説明

熱線遮蔽材

【課題】近赤外線などの赤外線反射率及び可視光線透過性に優れた熱線遮蔽材の提供。
【解決手段】本発明は、基板と、該基板上に少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層とを有してなる熱線遮蔽材であって、金属粒子が、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子を60個数%以上有し、隣接する前記金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも20%である。また、熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、20%以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線などの赤外線反射率及び可視光線透過性に優れた熱線遮蔽材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして、自動車や建物の窓に対する熱線遮蔽性付与材料が開発されている。熱線遮蔽性(日射熱取得率)の観点からは、吸収した光の室内への再放射(吸収した日射エネルギーの約1/3量)がある熱線吸収型より、再放射がない熱線反射型が好ましく、様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、金属Ag薄膜は、その反射率の高さから、熱線反射材料として一般に使用されている。
しかしながら、金属Ag薄膜は、可視光や熱線だけでなく電波も反射してしまうため、可視光透過性及び電波透過性が低いという問題があった。
【0004】
このため、例えば、可視光透過性を上げるために、AgとZnO多層膜を利用したLow−Eガラス(例えば旭硝子株式会社製)が提案され、広く建物に採用されている。
しかしながら、前記Low−Eガラスは、ガラス表面に金属Ag薄膜が形成されているため、電波透過性が低いという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、例えば電波透過性を付与した島状Ag粒子付きガラスが提案されている。蒸着により製膜したAg薄膜をアニールすることにより、粒状Agを形成したガラスが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この提案では、アニールにより粒状Agを形成しているため、粒子サイズや形状、面積率を制御することが難しく、熱線の反射波長や帯域の制御や可視光透過率の向上が難しいという問題があった。
【0006】
また、赤外線遮蔽フィルタとして、Ag平板粒子を用いたフィルタが提案されている(特許文献2〜6参照)。
しかしながら、これらの提案は、いずれもプラズマディスプレイパネルに用いることを意図したものであり、また、赤外域の波長光の吸収能を向上させるために体積の小さな粒子を用いており、熱線を遮蔽する材料(熱線を反射する材料)としてAg平板粒子を用いるものではなかった。
【0007】
このため、例えば、ガラス基板表面などに平均粒径100nm〜0.5mmの銀粒子より構成され、厚みが5nm〜1μmの銀層を積層させたガラスが提案されている(特許文献7参照)。
しかしながら、この提案は、銀をスパッタした後にアニールすることで銀微粒子を形成させるので、均一な粒径を有する銀微粒子を形成できず、また、銀層内での銀粒子の位置を制御することができない。このため、ヘイズが大きくなってしまうこと、共鳴波長が広がってしまい赤外領域に近い可視光線をも反射してしまい、鏡のようになってしまうという問題があった。
【0008】
このように、近赤外線などの赤外線反射率及び可視光線透過性に優れた熱線遮蔽材の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3454422号公報
【特許文献2】特開2007−108536号公報
【特許文献3】特開2007−178915号公報
【特許文献4】特開2007−138249号公報
【特許文献5】特開2007−138250号公報
【特許文献6】特開2007−154292号公報
【特許文献7】特許第3734376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、近赤外線などの赤外線反射率及び可視光線透過性に優れた熱線遮蔽材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基板と、該基板上に少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層とを有してなる熱線遮蔽材であって、金属粒子が、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子を60個数%以上有し、隣接する前記金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも20%であることを特徴とする熱線遮蔽材である。
<2> 熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、20%以上である前記<1>に記載の熱線遮蔽材である。
<3> 金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも15%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<4> 熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、30%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも11%である前記<1>に記載の熱線遮蔽材である。
<5> 熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、40%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも6.5%である前記<1>に記載の熱線遮蔽材である。
<6> 熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、45%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも5%である前記<1>に記載の熱線遮蔽材である。
<7> 熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、50%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも3.5%である前記<1>に記載の熱線遮蔽材である。
<8> 金属平板粒子が、少なくとも銀を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<9> 金属平板粒子存在領域の厚みが、多くとも100nmである前記<1>から<8>のいずれかに記載の熱線遮蔽材。
<10> 熱線遮蔽材の日射熱取得率が、70%以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
<11> 熱線遮蔽材の可視光線透過率が、60%以上である前記<1>から<11>のいずれかに記載の熱線遮蔽材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、近赤外線などの赤外線反射率及び可視光線透過性に優れた熱線遮蔽材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略円盤形状の平板粒子である。
【図1B】図1Bは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略六角形状の平板粒子である。
【図2】図2は、本発明の熱線遮蔽材において、平板粒子の配置の態様を示した概略平面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、最も理想的な存在状態である。
【図3B】図3Bは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、基板の平面と平板粒子の平面とのなす角度(θ)を説明する図である。
【図3C】図3Cは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、金属粒子含有層の熱線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示す図である。
【図4】図4は、本発明の熱線遮蔽材の一例を示した概略断面図である。
【図5】図5は、実施例1で得られた熱線遮蔽材のSEM写真であって、20,000倍で観察したものである。
【図6】図6は、面積率、ヘイズ値及びCV値との関係の一例を示したグラフである。
【図7】図7は、面積率、ヘイズ値及びCV値との関係の一例を示したグラフである。
【図8】図8は、平均粒子厚み、ヘイズ値及びCV値との関係の一例を示したグラフである。
【図9】図9は、バインダーの厚みとヘイズ値との関係の一例を示したグラフである。
【図10A】図10Aは、バインダーの厚みが0.02μmのシミュレーションモデルの一例を示した断面図である。
【図10B】図10Bは、バインダーの厚みが0.10μmのシミュレーションモデルの一例を示した断面図である。
【図10C】図10Cは、バインダーの厚みが0.35μmのシミュレーションモデルの一例を示した断面図である。
【図11】図11は、実施例1で得られた熱線遮蔽材の分光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(熱線遮蔽材)
本発明の熱線遮蔽材は、基板と、金属粒子含有層とを有し、必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0015】
<金属粒子含有層>
前記金属粒子含有層は、少なくとも1種の金属粒子を含有する層であって、基板上に形成されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0016】
−金属粒子−
前記金属粒子としては、金属の平板粒子(以下、「金属平板粒子」と称することもある。)を含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば金属平板粒子の他、粒状、立方体状、六面体状、八面体状、ロッド状などが挙げられる。
前記金属粒子含有層において、金属粒子の存在形態としては、基板平面に対して略水平に偏在している限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、基板と金属粒子とが略接触する形態、基板と金属粒子とが熱線遮蔽材の深さ方向に一定の距離で配置されている形態が挙げられる。
前記金属粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、500nm以下の平均円相当径を有するものであってもよい。
前記金属粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線(近赤外線)の反射率が高いという点で、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金が好適である。
【0017】
−金属平板粒子−
前記金属平板粒子としては、2つの平板面からなる粒子(図1A及び図1B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略六角形状、略円盤形状、略三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、略六角形状、略円盤形状が特に好ましい。
平板面とは、例えば、図1A及び図1Bに示したような直径が含まれる面を意味する。
前記略円盤形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属平板粒子を平板面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記略六角形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属平板粒子を平板面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0018】
前記金属粒子含有層に存在する金属粒子のうち、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上が好ましく、65個数%以上がより好ましく、70個数%以上が特に好ましい。前記金属平板粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光線透過率が低くなってしまうことがある。
【0019】
[面配向]
本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子は、その平板面が基板の表面に対して所定の範囲で面配向することを一態様とする。
前記金属平板粒子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射率を高める点で基板平面に対して略水平に偏在していることが好ましい。
前記面配向としては、金属平板粒子の平板面と、基板の表面とが、所定の範囲内で略平行になっている態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、面配向の角度は、0°〜±30°であり、0°〜±20°が好ましい。
【0020】
ここで、図3A〜図3Cは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図である。図3Aは、金属粒子含有層2中における金属平板粒子3の最も理想的な存在状態を示す。図3Bは、基板1の平面と金属平板粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図3Cは、金属粒子含有層2の熱線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示すものである。
図3Bにおいて、基板1の表面と、金属平板粒子3の平板面又は平板面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、熱線遮蔽材の断面を観察した際、図3Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図3Aは、基板1の表面と金属平板粒子3の平板面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。基板1の表面に対する金属平板粒子3の平板面の面配向の角度、即ち図3Bにおけるθが±30°を超えると、熱線遮蔽材の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまったり、ヘイズが大きくなってしまうことがある。
【0021】
前記金属平板粒子の存在領域の厚み(粒子存在域厚みf(λ))としては、金属粒子周囲の平均屈折率をnとしたときに、共鳴反射率を大きくする観点から2,500/(4n)nm以下が好ましく、可視光のヘイズを小さくする観点から700/(4n)nm以下がより好ましく、400/(4n)nm以下が特に好ましい。具体的には、前記金属平板粒子の存在領域の厚みとしては、多くとも100nmが好ましい。
前記厚みが、2,500/(4n)nmを超えると、ヘイズが大きくなることがあり、熱線遮蔽材の上側と下側のそれぞれの金属粒子含有層の界面での反射波の位相により反射波の振幅が強めあう効果が小さくなってしまい、共鳴波長での反射率が大きく下がることがある。前記金属平板粒子の存在領域の厚みが、金属平板粒子の厚みの2倍未満である場合を「単層」又は「単層状」と称することもある。
【0022】
[面配向の評価]
前記基板の表面に対して金属平板粒子の平板面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における基板及び金属平板粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、熱線遮蔽材を、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて熱線遮蔽材の断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
【0023】
本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッターで切断することで、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。また、熱線遮蔽材において金属平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。
【0024】
前記の通り作製した断面サンプル又は断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて基板の表面に対して金属平板粒子の平板面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。前記断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、金属平板粒子の形状と傾角(図3Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
【0025】
[平均円相当径及び平均円相当径の粒度分布]
前記金属平板粒子の平均円相当径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜5,000nmが好ましく、30nm〜1,000nmがより好ましく、70nm〜500nmが特に好ましい。
前記平均円相当径が、10nm未満であると、金属平板粒子のアスペクト比が小さくなり、形状が球状となる傾向があり、また、透過スペクトルのピーク波長が500nm以下になることがあり、また、金属平板粒子の吸収の寄与が反射より大きくなるため十分な熱線反射能が得られなくなることがあり、5,000nmを超えると、ヘイズ(散乱)が大きくなり、基板の透明性が損なわれてしまうことがある。
ここで、前記平均円相当径とは、TEMで金属粒子を観察して得た画像から任意に選んだ200個の金属平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
前記金属粒子含有層としては、前記金属粒子含有層中に平均円相当径が異なる2種以上の金属粒子を含有することができ、この場合、金属粒子の平均円相当径のピークが2つ以上、即ち2つの平均円相当径を有していてもよい。
【0026】
本発明の熱線遮蔽材において、前記金属平板粒子の粒度分布における変動係数としては、30%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
前記変動係数が、30%を超えると、熱線遮蔽材における熱線の反射波長域がブロードになることがある。
ここで、前記金属平板粒子の粒度分布における変動係数は、例えば前記の通り得た平均円相当径の算出に用いた200個の金属平板粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、前記の通り得た平板面直径(最大長さ)の平均値(平均円相当径)で割った値(%)である。
【0027】
[アスペクト比]
前記金属平板粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光域長波長側から近赤外光領域での反射率が高くなる点から、2〜80が好ましく、4〜60がより好ましい。
前記アスペクト比が、2未満であると、反射波長が600nmより小さくなり、80を超えると、反射波長が2,000nmより長くなり、十分な熱線反射能が得られないことがある。
前記アスペクト比は、金属平板粒子の平均円相当径を金属平板粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。前記平均粒子厚みは、金属平板粒子の平板面間距離に相当し、例えば、図1A及び図1Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に金属平板粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
【0028】
[金属平板粒子の存在範囲]
本発明の熱線遮蔽材において、図3Cに示すように、金属粒子含有層2における金属平板粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、金属粒子含有層2における媒質の屈折率をnとするとき、前記金属粒子含有層2が、熱線遮蔽材の水平面からの深さ方向において、(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲外であると、熱線遮蔽材の上側と下側のそれぞれの金属粒子含有層の界面での反射波の位相により反射波の振幅が強めあう効果が小さくなってしまい、可視光透過率及び熱線最大反射率が低下してしまうことがある。
【0029】
前記金属粒子含有層における金属平板粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmが好ましく、可視光域のヘイズ(散乱性)を低くする点及び可視光透過率を付与する点から、700nm〜2,500nmがより好ましい。
前記金属粒子含有層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子などの高分子、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
前記媒質の屈折率nとしては、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0030】
[金属平板粒子の面積率(面密度)]
前記熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。
前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば熱線遮蔽材の基板を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
【0031】
[隣接する金属粒子含有層間距離]
本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子は、図3A〜図3C及び図4に示すように、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の形態で配置される。
前記金属粒子含有層としては、図3A〜図3Cに示すように、単層で構成されてもよく、図4に示すように、複数の金属粒子含有層で構成されてもよい。図4のように複数の金属粒子含有層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
複数の金属粒子含有層を設ける際に、前記金属粒子含有層同士のコヒーレントな光学干渉の大きな影響を抑制し、独立の金属粒子含有層として扱うためには金属粒子含有層同士の距離を15μm以上離すことが好ましく、30μm以上離すことがより好ましく、100μm以上離すことが特に好ましい。
前記距離が、15μm未満であると、金属粒子含有層同士の干渉ピークのピッチ幅が金属平板粒子を含む金属粒子含有層の共鳴ピーク半値幅(約300nm〜400nm)の1/10より大きくなり、反射スペクトルに影響が出ることがある。
前記隣接する金属粒子含有層間距離は、例えば、熱線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
【0032】
[隣接する金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数]
前記隣接する金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数は、隣接する金属平板粒子の中心間距離のばらつきの度合いを示す数値である。
前記隣接する金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数(CV値)としては、(最近接粒子中心間距離の標準偏差)/(最近接粒子中心間距離の平均)×100(%)を意味する。
【0033】
前記変動係数(CV値)としては、20%以下であり、15%以下が好ましく、11%以下がより好ましく、6.5%以下が更に好ましく、5%以下が特に好ましく、3.5%以下が最も好ましい。
前記変動係数が、20%を超えると、ヘイズ値が大きくなり、透明性が損なわれることがある。
【0034】
前記変動係数は、例えば、FDTD法(Finite Difference Time Domain method)によるシュミレーションモデルを作成することで求めることができる。
【0035】
具体的には、シミュレーションモデルの作成に用いるパラメータとして、金属粒子の粒子形状、平均粒径、粒子厚み、金属粒子の面積率、隣接する粒子間距離、複素屈折率を入力する。
前記金属粒子の水平面内での位置を、隣接する金属粒子間距離未満の距離にほかの前記金属粒子が存在しないという条件を満たすようにランダムに配列させる。具体的には、n番目の金属粒子をおくとき、計算機により生成されるランダム数で決定される特定の座標に配置し、1〜(n−1)番目の粒子全てと距離を測定し、全ての金属粒子との距離が条件である隣接する金属粒子間距離以上であればその位置に配置し、1つでも隣接する粒子間距離未満の距離に金属粒子が存在すれば、その位置を放棄し、新たに生成された別の座標にn番目の金属粒子があるとして繰り返すアルゴリズムで面積率を満たすまで金属粒子を配置して、ランダム構造の金属粒子モデルを得る。
前記金属粒子含有層の厚み方向については、同じ高さに金属粒子が単層状に存在する条件でシミュレーションモデルを作成する。
【0036】
作成した前記シミュレーションモデルの金属粒子のランダム配列構造より、すべての金属粒子の最隣接した金属粒子中心間距離を求める。ここで、前記金属粒子の中心は、前記金属粒子の水平断面において前記金属粒子の密度が金属粒子内全てで均一であるとしたときの重心位置と定義する。最隣接とは、全ての金属粒子の中心−中心間距離を測定し、最も距離の短い金属粒子の中心−中心間距離を意味する。全ての金属粒子の最隣接金属粒子中心間距離より、最隣接金属粒子中心間距離の平均値と標準偏差を求めて、金属粒子中心間距離のCV値を求めることができる。
前記重心位置及び前記金属粒子の中心−中心間距離は、例えば、SEM写真を解析ソフトであるImageJ(http://rsbweb.nih.gov/ij/)に取り込み、マクロ効果を加えることで測定することができる。
図6、図7に示すように、面積率を大きくしCV値を小さくすることで、ヘイズ値を小さくすることができる。また、図8に示すように、粒子厚み及びCV値が小さいほどヘイズ値を小さくすることができる。
CV値が小さいときは、全ての粒子が均一に近くに並ぶため、最近接中心−中心間距離は大きくなる傾向にあり、前記CV値が大きくヘイズ値の大きいときは凝集に近い状態になるため、最近接中心−中心間距離は小さくなる。なお、前記CV値の大きさは、面密度に依存する。
【0037】
[金属平板粒子の合成方法]
前記金属平板粒子の合成方法としては、略六角形状又は略円盤形状を合成し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が好ましい。六角形又は三角形状の金属平板粒子を合成後、例えば硝酸、亜硫酸ナトリウムなどの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、又は加熱によるエージング処理を行うことにより、六角形又は三角形状の金属平板粒子の角を鈍らせて、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子を得てもよい。
【0038】
前記金属平板粒子の合成方法としては、前記の他、予めフィルムやガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属Agなどを結晶成長させてもよい。
【0039】
本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施されてもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率材料の被覆、分散剤、酸化防止剤などの各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
【0040】
−高屈折率材料−
前記金属平板粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆し、高屈折率シェル層を形成するようにしてもよい。
【0041】
前記高屈折率材料の屈折率としては、1.6以上が好ましく、1.8以上がより好ましく、2.0以上が特に好ましい。前記屈折率は、例えば、分光エリプソメトリー法(ウーラム製VASE)で測定することができる。
前記屈折率が、1.6未満であると、ガラス中やゼラチン中など屈折率1.5程度の媒質中にある場合、周囲の媒質との屈折率段差がほとんどなくなり、高屈折率シェル層の目的である、可視光でのAR効果やヘイズ抑制効果が小さくなること、また、屈折率段差が小さいほど必要なシェル厚みが大きくなり金属平板粒子層1層内の面密度を大きくできないことがある。
【0042】
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばAl、TiO、BaTiO、ZnO、SnO、ZrO、NbOなどが挙げられる。なお、xは、1以上3以下の整数を表す。
【0043】
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀の金属平板粒子の表面にTiO層を形成する方法であってもよい。
【0044】
また、前記金属平板粒子に直接高屈折率材料を被覆することが困難な場合は、前記の通り金属平板粒子を合成した後、適宜SiOやポリマーのシェル層を形成し、更に、前記高屈折率材料上に前記金属酸化物層を形成してもよい。TiOを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOが光触媒活性を有することから、金属平板粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて金属平板粒子にTiO層を形成した後、適宜SiO層を形成してもよい。
【0045】
−各種添加物の添加−
本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子には、該金属平板粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾールやアスコルビン酸のような酸化防止剤が吸着されていてもよい。また、酸化防止を目的として、Niなどの酸化犠牲層が金属平板粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiOなどの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
【0046】
前記金属平板粒子は、分散性付与を目的として、N元素、S元素、P元素を含む低分子量分散剤、例えば4級アンモニウム塩、アミン類、高分子量分散剤などの分散剤を添加されてもよい。
【0047】
前記金属粒子含有層の厚みとしては、金属粒子周囲の平均屈折率をnとしたときに、共鳴反射率を大きくする観点から2,500/(4n)nm以下が好ましく、可視光のヘイズを小さくする観点から700/(4n)nm以下がより好ましく、400/(4n)nm以下が特に好ましい。
前記厚みが、2,500/(4n)nmを超えると、ヘイズが大きくなることがあり、熱線遮蔽材の上側と下側のそれぞれの金属粒子含有層の界面での反射波の位相により反射波の振幅が強めあう効果が小さくなってしまい、共鳴波長での反射率が大きく下がることがある。
【0048】
前記日射の進入方向に最も近い金属粒子含有層のプラズモン共鳴ピーク波長の反射率としては、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。
前記反射率が、30%未満であると、赤外線の遮蔽性を十分に得られないことがある。
前記反射率は、例えば、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)で測定することができる。
【0049】
各前記金属粒子含有層の反射率としては、日射の進入方向に最も近い金属粒子含有層を最も大きくし、日射の進入方向に最も遠い金属粒子含有層にかけて順に小さくなる構成とすることが好ましい。このような構成にすることで、複合された金属粒子含有層の赤外線反射率をより大きくすることができるという点で有利である。
【0050】
前記金属粒子含有層の透過率としては、600nm〜2,500nmの波長の範囲で極小値となることが好ましく、700nm〜2,000nmがより好ましく、780nm〜1,800nmが特に好ましい。
前記波長が、600nm未満であると、可視光を遮蔽し、暗くなる・色がつくことがあり、2,500nmを超えると、太陽光成分が小さいために、十分な遮熱特性が得られないことがある。
【0051】
<基板>
前記基板としては、光学的に透明な基板であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線透過率が70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。また、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白板ガラス、青板ガラス等のガラス材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)などが挙げられる。
【0052】
<その他の部材>
−保護層−
本発明の熱線遮蔽材において、基板との密着性を向上させたり、機械強度的に保護するため、保護層を有することが好ましい。
前記保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダー、界面活性剤、及び粘度調整剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0053】
−−バインダー−−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光透明性や日光透明性が高い方が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。なお、バインダーが熱線を吸収すると、金属平板粒子による反射効果が弱まってしまうことから、熱線源と金属平板粒子との間に中間層を形成する場合は、780nm〜1,500nmの領域に吸収を持たない材料を選択したり、保護層の厚みを薄くすることが好ましい。
【0054】
前記バインダーの屈折率としては、1.0〜10.0が好ましく、1.05〜5.0がより好ましく、1.1〜4.0が特に好ましい。
前記屈折率が、1.1未満であると、薄膜として均一なバインダーを得ることが困難となることがあり、10.0を超えると、必要な厚みが10nm程度となり均一な膜の形成が難しくなることがある。
【0055】
前記バインダーとしては、400nm〜700nmの範囲に吸収を持たないことが好ましく、380nm〜2,500nmの範囲に吸収を持たないことがより好ましい。
前記バインダーが、400nm〜700nmの範囲に吸収を持つと、可視光を吸収し、色味・可視光透過率に悪影響をもたらすことがあり、380nm〜2,500nmの範囲に吸収を持つと、遮熱を反射でなく吸収で行うことになるため、遮熱特性を小さくすることがある。
【0056】
本発明の熱線遮蔽材の可視光線反射率としては、バインダーがガラス基板や保護層で挟まれた状態において、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下が特に好ましい。
前記可視光線反射率が、15%を超えると、反射光の映り込みがガラス板に比べて目立って大きくなることがある。
前記可視光線反射率は、例えば、JIS−R3106:1998「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法」に記載の方法に従って測定することができる。
【0057】
本発明の熱線遮蔽材の可視光線透過率は、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。
前記可視光線透過率が、60%未満であると、例えば自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に、外部が見にくくなることがある。
前記可視光線透過率は、例えば、JIS−R3106:1998「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法」に記載の方法に従って測定することができる。
【0058】
本発明の熱線遮蔽材のヘイズとしては、20%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下が特に好ましい。
前記ヘイズが20%を超えると、例えば自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に、外部が見にくくなったり、安全上好ましくないことがある。
前記ヘイズは、例えば、JIS K7136、JIS K7361−1にしたがって測定することができる。
【0059】
本発明の熱線遮蔽材の日射熱取得率としては、70%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下が特に好ましい。
前記日射熱取得率が、70%を超えると、熱の遮蔽効果が小さく、遮熱性が十分でないことがある。
前記日射熱取得率は、例えば、JIS−R3106:1998「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法」に記載の方法に従って測定することができる。
【0060】
[熱線遮蔽材の製造方法]
本発明の熱線遮蔽材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基板上に、金属平板粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等による塗布や、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
【0061】
また、金属平板粒子の基板表面への吸着性や面配向性を高めるために、静電的な相互作用を利用して、面配向させる方法であってもよい。具体的には、金属平板粒子の表面が負に帯電している場合(例えば、クエン酸等の負帯電性の媒質に分散した状態)は、基板の表面を正に帯電(例えば、アミノ基等で基板表面を修飾)させておき、静電的に面配向性を高めることにより、面配向させる方法であってもよい。また、金属平板粒子の表面が親水性である場合は、基板の表面をブロックコポリマーやμコンタクトスタンプ法などにより、親疎水の海島構造を形成しておき、親疎水性相互作用を利用して面配向性と金属平板粒子の粒子間距離とを制御してもよい。
【0062】
なお、面配向を促進するために、金属平板粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラー等の圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
【0063】
[熱線遮蔽材の使用態様]
本発明の熱線遮蔽材は、熱線(近赤外線)を選択的に反射又は吸収するために使用される態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、乗り物用ガラスやフィルム、建材用ガラスやフィルム、農業用フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、省エネルギー効果の点で、乗り物用ガラスやフィルム、建材用ガラスやフィルムであることが好ましい。
なお、本発明において、熱線(近赤外線)とは、太陽光に約50%含まれる近赤外線(780nm〜2,500nm)を意味する。
【0064】
前記ガラスの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記のようにして製造した熱線遮蔽材に、更に接着層を形成し、自動車等の乗り物用ガラスや建材用ガラスに貼合せたり、合せガラスに用いるPVBやEVA中間膜に挟み込んで用いることができる。また、粒子/バインダー層のみをPVBやEVA中間膜に転写し、基材を剥離除去した状態で使用してもよい。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
<熱線遮蔽材の作製>
−金属平板粒子の合成−
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mlに0.5g/lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5ml添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を3ml添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mlを20ml/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作成した。
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mlにイオン交換水87.1mlを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMのアスコルビン酸水溶液を2ml添加し、前記種溶液を42.4ml添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mlを10ml/minで攪拌しながら添加した。30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1ml添加し、7%ゼラチン水溶液を200g添加した。この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mlと0.47Mの硝酸銀水溶液107mlを混合してできた白色沈殿物混合液を添加した。前記白色沈殿物混合液を添加した後すぐに0.17MのNaOH水溶液72mlを添加した。このときpHが10を超えないように添加速度を調節しながらNaOH水溶液を添加した。これを300分間攪拌し、銀平板粒子分散液を得た。
この銀平板粒子分散液中には、平均円相当径200nmの銀の六角平板粒子(以下、銀六角平板粒子と称する)が生成していることを確認した。また、原子間力顕微鏡(NanocuteII、セイコーインスツル社製)で、銀六角平板粒子の厚みを測定したところ、平均20nmであり、アスペクト比が10.0の銀六角平板粒子が生成していることが分かった。
−金属粒子含有層の作製−
前記銀平板粒子分散液16mlに1MのNaOHを1.00ml及びイオン交換水24mlを添加し、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)で5,000rpmで5分間遠心分離を行い銀六角平板粒子を沈殿させた。遠心分離後の上澄み液を捨て、水を19ml添加し、沈殿した銀六角平板粒子を再分散させた。この分散液に2%の水メタノール溶液(水:メタノール=1:1(質量比))を1.6ml添加し塗布液を作成した。この塗布液をワイヤー塗布バーNo.14(R.D.S Webster N.Y.社製)を用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥させて、表面に銀六角平板粒子が固定されたフィルムを得た。
得られたPETフィルムに厚み20nmになるようにカーボン薄膜を蒸着した後、SEM観察(日立製作所製、FE−SEM、S−4300、2kV、2万倍)したところ、PETフィルム上に銀六角平板粒子が凝集なく固定されていた。
その後、前記銀六角平板粒子が固定されたPETフィルム基板の表面に、1質量%のポリビニルブチラール(PVB)(和光純薬工業社製、平均重合度700)トルエン−アセトン(トルエン:アセトン=1:1(質量比))溶液を、ワイヤー塗布バーNo.30を用いて塗布し、乾燥させて、厚み1μm(1,000nm)の保護層を設けた。以上により、実施例1の熱線遮蔽材を作製した。
【0067】
(実施例2〜29、比較例1〜6)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、表1に示すように1MのNaOHの添加量、水の添加量、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)での回転数及び回転時間の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜29、比較例1〜6の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。
【0068】
(実施例30〜47)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mlを2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液255.2mlとし、イオン交換水87.1mlを添加する代わりにイオン交換水127.6mlを添加し、0.17MのNaOH水溶液72mlを添加する代わりに0.08MのNaOH水溶液72mlを添加し、表1に示すように1MのNaOHの添加量、水の添加量、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)での回転数及び回転時間の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例30〜47の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。
【0069】
(実施例48〜55)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液に添加する白色沈殿物混合液を添加後に添加する0.17MのNaOH水溶液72mlを0.83MのNaOH水溶液72mlに代え、さらに、表1に示すように1MのNaOHの添加量、水の添加量、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)での回転数及び回転時間の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例48〜55の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。
【0070】
(実施例56〜66)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、表1に示すように1MのNaOHの添加量、水の添加量、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)での回転数及び回転時間の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例56〜66の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。
【0071】
(実施例67)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液を、希硝酸を添加後、80℃で1時間加熱するエージング処理を行った以外は、実施例1と同様にして、実施例67の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。エージング処理後の粒子をTEM観察した結果、六角形の角が鈍り、略円盤形状に変化したことを確認した。
【0072】
(実施例68〜74)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例67において、表1に示すように1MのNaOHの添加量、水の添加量、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)での回転数及び回転時間の条件を変更した以外は、実施例67と同様にして、実施例68〜74の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。
【0073】
(実施例75)
実施例1において、以下に示すように、金属粒子含有層中の銀六角平板粒子を高屈折率材料であるTiOで被覆させTiOシェルを形成させた以外は、実施例1と同様にして、実施例75の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。なお、TiOの屈折率を分光エリプソメトリー法(ウーラム製VASE)で測定したところ、屈折率は2.2であった。
−TiOシェルの形成−
TiOシェルの形成は、文献(Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735)を参考に実施した。銀六角平板粒子分散液に、テトラエトキシチタン2mL、アセチルアセトン2.5mL、及びジメチルアミン0.1mLを添加し、5時間撹拌することにより、TiOシェルで被覆された銀六角平板粒子を得た。この銀六角平板粒子の断面をSEMで観察したところ、TiOシェルの厚みは30nmであった。
【0074】
(実施例76〜77)
<熱線遮蔽材の作製>
実施例75において、表1に示すように1MのNaOHの添加量、水の添加量、遠心分離器(コクサン社製H−200N、アンブルローターBN)での回転数及び回転時間の条件を変更した以外は、実施例75と同様にして、実施例76〜77の金属平板粒子、及び熱線遮蔽材を作製した。
【0075】
(評価)
次に、得られた金属粒子及び熱線遮蔽材について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表1〜表3に示す。
【0076】
<面積率の測定>
得られた熱線遮蔽材について、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得たSEM画像を2値化し、熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕を求めた。
【0077】
<金属平板粒子の割合、平均円相当径、平均円相当径の変動係数>
銀平板粒子の形状均一性は、観察したSEM画像から任意に抽出した200個の粒子の形状を、略六角形状又は略円盤形状の粒子をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子個数の割合(個数%)を求めた。
また、同様にAに該当する粒子100個の粒子径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均円相当径とし、円相当径の標準偏差を平均円相当径で割った変動係数(%)を求めた。
【0078】
<平均厚み>
得られた金属平板粒子を含む分散液を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、金属平板粒子1個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲は5μm、走査速度は180秒/1フレーム、データ点数は256×256とした。
【0079】
−アスペクト比−
得られた金属平板粒子の平均円相当径及び平均粒子厚みから、平均円相当径を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
【0080】
<最隣接金属粒子中心−中心間距離>
得られた熱線遮蔽材のSEM画像を解析ソフトであるImageJに取り込み、マクロ効果を加えることで金属粒子の解析を行った。2値化後、粒子の輪郭を検出し、金属粒子の厚みが均一であるとして、金属粒子の重心座標を求めた。全ての金属粒子同士の重心座標間距離を求め、最小値の重心座標間距離を最近接金属粒子中心−中心間距離として求めた。
【0081】
<隣接する金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数(CV値)(実施例1〜55、比較例1〜6)>
−金属平板粒子単層配置のモデル化−
シミュレーションモデル作成に用いるパラメータとして、金属平板粒子の粒子形状、粒径、平均粒子厚み、金属平板粒子集団の面積率、最隣接金属粒子間距離を入力した。粒径は正六角形の外接円の直径で定義した。
金属平板粒子の水平面内での位置を、最隣接金属粒子間距離未満の距離にほかの金属平板粒子が存在しないという条件を満たすようにランダムに配列させた。具体的には、n番目の粒子をおくとき、計算機により生成されるランダム数で決定される特定の座標に配置し、1〜(n−1)番目の金属平板粒子全てと距離を測定し、全ての金属平板粒子との距離が条件である最隣接金属粒子間距離以上であればその位置に配置し、1つでも最隣接金属粒子間距離未満の距離に金属平板粒子が存在すれば、その位置を放棄し、新たに生成された別の座標にn番目の金属平板粒子があるとして繰り返すアルゴリズムで面積率を満たすまで金属平板粒子を配置して、ランダム構造の金属平板粒子モデルを得た。
金属平板粒子は、金属粒子含有層の厚み方向(垂直方向)で単層状に存在するとし、全ての金属平板粒子が単層状に存在する条件でシミュレーションモデルを作成した。
【0082】
−FDTD法によるシミュレーション−
作成したシミュレーションモデルの金属平板粒子のランダム配列構造より、電磁場光学シミュレーションFDTD法で分光スペクトルを計算することで全ての金属平板粒子の最近接の金属平板粒子中心間距離を求めた。全ての金属平板粒子の最近接粒子中心間距離より、最近接粒子中心間距離の平均値と標準偏差を求めて、(最近接粒子中心間距離の標準偏差)/(最近接粒子中心間距離の平均)×100(%)によりCV値を求めた。
【0083】
上記のように作成したシミュレーションモデルについて電磁場光学シミュレーションFDTD法で分光スペクトルを計算した。モデルに対する入力パラメータとして、金属平板粒子、周囲媒質の複素屈折率の分光特性を入力した。金属平板粒子の複素屈折率は、文献(P.Winsemius et.al.,J.Phys.F6,1583(1976))に示された複素屈折率を用いた。周囲媒質は、n=1.50,k=0.00を設定した。太陽光スペクトルに対応するように300nm〜2,500nmの波長範囲でFDTD法によって金属粒子含有層の分光スペクトルを計算した。この分光スペクトルにより、反射率のピーク波長を求めた。なお、反射率のピーク波長は、全波長の反射率の中で最も大きな反射率をとる波長とした。
図5に、粒径200nm、平均粒子厚み20nm、粒子形状正六角形状、面積率20%、最近接粒子中心間距離のCV値6.67%の条件の銀平板粒子集団の水平断面の一部を示した。
【0084】
<ヘイズ値>
FDTD法によるシミュレーションによる分光スペクトルより、それぞれの波長における透過散乱光量と全透過光量の割合を下記式から求めた。下記式を元に、JIS−K7136、JIS−K7361−1にしたがってヘイズ値を求めた。

{((空気中に透過してくる透過光量)−(空気中に透過してくる直線透過光量))/(空気中に透過してくる透過光量)×100}(%)
【0085】
<隣接する金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数(CV値)(実施例56〜66)>
−バインダー中に銀微粒子分散のモデル化(単層状モデルとの比較)−
実施例1において銀の水平面内での配置は変化させずに、銀の存在する金属粒子含有層の厚み方向に対する高さを一定範囲でランダムに配置することで、金属粒子含有層の厚み方向の銀の分布の影響を調べた。銀の存在する高さの幅をバインダー厚みとして、他の手順は実施例1と同様にしてシミュレーションモデル作成を行った。図10Aにバインダー厚みが0.02μm、図10Bにバインダー厚みが0.10μm及び図10Cにバインダー厚みが0.35μmのときのシミュレーションモデルの断面図を示した。バインダー厚みが厚くなるほど、銀平板粒子が存在することができる領域が広くなる。
銀平板粒子の位置を評価する方法として、高さ方向を無視して銀の水平面内での配置のみを考えて、2次元の粒子位置より、金属平板粒子中心間距離と金属平板粒子中心間距離のCV値を求めた。
【0086】
<可視光透過スペクトル及び熱線反射スペクトル>
得られた熱線遮蔽材の透過スペクトル及び反射スペクトルは、自動車用ガラスの評価規格であるJISに準じて評価した。
透過及び反射スペクトルは、紫外可視近赤外分光機(日本分光株式会社製、V−670)を用いて評価した。評価には、絶対反射率測定ユニット(ARV−474、日本分光株式会社製)を用い、入射光は45°偏光板を通し、無偏光と見なせる入射光とした。
図11は、実施例1のスペクトルであり、表面の基板の反射を除いて、金属粒子含有層のみを算出したスペクトルである。
【0087】
<日射熱取得率・可視光線透過率・可視光線反射率>
日射熱取得率・可視光線透過率・可視光線反射率は、JIS−R3106:1998「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射取得率の試験方法」に記載の方法によって、300nm〜2,100nmまで測定した。測定結果よりJIS−R3106に従って算定した。このとき、入射光側から熱線遮蔽材の深さ方向に対して金属粒子含有層に熱線遮蔽材が配置された向きで測定を行った。
また、測定結果から得られる光学反射スペクトルより、反射最大値を求めて最大反射波長とした。そのときの反射率を最大反射率(ピーク反射率)とした。
【0088】
<電波透過性>
表面抵抗測定装置(ロレスタ、三菱化学アナリテック株式会社製)を用いて、前記の通りに得た熱線遮蔽材の表面抵抗(Ω/□)を測定し、電波透過性の指標とした。
【0089】
<金属粒子含有層の透過率の極小値の波長>
透過率のスペクトルを表記したときに、透過率に下凸部の極小値が現れる。その極小値を取るときの波長の値を金属粒子含有層の透過率の極小値の波長とした。
【0090】
<面積率、ヘイズ値及びCV値との関係>
実施例1、実施例18、実施例23、及び実施例28で作製した熱線遮蔽材について、CV値を変化させたときのヘイズ値の変化を測定した。結果を図6に示す。
同様に、実施例32、実施例39及び実施例45についても同様に測定した。結果を図7に示す。
図6、図7より、面積率が小さい場合はCV値を大きくするとヘイズ値も大きくなりやすいことがわかる。
【0091】
<平均粒子厚み、ヘイズ値及びCV値との関係>
実施例1及び実施例52で作製した熱線遮蔽材について、CV値を変化させたときのヘイズ値の変化を測定した。結果を図8に示す。
図8より、平均粒子厚みが大きい場合はCV値を大きくするとヘイズ値も大きくなりやすいことがわかる。
【0092】
<バインダーの厚みとヘイズ値の関係>
実施例1において、バインダーの厚みを変化させてヘイズ値の変化を測定した。結果を図9に示す。
図9より、バインダーの厚みが0.02μm〜0.08μmと0.10μm以上でヘイズ値に対する傾きが変化しており、バインダーの厚みが大きいとヘイズ値が上昇していることがわかる。
これは銀の存在範囲が可視光に対して(波長)/4/(周辺屈折率)を超えたためと考えられる。可視光の視感度の最大値である555nmのとき、(波長)/4/(周辺屈折率)は92.5nmとなる。これは、粒子同士の相互作用により、直線透過光が強め合って働く距離は(波長)/4/(周辺屈折率)となる。バインダー厚みがこの距離を超えることで、相互作用による散乱の打ち消しあいが弱くなる他に、直線透過光の打ち消し合いも起こり、ヘイズが上昇したものと考えられる。
【0093】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0094】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の熱線遮蔽材は、反射波長選択性及び反射帯域選択性が高く、可視光線透過性及び電波透過性に優れているので、例えば自動車、バス等の乗り物用ガラス、建材用ガラスなど、熱線の透過を防止することの求められる種々の部材として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 基板
2 金属粒子含有層
3 金属平板粒子
4 バインダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層とを有してなる熱線遮蔽材であって、
金属粒子が、略六角形状又は略円盤形状の金属平板粒子を60個数%以上有し、
隣接する前記金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも20%であることを特徴とする熱線遮蔽材。
【請求項2】
熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、20%以上である請求項1に記載の熱線遮蔽材。
【請求項3】
金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも15%である請求項1から2のいずれかに記載の熱線遮蔽材。
【請求項4】
熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、30%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも11%である請求項1に記載の熱線遮蔽材。
【請求項5】
熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、40%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも6.5%である請求項1に記載の熱線遮蔽材。
【請求項6】
熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、45%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも5%である請求項1に記載の熱線遮蔽材。
【請求項7】
熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積Aに対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、50%以上であり、金属平板粒子の中心間距離の分布の変動係数が、多くとも3.5%である請求項1に記載の熱線遮蔽材。
【請求項8】
金属平板粒子が、少なくとも銀を含む請求項1から7のいずれかに記載の熱線遮蔽材。
【請求項9】
金属平板粒子存在領域の厚みが、多くとも100nmである請求項1から8のいずれかに記載の熱線遮蔽材。
【請求項10】
熱線遮蔽材の日射熱取得率が、70%以下である請求項1から9のいずれかに記載の熱線遮蔽材。
【請求項11】
熱線遮蔽材の可視光線透過率が、60%以上である請求項1から10のいずれかに記載の熱線遮蔽材。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−253094(P2011−253094A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127687(P2010−127687)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】