説明

燃料タンク構造

【課題】燃料タンク内の燃料が少ない状態で偏在しても、燃料量の検出をより正確に行うことで燃料切れを事前に検出可能な燃料タンク構造を得る。
【解決手段】燃料タンク14内には、燃料吸引口42を取り囲む範囲で燃料量を検出可能となるように燃料量検知センサ48が配置される。燃料吸引口42の近傍での燃料量を検出することで、燃料切れを事前に検出可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンクでは、収容された燃料が傾斜したときでも、燃料量を正確に検出することが望まれる。たとえば特許文献1には、タンク内に3個のレベルセンサーを設け、これらのレベルセンサーによって検出されたタンク内の液体のレベルに基づいて、タンク内の液体の量を測定する装置が記載されている。
【0003】
ところで、燃料タンク内の燃料が少ない状態で偏在すると、燃料が燃料吸引口から離れた状態、いわゆる燃料切れが生じるおそれがある。したがって、燃料量を確実に検出し、燃料切れを事前に検出することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−138422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、燃料タンク内の燃料が少ない状態で偏在しても、燃料量の検出をより正確に行うことで燃料切れを事前に検出可能な燃料タンク構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、前記燃料タンクの内部に配置され燃料吸引口から燃料を吸引して燃料タンクの外部に送出する送出手段と、前記燃料タンク内に配置され、前記燃料吸引口を取り囲む範囲の燃料量を検出可能な燃料量検出手段と、を有する。
【0007】
この燃料タンク構造では、燃料タンク内の燃料を、送出手段の燃料吸引口から吸引して外部に送出することができる。
【0008】
燃料タンク内には、燃料量検出手段が配置されている。燃料量検出手段は、燃料吸引口を取り囲む範囲の燃料量を検出できる。したがって、燃料タンク内の燃料が少ない状態で偏在しても、燃料吸引口の周囲における燃料量の検出をより正確に行うことで、燃料切れを事前に検出することができる。
【0009】
ここでいう「燃料吸引口を取り囲む」とは、燃料タンクを平面視したとき、燃料吸込口の周囲を取り囲んでいることをいう。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記燃料タンク内に配置され燃料タンク内の燃料の一部を貯留可能なサブタンク、を有し、前記サブタンク内に、前記燃料吸引口及び、前記燃料量検出手段を構成する燃料量検出センサが配置されている。
【0011】
このように、燃料タンク内にサブタンクと配置すると共に、サブタンク内に燃料吸引口を配置すると、サブタンク内に貯留された燃料は、燃料吸引口の近傍に保持されることになるので、燃料タンク内の燃料が少ない状態で偏在しても、燃料切れの発生を抑制できる。
【0012】
そして、サブタンク内に燃料量検出手段を構成する燃料量検出センサが配置されているので、サブタンク内の燃料が少ない状態で偏在しても、燃料量の検出をより正確に行い、燃料切れを事前に検出することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記燃料量検出センサが、前記サブタンクの内周面に取り付けられ燃料の接触範囲に応じて静電容量が変化する静電容量センサである。
【0014】
これにより、サブタンクを燃料タンク内に搭載すると、サブタンクと一体化された静電容量センサも燃料タンク内に搭載されるので、搭載性が向上する(搭載しやすくなる)。また、静電容量センサを用いることで、検出の精度や応答性も高くなる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記燃料吸引口に、前記燃料タンク内から吸引される燃料の異物を除去するフィルタ部材が備えられ、前記燃料量検出センサによる燃料量の検出位置が、前記フィルタ部材を取り囲んで配置されている。
【0016】
燃料フィルタにより、燃料の異物を除去した状態で燃料を外部に送出できる。燃料量検出手段による燃料量の検出位置は、燃料フィルタを取り囲んでいるので、燃料フィルタの周囲(取り囲む範囲)における燃料量の検出を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記燃料量検出センサによる燃料量の検出位置が、前記燃料タンクの水平状態における前記燃料吸引口の横方向の位置を含んでいる。
【0018】
このように、燃料量検出手段による燃料量の検知位置を、燃料吸引口の横方向の位置とすることで、燃料切れの事前検出を、より適切なタイミングで行うことが可能になる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記燃料タンクの底部に立設され、前記燃料量検出手段を構成する燃料量検出センサが取り付けられるセンサスタンド、を有する。
【0020】
したがって、燃料タンクの底部から立設されたセンサスタンドに、燃料量検出手段を構成する燃料量検出センサを取り付けられて、燃料量検出センサが支持される。このように、センサスタンドを用いているので、燃料タンク内にサブタンクがない構造であっても、燃料量検出センサを支持できる。もちろん、燃料タンク内にサブタンクがある構造において、センサスタンドにより燃料量検出センサを支持してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記構成としたので、燃料タンク内の燃料が少ない状態で偏在しても、燃料量の検出をより正確に行うことで燃料切れを事前に検出可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造を燃料が傾斜していない状態で燃料タンクの長手方向に沿った断面で示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造を燃料が傾斜した状態で燃料タンクの長手方向に沿った断面で示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造に用いられるサブタンク及びその近傍を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造において燃料量検知センサとして用いられる静電容量センサを示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造に用いられるサブタンクと貯留された燃料との関係を示す部分斜視図であり、(A)は燃料の非傾斜時、(B)は燃料の傾斜時である。
【図6】本発明の第1実施形態の燃料タンク構造に用いられる変形例のサブタンク及びその近傍を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の燃料タンク構造に用いられるサブタンク及びその近傍を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の燃料タンク構造に用いられるサブタンク及びその近傍を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の燃料タンク構造を燃料が傾斜していない状態で燃料タンクの長手方向に沿った断面で示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の燃料タンク構造に用いられるサブタンク及びその近傍を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図11】(A)〜(C)はいずれも、本発明において、燃料量検出位置が燃料吸引口を取り囲む状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2には、本発明の第1実施形態の燃料タンク構造12が示されている。また、図3(A)及び(B)には、燃料タンク構造12に用いられるサブタンク22が示されている。
【0024】
この燃料タンク構造12は、内部にFE(図7等参照)を収容可能な燃料タンク14を有している。燃料タンク14は、全体として略直方体の箱状に形成されている。
【0025】
燃料タンク14の上壁14Uの略中央には、挿入口16が形成されている。挿入口16からは、サブタンク22と、その内部に備えられる燃料ポンプユニット24等を挿入することができる。燃料ポンプユニット24は、燃料タンク14内の燃料を図示しないエンジンに送出することができる。挿入口16は、燃料タンク14の外側から蓋部材18で閉塞される。
【0026】
挿入口16の周囲では、上壁14Uを下方に凹ませることにより、凹部20が形成されている。この凹部20を形成したことで、挿入口16に装着された蓋部材18は、上壁14Uから上方に突出しない、もしくは突出量が少なくなる構造とされている。相対的に、上壁14Uを、車体の図示しないフロアパネルに接近させ、燃料タンク14の容量を大きく確保することが可能な構造になっている。
【0027】
図3(A)に詳細に示すように、サブタンク22は、上面が開放された有底の円筒状に形成されている。サブタンクには、外周面を厚み方向に貫通する図示しない貫通部が形成されており、この貫通孔を通じて、燃料タンク14内の燃料をサブタンク22内に導入することができる。
【0028】
図1及び図2に示すように、サブタンク22内には燃料タンク14内の燃料の一部が貯留される。したがって、燃料タンク14に対し燃料FEが傾斜し偏在したとき(図2参照)でも、サブタンク22内に所定量の燃料が貯留された状態が維持される。
【0029】
なお、本実施形態では、燃料タンク14として、底壁14Bと上壁14Uとが互いに接近又は離間することで、燃料タンク14の容積を可変とした構造としている。そして、蓋部材18から下方に延出された1又は複数本(本実施形態では2本)のガイド棒34が、サブタンク22に設けられたガイド筒36に挿入されることで、底壁14Bと上壁14Uとが上記したように接近又は離間した場合でも、サブタンク22の位置及び姿勢が安定的に維持されるようにしている。
【0030】
さらに、本実施形態では、ガイド棒34には圧縮コイルスプリング38が装着されている。圧縮コイルスプリング38は、蓋部材18に対しガイド筒36を下方に付勢しており、この付勢力は、サブタンク22に作用する。これにより、サブタンク22の底壁22Bが、燃料タンク14の底壁14Bに接触した状態を確実に維持できるようにしている。ただし、本発明では、燃料タンク14として底壁14Bと上壁14Uとが接近又は離間する構造とされている必要はなく、この場合には、上記したガイド棒34、ガイド筒36及び圧縮コイルスプリング38等は省略可能である。
【0031】
サブタンク22内には、燃料ポンプ40が備えられている。燃料ポンプ40の下部には、燃料を吸引可能な燃料吸引口42が設けられている。燃料ポンプ40を駆動することで、サブタンク22内の燃料を、燃料吸引口42から吸引する。そして、燃料送出配管44を通じて、サブタンク22内の燃料を図示しないエンジンに向けて送り出すことができる。なお、本発明の送出手段としては、燃料ポンプ40を有さず、たとえば、燃料タンク14の外部から作用する負圧を利用して、燃料を燃料タンク14の外部に送出する構成でもよい。
【0032】
燃料ポンプ40の燃料吸引口42には、燃料フィルタ46が装着されている。燃料フィルタ46は、網目状の部材によって袋状に形成されており、その内部に、燃料吸引口42が位置している。燃料フィルタ46は、サブタンク22内の燃料FEを燃料吸引口42から吸引するときに、燃料中の異物を除去する作用を有している。
【0033】
サブタンク22の側壁22Sの内周面には、燃料量検知センサ48が備えられている。本実施形態の燃料量検知センサ48は、図4にも詳細に示すように、樹脂フィルム等の折り曲げ可能な絶縁体によって、全体として長尺状に形成されたベース28を有している。ベース28の表面には複数の電極30がベース28の長手方向にそって一定間隔で配置されている。複数の電極30のうち、燃料と接している部分と接していない部分とでは、静電容量の値が異なる。この静電容量の値の違いを用いて、燃料量検知センサ48に接触している部分での燃料量を検知できる。
【0034】
燃料量検知センサ48の端部には、端子32が設けられている。端子32は、図示しない制御装置と電気的に接続されており、電極30ごとに検知した燃料の有無情報が制御装置に送られる。
【0035】
このような構造の燃料量検知センサ48が、長手方向で湾曲あるいは屈曲されることで略円筒形状とされて、サブタンク22の側壁22Sの内周面に取り付けられている。換言すれば、図3(B)からも分かるように、平面視にて(上方から見て)燃料吸引口42の周囲を、燃料量検知センサ48が略環状に取り囲んでいる。特に、電極30のそれぞれは、燃料吸引口42から等距離の位置にある。
【0036】
また、図1から分かるように、燃料量検知センサ48の高さ(上下方向の位置)は、燃料タンク14が傾斜していない状態で、燃料吸引口42を含む位置に設定されている。換言すれば、燃料量検知センサ48による燃料量の検出位置は、燃料吸引口42の横方向の位置を少なくとも含んでいる。
【0037】
次に、本実施形態の燃料タンク構造12の作用を説明する。
【0038】
この燃料タンク構造12では、燃料ポンプ40の駆動により、サブタンク22内に貯留された燃料を、燃料送出配管44を通じてエンジン等に送出することができる。
【0039】
図2に示すように、燃料タンク14内の燃料量が少なくなった状態で、燃料FEが傾斜し、燃料タンク14内において偏在した場合を想定する。この場合であっても、サブタンク22内に貯留された燃料FEは、燃料吸引口42の近傍に保持されているので、燃料FEが燃料吸引口42から離れてしまう現象(燃料切れ)を抑制することができる。
【0040】
サブタンク22の側壁22Sの内周面には、燃料量検知センサ48が配置されている。図5(A)に示すように、サブタンク22内の燃料が少なくなり、サブタンク22内の燃料FEの液面FLが、燃料量検知センサ48の電極30の上端よりも下方に位置すると、燃料量検知センサ48の全体としての静電容量が、燃料FEの接触面積に応じて変化する。したがって、燃料量検知センサ48の静電容量の変化により、サブタンク22内の燃料が少なくなっていることを検出できる。特に、燃料切れの発生が想定される状態でのサブタンク22内の燃料量があらかじめ分かっているので、この燃料量にまで燃料FEが減少する前段階、すなわち燃料切れを事前に検出することができる。必要に応じ、たとえば運転席の表示ランプ等を点灯させることで、燃料切れを事前に乗員に報知することができる。加えて、たとえば、エンジンへの燃料噴射量を低減させる等、エンジンの回転駆動に対し特定の処理を行って、スムーズな走行を可能にする処理を行ってもよい。
【0041】
また、図5(B)に示すように、車両の旋回や斜面走行等によってサブタンク22内部の燃料が傾斜した状態であっても、燃料量が少なければ、燃料量検知センサ48の全体としての静電容量は、少なくなった燃料量に対応した値となる。したがって、サブタンク22内で燃料FEが傾斜していないときと同様に、燃料切れを事前に検出することができる。
【0042】
なお、図5(A)及び(B)では、燃料量検知センサ48の電極30に対し、燃料FEが1/2程度で接触した状態を閾値として、燃料切れの事前検出を行っているが、この閾値となる燃料量は、サブタンク22の構造や燃料吸引口42の位置等に応じて、適宜設定できる。
【0043】
しかも、第1実施形態では、燃料タンク14が傾斜していない状態で、燃料量検知センサ48による燃料量の検出位置が、燃料吸引口42の横方向の位置を含んでいる。このため、サブタンク22内の燃料が、底壁22Bの近くまで減少していなくても、燃料傾斜時に、燃料量検知センサ48の電極30の一部が燃料から露出することになる。すなわち、サブタンク22内の燃料FEが相対的に多い段階でも、早期に燃料切れを事前検知できる。
【0044】
上記では、燃料量検知センサ48として、1枚のベース28を備えた構造のものを1つのみ用い、燃料吸引口42を取り囲むように配置した構成を例に挙げているが、燃料量検知センサ48としては、複数に分割されていてもよい。すなわち、図6(A)及び(B)に示す第1実施形態の変形例の燃料タンク構造52(全体像は図1等と同様のため図示省略)のように、周方向に複数(図6の例では3つ)に分割された燃料量検知センサ54を備え、これら複数の燃料量検知センサ54の総体で、燃料吸引口42を取り囲むように構成してもよい。図3(A)及び(B)に示したように、1つの燃料量検知センサ48を用いると、部品点数が少なくなる。また、特定の演算処理を行うことなく、燃料量検知センサ48の内側に存在している燃料量を検出可能となる。実質的に、本発明の「燃料量検出手段」が、燃料量検知センサ48で構成される。
【0045】
これに対し、図6(A)及び(B)に示したように、複数の燃料量検知センサ54を用いると、それぞれの燃料量検知センサ48は小型化できるので、歩留まりが向上する。このように、複数の燃料量検知センサ54を用いた場合には、それぞれの燃料量検知センサ54における検知結果(静電容量)を基に、たとえば制御装置を用いて、燃料量を算出すればよい。この場合、本発明の燃料量検出手段は、燃料量検知センサ54と制御装置とを含んで構成される。
【0046】
図7(A)及び(B)には、本発明の第2実施形態の燃料タンク構造62が、サブタンク22の近傍において部分的に拡大して示されている。第2実施形態の燃料タンク構造62の全体構成は、第1実施形態の燃料タンク構造12と略同様であるので、説明を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0047】
第2実施形態の燃料タンク構造62では、第1実施形態に係る燃料タンク構造62の燃料量検知センサ48に代えて、略円板状の燃料量検知センサ64が用いられている。図7(A)に示す例では、燃料量検知センサ64は、サブタンク22の底壁22Bに接触して一体化されている。燃料量検知センサ64の中央には、燃料フィルタ46と干渉しないための孔部64Hが形成されている。第2実施形態の燃料タンク構造62においても、平面視したとき、燃料量検知センサ64が燃料吸引口42を取り囲んでいる。
【0048】
このような構成とされた第2実施形態の燃料タンク構造62においても、第1実施形態の燃料タンク構造12と略同様の作用効果を奏する。特に、第2実施形態では、サブタンク22内の燃料量を、底壁22Bにおいて検出することが可能である。
【0049】
図8(A)及び(B)には、本発明の第3実施形態の燃料タンク構造72が、サブタンク22の近傍において部分的に拡大して示されている。第3実施形態の燃料タンク構造72では、第2実施形態の燃料タンク構造62と略同様の構成とされた燃料量検知センサ64を有しているが、その高さ(上下方向の位置)が、第2実施形態の燃料タンク構造62よりも高くされている。図8(A)に示した例では、燃料タンク14が傾斜していない状態における、燃料吸引口42(図1等参照)と同じ高さに設定されている。換言すれば、燃料タンク14が傾斜していない状態で、燃料量検知センサ64の位置が、燃料吸引口42の横方向の位置を含んでいる。
【0050】
したがって、第3実施形態の燃料タンク構造72では、第2実施形態の燃料タンク構造62と比較して、サブタンク22内の燃料が、底壁22Bの近くまで減少していなくても、燃料傾斜時に、燃料量検知センサ64の電極30の一部が燃料から露出することになる。すなわち、サブタンク22内の燃料FEが相対的に多い段階でも、燃料切れをの事前検知を早期に実行できる。
【0051】
なお、第2実施形態の燃料タンク構造62及び第3実施形態の燃料タンク構造72において、第1実施形態の変形例の燃料タンク構造(図6(A)及び(B)参照)と同様に、燃料量検知センサ48を周方向で複数に分割してもよい。
【0052】
図9には、本発明の第4実施形態の燃料タンク構造82が、燃料タンク84の全体像と共に示されている。また、図10(A)及び(B)には、この燃料タンク構造82が、燃料量検知センサ48の近傍において部分的に拡大して示されている。第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0053】
第4実施形態の燃料タンク構造82では、燃料タンク84を有しているが、この燃料タンク84は、第1〜第3実施形態の燃料タンク14と比較して、幅方向(図9における横方向)及び奥行方向に小型化されている。
【0054】
また、第4実施形態の燃料タンク構造82では、第1〜第3実施形態に係るサブタンク22は設けられていないが、上記したように燃料タンク84が小型化されているので、燃料タンク84内で燃料FEが傾斜し偏在した場合でも、燃料切れが生じる可能性は小さくなっている。
【0055】
第4実施形態の燃料タンク構造82は、第1実施形態の燃料タンク構造12と同様に、燃料ポンプ40及び燃料フィルタ46を有している。そして、燃料フィルタ46の周囲に、燃料量検知センサ48が配置されている。
【0056】
図10(A)及び(B)に示す例では、燃料量検知センサ48は、センサスタンド86により支持されている。センサスタンド86は、円板状の底板86Bと、この底板86Bの周囲から立設された円弧状の複数枚(図示の例では3枚)の縦壁86Wと、で構成されている。そして、縦壁86Wの内側(内周面側)に、燃料量検知センサ48が取り付けられている。また、縦壁86Wの内側に、燃料吸引口42(図10では図示省略、図1参照)が位置している。
【0057】
このような構成とされた第4実施形態の燃料タンク構造82では、燃料タンク84内において、平面視したときに燃料吸引口42を取り囲むように燃料量検知センサ48が配置されている。したがって、燃料タンク84内で燃料が少ない状態で偏在した場合の燃料切れを事前に検出できる。そして、センサスタンド86を用いているので、燃料タンク84内にサブタンク22がない構造であっても、燃料量検知センサ48を所定位置で支持できる。もちろん、サブタンク22を有する構造において、センサスタンド86を用いて燃料量検知センサ48を支持してもよい。
【0058】
第4実施形態において、センサスタンド86の構造は、燃料量検知センサ48を所定位置で支持できれば、特に限定されない。たとえば、図10(A)及び(B)の例では、縦壁86Wが、底板86Bを介して、燃料タンク84の底部から立設されているが、底板86Bを省略し、縦壁86Wを燃料タンク84の底部から直接的に立設することも可能である。縦壁86Wとしても、要するに燃料タンク84の底部から立設されると共に燃料量検知センサ48が取り付け可能な構造であればよい。
【0059】
また、縦壁86Wの外側(外周面側)に燃料量検知センサ48を取り付けてもよい。上記したように、縦壁86Wの内側(内周面側)に燃料量検知センサ48を取り付けると、より燃料吸引口42に近い位置に燃料量検知センサ48を配置できる。
【0060】
第4実施形態の燃料タンク構造82は、たとえば、いわゆる鞍型タンク等、燃料吸引口42の周囲において、燃料タンクを構成する壁部が燃料吸込口に接近している構造の燃料タンクにおいて、好ましく適用できる。
【0061】
第4実施形態において、燃料量検知センサを、第1実施形態の変形例(図6参照)、第2実施形態(図7参照)及び第3実施形態(図8参照)等の構造とすることも可能である。
【0062】
以上説明したように、本発明のいずれの実施形態においても、平面視したときに燃料吸引口42の周囲を取り囲む範囲で燃料量検知センサにより燃料量を検出できるので、燃料吸引口42の近傍において燃料量が少なくなった場合に、燃料量を的確に検知し、燃料切れを事前に検出することができる。
【0063】
ここでいう「取り囲む」とは、要するに、燃料量を検知する範囲が燃料吸引口42を取り囲んでいればよい。たとえば、燃料量を検知する位置が、燃料吸引口42の周囲において少なくとも3箇所設けられており、この燃料量検出位置を結ぶ閉曲線内に燃料吸引口42が位置していれば、この条件を満たす。図11(A)に示す例では、燃料量検出位置SPが、燃料吸引口42の周囲に3箇所あり、これら燃料吸引口42を結ぶ三角形CL1の内部に燃料吸引口42が位置している(なお、三角形CL1は正三角形でなくてもよい)。
【0064】
また、図11(B)に示す例では、6箇所の燃料量検出位置SPがあり、これらの燃料量検出位置SPを結ぶ六角形CL2の内部に、燃料吸引口42が位置している。
【0065】
さらに、図11(C)に示す例では、8箇所の燃料量検出位置SPがあり、これらの燃料量検出位置SPを結ぶ閉曲線(本来的には八角形となる)を円CL3で近似している。そして、この円CL3の内部に燃料吸引口42が位置している。このように、燃料吸引口42を取り囲む範囲(形状)が分かっているので、この範囲に合わせて、燃料量検出位置SPにおける検知結果に基づいて燃料量を算出すればよい。なお、本発明における各実施形態では、燃料検知位置SPとなる電極30が複数配置されており、しかも、燃料吸引口42を円形に取り囲んでいる。したがって、図11(C)に示す例において、燃料量検出位置SPをさらに多くした例になっている。
【0066】
いずれの例においても、閉曲線の形状は特に限定されない。ただし、燃料量検出位置SPは、燃料吸引口42から等距離とすれば、燃料の傾斜方向に依存することなく燃料量を検知可能となり、好ましい。上記した各実施形態はいずれも、燃料量検知センサの電極30(燃料量検出位置SP)が多数存在し、しかも燃料吸引口42から等距離にある例である。
【0067】
本発明において、燃料量検知センサの具体的構成は、上記した静電容量センサに限定されない。たとえば、燃料FEの液面FLにフロートを浮遊させてその高さを検知するセンサ(フロート式レベルセンサ)を用いることも可能である。もちろん、上下センサとしても、静電容量センサを用いると、燃料の液面高さの検知が簡単かつ低コストな構造で実現できる。
【符号の説明】
【0068】
12 燃料タンク構造
14 燃料タンク
22 サブタンク
22S 側壁
42 燃料吸引口
44 燃料送出配管(送出手段)
46 燃料フィルタ
48 燃料量検知センサ(燃料量検出手段)
52 燃料タンク構造
54 燃料量検知センサ(燃料量検出手段)
62 燃料タンク構造
64 燃料量検知センサ(燃料量検出手段)
72 燃料タンク構造
82 燃料タンク構造
84 燃料タンク
86 センサスタンド
FE 燃料
FL 液面
SP 燃料量検出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、
前記燃料タンクの内部に配置され燃料吸引口から燃料を吸引して燃料タンクの外部に送出する送出手段と、
前記燃料タンク内に配置され、前記燃料吸引口を取り囲む範囲の燃料量を検出可能な燃料量検出手段と、
を有する燃料タンク構造。
【請求項2】
前記燃料タンク内に配置され燃料タンク内の燃料の一部を貯留可能なサブタンク、
を有し、
前記サブタンク内に、前記燃料吸引口及び、前記燃料量検出手段を構成する燃料量検出センサが配置されている請求項1に記載の燃料タンク構造。
【請求項3】
前記燃料量検出センサが、前記サブタンクの内周面に取り付けられ燃料の接触範囲に応じて静電容量が変化する静電容量センサである請求項2に記載の燃料タンク構造。
【請求項4】
前記燃料吸引口に、前記燃料タンク内から吸引される燃料の異物を除去するフィルタ部材が備えられ、
前記燃料量検出センサによる燃料量の検出位置が、前記フィルタ部材を取り囲んで配置されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料タンク構造。
【請求項5】
前記燃料量検出センサによる燃料量検出位置が、前記燃料タンクの水平状態における前記燃料吸引口の横方向の位置を含んでいる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の燃料タンク構造。
【請求項6】
前記燃料タンクの底部に立設され、前記燃料量検出手段を構成する燃料量検出センサが取り付けられるセンサスタンド、
を有する請求項1に記載の燃料タンク構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−240580(P2012−240580A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113941(P2011−113941)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】