説明

熱間等方圧加圧装置

【課題】断熱構造体蓋部が連結手段によって圧力容器用の上蓋にされている構造の熱間等方圧加圧装置において、被処理物の収納と取出しをより容易に短時間で行うことができるようにすること。
【解決手段】圧力容器1、これの上端開口部を開閉自在に閉じる上蓋2、及び下蓋3で形成される高圧室4内に、被処理物を加熱する加熱装置8,10と、倒立コップ状をなし、断熱構造体円筒部6とこれの上端開口部を開閉自在に閉じる断熱構造体蓋部7とからなる断熱構造体とが配設されている熱間等方圧加圧装置において、上蓋2と断熱構造体蓋部7とを連結する連結部材20と、断熱構造体蓋部7の貫通孔7aに通され、一端が上蓋2が下面に固定され、他端が断熱構造体蓋部7の下方に引き出され、該他端に被処理物又は被処理物が搭載された被処理物搭載台を連結するための被処理物用ワイヤー状連結部材30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱間等方圧加圧装置は、アルゴンなどの不活性ガスを圧力媒体とし、通常98MPa以上の高い等方圧力と1000℃以上の温度との相乗効果を利用して、被処理物を高温高圧処理する装置である。本発明は、熱間等方圧加圧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、熱間等方圧加圧装置として、例えば、実公平5−8474号公報に記載のものが知られている。この従来の熱間等方圧加圧装置は、筒状の圧力容器と、この圧力容器の上端開口部を開閉自在に閉じる上蓋と、前記圧力容器の下端側を閉じる下蓋とを備え、前記圧力容器、前記上蓋及び前記下蓋によって形成されて圧力媒体が供給される高圧室内に、被処理物を加熱する加熱装置と、この加熱装置を囲む倒立コップ状の断熱構造体(断熱層)とが配設され、前記断熱構造体が、前記圧力容器と同心的に配置された断熱構造体筒状部(断熱層主筒)と、この断熱構造体筒状部の上端開口部を開閉自在に閉じる断熱構造体蓋部(上部断熱板)とから構成されており、さらに、前記断熱構造体蓋部が前記上蓋の下面に固定状に取り付けられているものである。
【0003】
この従来の熱間等方圧加圧装置では、被処理物を圧力容器の上端開口部から圧力容器内に収納する場合、ハンドリング装置を使用して、上端開口部が開口された断熱構造体筒状の内側に被処理物を収納し、次いで、別のハンドリング装置を使用して、上蓋とこれに固定状に取り付けられている断熱構造体蓋部とを一体的に下降させることでそれらを装着するようにしている。
【0004】
また、被処理物の高温高圧処理後、被処理物を圧力容器外部に取り出す場合、前記別のハンドリング装置を使用して、上蓋と断熱構造体蓋部とを一体的に上昇させることでそれらを取り外し、次いで、前記ハンドリング装置を使用して、断熱構造体筒状部の内側に載置されている被処理物を取り出すようにしている。
【0005】
しかしながら、前記従来の熱間等方圧加圧装置では、前述したように、被処理物の収納と取出しに際し、これに使用するハンドリング装置とは別のハンドリング装置を使用して、上蓋及び断熱構造体蓋部の装着と取外しを行うようにしており、被処理物の収納と取出しをより容易に短時間で行うという点において改善の余地があった。
【特許文献1】実公平5−8474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、断熱構造体蓋部が連結手段によって圧力容器用の上蓋に該上蓋の下方に位置して連結されている構造を備えた熱間等方圧加圧装置において、従来装置に比べて被処理物の収納と取出しをより容易に短時間で行うことができて、生産性の向上を図ることができる熱間等方圧加圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
請求項1の発明は、圧力容器、この圧力容器の上端開口部を開閉自在に閉じる上蓋、及び前記圧力容器の下端側を閉じる下蓋によって形成される高圧室内に、被処理物を加熱する加熱装置と、倒立コップ状をなし、前記加熱装置を囲む断熱層として機能する断熱構造体とが配設され、前記断熱構造体が、断熱構造体円筒部と、この断熱構造体円筒部の上端開口部を開閉自在に閉じる断熱構造体蓋部とから構成されている熱間等方圧加圧装置において、前記上蓋と該上蓋の下方に位置させて前記断熱構造体蓋部とを連結する連結部材と、前記断熱構造体蓋部に設けられた単一の貫通孔に通され、一端が前記上蓋の下面に固定され、他端が前記断熱構造体蓋部の下方に引き出され、該他端に被処理物又は被処理物が搭載された被処理物搭載台を連結するための被処理物用ワイヤー状連結部材と、を備えていることを特徴とする熱間等方圧加圧装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の熱間等方圧加圧装置において、前記貫通孔が前記断熱構造体蓋部の半径方向における中心部に設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の熱間等方圧加圧装置において、前記連結部材は、前記断熱構造体蓋部が、被処理物の高温高圧処理時に熱膨張で伸びる前記断熱構造体円筒部と一体に上方へ位置変位可能なように、前記断熱構造体円筒部の軸線方向と平行方向に弾性変形可能な弾性部材を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間等方圧加圧装置において、前記被処理物用ワイヤー状連結部材は、被処理物が連結され、かつ、前記高圧室内に載置された状態で、当該被処理物の上下方向における変形を吸収可能な変形吸収部を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明による熱間等方圧加圧装置は、圧力容器用の上蓋にその下方に位置して断熱構造体蓋部が連結手段によって連結されていることに加え、前記断熱構造体蓋部に設けられた単一の貫通孔に通され、その一端が前記上蓋に固定され、その他端が前記断熱構造体蓋部の下方に引き出され、該他端に被処理物又は被処理物が搭載された被処理物搭載台を連結するための被処理物用ワイヤー状連結部材を備えている。
【0013】
したがって、本発明による熱間等方圧加圧装置は、前記被処理物用ワイヤー状連結部材により前記上蓋と被処理物又は被処理物が搭載された被処理物搭載台とを連結した状態で、前記上蓋、前記断熱構造体蓋部、及び、被処理物又は被処理物が搭載された被処理物搭載台を一緒に圧力容器に向けて下降させることにより、容易に圧力容器の高圧室内に被処理物を収納することができ、また、高温高圧処理後に、前記上蓋、前記断熱構造体蓋部、及び、高温高圧処理が施された被処理物又は該被処理物が搭載された被処理物搭載台を一緒に上昇させることにより、容易に高圧室内より高温高圧処理が施された被処理物を取り出すことができる。よって、上蓋及び断熱構造体蓋部による開閉と被処理物の収納取出しとを別々に行う従来装置に比べて、被処理物の収納と取出しをより容易に短時間で行うことができて、生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態による熱間等方圧加圧装置の全体構成を示す縦断面図である。
【0016】
図1において、1は円筒状の圧力容器であり、例えば、複数の円筒体を焼嵌め結合して構成されている。圧力容器1の上端には上端開口部を開閉自在に閉じる厚肉円板状の上蓋2が配され、圧力容器1の下端側は厚肉円板状の下蓋3により閉じられている。この圧力容器1、上蓋2及び下蓋3により、圧力容器1内に高圧室4が形成されている。下蓋3には、高圧室4にアルゴンガス等の圧力媒体を外部より供給するための高圧ガス導入管路12が設けられている。この高圧ガス導入管路12の入側に設けられた高圧ガス導入口(排出口)13に、図示しない配管がカプラー等を介して接続されている。14は圧力容器1を冷却するための水冷ジャケットであり、圧力容器1の外側にこれと同心状に配されている。
【0017】
前記高圧室4には、製品台9に載置される被処理物を高温加熱する加熱装置として、外周部用ヒータ8、及び製品台9の上部に埋設された底部用ヒータ10が設けられている。なお、製品台9の下部には断熱材11が充填されている。さらに、外周部用ヒータ8の外側にこれを囲むように、倒立コップ状をなし、断熱層として機能する断熱構造体5が設けられている。
【0018】
この断熱構造体5は、断熱構造体円筒部6と、この断熱構造体円筒部6の上端開口部を開閉自在に閉じる断熱構造体蓋部7とから構成されている。このうち、断熱構造体蓋部7は、連結部材20によって前記上蓋2に連結されている。また、この断熱構造体蓋部7には、その半径方向における中心部に単一の貫通孔7aが設けられている。そして、前記貫通孔7aに通され、上端が上蓋2の下面に固定され、下端が断熱構造体蓋部7の下方に引き出され、該下端に被処理物W1又は後述する被処理物搭載台に連結するための被処理物用ワイヤー状連結部材30が設けられている。
【0019】
次に、上蓋2と該上蓋2の下方に位置させて断熱構造体蓋部7とを連結する前記連結部材20について、説明する。図2は図1における連結部材の構成を示す正面図であって、その(a)は上蓋及び断熱構造体蓋部が圧力容器から取り外され、断熱構造体蓋部が上方の上蓋で支持されている時の状態を示す図、その(b)は上蓋及び断熱構造体蓋部が圧力容器に装着されている時の状態を示す図である。
【0020】
図2(a)に示すように、上蓋2の下面に、コ字状をなすブラケット21がその上側フランジ部を当接する状態でボルト22によって固定されている。このブラケット21の下側フランジ部の貫通孔に該貫通孔より小径で上下方向に延びる埋込みボルト23が通されており、この埋込みボルト23の下端側が断熱構造体蓋部7の上面部分に固定されている。一方、埋込みボルト23の上端側には、ナット24が螺合されている。さらに、この埋込みボルト23には、断熱構造体蓋部7上面と前記下側フランジ部下面とによって両端が規制される圧縮コイルバネ25が外嵌されている。この圧縮コイルバネ25は、前記断熱構造体円筒部6の軸線方向と平行方向に弾性変形可能な弾性部材を構成している。
【0021】
したがって、上蓋2に対して、断熱構造体蓋部7は、前記ナット24によってその自重による下方への移動を規制される一方、前記圧縮コイルバネ25の下方への付勢力に抗して上方へ移動可能となされている。
【0022】
よって、断熱構造体蓋部7は、上蓋2及び断熱構造体蓋部7が圧力容器1から取り外されている場合には、図2(a)に示すように、上方の上蓋2で支持される。一方また、断熱構造体蓋部7は、上蓋2及び断熱構造体蓋部7が圧力容器1に装着されている場合には、図2(b)に示すように、圧縮コイルバネ25に抗して上方へ移動可能となっている。
【0023】
前記のブラケット21、ボルト22、埋込みボルト23、ナット24及び圧縮コイルバネ25は、前記連結部材20を構成している。本実施形態では、円周方向に90°間隔で設けられた合計4組の連結部材20によって、断熱構造体蓋部7が上蓋2に連結されている。
【0024】
次に、前記被処理物用ワイヤー状連結部材30について説明する。図3は図1における被処理物用ワイヤー状連結部材の要部を示す正面図である。
【0025】
図1,図3において、31は、断熱構造体蓋部の前記貫通孔7aに通され、上端が上蓋2の下面に固定され、下端が断熱構造体蓋部7の下方に引き出されているバネ部付き小径棒状材である。バネ部付き小径棒状材31は、その下端部に上下方向に弾性変形可能なバネ部31aを有している。バネ部31aは、被処理物W1の上下方向における変形を吸収可能な変形吸収部を構成している。このバネ部付き小径棒状材31の下端には、被処理物W1又は後述する被処理物搭載台に連結するための連結用金具32が装備されている。H型をなす連結用金具32の両フランジ部には、ボルト挿通用の貫通孔が設けられている。60は、被処理物W1又は後述する被処理物搭載台の上面に取り付けられたリブである。リブ60には、ボルト挿通用の貫通孔が設けられている。
【0026】
そして、図3に示すように、ボルト33とナット34によってバネ部付き小径棒状材31の下端に取り付けられた連結用金具32に、ボルト35とナット36によって前記リブ60を結合することで、被処理物用ワイヤー状連結部材30によって上蓋2と被処理物W1又は後述する被処理物搭載台とが連結できるようになっている。
【0027】
前記のバネ部31aを有するバネ部付き小径棒状材31、連結用金具32、ボルト33,35及びナット34,36は、被処理物用ワイヤー状連結部材30を構成している。
【0028】
図4は図1の熱間等方圧加圧装置において圧力容器内に被処理物を収納する様子を説明するための図である。
【0029】
前記のように構成される本実施形態の熱間等方圧加圧装置では、図4に示すように、被処理物用ワイヤー状連結部材30により上蓋2と被処理物W1とを連結した状態で、図示しないハンドリング装置により、上蓋2、断熱構造体蓋部7及び被処理物W1を一緒に圧力容器1に向けて下降させることにより、容易に圧力容器1の高圧室4内に被処理物W1を収納して、製品台9上に載置することができる。なお、被処理物用ワイヤー状連結部材30は、断熱構造体蓋部7の半径方向における中心部に設けられた前記貫通孔7aを通すようにしてあるので、一点支持の形態にて安定に被処理物W1を吊り下げることができる。
【0030】
次いで、製品台9上に載置されている被処理物W1に高温加熱処理が施される。この高温加熱処理時に、熱膨張によって断熱構造体円筒部6に長手方向の伸びが発生しても、断熱構造体蓋部7が前記連結部材20の圧縮コイルバネ25の下方への付勢力に抗して上方へ位置変位可能で、上方へ伸びる該断熱構造体円筒部6と一体に上方へ位置変位することができる。これにより、高温加熱処理時の熱膨張による断熱構造体蓋部7及び断熱構造体円筒部6の破損を防止することができる。
【0031】
また、被処理物用ワイヤー状連結部材30は弾性変形可能なバネ部31aを備えているので、高温加熱処理時に、製品台9上に載置されている被処理物W1の上下方向における変形が妨げられることがない。
【0032】
なお、被処理物用ワイヤー状連結部材30の連結用金具32は、高温加熱処理によって変形が生じて交換が必要となった場合には、その都度部品交換される。
【0033】
図5は図1の熱間等方圧加圧装置において圧力容器内から高温高圧処理された被処理物を取り出す様子を説明するための図である。
【0034】
高温加熱処理後、図5に示すように、図示しない前記ハンドリング装置により、上蓋2、断熱構造体蓋部7及び高温高圧処理が施された被処理物W1’を一緒に上昇させることにより、容易に圧力容器1内より高温高圧処理が施された被処理物W1’を取り出すことができる。
【0035】
このように、本実施形態の熱間等方圧加圧装置では、上蓋及び断熱構造体蓋部による開閉と被処理物の収納取出しとを別々に行う従来装置に比べて、被処理物の収納と取出しをより容易に短時間で行うことができて、生産性の向上を図ることができる。
【0036】
図6は図1の熱間等方圧加圧装置において単一の被処理物に代えて複数の被処理物を被処理物搭載台に載せて処理する場合であって、圧力容器内に被処理物が搭載された被処理物搭載台を収納する様子を説明するための図、図7は図6における被処理物用ワイヤー状連結部材と被処理物搭載台との連結部分を説明するための正面図、図8は図7におけるA−A断面図、図9は圧力容器内に被処理物が搭載された被処理物搭載台がセットされた様子を示す縦断面図である。
【0037】
図6,図8,図9に示すように、被処理物搭載台50は、この例では、下段、中段、上段の三段に間隔をあけて配置された円板状部材を上下方向に延びる4本の支柱部材によって支持してなるものである。この例では、被処理物搭載台50には、2個の円柱状の被処理物W2が上下に載せられている。被処理物搭載台50の上面には、貫通孔を有するリブ60'が取り付けられている。
【0038】
この被処理物搭載台50は、図7,図8に示すように、前記のボルト33とナット34によって前記バネ部付き小径棒状材31の下端に取り付けられた前記連結用金具32に、前記のボルト35とナット36によって前記リブ60’を結合することで、前記被処理物用ワイヤー状連結部材30により、前記上蓋2と連結されている。
【0039】
このように、本実施形態の熱間等方圧加圧装置では、図6に示すように、被処理物用ワイヤー状連結部材30により上蓋2と被処理物W2が搭載された被処理物搭載台50とを連結した状態で、図示しないハンドリング装置により、上蓋2、断熱構造体蓋部7及び被処理物搭載台50を一緒に圧力容器1に向けて下降させることにより、容易に圧力容器1の高圧室4内に被処理物W2が搭載された被処理物搭載台50を収納して、製品台9上に載置することができる(図9参照)。また、高温加熱処理後、図示しない前記ハンドリング装置により、上蓋2、断熱構造体蓋部7及び高温高圧処理が施された被処理物W2が搭載された被処理物搭載台50を一緒に上昇させることにより、容易に圧力容器1内より該被処理物搭載台50を取り出すことができる。
【0040】
このように、本実施形態の熱間等方圧加圧装置では、上蓋及び断熱構造体蓋部による開閉と被処理物搭載台の収納取出しとを別々に行う装置に比べて、被処理物が搭載された被処理物搭載台の収納と取出しをより容易に短時間で行うことができて、生産性の向上を図ることができる。
【0041】
図10は本発明の別の実施形態による熱間等方圧加圧装置の全体構成を示す縦断面図、図11は被処理物が圧力容器に収納され、製品台上に載置された状態で、ワイヤーにたるみ部が形成されている様子を示す図、図12は図10の熱間等方圧加圧装置において圧力容器内から高温高圧処理された被処理物を取り出す様子を説明するための図である。被処理物用ワイヤー状連結部材40の構成が異なる点以外は、前記図1に示す熱間等方圧加圧装置と同一構成なので、両者に共通する部分には同一の符号を付しており、異なる点について説明する。
【0042】
この実施形態による熱間等方圧加圧装置の被処理物用ワイヤー状連結部材40は、図10に示すように、前記バネ部付き小径棒状材31に代えてワイヤー41を用いて構成されており、この点以外の連結用金具32などの構成は、前記被処理物用ワイヤー状連結部材30と同一である。
【0043】
そして、図10に示すように、被処理物W1が圧力容器1内に収納され、製品台9上に載置された状態で、変形吸収部としてのたるみ部41a(図11参照)が形成されるようにワイヤー41の長さが設定されている。その結果、高温加熱処理時に、製品台9上に載置されている被処理物W1の上下方向における変形が妨げられることがない。
【0044】
このようなワイヤー41を有する被処理物用ワイヤー状連結部材40を備えた熱間等方圧加圧装置においても、前記被処理物用ワイヤー状連結部材30を備えた前記の熱間等方圧加圧装置と同様に、従来装置に比べて、被処理物の収納と取出しをより容易に短時間で行うことができて、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態による熱間等方圧加圧装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1における連結部材の構成を示す正面図であって、その(a)は上蓋及び断熱構造体蓋部が圧力容器から取り外され、断熱構造体蓋部が上方の上蓋で支持されている時の状態を示す図、その(b)は上蓋及び断熱構造体蓋部が圧力容器に装着されている時の状態を示す図である。
【図3】図1における被処理物用ワイヤー状連結部材の要部を示す正面図である。
【図4】図1の熱間等方圧加圧装置において圧力容器内に被処理物を収納する様子を説明するための図である。
【図5】図1の熱間等方圧加圧装置において圧力容器内から高温高圧処理された被処理物を取り出す様子を説明するための図である。
【図6】図1の熱間等方圧加圧装置において単一の被処理物に代えて複数の被処理物を被処理物搭載台に載せて処理する場合であって、圧力容器内に被処理物が搭載された被処理物搭載台を収納する様子を説明するための図である。
【図7】図6における被処理物用ワイヤー状連結部材と被処理物搭載台との連結部分を説明するための正面図である。
【図8】図7におけるA−A断面図である。
【図9】圧力容器内に被処理物が搭載された被処理物搭載台が収納された様子を示す縦断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態による熱間等方圧加圧装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図11】被処理物が圧力容器に収納され、製品台上に載置された状態で、ワイヤーにたるみ部が形成されている様子を示す図である。
【図12】図10の熱間等方圧加圧装置において圧力容器内から高温高圧処理された被処理物を取り出す様子を説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
1…圧力容器1 2…上蓋 3…下蓋 4…高圧室
5…断熱構造体 6…断熱構造体円筒部 7…断熱構造体蓋部 7a…貫通孔
8…外周部用ヒータ 9…製品台 10…底部用ヒータ 11…断熱材
12…高圧ガス導入管路 13…高圧ガス導入口 14…水冷ジャケット
20…連結部材 21…ブラケット 22…ボルト 23…埋込みボルト
24…ナット 25…圧縮コイルバネ
30…被処理物用ワイヤー状連結部材
31…バネ部付き小径棒状材 31a…バネ部
32…連結用金具 33,35…ボルト 34,36…ナット
40…被処理物用ワイヤー状連結部材
41…ワイヤー 41a…たるみ部
50…被処理物搭載台
60,60’…リブ
W1,W1’,W2…被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器、この圧力容器の上端開口部を開閉自在に閉じる上蓋、及び前記圧力容器の下端側を閉じる下蓋によって形成される高圧室内に、被処理物を加熱する加熱装置と、倒立コップ状をなし、前記加熱装置を囲む断熱層として機能する断熱構造体とが配設され、前記断熱構造体が、断熱構造体円筒部と、この断熱構造体円筒部の上端開口部を開閉自在に閉じる断熱構造体蓋部とから構成されている熱間等方圧加圧装置において、
前記上蓋と該上蓋の下方に位置させて前記断熱構造体蓋部とを連結する連結部材と、前記断熱構造体蓋部に設けられた単一の貫通孔に通され、一端が前記上蓋の下面に固定され、他端が前記断熱構造体蓋部の下方に引き出され、該他端に被処理物又は被処理物が搭載された被処理物搭載台を連結するための被処理物用ワイヤー状連結部材と、を備えていることを特徴とする熱間等方圧加圧装置。
【請求項2】
前記貫通孔が前記断熱構造体蓋部の半径方向における中心部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項3】
前記連結部材は、前記断熱構造体蓋部が、被処理物の高温高圧処理時に熱膨張で伸びる前記断熱構造体円筒部と一体に上方へ位置変位可能なように、前記断熱構造体円筒部の軸線方向と平行方向に弾性変形可能な弾性部材を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の熱間等方圧加圧装置。
【請求項4】
前記被処理物用ワイヤー状連結部材は、被処理物が連結され、かつ、前記高圧室内に載置された状態で、当該被処理物の上下方向における変形を吸収可能な変形吸収部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間等方圧加圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−121822(P2010−121822A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294405(P2008−294405)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】