説明

熱硬化性ポリウレタンおよび水処理用担体

【課題】 ゴム弾性、機械耐久性、耐摩耗性、圧縮時の扁平性に優れ、しかも、生分解や加水分解を受けにくく、上記した物性を長期にわたって確保することのできる、熱硬化性ポリウレタンおよび、その熱硬化性ポリウレタンからなる水処理担体を提供すること。
【解決手段】 少なくともポリイソシアネート、マクロポリオールおよび架橋剤を配合した後、押し出して賦形し、その後、硬化させることにより、熱硬化性ポリウレタンを得る。このようにして得られる熱硬化性ポリウレタンは、押し出して賦形するので、熱可塑性樹脂のように、ゴム弾性、機械耐久性、耐摩耗性、圧縮時の扁平性に優れる。しかも、その後に、硬化させるので、熱硬化性樹脂のように、生分解や加水分解を受けにくく、上記した物性を長期にわたって確保することができる。そのため、水処理用担体24として好適に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性ポリウレタンおよび水処理用担体、詳しくは、微生物を用いる各種水処理に用いられる水処理用担体として、好適に用いられる熱硬化性ポリウレタン、および、その水処理用担体に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物を用いる廃水処理などの水処理においては、例えば、嫌気槽や好気槽などの水処理槽に、流動床として、樹脂からなる水処理用担体が投入される。
このような水処理用担体として、長鎖および短鎖のポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させることにより得られるポリウレタン吸水ゲル(例えば、特許文献1参照。)や、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、触媒、発泡剤、界面活性剤を配合してなる原料を発泡させることにより得られる親水性軟質ポリウレタンフォーム(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【特許文献1】特開平10−136980号公報
【特許文献2】特開2004−250593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されるようなポリウレタン吸水ゲルは、熱可塑性ポリウレタンであって、当初は、ゴム弾性、機械耐久性、耐摩耗性、圧縮時の扁平性に優れるが、その一方で、物理架橋により形成されているハードセグメントが、生分解や加水分解を徐々に受けるので、上記した物性が経時的に劣化して、長期にわたる使用が困難となる。
一方、特許文献2に記載されるような親水性軟質ポリウレタンフォームは、化学架橋を有するので、生分解や加水分解を受けにくいが、そもそも、機械耐久性や耐摩耗性が低いため、やはり、長期にわたる使用が困難である。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ゴム弾性、機械耐久性、耐摩耗性、圧縮時の扁平性に優れ、しかも、生分解や加水分解を受けにくく、上記した物性を長期にわたって確保することのできる、熱硬化性ポリウレタンおよび、その熱硬化性ポリウレタンからなる水処理担体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の熱硬化性ポリウレタンは、少なくともポリイソシアネート、マクロポリオールおよび架橋剤を配合した後、押し出して賦形し、その後、硬化させることにより得られることを特徴としている。
また、本発明の熱硬化性ポリウレタンは、前記マクロポリオールが、ポリオキシエチレンユニットを有するジオールであることが好適であり、前記架橋剤が、水酸基を3個以上有するポリオールであることが好適である。
【0006】
また、本発明は、上記した熱硬化性ポリウレタンからなる水処理用担体を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱硬化性ポリウレタンは、ポリイソシアネート、マクロポリオールおよび架橋剤を配合した後、押し出して賦形するので、熱可塑性樹脂のように、ゴム弾性、機械耐久性、耐摩耗性、圧縮時の扁平性に優れる。しかも、その後に、硬化させるので、熱硬化性樹脂のように、生分解や加水分解を受けにくく、上記した物性を長期にわたって確保することができる。そのため、水処理用担体として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の熱硬化性ポリウレタンは、少なくともポリイソシアネート、マクロポリオールおよび架橋剤を配合した後、押し出して賦形し、その後、硬化させることにより、得ることができる。
本発明において、ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂肪族系、脂環族系などの有機化合物であって、例えば、芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、これらトリレンジイソシアネートの80:20重量比(TDI−80/20)、65:35重量比(TDI−65/35)の異性体混合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物、トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0009】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートメチルエステル、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0010】
脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタンなどが挙げられる。
【0011】
また、ポリイソシアネートとしては、ポリイソシアネートのウレタン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトイミン変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体などの変性イソシアネートなども挙げることができる。
上記したポリイソシアネートのうち、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIという)、水添MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、以下、HMDIという)、パラフェニレンジイソシアネート(以下、PPDIという)、ナフタレンジイソシアネート(以下、NDIという)、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)、2,5−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(以下、NBDIという)が挙げられ、さらに好ましくは、MDI、HDI、HMDI、PPDI、NBDIなど、および、これらジイソシアネートのウレタン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体が挙げられる。
【0012】
なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
本発明において、マクロポリオールとしては、1分子中に水酸基を2個以上有する重合体であって、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
【0013】
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、比較的低分子量の2価アルコールの1種または2種以上の化合物に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレングリコール(スチレンオキサイドなどを付加重合したポリオキシアルキレングリコールを含む。)などが挙げられる。特に、アルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドが好ましく用いられる。このようなポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレンオキサイド・エチレンオキサイドの共重合ポリオールなどが挙げられる。好ましくは、少なくともエチレンオキサイドを付加重合したポリオキシエチレンユニットを有するポリオキシアルキレングリコールが挙げられ、より具体的には、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0014】
ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は、200〜15000が好ましく、さらに好ましくは、1000〜10000である。
また、ポリオキシアルキレンポリオールとしては、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMEGという)を挙げることができる。PTMEGの数平均分子量は、好ましくは、250〜4000である。また、PTMEGに、上記したアルキレンオキサイドを付加重合したポリオキシアルキレンポリオールも挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの低分子ポリオールの1種または2種以上と、例えば、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸など、あるいは、その他の低分子ジカルボン酸やオリゴダイマー酸の1種または2種以上との縮合重合により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。また、ポリエステルポリオールとして、ε−カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンジオールを挙げることもできる。ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは、500〜3000である。
【0016】
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの縮合反応より得られるポリカーボネートジオールが挙げられる。ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、好ましくは、500〜3000である。
なお、これらマクロポリオールは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0017】
上記したポリオールのうち、好ましくは、ポリオキシアルキレンポリオール、さらに好ましくは、少なくともエチレンオキサイドを付加重合したポリオキシエチレンユニットを有するポリオキシアルキレングリコール、より具体的には、ポリエチレングリコールが挙げられる。少なくともエチレンオキサイドを付加重合したポリオキシエチレンユニットを有するポリオキシアルキレングリコールや、ポリエチレングリコールを用いれば、親水性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明において、架橋剤は、1分子中に水酸基を3個以上有する、脂肪族、芳香環、複素環または脂環式環の低分子化合物であって、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。また、架橋剤としては、例えば、上記したマクロポリオールの分子末端にイソシアネート基が結合しているイソシアネート系架橋剤などが挙げられる。
【0019】
なお、これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、本発明においては、必要により、架橋剤とともに、鎖伸長剤を用いることができる。鎖伸長剤は、1分子中に水酸基を2個有する、脂肪族、芳香環、複素環または脂環式環の低分子化合物であって、脂肪族の鎖伸長剤として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0020】
また、芳香環、複素環または脂環式環の鎖伸長剤としては、例えば、パラキシレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシン、ヒドロキノン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0021】
なお、これら鎖伸長剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
そして、本発明において、熱硬化性ポリウレタンを得るには、まず、ポリイソシアネート、マクロポリオール、架橋剤および必要により鎖伸長剤を配合した後、押し出して賦形し、次いで、賦形された原料(配合物)を硬化させる。
ポリイソシアネートに対する、マクロポリオール、架橋剤および必要により配合される鎖伸長剤の配合割合は、マクロポリオール、架橋剤および必要により配合される鎖伸長剤の水酸基の総量に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、例えば、0.8〜2、好ましくは、0.95〜1.5である。
【0022】
また、マクロポリオールに対する、マクロポリオール、架橋剤および必要により配合される鎖伸長剤の配合割合は、マクロポリオール100重量部に対して、架橋剤および必要により配合される鎖伸長剤の総重量部が、例えば、0.5〜35重量部、好ましくは、1〜30重量部である。
また、架橋剤に対する、必要により配合される鎖伸長剤の配合割合は、架橋剤100重量部に対して、必要により配合される鎖伸長剤が、例えば、100〜10000重量部、好ましくは、300〜4000重量部である。
【0023】
そして、ポリイソシアネート、マクロポリオール、架橋剤および必要により鎖伸長剤を配合した後、押し出して賦形し、その後、硬化するには、特に制限されないが、例えば、まず、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールを混合した後、その混合物に、架橋剤および必要により鎖伸長剤を混合して、押し出した後、硬化させる直接方式と、例えば、ポリイソシアネート、マクロポリオールおよび必要により鎖伸長剤を混合して、まず、熱可塑性ポリウレタンを調製し、得られた熱可塑性ポリウレタンを架橋剤とともに押し出し、その後、硬化させる架橋剤圧入方式とが挙げられる。
【0024】
直接方式では、例えば、図1に示す製造装置A1が用いられる。
図1において、この製造装置A1は、ポリイソシアネート貯蔵タンク1、ポリオール貯蔵タンク2、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3、高速攪拌槽4、反応ポット5、反応管部6、ダイ7、ベルトコンベア8、ペレタイザ9および恒温槽10を備えている。
ポリイソシアネート貯蔵タンク1には、上記したポリイソシアネートが貯蔵され、ポリオール貯蔵タンク2には、上記したマクロポリオールが貯蔵され、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3には、上記した架橋剤および必要により鎖伸長剤が貯蔵されている。なお、架橋剤と、必要により配合される鎖伸長剤とは、別々の貯蔵タンクに貯蔵してもよい。また、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3には、必要により、さらにマクロポリオールを貯蔵してもよい。
【0025】
また、ポリイソシアネート貯蔵タンク1、ポリオール貯蔵タンク2または架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3には、必要により、公知の離型剤、カップリング剤、着色剤、滑剤、耐候安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、防錆剤、乳白剤、充填剤、触媒などの助剤を配合してもよい。
ポリイソシアネート貯蔵タンク1およびポリオール貯蔵タンク2の下流側には、高速攪拌槽4が接続されている。この高速攪拌槽4は、上記した各原料を高速で攪拌混合するものであって、特に制限されないが、例えば、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合において、300〜5000回転/分(周速100〜600m/分)で攪拌可能な攪拌羽根11を備えている。また、高速攪拌槽4は、図示しないヒータ(またはジャケット)および温度センサを備えており、温度センサでの検知温度に基づいて、ヒータを制御することにより、槽内温度を制御できるように構成されている。
【0026】
また、ポリイソシアネート貯蔵タンク1と高速攪拌槽4との接続ラインの途中と、ポリオール貯蔵タンク2と高速攪拌槽4との接続ラインの途中とには、それぞれギヤポンプ12および流量計13が介装されている。
高速攪拌槽4の下流側には、反応ポット5が接続されている。反応ポット5は、高速攪拌槽4において混合された原料を、一時的に滞留させて反応を促進させる。
【0027】
反応ポット5の下流側には、反応管部6が接続されている。反応管部6は、直列に接続される複数のスタティックミキサー(静止混合器)14と、T字接続管15とを備えている。
各スタティックミキサー14(以下、各スタティックミキサー14を区別する場合には、原料の流れ方向における上流側から下流側に向かって、第1スタティックミキサー14a、第2スタティックミキサー14b、・・・第nスタティックミキサー14nとする。)は、管内のミキサー部材の形状などは特に制限されず、例えば、「化学工学の進歩 第24集 攪拌・混合」(社団法人 化学工学会 東海支部 編修 1990年10月20日 槇書店発行 1刷)の第155頁のFig.10.1.1に記載されるCompany−Nタイプ、Company−Tタイプ、Company−Sタイプ、Company−Tタイプなど、種々の形状のものを用いることができる。好ましくは、右エレメントと左エレメントとが交互に配置され、必要に応じて、各スタティックミキサー14の間に直管が設けられていてもよい。
【0028】
また、各スタティックミキサー14は、その管長が、例えば、0.13〜3.6m、好ましくは、0.3〜2.0m、さらに好ましくは、0.5〜1.0mで、その内径が、例えば、10〜300mmφ、好ましくは、13〜150mmφで、管長/内径比(以下、L/Dで示す。)が3〜25、好ましくは、5〜15のものが用いられる。
また、各スタティックミキサー14は、繊維強化プラスチック(FRP)などの実質的に非金属材料から形成されているか、あるいは、管内における原料との接触部分の表面が、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂によって被覆されているものを用いることが好ましい。好ましくは、接触部分をポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂によって被覆したものが用いられる。このようなスタティックミキサー14としては、より具体的には、例えば、金属製からなるスタティックミキサー14に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂からなるチューブを挿入したものや、市販されているノリタケ社製のMXシリーズなどが用いられる。
【0029】
さらに、各スタティックミキサー14は、図示しないヒータ(またはジャケット)および温度センサを備えており、温度センサでの検知温度に基づいて、ヒータを制御することにより、管内温度を独立して温度制御できるように構成されている。
なお、スタティックミキサー14の接続数は、その目的および用途、原料組成などにより、適宜決定することができ、各スタティックミキサー14を接続した全長が、例えば、3〜25m、好ましくは、5〜20mとなるように、例えば、2〜35連、好ましくは、3〜30連として構成され、各スタティックミキサー14の間には、適宜、図示しないギヤポンプを介装して、流量調節可能に構成されている。
【0030】
そして、反応管部6における最上流側の第1スタティックミキサー14aが、反応ポット5に接続されるとともに、反応管部6における最下流側の第nスタティックミキサー14nが、後述するダイ7に接続されている。
また、直接に接続される各スタティックミキサー14の途中には、T字接続管15が介装されており、そのT字接続管15の上流側には、ギヤポンプ16が接続されている。また、ギヤポンプ16の上流側には、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3が接続されている。
【0031】
ダイ7は、上記したように、最下流側の第nスタティックミキサー14nに接続されており、各スタティックミキサー14において反応した原料を押し出す。なお、ダイ4は、シート状に成形するためのTダイの他、目的および用途により、歯車状に成形するための異形成形ダイなども用いられる。
ベルトコンベア8は、ダイ7から押し出される反応した原料を、ペレタイザ9に搬送する。ペレタイザ9では、反応した原料をペレット化する。恒温槽10では、ペレット化された原料を、さらに反応させて硬化させる。
【0032】
次に、この製造装置A1を用いて、直接方式により、熱硬化性ポリウレタンを製造する方法について説明する。
この方法では、まず、ポリイソシアネート貯蔵タンク1およびポリオール貯蔵タンク2に貯蔵されるポリイソシアネート、マクロポリオールを、高速攪拌槽4に供給して、高速攪拌槽4において、これらを混合する。
【0033】
ポリイソシアネート貯蔵タンク1からポリイソシアネートを供給するには、流量計13で検知される流量に基づいて、ギヤポンプ12を制御することによって、例えば、2〜100kg/h、好ましくは、2.5〜60kg/hの流速で供給する。
また、ポリオール貯蔵タンク2からマクロポリオールを供給するには、流量計13で検知される流量に基づいて、ギヤポンプ12を制御することによって、例えば、10〜200kg/h、好ましくは、15〜100kg/hの流速で供給する。
【0034】
これによって、高速攪拌槽4においては、定常状態において、マクロポリオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、例えば、0.8〜2、好ましくは、0.95〜1.5に設定される。
そして、高速攪拌槽4では、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールを、滞留時間0.05〜0.5分、好ましくは、0.1〜0.4分、温度70〜130℃、好ましくは、80〜120℃、羽根径4cmφ、周囲長さ12cmである場合における攪拌羽根11の速度500〜4000回転/分(周速60〜480m/分)、好ましくは、2000〜3000回転/分(周速240〜360m/分)で高速攪拌する。
【0035】
その後、反応ポット5において、例えば、0.1〜15分、好ましくは、0.5〜10分で、70〜140℃、好ましくは、80〜120℃で滞留させた後、得られた原料を、反応管部6に供給して、各スタティックミキサー14内を通過させながら、反応させる。
各スタティックミキサー14における管内温度は、例えば100〜300℃、好ましくは、140〜250℃から適宜選択すればよく、また、通過速度は、例えば、20〜300kg/h、好ましくは、30〜150kg/hである。
【0036】
また、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に貯蔵される架橋剤および必要により鎖伸長剤(およびさらに必要によりマクロポリオール)を、ギヤポンプ16によって、T字接続管15を介して、直列に接続される各スタティックミキサー14の途中に、例えば、0.1〜70kg/h、好ましくは、0.15〜20kg/hの流速で圧入する。
そして、反応管部6における最下流側の第nスタティックミキサー14nを通過した原料は、ダイ7からベルトコンベア8上に押し出され、シート状に賦形される。
【0037】
ベルトコンベア8上に、シート状に賦形された原料は、さらに反応しながら、ベルトコンベア8によってペレタイザ9に搬送される。そして、ペレタイザ9において、ペレット状に切断された後、40〜50℃に維持される恒温室10にて、一昼夜、硬化させる。これによって、熱硬化性ポリウレタンを得ることができる。
また、架橋剤圧入方式では、まず、図1に示す製造装置A1を用いて、熱可塑性ポリウレタンを調製する。図1に示す製造装置A1を用いて、熱可塑性ポリウレタンを調製するには、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に、架橋剤を配合せずに、鎖伸長剤(および必要によりマクロポリオール)を貯蔵しておき、上記と同様に、まず、ポリイソシアネート貯蔵タンク1およびポリオール貯蔵タンク2に貯蔵されるポリイソシアネート、マクロポリオールを、高速攪拌槽4に供給して、高速攪拌槽4において、これらを混合する。
【0038】
なお、高速攪拌槽4においては、定常状態において、マクロポリオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、例えば、1.5〜2.5、好ましくは、1.2〜2.2に設定される。
次いで、反応ポット5において、原料を滞留させた後、反応管部6に供給して、各スタティックミキサー14内を通過させながら、反応させる。一方、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に貯蔵される鎖伸長剤(および必要によりマクロポリオール)を、ギヤポンプ16によって、T字接続管15を介して、直列に接続される各スタティックミキサー14の途中に圧入する。
【0039】
そして、反応管部6における最下流側の第nスタティックミキサー14nを通過した原料は、ダイ7からベルトコンベア8上に押し出され、シート状に賦形される。
ベルトコンベア8上に、シート状に賦形された原料は、ベルトコンベア8によってペレタイザ9に搬送される。そして、ペレタイザ9において、ペレット状に切断されることにより、熱可塑性ポリウレタンを得る。
【0040】
次いで、架橋剤圧入方式では、図2に示す製造装置A2を用いて、熱硬化性ポリウレタンを製造する。
図2において、この製造装置A2は、ポリイソシアネート貯蔵タンク1、ポリオール貯蔵タンク2、高速攪拌槽4、反応ポット5に代替して、反応管部6における最上流側の第1スタティックミキサー14aに、押出機17が接続されている。また、この押出機17には、上記で得られた熱可塑性ポリウレタンのペレットが貯蔵される熱可塑性ポリウレタン貯蔵タンク18が接続されている。また、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3には、架橋剤が貯蔵される。
【0041】
なお、熱可塑性ポリウレタン貯蔵タンク18には、熱可塑性ポリウレタンとともに、必要により架橋剤や、その他、公知の離型剤、カップリング剤、着色剤、滑剤、耐候安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、防錆剤、乳白剤、充填剤、触媒などの助剤を、必要によりマスターバッチとして配合してもよい。
そして、熱可塑性ポリウレタン貯蔵タンク18に貯蔵される熱可塑性ポリウレタンのペレット(必要により、架橋剤や、その他、発泡剤や着色剤などの助剤が配合された熱可塑性ポリウレタンのペレット)を、押出機17に供給して、押出機17において溶融しつつ、反応管部6に供給して、各スタティックミキサー14内を通過させる。
【0042】
各スタティックミキサー14における管内温度は、例えば100〜300℃、好ましくは、140〜250℃から適宜選択すればよく、また、通過速度は、例えば、20〜300kg/h、好ましくは、30〜150kg/hである。
一方、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に貯蔵される架橋剤を、ギヤポンプ16によって、T字接続管15を介して、直列に接続される各スタティックミキサー14の途中に、例えば、0.1〜70kg/h、好ましくは、0.15〜30kg/hの流速で圧入する。
【0043】
そして、反応管部6における最下流側の第nスタティックミキサー14nを通過した原料は、ダイ7からベルトコンベア8上に押し出され、シート状に賦形される。
ベルトコンベア8上に、シート状に賦形された原料は、さらに反応しながら、ベルトコンベア8によってペレタイザ9に搬送される。そして、ペレタイザ9において、ペレット状に切断された後、40〜50℃に維持される恒温室10にて、一昼夜、硬化させる。これによって、熱硬化性ポリウレタンを得ることができる。
【0044】
なお、熱可塑性ポリウレタン貯蔵タンク18に、架橋剤を配合して、熱可塑性ポリウレタンとともに押し出せば、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3から、架橋剤を、T字接続管15を介して、直列に接続される各スタティックミキサー14の途中に圧入しなくてもよい場合がある。
このようにして得られた熱硬化性ポリウレタンは、ポリイソシアネート、マクロポリオールおよび架橋剤を配合した後、押し出して賦形するので、熱可塑性樹脂のように、ゴム弾性、機械耐久性、耐摩耗性、圧縮時の扁平性に優れる。しかも、その後に、硬化させるので、熱硬化性樹脂のように、生分解や加水分解を受けにくく、上記した物性を長期にわたって確保することができる。
【0045】
そのため、本発明の熱硬化性ポリウレタンは、例えば、水処理用担体、脱臭処理用担体、植物用保水材、ヒートアイランド対策用保水材などの各種の産業分野で使用することができる。特に、本発明の熱硬化性ポリウレタンは、各種の水処理、例えば、産業廃水や生活廃水などの廃水処理に用いられる水処理用担体に好適に用いることができる。
より具体的には、微生物を用いた水処理、例えば、硝化菌(例えば、アンモニア酸化菌、亜硝酸酸化菌など)などの好気性微生物により処理するための好気槽、脱窒菌などの嫌気性微生物により処理するための嫌気槽の流動床として用いることができる。
【0046】
図3には、そのような水処理用装置の一実施形態が示されている。すなわち、図3において、この水処理用装置は、好気槽や嫌気槽として用いられる水処理槽21と、この水処理槽21に接続される給水管22および排水管23とを備えている。水処理槽21には、本発明の水処理用担体24が流動床として投入されており、水処理槽21内に回転可能に設けられる攪拌機25によって、攪拌されている。このような水処理用装置には、上記した水処理用担体24が用いられているので、水処理槽21内において、長期にわたり良好な流動性を実現して、効率的な水処理を行なうことができる。
【実施例】
【0047】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されることはない。
実施例1
図1に示す製造装置A1を用いて、熱硬化性ポリウレタンを製造した。なお、反応管部6は、各スタティックミキサーを、第1〜第3スタティックミキサー14a〜17c(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度150℃)、第4〜第5スタティックミキサー14d〜14e(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度150℃)、第6〜第12スタティックミキサー14f〜14l(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度200℃)、第13〜第15スタティックミキサー14m〜14o(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度180℃)として構成し、T字接続管15を第5スタティックミキサー14eと第6スタティックミキサー14fとの間に接続した。
【0048】
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、商品名:コスモネートPH、以下、MDIという。)を、ポリイソシアネート貯蔵タンク1に仕込み、50℃で溶解した。
数平均分子量8300のポリエチレングリコール(三洋化成社製 商品名:液ペグ6000、以下、PEGという。)を、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、100℃で溶解した。
【0049】
PEG、1,4−ブタンジオール(BASF社製、以下BGという。)およびトリメチロールプロパン(三菱ガス化学社製、以下TMPという。)、錫系触媒(株式会社エーティアイコーポレーション製 商品名:TK−1L)を混合した架橋剤混合物(PEG216Kg/BG35.9Kg/TMP2.66Kg/錫系触媒16.96Kg)を、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に仕込み、100℃で溶解した。
【0050】
次いで、MDIを3.26kg/hの流速で、PEGを42.7kg/hの流速で高速攪拌槽4(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に供給し、十分に各原料を攪拌混合した後、反応ポット5(10L)において、2〜10分滞留させた後、反応管部6の第1スタティックミキサー14aに供給した。
また、架橋剤混合物を4.0kg/hの流速で、T字接続管15に供給した。
【0051】
その後、第15スタティックミキサー14oを通過した原料を、ダイ7からベルトコンベア8上に押し出して、シート状に賦形した。
そして、ベルトコンベア8上に、シート状に賦形された原料を、ベルトコンベア(20m)8によってペレタイザ(石中鉄工所社製PPL−130)9に搬送し、ペレタイザ9において、ペレット状に切断した。その後、40〜50℃に維持される恒温室10にて、一昼夜、硬化させ、これによって、熱硬化性ポリウレタンからなる水処理用担体を得た。
【0052】
実施例2
架橋剤混合物(PEG216Kg/BG33.92Kg/TMP3.99Kg/錫系触媒16.96Kg)を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、熱硬化性ポリウレタンからなる水処理用担体を得た。
実施例3
まず、図1に示す製造装置A1を用いて、熱可塑性ポリウレタンを製造した。なお、反応管部6は、各スタティックミキサーを、第1〜第3スタティックミキサー14a〜17c(管長0.5m、内径20mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度150℃)、第4〜第5スタティックミキサー14d〜14e(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサーを2本接続した状態、管内温度150℃)、第6〜第12スタティックミキサー14f〜14l(管長1.0m、内径38mmφのスタティックミキサーを7本接続した状態、管内温度200℃)、第13〜第15スタティックミキサー14m〜14o(管長0.5m、内径38mmφのスタティックミキサーを3本接続した状態、管内温度180℃)として構成し、T字接続管15を第5スタティックミキサー14eと第6スタティックミキサー14fとの間に接続した。
【0053】
MDIを、ポリイソシアネート貯蔵タンク1に仕込み、50℃で溶解した。PEGを、ポリオール貯蔵タンク7に仕込み、100℃で溶解した。PEGおよびBGを混合した鎖伸長剤混合物(PEG217Kg/BG23.3Kg)を、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に仕込み、80℃で溶解した。
次いで、MDIを2.86kg/hの流速で、PEGを40.0kg/hの流速で高速攪拌槽4(櫻プラント社製 SM40、設定温度120℃)に供給し、十分に各原料を攪拌混合した後、反応ポット5(10L)において、2〜10分滞留させた後、反応管部6の第1スタティックミキサー14aに供給した。
【0054】
また、鎖伸長剤混合物を5.54kg/hの流速で、T字接続管15に供給した。
その後、第15スタティックミキサー14oを通過した原料を、ダイ7からベルトコンベア8上に押し出して、シート状に賦形した。
そして、ベルトコンベア8上に、シート状に賦形された原料を、ベルトコンベア(20m)8によってペレタイザ9に搬送し、ペレタイザ9において、ペレット状に切断し、これによって、熱可塑性ポリウレタンを得た。
【0055】
次いで、図2に示す製造装置A2を用いて、熱硬化性ポリウレタンを製造した。なお、反応管部6は、各スタティックミキサーを、第1スタティックミキサー14a(管長0.5m、内径30mmφのスタティックミキサー、管内温度180℃)、第2スタティックミキサー14b(管長1.0m、内径20mmφのスタティックミキサー、管内温度170℃)、第3スタティックミキサー14c(管長1.0m、内径30mmφのスタティックミキサー、管内温度170℃)として構成し、T字接続管15を第1スタティックミキサー14aと第2スタティックミキサー14bとの間に接続した。
【0056】
得られた熱可塑性ポリウレタン100重量部、カーボンブラック(着色剤)のマスターバッチ2重量部、エクスパンセル(発泡剤:日本フェライト社製)1重量部、TMPのマスターバッチ(TMP40重量%含有)1重量部を、熱可塑性ポリウレタン貯蔵タンク18に仕込み、これを、押出機(50mmφ短軸押出機(池貝社製、FS−50))17に供給して、押出機17において溶融しつつ、反応管部6の第1スタティックミキサー14aに、9〜10kg/hの流速で供給した。
【0057】
また、PTMEGの分子末端にイソシアネート基が結合しているイソシアネート系架橋剤(商品名CR−1、BASF社製、以下、CR−1という。)を、架橋剤・鎖伸長剤貯蔵タンク3に仕込み、これを、0.5〜0.7kg/hの流速で、T字接続管15に供給した。
その後、第3スタティックミキサー14cを通過した原料を、異形成形ダイからなるダイ7からベルトコンベア8上に押し出して、歯車状に賦形した。
【0058】
そして、ベルトコンベア8上に、歯車状に賦形された原料を、ベルトコンベア(20m)8によってペレタイザ(石中鉄工所社製PPL−130)9に搬送し、ペレタイザ9において、ペレット状に切断した。その後、30〜40℃に維持される恒温室10にて、一昼夜、硬化させ、これによって、熱硬化性ポリウレタンからなる水処理用担体を得た。
比較例1
MDI 13.2重量部、PEG 183.4重量部(100℃)およびBG 2.50重量部(50℃)を、ドラム缶中で2分間攪拌しながら反応させ、これをトレイに流し込んで、80℃の恒温槽で一昼夜反応させた。その後、冷却して、粉砕機でフレーク状に粉砕したものを、50mmφの押出機でペレット化した。得られたペレット100重量部にカーボンブラック2重量部、マイクロバルーン1重量部を混合し、押出機によって溶融押し出し、異形成形ダイを用いて歯車状に成形した。これによって、歯車状の熱可塑性ポリウレタンからなる水処理用担体を得た。
【0059】
比較例2
丸形ダイを用いて円筒状に成形した以外は、比較例1と同様の原料および操作により、円筒状の熱可塑性ポリウレタンからなる水処理用担体を得た。
比較例3
ポリエーテルポリオール(ソルビトール開始剤のエチレンオキサイド付加物、商品名:MF−43、三井武田ケミカル社製)85重量部、ポリマーポリオール(グリセリン開始剤のプロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物と、アクリロニトリル−スチレンポリマーとからなるポリマーポリオール、商品名:POP−93、三井武田ケミカル社製)15重量部、脱イオン水3重量部、ジメチルシロキサン(和光純薬社製)1重量部、トリレンジイソシアネート(2,4体/80重量%、2,6体/20重量%、三井武田ケミカル社製)15重量部を、常法に従い反応させて、親水性のポリウレタンフォームを合成し、これを、5mm角に裁断することにより、ポリウレタンフォームからなる5mm角の水処理用担体を得た。
【0060】
評価
試験例1
0.08N−NaOH水溶液150mLに、実施例1、2および比較例1、2の水処理用担体を投入し、経日的にサンプリングして、荷重試験(50g/cm2)、60%扁平試験(初期形状を100%としたときに60%扁平させる)を実施した。
【0061】
その結果、比較例1は、21日目の圧縮試験で破損し、また、38日目の60%扁平試験で破損した。また、比較例2は、28日目の圧縮試験で破損し、また、35日目の60%扁平試験で破損した。それに対し、実施例1、2は、2ヶ月経過後も、荷重試験および60%扁平試験に対して、十分に形状を維持した。
試験例2
実施例1、2および比較例3の水処理用担体を、5m3の水槽に投入し、機械攪拌式エアレータ(出力0.75kw、回転数560〜570min-1、新明和工業社製、但し、エアレーションなし)を用いて耐久試験を実施した。その結果、顕微鏡観察から、比較例3の水処理用担体は、試験開始から1週間経過後に磨耗していることが確認された。一方、実施例1、2の水処理用担体は、試験開始から1ヶ月経過しても、磨耗が確認されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の熱硬化性ポリウレタンを製造するための製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の熱硬化性ポリウレタンを製造するための製造装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明の水処理担体が用いられる水処理用装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0063】
24 水処理用担体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリイソシアネート、マクロポリオールおよび架橋剤を配合した後、押し出して賦形し、その後、硬化させることにより、得られることを特徴とする、熱硬化性ポリウレタン。
【請求項2】
前記マクロポリオールが、ポリオキシエチレンユニットを有するジオールであることを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化性ポリウレタン。
【請求項3】
前記架橋剤が、水酸基を3個以上有するポリオールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱硬化性ポリウレタン。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタンからなる水処理用担体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−152177(P2006−152177A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347289(P2004−347289)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(502420586)エフ・シー・アイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】