説明

熱煙複合式感知器

【課題】薄型化が可能な、感度よく熱を感知できる熱煙複合式感知器を提供する。
【解決手段】熱を感知する熱感知手段5と、暗箱7内に流入した煙を感知する煙感知部と、を備える熱煙複合式感知器1において、本体ベース21と、本体ベース21の上側全体を覆う本体ケース22と、からなる筐体2の内部に、本体ベース21の上面に装着された回路基板3と、熱感知手段5および煙感知部と、が収納され、熱感知手段5は、暗箱7の側方に複数設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱および煙によって火災を検出する熱煙複合式感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーミスタ等の感熱素子で熱を感知するとともに、発光素子が発した光の散乱光を受光素子で受光することによって煙を感知する熱煙複合式感知器が知られている。熱煙複合式感知器によれば、煙(白煙)だけが発生してほとんど温度が上昇しない火災(燻焼火災)や、温度のみが上昇して煙がほとんど発生しない火災、温度が上昇するとともに煙(黒煙)が発生する火災など、あらゆる火災を早期に検出することができる。
ところで、このような熱煙複合式感知器においては、感熱素子によって火災発生時の上昇気流を感度良く検出するために、感熱素子が感知器の頭頂部(天井に配置した状態では下側)に配置されている。具体的には、感熱素子によって火災発生時の上昇気流を感度良く検出するために、感熱素子を先端に備える熱感知手段が暗箱(検煙箱、ラビリンス体)を貫通して、暗箱の上面から熱感知手段の先端部が突き出ている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−14570号公報
【特許文献2】特開2001−266265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱感知手段が暗箱を貫通して、暗箱の上面から熱感知手段の先端部が突き出ていると、その突き出た分だけ感知器が分厚くなってしまい、薄型化できないという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、薄型化が可能な、感度よく熱を感知できる熱煙複合式感知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
熱を感知する熱感知手段と、暗箱内に流入した煙を感知する煙感知部と、を備える熱煙複合式感知器において、
本体ベースと、前記本体ベースの上側全体を覆う本体ケースと、からなる筐体の内部に、前記本体ベースの上面に装着された回路基板と、前記熱感知手段および前記煙感知部と、が収納され、
前記熱感知手段は、前記暗箱の側方に複数設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、熱感知手段が暗箱の側方に設けられているため、薄型化が可能である。
また、熱感知手段が複数設けられているため、熱感知の感度に関して特定の方向性が発生してしまうことがなく、感度よく熱を感知することができる。
さらに、熱感知手段が暗箱の側方に設けられているため、製造コストを削減することができるとともに、デザイン性の向上も期待できる。
すなわち、感知器としては、熱煙複合式感知器の他に、煙感知器等があるが、煙感知器は熱感知手段を備えていない。そのため、従来の熱煙複合式感知器の場合、熱感知手段が暗箱を貫通して、暗箱の上面から熱感知手段の先端部が突き出ているので、熱煙複合式感知器用の本体ケースとして、煙感知器用の本体ケースをそのまま流用することができず、暗箱の上面から先端部が突き出た熱感知手段によって熱を感度よく感知できるように煙感知器用の本体ケースの構成を変更する必要があった。これに対し、本発明では、熱感知手段が暗箱を貫通しておらず、熱感知手段が暗箱の側方に設けられているため、本発明の熱煙複合式感知器が備える本体ケースとして、煙感知器用の本体ケースをそのまま流用することができる。また、本体ケース以外の部品も、煙感知器用の各部品の流用または簡単な改造で本発明の熱煙複合式感知器用の部品とすることができるため、製造工程が簡略化でき、製造コストを削減することができる。また、本発明の熱煙複合式感知器と煙感知器との意匠を統一することができるため、デザイン性の向上も期待できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱煙複合式感知器において、
前記熱感知手段は、前記回路基板に接続されて当該熱感知手段の先端が前記暗箱の上面よりも下側に位置するように前記回路基板から上側に向けて突出していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、熱感知手段の先端が暗箱の上面よりも下側に位置しているため、薄型化が可能である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の熱煙複合式感知器において、
前記本体ケースは、少なくとも前記暗箱の側面に対向する位置に煙流入口を有し、
前記熱感知手段は、前記暗箱と前記煙流入口との間に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、熱感知手段が暗箱と煙流入口との間に設けられているため、煙流入口から流入してくる熱気流が直接熱感知手段に到達し易くなって、感度よく熱を感知することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の熱煙複合式感知器において、
前記煙流入口の形状は、前記熱感知手段を保護する形状であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、熱感知手段を破損してしまう等の不具合を防止することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の熱煙複合式感知器において、
前記熱感知手段は、前記回路基板に接続されて前記回路基板から上側に向けて突出するリード線と、前記リード線の上端に設けられた感熱素子と、を備え、
前記感熱素子は、前記煙流入口における上下方向中央よりも上側に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、感熱素子が煙流入口における上下方向中央よりも上側に対向する位置に配置されているため、感熱素子が煙流入口における上下方向中央よりも下側に対向する位置に配置される場合と比較して、リード線における筐体の内部に流入してきた熱気流に接する部分の割合が大きくなり、熱感知手段全体が温まり易くなって、感度よく熱を感知することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の熱煙複合式感知器において、
前記本体ケースの内壁と前記暗箱の外壁との間には、前記筐体の内部に流入してきた熱気流の流れを妨げないように、緩やかに湾曲した空間が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、筐体の内部で熱気流や煙がスムーズに流れるので、感度よく熱や煙を感知することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の熱煙複合式感知器において、
前記本体ケースは、煙を前記筐体の内部へと導く煙流入フィンを備え、
前記煙流入フィンは、熱気流を前記筐体の内部へと収束させる整流フィンとしても機能することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、煙流入フィンによって、煙も熱気流も筐体の内部へと効率よく流入させることができるので、感度よく熱や煙を感知することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の熱煙複合式感知器において、
前記本体ベースに装着されて前記回路基板の上面全体を覆うシールドケースと、
前記暗箱と一体的に形成されて当該暗箱の下端から当該暗箱の側方に延出する延出部と、を備え、
前記熱感知手段は、前記シールドケースに設けられた貫通孔部および前記延出部に設けられた被挿通部に挿通されて上側に向けて突出し、
前記暗箱は、前記被挿通部に前記熱感知手段が挿通された状態で、当該暗箱を前記シールドケースに対し回動させることによって、前記シールドケースに装着され、
前記被挿通部の形状は、当該被挿通部における前記回動後に前記熱感知手段が挿通される部分と、当該被挿通部における前記回動前に前記熱感知手段が挿通される部分と、が連続した形状であり、
前記被挿通部における前記回動後に前記熱感知手段が挿通される部分は、前記被挿通部における前記回動前に前記熱感知手段が挿通される部分よりも狭く、
前記貫通孔部は、前記被挿通部における前記回動後に前記熱感知手段が挿通される部分よりも広いことを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、被挿通部における暗箱の回動後に熱感知手段が挿通される部分が、被挿通部における暗箱の回動前に熱感知手段が挿通される部分よりも狭いため、暗箱をシールドケースに装着し易くなって、製造時の組み立てを容易に行うことができる。また、延出部の被挿通部における暗箱の回動後に熱感知手段が挿通される部分が、シールドケースの貫通孔部よりも狭いため、貫通孔部の大部分が、延出部で塞がれることとなって、シールドケース内に埃等が入り込み難くなっている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱感知手段端が暗箱の側方に設けられているため、薄型化が可能である。
また、熱感知手段が複数設けられているため、熱感知手段の先端部が暗箱の上面から突き出ていなくても、感度よく熱を感知することができる。
さらに、熱感知手段端が暗箱の側方に設けられているため、煙感知器用の各部品の流用または簡単な改造で本発明の熱煙複合式感知器用の部品とすることができる。したがって、製造工程が簡略化でき、製造コストを削減することができる。また、本発明の熱煙複合式感知器と煙感知器との意匠を統一することができるため、デザイン性の向上も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の熱煙複合式感知器の一例としての感知器を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す感知器の側面図である。
【図3】図1に示す感知器の平面図である。
【図4】図3におけるA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3におけるB−B線に沿う断面図である。
【図6】図3におけるC−C線に沿う断面図である。
【図7】図1に示す感知器が備える暗箱および当該暗箱と一体的に形成された延出部の底面図である。
【図8】図1に示す感知器の平面図であって、本体ケースが装着されていない状態を示す図である。
【図9】感知器の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る熱煙複合式感知器の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0025】
本実施形態の熱煙複合式感知器1(以下「感知器1」という。)は、火災に伴い発生した熱を感知可能であるとともに、火災に伴い発生した煙を感知可能な火災感知器であり、建造物の天井面に設置されて使用されるように構成されている。
なお、以下の説明では、感知器1を建造物の天井面に設置した状態で上になる側を下側、下になる側を上側とする。
【0026】
感知器1は、図1に示すように、本体ベース21と、回路基板3と、光学素子部4と、熱感知手段5と、シールドケース6と、暗箱7と、防虫網8と、本体ケース22と、を備えて構成される。
【0027】
具体的には、感知器1の筐体2は、図1や図2に示すように、外形略円盤形状をなし、本体ベース21と、本体ベース21の上側全体を覆う本体ケース22と、からなる。
そして、筐体2の内部には、回路基板3と、光学素子部4と、熱感知手段5と、シールドケース6と、暗箱7と、防虫網8と、が収納されている。
【0028】
本体ベース21は、感知器1の下側部分の筐体2を構成するものである。本体ベース21の下面には、予め天井面に設置された取付基台(図示省略)と連結し、感知器1を当該天井面に固定するための係止片が設けられている。
また、本体ベース21の周縁部には、図1に示すように、本体ベース21に対して本体ケース22を位置決めするための凹部21aが所定個数(本実施形態では1個)設けられている。
【0029】
回路基板3は、図1や図4、図5に示すように、ネジによって本体ベース21の上面に装着されている。
回路基板3には、感知器1の動作制御を行う所定の電子回路(図示省略)が形成されている。
【0030】
光学素子部4は、図1や図4、図5に示すように、回路基板3における暗箱7の内側(下方内側)に対応する位置に装着されている。
具体的には、光学素子部4は、回路基板3の上面に配置されて煙を感知する発光手段42および受光手段41を備えて構成される。
発光手段42は、回路基板3に接続され、回路基板3の制御の下で定期的に光を発する発光素子である。
一方、受光手段41は、回路基板3に接続され、受光信号を回路基板3に送出する受光素子である。
発光手段42は、図5に示すように、斜め上方向に光を出射するように構成されており、受光手段41は、斜め上方向からの光を受光するように構成されている。これにより、発光手段42からの光が、受光手段41によって直接受光されないようになっている。
【0031】
熱感知手段5,5は、熱を感知するためのものであり、図1に示すように、光学素子部4を挟んで互いに対向するように回路基板3に接続されて、回路基板3から上側に向けて突出している。
具体的には、熱感知手段5は、回路基板3に接続されて、回路基板3から上側に向けて突出するリード線51と、リード線51の上端に設けられたサーミスタ等の感熱素子52と、を備えて構成される。
なお、本実施形態では、熱感知手段5の個数を2個としたが、これに限定されるものではなく、熱感知手段5の個数は、1個であっても良いし、複数個であっても良い。
【0032】
シールドケース6は、図1や図4、図5に示すように、爪(図示省略)によって本体ベース2に装着されて、回路基板3の上面全体を覆っている。
シールドケース6には、その略中央に、光学素子部4の上面を露出するための露出用孔部6aが設けられている。
また、シールドケース6には、熱感知手段5に対応する位置に、熱感知手段5が挿通される貫通孔部6bが所定個数(本実施形態では2個)設けられている。
また、シールドケース6には、暗箱7と一体的に形成された延出部9に設けられた爪部9b(後述)に対応する位置に、爪部9bを係止する係止孔部6cが所定個数(本実施形態では2個)設けられている。
また、シールドケース6には、ガイド部材23の光入射部232(後述)に対応する位置に、光入射部232が挿通される孔部6dが所定個数(本実施形態では2個)設けられている。
【0033】
ここで、シールドケース6の略中央の円形部分は、上方向に突出している。
この突出した円形部分の径は、暗箱7と一体的に形成された延出部9(後述)の径と略同一になっている。これにより、暗箱7をシールドケース6に装着する際に位置決めし易いようになっている。
そして、この突出した円形部分に、露出用孔部6aや、貫通孔部6b、係止孔部6c、孔部6dなどが設けられている。
【0034】
暗箱7は、図1や図4、図5に示すように、暗箱7と一体的に形成されて、暗箱7の下端から暗箱7の側方に延出する延出部9によって、シールドケース6の略中央に装着されている。
具体的には、暗箱7は、図1や図7に示すように、断面形状がL字型等に形成された複数の遮光壁711からなる外形略円筒形状のラビリンス部71と、ラビリンス部71の上面を覆う蓋部72と、からなる。そして、暗箱7内の遮光壁711および蓋部72で囲まれたエリアが、煙感知領域となる。
なお、本実施形態では、煙を効率よく暗箱7内に流入させる等の観点から、ラビリンス部71の形状を外形略円筒形状としたが、これに限定されることはなく、ラビリンス体71の形状は、例えば、外形略角筒形状であっても良い。
【0035】
ここで、暗箱7の壁部は、ラビリンス部71によって形成されているため、暗箱7をシールドケース6に装着した状態では、筐体2の内部に流入してきた煙は、遮光壁711に沿って暗箱7内に導かれるが、外光は、暗箱7内に入り込むことができないようになっている。また、光学素子部4の発光手段42は斜め上方向に光を出射するように構成されているとともに、受光手段41は、斜め上方向からの光を受光するように構成されており、シールドケース6の露出用孔部6aから発光手段42や受光手段41の上面が露出している。これにより、発光手段42から発せられた光は暗箱7内に入射し、暗箱7内に流入してきた煙によって当該光が散乱されたときの散乱光を受光手段41で受光できるようになっている。
すなわち、暗箱7と、暗箱7の内側に配置された発光手段42および受光手段41と、によって、暗箱7内に流入してきた煙により発光手段42から発せられた光が散乱されたときの散乱光を受光手段41が受光することにより煙を感知する煙感知部が構成されている。
【0036】
延出部9には、熱感知手段5に対応する位置に、熱感知手段5が挿通される被挿通部9aが所定個数(本実施形態では2個)設けられている。
また、延出部9には、シールドケース6に設けられた係止孔部6cに対応する位置に、下側に向けて突出する爪部9bが所定個数(本実施形態では2個)設けられている。
また、延出部9には、ガイド部材23の光入射部232(後述)に対応する位置に、光入射部232が挿通される孔部9cが所定個数(本実施形態では2個)設けられている。
【0037】
暗箱7は、延出部9に設けられた被挿通部9aに熱感知手段5が挿通されるとともに、延出部9に設けられた爪部9bがシールドケース6に設けられた係止孔部6cに挿通された状態で、爪部9bが係止孔部6cに係止するまで、上下方向を回動軸としてシールドケース6に対し暗箱7(或いは、延出部9)を回動させることによって、シールドケース6に装着されるように構成されている。
【0038】
具体的には、爪部9bは、先端部が外側に向けて突出する略L字形状に形成されている。
また、シールドケース6の係止孔部6cは、例えば、図1に示すように、爪部9bの基端部は挿通可能であるが爪部9bの先端部は挿通不可能な係止部分6c1と、爪部9bの先端部が挿通可能な挿入部分6c2と、が暗箱7の回動方向に連続した形状に形成されている。
そして、暗箱7をシールドケース6に装着させる際、爪部9bを係止孔部6cの挿入部分6c2に挿入して、その状態で爪部9bが係止孔部6cに係止するまで(すなわち、爪部9bが係止孔部6cの係止部分6c1に達するまで)暗箱7を回動させることで、暗箱7をシールドケース6に装着できるように構成されている。
【0039】
さらに、被挿通部9aは、図7や図8に示すように、熱感知手段5のリード線51よりも若干大径の小径部分9a1と、小径部分9a1よりも大径の大径部分9a2と、が暗箱7の回動方向に連続した略瓢箪形状に形成されている。
そして、暗箱7を回動させる前の状態においては、大径部分9a2に熱感知手段5が挿通され、暗箱7を回動させた後の状態(すなわち、シールドケース6の係止孔部6cに延出部9の爪部9bが係止して暗箱7がシールドケース6に装着された状態)においては、小径部分9a1に熱感知手段5が挿通されるように構成されている。
すなわち、暗箱7をシールドケース6に装着させる際、熱感知手段5を被挿通部9aの大径部分9a2に挿通させて、その状態で暗箱7を回動させることによって、暗箱7をシールドケース6に装着できるように構成されている。これにより、被挿通部9aに熱感知手段5が挿通させ易くなっているため、製造時の組み立てを容易に行うことができる。
また、小径部分9a1は、シールドケース6の貫通孔部6bよりも小径に形成されている。これにより、図8に示すように、暗箱7がシールドケース6に装着された状態において、シールドケース6の貫通孔部6bの大部分が、延出部9で塞がれて、シールドケース6内に埃等が入り込み難くなっている。
【0040】
なお、被挿通部9aの形状は、略瓢箪形状に限定されるものではなく、被挿通部9aにおける暗箱7を回動させた後に熱感知手段5が挿通される部分(本実施形態の小径部分9a1に相当)と、被挿通部9aにおける暗箱7を回動させる前に熱感知手段5が挿通される部分(本実施形態の大径部分9a2に相当)と、が連続した形状であり、被挿通部9aにおける暗箱7を回動させた後に熱感知手段5が挿通される部分が、被挿通部9aにおける暗箱7を回動させる前に熱感知手段5が挿通される部分よりも狭く、シールドケース6の貫通孔部6bが、被挿通部9aにおける暗箱7を回動させた後に熱感知手段5が挿通される部分よりも広ければ、被挿通部9aの形状は任意であり、例えば、被挿通部9aにおける暗箱7を回動させる前に熱感知手段5が挿通される部分を、延出部9の端部を切り欠いて形成しても良い。
【0041】
防虫網8は、小さな網目を有し、暗箱7のラビリンス部71の周囲を覆っている。これにより、暗箱7内に虫や埃が入り込むことができないようになっている。
【0042】
本体ケース22は、本体ベース21の上側全体を覆う筐体2を構成するものであり、外形略ドーム形状をなしている。
本体ケース22の周縁部には、例えば、図1に示すように、本体ベース21に設けられた凹部21aに対応する位置に、凹部21aに嵌まる位置決め部22aが所定個数(本実施形態では1個)設けられている。
【0043】
また、本体ケース22には、暗箱7の側面(すなわち、ラビリンス部71の外面)に対向する位置に、周方向に沿って煙流入口22bが複数(本実施形態では6個)設けられている。そして、筐体2の内部における煙流入口22b,22b,…に囲まれたエリアに、熱感知手段5の感熱素子52が配置され、当該エリアが熱感知領域となっている。
ここで、煙流入口22bの形状は、熱感知手段5を保護する形状となっている。具体的には、煙流入口22bは、EN規格やIEC規格などに従って、指等が筐体2の内部に入り込むことができないように形成されている。これにより、指等が熱感知手段5に触れて、熱感知手段5を破損してしまう等の不具合を防止できるようになっている。
【0044】
また、隣り合う煙流入口22b,22b同士の間には、煙を筐体2の内部へと導く煙流入フィン22cが設けられている。なお、煙流入フィン22cは、熱気流を筐体2の内部へと収束させる整流フィンとしても機能するように形成されている。
具体的には、煙流入フィン22cは、側面が曲面状で、内側に向けて徐々に幅が狭くなるような形状に形成されている。
【0045】
ここで、本体ケース22は、図5に示すように、光ガイド部材23を備えている。
また、回路基板3には、光源として発光ダイオード(LED)31が所定個数(本実施形態では2個)面実装されている。そして、例えば、感知器1が作動中であれば、LED31が点灯するように構成されている。
【0046】
光ガイド部材23は、環状に形成された環状部231と、環状部231から下方に延出する棒状の光入射部232と、からなり、環状部231および光入射部232はいずれも光が透過できる材質により形成されている。
なお、本実施形態では、光入射部232の個数を2個としたが、これに限定されることはなく、光入射部232の個数は、1個であっても良いし、複数個であっても良い。
【0047】
光入射部232は、その下端部が、延出部9の孔部9cおよびシールドケース6の孔部6dに挿通されて、その下端から、LED31からの光が入射するようになっている。そして、光入射部232に入射した光は、光入射部232内を環状部231に向かって進行するように構成されている
【0048】
環状部231は、光入射部232からの光を、感知器1の外部に放出するようになっている。環状部231の下面には、図3に示すように、一様にヘアライン状の微細な溝である細溝231a,231a,…が多数形成されている。これにより、光入射部232から環状部231内へと送り出された光は、細溝231a,231a,…によって様々な方向に反射するようになっている。
【0049】
次に、感知器1の組み立て方について説明する。
まず、本体ベース21の上面に、光学素子部4や熱感知手段5,5が配設された回路基板3を装着する。
次いで、シールドケース6の露出用孔部6aから光学素子部4の上面が露出するとともに、シールドケース6の貫通孔部6b,6bに熱感知手段5,5が挿通されるように位置合わせした状態で、本体ベース21の上面にシールドケース6を装着する。
次いで、暗箱7と一体的に形成された延出部9の被挿通部9a,9aの大径部分9a2に熱感知手段5,5が挿通されるとともに、延出部9の爪部9b,9bがシールドケース6の係止孔部6c,6cの挿入部分6c2に挿入されるように位置合わせした状態で、シールドケース6の上面に暗箱7および延出部9を載置する。その状態で、爪部9bが係止孔部6cに係止するまで(すなわち、爪部9bが係止孔部6cの係止部分6c1に達するまで)暗箱7を回動させて、シールドケース6に暗箱7および延出部9を装着する。
次いで、防虫網8で、暗箱7の側面(すなわち、暗箱7のラビリンス部71の周囲)を覆う。
次いで、本体ケース22に取り付けられた光ガイド部材23の光入射部232,232が延出部9の孔部9c,9cおよびシールドケース6の孔部6d,6dに挿通されるとともに、本体ケース22の位置決め部22aが本体ベース21の凹部21aに嵌まるように位置合わせした状態で、本体ケース22を本体ベース21に装着する。
このようにして感知器1は組み立てられる。
【0050】
感知器1は、本体ケース22を下に向けた状態で天井に設置される。
そして、感知器1は、火災に伴い熱が発生し、筐体2の内部に流入してくると、熱感知手段5によって当該熱を感知し、火災を検出する。
また、発光手段42は、定期的に光を発光している。発光手段42からの光は、平常時には受光手段41によって受光されないが、火災に伴い煙が発生し、暗箱7内に流入してくると、散乱されて受光手段41によって受光される。すなわち、感知器1は、発光手段42から発せられた光が、暗箱7内に流入してきた煙によって散乱されたときの散乱光を受光手段41で受光することによって当該煙を感知し、火災を検出する。
このように、感知器1は、熱と煙との両方によって火災を検出するように構成されている。
【0051】
ここで、例えば、図2や図6に示すように、感知器1において、熱感知手段5の感熱素子52は、煙流入口22bにおける上下方向(煙流入口22bの短尺方向)中央Xよりも上側に対向する位置に配置されているとともに、熱感知手段5のリード線51や感熱素子52は、本体ケース22等の他の部材と接触しないように配置されている。これにより、感度よく熱を感知できるようになっている。
すなわち、熱感知手段5は、筐体2の内部に流入してきた熱で感熱素子52が温められることによって熱を感知するようになっており、感熱素子52を温める熱がリード線51に奪われてしまうと、感度よく熱を感知することができない。例えば、感熱素子52が煙流入口22bにおける上下方向中央Xよりも下側に対向する位置に配置されている場合、本実施形態のような場合(すなわち、感熱素子52が煙流入口22bにおける上下方向中央Xよりも上側に対向する位置に配置されている場合)よりも、リード線51における延出部9の上面から突出する部分の割合(すなわち、リード線51における筐体2の内部に流入してきた熱に接する部分の割合)が小さくなる。リード線51における筐体2の内部に流入してきた熱に接する部分の割合が小さいと、筐体2の内部に流入してきた熱でリード線51全体が温まり難く、感熱素子52を温める熱がリード線51に奪われ易くなるため、感度よく熱を感知することができない。これに対し、本実施形態のように、感熱素子52を煙流入口22bにおける上下方向中央Xよりも上側に対向する位置に配置して、リード線51における筐体2の内部に流入してきた熱に接する部分の割合を大きくし、熱感知手段5全体が温まり易くなるように構成することで、感度よく熱を感知することが可能となる。
また、リード線51や感熱素子52が他の部材と接触すると、リード線51や感熱素子52を温める熱が他の部材に奪われ易くなるため、感度よく熱を感知することができない。これに対し、本実施形態のように、リード線51や感熱素子52を他の部材と接触しないように配置することで、感度よく熱を感知することが可能となる。
【0052】
また、例えば、図2に示すように、熱感知手段5は、煙流入口22bにおける上下方向に直交する方向(煙流入口22bの長尺方向)の略中央に対向する位置に配置されている。これにより、感度よく熱を感知できるようになっている。
すなわち、熱感知手段5が、煙流入口22bにおける上下方向に直交する方向の略中央に対向する位置に配置されていない場合(具体的には、例えば、熱感知手段5が暗箱7と煙流入フィン22cとの間に設けられている場合)には、煙流入フィン22cが邪魔になって、筐体2内に流入してくる熱が直接熱感知手段5に到達できず、感度よく熱を感知することができない。これに対し、本実施形態のように、熱感知手段5を煙流入口22bにおける上下方向に直交する方向の略中央に対向する位置に配置することで、煙流入口22bから筐体2の内部に流入してくる熱が直接熱感知手段5に到達し易くなるので、感度よく熱を感知することが可能となる。
なお、本実施形態では、熱感知手段5を煙流入口22bにおける上下方向に直交する方向の略中央に対向する位置に配置するように構成したが、これに限定されることはなく、熱感知手段5が、煙流入フィン22cの影に隠れることなく、暗箱7と煙流入口22bとの間に配置されているのであれば、熱感知手段5の煙流入口22b(開口)に対する位置は任意である。
また、本実施形態では、2個の熱感知手段5の両方を、暗箱7と煙流入口22bとの間に配置するように構成したが、これに限定されることはなく、熱感知手段5を複数備える場合には、当該複数のうちの一部或いは全部を、暗箱7と煙流入フィン22cとの間に配置して、暗箱7と煙流入口22bとの間に配置しなくても良い。ただし、熱感知手段5を1個しか備えない場合には、熱感知手段5は暗箱7と煙流入口22bとの間に配置することが好ましい。
【0053】
また、例えば、図6に示すように、熱感知手段5は、本体ケース22の内面と暗箱7の側面(ラビリンス部71の外面)との間の略中央に配置されている。これにより、感度よく熱や煙を感知できるようになっている。
すなわち、熱感知手段5が、本体ケース22側に寄っていたり、暗箱7側に寄っていたりすると、熱気流が熱感知手段5に到達し難くなったり、煙が暗箱7内に流入し難くなったりして、感度よく熱や煙を感知できない場合がある。これに対し、本実施形態のように、熱感知手段5を本体ケース22の内面と暗箱7の側面との間の略中央に配置して、熱気流が熱感知手段5に到達し易くするとともに、煙が暗箱7内に流入し易くすることで、感度よく熱や煙を感知することが可能となる。
【0054】
また、筐体2の内部形状は、筐体2の内部に流入してきた熱気流の流れを妨げない形状となっている。これにより、感度よく熱や煙を感知できるようになっている。
すなわち、筐体の内部形状が、緩やかに湾曲していない場合には、本体ケースの内壁や暗箱の外壁によって筐体の内部に流入してきた熱気流や煙の流れが妨げられてしまい、感度よく熱や煙を検知できない場合がある。これに対し、本実施形態では、本体ケース22の内壁と暗箱7の外壁との間に、筐体2の内部に流入してきた熱気流や煙の流れを妨げないように緩やかに湾曲したドーナツ状の空間を形成して、筐体2の内部形状を筐体2の内部に流入してきた熱気流や煙の流れを妨げない形状とすることで、感度よく熱や煙を感知できるようにしている。
また、例えば、本体ケースの内壁に内側に向けて突出する羽部等が設けられている場合には、当該羽部によって筐体の内部に流入してきた熱気流や煙の流れが妨げられてしまい、感度よく熱や煙を感知できない場合がある。これに対し、本実施形態では、このような羽部等を設けないようして、筐体2の内部形状を筐体2の内部に流入してきた熱気流や煙の流れを妨げない形状とすることで、感度よく熱や煙を感知できるようにしている。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、熱を感知する熱感知手段5と、暗箱7内に流入した煙を感知する煙感知部と、を備える感知器1において、本体ベース21と、本体ベース21の上側全体を覆う本体ケース22と、からなる筐体2の内部に、本体ベース21の上面に装着された回路基板3と、熱感知手段5および煙感知部(暗箱7、発光手段42、受光手段41)と、が収納され、熱感知手段5は、暗箱7の側方に複数設けられている。
したがって、熱感知手段5が暗箱7の側方に設けられているため、薄型化が可能である。
【0056】
また、熱感知手段5が複数設けられているため、熱感知の感度に関して特定の方向性が発生してしまうことがなく、感度よく熱を感知することができる。すなわち、熱感知手段5を暗箱7の側方に設ける場合、熱感知手段5が1個しか備えられていないと、暗箱7の側方における暗箱7を挟んで当該熱感知手段5と対向する位置付近のエリアの熱が感知し難くなる。これに対し、本実施形態のように、熱感知手段5を複数個備えることで、熱感知手段5を暗箱7の側方に設けた場合であっても、熱が感知し難いエリアが生じなくなり、感度よく熱を感知することができる。
【0057】
さらに、熱感知手段5が暗箱7の側方に設けられているため、製造コストを削減することができるとともに、デザイン性の向上も期待できる。
すなわち、感知器としては、熱煙複合式感知器の他に、煙感知器等があるが、煙感知器は熱感知手段を備えていない。そのため、従来の熱煙複合式感知器の場合、熱感知手段が暗箱を貫通して、暗箱の上面から熱感知手段の先端部が突き出ているので、熱煙複合式感知器用の本体ケースとして、煙感知器用の本体ケースをそのまま流用することができず、暗箱の上面から先端部が突き出た熱感知手段により熱を感度よく感知できるように煙感知器用の本体ケースの構成を変更する必要があった。これに対し、本実施形態では、熱感知手段5が暗箱7を貫通しておらず、熱感知手段5が暗箱7の側方に設けられているため、本体ケース22として、煙感知器用の本体ケースをそのまま流用することができる。また、本体ケース22以外の部品も、煙感知器用の各部品の流用または簡単な改造で感知器1用の部品とすることができるため、製造工程が簡略化でき、製造コストを削減することができる。また、感知器1と煙感知器との意匠を統一することができるため、デザイン性の向上も期待できる。
【0058】
また、本実施形態の感知器1によれば、熱感知手段5は、回路基板3に接続されて当該熱感知手段5の先端が暗箱7の上面よりも下側に位置するように回路基板3から上側に向けて突出している。
したがって、熱感知手段5の先端が暗箱7の上面よりも下側に位置しているため、薄型化が可能である。
【0059】
また、本実施形態の感知器1によれば、本体ケース22は、暗箱7の側面に対向する位置に煙流入口22bを有し、熱感知手段5は、暗箱7と煙流入口22bとの間に設けられている。
したがって、熱感知手段5が暗箱7と煙流入口22bとの間に設けられているため、煙流入口22bから流入してくる熱気流が直接熱感知手段5に到達し易くなって、感度よく熱を感知することができる。
なお、本実施形態では、本体ケース22における暗箱7の側面に対向する位置にのみ煙流入口22bを設けたが、これに限ることはなく、本体ケース22が少なくとも暗箱7の側面に対向する位置に煙流入口22bを有しているのであれば、暗箱7の側面に対向する位置以外のその他の位置に煙流入口22bが設けられていても良い。
【0060】
また、本実施形態の感知器1によれば、煙流入口22bの形状は、熱感知手段5を保護する形状となっている。具体的には、煙流入口22bは、EN規格やIEC規格などに従って、指等が筐体2内に入り込むことができないように形成されている。
したがって、熱感知手段5を破損してしまう等の不具合を防止することができる。
【0061】
また、本実施形態の感知器1によれば、熱感知手段5は、回路基板3に接続されて回路基板3から上側に向けて突出するリード線51と、リード線51の上端に設けられた感熱素子52と、を備え、感熱素子52は、煙流入口22bにおける上下方向中央Xよりも上側に対向する位置に配置されている。
したがって、感熱素子52が煙流入口22bにおける上下方向中央Xよりも上側に対向する位置に配置されているため、感熱素子52が煙流入口22bにおける上下方向中央Xよりも下側に対向する位置に配置される場合と比較して、リード線51における筐体2の内部に流入してきた熱気流に接する部分の割合が大きくなり、熱感知手段5全体が温まり易くなって、感度よく熱を感知することができる。
【0062】
また、本実施形態の感知器1によれば、本体ケース22の内壁と暗箱7の外壁との間には、筐体2の内部に流入してきた熱気流の流れを妨げないように、緩やかに湾曲した空間が形成されている。
したがって、筐体2の内部で熱気流や煙がスムーズに流れるので、感度よく熱や煙を感知することができる。
【0063】
また、本実施形態の感知器1によれば、本体ケース22は、煙を筐体2の内部へと導く煙流入フィン22cを備え、煙流入フィン22cは、熱気流を筐体2の内部へと収束させる整流フィンとしても機能する。
したがって、煙流入フィン22cによって、煙も熱気流も筐体2の内部へと効率よく流入させることができるため、感度よく熱や煙を感知することができる。
【0064】
また、本実施形態の感知器1によれば、本体ベース21に装着されて回路基板3の上面全体を覆うシールドケース6と、暗箱7と一体的に形成されて当該暗箱7の下端から暗箱7の側方に延出する延出部9と、を備え、熱感知手段5は、シールドケース6に設けられた貫通孔部6bおよび延出部9に設けられた被挿通部9aに挿通されて上側に向けて突出し、暗箱7は、被挿通部9aに熱感知手段5が挿通された状態で、当該暗箱7をシールドケース6に対し回動させることによって、シールドケース6に装着され、被挿通部9aの形状は、被挿通部9aにおける暗箱7の回動後に熱感知手段5が挿通される部分(小径部分9a1)と、被挿通部9aにおける暗箱7の回動前に熱感知手段5が挿通される部分(大径部分9a2)と、が連続した形状であり、被挿通部9aにおける暗箱7の回動後に熱感知手段5が挿通される部分(小径部分9a1)は、被挿通部9aにおける暗箱7の回動前に熱感知手段5が挿通される部分(大径部分9a2)よりも狭く、貫通孔部6bは、被挿通部9aにおける暗箱7の回動後に熱感知手段5が挿通される部分(小径部分9a1)よりも広くなっている。
したがって、被挿通部9aにおける暗箱7の回動後に熱感知手段5が挿通される部分(小径部分9a1)が、被挿通部9aにおける暗箱7の回動前に熱感知手段5が挿通される部分(大径部分9a2)よりも狭いため、暗箱7をシールドケース6に装着し易くなって、製造時の組み立てを容易に行うことができる。また、延出部9の被挿通部9aにおける暗箱7の回動後に熱感知手段5が挿通される部分(小径部分9a1)が、シールドケース6の貫通孔部6bよりも狭いため、貫通孔部6bの大部分が、延出部9で塞がれることとなって、シールドケース6内に埃等が入り込み難くなっている。
【0065】
なお、本発明は、上記した実施形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0066】
上記した実施形態では、熱感知手段5がシールドケース6と延出部9との両方を貫通するように構成したが、これに限ることはなく、熱感知手段5がシールドケース6のみを貫通するように構成しても良い。
具体的には、延出部9の径を小さくするか、或いは、熱感知手段5をより外側に配置することで、熱感知手段5をシールドケース6のみに貫通させるように構成しても良い。
【0067】
また、上記した実施形態では、回路基板3の上面にシールドケース6を備えるように構成したが、これに限ることはなく、回路基板3の上面にシールドケース6を備えなくても良い。
具体的には、例えば、図9に示すように、上記した実施形態のシールドケース6、暗箱7および延出部9に代えて、回路基板3に固定された暗箱プレート11と、暗箱プレート11上面に装着された暗箱12と、を備えるようにしても良い。暗箱プレート11上には、発光手段42および受光手段41が固定されており、発光手段42および受光手段41は暗箱プレート11を介して回路基板3に接続されている。また、暗箱12は、発光手段42や受光手段41を収納可能なラビリンス部と、当該ラビリンス部の上面を覆う蓋部と、からなっている。そして、暗箱プレート11における暗箱12に覆われていない部分(暗箱プレート11の周縁部)が、本体ベース21に本体ケース22が装着された状態で、回路基板3に配設された各回路を塞いで、当該各回路と感知器外部とを空間的に遮断するように構成されている。
この場合、図9に示すように、熱感知手段5が暗箱プレート11を貫通して立設するように構成しても良いし、或いは、熱感知手段5を暗箱プレート11よりも外側に設けて、熱感知手段5が暗箱プレート11等の他の部材を貫通せず立設するように構成しても良い。
なお、この場合、ノイズの影響を受け易い回路(増幅回路等)を回路基板3の下面側に配設して、当該回路を覆うように回路基板3の下面側にシールドケースを備えても良いし、或いは、暗箱12としてシールド機能を有する暗箱を採用し、ノイズの影響を受け易い回路を上記した実施形態のように回路基板3の上面側に配設して、暗箱12で当該回路を覆うようにしても良い。
【0068】
また、上記した実施形態では、発光手段42を斜め上方向に光を出射するように構成するとともに、受光手段41を斜め上方向からの光を受光するように構成したが、これに限ることはなく、発光手段42からの光が、受光手段41によって直接受光されないように構成されているのであれば、発光手段42は、斜め上方向に光を出射するように構成されたものでなくても良いし、受光手段41は、斜め上方向からの光を受光するように構成されたものでなくても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 感知器(熱煙複合式感知器)
2 筐体
3 回路基板
5 熱感知手段
6 シールドケース
6b 貫通孔部
7 暗箱(煙感知部)
9 延出部
9a 被挿通部
9a1 小径部分(被挿通部における回動後に熱感知手段が挿通される部分)
9a2 大径部分(被挿通部における回動前に熱感知手段が挿通される部分)
21 本体ベース
22 本体ケース
22b 煙流入口
22c 煙流入フィン
51 リード線
52 感熱素子
X 煙流入口における上下方向中央

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を感知する熱感知手段と、暗箱内に流入した煙を感知する煙感知部と、を備える熱煙複合式感知器において、
本体ベースと、前記本体ベースの上側全体を覆う本体ケースと、からなる筐体の内部に、前記本体ベースの上面に装着された回路基板と、前記熱感知手段および前記煙感知部と、が収納され、
前記熱感知手段は、前記暗箱の側方に複数設けられていることを特徴とする熱煙複合式感知器。
【請求項2】
前記熱感知手段は、前記回路基板に接続されて当該熱感知手段の先端が前記暗箱の上面よりも下側に位置するように前記回路基板から上側に向けて突出していることを特徴とする請求項1に記載の熱煙複合式感知器。
【請求項3】
前記本体ケースは、少なくとも前記暗箱の側面に対向する位置に煙流入口を有し、
前記熱感知手段は、前記暗箱と前記煙流入口との間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱煙複合式感知器。
【請求項4】
前記煙流入口の形状は、前記熱感知手段を保護する形状であることを特徴とする請求項3に記載の熱煙複合式感知器。
【請求項5】
前記熱感知手段は、前記回路基板に接続されて前記回路基板から上側に向けて突出するリード線と、前記リード線の上端に設けられた感熱素子と、を備え、
前記感熱素子は、前記煙流入口における上下方向中央よりも上側に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の熱煙複合式感知器。
【請求項6】
前記本体ケースの内壁と前記暗箱の外壁との間には、前記筐体の内部に流入してきた熱気流の流れを妨げないように、緩やかに湾曲した空間が形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の熱煙複合式感知器。
【請求項7】
前記本体ケースは、煙を前記筐体の内部へと導く煙流入フィンを備え、
前記煙流入フィンは、熱気流を前記筐体の内部へと収束させる整流フィンとしても機能することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の熱煙複合式感知器。
【請求項8】
前記本体ベースに装着されて前記回路基板の上面全体を覆うシールドケースと、
前記暗箱と一体的に形成されて当該暗箱の下端から当該暗箱の側方に延出する延出部と、を備え、
前記熱感知手段は、前記シールドケースに設けられた貫通孔部および前記延出部に設けられた被挿通部に挿通されて上側に向けて突出し、
前記暗箱は、前記被挿通部に前記熱感知手段が挿通された状態で、当該暗箱を前記シールドケースに対し回動させることによって、前記シールドケースに装着され、
前記被挿通部の形状は、当該被挿通部における前記回動後に前記熱感知手段が挿通される部分と、当該被挿通部における前記回動前に前記熱感知手段が挿通される部分と、が連続した形状であり、
前記被挿通部における前記回動後に前記熱感知手段が挿通される部分は、前記被挿通部における前記回動前に前記熱感知手段が挿通される部分よりも狭く、
前記貫通孔部は、前記被挿通部における前記回動後に前記熱感知手段が挿通される部分よりも広いことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の熱煙複合式感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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