説明

熱媒体加熱装置およびそれを用いた車両用空調装置

【課題】PTCヒータを収容するとともに熱媒体を流通させる熱媒体流通ボックスの製造コストを低減しつつ、該熱媒体流通ボックスからの熱媒体の漏洩を防止して信頼性を高める。
【解決手段】PTCヒータ40の両面に密着して内部に熱媒体流通経路33,54が形成され、且つ互いに液密的に接合される第1の熱媒体流通ボックスAおよび第2の熱媒体流通ボックスBを備えた熱媒体加熱装置10であって、その各接合面M1〜M4を液状ガスケットでシールするように構成するとともに、熱媒体流通経路33,54に、液状ガスケットでシールされてPTCヒータ40の熱が及ぶ接合面M1を冷却する接合面冷却流路C1,C2を設けた。接合面冷却流路C1,C2は、PTCヒータ40よりも接合面M1に近い位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC(Positive Temperature Coefficient:正温度特性)ヒータを用いて熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置およびそれを用いた車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加熱媒体を加熱する熱媒体加熱装置の1つとして、正特性サーミスタ素子(PTC素子)を発熱要素とするPTCヒータを用いたものが知られている。PTCヒータは、正特性のサーミスタ特性を有しており、温度の上昇と共に抵抗値が上昇し、これによって消費電流が制御されるとともに温度上昇が緩やかになり、その後、消費電流および発熱部の温度が飽和領域に達して安定するものであり、自己温度制御特性を備えている。
【0003】
上記のように、PTCヒータは、ヒータの温度が上昇すると消費電流が低くなり、その後一定温度の飽和領域に達すると、消費電流が低い値で安定するという特性を有する。この特性を利用することにより、消費電力を節減することができるとともに、発熱部温度の異常上昇を防止することができるという利点が得られる。
【0004】
このため、PTCヒータは、多くの技術分野において用いられており、空調の分野においても、例えば特許文献1に開示されているように、ハイブリッド車両用の空調装置において、エンジン停止時における空気加温用の放熱器に供給する熱媒体(ここでは、エンジンの冷却水)を加熱するための加熱装置にPTCヒータを適用した熱媒体加熱装置が提案されている。
【0005】
この熱媒体加熱装置は、2つの熱媒体流通ボックスがO−リングを介して互いに液密的に接合され、これら2つの熱媒体流通ボックスの間に平板状のPTCヒータが密着介装されている。また、各熱媒体流通ボックスは、それぞれ複数のボックス構成部材がO−リングを介して液密的に接合された構成であり、各熱媒体流通ボックスの内部には熱媒体であるエンジン冷却水が流通する流通路が形成されている。
【0006】
また、各熱媒体流通ボックスには、PTCヒータに密着する平坦な放熱面が形成され、この平坦面と、熱媒体流通ボックス(ボックス構成部材)の外周部に形成された接合面との間に溝状の段差部が形成されていた(特許文献1の図5参照)。
【0007】
これは、PTCヒータが発する高熱によって、接合面に介装される上述のO−リングが材質劣化を起こして液漏れが誘発されること防止するにあたり、PTCヒータからO−リングまでの熱伝達経路を長くしてO−リングの過熱を防止するためである。そして、この段差部に、PTCヒータから延出する配線部材が配設されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−56044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された熱媒体加熱装置は、上述のように、複数のボックス構成部材がO−リングを介して液密的に接合されて構成された一対の熱媒体流通ボックスの間に、平板状のPTCヒータが密着介装されてなる構成であったため、多数のO−リングが必要となって部品点数が多くなり、しかも組立作業が煩雑であり、さらに各ボックス構成部材の接合面にO−リングを嵌め込むための嵌合溝を刻設する必要もあって、これらの事項が熱媒体加熱装置の製造コストを高める原因となっていた。
【0010】
また、PTCヒータに密着する放熱面と、熱媒体流通ボックス(ボックス構成部材)の外周部に形成された接合面との間に溝等の段差部が形成されていたため、ボックス構成部材の加工工数が多く、熱媒体流通ボックス、ひいては熱媒体加熱装置全体の製造コストを上昇させる原因となっていた。
【0011】
さらに、PTCヒータから延出する配線部材が、PTCヒータと熱媒体流通ボックスの外周部(接合面)との間に配設されていたため、熱媒体流通ボックスの外周寸法がPTCヒータの平面面積よりも大幅に大きくなってしまい、この点も熱媒体加熱装置の製造コストを高める原因となっていた。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、PTCヒータを収容するとともに熱媒体を流通させる熱媒体流通ボックスの製造コストを低減しつつ、該熱媒体流通ボックスからの熱媒体の漏洩を防止して信頼性を高めることのできる、熱媒体加熱装置およびそれを用いた車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
即ち、本発明の第1の態様に係る熱媒体加熱装置は、平板状のPTCヒータと、複数のボックス構成部材が重ね合わせられて構成され、前記PTCヒータの一面側に密着して内部に熱媒体流通経路が形成された第1の熱媒体流通ボックスと、同じく複数のボックス構成部材が重ね合わせられて構成され、前記PTCヒータの他面側に密着して内部に熱媒体流通経路が形成され、かつ前記第1の熱媒体流通ボックスに液密的に接合される第2の熱媒体流通ボックスと、を備え、前記PTCヒータの両面からの放熱により、前記第1および第2の熱媒体流通ボックス内の前記熱媒体流通経路を流通する熱媒体が加熱されるように構成された熱媒体加熱装置において、前記第1の熱媒体流通ボックスおよび前記第2の熱媒体流通ボックスを構成する前記各ボックス構成部材間の接合面と、前記第1の熱媒体流通ボックスおよび前記第2の熱媒体流通ボックスの間の接合面とのうちの少なくとも何れかを液状ガスケットでシールするように構成し、前記第1の熱媒体流通ボックスまたは前記第2の熱媒体流通ボックスの少なくとも一方の前記熱媒体流通経路に、前記液状ガスケットでシールされていて、しかも前記PTCヒータの熱が及ぶ接合面を冷却する接合面冷却流路を設けたことを特徴とする。
【0014】
この熱媒体加熱装置によれば、熱媒体加熱装置を構成する複数のボックス構成部材の間を液状ガスケットのみでシーリングして組み立てることができる。また、2つの熱媒体流通ボックスの間も液状ガスケットのみでシーリングして組み立てることができる。このため、従来では多数用いていたO−リングを廃止して部品点数と組立工数を削減でき、さらにO−リングを嵌め込むために各ボックス構成部材の接合面に刻設していた嵌合溝も廃止してボックス構成部材の加工工数を低減させ、これらによって熱媒体流通ボックスの製造コストを低減することができる。
【0015】
しかも、第1の熱媒体流通ボックスまたは第2の熱媒体流通ボックスの少なくとも一方の熱媒体流通経路に設けられた冷却流路により、接合面に塗布された液状ガスケットがPTCヒータの熱から保護されるため、液状ガスケットの耐久性が向上し、接合面からの熱媒体の漏洩が防止される。
【0016】
また、本発明の第2の態様に係る熱媒体加熱装置は、前記第1の態様において、前記接合面冷却流路が、前記PTCヒータよりも、前記液状ガスケットでシールされる接合面に近い位置に設けられていることを特徴とする。こうすれば、接合面に塗布された液状ガスケットが、より確実にPTCヒータの熱から保護される。
【0017】
さらに、本発明の第3の態様に係る熱媒体加熱装置は、前記第1または第2の態様において、前記接合面は、前記熱媒体流通経路と外部との間をシールする外部シール区間と、前記熱媒体流通経路と前記PTCヒータ制御用の基板収容部に連通する部分との間をシールする基板シール区間とを備え、前記外部シール区間の幅よりも、前記基板シール区間の幅を大きくしたことを特徴とする。これにより、O-リングを廃止して製造コストダウンを図りつつ、制御基板側への水漏れを確実に防止して熱媒体加熱装置の信頼性を高めることができる。
【0018】
また、本発明の第4の態様に係る熱媒体加熱装置は、前記第1〜第3の何れかの態様において、前記第1の熱媒体流通ボックスと前記第2の熱媒体流通ボックスの少なくとも一方の、前記PTCヒータに密着する放熱面と、前記第1の熱媒体流通ボックスと前記第2の熱媒体流通ボックスとの間の前記接合面とを、段差の無い連続平面として形成したことを特徴とする。こうすれば、第1または第2の熱媒体流通ボックスの少なくとも一方の加工が非常に容易になり、熱媒体流通ボックスの製造コストを低減することができる。
【0019】
そして、本発明の第5の態様に係る熱媒体加熱装置は、前記第1〜第4の何れかの態様において、前記PTCヒータと、前記第1および第2の熱媒体流通ボックスとを長方形状に形成し、前記PTCヒータの配線部材を、前記PTCヒータの長手方向端部側から延出させたことを特徴とする。こうすれば、PTCヒータの長辺と熱媒体流通ボックスの長辺との間にPTCヒータの配線部材が介在しなくなるため、熱媒体流通ボックスの外周寸法をPTCヒータの平面外形寸法に近づけることができ、熱媒体流通ボックスを小型化して製造コストダウンを図ることができる。
【0020】
また、本発明の第6の態様に係る熱媒体加熱装置は、前記第5の態様において、前記PTCヒータを構成するPTC素子を、前記熱媒体流通経路の流路方向に沿うように複数列配設し、これら複数のPTCヒータの幅を異ならせるとともに、これら各PTC素子を単体でオンオフ制御可能にしたことを特徴とする。本構成によれば、PTCヒータの配線部材をPTCヒータの長手方向一端部側にまとめて設けやすくなると同時に、簡素な構成によってPTCヒータの熱量制御を可能にし、熱媒体加熱装置のコンパクト化に伴う製造コストダウンと、信頼性の向上を図ることができる。
【0021】
さらに、本発明に係る車両用空調装置は、外気または車室内空気循環させるブロアと、該ブロアの下流側に設けられる冷却器と、該冷却器の下流側に設けられる放熱器と、を備えた車両用空調装置において、前記放熱器に、前記第1〜6の何れかの態様の熱媒体加熱装置により加熱された熱媒体が循環可能に構成されることを特徴とする。これにより、熱媒体加熱装置の製造コストを低減しつつ、その信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明に係る熱媒体加熱装置およびそれを用いた車両用空調装置によれば、PTCヒータを収容するとともに熱媒体を流通させる熱媒体流通ボックスの製造コストを低減しつつ、該熱媒体流通ボックスからの熱媒体の漏洩を防止して信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る熱媒体加熱装置の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱媒体加熱装置の分解斜視図である。
【図4】図2のIV-IV線に沿う縦断面図である。
【図5】図2のV-V線に沿う縦断面図である。
【図6】図3に示す基板収容ボックスを裏返しにした斜視図である。
【図7】図4のVII-VII矢視による上部熱媒体流通ボックスの下面図である。
【図8】図4のVIII-VIII矢視による下部熱媒体流通ボックスの上面図である。
【図9】図4のIX部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の一実施形態について、図1〜図9を用いて説明する。
図1には、本実施形態にかかる車両用空調装置1の概略構成図が示されている。この車両用空調装置1は、例えばハイブリッド車両用の空調装置であり、外気または車室内空気を取り込んで温調し、それを車室内へと導く空気流路2を形成するためのケーシング3を備えている。
【0025】
ケーシング3の内部には、空気流路2の上流側から下流側にかけて順次、外気または車室内空気を吸い込んで昇圧し、それを下流側へと圧送するブロア4と、ブロア4により圧送される空気を冷却する冷却器5と、冷却器5を通過して冷却された空気を加熱する放熱器6と、放熱器6を通過する空気量と放熱器6をバイパスして流れる空気量との割合を調整し、その下流側でミックスされる空気の温度を調節するエアミックスダンパ7と、が設置される。
【0026】
ケーシング3の下流側は、図示省略の吹き出しモード切替ダンパおよびダクトを介して温調された空気を車室内に吹き出す、図示省略の複数の吹き出し口へと接続される。冷却器5は、図示省略の圧縮機、凝縮器、膨張弁と共に冷媒回路を構成し、膨張弁で断熱膨張された冷媒を蒸発させることにより、そこを通過する空気を冷却するものである。
【0027】
放熱器6は、タンク8、ポンプ9、図示省略のエンジンおよび本発明に係る熱媒体加熱装置10と共に熱媒体循環回路11を構成している。この熱媒体循環回路11を流れる熱媒体としては、ハイブリッド車両のエンジン冷却水が利用されている。熱媒体循環回路11は、ハイブリッド運転時等、熱媒体であるエンジン冷却水の温度がさほど上昇しない時に、熱媒体加熱装置10によってエンジン冷却水を加熱し、この加熱したエンジン冷却水をポンプ9により熱媒体循環回路11に循環させることによって、ケーシング3内にて放熱器6を通過する空気を加温するものである。
【0028】
図2には、熱媒体加熱装置10の斜視図が示され、図3には熱媒体加熱装置10の分解解斜視図が示され、図4および図5には熱媒体加熱装置10の縦断面図が示されている。
【0029】
この熱媒体加熱装置10は、複数のボックス構成部材20,21,30が重ね合わせられて匡体状に構成される第1の熱媒体流通ボックスAと、同じく複数のボックス構成部材50,51が重ね合わせられて匡体状に構成され、かつ第1の熱媒体流通ボックスAの下面に液密的に接合される第2の熱媒体流通ボックスBと、これら第1および第2の熱媒体流通ボックスA,Bの間に挟装されるPTCヒータ40とを備えて構成されている。
【0030】
第1の熱媒体流通ボックスAは、蓋21が上面に接合される長方形状の基板収容ボックス20と、基板収容ボックス20と同じ長方形状を有する上部熱媒体流通ボックス30とが液密に接合されて形成されている。また、第2の熱媒体流通ボックスBは、上部熱媒体流通ボックス30と同じ長方形状を有する下部熱媒体流通ボックス50と、この下部熱媒体流通ボックス50の下面に液密に接合される蓋51とを備えて形成されている。第1の熱媒体流通ボックスAと第2の熱媒体流通ボックスBとの間、および他のボックス構成部材20,21,30,50,51の間は、図2及び図4に示すように、複数のボルト58によって締め付けられ、一体化される。
【0031】
PTCヒータ40は、上部熱媒体流通ボックス30および下部熱媒体流通ボックス50よりも小さい長方形状かつ平板形状を有しており、後に詳述するように、PTCヒータ40の上面が上部熱媒体流通ボックス30の下面に形成された平坦な放熱面38に密着し、PTCヒータ40の下面が下部熱媒体流通ボックス50の上面に形成された平坦な放熱面56に密着するようになっている。
【0032】
基板収容ボックス20は、アルミニウム合金等の熱伝導性材料により構成された、上面が蓋21により密閉される長方形状の半匡体であり、その内部が基板収容部Sとされ、ここにPTCヒータ40を制御する制御基板22(図3、図4参照)が格納設置される。制御基板22は、FET(Field effect transistor:電界効果トランジスター)23等の発熱部品や制御回路が組み込まれるものであり、PTCヒータ40を駆動するための300Vの高電圧と、制御用の12Vの低電圧とが供給される。
【0033】
この制御基板22は、基板収容ボックス20の底面から突出している支持部24に、四隅をビス25aで締結されて固定設置される。また、FET23等の発熱部品は、制御基板22の下面側に配設され、基板収容ボックス20の底面に設けられている冷却部26の上面に、図示省略の絶縁層を介して接触した状態でビス25bにより締結固定される。このFET23等の発熱部品および冷却部26は、発熱部品に対する冷却効果を高めるために、上部熱媒体流通ボックス30に設けられる後述の熱媒体流通経路(流通路33)の入口側近傍に配設される。
【0034】
基板収容ボックス20の一端面には配線挿通孔27が形成され(図3、図6参照)、ここに制御基板22に繋がる配線部材40a(図2参照)が挿通される。また、制御基板22とPTCヒータ40を繋ぐハーネスが貫通する配線連通孔28(図6参照)が、基板収容ボックス20の一端側の下面に形成されている。さらに、基板収容ボックス20の他端面にはハーネス挿通孔29(図3参照)が形成されており、ここに制御基板22に繋がる電気ハーネス22a(図2参照)が挿通される。
【0035】
図3〜図5および図7に、上部熱媒体流通ボックス30の熱媒体流通経路が示されている。上部熱媒体流通ボックス30は、アルミニウム合金等の熱伝導性材料により構成される長方形状の半匡体であり、その上面側には、両端部に形成される一対の入口ヘッダ31および出口ヘッダ32と、この入口ヘッダ31および出口ヘッダ32間に形成されて、多数のフィン33aによりセパレートされた平行な溝状の流通路33とが設けられる。この入口ヘッダ31および出口ヘッダ32ならびに流通路33の上面は、基板収容ボックス20の底面により液密に閉塞される(図4、図5参照)。
【0036】
これにより、基板収容ボックス20と上部熱媒体流通ボックス30との間には、入口ヘッダ31内に流入されたエンジン冷却水が多数の流通路33に分配され、流通路33内を同時平行的に流れて出口ヘッダ32側に流れるエンジン冷却水の流通経路が形成される。流通路33内を流れるエンジン冷却水は、そのまま出口ヘッダ32に流れ込むことはなく、上部熱媒体流通ボックス30の下面に形成された後述の流通口35(図7参照)に流れ込む。なお、基板収容ボックス20の底面に設けられた先述の冷却部26が、上記の流通路33内を流通するエンジン冷却水によって冷却され、これにより制御基板22の冷却構造が構築されている。
【0037】
また、入口ヘッダ31にはエンジン冷却水の流入部34が設けられ、出口ヘッダ32には下部熱媒体流通ボックス50への流通口35と、後述するように下部熱媒体流通ボックス50から流入するエンジン冷却水を外部に流出させる流通口36と、この流通口36に連通して外部に通じるエンジン冷却水の流出部37とが設けられている。流入部34と流出部37には、それぞれ熱媒体循環回路11を構成するホース部材を接続可能にするユニオン部材34a,37a(図2、図5参照)が取り付けられる。
【0038】
さらに、上部熱媒体流通ボックス30の下面側には、PTCヒータ40の上面に密着する平坦な放熱面38を天井面とする広い凹部が設けられる(図4、図5、図7参照)。この凹部は、エンジン冷却水が流通する流通路33の裏面に対向しており、この中にPTCヒータ40が嵌り込むように形成されている。なお、上部熱媒体流通ボックス30の上面の、流通口35,36とは反対側の端部に配線挿通孔39(図3参照)が貫通形成されており、この配線挿通孔39が基板収容ボックス20の配線連通孔28に整合する。
【0039】
図3〜図5および図8に、下部熱媒体流通ボックス50の熱媒体流通経路が示されている。下部熱媒体流通ボックス50は、アルミニウム合金等の熱伝導性材料により構成される長方形状の半匡体であり、その一端部には連通口52,53が設けられ(図8参照)、これらの連通口52,53は上部熱媒体流通ボックス30の流通口35,36にそれぞれ整合する。
【0040】
また、下部熱媒体流通ボックス50の下面には、連通口52を起点として他端側に延び、他端部でUターンして連通口53に還り着く、多数のフィン54a(図4参照)によってセパレートされた平行な溝状の流通路54が形成されている。このU字形状の流通路54は、その往流路と復流路との間が、フィン54aよりも背の高い隔壁54b(図4参照)により隔絶されている。流通路54の下面は先述の通り蓋51によって密閉され、蓋51には、流通路54と隔壁54bの形状に整合するU字形状の浅い凹部55(図3参照)が刻設されている。
【0041】
これにより、下部熱媒体流通ボックス50と蓋51との間には、連通口52に流入したエンジン冷却水が、連通口52から多数の流通路54に分配され、各流通路54内を同時平行的に流通して他端部でUターンし、連通口53に至る熱媒体の流通経路が形成される。
【0042】
下部熱媒体流通ボックス50の連通口52は、上部熱媒体流通ボックス30の出口ヘッダ32に設けられている流通口35に連通し、上部熱媒体流通ボックス30の流通路33を流れたエンジン冷却水が流入するようになっている。また、下部熱媒体流通ボックス50の連通口53は、上部熱媒体流通ボックス30の出口ヘッダ32に設けられている流通口36に連通し、下部熱媒体流通ボックス50を流れたエンジン冷却水を、流通口36から流出部37を経て外部に流出させる経路を構成している。
【0043】
下部熱媒体流通ボックス50の上面は、放熱面56(図3〜5、図8参照)とされ、上部熱媒体流通ボックス30下面の平坦な放熱面38との間で、PTCヒータ40をサンドイッチ状に挟み込むことにより、これらの放熱面38,56が、PTCヒータ40の両面に貼着された後述の圧縮性熱伝導層44に圧着されるようになっている。
【0044】
図3、図4、および図7〜図9に、PTCヒータ40の構成が示されている。PTCヒータ40は、その全体形状が長方形に構成されている。PTCヒータ40を構成するのは、熱媒体流通経路(流通路33、流通路54)の流路方向に沿って、例えば3列に配設された発熱要素としてのPTC素子41a,41b,41cである。これら3枚のPTC素子41a,41b,41cのうち、両側のPTC素子41a,41cの幅は、中央のPTC素子41bの幅よりも広く、例えば倍の幅に設定されている。
【0045】
各PTC素子41a,41b,41cは、図9に断面を拡大して示すように、その両面に各々電極板42、非圧縮性絶縁層43および圧縮性熱伝導層44が順次積層されて設けられた積層構造を有するものである。これらのPTC素子41a,41b,41cは、制御基板22に組み込まれている制御回路により、各々単体でオンオフ制御可能に構成されている。
【0046】
電極板42は、PTC素子41a,41b,41cに電力を供給するためのもので、PTC素子41a,41b,41cと同じ長方形状の薄板であり、導電性および熱伝導性を有している。非圧縮性絶縁層43は、長方形状の薄板であり、ポリアミド系フィルム等の絶縁材により構成され、熱伝導性を有するものである。また、この非圧縮性絶縁層43は、その厚さが0.1mm以下で構成される。これは、PTC素子41a,41b,41cおよび電極板42とその外側に設けられる上部熱媒体流通ボックス30(放熱面56)および下部熱媒体流通ボックス50(放熱面38)との間において、その間の熱抵抗を極力小さくするとともに、電気絶縁性を十分に確保するためである。
【0047】
さらに、圧縮性熱伝導層44は、圧縮性を有する長方形状のシート材であり、シリコンシート等の絶縁シートで構成され、熱伝導性を有するものである。圧縮性熱伝導層44は、シリコンシートにより構成される場合、発熱要素であるPTC素子41と、上部熱媒体流通ボックス30(放熱面38)および下部熱媒体流通ボックス50(放熱面56)との間の熱抵抗を極力小さくするために、その厚さが0.4mm〜2.0mm程度とされる。また、厚さを少なくとも0.4mm以上とすることにより圧縮機能を確保し、上部熱媒体流通ボックス30と下部熱媒体流通ボックス50との間にPTCヒータ40を組み付ける際に、圧縮性を利用してPTCヒータ40に上部熱媒体流通ボックス30および下部熱媒体流通ボックス50を確実に密着させるとともに、組み付け寸法公差を吸収できるようになっている。
【0048】
こうして、図4および図5に示すように、PTCヒータ40は、その両面に各々密着されて設けられる上部熱媒体流通ボックス30および下部熱媒体流通ボックス50内を流通するエンジン冷却水に対し、その両面から放熱してエンジン冷却水を加熱することができる。
【0049】
PTCヒータ40の一端部には配線部材40bがあり、この配線部材40bはPTCヒータ40の面方向に対して上方に直角に屈折し、上部熱媒体流通ボックス30の配線挿通孔39と、基板収容ボックス20の配線挿通孔28とに挿入される。この配線部材40bは制御基板22に導かれて、制御基板22から、ケーブル状の配線部材40a(図2参照)が、先述のように基板収容ボックス20の配線挿通孔27を通って外部に引き出される。なお、配線挿通孔27には防水、防塵用の配線キャップ40cが装着される。
【0050】
上部熱媒体流通ボックス30の流入部34には熱媒体循環回路11が接続される。ポンプ9から圧送されてくる低温のエンジン冷却水は、流入部34から入口ヘッダ31内に流入し、各流通路33に分配される(図3参照)。各流通路33を出口ヘッダ32側に向って流れるエンジン冷却水は、PTCヒータ40により加熱昇温された後、出口ヘッダ32の手前で一旦合流し、流通口35を経て下部熱媒体流通ボックス50の連通口52に流入する。
【0051】
そして、連通口52より各流通路54に分流し、図8に想像線Fで示すように流れて再びPTCヒータ40により加熱昇温されながら他端部でUターンし、連通口53から上部熱媒体流通ボックス30の流通口36を経て出口ヘッダ32に入り、流出部37を経て熱媒体循環回路11へと還流する。このように、熱媒体加熱装置10の内部を通過するエンジン冷却水は、PTCヒータ40の両面側を流れてPTCヒータ40の熱で加熱されながら熱媒体循環回路11を循環し、これによって、車室内が温調される。
【0052】
PTCヒータ40を構成しているPTC素子41a,41b,41cは、制御基板22に組み込まれている制御回路により、各々単体でオンオフ制御可能に構成されているため、熱媒体加熱装置10に流入してくるエンジン冷却水の実際の温度と、必要とされている温度(目標温度)との差に応じて、制御基板22により各々PTC素子41a,41b,41c単位で個別にオンオフされ、加熱能力が制御される。これにより、エンジン冷却水を所定の温度に加熱昇温して流出させることができる。
【0053】
次に、本発明の要部について説明する。図4に示すように、熱媒体加熱装置10は複数の接合面M1〜M4を有している。そして、第1の熱媒体流通ボックスAと第2の熱媒体流通ボックスBとの間の接合面、即ち上部熱媒体流通ボックス30と下部熱媒体流通ボックス50との間の接合面M1と、第1の熱媒体流通ボックスAを構成している基板収容ボックス20と蓋21と上部熱媒体流通ボックス30との間の接合面M2,M3と、第2の熱媒体流通ボックスBを構成している下部熱媒体流通ボックス50と蓋51との間の接合面M4は、いずれも液状ガスケットでシールされるように構成されている。液状ガスケットとしては、硬化するとゴム状になる、耐水、耐熱性のあるシリコンシーラント等が用いられる。
【0054】
さらに、第1の熱媒体流通ボックスAの熱媒体流通経路である流通路33と、第2の熱媒体流通ボックスBの熱媒体流通経路である流通路54に、それぞれ接合面冷却流路C1,C2が設けられている。これらの接合面冷却流路C1,C2は、液状ガスケットでシールされた各接合面M1〜M4のうち、特にPTCヒータ40の熱が多大に及ぶ接合面M1の近傍を特に冷却し、接合面M1に塗布された液状ガスケットが熱で劣化することを防止するために設けられたものである。
【0055】
接合面冷却流路C1は、複数の流通路33のうちの、接合面M1に近い1〜2本の流通路であり、接合面冷却流路C2は、複数の流通路54のうちの、接合面M1に近い1〜2本の流通路である。これらの接合面冷却流路C1,C2は、PTCヒータ40の縁部よりも接合面M1に近い位置に設けられている。このため、PTCヒータ40の熱は、接合面M1に伝わるよりも先に、接合面冷却流路C1,C2を流れるエンジン冷却水によって熱交換され、接合面M1には伝わりにくくなる。したがって、接合面M1をシールする液状ガスケットが熱から保護されて耐久性が向上し、接合面M1からの熱媒体の漏洩が防止される。
【0056】
各接合面M1〜M4のうち、PTCヒータ40の配線部材40bが貫通する、基板収容ボックス20の下面と上部熱媒体流通ボックス30の上面との間の接合面M3は、図6にその基板収容ボックス20の下面側の面形状を示すように、熱媒体流通経路(流通路33)と外部との間をシールする外部シール区間M3aと、熱媒体流通経路(流通路33)と基板収容部Sに連通する部分である配線挿通孔28との間をシールする基板シール区間M3bとを備えている。そして、外部シール区間M3aの幅W1よりも、基板シール区間M3bの幅W2の方が大きく設定されている。例えば、W1が5mm、W2が8mmとなっている。
【0057】
なお、図4に示すように、各接合面M1〜M4における上下どちらか一方の面には、その内周縁部に沿って段部Mcが形成されている。この段部Mcを形成することにより、段部Mcに液状ガスケットが所定の厚みで保持され、圧着力を受けることなく硬化できるようになっている。この段部Mcを設けずに、各接合面M1〜M4の両面を完全に平坦にしてしまうと、この両面に圧着力が加わった際に、間に塗布された液状ガスケットが接合面の範囲から完全に押し出されてしまい、十分な密閉性が保たれなくなる懸念がある。段部Mcの高さは、0.5mm〜2.0mm程度でよい。
【0058】
また、図3、図4、図8に示すように、例えば第2の熱媒体流通ボックスBを構成している下部熱媒体流通ボックス50においては、そのPTCヒータ40に密着する放熱面56と、第1の熱媒体流通ボックスAとの接合面M1とが、段差の無い連続平面として形成されている。
【0059】
本実施形態に係る熱媒体加熱装置10は、以上のように構成されている。この熱媒体加熱装置10によれば、以下の効果が得られる。
【0060】
まず、第1の熱媒体流通ボックスAおよび第2の熱媒体流通ボックスBを構成する各ボックス構成部材20,21,30,50,51間の接合面M1〜M4を液状ガスケットでシールするように構成したことにより、従来各接合面M1〜M4に介装されていたO−リングを廃止することができる。これにより、熱媒体加熱装置10の構成部品点数と組立工数とを削減でき、しかも従来O−リングを嵌め込むために各接合面M1〜M4に刻設していた嵌合溝も廃止して各ボックス構成部材20,21,30,50,51の加工工数を低減させ、これらによって熱媒体流通ボックス10の製造コストを格段に低減させることができる。
【0061】
また、第1の熱媒体流通ボックスAおよび第2の熱媒体流通ボックスBの熱媒体流通経路(流通路33,54)に接合面冷却流路C1,C2を設けたことにより、液状ガスケットでシールされている4つの接合面M1〜M4のうち、PTCヒータ40の熱が多大に及ぶ接合面M1を良好に冷却することができる。このため、接合面M1に塗布される液状ガスケットが熱で劣化することを防止し、O−リングを用いずに液状ガスケットのみでシーリングする技術を確立させて、熱媒体加熱装置10の製造コストダウンに大きく貢献することができる。
【0062】
また、これらの接合面冷却流路C1,C2を、PTCヒータ40の縁部よりも接合面M1に近い位置に設けたことにより、接合面M1に塗布された液状ガスケットを一段と確実にPTCヒータ40の熱から保護することができる。なお、接合面M3,M4においては、流通路33,54の位置がPTCヒータ40よりも近いため、接合面M3,M4にはPTCヒータ40の熱が及びにくい。
【0063】
接合面冷却流路C1,C2の形状は、本実施形態のものに限らず、他の形状にしてもよい。例えば、本実施形態では、接合面冷却流路C1,C2の深さと幅が、隣接する流通路33,54の寸法と同一、あるいは幅狭になっているが、この深さと幅を流通路33,54よりも大きくし、より多くのエンジン冷却水が接合面M1により近い部分を流れるようにして、接合面M1の冷却性をさらに向上させてもよい。
【0064】
さらに、この熱媒体加熱装置10では、各接合面M1〜M4のうち、PTCヒータ40の配線部材40bが貫通する接合面M3において、外部シール区間M3aの幅W1よりも、基板シール区間M3bの幅W2を大きく設定したため、接合面M3におけるO-リングを廃止して製造コストダウンを図りつつも、制御基板22が収容されている基板収容部Sへの水漏れを確実に防止して熱媒体加熱装置10の信頼性を高めることができる。
【0065】
また、この熱媒体加熱装置10では、第2の熱媒体流通ボックスBを構成する下部熱媒体流通ボックス50の放熱面56と、第1の熱媒体流通ボックスAとの接合面M1とを、段差の無い連続平面として形成したため、下部熱媒体流通ボックス50の上面を完全にフラットな平面とすることができ、これによって下部熱媒体流通ボックス50の加工を非常に容易にし、熱媒体流通ボックス10の製造コストを低減することができる。
【0066】
さらに、この熱媒体加熱装置10では、PTCヒータ40と、第1の熱媒体流通ボックスAおよび第2の熱媒体流通ボックスBとを長方形状に形成し、PTCヒータ40の配線部材40bを、PTCヒータ40の長手方向端部側からまとめて延出させたため、従来のようにPTCヒータ40の長辺と熱媒体流通ボックス10の長辺との間にPTCヒータ40の配線部材が介在しなくなっている。このため、熱媒体流通ボックス10の外周寸法をPTCヒータ40の平面外形寸法に近づけることができ、熱媒体流通ボックス10の幅寸法を小型化して製造コストダウンを図ることができる。
【0067】
また、この熱媒体加熱装置10では、PTCヒータを構成するPTC素子41a,41b,41cを、熱媒体流通経路(流通路33,54)の流路方向に沿うように複数列配設し、これら複数のPTCヒータ41a,41b,41cの幅を異ならせるとともに、これら各PTC素子41a,41b,41cを単体でオンオフ制御可能にしたため、PTC素子41a,41b,41cの長手方向一端部側に配線部材40bをまとめて設けやすくすると同時に、簡素な構成によってPTCヒータ40の熱量制御を可能にし、熱媒体加熱装置10のコンパクト化に伴う製造コストダウンと、信頼性の向上とを図ることができる。
【0068】
さらに、本発明に係る車両用空調装置1によれば、外気または車室内空気循環させるブロア4と、該ブロア4の下流側に設けられる冷却器5と、該冷却器5の下流側に設けられる放熱器6とを備え、放熱器6に、本発明に係る熱媒体加熱装置10により加熱されたエンジン冷却水を循環させるように構成したため、熱媒体加熱装置10の小型化と製造コスト低減を図りつつ、その信頼性を高め、ひいては車両用空調装置1全体の信頼性を高めることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、熱媒体加熱装置を車両用空調装置に用いた例について説明したが、車両用以外の空調装置や、加熱装置、冷凍装置等に、本発明に係る熱媒体加熱装置を適用することも考えられる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用空調装置
4 ブロア
5 冷却器
6 放熱器
10 熱媒体加熱装置
20 ボックス構成部材である基板収容ボックス
21 ボックス構成部材である蓋
22 PTCヒータ制御用の制御基板
28 基板収容部に連通する部分である配線挿通孔
30 ボックス構成部材である上部熱媒体流通ボックス
33 熱媒体流通経路である流通路
38 放熱面
40 PTCヒータ
40b PTCヒータの配線部材
41a,41b,41c PTC素子
50 ボックス構成部材である下部熱媒体流通ボックス
51 ボックス構成部材である蓋
54 熱媒体流通経路である流通路
56 放熱面
A 第1の熱媒体流通ボックス
B 第2の熱媒体流通ボックス
C1,C2 接合面冷却流路
M1〜M4 接合面
M3a 外部シール区間
M3b 基板シール区間
S 基板収容部
W1 外部シール区間の幅
W2 基板シール区間の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のPTCヒータと、
複数のボックス構成部材が重ね合わせられて構成され、前記PTCヒータの一面側に密着して内部に熱媒体流通経路が形成された第1の熱媒体流通ボックスと、
同じく複数のボックス構成部材が重ね合わせられて構成され、前記PTCヒータの他面側に密着して内部に熱媒体流通経路が形成され、かつ前記第1の熱媒体流通ボックスに液密的に接合される第2の熱媒体流通ボックスと、を備え、
前記PTCヒータの両面からの放熱により、前記第1および第2の熱媒体流通ボックス内の前記熱媒体流通経路を流通する熱媒体が加熱されるように構成された熱媒体加熱装置において、
前記第1の熱媒体流通ボックスおよび前記第2の熱媒体流通ボックスを構成する前記各ボックス構成部材間の接合面と、前記第1の熱媒体流通ボックスおよび前記第2の熱媒体流通ボックスの間の接合面とのうちの少なくとも何れかを液状ガスケットでシールするように構成し、
前記第1の熱媒体流通ボックスまたは前記第2の熱媒体流通ボックスの少なくとも一方の前記熱媒体流通経路に、前記液状ガスケットでシールされていて、しかも前記PTCヒータの熱が及ぶ接合面を冷却する接合面冷却流路を設けたことを特徴とする熱媒体加熱装置。
【請求項2】
前記接合面冷却流路は、前記PTCヒータよりも、前記液状ガスケットでシールされる接合面に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項3】
前記接合面は、前記熱媒体流通経路と外部との間をシールする外部シール区間と、前記熱媒体流通経路と前記PTCヒータ制御用の基板収容部に連通する部分との間をシールする基板シール区間とを備え、前記外部シール区間の幅よりも、前記基板シール区間の幅を大きくしたことを特徴とする請求項1または2に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項4】
前記第1の熱媒体流通ボックスと前記第2の熱媒体流通ボックスの少なくとも一方の、前記PTCヒータに密着する放熱面と、前記第1の熱媒体流通ボックスと前記第2の熱媒体流通ボックスとの間の前記接合面とを、段差の無い連続平面として形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱媒体加熱装置。
【請求項5】
前記PTCヒータと、前記第1および第2の熱媒体流通ボックスとを長方形状に形成し、前記PTCヒータの配線部材を、前記PTCヒータの長手方向端部側から延出させたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の熱媒体加熱装置。
【請求項6】
前記PTCヒータを構成するPTC素子を、前記熱媒体流通経路の流路方向に沿うように複数列配設し、これら複数のPTCヒータの幅を異ならせるとともに、これら各PTC素子を単体でオンオフ制御可能にしたことを特徴とする請求項5に記載の熱媒体加熱装置。
【請求項7】
外気または車室内空気循環させるブロアと、該ブロアの下流側に設けられる冷却器と、該冷却器の下流側に設けられる放熱器と、を備えた車両用空調装置において、
前記放熱器に、請求項1〜6の何れかに記載の熱媒体加熱装置により加熱された熱媒体が循環可能に構成されることを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate