説明

熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び光アクチュエータ材料

【課題】光照射による良好な可逆反応性を有し、簡便に得られ、かつ取り扱い性が良好な熱可塑性樹脂組成物、これを用いた光アクチュエータ材料の提供。
【解決手段】(a)アルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体0.1〜50重量%、および(b)熱可塑性樹脂50〜99.9重量%を含有する熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホトクロミック特性を有する熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び光アクチュエータ材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ホトクロミック特性とは、ある種の波長を持った光照射に伴い可逆的な構造的変化が生じることをいい、この特性を有するホトクロミック材料は、記録材料、光学シャッターなどの光学部品、光記録材料、ホトクロミックガラス、眼鏡レンズなどに利用され、極めて有用である。
【0003】
従来から、ホトクロミック材料として、スピロベンゾピラン系化合物、フルギド系化合物、アゾベンゼンなどが知られている。
しかし、スピロピラン系化合物は光異性化反応において可逆反応を繰り返すことにより、劣化が急激に起こるものであり、フルギド系化合物は可逆反応の安定性が良くないという問題がある。また、アゾベンゼンのみでは良好な可逆性は得られないという問題がある。
【0004】
また、ホトクロミック材料は、ある種の波長の光照射によってマクロレベルでの形態変化を引き起こすことにより、組成物全体の機械的性質を変化させアクチュエータ機能を発現できる。従来の光アクチュエータ材料として、上記ホトクロミック材料の中でもとりわけアゾベンゼン系化合物が用いられている。
しかし、従来のアゾベンゼン系化合物を用いた光アクチュエータ材料には、以下のような問題がある。
【0005】
アゾベンゼン含有ジメタクリルアミドを用いて合成し延伸された材料中のアゾベンゼン架橋部の、UV光照射に伴う収縮と可視光照射に伴う回復技術が既に知られている。しかし、その収縮−回復速度は分単位という遅い反応であるという問題がある(非特許文献1)。
アゾベンゼンのトランス−シス光異性化に伴う光相転移現象を利用した、アゾベンゼン含有モノドメインネマチック液晶エラストマーの、UV光の照射による収縮と照射停止による回復技術が既に知られている。しかし、その収縮−回復速度は分単位という遅い反応であるという問題がある(非特許文献2)。
光によるアゾベンゼン含有ネマチック液晶の、UV光照射による応力増大と光遮断による応力減少技術が既に知られている。しかし、その応力増大−緩和速度は分もしくは時間単位という非常に遅い反応であるという問題がある(非特許文献3)。
主鎖中にアゾベンゼン基を有するポリマーの、光照射による還元粘度の低下と引張り応力の増大、光照射の停止による応力緩和の技術が知られている。しかし、その応力増大−緩和に約100秒要する遅い反応であるという問題がある(非特許文献4)。
光によるアゾベンゼン基含有アクリレートポリマーの方位選択的屈曲技術について、UV光照射による収縮を利用した屈曲と可視光照射による回復が85℃という加熱条件下により起こることが既に知られている。しかし、屈曲と回復に約10秒以上要し、より速い異性化反応速度の面で十分満足のいくものではないという問題がある(非特許文献5)。
【0006】
ビニルエーテル基含有アゾベンゼン系化合物若しくはその(共)重合体又はスピロピラン化合物、及び熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物が既に知られている。しかし、これらビニルエーテル基含有アゾベンゼン系化合物は、ガラス転移温度が室温付近であることから室温又は室温以上の温度での取り扱いが困難であるため、熱可塑性樹脂組成物製造の各段階の操作が迂遠であり、また、分子量の制御が困難であるという問題がある(特許文献1)。
【非特許文献1】C.D.Eisenbach,Polymer,21,1175-1179(1980)
【非特許文献2】H.Finkelmann and E. Nishikawa, Phys. Rev. Lett., 87, 015501-1〜4 (2001)
【非特許文献3】J. Cviklinski et al., Eur. Phys. J. E, 9, 427-434 (2002)
【非特許文献4】H. S. Blair et al., Polymer, 21, 1195-1198 (1980)
【非特許文献5】Y. Yu et al., Nature, 425, 145 (2003)
【特許文献1】特開2006−282990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、光照射による良好な可逆反応性を有し、簡便に得られ、かつ取り扱い性が良好な熱可塑性樹脂組成物、これを用いた光アクチュエータ材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アゾベンゼン系化合物のホトクロミック特性について鋭意研究を重ねた結果、アルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物、その重合体又は共重合体及び熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物が、光照射による異性化反応速度が高く、吸収波長の変化が大きいこと、取り扱い性が良好であって、さらに容易な操作で当該組成物を得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、(a)アルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体0.1〜50重量%、および(b)熱可塑性樹脂50〜99.9重量%を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、アルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物と、熱可塑性樹脂とを混合することを特徴とする上記の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、ビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物を溶媒中または無溶媒中で付加重合または他の共重合可能なモノマーと共重合することによって得られる重量平均分子量が1,000〜1,000,000である(共)重合体と、熱可塑性樹脂とを混合することを特徴とする上記の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の熱可塑性樹脂組成物からなる光アクチュエータ材料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂組成物及び光アクチュエータ材料は、光照射による異性化反応速度が高く、吸収波長の変化が大きく、かつ取り扱い性が良好であることから、光波長変換素子、光シャッター、高速光スイッチング素子、光理論ゲート素子、空間情報素子、光アクチュエータなどの素材として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で用いられるアルキルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物としては、一般式(1)
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、n1は1〜12の数を示し、Xは酸素原子または−O−CO−を示し、R1はアルキル基を示し、R2、R3およびR4は独立してそれぞれ水素原子、アルキル基、 、アルコキシ基、シアノ基またはアルコキシカルボニル基を示す。]で表される化合物が好ましい。
【0014】
ここで、n1は1〜12の数を示すが、1〜3がより好ましく、1が特に好ましい。Xは酸素原子または−O−CO−を示すが、酸素原子が特に好ましい。R1はアルキル基を示すが、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましい。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などが挙げられるが、メチル基が特に好ましい。R2、R3およびR4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。また、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの総炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が挙げられる。R2、R3およびR4としては水素原子が特に好ましい。
【0015】
一般式(1)で表される化合物のうち、さらに一般式(2)
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、n1、X、R1、R2およびR3は前記と同じ。]で表される化合物がより好ましく、[4−[(4−メチルフェニル)メトキシ]フェニル]フェニル−ジアゼンが特に好ましい。
【0018】
本発明で用いられるビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物としては、一般式(3)
【0019】
【化3】

【0020】
[式中、n1、X、R1、R2およびR3は前記と同じ。]で表される化合物が好ましく、操作の簡便性の点から、4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンが特に好ましい。
【0021】
これらのアルキルフェニル基またはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物は、Xが酸素原子の場合、例えば、次の反応式に従って製造することができる。
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、R5はアルキル基を示し、R6はアルキル基またはビニル基を示し、n1は前記と同じ。]
【0024】
すなわち、フェニルアゾフェノールにナトリウムメトキシド等の金属アルコキシドを反応させてナトリウムフェニルアゾフェノキシドとし、これにクロロメチルスチレン、クロロパラキシレン等のハロゲン化物を反応させることにより、アルキルフェニル基またはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が得られる。
【0025】
また、Xが−O−CO−の場合には、フェニルアゾ安息香酸塩とクロロメチルスチレン、クロロパラキシレン等のハロゲン化物を反応させることにより、アルキルフェニル基またはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が得られる。
【0026】
本発明に用いられるビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物の(共)重合体としては、一般式(4)
【0027】
【化5】

【0028】
[式中、n2は1〜300の数を示し、n1、X、R1、R2及びR3は前記と同じ。]の繰り返し単位を有する重合体又は共重合体が好ましい。さらにこのうち、式(5)の繰り返し単位を有する(共)重合体がより好ましい。
【0029】
【化6】

【0030】
[式中、n2は前記と同じ。]
【0031】
上記(共)重合体は、ビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物を、付加重合又は他の共重合可能なモノマーと共重合することによって得られる。また、重合方法としては、カチオン付加重合、ラジカル付加重合が好ましく、分子量制御の点からラジカル重合がより好ましい。
【0032】
(共)重合は、溶媒中または無溶媒中いずれでも行うことができるが、円滑な重合反応、共重合反応促進の点から、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メトキシエタン、t−ブチルメチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、デカン等の炭化水素類;t−ブタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキサイドなどのスルホキサイド類;アセトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類及びこれらの混合物、水性溶媒等が挙げられ、トルエンが特に好ましい。
また、(共)重合は、連鎖移動剤存在下又は連鎖移動剤非存在下いずれでも行うことができるが、円滑な(共)重合反応促進の点から、連鎖移動剤存在下で行うことが好ましい。また、連鎖移動剤としては、四塩化炭素が好ましい。連鎖移動剤の添加量は、モノマーとのモル比で0.1から10が好ましく、1から4がより好ましい。
【0033】
(共)重合反応において、反応温度は、60〜110℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい、反応時間は、1〜100時間が好ましく、20〜40時間がより好ましい。
【0034】
上記他の共重合可能なモノマーとしては、カチオン共重合あるいはラジカル共重合可能なビニル基およびヘテロ環を分子内に少なくとも一つ有する重合性単量体であれば、特に限定されないが、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;スチレン、4−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン類;メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類;ビニルピロリドンなどの含窒素モノマー類;テトラヒドロフラン、エポキシ化合物などのカチオン開環重合性モノマー類が好ましい。
また、上記他の共重合可能なモノマーの配合量としては、ポリマー中のアゾベンゼン基の凝集機能の点から、一般式(1)で表される化合物及び他の共重合可能なモノマー中に、99重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
【0035】
また、上記(共)重合体の重量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜30,000がより好ましい。なお、1,000未満では、これらのポリマーを主成分とする本発明の熱可塑性脂組成物からのブルーミングやブリーディングなどの不具合が生じやすく、一方、1,000,000を超えると、溶媒への溶解性や熱可塑性樹脂との相溶性が低下する。
【0036】
なお、上記(共)重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、50〜150℃、好ましくは50〜130℃であり、室温で粉体であるため、取り扱い性の点で優れる。
【0037】
(共)重合体は、反応終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により単離することができる。
【0038】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂については、特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、環状オレフィン系重合体、ジエチレングリコールジメタクリレートやジビニルベンゼンなどの配合により緩やかな架橋構造を導入した任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、好適な熱可塑性樹脂としては、環状オレフィン系重合体が挙げられ、特に好適な熱可塑性樹脂としては、下記一般式(6)〜(14)で表される繰り返し単位から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含み、ポリスチレン換算数平均分子量が10,000〜300,000の重合体が挙げられる。
【0039】
【化7】

【0040】
[式(6)中、A1〜A4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、mは0または1である。]
【0041】
【化8】

【0042】
[式(7)中、A1〜A4、およびmは式(6)と同じ]
【0043】
【化9】

【0044】
[式(8)中、B1〜B4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、加水分解性のシリル基、または−(CH2kXで表される極性基を示し、B1〜B4の少なくとも1つは加水分解性のシリル基、または−(CH2kXで表される極性基から選ばれた置換基である。ここで、Xは−C(O)OR21または−OC(O)R22であり、R21,R22は水素、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基であり、kは0〜3の整数である。また、B1〜B4は、B1とB3またはB2とB4から形成される炭化水素環、もしくはイミド、カルボン酸無水物などの複素環構造あるいはB1とB2またはB3とB4から形成されるアルキリデニル、イミド、カルボン酸無水物であってもよい。pは0〜2の整数を示す。]
【0045】
【化10】

【0046】
[式(9)中、R1〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
【0047】
【化11】

【0048】
[式(10)中、R1〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
【0049】
【化12】

【0050】
[式(11)中、R1〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
【0051】
【化13】

【0052】
[式(12)中、R1〜R20はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
【0053】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(a)アルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体の配合量は、組成物全重量に基づき0.1〜50重量%が好ましく、1.0〜30重量%がより好ましい。
本発明の(a)成分の割合が0.1重量%未満では、非線形光学特性や光照射による機械的性質の変化が小さく、不十分であるし、一方、50重量%を超えると、ホトクロミック材料であるアゾベンゼン系化合物の(共)重合体が凝集して結晶化し、非線形光学特性や成型体の基本的な機械的強度を減衰させるおそれがあり、また加工性が低下する。
【0054】
ホトクロミック材料である本発明のアルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体を、熱可塑性樹脂マトリックス中に分散させる方法については特に制限はなく、種々の方法を用いることができる。例えば、適当な溶媒中にアルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体と熱可塑性樹脂とを溶解させて溶液を調製するか、あるいは熱可塑性樹脂を溶媒により膨潤あるいは熱により溶融し、これにアルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体を添加したのち、コーティングやキャスティングなどの方法により、所望の熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。また、溶媒中または無溶媒中で、熱可塑性樹脂の存在下に、本発明のアゾベンゼン系化合物を付加重合もしくは共重合することが好ましい。とりわけ、多官能のアゾベンゼン系化合物や共重合可能なモノマーの存在下に共重合を行った場合、マトリックス樹脂中に均一分散したネットワーク型の(共)重合体が形成され、高い透明性に加えて、ブルーミングやブリーディングが起こらず、機械的性質に優れた組成物が得られるため、本発明において好ましい態様となる。
【0055】
このようにして得られる本発明のホトクロミック材料は、光照射により、可逆的に光吸収変化を示すとともに、非線形光学的および機械的特性が変化する。
したがって、光アクチュエータ材料として好適に用いることができ、当該光アクチュエータ材料は、延伸することができる。
また、マスクを用いるか、レーザーの変調と走査を使って材料を部分的に照射することにより、部分的に非線形光学的および機械的特性が異なる状態にすることができる。一般に光反応は高速に起こるため、高強度のレーザーを用いれば、非線形光学および機械的特性の制御を、さらに短時間のうちに行うことが可能である。
【0056】
さらに、本発明のホトクロミック材料は、材料中のアゾベンゼン基を配向させることによって、その非線形光学的および光機械的特性を変化させることができる。例えば、熱可塑性樹脂とのブレンド、あるいは熱可塑性樹脂中で本発明のビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物を(共)重合する際に、ラビング処理した配向表面上で行うことによってアゾベンゼン基を基盤の配向表面に対応した配向性を賦与することが可能である。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム、繊維などの成型体を延伸することによっても組成物中のアゾベンゼン基を延伸方向に対応して配向性を賦与することが可能である。このような配向したアゾベンゼン基は、非線形光学的および光機械的特性を配向方向に対応して変化させる。したがって、このような配向処理によって、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、異方性非線形光学材料としての態様も可能である。
【0057】
本発明のホトクロミック材料である組成物は、熱可塑性樹脂マトリックス中にホトクロミック化合物である本発明のアゾベンゼン系化合物、もしくはその(共)重合体、またはスピロピラン化合物を低〜高濃度で含有させたものであって、高速で非線形光学的および機械的特性を光によって制御することが可能であるうえ、経時安定性に優れており、例えば光波長変換素子、光シャッター、高速光スイッチング素子、光理論ゲート素子、空間情報素子、光アクチュエータなどの素材として好適である。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物をキャスト法などによりフィルム化し、さらに、該熱可塑性樹脂組成物の融点以下の温度、好ましくは融点〜ガラス転移温度以下で、1.5〜20倍、好ましくは2〜10倍に延伸した延伸フィルムは、延伸方向に逆に収縮−回復挙動が生起する。この原因は、非晶相に濃縮されたアゾベンゼン基のトランス−シス相互変換サイクル運動が、非晶相の弾性率低下と擬似架橋ゴムに近いエントロピー弾性効果を発現し、延伸方向に対して収縮、そして垂直方向に膨張を発現するものと考えられる。
【実施例】
【0058】
以下、実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。
【0059】
合成例1
4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンの合成
【0060】
メタノール200mlにフェニルアゾフェノール25g(0.1261mol)を溶解させ、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を23.1g入れた。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、ナトリウムフェニルアゾフェノキシドの固体を得た。ナトリウムフェニルアゾフェノキシドをジメチルホルムアミド300mlに溶解させ、窒素雰囲気下、クロロメチルスチレンのジメチルホルムアミド溶液を滴下した。その後、20時間、室温で反応させた。得られた赤色固体を酢酸エチル:ヘキサン(容量比)=1:3で再結晶を行い精製した。結晶を吸引ろ過により濾液と分離し、真空下で一晩乾燥させた。単離収率60%。
【0061】
この生成物の確認は、示差走査熱量計(DSC)、1H NMR、UV−可視分光光度計を用いて行った。得られた化合物の構造式は下記のとおりで、分析結果は以下のとおりである。
融点: 136℃;1HNMR(CDCl3)δ(ppm) 5.16 (2H, s, -O-CH2), 5
.29 (1H, d, J =11Hz, vinyl CH), 5.79 (1H, d, J = 17 Hz vinyl CH), 6.75 (1H, dd, J = 11, 17 Hz, vinyl CH), 7.10 (2H, d, J = 9Hz, aromatic -O-C=CH ), 7.40 - 7.54 (7H, m, aromatic CH2=CH-C6H4, aromatic N=N-C=CH-CH = CH), 7.86 - 7.96 (4H, m, aromatic O-C=CH-CH, aromatic N=N-C=CH).
【0062】
本固体生成物をジクロロメタンに溶解させ、その溶液にUV光(365nm)を照射したときのUV−可視スペクトルを図1に示す。UV光の照射によって、トランス体アゾベンゼンの吸収ピーク(344nm)が減少し、シス体アゾベンゼンの吸収ピーク(438nm)が増大していることが確認された。すなわち、4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンは、ホトクロミック特性を有している。
【0063】
合成例2
ポリ4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレン(一般式(5)で表わされる化合物)の合成
【0064】
4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンモノマー10g(31.8mmol)とアゾビスイソブチロニトリル0.1056g(0.636mmol)とトルエン21.2mlを重合管に入れ、凍結脱気を三回行い、真空下で封管した。それを80℃で40時間ラジカル重合を行った。40時間後、反応系を液体窒素で冷却し、反応を停止させた。反応溶液を1000mlのメタノールに注ぎ、沈殿物を濾別した。クロロホルムとメタノールを用いて、再沈殿精製を三回おこない未反応の4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンを取り除いた。その後、真空下で一晩乾燥した。生成物はオレンジ色の固体粉末として、単離収率81%で得られた。この生成物の熱的性質は、セイコーインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC−6200を用いて、窒素ガス気流(20mL/分)下に昇温速度10℃/分で測定した。その結果、ガラス転移温度は、102℃であった。また、分子量は、東ソー株式会社製HLC−8220ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)システムを用いて測定した。カラムとしてTSKgel Super HM−H リニアータイプ(直線性範囲:103−105、排除限界分子量:4×105)、カラム温度は40℃、検知器として示差屈折系(RI)とUV検知器(波長、254nm)、溶離液としてクロロホルムを用いて0.6ml/分の流速で行った。分子量は、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を基にポリスチレン換算分子量として求めた。その結果、生成物の数平均分子量は14000、重量平均分子量は28000と見積った。結果を表1に示す。得られたポリマーの構造式は下記のとおりである。
【0065】
本固体生成物をジクロロメタンに溶解させ、その溶液にUV光(365nm)を照射したときのUV−可視スペクトルを図2に示す。4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンと同様にポリ4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンにおいてもUV光の照射によって、トランス体アゾベンゼンの吸収ピーク(343nm)が減少し、シス体アゾベンゼンの吸収ピーク(438nm)が増大していることが確認された。
【0066】
合成例3
ポリ4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレン(一般式(5)で表わされる化合物)の合成(2)
【0067】
4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンモノマー10g(31.8mmol)とアゾビスイソブチロニトリル0.1043g(0.636mmol)とトルエン19.6mlを重合管に入れ、さらに、連鎖移動剤として四塩化炭素12.2ml(127.2mmol)を入れ、凍結脱気を三回行い、真空下で封管した。それを90℃で40時間重合を行った。40時間後、反応系を液体窒素で冷却し、反応を停止させた。反応溶液を1000mlのメタノールに注ぎ、沈殿物を濾別した。クロロホルムとメタノールを用いて、再沈殿精製を3回行い、未反応の4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンを取り除いた。その後、真空下で一晩乾燥した。生成物はオレンジ色の固体粉末として、単離収率47%で得られた。得られた生成物のDSC測定とGPC測定からガラス転移温度は100℃であり、数平均分子量は3800、重量平均分子量は5800であった。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
合成例4
[4−[(4−メチルフェニル)メトキシ]フェニル]フェニル−ジアゼンの合成
【0070】
メタノール200mlにフェニルアゾフェノール25g(0.1261mol)を溶解させ、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を23.1g入れる。その後、エバポレーターでメタノールを除去し、ナトリウムフェニルアゾフェノキシドの固体を得た。ナトリウムフェニルアゾフェノキシドをジメチルホルムアミド300mlに溶解させ、窒素雰囲気下、α−クロロ−パラ−キシレンのジメチルホルムアミド溶液を滴下した。その後、20時間、室温で反応させた。得られたオレンジ色固体をヘキサンで再結晶を行い精製した。結晶を吸引ろ過により濾液と分離し、真空下で一晩乾燥させた。単離収率51%。この生成物の確認は、示差走査熱量計(DSC)、1H NMR、UV−可視分光光度計を用いて行った。得られた化合物の構造式は下記のとおりで、分析結果は以下のとおりである。
【0071】
融点:116℃、1HNMR(CDCl3)δ(ppm) 2.38 (s, 3H, -CH3), 5.12 (2H, s, -O-CH2-), 7.10 (2H, d, J = 8Hz, aromatic -O-C=CH-), 7.23 (2H, d, J = 8Hz, aromatic CH3-C=CH or -CH2-C=CH) , 7.36 (2H, d, J = 8Hz, aromatic CH3-C=CH-CH or -CH2-C=CH) 7.42-7.56 (3H, m, aromatic N=N-C=CH-CH=CH-CH), 7.86-7.97 (4H, m, aromatic N=N-C=CH).
【0072】
実施例1〜3
ポリマーとARTONとのブレンドフィルムの作製とブレンドフィルムのUV光照射による形態変化
【0073】
合成例2で合成したポリマーとARTON(JSR社製、G7810、Mw=170000;Tg174℃)とを表2に示した重量比で混合し、この混合物をジクロロメタンに溶解して1wt%溶液を調製した。この溶液をフラットシャーレに移し、室温常圧下で1日、さらに室温真空下で1日乾燥させてキャストフィルムを作成した。
得られたブレンドフィルムは、1.5cm×0.3cmの短冊状に切り出し、光変形試験用サンプルとした。光変形試験は、セイコーインスツルメント社製の熱機械分析装置TMA/SS6100を用いて、一定荷重(10mN)下26℃で行った。光照射は、MORITEX Corporation社製 MUV−202U 照射装置に、熱遮断フィルター(80%透過光領域300〜800nm)とUV光フィルター(シグマ光機製UTVAF−50S−33U、最高透過率波長330nm)を使用した。フィルム面での光照射強度は、インターナショナルライト(International light. Inc)社製 Model IL1400Aを用いて測定した。光変形度(ε(%))は、非照射時のサンプル長(チャック間長)L0に対する光照射時の変形量ΔLの百分率で表
したものである(図3)。得られた測定結果は、表2に併記した。
【0074】
【表2】

【0075】
一定UV強度下において、ポリマーの含有率が増加するとともに変形度が上昇した。
【0076】
実施例2の光変形試験は、UV照射と非照射を30秒ごとに5回繰り返した。その結果、UV照射時に1秒以内に伸張が起こり、UV照射を停止すると同様に、1秒以内に元の長さに収縮し、良好な光変形の可逆性が確認された(図4)。
【0077】
実施例4〜8
ポリマーとARTONとのブレンドフィルムの作製とブレンドフィルムのUV光照射による形態変化(2)
【0078】
合成例3で合成したポリマーとARTON(JSR社製、G7810、Mw=170000;Tg174℃)とを用いて、実施例1〜3と同様の方法でブレンドフィルムを作製した。また、光変形試験においても同様の方法で行った。得られた測定結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例4〜7から、ポリマーの含有率が増加するとともに光変形度が上昇した。また、実施例5と8の比較から、光変形度がUV照射強度によって変化する。
【0081】
実施例6の光変形試験は、UV照射と非照射を30秒ごとに3回繰り返した。その結果、UV照射時に1秒以内に伸張が起こり、UV照射を停止すると同様に、1秒以内に元の長さに収縮し、良好な光変形の可逆性が確認された。結果を図5に示す。
【0082】
実施例9、10
UV光照射下または非照射下での弾性率の変化
【0083】
実施例2で作成したブレンドフィルムは、1.5cm×0.3cmの短冊状に切り出し、光変形試験用サンプルとした。光変形試験は、実施例1〜8と同様の装置を用いて、26℃下、UV光の照射下または非照射下において、一定延伸速度(10μm/min)で延伸しながら試験を行った。得られた応力−ひずみ曲線を図6に示した。応力−ひずみ曲線の傾きから、それぞれの引張り弾性率を求め、表4に示した。
【0084】
【表4】

【0085】
本フィルムの引張り弾性率が、UV光の照射によって低下することがわかった。
【0086】
実施例11〜17
([4−[(4−メチルフェニル)メトキシ]フェニル]フェニル−ジアゼンとARTONとのブレンドフィルムの作製とブレンドフィルムのUV光照射による形態変化
【0087】
合成例4で合成した[4−[(4−メチルフェニル)メトキシ]フェニル]フェニル−ジアゼンとARTON(JSR社製、G7810、Mw=170000;Tg174℃)とを用いて、実施例1〜3と同様の方法でブレンドフィルムを作製した。また、光変形試験においても同様の方法で行った。得られた測定結果を表5に示す。
【0088】
【表5】

【0089】
実施例11〜16から、[4−[(4−メチルフェニル)メトキシ]フェニル]フェニル−ジアゼンの含有率が増加するとともに光変形度が上昇した。また、実施例12と17の比較から、光変形度がUV照射強度によって変化することが明らかである。
以上のことから、UV光のオン−オフによるフィルムの可逆的伸長−回復挙動がアゾベンゼン基を有するポリマーのみならず、低分子のアゾベンゼン含有化合物によっても生じることが確認された。この原因は、可逆的伸長−回復挙動が主に、UV照射中のアゾベンゼンのトランス−シス異性化サイクル運動にともなうフィルム全体の弾性率低下によるものであると考えられる。
【0090】
実施例12の光変形試験は、UV照射と非照射を30秒ごとに3回繰り返した。その結果、UV照射時に1秒以内に伸張が起こり、UV照射を停止すると同様に、1秒以内に元の長さに収縮し、良好な光変形の可逆性が確認された(図7)。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンのUV−可視スペクトル(UV光照射(10mW/cm2)によるトランス−シス異性化)を示す図である。
【図2】ポリ4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンのUV−可視スペクトル(UV光照射(10mW/cm2)によるトランス−シス異性化)を示す図である。
【図3】光変形度の測定方法を示す概念図である。
【図4】繰り返しUV照射による光変形の可逆性(実施例2)を示す図である。
【図5】繰り返しUV照射による光変形の可逆性(実施例6)を示す図である。
【図6】UV光照射下での応力−ひずみ曲線(実施例2)を示す図である。
【図7】繰り返しUV照射による光変形の可逆性(実施例12)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルキルフェニル基もしくはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物またはその(共)重合体0.1〜50重量%、および(b)熱可塑性樹脂50〜99.9重量%を含有する熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
アルキルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が次式(1)で表わされる化合物である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化1】

[式中、n1は1〜12の数を示し、Xは酸素原子または−O−CO−を示し、R1はアルキル基を示し、R2、R3およびR4は独立してそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シアノ基またはアルコキシカルボニル基を示す。]
【請求項3】
アルキルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が次式(2)で表わされる化合物である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化2】

[式中、n1は1〜12の数を示し、Xは酸素原子または−O−CO−を示し、R1、R2およびR3は独立してそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シアノ基またはアルコキシカルボニル基を示す。]
【請求項4】
アルキルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が[4−[(4−メチルフェニル)メトキシ]フェニル]フェニル−ジアゼンである請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
ビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が次式(3)で表わされる化合物である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化3】

[式中、n1は1〜12の数を示し、Xは酸素原子または−O−CO−を示し、R1、R2及びR3は独立してそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シアノ基またはアルコキシカルボニル基を示す。]
【請求項6】
ビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物が4−フェニルアゾフェノキシメチルスチレンである請求項1または5記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
(共)重合体が式(4)の繰り返し単位を有する重合体又は共重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化4】

[式中、n1は1〜12の数を示し、n2は1〜300の数を示し、Xは酸素原子または−O−CO−を示し、R1、R2及びR3は独立してそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、シアノ基またはアルコキシカルボニル基を示す。]
【請求項8】
(共)重合体が式(5)の繰り返し単位を有する重合体又は共重合体である請求項1または7記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化5】

[式中、n2は1〜300の数を示す。]
【請求項9】
熱可塑性樹脂が環状オレフィン系重合体である請求項1〜8のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
アルキルフェニル基またはビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物と、熱可塑性樹脂とを混合することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
ビニルフェニル基含有アゾベンゼン系化合物を溶媒中または無溶媒中で付加重合または他の共重合可能なモノマーと共重合することによって得られる重量平均分子量が1,000〜1,000,000である(共)重合体と、熱可塑性樹脂とを混合することを特徴とする請求項1、7または8記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物からなる光アクチュエータ材料。
【請求項13】
延伸されてなる請求項12記載の光アクチュエータ材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−57444(P2009−57444A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225236(P2007−225236)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】