説明

熱量予測方法及び熱量予測システム並びに熱量予測プログラム

【課題】被測定対象に流入する熱量を測定する熱量予測方法及び熱量予測システム並びに熱量予測プログラムに関し、特に、簡単に非定常的な熱量を測定することができる熱量予測方法及び熱量予測システム並びに熱量予測プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、被測定対象に流出入する熱量を予測する熱量予測方法であって、被測定対象に関する熱回路を設定し、熱回路に関するパラメータを取得し、パラメータを熱回路に設定し、熱回路を解くことにより、被測定対象に流出入する熱量を予測することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱量予測方法及び熱量予測システム並びに熱量予測プログラムに係り、特に、被測定対象に流入する熱量を測定する熱量予測方法及び熱量予測システム並びに熱量予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日射を受ける各種構造物、例えば、船舶、建築物、自動車、家電製品等の外面を被覆する太陽熱反射塗料(遮熱塗料)が開発されている。太陽熱反射塗料は、太陽光などを反射して、構造物の内部温度の上昇を抑えるとともに、構造物表面を保護する作用がある。これにより、構造物の空調などによる不要なエネルギー消費を低減するとともに、構造物の耐久性を向上させる効果を奏する。
【0003】
このような太陽熱反射塗料を構造物に塗装してその効果を得ようとする場合に、どの程度の遮熱効果が得られるかを検証することが重要となる。
【0004】
構造物の熱負荷を計算する場合、簡易的には建築環境工学などで用いられる定常計算方法によるものがある。
【0005】
なお、日射反射率を測定し、測定した日射反射率から日射吸収率を算出し、算出した日射吸収率をもとに相当外気温を算出し、算出された相当外気温から貫流熱量を算出することにより、定常計算方法を用いることにより遮熱塗装の効果を測定する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2002−39977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、建築環境工学などで用いられる定常計算方法はそのままでは、定常的な熱量を計算することしかできず、熱容量、気象条件の変化を勘案した予測計算を行なうことはできなかった。熱容量、気象条件の変化を勘案した非定常的な熱量を計算する場合には、大型コンピュータを用いた熱負荷計算用シミュレーションプログラムを用いる必要があり、容易に活用することができない。また、コストが高くなるなどの問題点があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、簡単に非定常的な熱量を測定することができる熱量予測方法及び熱量予測システム並びに熱量予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱量予測方法は、被測定対象に流出入する熱量を予測する熱量予測方法であって、被測定対象に関する熱回路を設定し、熱回路に関するパラメータを取得し、パラメータを前記熱回路に設定し、熱回路を解くことにより、被測定対象に流出入する熱量を予測することを特徴とする。
【0009】
熱回路は、室内と室外との間の熱流をi、日射吸収率をa、日射強度をI、外気温度をTex、室内温度をTin、室内と室外との間の構造物の熱抵抗をRc、室内側の構造物の熱伝達抵抗をrin、室外側の構造物の熱伝達抵抗をrexとしたとき、
i={(a×I×rex)+(Tex−Tin)}/(Rc+rin+rex)
で表されることを特徴とする。
【0010】
パラメータを前記被測定対象に流出入する熱量の推移を予測する各時刻毎に取得し、各時刻のパラメータに基づいて熱回路の熱流を算出し、熱回路を解くことにより、次の時刻の熱量を算出し、熱量を順次算出ことにより、熱量の推移を予測することを特徴とする。
【0011】
時刻jの室温をTin(j)、次に時刻(j+1)における室温をTin(j+1)、時刻jの外気温をTex(j)、時刻jにおける建物条件及び室内条件を決定するパラメータをまとめたパラメータをH(j)’、KS(j)、建物の容量をCtとしたとき
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
により、時刻jにおけるパラメータを用いて時刻(j+1)における室温Tin(j+1)を算出することを特徴とする。
【0012】
時刻jと時刻(j+1)の時間間隔は、10分から1時間の間隔に設定されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の熱量予測システムは、被測定対象に流出入する熱量を予測する熱量予測システムであって、被測定対象の前記熱回路に関するパラメータを取得する取得部と、被測定対象に関する熱回路を設定し、パラメータを前記熱回路に設定し、熱回路を解くことにより、被測定対象に流出入する熱量を予測する処理部とを有することを特徴とする。
【0014】
熱回路は、室内と室外との間の熱流をi、日射吸収率をa、日射強度をI、外気温度をTex、室内温度をTin、室内と室外との構造熱抵抗をRc、室内側の構造物の熱伝達抵抗をrin、室外側の構造物の熱伝達抵抗をrexとしたとき、
i={(a×I×rex)+(Tex−Tin)}/(Rc+rin+rex)
で表されることを特徴とする。
【0015】
処理部は、パラメータを被測定対象に流出入する熱量の推移を予測する各時刻毎に取得し、各時刻のパラメータに基づいて熱回路の熱流を算出し、熱回路を解くことにより、次の時刻の熱量を算出し、熱量を順次算出ことにより、熱量の推移を予測することを特徴とする。
【0016】
処理部は、時刻jの室温をTin(j)、次に時刻(j+1)における室温をTin(j+1)、時刻jの外気温をTex(j)、時刻jにおける建物条件及び室内条件を決定するパラメータをまとめたパラメータをH(j)’、KS(j)、建物の容量をCtとしたとき
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
により、時刻jにおけるパラメータを用いて時刻(j+1)における室温Tin(j+1)を算出することを特徴とする。
【0017】
時刻jと時刻(j+1)の時間間隔は、10分から1時間の間隔に設定されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の熱量予測プログラムは、コンピュータに、被測定対象に関する熱回路を設定させる第1の手順と、熱回路に関するパラメータを取得させる第2の手順と、パラメータを熱回路に設定させる第3の手順と、熱回路を解くことにより、被測定対象に流出入する熱量を予測させる第4の手順とを実行させることを特徴とする。
【0019】
熱回路は、室内と室外との間の熱流をi、日射吸収率をa、日射強度をI、外気温度をTex、室内温度をTin、室内と室外との構造熱抵抗をRc、室内側の構造物の熱伝達抵抗をrin、室外側の構造物の熱伝達抵抗をrexとしたとき、
i={(a×I×rex)+(Tex−Tin)}/(Rc+rin+rex)
で表されることを特徴とする。
【0020】
第4の手順は、パラメータを被測定対象に流出入する熱量の推移を予測する各時刻毎に取得し、各時刻のパラメータに基づいて熱回路の熱流を算出し、熱回路を解くことにより、次の時刻の熱量を算出し、熱量を順次算出ことにより、熱量の推移を予測することを特徴とする。
【0021】
第4の手順は、時刻jの室温をTin(j)、次に時刻(j+1)における室温をTin(j+1)、時刻jの外気温をTex(j)、時刻jにおける建物条件及び室内条件を決定するパラメータをまとめたパラメータをH(j)’、KS(j)、建物の容量をCtとしたとき下記の式
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
により、時刻jにおけるパラメータを用いて時刻(j+1)における室温Tin(j+1)を算出することを特徴とする。
【0022】
時刻jと時刻(j+1)の時間間隔は、10分から1時間の間隔に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のような計算方法を適用することにより、定常計算による各部位の熱流量の総和を用いて時々刻々と変化する気象条件の変化を勘案した室温などの予測計算を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔システム構成〕
図1は本発明の一実施例のシステム構成図を示す。
【0025】
本実施例の熱量予測システム100は、入力装置111、処理部112、記憶装置113、メモリ114、表示装置115、通信装置116などから構成されるパーソナルコンピュータシステムから構成されている。
【0026】
入力装置111は、例えば、マウス及びキーボードから構成されており、構造物などの被測定対象の所在地情報や被測定対象のサイズ、内部設定温度などの情報を入力するための装置である。
【0027】
処理部112は、CPUなどから構成されており、記憶装置113に記憶された熱負荷計算プログラムを実行する。
【0028】
記憶装置113は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブなどディスクドライブから構成されており、熱負荷計算プログラムがインストールされている。また、被測定対象の情報や計算結果などを記憶する。
【0029】
メモリ114は、RAMなどの揮発性メモリから構成されており、処理部112の一時記憶領域として用いられる。
【0030】
表示装置115は、CRT、LCDなどから構成されており、入力情報や計算結果を表示する。
【0031】
通信装置116は、インターネットなどのネットワークと接続されており、気象庁などのデータベースにアクセスして、必要な気象情報を取得する。
【0032】
〔熱負荷計算プログラム〕
図2は熱負荷計算プログラムの処理フローチャートを示す。
【0033】
処理部112はステップS1−1で熱負荷計算プログラムが起動されると、ステップS1−2で起動された熱負荷計算プログラムにより被測定対象の所在地を要求する画面を表示する。
【0034】
次に処理部112はステップS1−3でユーザにより被測定対象である建築物の所在地情報が入力されると、ステップS1−4で被測定対象の気象庁データベースから気象情報を取得する。
【0035】
次に、処理部112は、ステップS1−5で被測定対象の方角、および、サイズを要求するサイズ要求画面を表示する。処理部112はステップS1−6でユーザにより被測定対象の方角、及び、サイズが入力されると、ステップS1−7で被測定対象の方角、及び、サイズを取得する。
【0036】
次に、処理部112は、ステップS1−8で被測定対象の内部温度などの条件を示す内部情報を要求する内部情報要求画面を表示する。処理部112は、ステップS1−9で内部情報が入力されると、ステップS1−10で内部情報を取得する。
【0037】
次に処理部112は、ステップS1−10で取得した所在地情報から日射量、被測定対象のサイズ情報から被測定対象の表面積、内部情報から熱容量など、熱負荷計算に必要なパラメータを算出する。パラメータは、建築環境工学などの分野で一般に用いられている日射量などを求めるための式から算出されるものであり、例えば、「環境工学教科書 第二版 環境工学教科書研究会編著 彰国社」に記載されているもので、すべて定常計算により取得できる。よって、計算が容易である。
【0038】
図3は熱負荷計算に必要なパラメータを示す図である。
【0039】
気象情報から取得されるパラメータは、外気温Tex〔℃〕、屋根面日射強度Ir〔W/m^2〕、壁面日射強度Iw〔W/m^2〕、風速v〔m/s〕である。外気温Tex〔℃〕は、所在地情報から近接する気象庁測候所を抽出し、抽出した気象台あるいは、測候所の気象データを気象庁などのデータベースから取得する。気象データは、通信装置116によりインターネットを介して気象庁あるいは気象情報提供会社などにアクセスすることにより取得することができる。
【0040】
屋根面日射強度Ir〔W/m^2〕、及び、壁面日射強度Iw〔W/m^2〕は、所在地情報から近接する気象台、あるいは、測候所を抽出し、抽出した気象台、あるいは、測候所のデータから平均大気透過率、及び、抽出された気象庁測候所の緯度、経度、並びに、日照時間データから算出する。
【0041】
例えば、太陽定数をJ0=1.37〔kW/m^2〕、太陽高度をh〔度〕、大気透過率をPとすると、法線面直達日射量JDは、ブーガの式より、
JD=0.5×J0×P^cosec(h) ・・・(1)
で求められる。また、水平面天空日射量Jsは、
Js=0.5×J0×sin(h)・(1−P^cosec(h))/(1−1.4×ln(P))
・・・(2)
で求められる。
【0042】
ここで、被測定対象である建物の屋根や屋上に直達する日射量である水平面直達日射量IHは、
IH=JD×sin(h) ・・・(3)
で求められる。
【0043】
さらに、被測定対象である建物の壁面に直達する日射量である鉛直面直達日射量Ivは、
Iv=JD×cos(h)×cos(α−Av) ・・・(4)
で求められる。なお、ここで、Avは、壁面方位角であり、単位は、〔度〕である。
【0044】
水平面直達日射量と日照時間に基づいて水平面実照日射強度が算出され、鉛直面直達日射量と日照時間に基づいて鉛直面実照日射強度が算出される。なお、日照時間は、近接気象台あるいは測候所データより取得できる。
【0045】
水平面実照日射強度は屋根面日射強度Ir〔W/m^2〕に相当し、鉛直面実照日射強度は壁面日射強度Iw〔W/m^2〕に相当する。
【0046】
風速v〔m/s〕は、気象台、あるいは、測候所データより取得できる。
【0047】
被測定対象を建物とした場合、建物条件から得られるパラメータは、屋根表面日射吸収率ar〔%〕、屋根面積Sr〔m^2〕、屋根熱伝達抵抗rrex〔m^2k/W〕、屋根構造熱抵抗Rrc〔m^2k/W〕、天井熱伝達抵抗rrin〔m^2k/W〕、及び、壁表面日射吸収率aw〔%〕、外壁熱伝達抵抗rwex〔m^2k/W〕、壁構造熱抵抗Rwc〔m^2k/W〕、内壁熱伝達抵抗rwin〔m^2k/W〕である。
【0048】
屋根表面日射吸収率ar〔%〕は、例えば、「JIS R 3106」、又は、「JIS A 5759」により決定される。屋根面積Sr〔m^2〕は、被測定対象のサイズ情報から求められる。
【0049】
屋根熱伝達抵抗rrex〔m^2k/W〕は、風速v〔m/s〕より算出される。
【0050】
屋根構造熱抵抗Rrc〔m^2k/W〕は、被測定対象の屋根構造、各部位の熱伝導率、厚さより算出される。
【0051】
天井熱伝達抵抗rrin〔m^2k/W〕は、空調工学の常用値が採用される。
【0052】
壁表面日射吸収率aw〔%〕は、屋根表面日射吸収率ar〔%〕と同様に、例えば、「JIS R 3106」、又は、「JIS A 5759」から求められる。
【0053】
外壁熱伝達抵抗rwex〔m^2k/W〕は、空調工学の常用値を採用する。
【0054】
壁構造熱抵抗Rwc〔m^2k/W〕は、被測定対象の壁構造、各部位の熱伝導率、厚さより算出される。
【0055】
内壁熱伝達抵抗rwin〔m^2k/W〕は、空調工学の常用値を採用する。
【0056】
また、室内条件から取得されるパラメータは、室温Tin〔℃〕、室内空気体積Vair〔m^3〕、室内空気容積熱容量Cair〔Wh/m^3k〕、換気回数N〔回数/h〕、内部熱源H〔W〕などがある。
【0057】
室温Tin〔℃〕は、空調設定温度(目標温度)として固定値に設定する。
【0058】
室内空気体積Vair〔m^3〕は、建物の内容量から算出する。
【0059】
室内空気容積熱容量Cair〔Wh/m^3k〕は、空気の物性値を設定する。
【0060】
換気回数N〔回数/h〕は、ユーザが室内使用状況から推定した値を設定する。
【0061】
内部熱源H〔W〕は、ユーザが室内機器の消費電力量、在室人数などから推定した値を設定する。
【0062】
上記パラメータは、すべて推定値、あるいは、規定値をユーザが入力、あるいは、記憶装置113に予めインストールしておくことにより、取得できる。
【0063】
処理部112は、ステップS1−12で上記のパラメータを熱回路に設定し、熱回路を定常計算により解き、熱負荷量を算出し、ステップS1−13で計算結果を表示する。
【0064】
〔熱負荷計算〕
図4は熱負荷計算の計算方法を説明するための図を示す。
【0065】
まず、被測定対象は、屋根部分が屋根基材211、塗膜212、天井構造断熱材213から構成され、壁部分が壁基材221、塗膜222、壁構造断熱材223から構成されている。
【0066】
上記構造の被測定対象において屋根部分は外気温Texと室温Tinとの間に屋根熱伝達抵抗rrex、屋根構造熱抵抗Rrc、天井熱伝達抵抗rrinを直列に接続した熱回路が構成されている。ここで、屋根熱伝達抵抗rrexと屋根構造熱抵抗Rrcとの接続点には、屋根面日射強度Irに屋根表面日射吸収率arを掛けた熱流(ar×Ir)が流入する。上記熱回路の定常解は、キルヒホッフの法則を用いて任意の熱流を求めることができる。
【0067】
ここで、外気温Texと室温Tinとの温度差(Tex−Tin)は、
室内に流れ込む熱流をirとすると、室外に流れだす熱流は、
{(ar×Ir)−ir} ・・・(8)
で表せる。
【0068】
よって、
(Tex−Tin)=ir×(Rrc+rin)−{(ar×Ir)−ir}rrex
=ir×(Rrc+rin+rrex)−(ar×Ir×rrex) ・・・(9)
よって、
(Tex−Tin)+(ar×Ir×rrex)=ir×(Rrc+rin+rrex) ・・・(10)
となる。したがって、室内に流れ込む熱流irは、
ir={(ar×Ir×rrex)+(Tex−Tin)}/(Rrc+rin+rrex)・・・(11)
で求めることができる。
【0069】
また、屋根の表面温度Trsは、上記熱流irを用いることにより、
Trs=Tin+ir×(Rrc+rin) ・・・(12)
で求めることができる。
【0070】
また、天井温度Trcは、同様に熱流irを用いることにより、
Trc=Tin+ir×rrin ・・・(13)
で求めることができる。
【0071】
なお、壁面については外気温Texと室温Tinとの間に外壁熱伝達抵抗rwex、壁構造熱抵抗Rwc、内壁熱伝達抵抗rwinを直列に接続した熱回路が構成されている。ここで、外壁熱伝達抵抗rwexと壁構造熱抵抗Rwcとの接続点には、壁面日射強度Iwに壁面日射吸収率awを掛けた熱流(aw×Iw)が流入する。上記熱回路の定常解を求めることにより、屋根と同様にキルヒホッフの法則を用いて壁面の熱流iwを求めることができる。
【0072】
なお、上記熱流ir、iwは単位面積当たりの熱流であり、屋根及び東西南北の壁の各々について独立して計算することが可能である。屋根の単面積当りの熱流をir、東壁面の単位面積当りの熱流をiwE、西壁面の単位面積当りの熱流をiwW、南壁面の単位面積当りの熱流をiwS、北壁面の単位面積当りの熱流をiwNとし、屋根面積をSr、東壁面の面積をSwE、西壁面の面積をSwW、南壁面の面積をSwS、北壁面の面積をSwNとすると、屋根全体の熱流は
ir×Sr ・・・(14)
東壁面の熱流は
iwE×SwE ・・・(15)
西壁面の熱流は
iwW×SwW ・・・(16)
南壁面の熱流は
iwS×SwS ・・・(17)
北壁面の熱流は
iwN×SwN ・・・(18)
で求められる。
【0073】
ここで、換気による熱の流出入量Qairは、一般に前出のパラメータを用いて、
Qair=Cair・Vair・(Tex−Tin)・N ・・・(19)
で求められる。
【0074】
さらに、内部熱源による発熱量は、Hである。
【0075】
したがって、室内へ流入する熱量Iは、式(14)〜(18)に換気による熱の流出入量Qair及び内部熱源による発熱量Hを加算したものとなるので、
I=(ir×Sr)+(iwE×SwE)+(iwW×SwW)+(iwS×SwS)
+(iwN×SwN)+Qair+H ・・・(20)
で求められる。
【0076】
上記式(20)により室内へ流入する熱量Iを求めることができる。このとき、上記パラメータ及び熱回路は、定常計算法により算出できるため、計算が簡単である。
【0077】
次に、上記の式を用いて、熱流が0となるような室温Tinを求める場合について考えてみる。
【0078】
室温Tinは、式(11)より
Tin=Tex+(ar×Ir×rrex)−ir・(Rrc+rin+rrex)
で表される。
【0079】
ここで、内部熱源H、換気による熱流を考慮すると、時刻jの室温Tin(j)は、
Tin(j)=Tex(j)
+〔H(j)+Σ{Si・ai・Ii(j)・riex/(rex+Ric+riin)}〕
/〔Cair・Vair・N(j)+Σ{Si/(riex+Ric+riin)}〕
・・・(21)
で表せる。なお、Σは、屋根、東西南北壁面について各々Σ以降の計算を行なった結果を加算したものである。
【0080】
なお、式(21)は被測定対象の熱容量を考慮していない。精度を上げるために、被測定対象の熱容量を考慮する必要がある。
【0081】
建物の熱容量Ctは、屋根構造の熱容量をCr、壁構造の熱容量をCw、室内空気の熱容量をCair、室内什器の熱容量をCfとすると、一般に
Ct={(Cr+Cw)/2}+Cair+Cf ・・・(22)
で表される。
【0082】
時刻jで室温をTin(j)、外気温をTex(j)、屋根面日射強度をIr(j)とすると、屋根面から室内に流入する熱流ir(j)は、式(11)より
ir(j)={(ar×Ir(j)×rrex)+(Tex(j)−Tin(j))}/(Rrc+rin+rrex)
・・・(23)
で表される。
【0083】
ここで、式を簡略化するために、
rrex+Rrc+rrin=1/kr ・・・(24)
とおくと、式(23)は、
ir(j)=kr×{(ar×Ir(j)×rrex)+(Tex(j)−Tin(j))}
・・・(25)
で表される。
【0084】
なお、時刻jにおける東西南北壁面の熱流iwE(j)、iwW(j)、iwS(j)、iwN(j)についても同様に独立して算出することができる。
【0085】
また、時刻jにおける換気による熱流出入量Qair(j)は、換気回数をN(j)とすると、
Qair(j)=Cair(Tex(j)−Tin(j))・N(j) ・・・(26)
で求められる。
【0086】
時刻jに室内に流入する熱流I(j)は、式(20)より
I(j)=(ir(j)×Sr)+(iwE(j)×SwE)+(iwW(j)×SwW)+(iwS(j)×SwS)
+(iwN(j)×SwN)+Qair(j)+H(j)
・・・(27)
で表される。
【0087】
式(27)において、式を簡略化するために、
(ir(j)×Sr)+(iwE(j)×SwE)+(iwW(j)×SwW)+(iwS(j)×SwS)
+(iwN(j)×SwN)=Σ(ii(j)×Si)
とおくと、式(27)は、
I(j)=Σ(ii(j)×Si)+Qair(j)+H(j) ・・・(28)
で表される。
【0088】
式(28)は式(25)及び式(26)より、
I(j)=Σ〔ki×Si×{(ai×Ii(j)×riex)+(Tex(j)−Tin(j))}〕
+{Cair(Tex(j)−Tin(j))・N(j)}+H(j) ・・・(29)
で表せる。
【0089】
ここで、外気温Tex、及び、各面への日射強度Iiは、時刻jから時刻j+1の間に連続的に変化する気象条件となるが、時刻jと、時刻jに近似した時刻(j+1)とでは、外気温Tex及び熱流Iは近似しており、略等しい、すなわち、
Tex(j)=Tex(j+1)
Ii(j)=Ii(j+1)
と仮定すると、
時刻jから時刻j+Δt(0<Δt<1)における室温の上昇ΔTin(j)は、建物の熱容量をCtとすると、
Ct・ΔTin(j)=[Σ〔ki×Si×{(ai×Ii(j)×riex)+(Tex(j)−Tin(j))}〕
+{Cair(Tex(j)−Tin(j))・N(j)}+H(j)]・Δt
・・・(30)
で表せる。
【0090】
次に、式(30)を微分方程式と見て、さらに、(Tex(j)−Tin(j))をxに置き換えると、式(30)は、
{Σki×Si×ai×Ii(j)×riex+H(j)}−{Σki×Si+Cair×N(j)}×x
=Ct・(dx/dt) ・・・(31)
で表せる。
【0091】
ここで、式を簡略化するために
Σki×Si×ai×Ii(j)×riex+H(j)=H(j)´ ・・・(32)
Σki×Si+Cair×N(j)=KS(j) ・・・(33)
とすると、式(31)は、
H(j)´+KS(j)×x=Ct・(dx/dt) ・・・(34)
となる。式(34)を変形すると、
dx/{H(j)´+KS(j)×x}=1/Ct・dt ・・・(34−1)
両辺にKS(j)をかけると、式(34−1)は、
dx/{H(j)´/KS(j)+x}=KS(j)/Ct・dt ・・・(34−2)
さらに、式(34−2)は、
dx/{−(H(j)´/KS(j))−x}=−(KS(j)/Ct)・dt
・・・(34−3)
ここで、積分公式
∫{dx/(a−x)}=−{ln(a−x)+lnC}(Cは積分定数)
・・・(34−4)
を用いて式(34−3)の両辺を積分し、Δt=0のとき、Tin(j)=Tin(j+Δt)となるように積分定数Cを決めると、
Tin(j+Δt)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct・Δt)
・・・(35)
が得られる。
【0092】
ここで、Δt=1とすると、式(35)は
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
・・・(36)
で表される。
【0093】
上式(36)により、室温Tinの初期値として適当な数値を代入することにより、その後の室温変化をシミュレートすることが可能となる。なお、このとき、時刻jと次の時刻(j+1)との間の時間を例えば、10分〜1時間に設定すると、良好な結果が得られる。
【0094】
また、被測定対象の熱容量Ctを考慮しない場合には、式(21)を式(24)、(32)、(33)を用いて書き換えた式、
Tin(j)=Tex(j)+H(j)’/KS(j) ・・・(37)
を用いることにより室温Tinのシミュレートが行なえる。
【0095】
また、屋根表面温度Trsの変化については、式(12)を用いた式、
Trs(j)=Tin(j)+ir(j)×(Rrc+rrin) ・・・(38)
によりシミュレートできる。
【0096】
天井表面温度Trcの変化については、式(13)を用いた式、
Trc(j)=Tin(j)+ir(j)×rrin ・・・(39)
によりシミュレートできる。
【0097】
〔処理手順〕
次に実際の熱負荷計算処理の処理手順について説明する。
【0098】
図5は熱負荷計算処理の処理フローチャートを示す。
【0099】
処理部112は、ステップS2−1で取得したパラメータを用いて熱抵抗を合成した係数(1/ki)を合成する。熱抵抗は、式(24)に取得したパラメータである熱抵抗riex、Ric、riinを代入することにより、熱抵抗を合成した係数(1/ki)を算出する。なお、iは屋根面を示す「r」、東壁面を示す「wE」、西壁面を示す「wW」、南壁面を示す「wS」、北壁面を示す「wN」に相当する。
【0100】
次に、処理部112はステップS2−2で取得したパラメータを用いて熱容量Ctを合成する。熱容量は、式(22)に取得されたパラメータである熱容量Cr、Cw、Cfを代入することにより合成熱容量Ctを算出する。
【0101】
次に、処理部112は、ステップS2−3で熱抵抗を合成した係数(1/ki)及び合成熱容量Ctを式(32)、(33)に代入することにより、熱抵抗を合成した係数(1/ki)及び合成熱容量Ctを含むパラメータをまとめる。
【0102】
次に処理部112は、ステップS2−4で時刻jを0にリセットする。
【0103】
次に、処理部112は、ステップS2−5で時刻jのパラメータを取得し、ステップS2−6で式(36)に取得したパラメータをセットして、時刻jにおける室温Tin(j)を算出する。
【0104】
処理部112は、ステップS2−7で全計算が終了するまで、ステップS2−8でjを順次に増加させ、室温Tin(j)を算出する。処理部112は、ステップS2−7で室温Tin(j)すべての算出が終わると、算出結果を整理し、表示する。
【0105】
〔シミュレーション結果〕
ここで、上記の熱容量予測システムにより行なったシミュレーションの具体例について説明する。
【0106】
図6はシミュレーション対象の建物条件を示す表、図7はシミュレーション対象の室内条件を示す表、図8はシミュレーション対象が存在する場所の気象条件を示す表、図9はシミュレーションの計算手順を示す表、図10は室温シミュレーション結果を示すグラフを示す。
【0107】
なお、シミュレーション対象建物は郡山の倉庫であり、初期条件として6月13日24時の実測室温18.5℃を用いる。
【0108】
まず、図6に示す建物条件を図9(A)に示す式に代入することにより熱抵抗を合成したパラメータ(1/Kj)を求める。
【0109】
また、図7に示す室内条件を図9(B)に示す式に代入することより熱容量を合成した熱容量Ctを求める。
【0110】
次に、時刻j=0におけるパラメータを図9(C)に示すように式(32)、(33)に代入して、パラメータH(j=0)´、及び、KS(j=0)を求める。
【0111】
次に、初期条件である外気温Tex(j=0)=18.5℃、及び、図9(C)で求められたパラメータH(j=0)´、並びに、KS(j=0)を図9(D)に示す式、すなわち、式(36)に代入することにより時刻j=0からΔt時間=1時間経過した後の室温Tin(j=1)を求める。これにより、時刻j=0である6月13日24時におけるパラメータから時刻j=1である6月14日1時における室温Tin(j=1)を予測することができる。
【0112】
同様に、図9(E)に示す式(36)に相当する式に時刻j=1におけるパラメータを代入をすることにより時刻j=j+1=2における室温Tin(j=2)を予測することができる。同様にして、時刻jにおける室温Tin(j)を順次にシミュレートすることが可能となる。
【0113】
上記予測結果を1時間毎に順次にプロットすることにより図10に○で示すようなシミュレーション結果が得られる。
【0114】
本実施例の室温シミュレーションの結果は、図6に●で示す実測室温と略同じ変化を示しており、正確な室温シミュレーションを行なうことが可能であることがわかる。また、△は建物の熱容量を勘案しない場合の実測室温の推移を示しており、室温を的確にシミュレートできないことがわかる。シミュレートを行なうには、本実施例の如く、気象条件、建物の熱容量など前述のパラメータを総合的に勘案する必要がある。なお、実線は、外気温Texの遷移を示している。
【0115】
室温Tinの推移を予測することにより塗膜212、222の評価を行なうことが可能となる。
【0116】
〔効果〕
本実施例によれば、上記のように熱回路を用いて、定常計算方法により計算を行うことにより、屋根面からの熱貫流、東・南・西・北壁面からの熱貫流、換気による熱流出入量、内部発熱による熱流量を各々独立して計算することが可能となり、独立して計算した各熱貫流、熱流出入量の総和を被測定対象全体の熱負荷として算出するので、熱流量計算を定常計算式により容易に求めることができる。
【0117】
〔その他〕
なお、本実施例では、室温Tinをシミュレーションする場合について説明したが、熱回路により求めることができる天井温度、壁面温度などをシミュレーションすることも可能である。また、熱流シミュレーション結果から空調の電力消費などを算出することも可能である。
【0118】
なお、上記実施例では、被測定対象として建築物の熱負荷を簡易計算する方法について説明したが、被測定対象は建築物に限定されるものではなく、道路など他の構造物にも適用可能である。
【0119】
図11は道路の簡易熱負荷計算を行なうときの計算方法を説明するための図を示す。
【0120】
道路は、土壤311の上に路床・路体312が積層され、さらに、路床・路体312上に路盤313が積層され、路盤313上に基層舗装体314及び表層舗装体315が積層され、さらに、塗膜316が形成された構造とされている。
【0121】
この場合の熱回路は、図6に示すように土壌311の熱抵抗である土壌熱抵抗Rr1、路床・路体構造熱抵抗Rr2、路盤313の熱抵抗である路盤熱抵抗Rr3、舗装体構造熱抵抗Rr4、表面熱伝達抵抗rrexを外気温Texと地中温度Tinとの間に直列に接続した構成とされている。これによって、建物と同様に道路の熱流を推測することが可能となる。道路の熱流を推測することにより、塗膜316の評価を行なうことが可能となる。
【0122】
このように、建物だけでなく、道路など他の被測定対象にも温度、熱流などの予測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施例の熱負荷計算プログラムのフローチャートである。
【図3】熱負荷計算に必要なパラメータを示す図である。
【図4】建物の簡易熱負荷計算を行なうときの計算方法を説明するための図である。
【図5】熱負荷計算処理の処理フローチャートである。
【図6】シミュレーション対象の建物条件を示す表である。
【図7】シミュレーション対象の室内条件を示す表である。
【図8】シミュレーション対象が存在する場所の気象条件を示す表である。
【図9】シミュレーションの計算手順を示す表である。
【図10】室温シミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】道路の簡易熱負荷計算を行なうときの計算方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0124】
100 熱量予測システム
111 入力装置、112 処理部、113 記憶装置、114 メモリ
115 表示装置、116 通信装置
211 屋根基材、212 塗膜、213 構造断熱材
221 壁基材、222 塗膜、223 壁構造断熱材
311 土壌、312 路床・路体、313 路盤、314 基層舗装体
315 表層舗装体、316 塗膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象に流出入する熱量を予測する熱量予測方法であって、
前記被測定対象に関する熱回路を設定し、
前記熱回路に関するパラメータを取得し、
前記パラメータを前記熱回路に設定し、
前記熱回路を解くことにより、前記被測定対象に流出入する熱量を予測することを特徴とする熱量予測方法。
【請求項2】
前記熱回路は、室内と室外との間の熱流をi、日射吸収率をa、日射強度をI、外気温度をTex、室内温度をTin、室内と室外との間の構造物の熱抵抗をRc、室内側の構造物の熱伝達抵抗をrin、室外側の構造物の熱伝達抵抗をrexとしたとき、
i={(a×I×rex)+(Tex−Tin)}/(Rc+rin+rex)
で表されることを特徴とする請求項1記載の熱量予測方法。
【請求項3】
前記パラメータを前記被測定対象に流出入する熱量の推移を予測する各時刻毎に取得し、
各時刻のパラメータに基づいて前記熱回路の熱流を算出し、前記熱回路を解くことにより、次の時刻の熱量を算出し、
前記熱量を順次算出することにより、前記熱量の推移を予測することを特徴とする請求項1又は2記載の熱量予測方法。
【請求項4】
時刻jの室温をTin(j)、次に時刻(j+1)における室温をTin(j+1)、時刻jの外気温をTex(j)、時刻jにおける建物条件及び室内条件を決定するパラメータをまとめたパラメータをH(j)’、KS(j)、建物の容量をCtとしたとき
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
により、時刻jにおけるパラメータを用いて時刻(j+1)における室温Tin(j+1)を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の熱容量予測方法。
【請求項5】
前記時刻jと時刻(j+1)の時間間隔は、10分から1時間の間隔に設定されていることを特徴とする請求項4記載の熱容量予測方法。
【請求項6】
被測定対象に流出入する熱量を予測する熱量予測システムであって、
前記被測定対象の前記熱回路に関するパラメータを取得する取得部と、
前記被測定対象に関する熱回路を設定し、前記パラメータを前記熱回路に設定し、
前記熱回路を解くことにより、前記被測定対象に流出入する熱量を予測する処理部とを有することを特徴とする熱量予測システム。
【請求項7】
前記熱回路は、室内と室外との間の熱流をi、日射吸収率をa、日射強度をI、外気温度をTex、室内温度をTin、室内と室外との構造熱抵抗をRc、室内側の構造物の熱伝達抵抗をrin、室外側の構造物の熱伝達抵抗をrexとしたとき、
i={(a×I×rex)+(Tex−Tin)}/(Rc+rin+rex)
で表されることを特徴とする請求項6記載の熱量予測システム。
【請求項8】
前記処理部は、前記パラメータを前記被測定対象に流出入する熱量の推移を予測する各時刻毎に取得し、各時刻のパラメータに基づいて前記熱回路の熱流を算出し、前記熱回路を解くことにより、次の時刻の熱量を算出し、前記熱量を順次算出ことにより、前記熱量の推移を予測することを特徴とする請求項6又は7記載の熱量予測システム。
【請求項9】
前記処理部は、時刻jの室温をTin(j)、次に時刻(j+1)における室温をTin(j+1)、時刻jの外気温をTex(j)、時刻jにおける建物条件及び室内条件を決定するパラメータをまとめたパラメータをH(j)’、KS(j)、建物の容量をCtとしたとき
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
により、時刻jにおけるパラメータを用いて時刻(j+1)における室温Tin(j+1)を算出することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項記載の熱量予測システム。
【請求項10】
前記時刻jと時刻(j+1)の時間間隔は、10分から1時間の間隔に設定されていることを特徴とする請求項9記載の熱量予測システム。
【請求項11】
コンピュータに、
被測定対象に関する熱回路を設定させる第1の手順と、
前記熱回路に関するパラメータを取得させる第2の手順と、
前記パラメータを前記熱回路に設定させる第3の手順と、
前記熱回路を解くことにより、前記被測定対象に流出入する熱量を予測させる第4の手順とを実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項12】
前記熱回路は、室内と室外との間の熱流をi、日射吸収率をa、日射強度をI、外気温度をTex、室内温度をTin、室内と室外との構造熱抵抗をRc、室内側の構造物の熱伝達抵抗をrin、室外側の構造物の熱伝達抵抗をrexとしたとき、
i={(a×I×rex)+(Tex−Tin)}/(Rc+rin+rex)
で表されることを特徴とする請求項11記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項13】
前記第4の手順は、前記パラメータを前記被測定対象に流出入する熱量の推移を予測する各時刻毎に取得し、
各時刻のパラメータに基づいて前記熱回路の熱流を算出し、前記熱回路を解くことにより、次の時刻の熱量を算出し、
前記熱量を順次算出ことにより、前記熱量の推移を予測することを特徴とする請求項11又は12記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項14】
前記第4の手順は、時刻jの室温をTin(j)、次に時刻(j+1)における室温をTin(j+1)、時刻jの外気温をTex(j)、時刻jにおける建物条件及び室内条件を決定するパラメータをまとめたパラメータをH(j)’、KS(j)、建物の容量をCtとしたとき下記の式
Tin(j+1)=Tex(j)+H(j)’/KS(j)
−(Tex(j)+H(j)’/KS(j)−Tin(j))exp(−KS(j)/Ct)
により、時刻jにおけるパラメータを用いて時刻(j+1)における室温Tin(j+1)を算出することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項15】
前記時刻jと時刻(j+1)の時間間隔は、10分から1時間の間隔に設定されていることを特徴とする請求項14記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−17265(P2007−17265A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198760(P2005−198760)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】