチレンにおける架橋性官能基は、ヒドロシリル基含有化合物(D)により架橋するものであれば特に制限はないが、反応性の観点から、アルケニル基、特にアリル基が好ましく、機械物性、粘着性、圧縮永久歪み特性の観点から、官能基は末端にあることが好ましい。
【0022】
本発明の(A)成分の架橋性官能基の導入方法は特に制限はないが、例えば末端へのアリル基の導入方法としては、特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためにはアリルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアリル基導入反応を行う方法などが挙げられる。この中でもアリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端にアリル基を導入したものが、反応性の点から好ましい。
【0023】
本発明の(A)成分のアリル基の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、1分子あたり少なくとも0.2個のアリル基を末端に有する重合体であることが好ましく、1分子当たり1.0個以上であることがさらに好ましく、1分子当たり1.5個以上であることが最も好ましい。0.2個未満であると、架橋反応が十分に進行しないおそれがある。
【0024】
本発明のポリイソブチレン(B)はイソブチレンに由来するユニットが70重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上を占める架橋性官能基を有しないポリイソブチレンのことをいう。イソブチレン以外の単量体としては、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。(B)成分の分子量はGPC測定による重量平均分子量で30,000から150,000であるのが好ましく、40,000から80,000が特に好ましい。重量平均分子量が30,000未満の場合、抽出性が悪化する傾向があり、また、150,000を超える場合配合物の粘度が高くなり成型性が悪化し、また圧縮永久歪み特性が悪くなるという可能性がある。
【0025】
ポリイソブチレン(B)の添加量は、(A)成分100重量部に対し、10〜100重量部とし、10〜80重量部とするのが好ましく、10〜60重量部とするのが最も好ましい。(B)成分が10重量部より少ないと、十分な成形流動性、柔軟性が得られない傾向があり、100重量部より多くなると、圧縮永久歪み特性が損なわれ、十分な密封性が発現しない傾向がある。
【0026】
本発明の(C)成分であるポリオレフィン系樹脂は、α−オレフィンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物、またはα−オレフィンと他の不飽和単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれら重合体の酸化、ハロゲン化又はスルホン化したもの等を1種又は2種以上組み合わせて使用できる。具体的には、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィンの(共)重合体等が例示できる。これらの中でコストと物性バランスの点からポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの混合物が好ましく使用できる。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが例示でき、ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどが例示できる。これらの中でも、耐熱性の点から、ポリプロピレンが最も好ましい。
【0027】
使用するポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)としては、特に制限がないものの、成形流動性の点から、0.1〜100(g/10min)であることが好ましく、1〜100(g/10min)であることがより好ましい。
【0028】
本発明において、(C)成分は、(A)成分の架橋反応場として機能するだけでなく、最終的な組成物に、成形流動性、耐熱性、機械強度、摺動性などを付与する働きを有する。(C)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対し、10〜100重量部とし、10〜80重量部とするのが好ましく、10〜50重量部とするのが最も好ましい。(C)成分が10重量部より少ないと、十分な成形流動性が得られない傾向があり、100重量部より多くなると、柔軟性が損なわれ、十分な密封性が発現しない傾向がある。
【0029】
本発明では、(A)成分の架橋剤として、ヒドロシリル基含有化合物(D)を用いる。使用できるヒドロシリル基含有化合物に特に制限はないが、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンが好ましく、各種のものを用いることができる。その中でもヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを3個以上500個以下持つ、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンが好ましく、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを10個以上200個以下持つポリシロキサンがさらに好ましく、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを20個以上100個以下持つポリシロキサンが特に好ましい。ヒドロシリル基が3個より少ないと、架橋によるネットワークの十分な成長が達成されず最適なゴム弾性が得られない傾向があり、シロキサンユニットが500個より多くなると、ポリシロキサンの粘度が高く(A)成分中への分散性が低下し、架橋反応の進行が不十分となる傾向がある。ここで言うポリシロキサンユニットとは以下の一般式(I)、(II)、(III)を指す。
[Si(R12O] (I)
[Si(H)(R2)O] (II)
[Si(R2)(R3)O] (III)
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンとして、一般式(IV)または(V)で表される鎖状ポリシロキサン;
13SiO−[Si(R12O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR13 (IV)
HR12SiO−[Si(R12O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR12H (V)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。bは3≦b、a,b,cは3≦a+b+c≦500を満たす整数を表す。)
一般式(VI)で表される環状シロキサン;
【0030】
【化1】

【0031】
(式中、R4およびR5は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R6は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。eは3≦e、d,e,fはd+e+f≦500を満たす整数を表す。)等の化合物を用いることができる。
【0032】
また、ヒドロシリル基含有化合物は、反応性、粘度の観点より、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、又はジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンとの共重合体のいずれかが好ましい。
【0033】
ヒドロシリル基含有化合物(D)の配合量は、(A)成分100重量部に対しして、0.1〜10重量部である。0.1重量部より少ないと、架橋が不十分となる傾向があり、また、10重量部より多くなると、架橋後も活性なヒドロシリル基が多量に残るので、揮発分が発生しやすい傾向がある。
【0034】
(A)成分と(D)成分との架橋反応は、当該2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することが好ましい。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル発生剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0035】
ラジカル発生剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0036】
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。これらのうち、架橋効率の点で、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
【0037】
触媒量としては特に制限はないが、(A)成分の架橋性官能基1molに対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと架橋の進行が不十分となる傾向があり、10-1molより多くなると、発熱が激しく、架橋反応が十分に制御できない傾向がある。
【0038】
本発明では、ガスバリア性を損なわずに、機械特性やコアリング性などを改良する目的で、(E)成分として、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体を添加することができる。
【0039】
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)は、芳香族ビニル系化合物に由来するユニットが60重量%以上、好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。
【0040】
芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的な入手性やガラス転移温度の点から、スチレン、α−メチルスチレン、および、これらの混合物が好ましい。
【0041】
イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)は、イソブチレンに由来するユニットが60重量%以上、好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。
【0042】
(a)、(b)いずれの重合体ブロックも、共重合成分として、相互の単量体を使用することができるほか、その他のカチオン重合可能な単量体成分を使用することができる。このような単量体成分としては、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
【0044】
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
【0045】
ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
【0046】
シラン化合物としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0047】
本発明の(E)成分は、(a)ブロックと(b)ブロックから構成されている限りにおいては、その構造には特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能である。好ましい構造としては、物性バランス及び成形加工性の点から、(a)−(b)−(a)で構成されるトリブロック共重合体が挙げられる。これらは所望の物性・成形加工性を得る為に、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
(a)ブロックと(b)ブロックの割合に関しては、特に制限はないが、柔軟性およびゴム弾性の点から、(E)成分における(a)ブロックの含有量が5〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがさらに好ましい。
【0049】
また(E)成分の分子量にも特に制限はないが、流動性、成形加工性、ゴム弾性等の面から、GPC測定による重量平均分子量で30,000〜500,000であることが好ましく、50,000〜300,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が30,000よりも低い場合には機械的な物性が十分に発現されない傾向があり、一方500,000を超える場合には流動性、加工性が悪化する傾向がある。
【0050】
(E)成分の製造方法については特に制限はないが、例えば、下記一般式(VII)で表される化合物の存在下に、単量体成分を重合させることにより得られる。
(CR78X)nR9 (VII)
[式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R7、R8はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR7、R8は同一であっても異なっていても良く、R9は多価芳香族炭化水素基または多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。]
【0051】
上記一般式(VII)で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。本発明で用いられる一般式(VII)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。
【0052】
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔C65C(CH32Cl〕、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,4−Cl(CH32CC64C(CH32Cl〕、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3−Cl(CH32CC64C(CH32Cl〕、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3,5−(ClC(CH32363〕、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン〔1,3−(C(CH32Cl)2-5−(C(CH33)C63
【0053】
これらの中でも特に好ましいのはビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C64(C(CH32Cl)2]である。[なおビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれ、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはトリクミルクロライドとも呼ばれる]。
【0054】
(E)成分を製造する際には、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl4、BCl3、SnCl4が好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(VII)で表される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
【0055】
(E)成分の製造に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって、分子量分布の狭い、構造が制御された重合体を生成することができる。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0056】
(E)成分の重合は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ、特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等を挙げることができる。
【0057】
これらの溶媒は(E)成分を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
上記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50wt%、好ましくは5〜35wt%となるように決定される。
【0059】
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
【0060】
(E)成分は、(A)成分100重量部に対して、1〜50重量部混合するのが好ましく、1〜30重量部混合するのがより好ましい。50重量部を超えると、耐熱変形性が悪化する傾向がある。
【0061】
本発明では、(A)成分を(B)、(C)成分の存在下で、溶融混練中に(D)成分により動的に架橋する。溶融混練の温度は、130〜240℃温度が好ましい。130℃よりも低い温度では、(C)成分の溶融が不十分となり、混練が不均一となる傾向がある。240℃よりも高い温度では、(A)成分の熱分解が起こる傾向がある。この動的架橋の工程においては、(A)、(B)、(C)成分が必須であるが、適宜、(E)成分などの他の成分を添加してから架橋を行っても良い。ただし、他の成分の中には架橋反応を阻害するものもあるため、その成分は架橋後に添加する方が好ましい。溶融混練するための方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。例えば、(A)、(B)、(C)成分、さらに、架橋剤や架橋触媒、所定の物性を得るために配合される他の成分を、加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また、その添加の順序としては、(C)成分が溶融した後に(A)成分と(B)成分を添加し、さらに必要であれば他の成分を追加し均一に混合した後、架橋剤および架橋触媒を添加し、架橋反応を進行させる方法が好ましい。
【0062】
また、本発明のゴム栓用組成物には、その性能を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、ゴムなどを添加することもできる。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ABS、MBS、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ナイロン系エラストマーなどが挙げられる。さらに、ゴムとしては、ブチルゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、(E)成分を使用する場合には、その耐熱性を改善する目的で、ポリフェニレンエーテルが好ましく用いられる。また、成形性や摺動性を調節する目的で、SEBSやSEPSなどの水添型スチレン系エラストマーも好ましく用いられる。
【0063】
また、成形流動性を改良する目的で、必要に応じて、石油系炭化水素樹脂を添加することもできる。石油系炭化水素樹脂は、石油系不飽和炭化水素を直接原料とする分子量300〜10000程度の樹脂であり、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及びその水素化物、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂及びその水素化物、ジシクロペンタジエン系石油樹脂及びその水素化物、スチレンまたは置換スチレンの低分子量重合体、クマロン・インデン樹脂などがあげられる。これらの中でも、(A)成分との相溶性の観点から、脂環族飽和炭化水素樹脂が好ましい。
【0064】
さらに本発明のゴム栓用組成物には、物性改良あるいは経済上のメリットから充填剤を配合することができる。好適な充填剤としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の麟片状無機充填剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、カーボンブラック、粒状ないし粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体充填剤、その他の各種の天然又は人工の短繊維、長繊維等が例示できる。また中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体からなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。更に軽量化、衝撃吸収性等の各種物性の改善のために、各種発泡剤を混入させることも可能であり、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。これらの中でも、経済性および衛生性の点から、タルクが好ましい。
【0065】
充填剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して1〜100重量部とするのが好ましく、1〜50重量部とするのがより好ましく、1〜30重量部とするのが更に好ましい。100重量部を超えると、得られる組成物の柔軟性が損なわれる傾向があり、好ましくない。
【0066】
また本発明のゴム栓用組成物には、必要に応じて、酸化防止剤および紫外線吸収剤を混合することができる。混合量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜10重量部とするのが好ましく、0.01〜5重量部とするのがより好ましい。さらに他の添加剤として難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等を添加することができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。特に、硬度が低くなると、溶融混練後に造粒(ペレット化)した際、ブロッキングが起こりやすいため、ブロッキング防止剤の添加が有効である。このようなブロッキング防止剤としてはポリプロピレンパウダー、ポリエチレンパウダー、超高分子量ポリエチレンパウダーなどを使用することができる。
【0067】
本発明の熱可塑性エラストマーは、医療用ゴム栓や医療用パッキンに使用することができる。
【0068】
本発明のゴム栓、パッキンを製造するにあたっては、特に制限されるものではないが、目的とするゴム栓の種類、用途、形状に応じて、一般的に用いられる種々の成形方法や成形装置が使用でき、例えば射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形等の任意の成形法が例示され、これらの方法を組み合わせてもよい。これらの中でも、射出成形は、量産性や生産効率の面で、最も好ましい方法であり、本発明の組成物は熱可塑性であるため、ランナーやスプルーの再利用も可能である。射出成形するための条件としては、樹脂温度を170℃〜250℃の範囲に設定するのが好ましく、コールドランナー金型だけでなく、ホットランナー金型も好ましく用いることができる。
【0069】
また、本発明の熱可塑性エラストマーを含有するゴム栓、パッキンは、フッ素樹脂やポリエチレン樹脂などで表面をラミネートして使用することもできる。
【0070】
さらに、本発明の熱可塑性エラストマーを含有するゴム栓は、バイアル瓶やシリンジとの摺動性を改良する目的で、シリコーンオイルなどの潤滑剤を塗布して使用することもできる。
【0071】
本発明の熱可塑性エラストマーを含有するが用いられるゴム栓としては、バイアル瓶やプレフィルドシリンジなどの注射剤容器、真空採血管などの止栓、ガスケットを挙げることができる。
【実施例】
【0072】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
【0073】
本実施例に示す(A)成分および(E)成分の分子量、末端アリル基、スチレン含量と、ゴム栓用組成物およびゴム栓の物性は、以下に示す方法で測定した。
【0074】
(分子量)
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工株式会社製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を使用し、重量平均分子量はポリスチレン換算したものを用いた。
【0075】
(末端アリル基数)
ポリイソブチレンを重クロロホルムに溶解して1H−NMRを測定し、開始剤に対するアリル基の比を求めることにより、1分子あたりの末端アリル基数を測定した。
【0076】
(スチレン含量)
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解して1H−NMRを測定し、イソブチレン由来のピーク(8H)とスチレン由来の芳香環のピーク(5H)との比率から、スチレンのモル分率を求め、ユニット当たりの分子量から重量分率に換算して、スチレン含量(重量%)を算出した。
【0077】
(溶融粘度)
JIS K 7199に準拠し、200℃、せん断速度=1216/s条件下での溶融粘度(poise)を測定した。
【0078】
(硬度)
JIS K−6253に準拠し、2mm厚のプレスシートを3枚重ねて、スプリング式のタイプAデュロメータで硬度(以下、JIS−A硬度と略す)を測定した。
【0079】
(圧縮永久歪み)
JIS K−6262に準拠し、試験片は12.0mm厚のプレスシートを使用した。70℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
【0080】
(ガスバリア性)
JIS K−7126に準拠し、酸素の透過係数を測定した。試験片としては1mm厚のプレスシートを用い、差圧法(A法)を用いた。
【0081】
(耐熱変形性)
ISO8362−2のA型ゴム栓(フランジ径20mm)を用い、121℃に設定したプレッシャークッカー(株式会社平山製作所製PC−305S)にて加熱した後、目視にて変形の有無を判定した。水蒸気圧は、121℃における飽和蒸気圧となっている。変形無しを○、フランジ部に笠曲がりがあるものを△、全体的に変形したものを×とした。少しでも変形があると、密封性が保持できなくなるおそれがあるため、△や×ではゴム栓として使用できない。
【0082】
(水溶出性)
日本薬局方の輸液用ゴム栓試験法に準拠し、下記のように測定した。すべての項目で規格に適合する必要がある。
【0083】
試験液の調製;
2mm厚のプレスシートを水洗したのち、室温で乾燥し、これをガラス容器に入れ、試料重量の10倍量の水を正確に加え、適当な栓をしたのち、121℃に加熱したオートクレーブ中で1時間加熱してから、硬質ガラス容器を取り出して室温になるまで放置し、速やかにシートを除き、この液を試験液とした。別に、水だけを入れ、プレスシートを入れずに、同様の方法で空試験液を調製した。
【0084】
透過率;
空試験液を対照とし、層長10mmで波長430nmおよび650nmの透過率を測定した。透過率が99.0%以上であれば、規格に適合する。単位は%。
【0085】
pH;
試験液および空試験液20mlずつをとり、これに塩化カリウム1.0gを水に溶かして1000mlとした液1.0mlずつを加え、両液のpHを測定した。両液のpHの差が1.0以下であれば、規格に適合する。
【0086】
過マンガン酸カリウム還元性物質;
試験液100mlを共栓三角フラスコに採り、0.01N過マンガン酸カリウム液10.0mlおよび希硫酸5mlを加え、3分間煮沸し、冷却後、これにヨウ化カリウム0.10gを加えて密栓し、振り混ぜて10分間放置したのち、0.01Nチオ硫酸ナトリウムで滴定した(指示薬;デンプン試液5滴)。別に、空試験液100mlを用い、同時に操作した。0.01N過マンガン酸カリウム液の消費量の差を測定した。0.01N過マンガン酸カリウム液の消費量の差が2.0ml以下であれば、規格に適合する。単位はml。
【0087】
蒸発残留物;
試験液100mlをとり、水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥して、残留物の重量を測定した。残留物が2.0mg以下であれば、規格に適合する。単位はmg。
【0088】
紫外線吸収;
試験液につき、空試験液を対照とし、吸光度測定法により、試験を行った。波長220〜350nmにおける吸光度が0.20以下であれば、規格に適合する。
【0089】
(アルコール溶出性)
2mm厚のプレスシートを5g水洗したのち、室温で乾燥し、これをガラス容器に入れ、イソプロパノールを100ml正確に加え、2時間環流してから、硬質ガラス容器を取り出して室温になるまで放置し、速やかにシートを除き、この液を試験液とした。試験液1μLを用いてGC/MS分析を行った。
Agilent technologies社製 GC/MS−5973Nを用いキャリアガスはヘリウム1ml/minで測定を行った。
アバンダンスが100,000以上のピーク数を算出した。
下記の原料を使用して、熱可塑性エラストマーを製造した。
成分(A)末端にアリル基を有するポリイソブチレン
下記製造例1で製造したもの(以下、APIBと略す)
成分(B)架橋性官能基を有さないポリイソブチレン
TETRAX4T:重量平均分子量5.8万 ポリイソブチレン(新日本化学社製)(以下、PIBと略す)
成分(C)ポリオレフィン系樹脂
ポリプロピレン(ホモタイプ):三井化学株式会社製三井ポリプロJ108M(MFR:45g/10min、以下HPPと略す)
成分(D)ヒドロシリル基含有化合物(架橋剤)
ヒドロシリル基含有ポリシロキサン 下記の化学式で表されるポリシロキサン(以下、H−オイルと略す)
(CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]48−Si(CH33
架橋触媒
0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体、3重量%キシレン溶液(以下、Pt触媒と略す)
成分(E)イソブチレン系ブロック共重合体(以下、SIBSと略す)
下記製造例2で製造したもの
軟化剤
ポリイソブチレンオイル:出光興産株式会社製出光ポリブテン100R(以下100Rと略す) 重量平均分子量1000
ポリイソブチレン:BASF社 Oppanol B50SF 重量平均分子量220,000(以下、HMPIBと略す)
パラフィン系オイル:出光興産株式会社製ダイアナプロセスPW−90(以下PW90と略す) 重量平均分子量500
その他
水素添加スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体:クレイトンポリマージャパン株式会社製クレイトンG1650(スチレン含量29%、以下SEBSと略す)
ブチル系動的架橋エラストマー:エーイーエス・ジャパン株式会社製トレフシン3271−65W308(以下TREFと略す)。
【0090】
(製造例1)(A)末端にアリル基を有するイソブチレン系共重合体
2Lセパラブルフラスコに三方コック、および熱電対、攪拌シールをつけ、窒素置換を行った。窒素置換後、三方コックを用いて窒素をフローした。これにシリンジを用いてトルエン785ml、エチルシクロヘキサン265mlを加え、−70℃程度まで冷却した。冷却後、イソブチレンモノマー277ml(2933mmol)を加えた。再度−70℃程度まで冷却後、p−ジクミルクロライド0.85g(3.7mmol)およびピコリン0.68g(7.4mmol)をトルエン10mlに溶解して加えた。反応系の内温が−74℃となり安定した時点で四塩化チタン19.3ml(175.6mmol)を加え重合を開始した。重合反応が終了した時点(90分)で、75%−アリルトリメチルシラン/トルエン溶液1.68g(11.0mmol)を添加し、さらに2時間反応させた。その後、50℃程度に加熱した純水で失活し、さらに有機層を純水(70℃〜80℃)で3回洗浄し、有機溶剤を減圧下80℃にて除去しAPIBを得た。GPC測定による重量平均分子量は50000、1H−NMRにより求めた末端アリル基数は2.0/molであった。
【0091】
(製造例2)(E)イソブチレン系ブロック共重合体、スチレン含量15%のトリブロック構造
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)21.2mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)256.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー60.5mLが入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.120gおよびN,N−ジメチルアセトアミド0.121gを加えた。次にさらに四塩化チタン1.02mLを加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、続いて、スチレンモノマー8.02gを重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから75分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
【0092】
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量を測定したところ、重量平均分子量は130,000であった。また、1H−NMRにより算出したスチレン含量は15wt%であった。
【0093】
(実施例1)製造例1で得られたAPIB((A)成分)、PIB((B)成分)、HPP((C)成分)を表1に示した割合で配合し、170℃に設定したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所)を用いて2分間溶融混練し、ヒドロシリル基含有化合物であるH−オイルを表1に示した割合で添加し、1分間混練した後、架橋触媒であるPt触媒を表1に示した割合で添加して、架橋が進行してトルクの値が最高値を示すまでさらに溶融混練した。トルクの値が最高値を示してから3分間混練後、動的架橋組成物を取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は200℃で加熱プレス(神藤金属工業株式会社製)にて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、溶融粘度、圧縮永久歪み、耐熱変形性、気体透過係数、コアリング、水溶出性、アルコール溶出性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0094】
(実施例2)(A)、(B)、(C)成分の配合量を表1に示した割合に変更した以外は実施例1と同様にシートを得、物性を測定した。
【0095】
(実施例3)(A)、(B)、(C)成分の配合量を表1に示した割合に変更した以外は実施例1と同様にシートを得、物性を測定した。
【0096】
(実施例4)APIB((A)成分)、PIB((B)成分)、HPP((C)成分)、SIBS((D)成分)を表1に示した割合で配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて2分間溶融混練し、ヒドロシリル基含有化合物であるH−オイルを表1に示した割合で添加し、1分間混練した後、架橋触媒であるPt触媒を表1に示した割合で添加して、架橋が進行してトルクの値が最高値を示すまでさらに溶融混練した。トルクの値が最高値を示してから3分間混練後、動的架橋組成物を取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は200℃で加熱プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、溶融粘度、圧縮永久歪み、耐熱変形性、気体透過係数、コアリング、水溶出性、アルコール溶出性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0097】
(比較例1)
HPP((C)成分)、SEBS、PW−90を表2に示した割合で配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は200℃で加熱プレスにてシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、溶融粘度、圧縮永久歪み、耐熱変形性、気体透過係数、コアリング、水溶出性、アルコール溶出性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0098】
(比較例2)
SIBSを170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した以外は比較例1と同様にシートを得た。得られたシートは比較例1と同様に測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0099】
(比較例3)
HPP((C)成分)、SIBS((E)成分)、PW−90を表2に示した割合で配合した以外は比較例1と同様にシートを得た。得られたシートは比較例1と同様に測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0100】
(比較例4)
TREFを170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した以外は比較例1と同様にシートを得た。得られたシートは比較例1と同様に測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0101】
(比較例5)
APIB((A)成分)、HPP((C)成分)、SIBS((D)成分)を表2に示した割合で配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて2分間溶融混練し、ヒドロシリル基含有化合物であるH−オイルを表2に示した割合で添加し、1分間混練した後、架橋触媒であるPt触媒を表2に示した割合で添加して、架橋が進行してトルクの値が最高値を示すまでさらに溶融混練した。トルクの値が最高値を示してから3分間混練後、動的架橋組成物を取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は200℃で加熱プレスにてシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、溶融粘度、圧縮永久歪み、耐熱変形性、気体透過係数、コアリング、水溶出性、アルコール溶出性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0102】
(比較例6)
APIB((A)成分)、HPP((C)成分)、100Rを表2に示した割合で配合した以外は比較例5と同様にシートを得た。得られたシートは比較例1と同様に測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0103】
(比較例7)
APIB((A)成分)、HPP((C)成分)、HMPIBを表2に示した割合で配合した以外は比較例5と同様にシートを得た。得られたシートは比較例1と同様に測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0104】
(比較例8)
(A)、(B)、(C)成分の配合量を表2に示した割合に変更した以外は比較例5と同様にシートを得、物性を測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0105】
(比較例9)
(A)、(B)、(C)成分の配合量を表2に示した割合に変更した以外は比較例5と同様にシートを得、物性を測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0106】
(比較例10)
(A)、(B)、(C)、(E)成分の配合量を表2に示した割合に変更した以外は比較例5と同様にシートを得、物性を測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
【0107】
(比較例11)
(A)、(B)、(C)成分の配合量を表2に示した割合に変更した以外は比較例5と同様にシートを得、物性を測定した。それぞれのシートの物性を表2に示す。
実施例1〜4は硬度が45〜46と柔軟性に富み、圧縮永久歪みは35%以下と優れ、ガスバリア性にも優れていることが分かる。また、ゴム栓として必要なコアリング性、耐熱変形性、抽出性にも優れていることが分かる。比較例1はSEBS、PW−90を主成分としておりガスバリア性に劣る。SIBS単独の比較例2は耐熱変形性に乏しく、100R、PW−90を含有する比較例3,6はアルコール抽出性に問題がある。従来の加硫剤と用いた比較例4は水抽出性が不適合である。比較例5、10は溶融粘度が高く成形流動性に乏しい。比較例7〜10は圧縮永久歪み、硬度、コアリングが両立されていない。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
以上から、本発明の実施例では本発明の目的である、成形加工が容易で、密封性、ガスバリア性に優れ、内容物への溶出性も小さく、針刺し性も良好な、熱可塑性エラストマー、および、それを用いた医療用ゴム栓が得られている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)100重量部と、
架橋性官能基を有さない重量平均分子量が4万から8万であるポリイソブチレン(B)10〜100重量部と、
ポリオレフィン系樹脂(C)10〜100重量部と、
ヒドロシリル基含有化合物(D)0.1〜10重量部と、を含み(B)成分と(C)成分中で、(A)成分を(D)成分により、溶融混練しながら動的に架橋したことを特徴とする熱可塑性エラストマー。
【請求項2】
架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)が、末端にアリル基を有するポリイソブチレンであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー。
【請求項3】
架橋性官能基を有するポリイソブチレン(A)の重量平均分子量が4万から8万であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂(C)がポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー。
【請求項5】
ヒドロシリル基含有化合物がポリメチルハイドロジェンシロキサン、又はジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンとの共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー。
【請求項6】
さらに芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)からなるイソブチレン系ブロック共重合体(E)を1〜50重量部を含有することを特徴とする請求項1〜5に記載の熱可塑性エラストマー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする医療用ゴム栓。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする医療用パッキン。

【公開番号】特開2011−21074(P2011−21074A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165553(P2009−165553)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】