説明

熱陰極放電ランプ用電極、熱陰極放電ランプ、及び、ランプユニット

【課題】従来よりも熱陰極放電ランプを長寿命化することができる熱陰極放電ランプ用電極、従来よりも長寿命な熱陰極放電ランプ、及びランプユニットを提供する。
【解決手段】2本のリード線106、107と、2本のリード線の間に接続されエミッタ110を保持するフィラメントコイル105と、耐熱性を備え、フィラメントコイル以外の部材により固定又は移動範囲が規制され、フィラメントコイルの形状変化を抑制する構造体109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱陰極放電ランプに用いる電極に関し、特に、熱陰極放電ランプの長寿命化を図るための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶テレビや液晶モニタ等の液晶表示装置の普及はめざましく、このような液晶表示装置に用いられているバックライトユニットの需要が増大している。
【0003】
従来よりバックライトユニット用の光源としては、冷陰極放電ランプが多用されているが、近年の液晶テレビの大型化に伴い、比較的大型のバックライトユニットには、一般に照明用に多用されている熱陰極放電ランプを用いることが検討されている。
【0004】
熱陰極放電ランプは、冷陰極放電ランプと比較して、発光効率が高く、かつ一本あたりの光量が多いので、バックライトユニットに用いると使用本数の増加を抑えることができるという利点がある反面、寿命が短いという欠点があり、バックライトユニット用の光源は容易に交換ができないという事情もあり、熱陰極放電ランプの長寿命化の要請は極めて強い。
【0005】
また熱陰極放電ランプは、点灯中、特に始動時にエミッタが飛散することにより、点灯時間の経過と共に電極に保持されたエミッタが消失して点灯に寄与するエミッタが無くなってしまい寿命に至ることが一般に知られており、長寿命化のためには、従来よりも多くのエミッタを電極に保持させるか、またはエミッタの消失を抑制する必要がある。
【0006】
そこで、熱陰極放電ランプの長寿命化のために、エミッタを保持したフィラメントを高融点絶縁物に密着して巻き付けた構造を有する電極が特許文献1に開示されており、特許文献1には、高融点絶縁物が熱伝導体となってフィラメントの温度分布が均等化されることにより熱電子放射量分布が均等化され、放電加熱が均等化するとともに熱電子放射面積が大きくなるので、エミッタの消失速度が抑えられて、電極の寿命が長くなると記載されている(段落0004等)。
【特許文献1】特開平06−150880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の発明により熱陰極放電ランプの寿命がどの程度長くなるのかについては明確な記載がなく、また、熱陰極放電ランプをバックライトユニットに用いる際には、多用されている冷陰極ランプと同程度以上の寿命が望まれるので、さらなる長寿命化が必要である。
【0008】
本発明は、従来よりも熱陰極放電ランプを長寿命化することができる熱陰極放電ランプ用電極、従来よりも長寿命な熱陰極放電ランプ、及びランプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る熱陰極放電ランプ用電極は、2本のリード線と、前記2本のリード線の間に接続されエミッタを保持するフィラメントコイルと、耐熱性を備え当該フィラメントコイル以外の部材により固定又は移動範囲が規制され当該フィラメントコイルの形状変化を抑制する構造体とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る熱陰極放電ランプは、上記電極を用いることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るランプユニットは、上記熱陰極放電ランプを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
課題を解決するための手段に記載した構成により、フィラメントコイルの形状が変化しにくくなるので、従来よりもフィラメントコイルを長くかつ大きくすることができ、従来よりも多くのエミッタを電極に保持させることができる。
【0013】
従って、熱陰極放電ランプを従来よりも長寿命化することができる。
【0014】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記フィラメントコイルは二重巻き以上のコイルであって、前記構造体は、さらに、絶縁性を備え、前記フィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋の内側に在することを特徴とすることもできる。
【0015】
これにより、構造体がフィラメントコイルの外側にないので、管内のスペースいっぱいに使って、フィラメントコイルを大きくすることができる。
【0016】
ここで、熱陰極放電ランプに用いる電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、前記最外郭コイルにおける螺旋軸に相当する位置が中空である筒型形状であることを特徴とすることもできる。
【0017】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、前記最外郭コイルにおける螺旋軸に相当する位置に在する柱形状であり、かつ多孔質であることを特徴とすることもできる。
【0018】
これにより、構造体を、軽量でありながらその外形を大きくすることができ、フィラメントコイルを長くかつ大きくすることができる。
【0019】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、前記2本のリード線のうちの一方又は両方により固定又は規制されていることを特徴とすることもできる。
【0020】
これにより、構造体を介してフィラメントコイルとリード線との位置関係が保たれるので、フィラメントコイルを長くかつ大きくすることができる。
【0021】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記フィラメントコイルは、二重巻き以上のコイルであり、前記フィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋軸が前記熱陰極放電ランプの管軸と略一致または略平行であることを特徴とすることもできる。
【0022】
これにより、フィラメントコイルを、熱陰極放電ランプの長手方向に伸延させることができるので、フィラメントコイルを長くすることができる。
【0023】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記フィラメントコイルは最外郭コイルが一重螺旋構造であり、前記2本のリード線は前記フィラメントコイルの管端部側に接続された短リード線と前記フィラメントコイルの管中央部側に接続され当該フィラメントコイルと並行して管端部側へと向かう長リード線とからなり、前記長リード線は前記フィラメントコイルと並行する部分が絶縁部材により囲繞されていることを特徴とすることもできる。
【0024】
これにより、フィラメントコイルと長リード線との距離を離さなくてよくなるので、フィラメントコイルを大きくすることができる。
【0025】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記フィラメントコイルは、前記フィラメントコイルにおける最外郭コイルが二重螺旋構造であり、両端部が両方とも管端部側であって、各端部がそれぞれ前記2本のリード線に接続されていることを特徴とすることもできる。
【0026】
これにより、フィラメントコイルとリード線との接触やアークを気にすることなく、フィラメントコイルを大きくすることができる。
【0027】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記フィラメントコイルは最外郭コイルが一重螺旋構造であり、前記2本のリード線は前記フィラメントコイルの管端部側に接続された短リード線、前記フィラメントコイルの管中央部側に接続され当該フィラメントコイルと並行して管端部側へと向かう長リード線とからなり、前記構造体は前記長リード線の管中央部側の一部を固定又は移動範囲を規制して前記フィラメントコイルを管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げることにより当該フィラメントコイルの形状変化を抑制することを特徴とすることもできる。
【0028】
これにより、構造体がフィラメントコイルを、コイルのテンションを利用して吊り下げることになるので、適度にフィラメントコイルの位置が保たれ、好ましい。
【0029】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は管内壁により固定されることを特徴とすることもできる。
【0030】
これにより、フィラメントコイルの管中央部側の位置の移動範囲が、狭い範囲に規制され、好ましい。
【0031】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は前記熱陰極放電ランプの管端部において固定されることを特徴とすることもできる。
【0032】
これにより、構造体の固定を、電極の封着と同時に行うことができるので、製造工程の追加が少ない。
【0033】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、さらに導電性を備え、前記長リード線に供給される電位と同電位の外部端子に接続される外部接続用端子を含み、当該長リード線と共に外部からの前記フィラメントコイルへの給電に利用されることを特徴とすることもできる。
【0034】
これにより、構造体がリード線としても利用されるので、給電効率がよい。
【0035】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、前記フィラメントコイルを覆うスリーブ形状部分と、当該スリーブ形状部分の管中央部側から管軸方向に延出して前記長リード線の管中央部側の一部を吊り下げる吊り下げ部分とを含むことを特徴とすることもできる。
【0036】
これにより、構造体が、スリーブとして、点灯時のイオン衝撃によるエミッタの損失を抑制することができる。
【0037】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記フィラメントコイルは一重巻き以上のコイルであり、前記構造体は前記フィラメントコイルの最外郭コイル長手方向における略中央部分を管端部側から管中央部側に向かう方向に押し上げることにより当該フィラメントコイルの形状変化を抑制することを特徴とすることもできる。
【0038】
これにより、構造体がフィラメントコイルを、コイルのテンションを利用して押し上げることになるので、適度にフィラメントコイルの位置が保たれ、好ましい。
【0039】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、さらに導電性を備え、外部端子に接続される外部接続用端子を含み、外部から前記フィラメントコイルの一部へ給電する際に利用されることを特徴とすることもできる。
【0040】
これにより、構造体を用いて、フィラメントコイルの中間から片側だけに給電することができるので、フィラメントコイルの一部だけを使用したり、フィラメントコイルの一部とその残りの一部とを交互に使用することができる。
【0041】
ここで、熱陰極放電ランプ用電極、又は熱陰極放電ランプにおいて、前記構造体は、分解温度及び融点が1000℃以上であり、かつ、フィラメントコイルよりも比抵抗が大きい材料により形成されていることを特徴とすることもできる。
【0042】
これにより、構造体が、十分な耐熱性と十分な絶縁性とを備えることができる。
【0043】
ここで、ランプユニットにおいて、前記熱陰極放電ランプが備える前記フィラメントコイルは一重巻き以上のコイルであり、前記熱陰極放電ランプが備える前記構造体は、前記フィラメントコイルの最外郭コイル長手方向における略中央部分を管端部側から管中央部側に向かう方向に押し上げることにより当該フィラメントコイルの形状変化を抑制し、導電性を備え、外部端子に接続される外部接続用端子を含み、外部から前記フィラメントコイルの一部へ給電する際に利用され、さらに、始動時において前記外部接続用端子と前記リード線の一方との間に電圧を印加して一定時間予熱しその後前記2本のリード線の間に電圧を印加する点灯回路を備えることを特徴とすることもできる。
【0044】
これにより、始動時にフィラメントコイルの一部だけを予熱することができるので、エミッタの損失を抑制することができる。
【0045】
ここで、ランプユニットにおいて、前記点灯回路は、さらに、始動時において前記外部接続用端子と前記リード線の一方との間に電圧を印加して一定時間予熱する第1パターンと、前記外部接続用端子と前記リード線の他方との間に電圧を印加して一定時間予熱する第2パターンとを、始動の度に、交互、又はランダムに切り替えることを特徴とすることもできる。
【0046】
これにより、始動の度に、予熱するフィラメントコイルの部分を切り替えることができるので、エミッタの損失を抑制すると同時に、ほぼ均一にエミッタの損失が起こり、結果的に寿命が延びることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(実施の形態1)
<概要>
本発明の実施の形態1は、熱陰極放電ランプに用いる電極において、フィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋の内側に、リード線に固定した耐熱絶縁構造体を挿入することにより、フィラメントコイルの形状変化を抑制するものである。
【0048】
<構成>
図1は、本発明の実施の形態1における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【0049】
図1に示すように、本発明の実施の形態1における熱陰極放電ランプ100は、ガラス管101と、ガラス管101の両端部にそれぞれ熱陰極タイプの電極102、103とを備える。
【0050】
ガラス管101は、例えば、外径が18mm、肉厚が0.8mm、長さが1010mmの略円筒形状の外囲器の内部に、発光物質として発光に寄与する水銀(例えば4〜10mg程度)が封入され、緩衝ガスとして例えばアルゴン50%−クリプトン50%の混合ガス(例えばガス圧が600Pa程度)が封入されている。
【0051】
ガラス管101の内面には、水銀から発せられた紫外線を可視光に変換する蛍光体層104が形成されている。蛍光体層104は、例えば、赤色蛍光体(Y:Eu)、緑色蛍光体(LaPO:Ce、Tb)、青色蛍光体(BaMgAl1627:Eu、Mn)を混合してなる希土類蛍光体で形成されている。
【0052】
電極102と電極103とは主要部の構造が同一なので、ここでは電極102についてのみ説明する。
【0053】
電極102は、フィラメントコイル105と、2本のリード線106、107と、ビーズガラス108と、耐熱絶縁構造体109とを備え、ガラス円筒管材料の一端に、例えばピンチシールという工法によって2本のリード線106、107の中央辺りの一部分が封着されて形成される。
【0054】
フィラメントコイル105は、2本のリード線106、107の間に接続されたタングステン製の多重巻きコイル(二重巻き以上のコイル)であって、一重螺旋構造の最外郭コイル(二重巻きであれば後で巻かれる大きい巻き幅の二重目のコイル、三重巻きであれば最後に巻かれる一番大きい巻き幅の三重目のコイル)を除く各内郭コイルの中空部分にそれぞれBaO・CaO・SrO等の電子放射物質110(通称「エミッタ」)を充填している。例えば三重巻きコイルであれば、フィラメントを巻回して一重コイルとし、さらにその一重コイルを二次巻回して二重コイルとし、さらにその二重コイルを三次巻回してなり、一次巻回中空部分には、一次巻回中空部分を貫通するようにして主線が配置され、電子放射物質110が一重コイルと二重コイルに充填されている。
【0055】
リード線106、107は、フィラメントコイル105の両端のそれぞれが接続された金属性の導線であって、通常の使用において変形しない程の十分な剛性を備えており、熱陰極放電ランプ100の外部から供給される電力をフィラメントコイル105まで導き、フィラメントコイル105を接続部分で直接的に支持し、耐熱絶縁構造体109を直接的に支持することにより、フィラメントコイル105を間接的に支持する。
【0056】
ビーズガラス108は、2本のリード線106、107を固定するカラスの塊である。
【0057】
耐熱絶縁構造体109は、フィラメントコイル105の最外郭コイルにおける螺旋の内側に在するセラミックであって、リード線106、107により直接的に支持されているので、フィラメントコイル105の形状変化を抑制している。
【0058】
ここで、耐熱絶縁構造体109は、円柱形状であり、構造的な強度の向上と軽量のために多孔質が望ましく、フィラメントコイル105の最外郭コイルの螺旋軸に相当する位置に在する。
【0059】
図2は、図1に示した電極102を左横方向から見た図である。
【0060】
図2に示すように、円柱形状の耐熱絶縁構造体109の一方の端部には、リード線106を通すための貫通孔112が空けられ、同様に、他方の端部にはリード線107を通すための貫通孔113(図2中の貫通孔112の奥側、図1参照)が空けられており、フィラメントコイル105の最外郭コイルにおける螺旋の内側に耐熱絶縁構造体109を通した状態で、貫通孔112、113のそれぞれにリード線106、107を通して固定し、さらに、溶接点114においてリード線106とフィラメントコイル105の一端とを溶接し、同様に、溶接点115(図2中の溶接点114の奥側、図1参照)においてリード線107とフィラメントコイル105の他端とを溶接することにより形成される。
【0061】
なお、耐熱絶縁構造体109の形状は、円柱形状に限られず、リード線106、107のうちの一方又は両方により固定又は規制され、フィラメントコイル105を固定するか又は移動範囲を規制することができれば、どのような形状であってもよいので、例えば、三角柱、四角柱等の多角柱であってもよいし、あるいは螺旋軸に相当する位置が中空な円筒等の筒型形状であってもよい。
【0062】
図3は、実施の形態1における電極102の変形例を示す図である。
【0063】
図3に示すように、電極102の変形例である電極150は、形状が円柱形状である耐熱絶縁構造体109の代わりに、形状が円筒形状である耐熱絶縁構造体159を備え、他の構成要素は電極102と同様である。
【0064】
また耐熱絶縁構造体109の材質は、耐熱性及び絶縁性を備えた構造体になればどのような材質であってもよく、例えば酸化アルミニウムのような金属酸化物や酸化珪素等の酸化物、窒化ホウ素や窒化珪素等の窒化物(窒素とそれより陽性な元素との化合物)、炭化珪素等の炭化物、又は、これらの複合物のように、フィラメントコイル105の高温に耐え、かつフィラメントコイル105よりも高い抵抗をもつ材料により形成する必要がある。ここでフィラメントコイル105の動作温度は一般に600〜900℃程度なので、この材料の分解温度及び融点は1000℃以上であることが望ましく、また、フィラメントコイル105の材料であるタングステンの比抵抗はおよそ6×10-6Ωcm(理化学辞典より)なので、この材料の比抵抗は、少なくともこれ以上でなければならない。
【0065】
また、ガラス管101の一方の端部(ここでは、電極102側)には、電極102と共に排気管111が封着されている。この排気管111は、リード線106、107等を封着した後に、緩衝ガス等の封入前の管内の排気と、緩衝ガス等の封入とに用いられるものであり、緩衝ガス等の封入完了後直ちに、外方に突出している所定位置で、チップオフ封止等により閉塞される。
【0066】
<まとめ>
以上のように、実施の形態1の熱陰極放電ランプによれば、フィラメントコイルの内側に挿入された耐熱絶縁構造体により、フィラメントコイルの形状変化が抑制されるので、従来よりもフィラメントコイルを大きくすることができる。
【0067】
従って、従来よりも多くの電子放射物質を電極に保持させることができ、熱陰極放電ランプを従来よりも長寿命化することができる。
(実施の形態2)
<概要>
本発明の実施の形態2は、熱陰極放電ランプに用いる電極において、長寿命化等のためにフィラメントコイルを管軸方向に延伸させ、フィラメントコイルの最外郭コイルをランプの管軸方向に巻いて縦置きにした場合に、実施の形態1と同様にフィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋の内側に、リード線に固定した耐熱絶縁構造体を挿入することにより、フィラメントコイルの形状変化を抑制するものである。
【0068】
<構成>
図4は、本発明の実施の形態2における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【0069】
図4に示すように、本発明の実施の形態2における熱陰極放電ランプ200は、ガラス管101と、ガラス管101の両端部にそれぞれ熱陰極タイプの電極202、203とを備える。
【0070】
ここで実施の形態1と同様な構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0071】
電極202は、フィラメントコイル205と、短リード線206と、長リード線207と、ビーズガラス108と、耐熱絶縁構造体209とを備え、ガラス円筒管材料の一端に、例えばピンチシールという工法によって短リード線206と、長リード線207の中央辺りの一部分が封着されて形成される。
【0072】
フィラメントコイル205は、管端部側が短リード線206に接続され、管中央部側が長リード線207に接続されたタングステン製の多重巻きコイルであって、最外郭コイルが一重螺旋構造で、最外郭コイルにおける螺旋軸がランプの管軸と略一致または略平行であり、実施の形態1と同様に、最外郭コイルを除く各内郭コイルの中空部分には電子放射物質110を充填している。
【0073】
短リード線206、及び長リード線207は、フィラメントコイル205の両端のそれぞれが接続された金属性の導線であって、実施の形態1のリード線106、107と同様に、通常の使用において変形しない程の十分な剛性を備えており、熱陰極放電ランプ200の外部から供給される電力をフィラメントコイル205まで導き、フィラメントコイル205を接続部分で直接的に支持し、耐熱絶縁構造体209を直接的に支持することにより、フィラメントコイル205を間接的に支持する。
【0074】
耐熱絶縁構造体209は、フィラメントコイル205の最外郭コイルにおける螺旋の内側に在するセラミックであって、短リード線206、及び長リード線207により直接的に支持されているので、フィラメントコイル205の形状変化を抑制している。
【0075】
ここで、耐熱絶縁構造体209は、フィラメントコイル205の最外郭コイルにおける螺旋軸に相当する位置が中空である円筒形状である。
【0076】
なお、耐熱絶縁構造体209の形状は、実施の形態1の耐熱絶縁構造体109と同様に、フィラメントコイル205を固定するか又は移動範囲を規制することができれば、どのような形状であってもよい。
【0077】
また耐熱絶縁構造体209の材質は、実施の形態1の耐熱絶縁構造体109と同様に、耐熱性及び絶縁性を備えた構造体であればどのような材質であってもよい。
【0078】
図5は、実施の形態2における電極202の変形例を示す図である。
【0079】
図5に示すように電極202の変形例である電極250は、長リード線207におけるフィラメントコイル205と並行する部分を、絶縁部材251により囲繞し、耐熱性接着剤252により固定したものであり、他の構成は実施の形態2と同様である。
【0080】
<まとめ>
以上のように、実施の形態2の熱陰極放電ランプによれば、実施の形態1と同様に、フィラメントコイルの内側に挿入された耐熱絶縁構造体により、フィラメントコイルの形状変化が抑制されるので、従来よりもフィラメントコイルを大きくすることができ、さらに、フィラメントコイルを管軸方向に延伸させることができるので、従来よりもフィラメントコイルを長くすることができる。
【0081】
従って、従来よりも多くの電子放射物質を電極に保持させることができ、熱陰極放電ランプを従来よりも長寿命化することができる。
【0082】
特に実施の形態2の変形例によれば、フィラメントコイルと長リード線との距離を離さなくてよくなるので、さらにフィラメントコイルを大きくすることができる。
(実施の形態3)
<概要>
本発明の実施の形態3は、熱陰極放電ランプに用いる電極において、長寿命化等のためにフィラメントコイルを管軸方向に延伸させ、フィラメントコイルの最外郭コイルを二重螺旋構造とし、両端部を両方とも管端部側にしてランプの管軸方向に縦置きにした場合に、実施の形態1と同様にフィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋の内側に、リード線等に固定した耐熱絶縁構造体を挿入することにより、フィラメントコイルの形状変化を抑制するものである。
【0083】
<構成>
図6は、本発明の実施の形態3における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【0084】
図6に示すように、本発明の実施の形態3における熱陰極放電ランプ300は、ガラス管101と、ガラス管101の両端部にそれぞれ熱陰極タイプの電極302、303とを備える。
【0085】
ここで実施の形態1と同様な構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0086】
電極302は、フィラメントコイル305と、リード線106、107と、ビーズガラス108と、耐熱絶縁構造体309とを備え、ガラス円筒管材料の一端に、例えばピンチシールという工法によってリード線106、107の中央辺りの一部分が封着されて形成される。
【0087】
フィラメントコイル305は、2本のリード線106、107の間に接続されたタングステン製の多重巻きコイルであって、最外郭コイルが二重螺旋構造で、両端部が両方とも管端部側であり、また最外郭コイルにおける螺旋軸がランプの管軸と略一致または略平行であり、実施の形態1と同様に、最外郭コイルを除く各内郭コイルの中空部分には電子放射物質110を充填している。
【0088】
リード線106、107は、フィラメントコイル105の代わりにフィラメントコイル305に接続され、熱陰極放電ランプ300の外部から供給される電力をフィラメントコイル305まで導き、フィラメントコイル305を接続部分で直接的に支持し、耐熱絶縁構造体309を直接的に支持することにより、フィラメントコイル305を間接的に支持する。
【0089】
耐熱絶縁構造体309は、フィラメントコイル305の最外郭コイルにおける螺旋の内側に在する部分を持つセラミックであって、リード線106、107により直接的に支持されているので、フィラメントコイル305の形状変化を抑制している。
【0090】
ここで、耐熱絶縁構造体309は、円柱形状のフィラメントコイル305を支持する本体部分と、リード線106、107に支持されるための補助部分とからなり、構造的な強度の向上と軽量のために多孔質が望ましく、本体部分はフィラメントコイル305の最外郭コイルの旋廻軸に相当する位置に在する。
【0091】
なお、耐熱絶縁構造体309の形状は、実施の形態1の耐熱絶縁構造体109と同様に、フィラメントコイル305を固定するか又は移動範囲を規制することができれば、どのような形状であってもよい。
【0092】
また耐熱絶縁構造体309の材質は、実施の形態1の耐熱絶縁構造体109と同様に、耐熱性及び絶縁性を備えた構造体であればどのような材質であってもよい。
【0093】
<まとめ>
以上のように、実施の形態3の熱陰極放電ランプによれば、実施の形態1と同様に、フィラメントコイルの内側に挿入された耐熱絶縁構造体により、フィラメントコイルの形状変化が抑制されるので、従来よりもフィラメントコイルを大きくすることができ、さらに、実施の形態2と同様に、フィラメントコイルを管軸方向に延伸させることができるので、従来よりもフィラメントコイルを長くすることができる。
【0094】
また、フィラメントコイルの最外郭コイルを二重螺旋構造とし、両端部を両方とも管端部側にしているので、実施の形態2のように長リード線との距離を離さなくてよくなるので、さらにフィラメントコイルを大きくすることができる。
【0095】
従って、従来よりも多くの電子放射物質を電極に保持させることができ、熱陰極放電ランプを従来よりも長寿命化することができる。
(実施の形態4)
<概要>
本発明の実施の形態4は、熱陰極放電ランプに用いる電極において、長寿命化等のためにフィラメントコイルを管軸方向に延伸させ、フィラメントコイルの最外郭コイルをランプの管軸方向に巻いて縦置きにした場合に、リード線又はフィラメントコイルの管中央部側の一部を固定又は移動範囲を規制して、フィラメントコイルを、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げることにより、フィラメントコイルの形状変化を抑制するものである。
【0096】
<構成>
図7は、本発明の実施の形態4における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【0097】
図7に示すように、本発明の実施の形態4における熱陰極放電ランプ400は、ガラス管101と、ガラス管101の両端部にそれぞれ熱陰極タイプの電極402、403とを備える。
【0098】
ここで実施の形態1と同様な構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0099】
電極402は、フィラメントコイル405と、短リード線406と、長リード線407と、ビーズガラス108と、耐熱構造体409とを備え、ガラス円筒管材料の一端に、例えばピンチシールという工法によって短リード線406と、長リード線407の中央辺りの一部分が封着されて形成される。
【0100】
フィラメントコイル405は、管端部側が短リード線406に接続され、管中央部側が長リード線407に接続されたタングステン製の多重巻きコイルであって、最外郭コイルが一重螺旋構造で、最外郭コイルにおける螺旋軸がランプの管軸と略一致または略平行であり、実施の形態1と同様に、最外郭コイルを除く各内郭コイルの中空部分には電子放射物質110を充填している。
【0101】
短リード線406、及び長リード線407は、フィラメントコイル405の両端のそれぞれが接続された金属性の導線であって、実施の形態1のリード線106、107と同様に、通常の使用において変形しない程の十分な剛性を備えており、熱陰極放電ランプ400の外部から供給される電力をフィラメントコイル405まで導き、フィラメントコイル405を接続部分で直接的に支持する。
【0102】
耐熱構造体409は、長リード線407の管中央部側を直接的に支持する耐熱性を備えた金属であって、ガラス管101の管壁により直接的に支持されているので、フィラメントコイル405の形状変化を抑制している。
【0103】
なお、耐熱構造体409の形状は、フィラメントコイル405を固定するか又は移動範囲を規制することができれば、どのような形状であってもよい。
【0104】
また耐熱構造体409の材質は、耐熱性を備えた構造体であればどのような材質であってもよい。
【0105】
図8〜図14は、実施の形態4における電極402の変形例、電極402a〜電極402gを示す図である。
【0106】
図8に示す電極402aは、長リード線407と耐熱構造体409との代わりに長リード線421とガラス管101の管壁より突出した耐熱構造体429とを備え、耐熱構造体429に長リード線421の管中央部側における先端部分や中央部分等を引っ掛けて、フィラメントコイル405を、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げている。
【0107】
図9に示す電極402bは、耐熱構造体409の代わりに耐熱構造体439を備え、耐熱構造体439は、略L字形の耐熱性を備えた金属であり、ガラス管101の管端部において短リード線406、及び長リード線407と同様に封着されて固定されており、長リード線407の管中央部側を直接的に支持し、フィラメントコイル405を、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げている。
【0108】
なお、耐熱構造体439は、導電性を備え、長リード線407に供給される電位と同電位の外部端子に接続される外部接続用端子を含み、長リード線407と共に、外部からフィラメントコイル405への給電に利用してもよい。
【0109】
図10に示す電極402cは、耐熱構造体409の代わりに耐熱構造体449を備え、耐熱構造体449は、略U字形の耐熱性を備えた金属であり、形状以外は耐熱構造体439と同様である。
【0110】
図11に示す電極402dは、耐熱構造体409の代わりに耐熱構造体459を備え、耐熱構造体459は、略V字形の耐熱性を備えた金属であり、形状以外は耐熱構造体439と同様である。
【0111】
図12(a)、(b)に示す電極402eは、耐熱構造体409の代わりに耐熱構造体本体460、吊り下げ金具461、462、及び固定金具463を備え、短リード線406と長リード線407との代わりにリード線464、465、接続補強部材466、467、及び導入線468、469とを備える。
【0112】
耐熱構造体本体460は、フィラメントコイル405を覆うスリーブ形状の耐熱性を備えた金属であり、同じく耐熱性を備えた金属性の固定金具463を介して接続補強部材466に溶接されて固定されており、絶縁性及び耐熱性を備えスリーブ形状部分の管中央部側から管軸方向に延出した吊り下げ金具461、462によりリード線465の管中央部側の一部を直接的に支持し、フィラメントコイル405を、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げている。
【0113】
図13(a)、(b)に示す電極402fは、電極402eのフィラメントコイル405、短リード線406、長リード線407の代わりに、最外郭コイルが二重螺旋構造であるフィラメントコイル475を備え、吊り下げ金具461、462によりフィラメントコイル475の管中央部側の一部を直接的に支持して、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げている。なお他の構成要素は電極402eと同様である。
【0114】
図14(a)、(b)に示す電極402gは、電極402fの吊り下げ金具461、462の代わりに吊り下げ金具481を備え、吊り下げ金具481のみで、フィラメントコイル475の管中央部側の一部を直接的に支持して、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げている。
【0115】
<まとめ>
以上のように、実施の形態4の熱陰極放電ランプによれば、フィラメントコイルを管軸方向に延伸させた場合に、フィラメントコイルを吊り下げることができるので、従来よりもフィラメントコイルを長くすることや、従来よりも多くの電子放射物質を電極に保持させることができる。
【0116】
従って、熱陰極放電ランプを従来よりも長寿命化することができる。
(実施の形態5)
<概要>
本発明の実施の形態5は、熱陰極放電ランプに用いる電極において、熱陰極放電ランプに用いる電極において、フィラメントコイルの最外郭コイル長手方向における略中央部分を管端部側から管中央部側に向かう方向に押し上げることにより、フィラメントコイルの形状変化を抑制するものである。
【0117】
<構成>
図15は、本発明の実施の形態5における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【0118】
図15に示すように、本発明の実施の形態5における熱陰極放電ランプ500は、ガラス管101と、ガラス管101の両端部にそれぞれ熱陰極タイプの電極502、503とを備える。
【0119】
ここで実施の形態1と同様な構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0120】
電極502は、フィラメントコイル505と、リード線506、507と、ビーズガラス108と、耐熱構造体509とを備え、ガラス円筒管材料の一端に、例えばピンチシールという工法によってリード線506、507の中央辺りの一部分が封着されて形成される。
【0121】
フィラメントコイル505は、2本のリード線506、507の間に接続されたタングステン製の一重巻き以上のコイルであって、両端部が両方とも管端部側であり、略中央部分が耐熱構造体509により支持されて管中央部側へ押し上げられており、コイルの中空部分には電子放射物質110を充填している。
【0122】
リード線506、507は、フィラメントコイル505に接続され、実施の形態1のリード線106、107と同様に、通常の使用において変形しない程の十分な剛性を備えており、熱陰極放電ランプ500の外部から供給される電力をフィラメントコイル505まで導き、フィラメントコイル505を接続部分で直接的に支持する。
【0123】
耐熱構造体509は、先端が略Y字形状である耐熱性を備えた金属棒であって、ガラス管101の管端部においてリード線506、507と同様に封着されて固定されており、フィラメントコイル505の略中央部分を直接的に支持してフィラメントコイル505の形状変化を抑制している。
【0124】
なお、耐熱構造体509の形状は、フィラメントコイル505を固定するか又は移動範囲を規制することができれば、どのような形状であってもよい。
【0125】
図16(a)〜(c)は、耐熱構造体509の先端の形状の例を示す図である。
【0126】
図16(a)〜(c)に示すように、耐熱構造体509の先端は、略Y字形状、略コ字形状、又は略半円形状であり、このような形状にすることにより比較的組み立てが容易となり、かつ構造体からフィラメントコイルがはずれにくくなる。 なお、耐熱構造体509の先端は、フィラメントコイル505を支持することができれば、どのような形状であってもよい。
【0127】
また、耐熱構造体509は、外部端子に接続される外部接続用端子を含み、外部からフィラメントコイル505の一部へ給電する際に利用してもよい。このようにすれば、耐熱構造体509を用いてフィラメントコイル505の中間から片側だけに給電することができるので、フィラメントコイル505の一部だけを使用したり、フィラメントコイル505の一部とその残りの一部とを交互に使用することができる。
【0128】
図17(a)、(b)は、耐熱構造体509を利用した給電方法の一例を示す図である。
【0129】
図17(a)、(b)に示すランプユニットは、電源回路550と切り替えスイッチ551からなる点灯回路と、熱陰極放電ランプ500とを含み、始動時において、(a)に示す状態で、耐熱構造体509の外部接続用端子とリード線507との間に電圧を印加して一定時間予熱し、その後、(b)に示す状態で、2本のリード線506、507の間に電圧を印加することができ、始動時にフィラメントコイルの一部だけを予熱することができるので、エミッタの損失を抑制することができる。
【0130】
図18(a)、(b)は、耐熱構造体509を利用した給電方法の他の一例を示す図である。
【0131】
図18(a)、(b)に示すランプユニットは、電源回路550と切り替えスイッチ551、552からなる点灯回路と、熱陰極放電ランプ500とを含み、始動時において、(a)に示す状態で、耐熱構造体509の外部接続用端子とリード線507との間に電圧を印加して一定時間予熱し、その後、(b)に示す状態で、2本のリード線506、507の間に電圧を印加する第1パターンと、始動時において、(c)に示す状態で、リード線506と耐熱構造体509の外部接続用端子との間に電圧を印加して一定時間予熱し、その後、(b)に示す状態で、2本のリード線506、507の間に電圧を印加する第2パターンとを、始動の度に、交互、又はランダムに切り替えることができ、始動の度に、予熱するフィラメントコイルの部分を切り替えることができるので、エミッタの損失を抑制すると同時に、ほぼ均一にエミッタの損失が起こり、結果的に寿命が延びることとなる。
【0132】
図19、図20(a)、(b)は、実施の形態5における電極502の変形例、電極502a、電極502bを示す図である。
【0133】
図19に示す電極502aは、フィラメントコイル505の代わりにフィラメントコイル555を備え、フィラメントコイル555は耐熱構造体509の周りを旋廻して、二重螺旋構造を形成している。
【0134】
図20(a)に示す電極502bは、電極502aにおいて、耐熱構造体509の代わりに耐熱構造体569を備え、耐熱構造体569は、耐熱構造体509の長手方向における略等間隔な4箇所に、図20(b)に示すような補助板を取り付けたものである。
【0135】
<まとめ>
以上のように、実施の形態5の熱陰極放電ランプによれば、フィラメントコイルの略中央部分を押し上げることができるので、従来よりもフィラメントコイルを長くすることや、従来よりも多くの電子放射物質を電極に保持させることができる。
【0136】
従って、熱陰極放電ランプを従来よりも長寿命化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、熱陰極放電ランプ、及び熱陰極放電ランプを使用するバックライトユニット等のあらゆる機器に広く適用することができる。本発明によって長寿命な熱陰極放電ランプを提供することができるので、熱陰極放電ランプの応用範囲が広がり、その産業的利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の実施の形態1における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【図2】図1に示した電極102を左横方向から見た図である。
【図3】実施の形態1における電極102の変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【図5】実施の形態2における電極202の変形例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【図7】本発明の実施の形態4における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【図8】実施の形態4における電極402の変形例、電極402aを示す図である。
【図9】実施の形態4における電極402の変形例、電極402bを示す図である。
【図10】実施の形態4における電極402の変形例、電極402cを示す図である。
【図11】実施の形態4における電極402の変形例、電極402dを示す図である。
【図12】実施の形態4における電極402の変形例、電極402eを示す図である。
【図13】実施の形態4における電極402の変形例、電極402fを示す図である。
【図14】実施の形態4における電極402の変形例、電極402gを示す図である。
【図15】本発明の実施の形態5における熱陰極放電ランプの概要を示す一部破断図である。
【図16】耐熱構造体509の先端の形状の例を示す図である。
【図17】耐熱構造体509を利用した給電方法の一例を示す図である。
【図18】耐熱構造体509を利用した給電方法の他の一例を示す図である。
【図19】実施の形態5における電極502の変形例、電極502aを示す図である。
【図20】実施の形態5における電極502の変形例、電極502bを示す図である。
【符号の説明】
【0139】
100 熱陰極放電ランプ
101 ガラス管
102 電極
103 電極
104 蛍光体層
105 フィラメントコイル
106 リード線
107 リード線
108 ビーズガラス
109 耐熱絶縁構造体
110 電子放射物質
111 排気管
112 貫通孔
113 貫通孔
114 溶接点
115 溶接点
150 電極
159 耐熱絶縁構造体
200 熱陰極放電ランプ
202 電極
205 フィラメントコイル
206 短リード線
207 長リード線
209 耐熱絶縁構造体
250 電極
251 絶縁部材
252 耐熱性接着剤
300 熱陰極放電ランプ
302 電極
305 フィラメントコイル
309 耐熱絶縁構造体
400 熱陰極放電ランプ
402 電極
402a 電極
402b 電極
402c 電極
402d 電極
402e 電極
402f 電極
402g 電極
405 フィラメントコイル
406 短リード線
407 長リード線
409 耐熱構造体
421 長リード線
429 耐熱構造体
439 耐熱構造体
449 耐熱構造体
459 耐熱構造体
460 耐熱構造体本体
461 吊り下げ金具
462 吊り下げ金具
463 固定金具
464 リード線
465 リード線
466 接続補強部材
468 導入線
475 フィラメントコイル
481 吊り下げ金具
500 熱陰極放電ランプ
502 電極
502a 電極
502b 電極
505 フィラメントコイル
506 リード線
507 リード線
509 耐熱構造体
550 電源回路
551 スイッチ
555 フィラメントコイル
569 耐熱構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のリード線と、
前記2本のリード線の間に接続され、エミッタを保持するフィラメントコイルと、
耐熱性を備え、当該フィラメントコイル以外の部材により固定又は移動範囲が規制され、当該フィラメントコイルの形状変化を抑制する構造体と
を備えることを特徴とする熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項2】
前記フィラメントコイルは二重巻き以上のコイルであって、
前記構造体は、
さらに絶縁性を備え、前記フィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋の内側に在すること
を特徴とする請求項1に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項3】
前記構造体は、
前記最外郭コイルにおける螺旋軸に相当する位置が中空である筒型形状であること
を特徴とする請求項2に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項4】
前記構造体は、
前記最外郭コイルにおける螺旋軸に相当する位置に在する柱形状であり、かつ多孔質であること
を特徴とする請求項2に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項5】
前記構造体は、
前記2本のリード線のうちの一方又は両方により固定又は規制されていること
を特徴とする請求項2に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項6】
前記フィラメントコイルは、
二重巻き以上のコイルであり、前記フィラメントコイルの最外郭コイルにおける螺旋軸が、前記熱陰極放電ランプの管軸と略一致または略平行であること
を特徴とする請求項1に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項7】
前記フィラメントコイルは、最外郭コイルが一重螺旋構造であり、
前記2本のリード線は、前記フィラメントコイルの管端部側に接続された短リード線と、前記フィラメントコイルの管中央部側に接続され当該フィラメントコイルと並行して管端部側へと向かう長リード線とからなり、
前記長リード線は、前記フィラメントコイルと並行する部分が、絶縁部材により囲繞されていること
を特徴とする請求項6に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項8】
前記フィラメントコイルは、
前記フィラメントコイルにおける最外郭コイルが二重螺旋構造であり、両端部が両方とも管端部側であって、各端部がそれぞれ前記2本のリード線に接続されていること
を特徴とする請求項6に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項9】
前記フィラメントコイルは、最外郭コイルが一重螺旋構造であり、
前記2本のリード線は、前記フィラメントコイルの管端部側に接続された短リード線と、前記フィラメントコイルの管中央部側に接続され当該フィラメントコイルと並行して管端部側へと向かう長リード線とからなり、
前記構造体は、前記長リード線の管中央部側の一部を、固定又は移動範囲を規制して、前記フィラメントコイルを、管中央部側から管端部側に向かう方向に吊り下げることにより、当該フィラメントコイルの形状変化を抑制すること
を特徴とする請求項6に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項10】
前記構造体は、管内壁により固定されること
を特徴とする請求項9に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項11】
前記構造体は、前記熱陰極放電ランプの管端部において固定されること
を特徴とする請求項9に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項12】
前記構造体は、
さらに導電性を備え、前記長リード線に供給される電位と同電位の外部端子に接続される外部接続用端子を含み、当該長リード線と共に、外部からの前記フィラメントコイルへの給電に利用されること
を特徴とする請求項11に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項13】
前記構造体は、
前記フィラメントコイルを覆うスリーブ形状部分と、当該スリーブ形状部分の管中央部側から管軸方向に延出して、前記長リード線の管中央部側の一部を吊り下げる吊り下げ部分とを含むこと
を特徴とする請求項9に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項14】
前記フィラメントコイルは、一重巻き以上のコイルであり、
前記構造体は、前記フィラメントコイルの最外郭コイル長手方向における略中央部分を、管端部側から管中央部側に向かう方向に押し上げることにより、当該フィラメントコイルの形状変化を抑制すること
を特徴とする請求項1に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項15】
前記構造体は、
さらに導電性を備え、外部端子に接続される外部接続用端子を含み、外部から前記フィラメントコイルの一部へ給電する際に利用されること
を特徴とする請求項14に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項16】
前記構造体は、
分解温度及び融点が1000℃以上であり、かつ、フィラメントコイルよりも比抵抗が大きい材料により形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の熱陰極放電ランプ用電極。
【請求項17】
請求項1〜16のうちのいずれか一項に記載の熱陰極放電ランプ用電極を用いた熱陰極放電ランプ。
【請求項18】
請求項15に記載の熱陰極放電ランプ用電極を用いた熱陰極放電ランプと、
始動時において、前記外部接続用端子と前記リード線の一方との間に電圧を印加して一定時間予熱し、その後前記2本のリード線の間に電圧を印加する点灯回路と
を備えることを特徴とするランプユニット。
【請求項19】
前記点灯回路は、さらに、
始動時において、前記外部接続用端子と前記リード線の一方との間に電圧を印加して一定時間予熱する第1パターンと、前記外部接続用端子と前記リード線の他方との間に電圧を印加して一定時間予熱する第2パターンとを、始動の度に、交互、又はランダムに切り替えること
を特徴とする請求項18に記載のランプユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−117633(P2008−117633A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299664(P2006−299664)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】