熱転写プリンタ
【課題】サーマルヘッドを熱転写プリンタ本体から取り外す際、ヘッドユニットの抜け防止爪を解除しながらサーマルヘッドを抜く必要がある等の問題があった。
【解決手段】この発明にかかるサーマルヘッド1を備える熱転写プリンタは、サーマルヘッド1が取り付けられ、熱転写プリンタの本体と係合離脱可能なヘッド取付け基台10と、熱転写プリンタの本体に備えられた対応する本体側基台11と、一方に備えられたカム23と、カム23に対応して他方に備えられ、カム23と係合離脱可能で係合時にカム23により駆動され所定位置での位置決めを完成する係合ピン19とを備える。
【解決手段】この発明にかかるサーマルヘッド1を備える熱転写プリンタは、サーマルヘッド1が取り付けられ、熱転写プリンタの本体と係合離脱可能なヘッド取付け基台10と、熱転写プリンタの本体に備えられた対応する本体側基台11と、一方に備えられたカム23と、カム23に対応して他方に備えられ、カム23と係合離脱可能で係合時にカム23により駆動され所定位置での位置決めを完成する係合ピン19とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写プリンタに関し、特にサーマルヘッドの熱転写プリンタ本体への係合および離脱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱転写プリンタの構造を図14に示す。図において従来の熱転写プリンタは、その本体9において複数の発熱体を有するサーマルヘッド1と、サーマルヘッド1に対向して配置されるプラテンローラ2と、サーマルヘッド1とプラテンローラ2の間に配置された、画像を形成するための印画媒体であるペーパー3と、染料あるいは顔料等が塗布されたインクシート4と、ペーパー3の裏面に位置し、表面に微小な突起を設ける等して高い用紙搬送力を有したグリップローラ5と、グリップローラ5に対向して配置されたピンチローラ6と、インクシート4を巻回した供給側インクシートロール7と、インクシート4を巻き取る巻取り側インクシートロール8とを備える。
【0003】
このような構成の熱転写プリンタでは、プリント時にペーパー3とインクシート4をサーマルヘッド1およびプラテンローラ2で挟み、これを圧着した状態でサーマルヘッド1の発熱体を選択的に発熱させることにより、インクシート4上の染料または顔料をペーパー3上に転写するものである。そして、ペーパー3はピンチローラ6とグリップローラ5の間に位置し、ピンチローラ6をグリップローラ5に押し付けることによりグリップローラ5の回転駆動力をペーパー3に伝達し、ペーパー3は搬送されペーパー3上に画像が形成されるものである。また、使用済みのインクシート4は巻取り側インクシートロール8に巻き取られるものである。
【0004】
熱転写プリンタでは、印画する際にインクシート背面とサーマルヘッド1は摺動するため、サーマルヘッド1の磨耗が進行してサーマルヘッド1上の発熱体が正常に発熱しなくなったり、異物を噛み込んでサーマルヘッド1上の発熱体を破損することがある。その場合には、サーマルヘッド1自体の交換が必要となる。またサーマルヘッド1は、ねじやばね、引っ掛けフック等を用いて熱転写プリンタ本体9に取り付けられており、さらにサーマルヘッド1を制御する信号線が接続されているため、熱転写プリンタ本体9からサーマルヘッド1を取り外すことは不慣れな者には困難である。
【0005】
この改善策として、例えばサーマルヘッド1収容領域にサーマルヘッドユニットの左右上下方向の位置決めをするガイド溝と、奥行き方向のストッパーと、サーマルヘッドユニットの抜け防止用の爪とを設けた熱転写プリンタが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3006743号(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように構成された熱転写プリンタでは、サーマルヘッドユニットを熱転写プリンタ本体9から取り外す際にはヘッドユニットの抜け防止爪を解除する取手部を起こしながら、サーマルヘッドユニットを抜く必要がある。サーマルヘッドユニットの制御用信号線を繋ぐコネクタは多ピンであるため抜去力が大きく、抜いた直後に装置内の部品に手をぶつけて怪我をしたり、ヘッドユニットをぶつけてヘッドユニットや熱転写プリンタ本体を破損したりする。また、取外しはロックを解除しながらヘッドを抜く等両手での作業となるため、やはりヘッドユニットを落下させてヘッドユニットや熱転写プリンタ本体を破損したりする等の問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、サーマルヘッドを落下させてしまう等の危険がなくサーマルヘッドの交換が容易にできる、熱転写プリンタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる熱転写プリンタは、サーマルヘッドを備える熱転写プリンタであって、前記サーマルヘッドが取り付けられ、前記熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台と、前記熱転写プリンタの本体に備えられた、前記ヘッド取付け基台に対応する本体側基台と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられ、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との位置決めを行う第1位置決め部と、前記第1位置決め部に対応して他方に備えられ前記第1位置決め部と協働して前記位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられたカムと、前記カムに対応して他方に備えられ前記カムと係合および離脱可能で係合時に前記カムにより駆動されて前記所定位置での位置決めを完成するカムフォロワと、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1案内部と、前記第1案内部に対応して他方に備えられ前記第1案内部と協働して前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の係合を案内する第2案内部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1コネクタ部と、前記第1コネクタ部に対応して他方に備えられ前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の接近離間方向において前記第1コネクタ部と挿抜自在で前記所定位置での位置決め時に前記第1コネクタ部と装着される第2コネクタ部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかるサーマルヘッドを備える熱転写プリンタによれば、前記サーマルヘッドが取り付けられ、前記熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台と、前記熱転写プリンタの本体に備えられた、前記ヘッド取付け基台に対応する本体側基台と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられ、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との位置決めを行う第1位置決め部と、前記第1位置決め部に対応して他方に備えられ前記第1位置決め部と協働して前記位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられたカムと、前記カムに対応して他方に備えられ前記カムと係合および離脱可能で係合時に前記カムにより駆動されて前記所定位置での位置決めを完成するカムフォロワと、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1案内部と、前記第1案内部に対応して他方に備えられ前記第1案内部と協働して前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の係合を案内する第2案内部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1コネクタ部と、前記第1コネクタ部に対応して他方に備えられ前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の接近離間方向において前記第1コネクタ部と挿抜自在で前記所定位置での位置決め時に前記第1コネクタ部と装着される第2コネクタ部とを備えることにより、カムにより保持されながらサーマルヘッドの接近および離間ができ、サーマルヘッドを落下させてしまう等の危険がなく容易にサーマルヘッドの交換ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッド周辺部を示す斜視図であり、サーマルヘッドユニットが本体側基台に固定された状態を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッド周辺部を示す斜視図であり、図1の反対側から見た図である。
【図3】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットの構成を示す斜視図であり、図3の反対側下方から見た図である。
【図5】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタの熱転写プリンタ本体側に固定された本体側基台の構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタにおけるヘッド周辺の構成を表す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが取り外し位置にある状態を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが取り外し位置にある状態を示す図であり、図8のX−Xでの断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが取り外し位置にある状態を示す斜視図であり、図8の反対側から見た図である。
【図11】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが本体側基台に固定された状態を示す図で、図1のX−Xでの断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2である熱転写プリンタのサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態3である熱転写プリンタのサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図である。
【図14】従来の熱転写プリンタの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は本発明の実施の形態1における熱転写プリンタのサーマルヘッド周辺部を示すものである。
【0013】
図1において、サーマルヘッド1を固定したヘッド取付け基台10が示されている。このヘッド取付け基台10は、熱転写プリンタ本体9と係合および離脱が可能である。熱転写プリンタに用いられるサーマルヘッド1は、製作の容易性から発熱体を有するセラミック基板および駆動回路部を設けた回路基板を高熱伝導材料(通常はアルミ)よりなる平板状の部材上に接着剤等で固定し、ヘッド取付け基台10にねじ等で固定されるのが一般的であり、この組立体を通常ヘッドユニットと称する。
【0014】
この時、ヘッド取付け基台10にはサーマルヘッド1の熱を外部に放出するために冷却フィンを設け、サーマルヘッド1との接合部に伝熱性の良い伝熱グリスや伝熱シート等を塗布または貼付してサーマルヘッド1の熱を効率よく伝えるようにしてある。
【0015】
図1には、熱転写プリンタ本体9側に固定され、ヘッド取付け基台10に対応し図1においてヘッド取付け基台10の下方に位置する本体側基台11と、本体側基台11上の側面に設けられたヘッド取付け基台10の前後方向(短辺方向、図1のX方向)の姿勢を案内し、後述する第1案内部としてのガイドレールA20に対応して備えられた複数の第2案内部としてのガイドローラA12と、本体側基台11のガイドローラA12とは異なる側面に設けられ、図示しない内部の複数のカム23の駆動を連動させる連動部に備えられた複数の図示しない回動カム(カム23)を連動して駆動させる歯車部としてのヘッド着脱ノブ13と、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に付勢するための、本体側基台11の側面に備えられた複数のばね14とが示されている。
【0016】
本実施の形態1では、ガイドローラA12、ヘッド着脱ノブ13は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0017】
図2は図1を反対側(図1の左奥側)から見たものであり、図2において、サーマルヘッド1への信号および電源を供給する配線部と熱転写プリンタ本体9と接続するためのコネクタとを有する、ヘッド取付け基台10の側面に備えられたヘッド中継基板15と、ヘッド中継基板15上に設けられた熱転写プリンタ本体9と接続する第1コネクタ部としてのコネクタA16と、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近、または離間する方向に垂直な面内で、本体側基台11の側面にヘッド中継基板15に対応して設けられた本体側中継基板17と、本体側中継基板17上に設けられヘッド側中継基板15上のコネクタA16と接続し、第1コネクタ部としてのコネクタA16に対応しヘッド取付け基台10および本体側基台11の接近離間方向においてコネクタA16と挿抜自在で、所定位置での位置決め時にコネクタA16に装着される、第2コネクタ部としてのコネクタB18とがさらに示されている。なお本体側中継基板17はヘッド取付け基台10の接近離間方向に垂直な面内に移動可能に取り付けられている。
【0018】
図3は本発明の実施の形態1におけるサーマルヘッドユニットの構成を示す図で、ヘッド取付け基台10の本体側基台11への着脱時に本体側基台11に設けられたカム(後述)に対応して備えられ、当該カムと係合および離脱可能で、係合時に当該カムにより駆動されて、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との所定位置での位置決めを完成する、カムフォロワである係合ピン19が、サーマルヘッドユニットの下方にそれぞれ示されている。本実施の形態1では操作時の摺動ロスを軽減するために、係合ピン19をローラタイプとした場合を示している。その他の図示されている、図1および図2に示したものと同様の番号を付している構成は、図1および図2における構成と同様である。
【0019】
本実施の形態1では、係合ピン19はヘッド取付け基台10に備えられているが、適当な態様で本体側基台11に備えられていてもよい。
【0020】
図4は図3反対側下方から見た図であり、図4において、ヘッド取付け基台10の長辺方向端に設けられ、ヘッド取付け基台10を着脱する際にヘッド取付け基台10の前後方向(短辺方向、図1のX方向)の位置を案内し、第2案内部としてのガイドローラA12に対応する第1案内部としてのガイドレールA20と、ヘッド取付け基台10の長辺方向端に設けられ、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に取り付ける際ヘッド取付け基台10と本体側基台11との位置決めを行う第1位置決め部である位置決め穴21と、ヘッド取付け基台10上に設けられ、ヘッド取付け基台10を着脱する際にヘッド取付け基台10の左右方向(長辺方向)の位置を案内し、第2案内部としてのガイドローラB24に対応する第1案内部としてのガイドレールB22とがさらに示されている。
前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0021】
本実施の形態1では、ガイドローラA20、位置決め穴21、ガイドレールB22はヘッド取付け基台10に備えられているが、適当な態様で本体側基台11に備えられていてもよい。
【0022】
図5は本発明の実施の形態1における熱転写プリンタ本体9側に固定された本体側基台11の構成を示す図で、長辺方向にそれぞれ配置され、台座の外周に歯車部分を有し、対応する係合ピン19と係合する回動可能なカム23と、ヘッド取付け基台10に設けられた左右方向(長辺方向)のガイドレールB22に当接し、第1案内部としてのガイドレールB22に対応しガイドレールB22と協働してヘッド取付け基台10および本体側基台11の係合を案内する第2案内部としてのガイドローラB24と、第1位置決め部としての位置決め穴21に対応して備えられ、位置決め穴21と協働して位置決めを所定位置に規定する、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に取り付ける際の位置決め穴21に挿入される第2位置決め部としての位置決めピン25とがさらに示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0023】
本実施の形態1では、カム23、ガイドローラB24、位置決めピン25は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0024】
図6は本発明の実施の形態1におけるサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図で、ヘッド着脱ノブ13と噛み合う複数のカム23の駆動を連動させる連動部に備えられた、複数の回動カムを連動して駆動させる歯車部としての中継歯車A26と、同様に中継歯車A26およびカム23の歯車部分と噛み合う複数のカム23の駆動を連動させる連動部に備えられた、複数の回動カムを連動して駆動させる歯車部としての中継歯車B27と、着脱機構を支えるフレーム28とがさらに示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。フレーム28は付勢ばね14の取付け部を有している。また、フレーム28は本体側基台11に対してヘッド取付け基台10の接近離間方向に移動可能に支持されている。
【0025】
本実施の形態1では、中継歯車A26、中継歯車B27は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0026】
図7は本発明の実施の形態1における熱転写プリンタのヘッド周辺の構成を表す図で、図14での供給側インクシートロール7および巻取り側インクシートロール8を内蔵したインクカセット29が、ヘッド取付け基台10および本体側基台11の側面に設けられた状態で示されている。なお、本実施の形態1ではサーマルヘッド1の上方にプラテンローラ2を配置し、プラテンローラ2をサーマルヘッド1に押し付ける場合を示した。
【0027】
<A−2.動作>
次に動作について説明する。
【0028】
まずサーマルヘッドユニットが取り外された状態である図5の状態で、ヘッド着脱ノブ13をヘッド取付け位置側(係合ピン19が係合離脱可能な位置)に回す。ここでヘッド着脱ノブ13は、ヘッド取付け位置(係合ピン19が係合離脱可能な位置)とヘッド固定位置(係合ピン19が離脱不可能な位置)の2ポジションの間を移動(回動)可能となっており、この範囲を超える位置にはストッパー(図示せず)が設けられ、これにより回転を規制されている。
【0029】
この状態で、サーマルヘッドユニットを本体側基台11に載せた状態を図8に示す。図8では図示しないが、本体側基台11内部においてカム23はヘッド着脱ノブ13の駆動によって、係合ピン19が係合離脱可能な位置に配置されている。
【0030】
図8において、サーマルヘッドユニットを本体側基台11の所定の位置に載せると、ヘッド取付け基台10に設けられたガイドレールA20と本体側基台11に設けられたガイドローラA12とが当接することによりヘッド取付け基台10の前後方向(短辺方向)の姿勢が安定し、ヘッド取付け基台10に設けられたガイドレールB22と本体側基台11に設けられたガイドローラB24とが当接することによりヘッド取付け基台10の左右方向(長辺方向)の位置が安定する。これによりヘッド取付け基台10に設けた係合ピン19が安定して本体側基台11のカム23のカム溝に誘導される。
【0031】
図8のX−Xでの断面を図9に、図8を反対側から見た図を図10に示す。
【0032】
図8、図10に示すように、この状態ではヘッド取付け基台10の位置決め穴21と本体側基台11の位置決めピン25およびヘッド取付け基台10のコネクタA16と本体側基台11のコネクタB18は離れた(離間した)状態にある。
【0033】
次いで、図8のヘッド着脱ノブ13をヘッド固定位置側(係合ピン19が離脱不可能な位置)に回すと、図6に示したようにヘッド着脱ノブ13の回転力は中継歯車A26から2つの中継歯車B27へ分岐して伝達され、夫々カム23を駆動する。例えば着脱ノブ13を図中矢印A方向に回したとすると、カム23は図中矢印B方向に回転する。カム23が図9の状態から矢印B方向に回転すると、ヘッド取付け基台10に設けられた係合ピン19がカム溝に沿って移動(接近)し、図11に示す状態となる。このとき、係合ピン19は、カム23のカム溝に保持されながら移動するため、ヘッド取付け基台10は、ヘッド取付け基台10の接近離間方向には離脱不可能な状態で、本体側基台11に接近することになる。すると本体側基台11に設けられた位置決めピン25がヘッド取付け基台10に設けられた位置決め穴21に挿入されてヘッド取付け基台10の前後左右の位置が所定位置に定まる。カム23の半径方向のストロークをヘッド取付け基台10と本体側基台11の間隙よりも大きく設定することにより、カム23が係合ピン19を完全に引き込む前にヘッド取付け基台10と本体側基台11が所定位置で当接する。
【0034】
ヘッド取付け基台10と本体側基台11が当接した後は、本体側基台11に備えられた、カム23を支持するフレーム28が、その基台上において反力により上方(ヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近離間方向の上方)へ移動する。フレーム28は本体側基台11とばね14により結合されているので、結果ヘッド取付け基台10が本体側基台11にばね14のばね力により付勢されるものである(図1、図2の状態)。
【0035】
本実施の形態1では、フレーム28は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0036】
ヘッド取付け基台10が本体側基台11に引き込まれるのと同時にヘッド取付け基台10側の第1コネクタ部としてのコネクタA16も本体側基台11の第2コネクタ部としてのコネクタB18に結合する。この時コネクタB18は本体側中継基板17が本体側基台11に対して基板の平面方向に移動可能な若干の裕度を持って取り付けられているので、コネクタA16とコネクタB18の相対的な位置ずれを吸収する。なお、裕度を持って取り付けられるのは、コネクタA16の方であってもよい。
【0037】
また、ヘッド着脱ノブ13の操作力が増幅されるように、ヘッド着脱ノブ13〜カム23までの歯車列のギア比およびカム23のカム溝の形状が設定されている。
【0038】
サーマルヘッドユニットの取り外しは上記の逆の手順で行うものであり、ヘッド着脱ノブ13を上記と逆の方向に回転させることによりヘッド取付け基台10に設けられた係合ピン19を押し上げ、コネクタA16とコネクタB18との結合を解除(離間)し、ヘッド取付け基台10の拘束は解かれるものである。
【0039】
このように構成された熱転写プリンタにおいては、サーマルヘッドユニットの着脱の際、ヘッド着脱ノブ13の操作力がヘッド着脱ノブ13〜カム23までの歯車列およびカム23により増幅されるので、軽い力でサーマルヘッドユニットを本体側基台11に圧着できるとともに、コネクタA16とコネクタB18の着脱も同時かつ確実に行えるものである。
【0040】
<A−3.効果>
この発明にかかる実施の形態1によれば、サーマルヘッド1を備える熱転写プリンタが、サーマルヘッド1が取り付けられ、熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台10と、熱転写プリンタの本体に備えられた、ヘッド取付け基台10に対応する本体側基台11と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられ、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との位置決めを行う第1位置決め部である位置決め穴21と、位置決め穴21に対応して他方に備えられ位置決め穴21と協働して位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部である位置決めピン25と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられたカム23と、カム23に対応して他方に備えられカム23と係合および離脱可能で係合時にカム23により駆動されて所定位置での位置決めを完成するカムフォロワである係合ピン19と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられた第1案内部であるガイドレールA20、ガイドレールB22と、ガイドレールA20、ガイドレールB22に対応して他方に備えられガイドレールA20、ガイドレールB22と協働してヘッド取付け基台10および本体側基台11の係合を案内する第2案内部であるガイドローラA12、ガイドローラB24と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられた第1コネクタ部であるコネクタA16と、コネクタA16に対応して他方に備えられヘッド取付け基台10および本体側基台11の接近離間方向においてコネクタA16と挿抜自在で所定位置での位置決め時にコネクタA16と装着される第2コネクタ部であるコネクタB18とを備えることで、カム23により係合ピン19が保持されながらサーマルヘッド1の接近および離間ができ、サーマルヘッド1を落下させてしまう等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0041】
また、コネクタA16およびコネクタB18の挿抜方向が、ヘッド取付け基台10および本体側基台11の接近離間方向と同じ方向であるので、コネクタの係合、離脱も同時に行うことができる。
【0042】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、カム23を複数備え、複数のカム23の駆動を連動させる連動部である中継歯車A26および中継歯車B27およびそれらを接続するヘッド着脱ノブ13をさらに備えることで、複数のカム23の駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、また片手で行うことが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0043】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、カム23は回動可能な回動カムであることで、当該回動カムの駆動によってヘッド取付け基台10と本体側基台11を接近および離間させることができ、また回動カムに備えられたカム溝に保持されながら当該接近および離間がなされるため、ヘッド取付け基台10の接近離間方向に離脱不可能な状態でサーマルヘッド1の交換操作が可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0044】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、連動部が、複数の回動カムであるカム23を連動して駆動させる歯車部としての中継歯車A26、中継歯車B27、それらを接続するヘッド着脱ノブ13を備えることで、複数のカム23の駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、片手で行うことが可能となる。また、中継歯車のギア比およびカム溝の形状を設定することにより、回転力を増幅させて操作することが可能となるので、より小さな力でサーマルヘッドユニットを本体側基台11に圧着できる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0045】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、第1、第2コネクタ部であるコネクタA16、コネクタB18は、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近離間方向と垂直な方向に移動可能な裕度をもって取り付けられることで、コネクタA16、コネクタB18の相対的な位置ずれを吸収することが可能となる。よって、容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0046】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、ヘッド取付け基台10または本体側基台11は、カム23またはカムフォロワである係合ピン19を支持するフレーム28をさらに備え、対応する基台上において、フレーム28はヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近離間方向に移動可能であることで、当該移動範囲においてばね14で付勢し、確実に所定位置に固定することが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0047】
本実施の形態1ではヘッド取付け基台10に位置決め穴21、ガイドレールA20、ガイドレールB22を設け、本体側基台11に位置決めピン25、ガイドローラA12、ガイドローラB24を設けた場合を示したが、夫々の構成を入れ替えても同様の効果が得られるものである。
【0048】
また、本実施の形態1ではヘッド取付け基台10に係合ピン19を設け、本体側基台11に回転カム23を設けたが、ヘッド取付け基台10側にカム溝を設け、本体側基台11に回転板を設け、回転板に係合ピン19を設けても同様の効果が得られる。
【0049】
また、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に付勢するばね14として引張ばね、圧縮ばね、捻りばねのどれを用いてもよい。
【0050】
また、本実施の形態1では本体側基台11に設けたヘッド着脱機構のフレーム28をヘッド取付け基台10の接近離間方向に移動可能に構成したが、係合ピン19をヘッド取付け基台10に対してヘッド取付け基台10の接近離間方向に移動可能に配置し、係合ピン19とヘッド取付け基台10との間にばね14を設けてもよい。
【0051】
さらに、ばね14を用いることによりヘッド取付け基台10の本体側基台11への付勢力を安定して与えることができるが、ばね14を用いずにカム23、カム23の支軸、係合ピン19、フレーム28等の弾性を用いてもよい。
【0052】
<B.実施の形態2>
<B−1.構成>
実施の形態1ではヘッドユニット着脱の操作力増幅機構として回転するカム23を用いているが、往復移動可能なスライドカム(直進カム)を用いても同様の効果が得られるものである。
【0053】
図12は本発明の実施の形態2のサーマルヘッドの着脱機構の構造の一例を示す図で、図12において、複数のカムの駆動を連動させる連動部に備えられた、複数のスライドカム(直進カム)を連動して駆動させるラック部としてのスライダ30と、スライダ30に設けられたカム溝31と、ヘッド着脱ノブ13の歯車部分と噛み合うスライダ30上に設けられ、複数のスライドカム(直進カム)を連動して駆動させるラック部としてのラック32とが示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0054】
<B−2.動作>
実施の形態1同様、ヘッド着脱ノブ13の回転力はラック32からスライダ30に伝達され、各々のカム溝31は並行移動をする。ヘッド着脱ノブ13の回転方向によって、カム溝31は往復移動をすることが可能であり、図示しない係合ピン19がそのカム溝31を保持されながら移動し、ヘッド取付け基台10が所定位置まで誘導される。
【0055】
例えば図示するようにヘッド取付け基台10を図中矢印A方向に回すと、スライダ30は図中矢印B方向に移動し、カム溝31の離脱可能位置に配置されていた図示しない係合ピン19は、カム溝31に沿って保持されながら移動し、ヘッド取付け基台10が所定位置に固定されることになる。
【0056】
<B−3.効果>
この発明にかかる実施の形態2によれば、熱転写プリンタにおいて、カムを複数備え、複数のカムの駆動を連動させる連動部であるヘッド着脱ノブ13、スライダ30、ラック32をさらに備えることで、複数のカムの駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、また片手で行うことが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0057】
また、この発明にかかる実施の形態2によれば、熱転写プリンタにおいて、カムは往復移動可能な直進カムであることで、ヘッド着脱ノブ13の回転により往復移動し、カム溝31中の係合ピン19を移動させることで、ヘッド取付け基台10と本体側基台11を接近および離間させることができ、また直進カムに備えられたカム溝31に保持されながら当該接近および離間がなされるため、ヘッド取付け基台10の接近離間方向に離脱不可能な状態でサーマルヘッド1の交換操作が可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0058】
また、この発明にかかる実施の形態2によれば、熱転写プリンタにおいて、連動部は、複数の直進カムを連動して駆動させるラック部であるヘッド着脱ノブ13、スライダ30、ラック32を備えることで、複数のカムの駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、片手で行うことが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0059】
本実施の形態2ではヘッド取付け基台10側に係合ピン19を設け、本体側基台11側のスライダ30上にカム溝31を設けた場合を示したが、ヘッド取付け基台10側にカム溝31を設け、スライダ30側に係合ピン19を設けても同様の効果が得られるものである。
【0060】
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
実施の形態1および2では、カム23およびスライダ30の駆動を手動としたが、これをモータ等のアクチュエータにより駆動することより、簡単にヘッドユニットの交換ができる。
【0061】
図13は本発明の実施の形態3のサーマルヘッドの着脱機構の構造の一例を示す図で、図13においてスライダ30を駆動する駆動部としてのモータ33と、モータ33の軸に取り付けられたピニオン34と、ピニオン34およびスライダ30のラック32と噛み合いモータ33の駆動力をスライダ30に伝達するための中継歯車C35とがさらに示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0062】
<C−2.動作>
中継歯車C35がピニオン34を介したモータ33の駆動により回転し、その回転力がラック32に伝達されることで、直進カムが並行移動する。
【0063】
<C−3.効果>
この発明にかかる実施の形態3によれば、熱転写プリンタにおいて、カムまたはカムフォロワである係合ピン19の台座を駆動する駆動部であるモータ33をさらに備えることで、カムの駆動を自動的に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0064】
また、ヘッド着脱ノブ13を設ける必要がなくなりヘッド周りのレイアウトの自由度が増す等の効果がある。
【0065】
なお、実施の形態3においては駆動部であるモータ33等は本体側基台11に備えられているが、ヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0066】
また、実施の形態3において、実施の形態2において示した直進カムを用いた場合を示しているが、実施の形態1において示した回動カムを用いた場合でも、同様の効果が期待できる。
【符号の説明】
【0067】
1 サーマルヘッド、2 プラテンローラ、3 ペーパー、4 インクシート、5 グリップローラ、6 ピンチローラ、7 供給側インクシートロール、8 巻取り側インクシートロール、9 熱転写プリンタ本体、10 ヘッド取付け基台、11 本体側基台、12 ガイドローラA、13 ヘッド着脱ノブ、14 ばね、15 中継基板、16 コネクタA、17 本体側中継基板、18 コネクタB、19 係合ピン、20 ガイドレールA、21 位置決め穴、22 ガイドレールB、23 カム、24 ガイドローラB、25 位置決めピン、26 中継歯車A、27 中継歯車B、28 フレーム、29 インクカセット、30 スライダ、31 カム溝、32 ラック、33 モータ、34 ピニオン、35 中継歯車C。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写プリンタに関し、特にサーマルヘッドの熱転写プリンタ本体への係合および離脱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱転写プリンタの構造を図14に示す。図において従来の熱転写プリンタは、その本体9において複数の発熱体を有するサーマルヘッド1と、サーマルヘッド1に対向して配置されるプラテンローラ2と、サーマルヘッド1とプラテンローラ2の間に配置された、画像を形成するための印画媒体であるペーパー3と、染料あるいは顔料等が塗布されたインクシート4と、ペーパー3の裏面に位置し、表面に微小な突起を設ける等して高い用紙搬送力を有したグリップローラ5と、グリップローラ5に対向して配置されたピンチローラ6と、インクシート4を巻回した供給側インクシートロール7と、インクシート4を巻き取る巻取り側インクシートロール8とを備える。
【0003】
このような構成の熱転写プリンタでは、プリント時にペーパー3とインクシート4をサーマルヘッド1およびプラテンローラ2で挟み、これを圧着した状態でサーマルヘッド1の発熱体を選択的に発熱させることにより、インクシート4上の染料または顔料をペーパー3上に転写するものである。そして、ペーパー3はピンチローラ6とグリップローラ5の間に位置し、ピンチローラ6をグリップローラ5に押し付けることによりグリップローラ5の回転駆動力をペーパー3に伝達し、ペーパー3は搬送されペーパー3上に画像が形成されるものである。また、使用済みのインクシート4は巻取り側インクシートロール8に巻き取られるものである。
【0004】
熱転写プリンタでは、印画する際にインクシート背面とサーマルヘッド1は摺動するため、サーマルヘッド1の磨耗が進行してサーマルヘッド1上の発熱体が正常に発熱しなくなったり、異物を噛み込んでサーマルヘッド1上の発熱体を破損することがある。その場合には、サーマルヘッド1自体の交換が必要となる。またサーマルヘッド1は、ねじやばね、引っ掛けフック等を用いて熱転写プリンタ本体9に取り付けられており、さらにサーマルヘッド1を制御する信号線が接続されているため、熱転写プリンタ本体9からサーマルヘッド1を取り外すことは不慣れな者には困難である。
【0005】
この改善策として、例えばサーマルヘッド1収容領域にサーマルヘッドユニットの左右上下方向の位置決めをするガイド溝と、奥行き方向のストッパーと、サーマルヘッドユニットの抜け防止用の爪とを設けた熱転写プリンタが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3006743号(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように構成された熱転写プリンタでは、サーマルヘッドユニットを熱転写プリンタ本体9から取り外す際にはヘッドユニットの抜け防止爪を解除する取手部を起こしながら、サーマルヘッドユニットを抜く必要がある。サーマルヘッドユニットの制御用信号線を繋ぐコネクタは多ピンであるため抜去力が大きく、抜いた直後に装置内の部品に手をぶつけて怪我をしたり、ヘッドユニットをぶつけてヘッドユニットや熱転写プリンタ本体を破損したりする。また、取外しはロックを解除しながらヘッドを抜く等両手での作業となるため、やはりヘッドユニットを落下させてヘッドユニットや熱転写プリンタ本体を破損したりする等の問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、サーマルヘッドを落下させてしまう等の危険がなくサーマルヘッドの交換が容易にできる、熱転写プリンタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる熱転写プリンタは、サーマルヘッドを備える熱転写プリンタであって、前記サーマルヘッドが取り付けられ、前記熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台と、前記熱転写プリンタの本体に備えられた、前記ヘッド取付け基台に対応する本体側基台と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられ、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との位置決めを行う第1位置決め部と、前記第1位置決め部に対応して他方に備えられ前記第1位置決め部と協働して前記位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられたカムと、前記カムに対応して他方に備えられ前記カムと係合および離脱可能で係合時に前記カムにより駆動されて前記所定位置での位置決めを完成するカムフォロワと、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1案内部と、前記第1案内部に対応して他方に備えられ前記第1案内部と協働して前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の係合を案内する第2案内部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1コネクタ部と、前記第1コネクタ部に対応して他方に備えられ前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の接近離間方向において前記第1コネクタ部と挿抜自在で前記所定位置での位置決め時に前記第1コネクタ部と装着される第2コネクタ部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかるサーマルヘッドを備える熱転写プリンタによれば、前記サーマルヘッドが取り付けられ、前記熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台と、前記熱転写プリンタの本体に備えられた、前記ヘッド取付け基台に対応する本体側基台と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられ、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との位置決めを行う第1位置決め部と、前記第1位置決め部に対応して他方に備えられ前記第1位置決め部と協働して前記位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられたカムと、前記カムに対応して他方に備えられ前記カムと係合および離脱可能で係合時に前記カムにより駆動されて前記所定位置での位置決めを完成するカムフォロワと、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1案内部と、前記第1案内部に対応して他方に備えられ前記第1案内部と協働して前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の係合を案内する第2案内部と、前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1コネクタ部と、前記第1コネクタ部に対応して他方に備えられ前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の接近離間方向において前記第1コネクタ部と挿抜自在で前記所定位置での位置決め時に前記第1コネクタ部と装着される第2コネクタ部とを備えることにより、カムにより保持されながらサーマルヘッドの接近および離間ができ、サーマルヘッドを落下させてしまう等の危険がなく容易にサーマルヘッドの交換ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッド周辺部を示す斜視図であり、サーマルヘッドユニットが本体側基台に固定された状態を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッド周辺部を示す斜視図であり、図1の反対側から見た図である。
【図3】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットの構成を示す斜視図であり、図3の反対側下方から見た図である。
【図5】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタの熱転写プリンタ本体側に固定された本体側基台の構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタにおけるヘッド周辺の構成を表す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが取り外し位置にある状態を示す斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが取り外し位置にある状態を示す図であり、図8のX−Xでの断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが取り外し位置にある状態を示す斜視図であり、図8の反対側から見た図である。
【図11】この発明の実施の形態1である熱転写プリンタのサーマルヘッドユニットが本体側基台に固定された状態を示す図で、図1のX−Xでの断面図である。
【図12】この発明の実施の形態2である熱転写プリンタのサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態3である熱転写プリンタのサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図である。
【図14】従来の熱転写プリンタの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は本発明の実施の形態1における熱転写プリンタのサーマルヘッド周辺部を示すものである。
【0013】
図1において、サーマルヘッド1を固定したヘッド取付け基台10が示されている。このヘッド取付け基台10は、熱転写プリンタ本体9と係合および離脱が可能である。熱転写プリンタに用いられるサーマルヘッド1は、製作の容易性から発熱体を有するセラミック基板および駆動回路部を設けた回路基板を高熱伝導材料(通常はアルミ)よりなる平板状の部材上に接着剤等で固定し、ヘッド取付け基台10にねじ等で固定されるのが一般的であり、この組立体を通常ヘッドユニットと称する。
【0014】
この時、ヘッド取付け基台10にはサーマルヘッド1の熱を外部に放出するために冷却フィンを設け、サーマルヘッド1との接合部に伝熱性の良い伝熱グリスや伝熱シート等を塗布または貼付してサーマルヘッド1の熱を効率よく伝えるようにしてある。
【0015】
図1には、熱転写プリンタ本体9側に固定され、ヘッド取付け基台10に対応し図1においてヘッド取付け基台10の下方に位置する本体側基台11と、本体側基台11上の側面に設けられたヘッド取付け基台10の前後方向(短辺方向、図1のX方向)の姿勢を案内し、後述する第1案内部としてのガイドレールA20に対応して備えられた複数の第2案内部としてのガイドローラA12と、本体側基台11のガイドローラA12とは異なる側面に設けられ、図示しない内部の複数のカム23の駆動を連動させる連動部に備えられた複数の図示しない回動カム(カム23)を連動して駆動させる歯車部としてのヘッド着脱ノブ13と、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に付勢するための、本体側基台11の側面に備えられた複数のばね14とが示されている。
【0016】
本実施の形態1では、ガイドローラA12、ヘッド着脱ノブ13は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0017】
図2は図1を反対側(図1の左奥側)から見たものであり、図2において、サーマルヘッド1への信号および電源を供給する配線部と熱転写プリンタ本体9と接続するためのコネクタとを有する、ヘッド取付け基台10の側面に備えられたヘッド中継基板15と、ヘッド中継基板15上に設けられた熱転写プリンタ本体9と接続する第1コネクタ部としてのコネクタA16と、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近、または離間する方向に垂直な面内で、本体側基台11の側面にヘッド中継基板15に対応して設けられた本体側中継基板17と、本体側中継基板17上に設けられヘッド側中継基板15上のコネクタA16と接続し、第1コネクタ部としてのコネクタA16に対応しヘッド取付け基台10および本体側基台11の接近離間方向においてコネクタA16と挿抜自在で、所定位置での位置決め時にコネクタA16に装着される、第2コネクタ部としてのコネクタB18とがさらに示されている。なお本体側中継基板17はヘッド取付け基台10の接近離間方向に垂直な面内に移動可能に取り付けられている。
【0018】
図3は本発明の実施の形態1におけるサーマルヘッドユニットの構成を示す図で、ヘッド取付け基台10の本体側基台11への着脱時に本体側基台11に設けられたカム(後述)に対応して備えられ、当該カムと係合および離脱可能で、係合時に当該カムにより駆動されて、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との所定位置での位置決めを完成する、カムフォロワである係合ピン19が、サーマルヘッドユニットの下方にそれぞれ示されている。本実施の形態1では操作時の摺動ロスを軽減するために、係合ピン19をローラタイプとした場合を示している。その他の図示されている、図1および図2に示したものと同様の番号を付している構成は、図1および図2における構成と同様である。
【0019】
本実施の形態1では、係合ピン19はヘッド取付け基台10に備えられているが、適当な態様で本体側基台11に備えられていてもよい。
【0020】
図4は図3反対側下方から見た図であり、図4において、ヘッド取付け基台10の長辺方向端に設けられ、ヘッド取付け基台10を着脱する際にヘッド取付け基台10の前後方向(短辺方向、図1のX方向)の位置を案内し、第2案内部としてのガイドローラA12に対応する第1案内部としてのガイドレールA20と、ヘッド取付け基台10の長辺方向端に設けられ、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に取り付ける際ヘッド取付け基台10と本体側基台11との位置決めを行う第1位置決め部である位置決め穴21と、ヘッド取付け基台10上に設けられ、ヘッド取付け基台10を着脱する際にヘッド取付け基台10の左右方向(長辺方向)の位置を案内し、第2案内部としてのガイドローラB24に対応する第1案内部としてのガイドレールB22とがさらに示されている。
前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0021】
本実施の形態1では、ガイドローラA20、位置決め穴21、ガイドレールB22はヘッド取付け基台10に備えられているが、適当な態様で本体側基台11に備えられていてもよい。
【0022】
図5は本発明の実施の形態1における熱転写プリンタ本体9側に固定された本体側基台11の構成を示す図で、長辺方向にそれぞれ配置され、台座の外周に歯車部分を有し、対応する係合ピン19と係合する回動可能なカム23と、ヘッド取付け基台10に設けられた左右方向(長辺方向)のガイドレールB22に当接し、第1案内部としてのガイドレールB22に対応しガイドレールB22と協働してヘッド取付け基台10および本体側基台11の係合を案内する第2案内部としてのガイドローラB24と、第1位置決め部としての位置決め穴21に対応して備えられ、位置決め穴21と協働して位置決めを所定位置に規定する、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に取り付ける際の位置決め穴21に挿入される第2位置決め部としての位置決めピン25とがさらに示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0023】
本実施の形態1では、カム23、ガイドローラB24、位置決めピン25は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0024】
図6は本発明の実施の形態1におけるサーマルヘッドの着脱機構の一例を示す図で、ヘッド着脱ノブ13と噛み合う複数のカム23の駆動を連動させる連動部に備えられた、複数の回動カムを連動して駆動させる歯車部としての中継歯車A26と、同様に中継歯車A26およびカム23の歯車部分と噛み合う複数のカム23の駆動を連動させる連動部に備えられた、複数の回動カムを連動して駆動させる歯車部としての中継歯車B27と、着脱機構を支えるフレーム28とがさらに示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。フレーム28は付勢ばね14の取付け部を有している。また、フレーム28は本体側基台11に対してヘッド取付け基台10の接近離間方向に移動可能に支持されている。
【0025】
本実施の形態1では、中継歯車A26、中継歯車B27は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0026】
図7は本発明の実施の形態1における熱転写プリンタのヘッド周辺の構成を表す図で、図14での供給側インクシートロール7および巻取り側インクシートロール8を内蔵したインクカセット29が、ヘッド取付け基台10および本体側基台11の側面に設けられた状態で示されている。なお、本実施の形態1ではサーマルヘッド1の上方にプラテンローラ2を配置し、プラテンローラ2をサーマルヘッド1に押し付ける場合を示した。
【0027】
<A−2.動作>
次に動作について説明する。
【0028】
まずサーマルヘッドユニットが取り外された状態である図5の状態で、ヘッド着脱ノブ13をヘッド取付け位置側(係合ピン19が係合離脱可能な位置)に回す。ここでヘッド着脱ノブ13は、ヘッド取付け位置(係合ピン19が係合離脱可能な位置)とヘッド固定位置(係合ピン19が離脱不可能な位置)の2ポジションの間を移動(回動)可能となっており、この範囲を超える位置にはストッパー(図示せず)が設けられ、これにより回転を規制されている。
【0029】
この状態で、サーマルヘッドユニットを本体側基台11に載せた状態を図8に示す。図8では図示しないが、本体側基台11内部においてカム23はヘッド着脱ノブ13の駆動によって、係合ピン19が係合離脱可能な位置に配置されている。
【0030】
図8において、サーマルヘッドユニットを本体側基台11の所定の位置に載せると、ヘッド取付け基台10に設けられたガイドレールA20と本体側基台11に設けられたガイドローラA12とが当接することによりヘッド取付け基台10の前後方向(短辺方向)の姿勢が安定し、ヘッド取付け基台10に設けられたガイドレールB22と本体側基台11に設けられたガイドローラB24とが当接することによりヘッド取付け基台10の左右方向(長辺方向)の位置が安定する。これによりヘッド取付け基台10に設けた係合ピン19が安定して本体側基台11のカム23のカム溝に誘導される。
【0031】
図8のX−Xでの断面を図9に、図8を反対側から見た図を図10に示す。
【0032】
図8、図10に示すように、この状態ではヘッド取付け基台10の位置決め穴21と本体側基台11の位置決めピン25およびヘッド取付け基台10のコネクタA16と本体側基台11のコネクタB18は離れた(離間した)状態にある。
【0033】
次いで、図8のヘッド着脱ノブ13をヘッド固定位置側(係合ピン19が離脱不可能な位置)に回すと、図6に示したようにヘッド着脱ノブ13の回転力は中継歯車A26から2つの中継歯車B27へ分岐して伝達され、夫々カム23を駆動する。例えば着脱ノブ13を図中矢印A方向に回したとすると、カム23は図中矢印B方向に回転する。カム23が図9の状態から矢印B方向に回転すると、ヘッド取付け基台10に設けられた係合ピン19がカム溝に沿って移動(接近)し、図11に示す状態となる。このとき、係合ピン19は、カム23のカム溝に保持されながら移動するため、ヘッド取付け基台10は、ヘッド取付け基台10の接近離間方向には離脱不可能な状態で、本体側基台11に接近することになる。すると本体側基台11に設けられた位置決めピン25がヘッド取付け基台10に設けられた位置決め穴21に挿入されてヘッド取付け基台10の前後左右の位置が所定位置に定まる。カム23の半径方向のストロークをヘッド取付け基台10と本体側基台11の間隙よりも大きく設定することにより、カム23が係合ピン19を完全に引き込む前にヘッド取付け基台10と本体側基台11が所定位置で当接する。
【0034】
ヘッド取付け基台10と本体側基台11が当接した後は、本体側基台11に備えられた、カム23を支持するフレーム28が、その基台上において反力により上方(ヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近離間方向の上方)へ移動する。フレーム28は本体側基台11とばね14により結合されているので、結果ヘッド取付け基台10が本体側基台11にばね14のばね力により付勢されるものである(図1、図2の状態)。
【0035】
本実施の形態1では、フレーム28は本体側基台11に備えられているが、適当な態様でヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0036】
ヘッド取付け基台10が本体側基台11に引き込まれるのと同時にヘッド取付け基台10側の第1コネクタ部としてのコネクタA16も本体側基台11の第2コネクタ部としてのコネクタB18に結合する。この時コネクタB18は本体側中継基板17が本体側基台11に対して基板の平面方向に移動可能な若干の裕度を持って取り付けられているので、コネクタA16とコネクタB18の相対的な位置ずれを吸収する。なお、裕度を持って取り付けられるのは、コネクタA16の方であってもよい。
【0037】
また、ヘッド着脱ノブ13の操作力が増幅されるように、ヘッド着脱ノブ13〜カム23までの歯車列のギア比およびカム23のカム溝の形状が設定されている。
【0038】
サーマルヘッドユニットの取り外しは上記の逆の手順で行うものであり、ヘッド着脱ノブ13を上記と逆の方向に回転させることによりヘッド取付け基台10に設けられた係合ピン19を押し上げ、コネクタA16とコネクタB18との結合を解除(離間)し、ヘッド取付け基台10の拘束は解かれるものである。
【0039】
このように構成された熱転写プリンタにおいては、サーマルヘッドユニットの着脱の際、ヘッド着脱ノブ13の操作力がヘッド着脱ノブ13〜カム23までの歯車列およびカム23により増幅されるので、軽い力でサーマルヘッドユニットを本体側基台11に圧着できるとともに、コネクタA16とコネクタB18の着脱も同時かつ確実に行えるものである。
【0040】
<A−3.効果>
この発明にかかる実施の形態1によれば、サーマルヘッド1を備える熱転写プリンタが、サーマルヘッド1が取り付けられ、熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台10と、熱転写プリンタの本体に備えられた、ヘッド取付け基台10に対応する本体側基台11と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられ、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との位置決めを行う第1位置決め部である位置決め穴21と、位置決め穴21に対応して他方に備えられ位置決め穴21と協働して位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部である位置決めピン25と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられたカム23と、カム23に対応して他方に備えられカム23と係合および離脱可能で係合時にカム23により駆動されて所定位置での位置決めを完成するカムフォロワである係合ピン19と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられた第1案内部であるガイドレールA20、ガイドレールB22と、ガイドレールA20、ガイドレールB22に対応して他方に備えられガイドレールA20、ガイドレールB22と協働してヘッド取付け基台10および本体側基台11の係合を案内する第2案内部であるガイドローラA12、ガイドローラB24と、ヘッド取付け基台10または本体側基台11の一方に備えられた第1コネクタ部であるコネクタA16と、コネクタA16に対応して他方に備えられヘッド取付け基台10および本体側基台11の接近離間方向においてコネクタA16と挿抜自在で所定位置での位置決め時にコネクタA16と装着される第2コネクタ部であるコネクタB18とを備えることで、カム23により係合ピン19が保持されながらサーマルヘッド1の接近および離間ができ、サーマルヘッド1を落下させてしまう等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0041】
また、コネクタA16およびコネクタB18の挿抜方向が、ヘッド取付け基台10および本体側基台11の接近離間方向と同じ方向であるので、コネクタの係合、離脱も同時に行うことができる。
【0042】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、カム23を複数備え、複数のカム23の駆動を連動させる連動部である中継歯車A26および中継歯車B27およびそれらを接続するヘッド着脱ノブ13をさらに備えることで、複数のカム23の駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、また片手で行うことが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0043】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、カム23は回動可能な回動カムであることで、当該回動カムの駆動によってヘッド取付け基台10と本体側基台11を接近および離間させることができ、また回動カムに備えられたカム溝に保持されながら当該接近および離間がなされるため、ヘッド取付け基台10の接近離間方向に離脱不可能な状態でサーマルヘッド1の交換操作が可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0044】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、連動部が、複数の回動カムであるカム23を連動して駆動させる歯車部としての中継歯車A26、中継歯車B27、それらを接続するヘッド着脱ノブ13を備えることで、複数のカム23の駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、片手で行うことが可能となる。また、中継歯車のギア比およびカム溝の形状を設定することにより、回転力を増幅させて操作することが可能となるので、より小さな力でサーマルヘッドユニットを本体側基台11に圧着できる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0045】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、第1、第2コネクタ部であるコネクタA16、コネクタB18は、ヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近離間方向と垂直な方向に移動可能な裕度をもって取り付けられることで、コネクタA16、コネクタB18の相対的な位置ずれを吸収することが可能となる。よって、容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0046】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、熱転写プリンタにおいて、ヘッド取付け基台10または本体側基台11は、カム23またはカムフォロワである係合ピン19を支持するフレーム28をさらに備え、対応する基台上において、フレーム28はヘッド取付け基台10と本体側基台11との接近離間方向に移動可能であることで、当該移動範囲においてばね14で付勢し、確実に所定位置に固定することが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0047】
本実施の形態1ではヘッド取付け基台10に位置決め穴21、ガイドレールA20、ガイドレールB22を設け、本体側基台11に位置決めピン25、ガイドローラA12、ガイドローラB24を設けた場合を示したが、夫々の構成を入れ替えても同様の効果が得られるものである。
【0048】
また、本実施の形態1ではヘッド取付け基台10に係合ピン19を設け、本体側基台11に回転カム23を設けたが、ヘッド取付け基台10側にカム溝を設け、本体側基台11に回転板を設け、回転板に係合ピン19を設けても同様の効果が得られる。
【0049】
また、ヘッド取付け基台10を本体側基台11に付勢するばね14として引張ばね、圧縮ばね、捻りばねのどれを用いてもよい。
【0050】
また、本実施の形態1では本体側基台11に設けたヘッド着脱機構のフレーム28をヘッド取付け基台10の接近離間方向に移動可能に構成したが、係合ピン19をヘッド取付け基台10に対してヘッド取付け基台10の接近離間方向に移動可能に配置し、係合ピン19とヘッド取付け基台10との間にばね14を設けてもよい。
【0051】
さらに、ばね14を用いることによりヘッド取付け基台10の本体側基台11への付勢力を安定して与えることができるが、ばね14を用いずにカム23、カム23の支軸、係合ピン19、フレーム28等の弾性を用いてもよい。
【0052】
<B.実施の形態2>
<B−1.構成>
実施の形態1ではヘッドユニット着脱の操作力増幅機構として回転するカム23を用いているが、往復移動可能なスライドカム(直進カム)を用いても同様の効果が得られるものである。
【0053】
図12は本発明の実施の形態2のサーマルヘッドの着脱機構の構造の一例を示す図で、図12において、複数のカムの駆動を連動させる連動部に備えられた、複数のスライドカム(直進カム)を連動して駆動させるラック部としてのスライダ30と、スライダ30に設けられたカム溝31と、ヘッド着脱ノブ13の歯車部分と噛み合うスライダ30上に設けられ、複数のスライドカム(直進カム)を連動して駆動させるラック部としてのラック32とが示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0054】
<B−2.動作>
実施の形態1同様、ヘッド着脱ノブ13の回転力はラック32からスライダ30に伝達され、各々のカム溝31は並行移動をする。ヘッド着脱ノブ13の回転方向によって、カム溝31は往復移動をすることが可能であり、図示しない係合ピン19がそのカム溝31を保持されながら移動し、ヘッド取付け基台10が所定位置まで誘導される。
【0055】
例えば図示するようにヘッド取付け基台10を図中矢印A方向に回すと、スライダ30は図中矢印B方向に移動し、カム溝31の離脱可能位置に配置されていた図示しない係合ピン19は、カム溝31に沿って保持されながら移動し、ヘッド取付け基台10が所定位置に固定されることになる。
【0056】
<B−3.効果>
この発明にかかる実施の形態2によれば、熱転写プリンタにおいて、カムを複数備え、複数のカムの駆動を連動させる連動部であるヘッド着脱ノブ13、スライダ30、ラック32をさらに備えることで、複数のカムの駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、また片手で行うことが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0057】
また、この発明にかかる実施の形態2によれば、熱転写プリンタにおいて、カムは往復移動可能な直進カムであることで、ヘッド着脱ノブ13の回転により往復移動し、カム溝31中の係合ピン19を移動させることで、ヘッド取付け基台10と本体側基台11を接近および離間させることができ、また直進カムに備えられたカム溝31に保持されながら当該接近および離間がなされるため、ヘッド取付け基台10の接近離間方向に離脱不可能な状態でサーマルヘッド1の交換操作が可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0058】
また、この発明にかかる実施の形態2によれば、熱転写プリンタにおいて、連動部は、複数の直進カムを連動して駆動させるラック部であるヘッド着脱ノブ13、スライダ30、ラック32を備えることで、複数のカムの駆動を同時に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となり、片手で行うことが可能となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0059】
本実施の形態2ではヘッド取付け基台10側に係合ピン19を設け、本体側基台11側のスライダ30上にカム溝31を設けた場合を示したが、ヘッド取付け基台10側にカム溝31を設け、スライダ30側に係合ピン19を設けても同様の効果が得られるものである。
【0060】
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
実施の形態1および2では、カム23およびスライダ30の駆動を手動としたが、これをモータ等のアクチュエータにより駆動することより、簡単にヘッドユニットの交換ができる。
【0061】
図13は本発明の実施の形態3のサーマルヘッドの着脱機構の構造の一例を示す図で、図13においてスライダ30を駆動する駆動部としてのモータ33と、モータ33の軸に取り付けられたピニオン34と、ピニオン34およびスライダ30のラック32と噛み合いモータ33の駆動力をスライダ30に伝達するための中継歯車C35とがさらに示されている。前出の構成要素と同様の番号を付した構成は、同様の構成要素を示すものである。
【0062】
<C−2.動作>
中継歯車C35がピニオン34を介したモータ33の駆動により回転し、その回転力がラック32に伝達されることで、直進カムが並行移動する。
【0063】
<C−3.効果>
この発明にかかる実施の形態3によれば、熱転写プリンタにおいて、カムまたはカムフォロワである係合ピン19の台座を駆動する駆動部であるモータ33をさらに備えることで、カムの駆動を自動的に行うことができ、サーマルヘッド1の交換操作が容易となる。よって、サーマルヘッド1を落下される等の危険がなく容易にサーマルヘッド1の交換ができる。
【0064】
また、ヘッド着脱ノブ13を設ける必要がなくなりヘッド周りのレイアウトの自由度が増す等の効果がある。
【0065】
なお、実施の形態3においては駆動部であるモータ33等は本体側基台11に備えられているが、ヘッド取付け基台10に備えられていてもよい。
【0066】
また、実施の形態3において、実施の形態2において示した直進カムを用いた場合を示しているが、実施の形態1において示した回動カムを用いた場合でも、同様の効果が期待できる。
【符号の説明】
【0067】
1 サーマルヘッド、2 プラテンローラ、3 ペーパー、4 インクシート、5 グリップローラ、6 ピンチローラ、7 供給側インクシートロール、8 巻取り側インクシートロール、9 熱転写プリンタ本体、10 ヘッド取付け基台、11 本体側基台、12 ガイドローラA、13 ヘッド着脱ノブ、14 ばね、15 中継基板、16 コネクタA、17 本体側中継基板、18 コネクタB、19 係合ピン、20 ガイドレールA、21 位置決め穴、22 ガイドレールB、23 カム、24 ガイドローラB、25 位置決めピン、26 中継歯車A、27 中継歯車B、28 フレーム、29 インクカセット、30 スライダ、31 カム溝、32 ラック、33 モータ、34 ピニオン、35 中継歯車C。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドを備える熱転写プリンタであって、
前記サーマルヘッドが取り付けられ、前記熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台と、
前記熱転写プリンタの本体に備えられた、前記ヘッド取付け基台に対応する本体側基台と、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられ、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との位置決めを行う第1位置決め部と、前記第1位置決め部に対応して他方に備えられ前記第1位置決め部と協働して前記位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部と、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられたカムと、前記カムに対応して他方に備えられ前記カムと係合および離脱可能で係合時に前記カムにより駆動されて前記所定位置での位置決めを完成するカムフォロワと、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1案内部と、前記第1案内部に対応して他方に備えられ前記第1案内部と協働して前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の係合を案内する第2案内部と、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1コネクタ部と、前記第1コネクタ部に対応して他方に備えられ前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の接近離間方向において前記第1コネクタ部と挿抜自在で前記所定位置での位置決め時に前記第1コネクタ部と装着される第2コネクタ部と、
を備える熱転写プリンタ。
【請求項2】
前記カムを複数備え、
前記複数のカムの駆動を連動させる連動部をさらに備える、
請求項1に記載の熱転写プリンタ。
【請求項3】
前記カムは回動可能な回動カムである、
請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。
【請求項4】
前記連動部は、複数の前記回動カムを連動して駆動させる歯車部を備える、
請求項3に記載の熱転写プリンタ。
【請求項5】
前記カムは往復移動可能な直進カムである、
請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。
【請求項6】
前記連動部は、複数の前記直進カムを連動して駆動させるラック部を備える、
請求項5に記載の熱転写プリンタ。
【請求項7】
前記第1、第2コネクタ部は、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との前記接近離間方向と垂直な方向に移動可能な裕度をもって取り付けられる、
請求項1〜6のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
【請求項8】
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台は、前記カムまたは前記カムフォロワを支持するフレームをさらに備え、
対応する前記基台上において、前記フレームは前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との前記接近離間方向に移動可能である、
請求項1〜7のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
【請求項9】
前記カムまたは前記カムフォロワを駆動する駆動部をさらに備える、
請求項1〜8のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
【請求項1】
サーマルヘッドを備える熱転写プリンタであって、
前記サーマルヘッドが取り付けられ、前記熱転写プリンタの本体と係合および離脱可能なヘッド取付け基台と、
前記熱転写プリンタの本体に備えられた、前記ヘッド取付け基台に対応する本体側基台と、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられ、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との位置決めを行う第1位置決め部と、前記第1位置決め部に対応して他方に備えられ前記第1位置決め部と協働して前記位置決めを所定位置に規定する第2位置決め部と、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられたカムと、前記カムに対応して他方に備えられ前記カムと係合および離脱可能で係合時に前記カムにより駆動されて前記所定位置での位置決めを完成するカムフォロワと、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1案内部と、前記第1案内部に対応して他方に備えられ前記第1案内部と協働して前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の係合を案内する第2案内部と、
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台の一方に備えられた第1コネクタ部と、前記第1コネクタ部に対応して他方に備えられ前記ヘッド取付け基台および前記本体側基台の接近離間方向において前記第1コネクタ部と挿抜自在で前記所定位置での位置決め時に前記第1コネクタ部と装着される第2コネクタ部と、
を備える熱転写プリンタ。
【請求項2】
前記カムを複数備え、
前記複数のカムの駆動を連動させる連動部をさらに備える、
請求項1に記載の熱転写プリンタ。
【請求項3】
前記カムは回動可能な回動カムである、
請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。
【請求項4】
前記連動部は、複数の前記回動カムを連動して駆動させる歯車部を備える、
請求項3に記載の熱転写プリンタ。
【請求項5】
前記カムは往復移動可能な直進カムである、
請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。
【請求項6】
前記連動部は、複数の前記直進カムを連動して駆動させるラック部を備える、
請求項5に記載の熱転写プリンタ。
【請求項7】
前記第1、第2コネクタ部は、前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との前記接近離間方向と垂直な方向に移動可能な裕度をもって取り付けられる、
請求項1〜6のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
【請求項8】
前記ヘッド取付け基台または前記本体側基台は、前記カムまたは前記カムフォロワを支持するフレームをさらに備え、
対応する前記基台上において、前記フレームは前記ヘッド取付け基台と前記本体側基台との前記接近離間方向に移動可能である、
請求項1〜7のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
【請求項9】
前記カムまたは前記カムフォロワを駆動する駆動部をさらに備える、
請求項1〜8のいずれかに記載の熱転写プリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−253684(P2010−253684A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102902(P2009−102902)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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