説明

熱媒ボイラ多缶設置システム

【課題】熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、負荷変動時に熱供給が遅れることを防ぎ、さらにプレパージの工程を必要以上に行うことによる熱放出の増大を防ぐ。
【解決手段】複数台の熱媒ボイラ1と熱使用部2の間を熱媒送り配管3と熱媒戻り配管5で結び、熱媒ボイラ1と熱使用部2の間で熱媒油を循環させるようにしておき、熱媒ボイラ出口部での熱媒油温度であるTout値を検出するTo検出装置6を設けて、Tout値に基づいて燃焼する熱媒ボイラの台数を制御している熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱使用部出口部での熱媒油温度であるTu値を検出するTu検出装置9を設けておき、Tu値が低下した場合には、Tout値に基づく燃焼指令よりも先行してプレパージを開始する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を行うことで熱媒油を加熱し、加熱した熱媒油を熱使用部との間で循環させることで熱の供給を行う熱媒ボイラであって、熱媒ボイラを複数台並列に設置している熱媒ボイラ多缶設置システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第2998573号公報に記載があるように、複数台のボイラを設置しておき、負荷の状況に応じてボイラの燃焼台数を増減するようにしたボイラの多缶設置システムが普及している。ボイラが熱使用部との間で熱媒油を循環させる熱媒ボイラであった場合、ボイラから取り出された部分の熱媒油温度To(Tout値)に基づいてボイラの燃焼台数を制御するようにしている。ボイラ出口部分の温度を一定範囲に保つようにボイラの燃焼台数を制御することで、熱使用部へ送る熱媒油温度を一定にすることができる。しかし、ボイラが燃焼を開始する時には、燃焼前に燃焼室内を換気するプレパージの工程が必要であり、燃焼準備の工程を行っている間は燃焼を開始することができない。そのため、ボイラ出口部の熱媒油温度であるTout値の低下を検出してから燃焼指令の出力を行い、そこから燃焼準備を開始していたのでは、熱供給量の増加が遅れ、熱使用部で熱が足りなくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2998573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、負荷変動時に熱供給が遅れることを防ぎ、さらにプレパージの工程を必要以上に行うことによる熱放出の増大を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、複数台の熱媒ボイラと熱使用部の間を熱媒送り配管と熱媒戻り配管で結び、熱媒ボイラと熱使用部の間で熱媒油を循環させるようにしておき、熱媒ボイラ出口部での熱媒油温度であるTout値を検出するTo検出装置を設けて、Tout値に基づいて燃焼する熱媒ボイラの台数を制御している熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱使用部出口部での熱媒油温度であるTu値を検出するTu検出装置を設けておき、Tu値が低下した場合には、Tout値に基づく燃焼指令よりも先行してプレパージを開始する制御を行うものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱媒ボイラ入口部での熱媒油温度であるTin値を検出するTi検出装置を設けておき、Tout値−(Tin値−Tu値)で算出した値に基づき、近い未来に不足する燃焼台数を算出し、不足台数分の熱媒ボイラに対しては、Tout値に基づく燃焼指令よりも先行してプレパージを開始する制御を行うものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱使用部における負荷の変動状況に応じて先行プレパージ開始時間を異ならせる制御を行うものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、先行プレパージ制御での循環量と熱媒戻り配管の容量から先行プレパージの開始時間を決定し、先行プレパージ開始時間経過後に先行プレパージを開始する制御を行うものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、先行プレパージの開始から所定時間が経過しても燃焼を開始する指令の出力が行われなかった場合、先行プレパージを中止する制御を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明を実施することで、燃焼台数の増加が遅れることによって熱使用部へ供給する熱媒油温度が大幅に低下するということを防止することができる。またプレパージを必要以上に早く開始しないようにすることで、プレパージの実施時間が長くなって熱の放出量が増加し、ボイラの効率が低下するということも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施している熱媒ボイラと熱使用部のフロー図
【図2】本発明の一実施例での燃焼台数変更状況説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は4台の熱媒ボイラ1を並列設置したものであって、熱媒ボイラ1と熱使用部2の間で熱媒油を循環させるようにしている熱媒ボイラ多缶設置システムでのフロー図である。熱媒ボイラ1は、中央に空間を開けたコイル状の熱媒油加熱管によって側面を形成した円筒形の燃焼室を持ったものであり、中央上部に設けた燃焼装置によって燃焼室内で燃焼を行い、熱媒油加熱管内の熱媒油を加熱する。熱媒ボイラ1で発生させた熱は、熱媒油を通じて移送するようにしており、熱使用部2と熱媒ボイラ1の間を熱媒油が循環することができるようにしておく。各熱媒ボイラ1から取り出された熱媒油は、熱媒送り配管3を通して熱使用部2へ送る。熱使用部2は熱媒油と水との間で熱交換を行うことで温水を発生するなど熱媒油から熱を奪うものであり、温度の低下した熱媒油は熱媒戻り配管5を通して熱媒ボイラ1へ戻している。熱媒戻り配管5は熱媒ボイラ1の手前で分岐することで各熱媒ボイラ1に接続しており、各熱媒ボイラ1に分岐した以降の部分に循環ポンプ4を設けている。
【0013】
複数台設置している熱媒ボイラ1は、負荷の状況に基づいて燃焼台数を増減することで出力を調節する。熱媒送り配管3にはボイラ出口部での熱媒油温度であるTout値を検出するTo検出装置6、熱媒戻り配管5のボイラ入口部での熱媒油温度であるTin値を検出するTi検出装置7、熱媒戻り配管5の熱使用部出口部での熱媒油温度であるTu値を検出するTu検出装置9を設けておく。
【0014】
熱媒ボイラ1の運転台数は、運転制御装置8によって制御する。運転制御装置8は、To検出装置6、Ti検出装置7、Tu検出装置9とそれぞれ接続しておき、検出した温度に基づいて、各熱媒ボイラ1の燃焼状態を決定し、各熱媒ボイラへ燃焼指令の出力を行う。熱媒ボイラ1の燃焼台数の決定は、To検出装置6で検出するTout値に基づき行う。運転制御装置8では、図2に記載しているように、Tout値と燃焼台数の関係を設定しておき、To検出装置6で検出したTout値によって熱媒ボイラ1の燃焼台数を決定する。図2では、燃焼するボイラの台数をHの数で表し、燃焼停止とするボイラの台数を−の数で表している。
【0015】
運転制御装置8は、Tout値が高くなった場合には熱媒ボイラ1の燃焼台数を減少して供給熱量を少なくし、Tout値が低くなった場合には燃焼台数を増加して供給熱量を多くする。ボイラ出口における熱媒油温度に基づいて燃焼台数を増減し、熱媒ボイラ1から熱使用部2へ供給する熱媒油温度を一定の範囲に保つようにしておく。
【0016】
なお図2では、わずかな温度変動で燃焼台数の増減が頻発することがないように、燃焼台数を増加する値と燃焼台数を減少する値には差を付けている。燃焼台数を増加する側では温度区分の境界値を高くし、燃焼台数を減少する側では温度区分の境界値を低くすると、Tout値の低下によって燃焼台数を増加した後にTout値が上昇したという場合、燃焼台数を増加した値よりも所定幅分高い値にならなければ燃焼台数の減少は行わない。逆にTout値の上昇によって燃焼台数を減少した後にTout値が低下したという場合も、燃焼台数を減少した値よりも所定幅分低い値にならなければ燃焼台数の増加は行わない。燃焼台数の増加時と減少時で温度区分をずらして設定しているため、燃焼台数の増減が少なくなる。
【0017】
図2は、温度調節範囲が220℃から240℃であって、熱媒ボイラ1の設置台数が4台の場合であり、220℃から240℃の間に6つの境界値を設定することになる。運転制御装置8は、Tout値が上昇してる場合には左側の温度区分に基づいて燃焼台数を決定、Tout値が下降してる場合には右側の温度区分に基づいて燃焼台数を決定する。燃焼台数を決定すると、運転制御装置8は決定した台数分の熱媒ボイラ1に対しては燃焼の指令を出力し、その他のボイラには燃焼停止の指令を出力する。各熱媒ボイラ1は、運転制御装置8からの燃焼指令を受けている時には燃焼を行い、燃焼停止指令を受けている時には燃焼停止とする。燃焼指令を受けているボイラは、循環ポンプ4を作動し、燃焼装置による燃焼を行うことで熱の供給を行い、燃焼停止指令を受けているボイラでは、循環ポンプ4と燃焼装置は停止しておいて熱の供給は行わない。
【0018】
熱媒ボイラ1が燃焼を行っている場合、熱媒ボイラは燃焼室内にある熱媒油加熱管を加熱し、熱媒油加熱管内の熱媒油を加熱する。燃焼を行っている熱媒ボイラ1では、循環ポンプ4を作動しているため、加熱した高温の熱媒油は熱媒ボイラ1から出て、熱媒送り配管3を通して熱使用部2へ送られる。熱使用部2に達した熱媒油は、熱使用部2で熱の使用が行われることで温度が低下し、温度の低下した熱媒油は熱媒戻り配管5を通して燃焼を行っている熱媒ボイラ1に戻る。
【0019】
熱使用部2での熱使用量が増加すると、熱使用部2での熱媒油温度低下量が大きくなるため、熱使用部2出口部での熱媒油の温度が低下する。熱媒ボイラ1台を燃焼することによる熱媒油温度上昇幅はほぼ一定であるため、熱使用部2から戻ってくる熱媒油温度が低下すると、To検出装置6で検出しているTout値も低下する。運転制御装置8では、Tout値が低温側の領域に移行すると、熱媒ボイラ1の燃焼台数を増加して加熱量を増やすことで熱媒油温度を一定範囲に保つようにする。
【0020】
ただし、To検出装置6で検出しているTout値が低下したことを検出し、新しく燃焼を開始する熱媒ボイラに対して燃焼開始の燃焼指令を出力しても、燃焼指令を受けた熱媒ボイラは燃焼開始前に燃焼室内を換気するプレパージが必要であり、実際に燃焼を開始するのはプレパージの後になる。そのため、燃焼準備の工程を行っている間は熱量が足りない状態が継続することになる。熱使用部2での負荷変動が緩やかな場合には、To検出装置6でTout値低下を検出した以降にプレパージを開始するようにしても問題はない。しかし、熱使用部2での負荷変動が急な場合には、Tout値の低下を検出してからプレパージを開始したのでは、熱の供給が足りなくなり、熱使用部2での運転に支障を来す場合がある。
【0021】
そのため、運転制御装置8では、Tout値が低下するよりも前の段階で熱媒ボイラの燃焼準備を開始する先行プレパージ制御を行うことができるようにしておく。運転制御装置8は、Tu検出装置9で検出しているTu値が、通常の値に比べて大きく低下した場合には、Tout値が実際に低下して燃焼台数の増加を出力するよりも前の段階で先行プレパージの指令を出力し、熱媒ボイラ1でのプレパージを開始させる。温度の低下した熱媒油は、熱使用部2から熱媒戻り配管5を通って熱媒ボイラ1へ流れていくため、Tu検出装置9で検出しているTu値が低下すれば、近い未来にTout値も低下することになる。そのため、Tu値の低下を検出して熱媒ボイラ1のプレパージを開始しておけば、To検出装置6で温度低下を検出した場合に、遅れが発生することなく燃焼台数を増加することができる。Tu値が低下したことの検出は、あらかじめ設定しておいた基準値と検出したTu値との差から求めたり、所定時間前におけるTu値と現在のTu値の差から求めることも可能である。しかし、Ti検出装置7で検出しているTin値とTu値を比較することでTu値の上昇を検出した方が、先行プレパージの開始時期を正確に決定することができるために好ましい。
【0022】
具体的には、Tout値−(Tin値−Tu値)=Tout’とし、Tout'の値が図2のどの領域に当たるかを算出する。例えば、Tout=235℃、Tin=200℃、Tu=195℃であったとすると、Tout'=235℃−(200℃−195℃)=230℃となる。Tout値が235℃の現時点での燃焼台数は1台であるが、Tout'値の230℃では燃焼台数は2台であるため、遠くない未来のある時点で燃焼台数を1台増加すること必要となる。そしてその新しく燃焼を開始するボイラ1台が先行プレパージの対象となる。
【0023】
しかし、燃焼台数を実際に増加するのはTo検出装置6でのTout値が燃焼台数を増加する領域まで低下した以降、ここでは231.4℃未満になった以降となる。そのため、熱媒戻り配管5の容量が大きい場合には、Tu検出装置9での温度低下を検出した時から先行プレパージを開始したのではプレパージ時間が長くなりすぎることになる。プレパージ中は燃焼室内へ空気を送り続けることになるため、プレパージ時間が長くなると燃焼室内から放出される熱量が多くなり、ボイラの効率は低下することになる。
【0024】
そこで、負荷の変動状況を緩負荷・中間負荷・急負荷の3パターンに分けておき、負荷変動パターンごとに先行プレパージの開始時間を異ならせる。先行プレパージは最も負荷変動が急激な急負荷制御と、中間の負荷変動である中間負荷制御で行い、負荷変動が緩やかであって、Tout値の低下を検出してからプレパージを開始しても熱の供給が不足することにはならない緩負荷制御では、先行プレパージを行わない設定とする。そして、急負荷制御時には燃焼から燃焼停止となった時点で設定時間分の先行プレパージを行う設定とし、中間負荷制御では負荷の状況に応じて先行プレパージの開始時期を定める設定とする。中負荷制御での先行プレパージ時間は、プレパージ時間中に行われるボイラ全体での熱媒油の循環量と、熱媒戻り配管内にある熱媒油量によって算出する。熱媒油の循環速度は、循環ポンプ4の作動台数によって異なり、循環ポンプ4が作動するのは、燃焼を行っているボイラとプレパージを行っているボイラの台数分となる。また熱媒戻り配管5の熱媒油量は設置環境に応じて異なるが、各装置では固有の値となって運転状況によって変化することはない。
【0025】
熱媒油の循環速度が速い場合には、熱使用部2で温度の低下した熱媒油は比較的短い時間で熱媒ボイラ内へ入り、熱媒油の循環速度が遅い場合には熱媒油が熱媒ボイラ内へ入るまでには比較的長い時間がかかることになる。また、熱媒油の循環量が同じであっても、熱媒戻り配管5の容量が小さい場合には、熱使用部2で温度の低下した熱媒油は比較的短い時間で熱媒ボイラ内へ入り、熱媒戻り配管5の容量が大きい場合には熱媒油が熱媒ボイラ内へ入るまでには比較的長い時間がかかることになる。低温の熱媒油が熱媒ボイラ1に戻る時間が短い場合には先行プレパージの開始を早くすることにし、戻る時間が長い場合には先行プレパージの開始を遅くするように調節する。
【0026】
先行プレパージの開始時期を定める算出式は、保存している先行プレパージ燃焼台数・開始時間がない場合と、保存している先行プレパージ燃焼台数・開始時間がある場合でそれぞれ設定しておく。具体的には、保存している先行プレパージ燃焼台数・開始時間がない場合は、(「熱媒戻り配管容量(リットル)」−「Tout’から算出した燃焼台数(台)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」×プレパージ時間)÷(「現在の燃焼台数(先行プレパージ中含む)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」)にて先行プレパージ開始時間を算出する。そして、保存している先行プレパージ燃焼台数・開始時間がある場合には、(「熱媒戻り配管容量(リットル)」−「保存分の循環量(リットル)」−「Tout’から算出した燃焼台数(台)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」×プレパージ時間)÷(「保存している最新の燃焼台数(台)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」)にて先行プレパージ開始時間を算出する。
【0027】
例えば、熱媒戻り配管5の容量が1000リットル、循環ポンプ能力が10リットル/秒、プレパージ時間が15秒、現在の燃焼台数は1台だがTout'値から定まる燃焼台数が2台になったという場合について数字を当てはめると以下のようになる。ここでは保存している先行プレパージ燃焼台数・開始時間がないとしておく。(「熱媒戻り配管容量(リットル)」−「Tout’から算出した燃焼台数(台)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)×プレパージ時間」)÷(「現在の燃焼台数(先行プレパージ中含む)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」)=(1000−2×10×15)÷(1×10)=70となる。この場合には、熱媒油温度に基づいて先行プレパージが必要ということが算出された時より70秒経過後に先行プレパージを開始すると、プレパージを終了するころに燃焼台数を増加する燃焼指令が出力されることになる。
【0028】
また、先の先行プレパージ開始時間の算出から30秒が経過した時、Tout’値から定まる燃焼台数が3台になったとする。この場合は、先に算出した先行プレパージ開始時間があり、70秒から30秒が経過しているため、残りの40秒経過後に先行プレパージを開始するという設定が保存されている。保存している先行プレパージ燃焼台数・開始時間がある場合には、以下の式を使用する。(「熱媒戻り配管容量(リットル)」−「保存分の循環量(リットル)」−「Tout’から算出した燃焼台数(台)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」×プレパージ時間)÷(「保存している最新の燃焼台数(台)」×「循環ポンプ能力(リットル/秒)」)=先行プレパージ開始時間(秒)。ここで「保存分の循環量」とは、先行プレパージ中を含めた現在の燃焼台数は1台であって、40秒後に燃焼台数(先行プレパージを含む)は2台になるというものであるため、40秒×1台×循環ポンプ能力(10リットル)=400リットルとなる。式にこの数値を当てはめると、(1000−400−3×10×15)÷(2×10)=7.5となり、40秒後に1台目の先行プレパージを開始してから7.5秒後、現時点からは47.5秒後に先行プレパージを開始することになる。
【0029】
なお、先行プレパージを開始したものの、To検出装置6でのTout値が当初予想の時期になっても燃焼台数を増加する温度区分までは低下せず、先行プレパージのみを長時間継続することになった場合には、熱放出量が大きくなる。そのためこの場合には、プレパージ時間が所定時間に達した時点で先行プレパージを停止し、その後の所定時間(例えば1分間)はそのボイラへの先行プレパージ指令を行わないようにしておく。
【符号の説明】
【0030】
1 熱媒ボイラ
2 熱使用部
3 熱媒送り配管
4 循環ポンプ
5 熱媒戻り配管
6 To検出装置
7 Ti検出装置
8 運転制御装置
9 Tu検出装置





【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の熱媒ボイラと熱使用部の間を熱媒送り配管と熱媒戻り配管で結び、熱媒ボイラと熱使用部の間で熱媒油を循環させるようにしておき、熱媒ボイラ出口部での熱媒油温度であるTout値を検出するTo検出装置を設けて、Tout値に基づいて燃焼する熱媒ボイラの台数を制御している熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱使用部出口部での熱媒油温度であるTu値を検出するTu検出装置を設けておき、Tu値が低下した場合には、Tout値に基づく燃焼指令よりも先行してプレパージを開始する制御を行うものであることを特徴とする熱媒ボイラ多缶設置システム。
【請求項2】
請求項1に記載の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱媒ボイラ入口部での熱媒油温度であるTin値を検出するTi検出装置を設けておき、Tout値−(Tin値−Tu値)で算出した値に基づき、近い未来に不足する燃焼台数を算出し、不足台数分の熱媒ボイラに対しては、Tout値に基づく燃焼指令よりも先行してプレパージを開始する制御を行うものであることを特徴とする熱媒ボイラ多缶設置システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、熱使用部における負荷の変動状況に応じて先行プレパージ開始時間を異ならせる制御を行うことを特徴とする熱媒ボイラ多缶設置システム。
【請求項4】
請求項1から3に記載の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、先行プレパージ制御での循環量と熱媒戻り配管の容量から先行プレパージの開始時間を決定し、先行プレパージ開始時間経過後に先行プレパージを開始する制御を行うものであることを特徴とする熱媒ボイラ多缶設置システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の熱媒ボイラ多缶設置システムにおいて、先行プレパージの開始から所定時間が経過しても燃焼を開始する指令の出力が行われなかった場合、先行プレパージを中止する制御を行うものであることを特徴とする熱媒ボイラ多缶設置システム。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−97947(P2012−97947A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245171(P2010−245171)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000130651)株式会社サムソン (164)
【出願人】(599160066)綜研テクニックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】