説明

熱硬化型粉体塗料組成物及び塗装物品

【課題】 耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れる塗装物品を提供することである。
【解決手段】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)70〜99質量部及びβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)1〜30質量部からなり、且つ、樹脂(A)と架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)0.1〜5質量部及び顔料成分(D)を0.1〜100質量部含有する熱硬化型粉体塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)、β−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)及び顔料成分(D)の種類と含有量を調整してなる貯蔵性並びに低温硬化性に優れた熱硬化型粉体塗料組成物、及び該粉体塗料組成物を塗装されてなる、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れた塗装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体塗料は、塗装時に有機溶剤の大気中への揮発がないことから、低公害型の塗料として知られている。特に、ポリエステル樹脂と架橋剤を組合せてなるポリエステル樹脂系粉体塗料は、金属製品に適用される塗料として知られている。
【0003】
従来ポリエステル樹脂系粉体塗料の架橋剤としては、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂との組合せに使用するものとして、トリグリシジルイソシアヌレート(以下、「TGIC」と略する場合がある)が知られている。しかし、TGICは、皮膚刺激性や毒性の点からその使用に問題があった。また、水酸基含有ポリエステル樹脂と組合わせる架橋剤としてはブロック化イソシアネート化合物が知られているが、多量にブロック化イソシアネート化合物を使用すると、熱硬化時揮散するブロック剤によって「ヤニ・スス」が多量に発生し、乾燥炉のメンテンナスや塗膜に落下して仕上り性が低下することがあった。
【0004】
このような問題点を解決する架橋剤として、ヒドロキシルアルキルアミド型硬化剤が実用化されている。例えば、酸末端ポリエステル樹脂(主材樹脂)とβ−ヒドロキシアルキルアミド(硬化剤)を含有する粉体塗料であって、体質顔料を20PHR以上100PHR以下含有することを特徴とする粉体塗料組成物が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ビニル系樹脂及びβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料組成物が開示されている(特許文献2)。
【0006】
他に、(A)常温固形のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、(B)ヒドロキシルアルキルアミド、(C)炭酸カルシウム、及び(D)トリポリリン二水素アルミニウムを含有する熱硬化性粉体塗料組成物が開示されている(特許文献3)。
【0007】
他に、カルボキシル基含有樹脂(A)、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤(B)、及び炭酸ストロンチウムで変性されたアルミニウムリン酸塩からなる防食剤(C)を含有してなる熱硬化性粉体塗料組成物が開示されている(特許文献4)。
しかし、特許文献1〜4の塗膜では、防食性、耐水性、特に低温焼付け時の耐水性が不十分であった。
【0008】
また、酸性ポリマー(A)、β−ヒドロキシアルキルアミド(B)、非芳香族のブロック化ポリイソシアネート(C)、適宜、顔料及び/又は無機充填剤(D)、添加剤(E)を含有する粉体塗料が開示されている(特許文献5)。しかし、特許文献5の塗膜は、耐水性、特に低温焼付け時の耐水性や防食性が不十分であった。このような背景から低温硬化性に優れ、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れた塗装物品が得られる粉体塗料組成物が求められていた。
【0009】
【特許文献1】特開2001−98212号公報
【特許文献2】特開2001−294804号公報
【特許文献3】特開2004−250628号公報
【特許文献4】国際公開2006/038491号パンフレット
【特許文献5】特開2001−271034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、低温硬化性に優れ、かつ耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れる塗装物品を提供できる熱硬化型粉体塗料組成物を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)、特定のブロック剤を使用したイソホロンジイソシアネート化合物(C)及び特定の顔料成分(D)を含有する熱硬化型粉体塗料組成物によって、低温硬化性に優れ、かつ耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れる塗装物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、
「1. カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)70〜99質量部及びヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)1〜30質量部からなり、且つ、樹脂(A)と架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)0.1〜5質量部及び顔料成分(D)を0.1〜100質量部含有する熱硬化型粉体塗料組成物、
2. カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、顔料成分(D)の全部又は一部として、炭酸カルシウムを1〜20質量部及び硫酸バリウムを1〜20質量部含有する1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
3. 粉体塗料組成物中に有機錫を含有しないことを特徴とする1項又は2に記載の熱硬化型粉体塗料組成物、
4.1項〜3項のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物を塗装して得られた塗装物品、に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、トリアゾールによりブロックされているイソホロンジイソシアネート化合物及び顔料成分を含む熱硬化性粉体塗料組成物は、貯蔵性、低温硬化性に優れ、かかる粉体塗料組成物を塗装し、加熱乾燥させてなる塗装物品は、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れるものが得られる。
【0014】
さらに、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、顔料成分(D)の全部又は一部として、炭酸カルシウムを1〜20質量部及び硫酸バリウムを1〜20質量部含有することによって、よりいっそうの耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れる塗装物品を得ることができる。
【0015】
また、有機錫化合物を含有することなく十分に硬化塗膜を得ることができる為、塗料組成物や塗装物品の廃棄処理時における環境負荷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)70〜99質量部及びヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)1〜30質量部からなり、且つ、樹脂(A)と架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)0.1〜5質量部及び顔料成分(D)を0.1〜100質量部含有する熱硬化型粉体塗料組成物に関する。
【0017】
本発明について、以下、詳細に説明する。
【0018】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A):
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に用いるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)は、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化反応により調製することができる。
【0019】
上記の多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸を使用することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4'−ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、テトラクロロヘキセントリカルボン酸及びこれらの無水物などの1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸が挙げられる。
【0020】
この中でも1分子中に3個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸を含有することが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、テトラクロロヘキセントリカルボン酸及びこれらの無水物を、構成する単量体成分のモル数の合計に対して1.0モル%以上、好ましくは2.0モル%以上含有することが、本発明の効果を得るためには好ましい。
【0021】
上記の多価アルコールは、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを使用することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルなどのグリコール類、これらのグリコール類にε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのポリエステルジオール類、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカン等、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【0022】
この中でも1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールを含有することが好ましく、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどを、構成する単量体成分のモル数の合計に対して1.0モル%以上、好ましくは2.0モル%以上含有することが、本発明の効果を得るためには好ましい。
【0023】
さらには、構成する単量体成分中に、3官能以上の多塩基酸と3官能以上の多価アルコールの少なくともいずれか一方を含有し、かつ単量体成分のモル数の合計に対して、該両成分の合計モル数が1.0モル%以上、好ましくは2.0モル%と、その他の多塩基酸とその他の多価アルコールと共に100〜250℃にて重縮合反応して得られる分岐状のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂が、低温硬化性、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性の向上の面から好ましい。
【0024】
このようなカルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は20℃〜80℃、好ましくは30℃〜70℃の範囲、数平均分子量は400〜20,000、好ましくは1,000〜10,000、酸価は5〜100mgKOH/g、特に20〜60mgKOH/gの範囲、軟化点は60〜150℃、好ましくは70〜110℃が、低温硬化性、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性向上の面から好ましい。上記、ガラス転移温度は、例えばDSC(示査走査熱量計)によって求めることができる。
【0025】
ヒドロキシアルキルアミド(B):
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)の架橋剤として用いられるヒドロキシアルキルアミド(B)については、β−ヒドロキシアルキルアミドが好適であり、なかでも一分子当たりβ−ヒドロキシアルキルアミド基を2個以上有している多官能型が、低温硬化性や塗装して得られる塗膜の耐湿性の点から好ましい。なお、具体的には、式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
【0026】
【化1】

【0027】
式(1)
(nは1以上、好ましくは2〜8の範囲の整数である。)
式(1)で示される化合物の市販品としては、「PRIMID XL−552」(EMS−PRIMD社製、式(1)においてn=4で示される)を用いることができる。
【0028】
トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C):
上記トリアゾールブロック化ブロックイソシアネート化合物(C)は、例え
ば、イソホロンジイソシアネート又は該プレポリマーのイソシアネート基を、ブロック剤としてトリアゾールでブロックした化合物である。
上記、イソホロンジイソシアネートは、水酸基との低温硬化性や仕上り性に優れる為、本発明の熱硬化型粉体塗料組成物には好適に用いられる。
【0029】
またトリアゾールは、イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するトリアゾールブロック化ポリイソホロンジイソシアネート化合物は、常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(特に、140〜160℃(被塗物表面温度)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生し、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の水酸基との反応が可能となる。
【0030】
なお、トリアゾールの具体例としては、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。この中でも、特に1,2,4−トリアゾールが、低温硬化性、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性が満足できる塗膜性能が得られる面から好ましい。
【0031】
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物は、トリアゾールをブロック剤として用いるが、従来から公知のブロック剤、例えば、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、フェノール、エチレングリコールモノブチルエーテルが知られているが、本発明の目的とする、低温硬化性、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性のいずれかが不十分である。
【0032】
詳細には、トリアゾールによりブロックされているイソホロンジイソシアネート化合物は、ブロック剤の揮散(解離)温度が好都合で、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤との反応を阻害することなくイソシアネートが再生し、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤の過剰の水酸基を安定する。
【0033】
ここで、トリアゾール以外のその他のブロック剤を用いてブロック剤の解離温度が低く過ぎる場合は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)との反応に先行してヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)とイソホロンジイソシアネート化合物(C)の反応が進む為、十分な塗膜性能や仕上り性が得られなかった。
【0034】
一方、トリアゾール以外のその他のブロック剤を用いてブロック剤の解離温度が高すぎて低温焼付け時に解離しない場合は、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)における過剰の水酸基の安定化が不十分である為、ブロックされたイソホロンジイソシアネート化合物(C)が未反応成分として塗膜中に残存する為、耐水性などで白化現象を起こすなどの不具合があった。
【0035】
各種ブロック剤と各種イソシアネート種の組合わせにおいて塗膜性能や仕上り性を鋭意検討し、粉体塗料組成物中にトリアゾールによりブロックされているイソホロンジイソシアネート化合物(C)を配合することによって、本発明の目的とする所望の塗膜性能や仕上り性が得られることを見い出した。
【0036】
なお、本願で用いるトリアゾールによりブロックされているイソホロンジイソシアネート化合物(C)は、後述する実施例1(化合物(C)3部配合)のゲル分率(160℃20分加熱乾燥/150℃20分加熱乾燥=91.1%/89.1%)に比べて、比較例1(化合物(C)なし)のゲル分率(160℃20分加熱乾燥/150℃20分加熱乾燥=91.5%/89.3%)が高くないことからも、架橋剤として機能していないと考えられる。
【0037】
上記トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)の配合割合は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)0.1〜5質量部、好ましくは1.0〜3.0質量部の範囲が、耐水性の向上には好ましい。
【0038】
トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)を配合することによって塗膜の耐水性が向上することの理由は、従来では、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)との架橋反応に際し、架橋に関与することなく残存した水酸基が親水性となる為に、耐水性が低下していた。
【0039】
しかし、本発明の熱硬化型粉体塗料組成物は、ヒドロキシアルキルアミド架
橋剤(B)における未反応の水酸基と、トリアゾールブロック化ブロックイソシアネート化合物(C)のイソシアネート基が反応し、ウレタン結合を形成する。これにより、ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)における未反応の水酸基を封止するができ、塗膜の耐水性向上を図ることができる。
【0040】
顔料成分(D):
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)及びヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、顔料成分(D)を0.1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部、さらに好ましくは5〜30質量部含有することが、耐水性と仕上り性の面から好ましく、要求される目的に応じて、着色顔料、体質顔料、防錆顔料等の配合割合を工夫して含有する。
【0041】
上記着色顔料としては、例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、パールマイカ、透明パールマイカ、着色マイカ、干渉マイカ、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾ等)、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環類顔料等を挙げることができる。
【0042】
体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、含水珪酸マグネシウム(タルク)、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム(石膏)、珪藻土、マイカ(雲母粉)、クレー(カオリン)及びシリカ等が挙げられ、必要に応じて表面処理を施した体質顔料も使用できる。
【0043】
この中でも特に、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、顔料成分(D)の全部又は一部として、体質顔料である炭酸カルシウムを1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部、さらに好ましくは5〜10質量部、並びに硫酸バリウムを1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部、さらに好ましくは5〜10質量部含有することにより、適度な充填効果が発揮され耐水性と防食性、特に140〜160℃(被塗物表面温度)で10〜20分間焼付け時の塗膜における耐水性と防食性向上に効果があることを見出せた。
【0044】
前記、炭酸カルシウムには、化学的合成によって得られる沈降性炭酸カルシウム(軽質タンカル)や大理石、石灰石、棘皮、動物化石等を粉砕して得られる天然産炭酸カルシウム(重質タンカル)が挙げられる。
【0045】
前記、硫酸バリウムには、天然の重晶石と呼ばれるバライト鉱物の粉砕品(バライト粉)や化学反応で製造した沈降性硫酸バリウムとがあり、この中でも粒子の大きさを選択幅のある沈降性硫酸バリウムを使用することがよい。
【0046】
前記、防錆顔料としては、塗料用として従来公知のものを使用することができ、例えば、リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化亜鉛(亜鉛華)等を使用することができる。特に防錆力と塗料の貯蔵安定性の点から、トリポリリン酸二水素アルミニウムを使用することができる。さらに顔料表面を亜鉛、カルシウム、ナトリウム、マンガン、錫、チタン等の化合物で処理されたものを使用してもよい。
【0047】
本発明において、防錆顔料を使用する場合、その配合量は、塗膜の防錆性
と平滑性の点から、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)と上記ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)及びトリアゾールブロック化イソシアネート化合物(C)との合計100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは3〜10質量部が、防食性と仕上り性の為にもよい。
【0048】
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)及びトリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)及び顔料成分(D)に加え、適宜必要に応じて、顔料分散剤、表面調整剤、シリカ、アルミニウム、酸化アルミニウム等の各種流動性調整剤;アクリルオリゴマー、シリコーン、ワックス類、カップリング剤、酸化防止剤、磁性粉、安定剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、可塑剤、ワキ防止剤、帯電制御剤等を含有することができる。また、触媒として有機錫を含有することなく、低温焼付け(140〜160℃で10〜20分間の焼付け条件)にて、十分な塗膜性能を得ることができる。
【0049】
上記の表面調整剤の市販品としては、例えば、アクロナール4F(BASF社製)、ポリフローS(共栄社化学社製)、レジフローLV(ESTRON CHEMICAL社製)等が挙げられ、シリカ担体アクリル重合体、例えば、モダフローIII(モンサント社製)、レジフローP67(ESTRON CHEMICAL社製)等が好適に用いられる。また、表面調整剤であるアクリル重合体とエポキシ樹脂の混合物をエポキシ樹脂の使用量が上記範囲内になるようにして、使用してもよい。
【0050】
上記の流動性付与剤としては、疎水性シリカ、親水性シリカや酸化アルミニウム等が適用でき、市販品として、例えば、AEROSIL130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSILR−972、AEROSIL R−812、AEROSIL R−812S、Alminium OxideC(日本アエロジル社製)、カープレックスFPS−1(DSL社製)等が挙げられる。
【0051】
上記の熱硬化型粉体塗料組成物の製造方法としては、例えば、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)及びトリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)及び顔料成分(D)、必要に応じて添加する表面調整剤等の原材料組成物を、ミキサー、ブレンダー等を用いてドライブレンドし、混合後、ニーダーにより原材料を80〜140℃で溶融混練し、冷却する。
次に、溶融物は、室温放置又は、冷却ロールや冷却コンベヤー等で冷却して固化され、機械又は気流式の粉砕機を用いて冷却済みの溶融混練物を粉砕し、粗粉砕及び微粉砕の工程を経て所望の粒径に粉砕する。その後、振動式のふるいや気流式分級機により分級して、熱硬化性樹脂粉体を得ることができる。この方法以外にもスプレードライ法や重合法によっても熱硬化型粉体塗料組成物を製造することができる。
【0052】
上記熱硬化型粉体塗料組成物の平均粒子径としては、10〜50μm、好ましくは20〜40μm、さらに好ましくは25〜35μmであることが仕上り性に優れる塗膜が得られる。なお、平均粒子径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法等の公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より体積平均を算出して求められる。
【0053】
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物に使用する金属基材としては、例えば亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、鋼およびこれらの合金、亜鉛めっき鋼板などが挙げられ、これらは冷間圧延、熱間圧延、鋳型成形、研削、酸洗浄などで処理されていても差し支えない。さらに具体的には、建築材料、電気製品、事務用機器、自動車の車体、外板および部品などがあげられる。
また、上記金属基材にりん酸塩処理液やクロメート処理液等で表面処理を施した表面処理鋼板やショットブラスト鋼板等も用いることができる。
なおりん酸塩処理液は、例えば、りん酸鉄、りん酸マンガン、りん酸亜鉛、およびカルシウム、ニッケル、マグネシウム、コバルトなどのイオンを配合したりん酸亜鉛などから選ばれる1種もしくは2種以上の金属塩を含有する水溶液または水分散液が好適である。これらの金属塩の濃度は目的に応じて任意に選ぶことができるが、通常、1〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物は、上記金属基材上に電着塗膜を塗装した上にも塗装することができ、耐水性試験後の塗膜間の密着性にも優れる。
なお熱硬化型粉体塗料組成物の粉体塗装方法は、静電粉体塗装方法、例えば、コロナ帯電式、摩擦帯電式等によって行う。乾燥膜厚30〜100μm、好ましくは乾燥膜厚40〜80μmが好適である。
【0054】
本発明の熱硬化型粉体塗料組成物の焼き付けは、140〜200℃で10分間〜40分間、特に140〜160℃で10〜20分間の加熱乾燥によって、耐水性、耐湿性及び防食性及び耐アルカリ性に優れる塗装物品を提供できる。従来からの粉体塗料組成物は、160℃以上の焼付け温度を必要としたが、160℃未満の焼付け温度でも、十分な塗膜性能を得ることができる。
【実施例】
【0055】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0056】
製造例1
温度計、攪拌機、加圧装置及び精留塔を具備した反応装置に、ネオペンチルグリコール517部を仕込み、攪拌しながら130℃まで昇温し、内容物が透明な液体となってからモノブチル錫オキサイト0.12部、イソフタル酸860部を仕込み180℃まで昇温した。ついで内容物を180℃から240℃まで4時間掛けて徐徐に昇温し、240℃で90分間反応を続けた後、精留塔を水分離器と置換し、内容物にキシレン60部を加え水分離器にもキシレンを入れ、水とキシレンとを共沸させて縮合水を除去した。キシレン添加の30分後から酸価の測定を開始し、キシレン添加時から酸価35mgKOH/g以下確認をして、加熱を停止し、キシレンを減圧除去して固形分100質量%のポリエステル樹脂No.1を得た。
ポリエステル樹脂No.1の酸価34.8mgKOH/g、ガラス転移温度56.3℃、重量平均分子量4,900であった。
【0057】
製造例2〜8 ポリエステル樹脂No.2〜No.8の製造例
表1の配合内容とする以外は、製造例1と同様にしてポリエステル溶液No.2〜No.8を得た。
【0058】
【表1】

【0059】
比較製造例1 ポリイソシアネート化合物No.1の製造
反応容器中にイソホロンジイソシアネート222部及びメチルエチルケトンオキシム174部を加え70℃に昇温した。経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて2270cm-1付近に未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、次いで加熱を停止し、有機溶剤を減圧除去して固形分100質量%のポリイソシアネート化合物No.1を得た。
【0060】
比較製造例2 ポリイソシアネート化合物No.2の製造
反応容器中にイソホロンジイソシアネート222部及びε−カプロラクタム
226部を加え70℃に昇温した。経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、次いで加熱を停止し、有機溶剤を減圧除去して固形分100質量%のポリイソシアネート化合物No.2を得た。
【0061】
実施例及び比較例
実施例1
ポリエステル樹脂No.1を95.0部(固形分)、PRIMID XL-552(注1)5.0部(固形分)、ALCURE4470(注2)3.0部(固形分)、硫酸バリウム100(注3)5.0部、カルシグロス-TN(注4)5.0部、K-WHITE105(注6)5.0部、JR−605(注7)50.0部、ベンゾイン0.5部及びレジフローP−67(注9)1.0部を、ハイスピードミキサー(商品名、深江工業株式会社製、容量2リットル)に投入し、アジテーター500rpm、チョッパー4000rpmで1分間攪拌して均一に混合した。
次に120℃で押し出し混練機(商品名、ブスコニーダーPR46、ブス社製)を用いて溶融混練を行い、金属製バットに排出した。50℃以下に冷却後ハンマー式衝撃粉砕機で微粉砕し、200メッシュの金網で分級することにより、平均粒径35μmの粉体塗料No.1を作成した。
【0062】
実施例2〜15 粉体塗料No.2〜No.15の製造例
表2及び表3の配合内容とする以外は、実施例1と同様の操作にて、平均粒径35μmの粉体塗料No.2〜No.15を作成した。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
(注1)PRIMID XL−552:商品名、エムス社製、β−ヒドロキシ
アルキルアミド(式(1)においてn=4で示される)。
【0066】
(注2)ALCURE−4470:HEXION社製、商品名、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物。
【0067】
(注3)硫酸バリウム100:堺化学工業社製、商品名、沈降性硫酸バリウム、平均粒径0.6μm。
【0068】
(注4)カルシグロス−TN:ニチゴー・モビニール社製、商品名、炭酸カルシウム、平均粒径約2.5μm。
【0069】
(注5)ルミナス:丸尾カルシウム社製、商品名、炭酸カルシウム、平均粒径0.1μm。
【0070】
(注6)K−WHITE105:テイカ社製、商品名、トリポリリン酸二水素アルミニウムと酸化亜鉛の混合物。
【0071】
(注7)JR−605:テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン。
【0072】
(注8)カーボンブラックMA−100:商品名、カーボンブラック、三菱化学社製。
【0073】
(注9)レジフローP−67:ESTRON CHEMICAL社製、商品名、表面調整剤、アクリル樹脂とシリカの混合物。
【0074】
比較例1〜9
表4及び表5の配合内容とする以外は、実施例1と同様の操作にて、平均粒子径35μmの粉体塗料No.16〜No.24を作成した。
【0075】
【表4】

【0076】
(注10)ベスタゴンB1530:デグサ社製、商品名、ε−カプロラクタムをブロック剤として用いたイソホロンジイソシアネート。
【0077】
(注11)ベスタゴンBF1540:デグサ社製、イソホロンジイソシアネート系のウレトジオン化合物。
【0078】
【表5】

【0079】
(注17)VPLS2181:バイエル社製、商品名、ε−カプロラクタムをブロック剤として用いたイソホロンジイソシアネート/ヘキサメチレンジイソシアネート。
【0080】
(注18)ALCURE4450:バイエル社製、商品名、ε−カプロラクタムをブロック剤として用いたジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート。
【0081】
試験板(1)の作成 (化成処理板上)
金属基材(日本パーカライジング社製、パルボンド#3118にてリン酸亜鉛処理された0.8mm厚の冷延鋼板)に、各粉体塗料を静電塗装機PG−1(商品名、松尾産業社製)を使用して乾燥膜厚が60μmになるように静電粉体塗装した。
次いで、150℃で20分間(被塗物表面温度保持時間)にて加熱乾燥を行ない、実施例及び比較例の試験板を得た。得られた試験板(1)の塗膜性能も併せて表2〜表4に示す。
【0082】
試験板(2)の作成 (電着塗装板上)
金属基材(日本パーカライジング社製、パルボンド#3020にてリン酸亜鉛処理された0.8mm厚の冷延鋼板)に、エレクロンKG−400(関西ペイント社製、商品名、カチオン電着塗料)を用いて乾燥膜厚20μm(150℃20分間焼付け)のプライマー被膜を形成させた。
次いで、各粉体塗料を静電塗装機PG−1(商品名、松尾産業社製)を使用して乾燥膜厚が60μmになるように静電粉体塗装した。次に、150℃で20分間(被塗物表面温度保持時間)で加熱乾燥を行い、実施例及び比較例の試験板を得た。得られた試験板(2)の塗膜性能も併せて表2〜表5に示す。
【0083】
(注12)ゲル分率:
次の手順に従って、ゲル分率を測定した。
ブリキ板に、乾燥膜厚60μmとなるように粉体塗装し、150℃20分間、又は160℃20分間焼付け乾燥した後の硬化塗膜を水銀アマルガム法によって剥離し、塗膜の重量を測定する。・・・(1)
該塗膜を400メッシュのステンレス製金網に包み、次いで有機溶剤(ジメチルケトン(アセトン)/メタノール=1/1(質量比))を満たしたフラスコ中に上記の「塗膜を包んだ金網」を浸漬して、マントルヒーターで加熱して還流しながら3時間かけて抽出を行った。「塗膜を包んだ金網」を取り出して有機溶剤が十分に揮発するように、120℃で60分間乾燥した後、塗膜の重量を測定した。・・・(2)
各々の重量から下記式(1)に従って、ゲル分率を求めた。高いほど硬化性が良好であることを意味する。
ゲル分率(%)=[(2)/(1)]×100・・・式(1)
【0084】
(注13)耐水性:試験板(1)、又は試験板(2)を用いて、JIS K 5600−6−2(1999)に準じて、40℃の温水に浸漬して240時間後に引き上げた。次いで、JIS K 5600−5−6(1999)に記載の碁盤目−テープ法に準じて、塗装板の塗膜面に素地に達するようにナイフを使用して約1mmの間隔で縦、横それぞれ平行に11本の切目を入れてゴバン目を形成し、その表面にセロハン粘着テープ(JIS Z 1522)を貼着し、テープを急激に剥離した後のゴバン目塗面を下記基準にて評価した。
◎:塗膜の剥離が全く認められない
○:ナイフ傷の角の塗膜の一部にわずかに剥離(塗膜間の剥離を含む)が認められる
△:100個のゴバン目のうち全てが剥離(塗膜間の剥離を含む)したものが1〜20個である
×:100個のゴバン目のうち全てが剥離(塗膜間の剥離を含む)したものが21個以上である
(注14)耐湿性:試験板(1)、又は試験板(2)を用いて、クロスカットを入れ、温度50℃、湿度98%のボックス内に試験板を入れ、500時間後に試験板を評価した。
◎:クロスカット部のフクレ又は錆の発生がない。
〇:クロスカット部のフクレ又は錆が1mm未満(片側)
△:クロスカット部のフクレ又は錆が1mm以上、かつ2mm未満(片側)
×:クロスカット部のフクレ又は錆が2mm以上(片側)
【0085】
(注15)防食性:試験板(1)、又は試験板(2)を用いて、素地に達するようにナイフでクロスカット傷を入れ、これをJISZ−2371に準じて500時間耐塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎:錆、フクレの最大幅がカット部より2.5mm未満(片側)、
○:錆、フクレの最大幅がカット部より2.5mm以上3mm未満(片側)、
△:錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以上、4mm未満(片側)、
×:錆、フクレの最大幅がカット部より4mm以上(片側)。
【0086】
(注16)耐アルカリ性:試験板(1)、又は試験板(2)を用いて、5重量%の水酸化ナトリウムの水溶液に、240時間浸漬した後の塗膜外観を肉眼で観察し、ブリスター発生や白化状態などの外観変化を調べた。
◎:試験前の塗板に対して、外観変化のないもの
〇:試験前の塗板に対して、極わずかに白化状態の外観変化が認められるが問題ないレベル
△:試験前の塗板に対して、ブリスター発生及び/又は白化などの外観変化が認められるもの
×:試験前の塗板に対して、著しくブリスター発生及び/又は白化などの外観変化が認められるもの
【産業上の利用可能性】
【0087】
低温焼付けにて、耐水性、耐湿性、防食性及び耐アルカリ性に優れる塗装物品を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)70〜99質量部及びヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)1〜30質量部からなり、且つ、樹脂(A)と架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、トリアゾールブロック化イソホロンジイソシアネート化合物(C)0.1〜5質量部及び顔料成分(D)を0.1〜100質量部含有する熱硬化型粉体塗料組成物。
【請求項2】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A)とβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(B)の固形分合計100質量部に対して、顔料成分(D)の全部又は一部として、炭酸カルシウムを1〜20質量部及び硫酸バリウムを1〜20質量部含有する請求項1に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
【請求項3】
塗料組成物中に有機錫を含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化型粉体塗料組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化型粉体塗料組成物を塗装して得られた塗装物品。

【公開番号】特開2009−298925(P2009−298925A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155342(P2008−155342)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】