燃料タンクの固定構造
【課題】燃料タンクの垂れ下がりを防止することを可能にするとともに、燃料タンクの容量を稼ぐことを可能にする。
【解決手段】樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンク133と、この燃料タンク133の下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト(プロペラシャフト)132若しくは配管(排気管)131と、燃料タンク133を車体に固定するタンクバンド(第2のタンクバンド)146と、を備える燃料タンクの固定構造において、タンクバンド146の一部がシャフト132若しくは配管131と上下方向で重なる位置に配置された。
【解決手段】樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンク133と、この燃料タンク133の下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト(プロペラシャフト)132若しくは配管(排気管)131と、燃料タンク133を車体に固定するタンクバンド(第2のタンクバンド)146と、を備える燃料タンクの固定構造において、タンクバンド146の一部がシャフト132若しくは配管131と上下方向で重なる位置に配置された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されるシャフト若しくは配管と、燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備えた燃料タンクの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクの固定構造は、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着剤に吸着させるキャニスタと、エンジンからの駆動力を後輪に伝達するプロペラシャフトとが、タンク下に配置される。
燃料タンクは、中央部に且つ車体前後方向に沿って設けられるセンタトンネルと、このセンタトンネルの一方側に、車体高さ方向が深く形成された深底燃料室と、センタトンネルの他方側に、深底燃料室のタンク底よりも上げ底とした浅底燃料室と、を備え、浅底燃料室の下に確保される空間に、キャニスタ及び排気管が配置され、センタトンネルにプロペラシャフトが配置されるものである。
【0003】
この燃料タンクの固定構造によれば、燃料タンクの下方にキャニスタ、排気管及びプロペラシャフトを合理的に配置することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−162539公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の燃料タンクの固定構造は、燃料タンクの下に排気管やプロペラシャフトが配置されている。
燃料タンクの下方に、排気管やプロペラシャフトを配置する場合は、樹脂燃料タンクでは、燃料による膨潤や燃料による重みで燃料タンクに垂れ下がりが生ずることがある。従って、燃料タンクの底が排気管やプロペラシャフトに当接しないように、垂れ下がり分を考慮して燃料タンクと、排気管やプロペラシャフトとのクリアランスを設定する必要があった。すなわち、この垂れ下がり分を考慮すると、燃料タンクの燃料の貯留量の減少を招く。
【0006】
本発明は、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができるとともに、燃料タンクの容量を稼ぐことができる燃料タンクの固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト若しくは配管と、燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備えた燃料タンクの固定構造において、タンクバンドの一部がシャフト若しくは配管と上下方向で重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、タンクバンドが、シャフト若しくは配管の直上に、且つシャフト若しくは配管の軸線方向に沿って配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、タンクバンドが、タンクバンドの幅方向の中心線と、シャフト若しくは配管の中心線とが上下方向で重なるように配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1及貯留部に設けられ、車両のエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプと、を有し、第1貯留部の底面が、第2貯留部の底面よりも下方に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、シャフトが、エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトであり、配管が、エンジンからの排気ガスを排出する排気管であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、タンクバンドが、プロペラシャフト及び排気管のうちの上方に配置された一方の上に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、タンクバンドの一部がプロペラシャフト及び排気管の両方に重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1貯留部と第2貯留部を連通するための連通路を有し、連通路の下方にプロペラシャフトを配置するとともに、タンクバンドの一部がプロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト若しくは配管と、燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備える。
タンクバンドの一部がシャフト若しくは配管と上下方向で重なる位置に配置されたので、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト若しくは配管との隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、タンクバンドが、シャフト若しくは配管の直上に、且つシャフト若しくは配管の軸線方向に沿って配置されたので、さらに、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト若しくは配管との隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、タンクバンドが、タンクバンドの幅方向の中心線と、シャフト若しくは配管の中心線とが上下方向で重なるように配置されたので、なお一層、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト若しくは配管との隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1及貯留部に設けられ、車両のエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプと、を有する。
第1貯留部の底面が、第2貯留部の底面よりも下方に配置されるので、このような片鞍型の燃料タンクにおいては、燃料ポンプを設けた貯留部(第1貯留部)に容量の小さい貯留部から燃料が流れ易くなる。
【0019】
請求項5に係る発明では、シャフトが、エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトであり、配管が、エンジンからの排気ガスを排出する排気管である。
シャフトがプロペラシャフトであった場合には、プロペラシャフトが揺動してもタンクバンドに当たることで、プロペラシャフトが燃料タンクに直接当たることを防ぐことができる。
配管が排気管であった場合には、排気管が高温になった場合にもタンクバンドによって、排気管の直上に位置する燃料タンクの一部に排気管からの放出熱があたることを防ぐことができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、タンクバンドが、プロペラシャフト及び排気管のうちの上方に配置された一方の上に設けられるので、プロペラシャフトと排気管のうちの上面が高い位置に配置された配管を基準として垂れ下がりを防止することができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、タンクバンドの一部がプロペラシャフト及び排気管の両方に重なる位置に配置されたので、プロペラシャフトと排気管との双方での垂れ下がりを防止することができる。
【0022】
請求項8に係る発明では、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1貯留部と第2貯留部を連通するための連通路を有する。
連通路の下方にプロペラシャフトを配置するとともに、タンクバンドの一部がプロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置した。燃料タンクの連通路は、第1貯留部と第2貯留部に比べて燃料の重量が加わらないので、燃料タンクの垂れが少ないと考えられる。
従って、タンクバンドの一部をプロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置することで、さらに、プロペラシャフトとの隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る実施例1の燃料タンクの固定構造が採用された車両を示す斜視図である。
【図2】図1に示される車両の車体フロア構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示される車両の車体フロア構造を示す分解斜視図である。
【図4】図1に示される車両の車体フロア構造を示す平面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る実施例1の燃料タンクの固定構造の底面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】図6に示された燃料タンクの固定構造の比較検討図である。
【図10】本発明に係る実施例2の燃料タンクの固定構造の断面図である。
【図11】本発明に係る実施例3の燃料タンクの固定構造の底面図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】本発明に係る実施例4の燃料タンクの固定構造の底面図である。
【図14】図13の14−14線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0025】
実施例1の燃料タンクの固定構造(図7参照)が採用された車両10の車体フロア構造(図3参照)について説明する。
図1〜図6に示すように、車両10の車体フロア構造は、車体前後方向に延出された左右のフロントサイドフレーム11と、左右のフロントサイドフレーム11の後端部11aから車体後方に向けてそれぞれ延出された左右のフロアフレーム12と、左右のフロアフレーム12の車体外側に設けられるとともに車体前後方向に延出された左右のサイドシル13と、左右のサイドシル13に架け渡された後クロスメンバ14と、後クロスメンバ14の左右の端部14a,14aから車体後方に向けて延出された左右のリヤフロアフレーム15と、後クロスメンバ14、左右のフロアフレーム12および左右のリヤフロアフレーム15に載置されたフロアパネル16と、フロアパネル16に載置されるとともに左右のサイドシル13に架け渡された上部前クロスメンバ17と、上部前クロスメンバ17の下部前方で左右のサイドシル13に架け渡され、車両用の燃料タンク23を保持する前クロスメンバ22と、を備えている。
【0026】
左サイドシル13に沿ってスライドドア18が車体前後方向にスライド移動自在に設けられている。
左サイドシル13内に、スライドドア18をスライド自在に案内するレール(ガイドレール)19(図4、図5参照)が設けられている。
【0027】
図3に示された車体フロア構造では、フロアパネル16のフロア膨出部21が隆起するように設けられ、フロア膨出部21に燃料タンク23が下方から収納されている。この燃料タンク23は、車両10の前後方向に関して略車体中央に配置されるとともに、車両10の車幅方向に関して略車体中心に配置されている。従って、この配置位置から燃料タンク23はセンタタンクと呼ばれることがある。
図4、図6に示すように、燃料タンク23は、平面視略矩形状に形成され、左右の補強メンバ(フロアフレーム)12,12及び前後のクロスメンバ22,14間には空間25が設けられている。
この燃料タンク23は、後部左端23aから車体後方に延出された給油配管26と、上面(上部)23bから車体後方に延出されたブリーザ管27と、後部右端23cから延出され燃料タンク23の右側を経て車体前方に延出された燃料供給管(不図示)とを備えている。
【0028】
また、燃料タンク23の下方左側に排気管(配管)31が車体前後方向に延ばされている。さらに、燃料タンク23の下方中央に後輪(不図示)に動力を伝達するプロペラシャフト(シャフト)32が車体前後方向に延ばされている。
給油配管26は、給油口(図示せず)から燃料タンク23に連通される給油用の配管である。ブリーザ管27は、燃料タンク23内の内圧を好適に保つための管である。燃料供給管(不図示)は、エンジン(図示せず)に燃料を供給する供給管である。
【0029】
左右のフロントサイドフレーム11は、車幅方向に所定間隔をおいて設けられるとともに、車体前後方向に延出されている。
左フロントサイドフレーム11の後端部11a近傍および左サイドシル13の前端部13aが左アウトリガー34で連結されている(図2、図3も参照)。
右フロントサイドフレーム11の後端部11a近傍および右サイドシル13の前端部13aが右アウトリガー34で連結されている(図2、図3も参照)。
【0030】
左右のフロアフレーム12は、車幅方向に所定間隔をおいて設けられている。右フロアフレーム12は、左フロアフレーム12と左右対称に形成された部材であり、詳しい説明を省略する。
【0031】
図4〜図6に示すように、左右のサイドシル13は、スライドドア18のレール19及びローラ76を収納する左右のレール収納部(シル膨張部)71を有している。
左のレール収納部71は、左サイドシル13から車幅方向内側に張り出されることで、後クロスメンバ14の端部14aに連結されるとともに、左の補強メンバ(フロアフレーム)12の後端部12aに連結されている。
【0032】
このレール収納部71は、左サイドシル13および上部前クロスメンバ17の端部17bの連結部73から左フロアフレーム12の後端部12aに向けて傾斜状に延出された収納部側傾斜部(前傾斜部)71aと、後クロスメンバ14の端部14aから左サイドシル13に向けて車体後方へ傾斜状に延出された後傾斜部71bとを有している。
収納部側傾斜部(前傾斜部)71aは、上部前クロスメンバ17に対して傾斜している。
【0033】
右のレール収納部(シル膨張部)71は、左のレール収納部71と左右対称に形成された部材である。
すなわち、右のレール収納部71は、右サイドシル13および上部前クロスメンバ17の端部17bの連結部73から右フロアフレーム12の後端部12aに向けて傾斜状に延出された収納部側傾斜部(前傾斜部)71aと、後クロスメンバ14の端部14aから右サイドシル13に向けて車体後方に傾斜状に延出された後傾斜部71bとを有している。
【0034】
図5に示すように、左のレール収納部71の後傾斜部71bに沿ってレール(ガイドレール)19が設けられている。レール19には、スライドドア18からL字のアーム77が延ばされ、このアーム77の先端にローラ76が回転自在に設けられ、スライドドア18のスライドを可能とする。
レール19は、ロアレール袋体75の上部75aに設けられている。このロアレール袋体75の上部75aは、左のレール収納部71の上部71dに設けられている。
この状態で、レール19が左のレール収納部71の後傾斜部71bに沿って設けられている(図4参照)。
【0035】
レール(ガイドレール)19は、スライドドア18(図1も参照)のローラ76を車体前後方向にスライド自在に案内するレールである。
このように、左後傾斜部71bに沿ってレール19が設けられることで、レール19で左後傾斜部71bが補強されている。
【0036】
図6〜図8に示されたように、実施例1の燃料タンクの固定構造では、横断面で片鞍型の車両用の燃料タンク23が用いられる。詳細には、燃料タンク23は、車体上下方向に関して深く形成された第1貯留部41と、車体上下方向に関して第1貯留部41よりも浅く形成された第2貯留部42と、これらの第1及び第2貯留部41,42を連結する連通路43と、から構成される。すなわち、第1貯留部41の底面41aは、第2貯留部42の底面42aよりも下方に形成される。また、車両用の燃料タンク23は、樹脂で形成される。
【0037】
第1貯留部41は、上面41bに形成され、燃料をエンジン(不図示)に送る燃料ポンプ35が配置される凹部44と、底面41aに形成され、第1のタンクバンド45を位置決めする第1タンク溝47と、が形成される。すなわち、燃料ポンプ35は、第1貯留部41に配置されている。第2貯留部42は、底面42aにタンクバンド(第2のタンクバンド)46を位置決めする第2タンク溝48が形成される。
第1タンク溝47と第2タンク溝48とは、車体前後方向に平行に形成される。
【0038】
第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2とが上下方向で重なるように(車幅方向で一致するように)、第2のタンクバンド46及びプロペラシャフト32が配置される。なお、プロペラシャフト32は、排気管31よりも上方に配置されている。
【0039】
図6〜図8に示されたように、燃料タンク23の第1貯留部41の上面41bには第1マウントラバー36,36が設けられ、第2貯留部42の上面42bには第2マウントラバー37,37が設けられ、第1タンク溝47に第1のタンクバンド45が通され、マウントラバー37,37の下に設けられた第2タンク溝48に第2のタンクバンド46が通され、第1のタンクバンド45の前端45aが前クロスメンバ22にボルト38で固定され、第1のタンクバンド45の後端45bが後クロスメンバ14にボルト38で固定され、第2のタンクバンド46の前端46aが前クロスメンバ22にボルト39で固定され、第2のタンクバンド46の後端46bが後クロスメンバ14にボルト39で固定され、燃料タンク23は、車体11A側に固定される。
第2貯留部42の上面42bには第2マウントラバー37,37が設けられ、第1タンク溝47に第1のタンクバンド45が通され、マウントラバー37,37の下に設けられた第2タンク溝48に第2のタンクバンド46が通されたので、第2のタンクバンド46によってマウントラバー37,37を圧縮させることで、燃料タンク23の底面41aとシャフト32や配管31との距離を確保することができる。
【0040】
図9(a)に示されたように、比較例の燃料タンクの固定構造は、樹脂製の燃料タンク213に第1貯留部211が形成され、燃料タンク213に第1貯留部211よりも浅い第2貯留部212が形成され、第1貯留部211の底面211aに第1タンク溝217が形成され、第2貯留部212の底面212aに第2タンク溝218が形成され、第1タンク溝217に第1のタンクバンド215が通され、第2タンク溝218に第2のタンクバンド216が通され、燃料タンク213が車体に固定されている。
【0041】
比較例の燃料タンクの固定構造では、第2のタンクバンド216の中心線C5は、プロペラシャフト222の中心線C6から車幅方向に関して距離A1だけ離れた位置に設定されている。
燃料タンク213は樹脂製であるので車体廻りの外気温の上昇などにより、二点差線B1で示されたように、燃料タンク213に垂れが発生する可能性がある。そこで、この燃料タンク213の垂れを考慮してプロペラシャフト222と燃料タンク213との距離H1を設定する必要がある。
【0042】
図9(b)に示されたように、実施例1の燃料タンクの固定構造では、第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2とが上下方向で重なるように、第2のタンクバンド46及びプロペラシャフト32が配置される。従って、燃料タンク23の垂れを考慮する必要なく、プロペラシャフト32と燃料タンク23との距離H2を設定することができる(H2<H1)。この結果、図9(a)に示された比較例の燃料タンクの固定構造に比べて、高さH3を、燃料の貯留量の増加に当てることができる。
【0043】
ここで、実施例の燃料タンクの固定構造において、プロペラシャフト32は一例であり、プロペラシャフト32を含むシャフト若しくは排気管31を含む配管であればよい。また、タンクバンド(第2のタンクバンド)46は、プロペラシャフト32及び排気管31のうちの上方に配置された一方の上に設けられるものであってよい。
【0044】
さらに、実施例1の燃料タンクの固定構造は、タンクバンド(第2のタンクバンド)46は、シャフト32若しくは配管31の直上に、且つシャフト32若しくは配管31の軸線方向に沿って配置されたものとみることもできる。
【0045】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、タンクバンド(第2のタンクバンド)46が、シャフト(プロペラシャフト)32若しくは配管(排気管)31の直上に、且つシャフト32若しくは配管31の軸線方向に沿って配置されたので、さらに、燃料タンク23の垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト32若しくは配管31との隙間を狭めることができ、燃料タンク23の容量を稼ぐことができる。
【0046】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンク23と、この燃料タンク23の下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト(プロペラシャフト)32若しくは配管(排気管)31と、燃料タンク23を車体に固定するタンクバンド(第2のタンクバンド)46と、を備える。
タンクバンド46が、タンクバンド46の幅方向の中心線C1と、シャフト32若しくは配管31の中心線C2とが上下方向で重なるように配置されたので、なお一層、燃料タンク23の垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト32若しくは配管31との隙間を狭めることができ、燃料タンク23の容量を稼ぐことができる。
【0047】
燃料タンク23は、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部41,42と、第1及貯留部41に設けられ、車両10(図1参照)のエンジン(不図示)に燃料を供給するための燃料ポンプ35と、を有する。
第1貯留部41の底面41aが、第2貯留部42の底面42aよりも下方に配置されるので、このような片鞍型の燃料タンク23においては、燃料ポンプ35を設けた貯留部(第1貯留部41)に容量の小さい貯留部(第2貯留部42)から燃料が流れ易くなる。
【0048】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、シャフトが、エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフト32であり、配管が、エンジン(不図示)からの排気ガスを排出する排気管31である。
シャフトがプロペラシャフト32であった場合には、プロペラシャフト32が揺動してもタンクバンドに当たることで、プロペラシャフト32が燃料タンク23に直接当たることを防ぐことができる。
配管が排気管31であった場合には、排気管31が高温になった場合にもタンクバンドによって、排気管31の直上に位置する燃料タンク23の一部に排気管31からの放出熱があたることを防ぐことができる。
【0049】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、タンクバンド(第2のタンクバンド)46が、プロペラシャフト32及び排気管31のうちの上方に配置された一方の上に設けられるので、プロペラシャフト32と排気管31のうちの上面が高い位置に配置された配管を基準として垂れ下がりを防止することができる。
【0050】
尚、図6〜図8に示された第1実施例の燃料タンクの固定構造は、第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2とが上下方向で重なるように、第2のタンクバンド46及びプロペラシャフト32が配置されるものであったが、これに限るものではなく、第2のタンクバンド46とプロペラシャフト32とが上下方向で重なる範囲で、第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2をずらしたものであってもよい。
【実施例2】
【0051】
図10に示されるように、実施例2の燃料タンクの固定構造では、横断面で鞍型(両鞍型)の車両用の燃料タンク113が用いられる。詳細には、燃料タンク113は、車体上下方向に関して深く形成された第1貯留部121と、車体上下方向に関して第1貯留部121と同じ深さに形成された第2貯留部122と、これらの第1及び第2貯留部121,122を連結する連通路123と、から構成される。すなわち、第1貯留部121の底面121aは、第2貯留部122の底面122aと同一高さに形成される。また、車両用の燃料タンク113は、樹脂で形成される。なお、A2は、車幅方向に関する連通路123の形成範囲を示す。
【0052】
第1貯留部121は、燃料をエンジン(不図示)に送る燃料ポンプ115が配置される凹部124と、底面121aに形成され、第1のタンクバンド125を位置決めする第1タンク溝127と、が形成される。すなわち、燃料ポンプ115は、第1貯留部121に配置されている。連通路123は、タンクバンド(第2のタンクバンド)126を位置決めする第2タンク溝128が形成される。
【0053】
第2のタンクバンド126の中心線C3とプロペラシャフト112の中心線C4とが上下方向で重なるように、第2のタンクバンド126及びプロペラシャフト112が配置される。さらに、プロペラシャフト112を連通路123の下方に配置するとともに、タンクバンドの一部がプロペラシャフト112と上下方向で重なる位置に配置した。
【0054】
燃料タンク113の第1貯留部121の上面121bには第1パッキン116が設けられ、第2貯留部122の上面122bには第2パッキン117が設けられ、第1タンク溝127に第1のタンクバンド125が通され、第2タンク溝128に第2のタンクバンド126が通され、燃料タンク113は、車体に固定される。
図10に示された実施例2の燃料タンクの固定構造では、横断面で鞍型(両鞍型)の車両用の燃料タンク113が用いられたので、燃料の貯留量の増加を図ることができる。
【0055】
実施例2の燃料タンクの固定構造では、燃料タンク113に、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部121,122と、第1貯留部121と第2貯留部122を連通するための連通路123を有する。
【0056】
連通路123の下方にプロペラシャフト112を配置するとともに、タンクバンド(第2のタンクバンド)126の一部がプロペラシャフト112と上下方向で重なる位置に配置した。燃料タンク113の連通路123は、第1貯留部121と第2貯留部122に比べて燃料の重量が加わらないので、燃料タンク113の垂れが少ないと考えられる。
従って、タンクバンド(第2のタンクバンド)126の全部若しくは一部をプロペラシャフト112と上下方向で重なる位置に配置することで、さらに、プロペラシャフト112との隙間を狭めることができ、燃料タンク113の容量を稼ぐことができる。
【実施例3】
【0057】
図11、図12に示されたように、実施例3の燃料タンクの固定構造では、横断面で片鞍型の車両用の燃料タンク133が用いられる。詳細には、燃料タンク133は、車体上下方向に関して深く形成された第1貯留部141と、車体上下方向に関して第1貯留部141よりも浅く形成された第2貯留部142と、これらの第1及び第2貯留部141,142を連結する連通路143と、から構成される。すなわち、第1貯留部141の底面141aは、第2貯留部142の底面142aよりも下方に形成される。また、車両用の燃料タンク133は、樹脂で形成される。
【0058】
第1貯留部141は、燃料をエンジン(不図示)に送る燃料ポンプ135が配置される凹部144と、底面141aに形成され、第1のタンクバンド145を位置決めする第1タンク溝147と、が形成される。すなわち、燃料ポンプ135は、第1貯留部141に配置されている。第2貯留部142は、底面142aにタンクバンド(第2のタンクバンド)146を位置決めする第2タンク溝148が形成される。
第1タンク溝147と第2タンク溝148とは、車体後方に向けて開口するハ字状に形成される。
【0059】
第2のタンクバンド146の一部がプロペラシャフト132と上下方向で重なる位置に配置される。また、プロペラシャフト132は、排気管131よりも上方に配置されている。
【0060】
図11、図12に示された実施例3の燃料タンクの固定構造は、実施例1の燃料タンクの固定構造(図6、図7参照)と同様に、プロペラシャフト132は一例であり、プロペラシャフト132を含むシャフト若しくは排気管131を含む配管であればよい。また、プロペラシャフト132及び排気管131のうちの上方に配置された一方の上に設けられるものであってもよい。すなわち、タンクバンド(第2のタンクバンド)146の一部がシャフト132若しくは配管131と上下方向で重なる位置に配置されたものということができる。
【0061】
実施例3の燃料タンクの固定構造では、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンク133と、この燃料タンク133の下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト(プロペラシャフト)132若しくは配管(排気管)131と、燃料タンク133を車体に固定するタンクバンド(第2のタンクバンド)146と、を備える。
【0062】
タンクバンド146の一部がシャフト132若しくは配管131と上下方向で重なる位置に配置されたので、燃料タンク133の垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト132若しくは配管131との隙間を狭めることができ、燃料タンク133の容量を稼ぐことができる。
【実施例4】
【0063】
図13、図14に示されたように、実施例4の燃料タンクの固定構造では、実施例3の燃料タンクの固定構造(図11、図12参照)に使用された燃料タンク133、プロペラシャフト132、排気管131と同一構成の燃料タンク153、プロペラシャフト152、排気管151が用いられる。ただし、排気管151が車幅方向に関して実施例3の燃料タンクの固定構造とは異なる位置に配置されている。
【0064】
すなわち、燃料タンク153は、第1貯留部161と、第2貯留部162と、連通路163と、から構成される。すなわち、第1貯留部161の底面161aは、第2貯留部162の底面162aよりも下方に形成される。また、車両用の燃料タンク153は、樹脂で形成される。
【0065】
第1貯留部161は、凹部164と、第1のタンクバンド165を位置決めする第1タンク溝167と、が形成される。燃料ポンプ155は、第1貯留部161の凹部164に配置されている。第2貯留部162は、タンクバンド(第2のタンクバンド)166を位置決めする第2タンク溝168が形成される。第1タンク溝167と第2タンク溝168とは、車体後方に向けて開口するハ字状に形成される。
【0066】
タンクバンド(第2のタンクバンド)166の一部がプロペラシャフト152及び排気管151の両方に重なる位置に配置される。なお、プロペラシャフト152は、排気管151よりも上方に配置されている。
【0067】
図13、図14に示された実施例4の燃料タンクの固定構造では、タンクバンド(第2のタンクバンド)166の一部がプロペラシャフト152及び排気管151の両方に重なる位置に配置されたので、プロペラシャフト152と排気管151との双方での垂れ下がりを防止することができる。
【0068】
尚、本発明に係る燃料タンクの固定構造は、図7に示すように、燃料タンクの下方に車両前後方向に延びるプロペラシャフト32及び排気管31が配置するものであったが、これに限るものではなく、他のシャフト若しくは他の配管であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクが配置され、この燃料タンクの下方にシャフト若しくは配管が配置される自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0070】
23…燃料タンク、31…配管(排気管)、32…シャフト(プロペラシャフト)、35…燃料ポンプ、41,42…第1及び第2貯留部、41a,42a…底面、46…タンクバンド(第2のタンクバンド)、C1,C2…中心線、112…プロペラシャフト、113…燃料タンク、121,122…第1及び第2貯留部、123…連通路、126…タンクバンド(第2のタンクバンド)、131…配管(排気管)、132…シャフト(プロペラシャフト)、133…燃料タンク、146…タンクバンド(第2のタンクバンド)、151…排気管、152…プロペラシャフト、166…タンクバンド(第2のタンクバンド)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されるシャフト若しくは配管と、燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備えた燃料タンクの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクの固定構造は、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を吸着剤に吸着させるキャニスタと、エンジンからの駆動力を後輪に伝達するプロペラシャフトとが、タンク下に配置される。
燃料タンクは、中央部に且つ車体前後方向に沿って設けられるセンタトンネルと、このセンタトンネルの一方側に、車体高さ方向が深く形成された深底燃料室と、センタトンネルの他方側に、深底燃料室のタンク底よりも上げ底とした浅底燃料室と、を備え、浅底燃料室の下に確保される空間に、キャニスタ及び排気管が配置され、センタトンネルにプロペラシャフトが配置されるものである。
【0003】
この燃料タンクの固定構造によれば、燃料タンクの下方にキャニスタ、排気管及びプロペラシャフトを合理的に配置することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−162539公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の燃料タンクの固定構造は、燃料タンクの下に排気管やプロペラシャフトが配置されている。
燃料タンクの下方に、排気管やプロペラシャフトを配置する場合は、樹脂燃料タンクでは、燃料による膨潤や燃料による重みで燃料タンクに垂れ下がりが生ずることがある。従って、燃料タンクの底が排気管やプロペラシャフトに当接しないように、垂れ下がり分を考慮して燃料タンクと、排気管やプロペラシャフトとのクリアランスを設定する必要があった。すなわち、この垂れ下がり分を考慮すると、燃料タンクの燃料の貯留量の減少を招く。
【0006】
本発明は、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができるとともに、燃料タンクの容量を稼ぐことができる燃料タンクの固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト若しくは配管と、燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備えた燃料タンクの固定構造において、タンクバンドの一部がシャフト若しくは配管と上下方向で重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、タンクバンドが、シャフト若しくは配管の直上に、且つシャフト若しくは配管の軸線方向に沿って配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、タンクバンドが、タンクバンドの幅方向の中心線と、シャフト若しくは配管の中心線とが上下方向で重なるように配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1及貯留部に設けられ、車両のエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプと、を有し、第1貯留部の底面が、第2貯留部の底面よりも下方に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、シャフトが、エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトであり、配管が、エンジンからの排気ガスを排出する排気管であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、タンクバンドが、プロペラシャフト及び排気管のうちの上方に配置された一方の上に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、タンクバンドの一部がプロペラシャフト及び排気管の両方に重なる位置に配置されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1貯留部と第2貯留部を連通するための連通路を有し、連通路の下方にプロペラシャフトを配置するとともに、タンクバンドの一部がプロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト若しくは配管と、燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備える。
タンクバンドの一部がシャフト若しくは配管と上下方向で重なる位置に配置されたので、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト若しくは配管との隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、タンクバンドが、シャフト若しくは配管の直上に、且つシャフト若しくは配管の軸線方向に沿って配置されたので、さらに、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト若しくは配管との隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、タンクバンドが、タンクバンドの幅方向の中心線と、シャフト若しくは配管の中心線とが上下方向で重なるように配置されたので、なお一層、燃料タンクの垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト若しくは配管との隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1及貯留部に設けられ、車両のエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプと、を有する。
第1貯留部の底面が、第2貯留部の底面よりも下方に配置されるので、このような片鞍型の燃料タンクにおいては、燃料ポンプを設けた貯留部(第1貯留部)に容量の小さい貯留部から燃料が流れ易くなる。
【0019】
請求項5に係る発明では、シャフトが、エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトであり、配管が、エンジンからの排気ガスを排出する排気管である。
シャフトがプロペラシャフトであった場合には、プロペラシャフトが揺動してもタンクバンドに当たることで、プロペラシャフトが燃料タンクに直接当たることを防ぐことができる。
配管が排気管であった場合には、排気管が高温になった場合にもタンクバンドによって、排気管の直上に位置する燃料タンクの一部に排気管からの放出熱があたることを防ぐことができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、タンクバンドが、プロペラシャフト及び排気管のうちの上方に配置された一方の上に設けられるので、プロペラシャフトと排気管のうちの上面が高い位置に配置された配管を基準として垂れ下がりを防止することができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、タンクバンドの一部がプロペラシャフト及び排気管の両方に重なる位置に配置されたので、プロペラシャフトと排気管との双方での垂れ下がりを防止することができる。
【0022】
請求項8に係る発明では、燃料タンクに、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、第1貯留部と第2貯留部を連通するための連通路を有する。
連通路の下方にプロペラシャフトを配置するとともに、タンクバンドの一部がプロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置した。燃料タンクの連通路は、第1貯留部と第2貯留部に比べて燃料の重量が加わらないので、燃料タンクの垂れが少ないと考えられる。
従って、タンクバンドの一部をプロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置することで、さらに、プロペラシャフトとの隙間を狭めることができ、燃料タンクの容量を稼ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る実施例1の燃料タンクの固定構造が採用された車両を示す斜視図である。
【図2】図1に示される車両の車体フロア構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示される車両の車体フロア構造を示す分解斜視図である。
【図4】図1に示される車両の車体フロア構造を示す平面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る実施例1の燃料タンクの固定構造の底面図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】図6に示された燃料タンクの固定構造の比較検討図である。
【図10】本発明に係る実施例2の燃料タンクの固定構造の断面図である。
【図11】本発明に係る実施例3の燃料タンクの固定構造の底面図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】本発明に係る実施例4の燃料タンクの固定構造の底面図である。
【図14】図13の14−14線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例1】
【0025】
実施例1の燃料タンクの固定構造(図7参照)が採用された車両10の車体フロア構造(図3参照)について説明する。
図1〜図6に示すように、車両10の車体フロア構造は、車体前後方向に延出された左右のフロントサイドフレーム11と、左右のフロントサイドフレーム11の後端部11aから車体後方に向けてそれぞれ延出された左右のフロアフレーム12と、左右のフロアフレーム12の車体外側に設けられるとともに車体前後方向に延出された左右のサイドシル13と、左右のサイドシル13に架け渡された後クロスメンバ14と、後クロスメンバ14の左右の端部14a,14aから車体後方に向けて延出された左右のリヤフロアフレーム15と、後クロスメンバ14、左右のフロアフレーム12および左右のリヤフロアフレーム15に載置されたフロアパネル16と、フロアパネル16に載置されるとともに左右のサイドシル13に架け渡された上部前クロスメンバ17と、上部前クロスメンバ17の下部前方で左右のサイドシル13に架け渡され、車両用の燃料タンク23を保持する前クロスメンバ22と、を備えている。
【0026】
左サイドシル13に沿ってスライドドア18が車体前後方向にスライド移動自在に設けられている。
左サイドシル13内に、スライドドア18をスライド自在に案内するレール(ガイドレール)19(図4、図5参照)が設けられている。
【0027】
図3に示された車体フロア構造では、フロアパネル16のフロア膨出部21が隆起するように設けられ、フロア膨出部21に燃料タンク23が下方から収納されている。この燃料タンク23は、車両10の前後方向に関して略車体中央に配置されるとともに、車両10の車幅方向に関して略車体中心に配置されている。従って、この配置位置から燃料タンク23はセンタタンクと呼ばれることがある。
図4、図6に示すように、燃料タンク23は、平面視略矩形状に形成され、左右の補強メンバ(フロアフレーム)12,12及び前後のクロスメンバ22,14間には空間25が設けられている。
この燃料タンク23は、後部左端23aから車体後方に延出された給油配管26と、上面(上部)23bから車体後方に延出されたブリーザ管27と、後部右端23cから延出され燃料タンク23の右側を経て車体前方に延出された燃料供給管(不図示)とを備えている。
【0028】
また、燃料タンク23の下方左側に排気管(配管)31が車体前後方向に延ばされている。さらに、燃料タンク23の下方中央に後輪(不図示)に動力を伝達するプロペラシャフト(シャフト)32が車体前後方向に延ばされている。
給油配管26は、給油口(図示せず)から燃料タンク23に連通される給油用の配管である。ブリーザ管27は、燃料タンク23内の内圧を好適に保つための管である。燃料供給管(不図示)は、エンジン(図示せず)に燃料を供給する供給管である。
【0029】
左右のフロントサイドフレーム11は、車幅方向に所定間隔をおいて設けられるとともに、車体前後方向に延出されている。
左フロントサイドフレーム11の後端部11a近傍および左サイドシル13の前端部13aが左アウトリガー34で連結されている(図2、図3も参照)。
右フロントサイドフレーム11の後端部11a近傍および右サイドシル13の前端部13aが右アウトリガー34で連結されている(図2、図3も参照)。
【0030】
左右のフロアフレーム12は、車幅方向に所定間隔をおいて設けられている。右フロアフレーム12は、左フロアフレーム12と左右対称に形成された部材であり、詳しい説明を省略する。
【0031】
図4〜図6に示すように、左右のサイドシル13は、スライドドア18のレール19及びローラ76を収納する左右のレール収納部(シル膨張部)71を有している。
左のレール収納部71は、左サイドシル13から車幅方向内側に張り出されることで、後クロスメンバ14の端部14aに連結されるとともに、左の補強メンバ(フロアフレーム)12の後端部12aに連結されている。
【0032】
このレール収納部71は、左サイドシル13および上部前クロスメンバ17の端部17bの連結部73から左フロアフレーム12の後端部12aに向けて傾斜状に延出された収納部側傾斜部(前傾斜部)71aと、後クロスメンバ14の端部14aから左サイドシル13に向けて車体後方へ傾斜状に延出された後傾斜部71bとを有している。
収納部側傾斜部(前傾斜部)71aは、上部前クロスメンバ17に対して傾斜している。
【0033】
右のレール収納部(シル膨張部)71は、左のレール収納部71と左右対称に形成された部材である。
すなわち、右のレール収納部71は、右サイドシル13および上部前クロスメンバ17の端部17bの連結部73から右フロアフレーム12の後端部12aに向けて傾斜状に延出された収納部側傾斜部(前傾斜部)71aと、後クロスメンバ14の端部14aから右サイドシル13に向けて車体後方に傾斜状に延出された後傾斜部71bとを有している。
【0034】
図5に示すように、左のレール収納部71の後傾斜部71bに沿ってレール(ガイドレール)19が設けられている。レール19には、スライドドア18からL字のアーム77が延ばされ、このアーム77の先端にローラ76が回転自在に設けられ、スライドドア18のスライドを可能とする。
レール19は、ロアレール袋体75の上部75aに設けられている。このロアレール袋体75の上部75aは、左のレール収納部71の上部71dに設けられている。
この状態で、レール19が左のレール収納部71の後傾斜部71bに沿って設けられている(図4参照)。
【0035】
レール(ガイドレール)19は、スライドドア18(図1も参照)のローラ76を車体前後方向にスライド自在に案内するレールである。
このように、左後傾斜部71bに沿ってレール19が設けられることで、レール19で左後傾斜部71bが補強されている。
【0036】
図6〜図8に示されたように、実施例1の燃料タンクの固定構造では、横断面で片鞍型の車両用の燃料タンク23が用いられる。詳細には、燃料タンク23は、車体上下方向に関して深く形成された第1貯留部41と、車体上下方向に関して第1貯留部41よりも浅く形成された第2貯留部42と、これらの第1及び第2貯留部41,42を連結する連通路43と、から構成される。すなわち、第1貯留部41の底面41aは、第2貯留部42の底面42aよりも下方に形成される。また、車両用の燃料タンク23は、樹脂で形成される。
【0037】
第1貯留部41は、上面41bに形成され、燃料をエンジン(不図示)に送る燃料ポンプ35が配置される凹部44と、底面41aに形成され、第1のタンクバンド45を位置決めする第1タンク溝47と、が形成される。すなわち、燃料ポンプ35は、第1貯留部41に配置されている。第2貯留部42は、底面42aにタンクバンド(第2のタンクバンド)46を位置決めする第2タンク溝48が形成される。
第1タンク溝47と第2タンク溝48とは、車体前後方向に平行に形成される。
【0038】
第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2とが上下方向で重なるように(車幅方向で一致するように)、第2のタンクバンド46及びプロペラシャフト32が配置される。なお、プロペラシャフト32は、排気管31よりも上方に配置されている。
【0039】
図6〜図8に示されたように、燃料タンク23の第1貯留部41の上面41bには第1マウントラバー36,36が設けられ、第2貯留部42の上面42bには第2マウントラバー37,37が設けられ、第1タンク溝47に第1のタンクバンド45が通され、マウントラバー37,37の下に設けられた第2タンク溝48に第2のタンクバンド46が通され、第1のタンクバンド45の前端45aが前クロスメンバ22にボルト38で固定され、第1のタンクバンド45の後端45bが後クロスメンバ14にボルト38で固定され、第2のタンクバンド46の前端46aが前クロスメンバ22にボルト39で固定され、第2のタンクバンド46の後端46bが後クロスメンバ14にボルト39で固定され、燃料タンク23は、車体11A側に固定される。
第2貯留部42の上面42bには第2マウントラバー37,37が設けられ、第1タンク溝47に第1のタンクバンド45が通され、マウントラバー37,37の下に設けられた第2タンク溝48に第2のタンクバンド46が通されたので、第2のタンクバンド46によってマウントラバー37,37を圧縮させることで、燃料タンク23の底面41aとシャフト32や配管31との距離を確保することができる。
【0040】
図9(a)に示されたように、比較例の燃料タンクの固定構造は、樹脂製の燃料タンク213に第1貯留部211が形成され、燃料タンク213に第1貯留部211よりも浅い第2貯留部212が形成され、第1貯留部211の底面211aに第1タンク溝217が形成され、第2貯留部212の底面212aに第2タンク溝218が形成され、第1タンク溝217に第1のタンクバンド215が通され、第2タンク溝218に第2のタンクバンド216が通され、燃料タンク213が車体に固定されている。
【0041】
比較例の燃料タンクの固定構造では、第2のタンクバンド216の中心線C5は、プロペラシャフト222の中心線C6から車幅方向に関して距離A1だけ離れた位置に設定されている。
燃料タンク213は樹脂製であるので車体廻りの外気温の上昇などにより、二点差線B1で示されたように、燃料タンク213に垂れが発生する可能性がある。そこで、この燃料タンク213の垂れを考慮してプロペラシャフト222と燃料タンク213との距離H1を設定する必要がある。
【0042】
図9(b)に示されたように、実施例1の燃料タンクの固定構造では、第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2とが上下方向で重なるように、第2のタンクバンド46及びプロペラシャフト32が配置される。従って、燃料タンク23の垂れを考慮する必要なく、プロペラシャフト32と燃料タンク23との距離H2を設定することができる(H2<H1)。この結果、図9(a)に示された比較例の燃料タンクの固定構造に比べて、高さH3を、燃料の貯留量の増加に当てることができる。
【0043】
ここで、実施例の燃料タンクの固定構造において、プロペラシャフト32は一例であり、プロペラシャフト32を含むシャフト若しくは排気管31を含む配管であればよい。また、タンクバンド(第2のタンクバンド)46は、プロペラシャフト32及び排気管31のうちの上方に配置された一方の上に設けられるものであってよい。
【0044】
さらに、実施例1の燃料タンクの固定構造は、タンクバンド(第2のタンクバンド)46は、シャフト32若しくは配管31の直上に、且つシャフト32若しくは配管31の軸線方向に沿って配置されたものとみることもできる。
【0045】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、タンクバンド(第2のタンクバンド)46が、シャフト(プロペラシャフト)32若しくは配管(排気管)31の直上に、且つシャフト32若しくは配管31の軸線方向に沿って配置されたので、さらに、燃料タンク23の垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト32若しくは配管31との隙間を狭めることができ、燃料タンク23の容量を稼ぐことができる。
【0046】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンク23と、この燃料タンク23の下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト(プロペラシャフト)32若しくは配管(排気管)31と、燃料タンク23を車体に固定するタンクバンド(第2のタンクバンド)46と、を備える。
タンクバンド46が、タンクバンド46の幅方向の中心線C1と、シャフト32若しくは配管31の中心線C2とが上下方向で重なるように配置されたので、なお一層、燃料タンク23の垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト32若しくは配管31との隙間を狭めることができ、燃料タンク23の容量を稼ぐことができる。
【0047】
燃料タンク23は、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部41,42と、第1及貯留部41に設けられ、車両10(図1参照)のエンジン(不図示)に燃料を供給するための燃料ポンプ35と、を有する。
第1貯留部41の底面41aが、第2貯留部42の底面42aよりも下方に配置されるので、このような片鞍型の燃料タンク23においては、燃料ポンプ35を設けた貯留部(第1貯留部41)に容量の小さい貯留部(第2貯留部42)から燃料が流れ易くなる。
【0048】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、シャフトが、エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフト32であり、配管が、エンジン(不図示)からの排気ガスを排出する排気管31である。
シャフトがプロペラシャフト32であった場合には、プロペラシャフト32が揺動してもタンクバンドに当たることで、プロペラシャフト32が燃料タンク23に直接当たることを防ぐことができる。
配管が排気管31であった場合には、排気管31が高温になった場合にもタンクバンドによって、排気管31の直上に位置する燃料タンク23の一部に排気管31からの放出熱があたることを防ぐことができる。
【0049】
図6、図7に示された燃料タンクの固定構造では、タンクバンド(第2のタンクバンド)46が、プロペラシャフト32及び排気管31のうちの上方に配置された一方の上に設けられるので、プロペラシャフト32と排気管31のうちの上面が高い位置に配置された配管を基準として垂れ下がりを防止することができる。
【0050】
尚、図6〜図8に示された第1実施例の燃料タンクの固定構造は、第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2とが上下方向で重なるように、第2のタンクバンド46及びプロペラシャフト32が配置されるものであったが、これに限るものではなく、第2のタンクバンド46とプロペラシャフト32とが上下方向で重なる範囲で、第2のタンクバンド46の中心線C1とプロペラシャフト32の中心線C2をずらしたものであってもよい。
【実施例2】
【0051】
図10に示されるように、実施例2の燃料タンクの固定構造では、横断面で鞍型(両鞍型)の車両用の燃料タンク113が用いられる。詳細には、燃料タンク113は、車体上下方向に関して深く形成された第1貯留部121と、車体上下方向に関して第1貯留部121と同じ深さに形成された第2貯留部122と、これらの第1及び第2貯留部121,122を連結する連通路123と、から構成される。すなわち、第1貯留部121の底面121aは、第2貯留部122の底面122aと同一高さに形成される。また、車両用の燃料タンク113は、樹脂で形成される。なお、A2は、車幅方向に関する連通路123の形成範囲を示す。
【0052】
第1貯留部121は、燃料をエンジン(不図示)に送る燃料ポンプ115が配置される凹部124と、底面121aに形成され、第1のタンクバンド125を位置決めする第1タンク溝127と、が形成される。すなわち、燃料ポンプ115は、第1貯留部121に配置されている。連通路123は、タンクバンド(第2のタンクバンド)126を位置決めする第2タンク溝128が形成される。
【0053】
第2のタンクバンド126の中心線C3とプロペラシャフト112の中心線C4とが上下方向で重なるように、第2のタンクバンド126及びプロペラシャフト112が配置される。さらに、プロペラシャフト112を連通路123の下方に配置するとともに、タンクバンドの一部がプロペラシャフト112と上下方向で重なる位置に配置した。
【0054】
燃料タンク113の第1貯留部121の上面121bには第1パッキン116が設けられ、第2貯留部122の上面122bには第2パッキン117が設けられ、第1タンク溝127に第1のタンクバンド125が通され、第2タンク溝128に第2のタンクバンド126が通され、燃料タンク113は、車体に固定される。
図10に示された実施例2の燃料タンクの固定構造では、横断面で鞍型(両鞍型)の車両用の燃料タンク113が用いられたので、燃料の貯留量の増加を図ることができる。
【0055】
実施例2の燃料タンクの固定構造では、燃料タンク113に、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部121,122と、第1貯留部121と第2貯留部122を連通するための連通路123を有する。
【0056】
連通路123の下方にプロペラシャフト112を配置するとともに、タンクバンド(第2のタンクバンド)126の一部がプロペラシャフト112と上下方向で重なる位置に配置した。燃料タンク113の連通路123は、第1貯留部121と第2貯留部122に比べて燃料の重量が加わらないので、燃料タンク113の垂れが少ないと考えられる。
従って、タンクバンド(第2のタンクバンド)126の全部若しくは一部をプロペラシャフト112と上下方向で重なる位置に配置することで、さらに、プロペラシャフト112との隙間を狭めることができ、燃料タンク113の容量を稼ぐことができる。
【実施例3】
【0057】
図11、図12に示されたように、実施例3の燃料タンクの固定構造では、横断面で片鞍型の車両用の燃料タンク133が用いられる。詳細には、燃料タンク133は、車体上下方向に関して深く形成された第1貯留部141と、車体上下方向に関して第1貯留部141よりも浅く形成された第2貯留部142と、これらの第1及び第2貯留部141,142を連結する連通路143と、から構成される。すなわち、第1貯留部141の底面141aは、第2貯留部142の底面142aよりも下方に形成される。また、車両用の燃料タンク133は、樹脂で形成される。
【0058】
第1貯留部141は、燃料をエンジン(不図示)に送る燃料ポンプ135が配置される凹部144と、底面141aに形成され、第1のタンクバンド145を位置決めする第1タンク溝147と、が形成される。すなわち、燃料ポンプ135は、第1貯留部141に配置されている。第2貯留部142は、底面142aにタンクバンド(第2のタンクバンド)146を位置決めする第2タンク溝148が形成される。
第1タンク溝147と第2タンク溝148とは、車体後方に向けて開口するハ字状に形成される。
【0059】
第2のタンクバンド146の一部がプロペラシャフト132と上下方向で重なる位置に配置される。また、プロペラシャフト132は、排気管131よりも上方に配置されている。
【0060】
図11、図12に示された実施例3の燃料タンクの固定構造は、実施例1の燃料タンクの固定構造(図6、図7参照)と同様に、プロペラシャフト132は一例であり、プロペラシャフト132を含むシャフト若しくは排気管131を含む配管であればよい。また、プロペラシャフト132及び排気管131のうちの上方に配置された一方の上に設けられるものであってもよい。すなわち、タンクバンド(第2のタンクバンド)146の一部がシャフト132若しくは配管131と上下方向で重なる位置に配置されたものということができる。
【0061】
実施例3の燃料タンクの固定構造では、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンク133と、この燃料タンク133の下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト(プロペラシャフト)132若しくは配管(排気管)131と、燃料タンク133を車体に固定するタンクバンド(第2のタンクバンド)146と、を備える。
【0062】
タンクバンド146の一部がシャフト132若しくは配管131と上下方向で重なる位置に配置されたので、燃料タンク133の垂れ下がりを防止することができる。この結果、シャフト132若しくは配管131との隙間を狭めることができ、燃料タンク133の容量を稼ぐことができる。
【実施例4】
【0063】
図13、図14に示されたように、実施例4の燃料タンクの固定構造では、実施例3の燃料タンクの固定構造(図11、図12参照)に使用された燃料タンク133、プロペラシャフト132、排気管131と同一構成の燃料タンク153、プロペラシャフト152、排気管151が用いられる。ただし、排気管151が車幅方向に関して実施例3の燃料タンクの固定構造とは異なる位置に配置されている。
【0064】
すなわち、燃料タンク153は、第1貯留部161と、第2貯留部162と、連通路163と、から構成される。すなわち、第1貯留部161の底面161aは、第2貯留部162の底面162aよりも下方に形成される。また、車両用の燃料タンク153は、樹脂で形成される。
【0065】
第1貯留部161は、凹部164と、第1のタンクバンド165を位置決めする第1タンク溝167と、が形成される。燃料ポンプ155は、第1貯留部161の凹部164に配置されている。第2貯留部162は、タンクバンド(第2のタンクバンド)166を位置決めする第2タンク溝168が形成される。第1タンク溝167と第2タンク溝168とは、車体後方に向けて開口するハ字状に形成される。
【0066】
タンクバンド(第2のタンクバンド)166の一部がプロペラシャフト152及び排気管151の両方に重なる位置に配置される。なお、プロペラシャフト152は、排気管151よりも上方に配置されている。
【0067】
図13、図14に示された実施例4の燃料タンクの固定構造では、タンクバンド(第2のタンクバンド)166の一部がプロペラシャフト152及び排気管151の両方に重なる位置に配置されたので、プロペラシャフト152と排気管151との双方での垂れ下がりを防止することができる。
【0068】
尚、本発明に係る燃料タンクの固定構造は、図7に示すように、燃料タンクの下方に車両前後方向に延びるプロペラシャフト32及び排気管31が配置するものであったが、これに限るものではなく、他のシャフト若しくは他の配管であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクが配置され、この燃料タンクの下方にシャフト若しくは配管が配置される自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0070】
23…燃料タンク、31…配管(排気管)、32…シャフト(プロペラシャフト)、35…燃料ポンプ、41,42…第1及び第2貯留部、41a,42a…底面、46…タンクバンド(第2のタンクバンド)、C1,C2…中心線、112…プロペラシャフト、113…燃料タンク、121,122…第1及び第2貯留部、123…連通路、126…タンクバンド(第2のタンクバンド)、131…配管(排気管)、132…シャフト(プロペラシャフト)、133…燃料タンク、146…タンクバンド(第2のタンクバンド)、151…排気管、152…プロペラシャフト、166…タンクバンド(第2のタンクバンド)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト若しくは配管と、前記燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備えた燃料タンクの固定構造において、
前記タンクバンドは、該タンクバンドの一部が前記シャフト若しくは前記配管と上下方向で重なる位置に配置されたことを特徴とする燃料タンクの固定構造。
【請求項2】
前記タンクバンドは、前記シャフト若しくは前記配管の直上に、且つ前記シャフト若しくは前記配管の軸線方向に沿って配置されたことを特徴とする請求項1記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項3】
前記タンクバンドは、該タンクバンドの幅方向の中心線と、前記シャフト若しくは前記配管の中心線とが上下方向で重なるように配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項4】
前記燃料タンクは、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、前記第1及貯留部に設けられ、車両のエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプと、を有し、
前記第1貯留部の底面は、前記第2貯留部の底面よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項5】
前記シャフトは、前記エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトであり、前記配管は、前記エンジンからの排気ガスを排出する排気管であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項6】
前記タンクバンドは、前記プロペラシャフト及び前記排気管のうちの上方に配置された一方の上に設けられることを特徴とする請求項5に記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項7】
前記タンクバンドは、該タンクバンドの一部が前記プロペラシャフト及び前記排気管の両方に重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項5に記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項8】
前記燃料タンクは、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、前記第1貯留部と前記第2貯留部を連通するための連通路を有し、
前記連通路の下方に前記プロペラシャフトを配置するとともに、前記タンクバンドの一部が前記プロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置したことを特徴とする請求項5記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項1】
樹脂で形成され燃料を貯留する車両用の燃料タンクと、この燃料タンクの下方に配置されて車両前後方向に延びるシャフト若しくは配管と、前記燃料タンクを車体に固定するタンクバンドと、を備えた燃料タンクの固定構造において、
前記タンクバンドは、該タンクバンドの一部が前記シャフト若しくは前記配管と上下方向で重なる位置に配置されたことを特徴とする燃料タンクの固定構造。
【請求項2】
前記タンクバンドは、前記シャフト若しくは前記配管の直上に、且つ前記シャフト若しくは前記配管の軸線方向に沿って配置されたことを特徴とする請求項1記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項3】
前記タンクバンドは、該タンクバンドの幅方向の中心線と、前記シャフト若しくは前記配管の中心線とが上下方向で重なるように配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項4】
前記燃料タンクは、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、前記第1及貯留部に設けられ、車両のエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプと、を有し、
前記第1貯留部の底面は、前記第2貯留部の底面よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項5】
前記シャフトは、前記エンジンの駆動力を伝達するプロペラシャフトであり、前記配管は、前記エンジンからの排気ガスを排出する排気管であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項6】
前記タンクバンドは、前記プロペラシャフト及び前記排気管のうちの上方に配置された一方の上に設けられることを特徴とする請求項5に記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項7】
前記タンクバンドは、該タンクバンドの一部が前記プロペラシャフト及び前記排気管の両方に重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項5に記載の燃料タンクの固定構造。
【請求項8】
前記燃料タンクは、燃料を貯留するための第1及び第2貯留部と、前記第1貯留部と前記第2貯留部を連通するための連通路を有し、
前記連通路の下方に前記プロペラシャフトを配置するとともに、前記タンクバンドの一部が前記プロペラシャフトと上下方向で重なる位置に配置したことを特徴とする請求項5記載の燃料タンクの固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−66633(P2012−66633A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211136(P2010−211136)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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