説明

燃料ノズル構成部品の補修方法

燃料ノズル100を補修する方法が開示され、本方法は、補修のため損傷を受けた構成部品(909)を準備する段階と、熱エネルギーを基板(960)に向けて配向する段階と、粉体材料(953)のストリームを配向する段階と、基板(960)上に粉体材料を堆積する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には、ガスタービンエンジンに用いる燃料ノズルに関し、より具体的には、補修可能燃料ノズル、構成要素、及び燃料ノズル構成要素及び組立体を補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンは、典型的には、燃料をエンジンの燃焼器に供給するための複数の燃料ノズルを含む。燃料は、燃料ノズルから高度に霧化された噴霧状態でバーナの前端に導入される。加圧空気は、燃料ノズルの周囲を流れ、燃料と混合して燃料空気混合物を形成し、これがバーナによって点火される。燃料圧力可用性が限定的であること、及び広い範囲の燃料流量が必要とされることに起因して、多くの燃料噴射装置はパイロットノズル及び主ノズルを含み、始動中はパイロットノズルのみを用いて、より高出力の運転中に両方のノズルを用いる。始動時及び低出力運転中には、主ノズルへの流量は減少又は停止される。このような噴射装置は、燃料流量がより正確に制御され、特定の燃焼器要件に対して燃料噴霧をより正確に配向できるので、単一ノズル燃料噴射装置よりも効率的且つクリーンな燃焼にすることができる。パイロット及び主ノズルは、この同じノズル組立体内に含めることができ、或いは別個のノズル組立体で支持することができる。これらの二重ノズル燃料噴射装置はまた、二重燃焼器に対する燃料の更なる制御を可能にするように構成することができ、燃料効率の改善及び有害エミッションの低減を更に向上させることができる。点火燃料空気混合物の温度は、3500°F(1920℃)を超える温度に達する可能性がある。従って、燃料供給導管、流路及び分配システムは実質的に漏れがなく、火炎及び熱から保護されることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2008/0314878A1号公報
【特許文献2】米国特許公開第2008/0182017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長期間にわたってタービンエンジン作動中に連続して高温に曝されると、導管及び燃料ノズル構成要素に温度勾配及び応力が誘起される場合があり、これは、導管又は燃料ノズル構成要素に損傷を与え、燃料ノズルの作動に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、温度勾配は、導管において燃料流量の減少を引き起こし、タービンエンジン内での過度の燃料不均衡配分を招く場合がある。導管及び燃料ノズルのオリフィスを貫流する燃料の高温への曝露は、燃料のコーキングを生じ、閉塞及び不均一流につながる可能性がある。低エミッションをもたらすために、最新の燃料ノズルは、複数の別個の火炎ゾーンを生成するために多くの複雑な内部空気及び燃料回路を必要とする。燃料回路は、コーキングを阻止するために内部空気からの熱シールドを必要とすることがあり、特定の燃料ノズル構成要素は、冷却及び燃焼ガスからの遮蔽を必要とする場合がある。熱伝達及び冷却を促進するために、追加の特徴部を燃料ノズル構成要素に設けることが必要な場合がある。更に、長期間にわたると、損傷を受けた燃料ノズルによる連続作動は、タービン効率の低下、タービン構成要素の障害、及び/又はエンジン排気ガス温度マージンの減少をもたらす可能性がある。
【0005】
タービンエンジン内に据え付けられた燃料ノズルの製品寿命が向上すると、タービンエンジンの寿命を延ばすことができる。公知の燃料ノズルは、送達システム、混合システム、及び支持システムを含む。流体を移送する導管を含む送達システムは、燃料をタービンエンジンに送達し、支持システムによって支持され、タービンエンジン内で遮蔽される。より具体的には、公知の支持システムは、送達システムを囲み、従ってより高温に曝され、燃料ノズルを貫流する流体により冷却される送達システムよりも高い作動温度を有する。導管及び燃料ノズルの外部及び内部輪郭並びに厚さを構成することによって、これらの熱応力を低減することが可能である。一部の公知の従来燃料ノズルは、22個のろう付け継手と3つの溶接継手とを有する。このような従来の燃料ノズルの組立及び補修は時間がかかり、困難且つ高価である。
【0006】
空気と燃料を移送、分配及び混合するための複雑なスワーラ、導管及び分配回路並びにベンチュリを有する従来の燃料ノズル設計は、30よりも多くの構成要素の複雑な組立及び接合を含むので、例えば、燃料ノズル及びこれらの関連するスワーラ、導管、分配システム、ベンチュリ並びに混合システムなどの従来のガスタービンエンジン構成要素は、一般に、製作及び/又は補修するのが高価である。より具体的には、ろう付け継手の使用は、ろう付け合金を配置できる十分な領域を必要とすること、不要なろう付け合金流を最小限にすることが必要なこと、ろう付け品質を検証するために許容可能な検査技術を必要とすること、及び以前のろう付け継手の再溶融を阻止するために複数のろう付け合金を用意する必要があることを含む幾つかの理由の何れによっても、このような構成要素を製作する所要時間が増大し、また、製作プロセスが複雑になる可能性がある。更に、多数のろう付け継手は、構成要素の母材を脆弱にする可能性がある複数のろう付け流出を生じる場合がある。Twin Annular Pre Swirl(TAPS)ノズルのような最新の燃料ノズルは、緊密エンベロープ内に多くの構成要素及びろう付け継手を有する。多数のろう付け継手が存在することは、望ましくないことに、構成要素及び組立体の補修、組立、並びに検査の重量及びコストを増大させる可能性がある。
【0007】
損傷を受けた従来の燃料ノズルの補修は、通常困難であり、損傷した構成要素を取り除くための燃料ノズル組立体構成要素の分解を伴う。燃料ノズル組立体は、通常、幾つかのろう付け継手及び溶接継手を有する。従来、熱シールドのような損傷を受けた燃料ノズル構成要素は、過剰な金属を損傷を受けた区域内に溶接し且つ金属を機械加工して適切な形状を形成することによって、或いは、損傷を受けた区域を切り取り、損傷区域への溶接又は補強により切り取られた材料と新しい材料片を置き換えることによって補修される。しかしながら、このような手法は、高価であり、ベンチュリのようなノズル構成要素の燃料湿潤区域に望ましくない段階を導入することにより性能低下が生じる。レーザクラッディングのような他の公知の製造法は、形成又は補修される部品において、下にある基板又は以前に溶接した材料に対して溶融層への不完全な融合から生じる欠陥及び介在物をもたらすことが多い。これらの欠陥及び介在物は、多くの場合、形成又は補修部品の複雑な幾何学形状と関連付けられる。
【0008】
従って、上述の熱曝露による望ましくない影響を低減するために、構造体を熱から保護するための特徴を有する補修可能燃料ノズルを有することが望ましいことになる。コストを低減する特徴部、並びに補修及び再組立を容易にすると同時に有害な熱環境から保護し潜在的漏出を減少する特徴部を備えた補修可能燃料ノズル組立体を有することが望ましい。
【0009】
ガスタービンエンジンにおける漏出の可能性が低い補修可能燃料ノズルに用いるため、(例えば、熱シールドを備えたベンチュリなど)複雑な3次元幾何学形状を有する構成要素の補修方法を有することが望ましい。燃料ノズル組立体から構成要素を分解する必要なしに構成要素を補修する方法を有することが望ましい。経済的で且つ柔軟性のある補修方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の1つ又は複数の必要性は、燃料ノズル100を補修する方法を提供する例示的な実施形態によって対処され、該方法は、補修のため損傷を受けた構成部品(909)を準備する段階と、熱エネルギーを基板(960)に向けて配向する段階と、粉体材料(953)のストリームを配向する段階と、基板(960)上に粉体材料を堆積する段階と、を含む。1つの態様において、本方法は、LNSMを用いることを含む。別の態様において、本方法は、補修可能な燃料ノズル組立体(100)において熱シールド(540)を補修することを含む。別の態様において、本方法は、ノズル組立体から構成部品全体を取り外すことなく燃料ノズル組立体構成部品を補修することを含む。
【0011】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、請求項において明確に記載される。しかしながら、本発明は、添付図面と共に以下の説明を参照することにより最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の例示的な実施形態による例示的な補修可能燃料ノズルの部分断面図。
【図2】図1に示す例示的な補修可能燃料ノズルの先端領域の軸方向断面図。
【図3】本発明の1つの態様による単体構造構成要素を製作するための方法の例示的な実施形態を示すフローチャート。
【図4】燃料ノズルを補修する方法の本発明の1つの態様の例示的な実施形態を示すフローチャート。
【図5】一部の構成要素が穿孔された例示的な燃料ノズルの先端領域の軸方向断面図。
【図6】ろう付け溝を有する例示的な燃料スワーラの平面図。
【図7】例示的な一次パイロット組立体の軸方向断面図。
【図8】流れ試験用の試験装置上に置かれた例示的な新しいパイロット組立体の軸方向断面図。
【図9】新しいパイロット組立体のX線検査の概略図。
【図10】新しいパイロット組立体におけるろう付け溝へのろう付けワイヤ組み付けの概略図。
【図11】補修部品として再組立中の例示的な燃料ノズルの先端領域の軸方向断面図。
【図12】例示的な一次アダプタ及びろう付けワイヤの軸方向断面図。
【図13】補修の部品として再組立中の例示的な燃料ノズルの先端領域の軸方向断面図。
【図14】補修後の例示的な燃料ノズルの先端領域の軸方向断面図。
【図15】例示的な損傷を有する例示的なベンチュリの等角図。
【図16】損傷を受けた熱シールドを補修する例示的な方法を示すフローチャート。
【図17】損傷ベンチュリの側面図とベンチュリから取り除かれた熱シールドの損傷部分の部分断面図。
【図18】本発明の例示的な方法によって補修された損傷を受けたベンチュリ熱シールドの側面図。
【図19】本発明の例示的な方法によって半径方向に補修された損傷を受けたベンチュリ熱シールドの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ガスタービンエンジンは、エンジン外側ケーシング内に収容された燃焼室を有する。燃料は、例えば、図1及び2に示すような燃料ノズルによって燃焼室に供給される。液体燃料は、例えば、図1に示すようなステム83内の導管80を通って燃料ノズル先端組立体68に移送される。単体構造を有する導管は、液体燃料を燃料ノズルの燃料ノズル先端組立体68に移送するのに用いることができる。燃料供給導管は、ステム83内に位置付けられ、燃料分配器先端180に結合することができる。パイロット燃料及び主燃料は、例えば、図1及び2に示すような燃料ノズル先端組立体68によって燃焼機内に噴霧される。タービンエンジンの作動時には、始動及びアイドル運転中などの所定のエンジン作動条件中に、最初にパイロット燃料が、例えば図2のアイテム102、104として示すようなパイロット燃料流路を通って供給される。パイロット燃料は、パイロット燃料出口162、164を通って燃料分配器先端180から放出される。追加の出力が要求されると、主燃料が主燃料通路105(図2参照)を通って供給され、該主燃料は、主燃料出口165を用いて噴霧される。
【0014】
図1は、燃料ノズル先端68において液体燃料を移送するのに用いる単体構造導管80を有する例示的な燃料ノズル100の部分断面等角図である。例示的な実施形態では、単体構造導管80は、導管内に位置付けられた1つ又はそれよりも多い流路を含む。流路からの燃料は、パイロット供給管154(図1参照)によって燃料ノズル先端68に配向され、パイロット燃料出口162を通って流出する。一部の単体構造導管80では、導管内で2つ又はそれよりも多いサブ通路に分岐される流路を有することが有利である。
【0015】
図1及び2には、本明細書に記載される単体構造導管80を有し、ガスタービンエンジン燃料ノズルで用いられる例示的な補修可能燃料ノズル100が示される。例示的な実施形態では、単体構造導管80は、ガスタービンエンジン10を監視するためのフランジ81を有するステム83内に位置付けられる。単体構造導管80は、ステムの内部と単体構造導管80の導管本体80との間にギャップ77があるように、ステム83内に位置付けられる。ギャップ77は、ガスタービンエンジンの燃料ノズルを囲む熱及び他の悪環境条件から単体構造導管80を隔離する。単体構造導管80の付加的な冷却は、ギャップ77内の空気を循環させることによって達成することができる。単体構造導管80は、ろう付けのような従来の取付手段を用いてステム83に取り付けられる。代替として、単体構造導管80及びステム83は、例えば、本明細書に記載される直接レーザ金属焼結のような、迅速製造方法で作ることができる。本明細書に図示され記載される補修可能燃料ノズル100の例示的な実施形態では、燃料分配器先端68は、単体構造導管80及びステム83から延びて、主燃料通路及びパイロット燃料通路が、例えば本明細書の図に示すような燃料分配器300と流れ連通して結合されるようにする。導管80及び分配器リング171は、単体構造導管(すなわち、単体構造を有するもの)として本明細書で記載してきたが、当該技術分野で公知の方法を用いて他の好適な製造構造を有する導管80を用いることができる点は、当業者には明らかであろう。単体分配器リング171は、ろう付けのような従来の取付手段を用いてステム83に取り付けられる。代替として、単体分配器リング171及びステム83は、例えば、本明細書に記載された直接レーザ金属焼結のような迅速製造方法により作ることができる。
【0016】
図2及び14は、図1、2及び14に示す例示的な補修可能燃料ノズル100の例示的なノズル先端組立体68の軸方向断面図を示す。例示的なノズル先端組立体68は、前述のような供給導管80から燃料流を受け取る分配器300を含み、主燃料通路及びパイロット燃料通路のような燃料ノズル先端68の種々の場所に燃料を分配する。図2及び14は、燃料ノズル先端組立体68に燃料を分配する2つのパイロット流路102、104を有する本発明の例示的な実施形態を示す。
【0017】
図2及び14に示す例示的な分配器300は、本明細書に記載された主流路及びパイロット流路を含む分配器リング本体171を備える。分配器300の主流路105は、供給導管80の対応する主流路と流れ連通している。本明細書に図示され記載された例示的な主燃料通路は各々、燃料流を供給導管80からノズル先端軸11の周りで円周方向に位置付けられる2つの弓形部分105に移送する入口部分を備える。
【0018】
本出願において用語「単体構造」とは、例えば、本明細書に記載されたベンチュリ500などの関連する構成要素が、製造時に単一片として作られることを示すのに用いられる。従って、単体構造構成要素は、構成要素としてモノリシック構造を有する。
【0019】
図2及び14は、補修可能燃料ノズル100の本発明の例示的な実施形態における例示的なノズル先端68の軸方向断面を示す。図2及び14に示す例示的な燃料ノズル先端68は、2つのパイロット燃料流路を有し、本明細書では一次パイロット流路102及び二次パイロット流路104と呼ばれる。図4を参照すると、一次パイロット流路102からの燃料は、一次パイロット燃料噴射装置163を通って燃料ノズルから流出し、二次パイロット流路104からの燃料は、二次パイロット燃料噴射装置167(図14参照)を通って燃料ノズルから流出する。分配器リング171の一次パイロット流路102は、ステム83内に収容された供給導管80内の対応するパイロット一次通路と流れ連通している。同様に、分配器リング171内の二次パイロット流路104は、ステム83内に収容された供給導管内の対応するパイロット二次通路80と流れ連通している。
【0020】
前述のように、ガスタービンエンジンで用いるような燃料ノズルは高温に曝される。このような高温への曝露は、場合によっては、例えば、出口通路164のような燃料通路において燃料コーキング及び閉塞を生じる。分配器リング171における燃料コーキング及び/又は閉塞を軽減する1つの方法は、熱シールドを用いることによって有害な熱環境から通路(図14に示すアイテム102、104、105のような)を保護することである。図14に示す例示的な実施形態では、燃料導管102、104、105は、これらの導管を少なくとも部分的に囲むギャップ116及び熱シールドによって保護される。ギャップ116は、有害な熱環境から隔離することによって燃料通路に対する保護を提供する。図示の例示的な実施形態では、絶縁ギャップ116は、約0.015インチから0.025インチの幅を有する。本明細書に記載されたような熱シールドは、例えば、通常、ガスタービンエンジンで一般的に用いられるコバルト基合金及びニッケル基合金のような、高温に耐える能力を有するあらゆる好適な材料から作ることができる。図14に示す例示的な実施形態では、分配器リング171は、単体構造を有し、ここで、分配器リング171、流路102、104、105、燃料出口165、熱シールド及びギャップ116は、本明細書に記載されるようなDMLSプロセスを用いて作られたモノリシック構造を有するように形成される。
【0021】
図2及び14は、本発明の例示的な実施形態による例示的な補修可能燃料ノズル100の内側に組み立てられたスワーラ200を示す。例示的なスワーラ200は、スワーラ軸11の周囲に円周方向に延びるハブ205を有する本体201を含む。ハブ205から延びるベーン208の列は、ノズル先端軸11の周囲にハブ205上の円周方向に配列される。各ベーン208は、ハブ205の付近に半径方向に位置付けられた根元部分と、ハブ205から半径方向外向きに位置付けられた先端部分とを有する。各ベーン208は、根元部分と先端部分との間に延びる前縁及び後縁を有する。ベーン208は、例えば、前縁と後縁との間に翼形部形状のような好適な形状を有する。隣接するベーンは、スワーラ200に流入する空気(図2のアイテム190として示すCDP空気など)を通過させるための流路を形成する。ベーン208は、軸11に対して半径方向及び軸方向の両方に傾斜し、スワーラ200に入る流入空気190に運動の回転成分を与えることができる。これらの傾斜したスワーラベーン208は、燃料ノズル先端組立体68内でほぼ螺旋状に空気190を旋回させる。スワーラ200の1つの態様では、ベーン208は、根元部分とハブとの間に延びて、スワーラハブ領域において滑らかな空気の流れを容易にするフィレットを有する。本明細書に示す例示的な実施形態では、ベーン208は、カンチレバー型の支持体を有し、基本的にベーン先端部分無しでハブ205上の根元部分にて構造的に支持される。一部の代替のスワーラ設計では、これらの先端領域にあるベーン208の少なくとも一部に付加的な構造的支持体を設けることもできる。スワーラ200の別の態様では、凹部がベーンの先端部分上に設けられる。補修可能燃料ノズル100の組立中に、凹部は、補修可能燃料ノズル100内の隣接する構成要素と係合し、例えば、図2及び14に示すような軸方向にこれらを配向する。
【0022】
図示2及び14に示す例示的なスワーラ200は、ベーン208の円周方向列から軸方向後方に位置付けられたアダプタ250を含む。アダプタ250は、例えば、ターボファンエンジンにおける圧縮機吐出から出るCDP空気流のような空気流190を送るための流路254を形成する弓形壁256(図2参照)を含む。流入空気190は、アダプタ250の通路254に入り、スワーラ200のベーン208の列に向かって軸方向前方に流れる。アダプタ250はまた、図14に示すようにノズル先端組立体68にスワーラ200を装着するための手段として機能する。図14に示す例示的な実施形態では、アダプタ250は、例えば、燃料ノズルステム83のような別の構造体にアダプタ250を取り付けるのに用いられるろう付け材料を受け取る弓形溝252を含む。弓形壁256内のろう付け溝252は、従来の機械加工法を用いて形成するのが困難な複雑な3次元幾何学形状を有する。本発明の1つの態様では、複雑な3次元幾何学形状を有する弓形壁256の溝は、本明細書において後で記載される製造方法を用いて、単体構造を有するように一体的に形成される。好ましい実施形態では、アダプタ250、本体201、ハブ205及びベーン208は、本明細書に記載された製造方法を用いた単体構造を有する。代替として、アダプタ250は、別個に製造され、従来の取付手段を用いて本体201に取り付けることができる。
【0023】
燃焼器及び燃料ノズル領域に流入する圧縮機吐出空気190(図2参照)が極めて高温であり、800°Fを超える温度を有することは、燃焼器及び燃料ノズル応用では一般的である。このような高温は、例えば、燃料流路102、104、スワーラ200及びベンチュリ500のような燃料ノズル100の内部構成要素の一部においてコーキング又は他の熱的誘起障害を引き起こす可能性がある。高温の空気190また、例えば、燃料噴射装置163と分配器リング本体171(図14参照)との間などの内部ろう付け継手を脆弱にする可能性がある。本発明の1つの態様では、絶縁ギャップ216は、スワーラ200の本体201内に設けられ、補修可能燃料ノズル100及びその内部の構成要素(一次燃料噴射装置163又は二次燃料噴射装置167など)に流れる空気からの熱伝達を低下させる。図14のアイテム116及び216のような絶縁ギャップは、エンジン作動中に燃料ノズル組立体のろう付け継手の温度を低下させるのに役立つ。絶縁ギャップ216は、図14に示すように環状とすることができる。また、公知の熱伝達分析に基づく他の好適な構成を用いてもよい。図14に示す例示的な実施形態では、絶縁ギャップは、スワーラ本体201内で少なくとも部分的に延びる環状であり、約0.015インチから約0.025インチのギャップ半径方向幅を有する。本発明の1つの態様では、絶縁ギャップ216は、本明細書で以下で記載される製造方法を用いて単体構造を有するようにスワーラ本体201と一体的に形成することができる。本明細書に記載されたような一体的に形成されたろう付け溝は複雑な輪郭を有し、予成形ろう付けリングを据え付けて組立を容易にできるようにすることができる。
【0024】
図2を参照すると、アダプタ通路254から流入する空気流190は、ベーン208に入るときに円周方向に均一でないことは当業者には明らかである。この不均一性は更に、壁260の存在によって強化される。従来のスワーラでは、このような流れの不均一性によって、燃料及び空気の混合の不均一を引き起こし、不均一な燃焼温度を生じる可能性がある。補修可能燃料ノズル100の本発明の1つの態様では、円周方向に不均一な流れが流入することによる悪影響は、円周方向に隣接するベーンとは異なる幾何学形状を有するスワーラベーン208を有することによって最小限にすることができる。カスタマイズされたスワーラベーン208の幾何学形状は、公知の流体流分析法に基づいてハブ205上の各円周方向場所に対して選択することができる。異なる円周方向場所に位置付けられたベーン208に対して異なる幾何学形状を有するスワーラは、単体構造を有し、本明細書で記載された製造方法を用いて作ることができる。
【0025】
図2及び14は、本発明の例示的な実施形態による例示的なベンチュリ500を示す。例示的なベンチュリ500は、空気及び燃料の一部分が混合される混合キャビティ550を形成するノズル先端軸11の周囲に環状のベンチュリ壁502を備える。環状ベンチュリ壁は、軸方向及び円周方向にあらゆる好適な形状を有することができる。軸方向前方方向の空気/燃料混合物の膨張を可能にする円錐形(例えば、図14に示すような)が好ましい。ベンチュリ壁502は、ノズル先端組立体68の組立中にろう付け材料を受け取ることを可能にする半径方向外側部上に位置付けられた少なくとも1つの溝504(図18参照)を有する。図18に示す例示的な実施形態では、軸方向前方端部付近の一方の溝564と、軸方向前方端部と軸方向後方端部との間の中間場所付近の別の溝504の2つの環状溝504、564が示される。溝504は、従来の機械加工法を用いて形成することができる。代替として、溝504は、ベンチュリ壁502が、本明細書に記載されたように単体構造構成要素を製造する方法700(図3参照)などを用いて形成されるときに一体的に形成することができる。本発明の別の態様では、ベンチュリ500は、ベンチュリ壁502の軸方向後方端部に位置付けられたリップ518(或いは、本明細書ではドリップリップ518と呼ばれる)を含む。ドリップリップ518は、ベンチュリ壁502の内面503に沿って流れる液体燃料粒子が壁502から分離し、引き続き軸方向後方に流れるような幾何学形状(図18参照)を有する。
【0026】
図2及び14に示すように、ベンチュリ500の例示的な実施形態は、環状ベンチュリ壁502から半径方向内向きに位置付けられ、軸11の周りに同軸に位置付けられた環状スプリッタ壁532を有する環状スプリッタ530を含む。スプリッタ530の半径方向外面533及びベンチュリ壁502の半径方向内面503は、環状旋回空気通路534を形成する。スプリッタ壁532の前方部分は、例えば、燃料ノズル先端組立体68の組立中に図14にアイテム208として示すような隣接する構成要素とのベンチュリ500の接合を容易にする凹部(図14参照)を有する。
【0027】
図2及び14に示すベンチュリ500の例示的な実施形態は、スワーラ510を含む。スワーラ510は、本発明の他の代替の実施形態においてベンチュリ500の軸方向前方部分に位置付けられるように図14に示されるが、ベンチュリ500内の他の軸方向場所に位置付けてもよい。スワーラ510は、ベンチュリ壁502と環状スプリッタ530との間に半径方向内向きに延びる複数のベーン508を含む。複数のベーン508は、軸11の周囲に円周方向に配列される。
【0028】
図2及び14を参照すると、図示されるスワーラ510の例示的な実施形態では、各ベーン508は、スプリッタの付近に半径方向に位置付けられた根元部分と、ベンチュリ壁502の付近に半径方向に位置付けられた先端部分とを有する。各ベーン508は、根元部分と先端部分との間に延びる前縁及び後縁を有する。ベーン508は、例えば、前縁と後縁との間に翼形部形状のような好適な形状を有する。円周方向に隣接するベーン508は、スワーラ510に流入する空気(図2のアイテム190として示されるCDP空気など)を通過させるための流路を形成する。ベーン508は、軸11に対して半径方向及び軸方向の両方に傾斜し、スワーラ510に入る流入空気190に対して運動の回転成分を与えることができる。これらの傾斜したベーン508は、ベーン500内でほぼ螺旋状に空気190を旋回させる。本発明の1つの態様では、ベーン508は、ベーンの根元部分とスプリッタ壁との間に延びるフィレットを有する。フィレットは、スワーラ内で及び旋回空気の通過において滑らかな空気の流れを促進する。フィレットは、スワーラにおいて滑らかな空気の流れを促進するように設計された滑らかな輪郭形状を有する。特定のベーン508に対する輪郭形状及び配向は、流体流分析の公知の方法を用いて設計される。好適なフィレット輪郭を有するフィレットはまた、ベーンの先端部分とベンチュリ壁502との間に用いることができる。本明細書で図2及び14に示すベンチュリ500の例示的な実施形態では、ベーン508は、根元部分及び先端部分の両方の付近で支持される。一部の代替のベンチュリ設計では、カンチレバー型の支持体を有するベーンを含むスワーラを有することも可能であり、ここでベーンは、基本的に他方の端部が無く、一方の端部のみで構造的に支持される。ベンチュリ500は、例えば、CoCr、HS188、N2及びN5のようなニッケル又はコバルト基超合金など、高温環境下で作動できる公知の材料から製造することができる。
【0029】
ベンチュリ500は、補修可能燃料ノズル100における燃料/空気混合物の点火による火炎及び熱から、燃料ノズル先端組立体68(図2及び14参照)におけるベンチュリ及び他の構成要素を保護するための熱シールド540を含む。図2及び14に示す例示的な熱シールド540は、軸11の周囲に環状形状を有し、ベンチュリ500の軸方向後方端部519付近でスワーラ510から軸方向後方に位置付けられる。熱シールド540は、スワーラ軸11から半径方向外向きに延びる環状壁542を有する。環状壁542は、補修可能燃料ノズル100におけるベンチュリ500及び他の構成要素を2500°Fから4000°Fの範囲の温度を有する燃料/空気混合物の点火による火炎及び熱から保護する。熱シールド540は、高温に耐えることができる好適な材料から作られる。例えば、CoCr、HS188、N2及びN5のような材料を用いることができる。本明細書に示す例示的な実施形態では、熱シールド540は、CoCr材料から作られ、0.030インチから0.060インチの厚さを有する。本発明の他の実施形態では、熱シールド540は、ベンチュリ壁502又はスワーラ510のようなベンチュリの他の部分とは異なる材料から製造することができる。
【0030】
図2、14及び18に示す例示的なベンチュリ500は、熱シールド540の冷却を強化してその作動温度を低下させる特定の設計特徴を有する。例示的なベンチュリ500は、ベンチュリ壁502と熱シールド540との間に延びる少なくとも1つのスロット544を含む。図2及び14に示すベンチュリ500の好ましい例示的な実施形態は、ベンチュリ壁502と熱シールド540との間に延びる複数のスロット544を含み、ここでスロット544は、スワーラ軸11の周囲に円周方向に配列される。スロット544は、燃料導管とベンチュリ壁502(図14参照)との間のキャビティを貫流する空気を冷却するための出口通路を設ける。各スロット544の軸方向に配向された部分に流入する冷却空気は、スロット544の半径方向に配向された部分に再配向され、ほぼ半径方向でスロット544から熱シールドの環状壁542の側面上に出る。本発明の別の態様では、例示的なベンチュリ500は、熱シールド540上に位置付けられて、軸11の周囲の熱シールド壁542の軸方向前方側面上に円周方向に配列された複数のバンプ546を含む。これらのバンプ546は、付加的な熱伝達区域を提供し、熱シールド540からこれに配向された冷却空気への熱伝達を増大させ、これによって熱シールド540の作動温度を低下させる。図14に示す例示的な実施形態では、バンプ546は、4つの円周方向列に配列され、各列は100から120のバンプを有する。
【0031】
図2及び14を参照すると、ベンチュリ500のスワーラ510に流入する空気流190の一部分は、場合によっては、ベーン508間の通路に入るときに円周方向に均一でなくてもよい点は当業者には明らかである。この不均一性は、例えば、壁260(図14参照)のような他の特徴が存在することによって更に強化される。従来のベンチュリでは、流れのこのような不均一性は、ベンチュリの燃料及び空気の混合に不均一さを引き起こし、不均一な燃焼温度を招く可能性がある。本発明の1つの態様では、円周方向に不均一な流れが流入する悪影響は、円周方向に隣接するベーンのものとは異なる幾何学形状を有する一部のスワーラベーン508を含むスワーラ510を有することによって最小限にすることができる。カスタマイズされたスワーラベーン508の幾何学形状は、公知の流体流分析法に基づいて各円周方向場所に対して選択することができる。異なる円周方向場所に位置付けられたベーン508に対して異なる幾何学形状を備えたスワーラを有するベンチュリ500は単体構造を有し、本明細書で記載された製造方法を用いて作ることができる。
【0032】
本明細書に示す補修可能燃料ノズル100の例示的な実施形態は、環状中央本体450を含む。中央本体450は、図14に示すような補修可能燃料ノズル100の組立条件において、分配器300の前方部分を囲み且つ空気流のための環状通路462を形成する環状外壁461を含む。燃料ノズル100を冷却するための給送空気流は、中央本体外壁461と分配器300との間の空気流路412に入り、燃料ポスト165を通過して流れ、分配器300、中央本体450及び燃料オリフィス並びに燃料ポスト165の冷却を促進する。外壁461は、燃料ポスト165の円周方向列を成したオリフィスに対応して、円周方向に配列された複数の開口463を有する。燃料ポスト165から排出された燃料は、開口463を通って燃料ノズル100から出る。例示的な燃料ノズル100では、燃料パージ増強のために中央本体450の壁461の外側側面上の主燃料噴射部位にある開口463付近にスカーフが設けられる。図14に示すような一部の実施形態では、外壁461の内径と燃料ポスト165の外側端との間に小さなギャップ464を有することが可能である。図14に示す例示的な実施形態では、このギャップは、約0.000インチから約0.010インチに及ぶ。
【0033】
図2及び14に示す例示的な実施形態では、中央本体壁461は、開口456の1つ又はそれよりも多い円周方向列を介して補修可能燃料ノズル100に流入する給送空気流の一部を通過する多孔冷却システムによって冷却される。中央本体の多孔冷却システムは、典型的には、開口456の1つから4つの列を用いることができる。開口456は、実質的に一定の直径を有することができる。代替として、開口456は、可変の断面積を有するディフューザ開口とすることができる。図14に示す例示的な実施形態では、中央本体450は、開口456の3つの円周方向列を有し、各列は、60から80の開口を有し、各開口は、約.020インチから0.030インチまで変化する直径を有する。図14に示すように、開口456は、中央本体外壁461内に軸方向、半径方向及び接線方向の複雑な向きを有することができる。熱シールド540のような補修可能燃料ノズル100の他の部品に冷却空気流を配向するために、中央本体壁461において円周方向に配列された冷却孔457の付加的な列が設けられる。図2及び14に示す例示的な実施形態では、補修可能燃料ノズル100は、ベンチュリ540の一方の端部に位置付けられた環状熱シールド540を含む。熱シールド540は、燃焼器において燃焼中に形成された火炎から補修可能燃料ノズル100構成要素を遮蔽する。熱シールド540は、図14に示すような軸方向の配向を有し、冷却空気を熱シールド540に衝突するように配向する孔457の1つ又はそれよりも多い円周方向列によって冷却される。本明細書に記載された例示的な燃料ノズル100では、孔457は、典型的には50から70の孔を有する円周方向に列を成して配列された少なくとも0.020インチの直径を有し、孔サイズは、好ましくは約0.026インチから約0.030インチの間である。中央本体450は、例えば、CoCr、HS188、N2及びN5のようなニッケル又はコバルト基超合金など、高温環境下で作動することができる公知の材料から製造することができる。中央本体450内の冷却孔456、457、開口463及びスカーフ452、454は、公知の製造法を用いて作ることができる。代替として、中央本体のこれらの特徴は、好ましくは、図3に図示し本明細書に記載されるDMLS法など、本明細書に記載された単体構造構成要素の製造法を用いて一体的に作ることができる。本発明の別の実施形態では、図14に示すアイテム540に類似した熱シールドは、DMLS法を用いて中央本体450を備えた単体構造を有するように一体的に作ることができる。本発明の別の実施形態では、中央本体450、ベンチュリ500、及び図14に示すアイテム540と類似した熱シールドは、DMLS法を用いて単体構造を有するように一体的に作ることができる。
【0034】
本明細書に記載された補修可能燃料ノズル100の例示的な実施形態は、例えば、単体構造導管80/分配器300、単体スワーラ200、単体ベンチュリ500及び単体中央本体450のような一部の単体構造構成要素を含むことができる。燃料ノズル100に用いるこのような単体構造構成要素は、直接金属レーザ焼結(DMLS)、レーザネットシェイプ製造(LNSM)、電子ビーム焼結、及び他の公知の製造プロセスなど、迅速製造プロセスを用いて作ることができる。DMLSは、例えば、本明細書に記載された単体構造導管80/分配器300、単体スワーラ200、単体ベンチュリ500、及び単体中央本体450など、補修可能燃料ノズル100に用いる単体構造構成要素を製造する好ましい方法である。
【0035】
図3は、例えば、図2及び14にアイテム80、200、300、450及び500として図示され、本明細書で記載されるような補修可能燃料ノズル100用の単体構造要素の製造方法700の例示的な実施形態を示すフローチャートである。製造方法700は、例証として単体構造構成要素80、200、300、450及び500を用いて以下で説明されるが、この方法、段階、手順、その他は、これらの構成要素の別の例示的な実施形態にも適用される。方法700は、例えば、直接金属レーザ焼結(DMLS)を用いてベンチュリ500のような補修可能燃料ノズル100で用いる単体構造構成要素を製作する段階を含む。DMLSは、構成要素の3次元情報(例えば、3次元コンピュータモデル)を用いて金属構成要素を製作する公知の製造プロセスである。3次元情報は、複数のスライスに変換され、各スライスは、スライスの所定の高さに対して構成要素の断面を定める。次に、構成要素は、仕上げまでスライス毎又は層毎に「積層」される。構成要素の各層は、レーザを用いて金属粉体を融合することによって形成される。
【0036】
従って、方法700は、補修可能燃料ノズル100の特定の単体構造構成要素80、200、300、450、500の3次元情報を決定する段階705と、3次元情報を、単体構造構成要素の断面層を各々定める複数のスライスに変換する段階710とを含む。次に、段階715において、単体構造構成要素80、200、300、450、500は、DMLSを用いて製作され、すなわち、より具体的には、各層は、レーザエネルギーを用いて金属粉体を融合することによって連続的に形成される。各層は、約0.0005インチから約0.001インチのサイズを有する。単体構造構成要素80、200、300、450、500は、あらゆる好適なレーザ焼結機を用いて製作することができる。好適なレーザ焼結機の例としては、以下に限定されるものではないが、米国ミシガン州Novi所在のNorth America,IncのEOSから入手可能な、EOSINT.RTM.M270DMLS機、PHENIX PM250機、及び/又はEOSINT.RTM.M250 Xtended DMLS機が挙げられる。単体構造構成要素80、200、300、450、500を製作するのに用いる金属粉体は、好ましくは、コバルトクロムを含む粉体であるが、HS188及びINCO625(これに限定されるものではない)などのあらゆる他の好適な金属粉体とすることができる。金属粉体は、約10ミクロンから74ミクロン、好ましくは約15ミクロンから約30ミクロンの粒径を有することができる。
【0037】
燃料ノズル100の単体構造構成要素80、200、300、450、500を製造する方法は、本明細書では好ましい方法としてDMLSを用いて記載されているが、製造上の当業者であれば、層毎構造又は追加製作を用いたあらゆる他の好適な迅速製造方法も使用できる点を認識するであろう。これらの代替の迅速製造方法は、以下に限定されるものではないが、選択レーザ焼結(SLS)、インクジェット及びレーザジェットなどによる3D印刷、ステレオリソグラフィー(SLA)、直接選択レーザ焼結(DSLS)、電子ビーム焼結(EBS)、電子ビーム溶融(EBM)、レーザ技術によるネットシェイピング(LENS)、レーザネットシェイプ製造(LNSM)及び直接金属蒸着(DMD)を含む。
【0038】
本発明の別の態様は、本明細書で上述したような複雑な幾何学形状の特徴を備えた構成要素を有する補修可能燃料ノズル100の組立又は再組立の簡単な方法を含む。本明細書に記載されたような燃料ノズル100における単体構造構成要素の使用は、従来のノズルよりも少ない数の構成要素及び少ない数の継手を有する補修可能燃料ノズル100の組立体を可能にしている。例えば、本明細書に示す補修可能燃料ノズル100の例示的な実施形態では、燃料ノズル先端68は、補修後の9つのろう付け継手及び2つの溶接継手のみを備えるが、一部の公知の従来のノズルは、22のろう付け継手及び3つの溶接継手を有する。
【0039】
本発明による燃料ノズルを補修する例示的な方法850は、図4に示されており、関連の段階が以下に詳細に説明される。図4に示す補修の例示的な方法850を用いて、本明細書で上述した例示的な補修可能燃料ノズル100を補修することができる。
【0040】
図4を参照すると、段階852において、第1の段階は、燃料ノズル先端組立体68の内部へのアクセスを開放することである。例示的な補修可能ノズル100では、ノズル先端組立体68は、ステム83(図1及び2参照)に結合される。ノズル先端組立体へのアクセスは、ステム83を通じた機械加工によって可能にすることができる。本明細書に示す補修可能ノズル100の例示的な実施形態では、ステム83は、例えば、溶接又はろう付けなどによって結合されるカバープレート802を有する。溶接プレート802は、燃料ノズル先端軸11(図1及び2参照)の周囲に位置付けられ、溶接プレートを取り除くことによってノズル先端軸11付近の分配器300の一部分にアクセスできるようになる。カバープレートを取り除く好ましい方法は、図5に示すように、ドリルツール812を用いてノズル先端軸11に沿った穿孔方向813に沿って穿孔することによるものである。
【0041】
段階854において、一次オリフィス及びその関連構成要素(例えば、一次燃料スワーラ603など)は燃料ノズル100から取り除かれる。二次オリフィス809及びその関連構成要素(存在する場合)もまたこの段階で取り除くことができる。これらの構成要素を取り除く好ましい方法は、図5に示すように燃料ノズル先端軸11に沿ってドリル812を用いた穿孔によるものである。
【0042】
段階856において、予成形ろう付けワイヤ602が、図6に示すように一次燃料スワーラ603内のろう付け溝601に挿入される。ろう付けワイヤ材料は、AMS4786(金ニッケル合金)のような公知のろう付け材料とすることができる。図6では、例示的なろう付けワイヤ602は円形断面を有する。ろう付けワイヤ602の他の好適な断面形状及びろう付け溝601の対応する形状を用いることができる。
【0043】
段階858において、一次燃料スワーラ603が、例えば圧入などによって図7に示すように一次オリフィス606内に据え付けられる。
【0044】
段階860において、一次燃料スワーラ603及び一次オリフィス606が共にろう付けされて、図7に示すように新しい一次パイロット組立体807を形成する。ろう付けは、公知の方法を用いて実施される。1840°Fから1960°Fのろう付け温度を用いることができる。1950°Fの温度のろう付けが好ましい。
【0045】
段階862において、新しい一次パイロット組立体807が、二次オリフィス809に挿入される。二次オリフィス809は、一次オリフィス606と実質的に同軸である円筒壁840を含む。図8−10に示す例示的な実施形態では、一次オリフィス606及び二次オリフィス809は、本明細書に記載されるように組み立てられたときに、内側パイロット流路169及び環状外側パイロット流路168を形成する。二次オリフィス809は、図10に示すように新しい一次パイロット組立体807において新しい一次パイロット組立体807の位置付けを容易にする、円筒壁840の内部側面上に位置付けられた階段部803を有する。或いは、他の好適な幾何学的特徴をこの目的のために用いることができる。加えて、二次オリフィス809は、図10−14に示すようにノズル先端組立体68において新しいパイロット組立体808の位置付けを容易にする、円筒壁840の外側部上に位置付けられた階段部804を有する。代替として、他の好適な幾何学的特徴をこの目的のために用いることができる。
【0046】
任意選択の段階864において、新しいパイロット組立体808に対する燃料流量チェックが実施され、パイロット燃料流れ回路、内側パイロット流路169及び環状外側パイロット流路168における燃料流量パターンをチェックする。例示的な配置が図8に示され、内側パイロット流路169及び環状外側パイロット流路168と流れ連通した一次パイロット流れ回路608及び二次パイロット流れ回路609を示す。例えば、図8にアイテム604として示すような当該技術分野で公知の好適な試験装置は、任意選択の流量チェック段階864中に用いることができる。例えば、図8に示すOリング616などを用いる公知のシール方法は、任意選択の流量チェック段階864中に燃料漏れを阻止するのに用いることができる。流量チェックが完了した後、パイロット組立体808は、試験装置604から取り除かれる。
【0047】
任意選択の段階866において、例えば図9に示すように、一次パイロット組立体807におけるろう付け継手の非破壊検査が実施される。公知の技術を用いるX線検査は、ろう付け継手を検査するのに好ましい。公知のX線源611からのX線610を用いることができる。
【0048】
段階868において、図10に示すように、予成形ろう付けワイヤ805が二次オリフィス809のろう付け溝806に挿入される。ろう付けワイヤ材料は、AMS4786(金ニッケル合金)のような公知のろう付け材料とすることができる。図10では、例示的なろう付けワイヤ805は円形断面を有する。ろう付けワイヤ805の他の好適な断面形状、及びろう付け溝806の対応する形状を用いることができる。
【0049】
段階870において、ろう付けワイヤ805を備えたパイロット組立体808を含む段階868からの新しい部分組立体は、図11に示すようにノズルの補修穴801に据え付けられる。パイロット組立体は、ろう付けワイヤ805が分配器リング本体301と接触状態にあるように据え付けられる。例えば、図11に示すような好適な配置装置811を用いて、ノズル先端軸11と実質的に同軸であるようにパイロット組立体808を位置付ける。二次オリフィス809の壁840上の階段部804のような位置付け特徴部を用いて、ノズル先端68(図11参照)における他の構成要素に対してパイロット組立体808を位置付ける。
【0050】
段階872において、一次アダプタ820が供給される。一次アダプタ820は、分配器300の燃料流路から燃料流を受け取って、その燃料流をパイロット燃料噴射装置及びオリフィスに配向する構成要素である。一次アダプタ820の例示的な実施形態は、図12に示される。一次アダプタは、入口821及び出口823を備えた流路822を有する本体を含む。図12に示す例示的な実施形態では、出口823は、一次アダプタ820の前端824に位置付けられる。一部の応用において、一次アダプタ825は、一次アダプタ820が燃料ノズル100内に据え付けられたときに該一次アダプタ820が流路を形成できるようにする、例えば、図12のアイテム826及び827として示す特徴部を有することができる。例示的な一次アダプタ820は、組立中にろう付けワイヤを受け取ることができるろう付け溝を有する。図12に示す例示的な一次アダプタ820では、ろう付け溝836は、前端824付近に位置付けられ、ろう付け溝832及び834は、本体に位置付けられる。1つの実施形態827は、組立中に一次アダプタ820を軸方向に位置付けるために前端824付近に位置付けられる。一次アダプタは、公知の材料並びにフライス加工及び穿孔などの方法を用いて製造することができる。図12に示す例示的な一次アダプタ820は、商業的に入手可能なHast X材料から作られ、従来的に機械加工される。他の応用において、本体825の内部の流路及び一次アダプタの外部の特徴部は、複雑な幾何学的特徴を有する場合がある。これらの応用では、一次アダプタ820の代替の実施形態を用いることができ、一次アダプタは、例えば、DMLS(図3参照)のような本明細書に記載された迅速製造技術を用いて作られる。図14を参照すると、ノズル先端68の補修及び再組立が本明細書に記載されたように完了すると、流路822は、入口821にある分配器300内の一次パイロット流路102から受け取った燃料を供給して、その燃料流を内側パイロット流路169に配向する。図14に示すように、本体825の一部分826は、二次パイロット通路828の一部分を形成する。この部分828は、分配器300内の二次パイロット流路104から燃料流を受け取り、その燃料流を外側パイロット流路168に配向する。一次アダプタ820は、2つのパイロット流噴射装置(一次パイロット噴射装置163及び二次パイロット噴射装置167)を有する燃料ノズル100との関連において本明細書に記載されている(図14参照)が、本発明はこのように限定されない。当業者であれば、本明細書で開示される発明が、1つのパイロット噴射装置のみを有する代替の燃料ノズル、及び2つよりも多くの燃料噴射装置を有する燃料ノズルを包含することは理解するであろう。
【0051】
段階874において、予成形ろう付けワイヤは、一次アダプタ820のろう付け溝に挿入される。図12に示すように、予成形ろう付けワイヤ835はろう付け溝836に挿入され、予成形ろう付けワイヤ831はろう付け溝832に挿入され、予成形ろう付けワイヤ833はろう付け溝834に挿入される。ろう付けワイヤ材料は、AMS4786(金ニッケル合金)のような公知のろう付け材料とすることができる。図12では、例示的なろう付けワイヤ831、833、835は円形断面を有する。代替として、ろう付けワイヤ831、833、835の他の好適な断面形状、及びろう付け溝832、834、836の対応する形状を用いることができる。
【0052】
段階876において、一次アダプタ820は、図13に示すように補修穴801に挿入される。一次アダプタ820の前端824は、パイロット組立体808に嵌合する。一次アダプタ820のろう付け溝836内のろう付けワイヤ835は、二次オリフィス809壁と接触状態にある。一次アダプタ820の出口823付近の流路822は、ノズル軸11と実質的に同軸である。一次アダプタ820のろう付け溝832、834、836内のろう付けワイヤ831、833、835は、図13に示すように分配器300壁と接触状態にある。
【0053】
段階878において、ろう付けワイヤ831、833、835を有する図13に示すような段階876からの組立体がろう付けされる。ろう付けは、公知の方法を用いて実施される。1800°Fから1860°Fのろう付け温度を用いることができる。1850°Fの温度におけるろう付けが好ましい。
【0054】
任意選択の段階880において、段階878(図13参照)において形成されたろう付け継手の非破壊検査が実施される。ろう付け継手を検査するのに公知の技術を用いたX線検査が好ましい。
【0055】
段階882において、カバープレート802は、図14に示すように段階880から得られた組立体に溶接され、ステム83内の軸方向アクセス穴がシールされるようになる。公知の溶接方法をこの目的のために用いることができる。好ましい溶接方法は、HS188溶接ワイヤを用いたTIG溶接である。
【0056】
別の態様において、本発明は、補修可能燃料ノズル100から構成要素を分解する必要なく、損傷を受けた構成要素の補修に用いる補修方法を提供することによって、補修可能燃料ノズル組立体内の複雑な構成要素を補修するのに用いるための補修方法を開示する。
【0057】
燃料ノズル内の損傷を受けた構成要素を補修する方法の例示的な実施形態において、LSNMは、損傷を受けた部品の補修で用いられている。粉体は、ツールパスに沿って部品上に付加されて融合され、堆積材料のビードを生成する。堆積材料のビードは、互いに隣接し重なり合って形成されて堆積材料の層を形成し、次いで、部品が補修されるまで複数の層が互いに積み重ねられる。或いは、材料の層は、材料の単一ビードを利用して形成することができ、その結果、部品が補修されるまで複数の層が互いに積み重ねられる。
【0058】
レーザネットシェイプ製造(LNSM)法では、補修すべき構成要素の寸法及び幾何学形状は、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)システムなどによりモデル化され、これらの表現から、LNSMシステムを駆動するための公知の方法を用いてツールパスが生成される。
【0059】
例えば、本明細書に記載されたベンチュリ500熱シールド540のような補修すべき部品のCADモデルは、図面からベンチュリ/熱シールドの形状を数値的に特徴付けることによって生成される。部品の形状が数値的に特徴付けられると、コンピュータは、蓄積された材料の所望の方向に沿った一連の均一なスライスを生成し、各スライスに対して中間軸又はスピン(以下中間軸と呼ぶ)を決定する。熱シールド540の所望の幾何学形状を再構築するためには、スライスに1つよりも多い材料のパスを適用することが必要になる。ツールパスは、スライス毎の蓄積によってビードに基づいた公知の方法(例えば、米国特許公開第2008/0314878A1号及び2008/0182017号に記載されたような)を用いて決定され、スライス毎の蓄積を完了する。或いは、蓄積された材料の所望の方向に沿って一連の不均一なスライスを作ることができ、コンピュータは、各スライスに対して中間軸又はスピンを決定する。堆積材料の隣接するビードは、決定された範囲に重なり合い、均一な層を形成することができる。隣接するビードは、約10%から約90%の間重なることができる。
【0060】
次に、堆積ヘッド又は同等に部品の運動は、命令パターンを作成する公知の数値制御コンピュータプログラムを用いてプログラミングされ、均一又は適応する厚みのスライス内で決定された中間軸パスに沿って材料を堆積する。材料を堆積するのに用いられる実際のレーザ堆積パラメータは、公知の方法を用いて事前実験を通じて決定されている。レーザ出力及びツールパス速度のようなプロセスパラメータは、スライス断面の厚さに応じてツールパスの長さに沿って変化する。ビード幅は、レーザ出力の増大及び堆積速度の低下によって変わる可能性がある。典型的には、レーザ出力は、層断面がより厚い場所で増大し、層のより薄い断面に近づくほど減少する。
【0061】
図15は、ノズル組立体から取り除かれた、例示的な損傷を受けたベンチュリ909を示す。損傷を受けたベンチュリ909は、エンジンの燃焼器のような燃焼環境下で作動中に高温に曝露されることによる損傷区域910を有する。補修可能ノズル組立体100における上述のベンチュリ500は、ある時間期間にわたって高温環境に曝露されたときに、図15に示す損傷を受けたベンチュリ909のように見える可能性がある。本明細書で上述したように、熱シールド540は、燃料ノズル100構成要素を高温火炎から遮蔽する。燃焼環境下の高温腐食及び浸食により生じる損傷は、熱シールド壁542の厚みを減少させる。本明細書に記載された補修の例示的な方法は、熱シールド壁542を蓄積して、ベンチュリ500の幾何学形状と実質的に同じ幾何学形状を復元させることによって、損傷を受けたベンチュリ(例えば図15に示すような)を補修する。本明細書に記載された補修方法を用いて、図15に示すアイテム909のような個々の構成要素を補修することができるが、これらは、補修可能ノズル組立体100から構成要素を分解する必要もなく、ノズル組立体100内の損傷を受けた構成要素(熱シールド540のような)を補修するのに特に有用である。
【0062】
図16は、補修方法920の本発明の例示的な実施形態を示す。ベンチュリ500内の熱シールド540などの燃料ノズル構成要素の補修において、損傷を受けた区域910又はセクションを補修するために材料が堆積される。段階922では、損傷を受けた構成要素909の一部分が取り除かれる。直近の残りの損傷を受けていない区域又はセクションに対応する熱シールド損傷面910上に滑らかで連続的な表面を研磨し、その後、本明細書で以下に記載されるように熱シールド540が補修されるまで表面上に材料を堆積することが必要な場合がある。図17は、ベンチュリ909と、従来の機械加工を用いてカットライン916に沿って切り離された部分912とを示す。ベンチュリ500は、明確にするために図17、18及び19において個々の構成要素として示されているが、図16に示す例示的な段階920は、補修可能燃料ノズル100から構成要素を分解することなく実施できる点に留意されたい。
【0063】
場合によっては、ベンチュリ/熱シールドに対する損傷は、平坦でない不規則な形状の損傷形態である。補修のためにベンチュリ/熱シールドを前処理するために、損傷を受けた区域は、損傷に近接した区域の材料を機械加工により除去して滑らかで連続的な表面を形成することによって前処理することができる。これは、カットライン916を示す図17に示される。機械加工による損傷除去は、好ましくは、所定の滑らかな表面を形成するようプログラムされた多軸数値制御フライス盤において自動的に実施される。段階924では、機械加工区域は、例えばバリの除去などのために更に機械加工される。段階926では、補修領域は、必要に応じて水性洗浄剤及び/又は溶剤によって更に処理し乾燥させることができる。段階928では、材料の制御された堆積を用いて基板960上に材料(図18参照)を蓄積して補修部品を形成することによって、構成要素909上で補修が実施される。図18では、材料は軸方向に蓄積される。半径方向の材料蓄積を利用した代替の補修方法が図19に示される。
【0064】
本明細書に記載された方法を用いたベンチュリ/熱シールドの補修において、送給粉体953の組成は、部品全体にわたって一定に維持することができる。或いは、送給粉体953の組成は、何れかのビード内又は連続ビードの間で意図的に変更し、物品の制御可能な組成物変型形態を生成することができる。例えば、熱シールドにおいて、曝露面付近に強い耐熱組成物を用いることができる。
【0065】
本発明の手法を用いて様々な材料を堆積することができる。例えば、ニッケル及びニッケル合金、コバルト及びコバルト合金、並びに鉄及び鉄合金を含む金属及び金属合金、Ni基、Co基、及びFe基超合金を含む超合金、セラミックス、並びにサーメットを堆積することができる。堆積材料は、単一材料又は異なる材料の混合物とすることができる。同様に、堆積金属は、材料のビードが異なる材料又は1つよりも多くの材料から形成されるように、堆積中に変更又は変化させることができる。公知のコンピュータ数値制御(CNC)法を補修プロセスに用いて、速度を制御し、レーザを起動/停止し、レーザ出力及び粉体流を指定することができる。プロセスを制御する一部のパラメータは、限定ではないが、レーザ出力、ツール速度、粉体送給速度、及びオーバーラップ比を含む、部品の処理中に動的に変化させることができる。
【0066】
図18及び19には、レーザネットシェイプ製造(LNSM)堆積が概略的に示される。図18及び19に示すように、粉体供給装置(図示せず)は、基板960への堆積のために粉体ノズル952を熱シールド540に給送する。レーザ950は、基板表面960上に給送されたときに粉体を溶融して基板表面を溶融させ、レーザ4950が粉体及び基板960表面に配向される場所の近傍に溶融プールを生成する。堆積システム965及び基板960は、相対的に移動され、溶融プールが冷却すると固体堆積材料の層を形成する。
【0067】
レーザ950が基板960に沿って取る経路はツールパスと呼ばれる。堆積材料は材料のビードと呼ばれる。ツールパスに沿った堆積材料の幅はビード幅と呼ばれる。形成された溶融プールは、レーザ950が基板960に沿って移動すると冷却し凝固する。1つよりも多くの送給粉体を用いて堆積材料を形成することができ、この例証では、凝固堆積材料を生じさせる第2の粉体ノズル952が示されている。レーザ950は、送給粉体及び基板960の表面の両方を溶融することによって、強く結合された堆積材料を形成する。
【0068】
堆積材料の第1のビードが完成すると、ノズル952及びレーザ950は、基板960に対して位置決めされて移動され、堆積材料の隣接する第2のビードが第1のビードの側面に沿って堆積できるようになり、第2のビードの幅は第1のビードの幅と重なり合う。このプロセスは、堆積材料の層が形成されるまで繰り返される。
【0069】
タービンエンジン(図1、12、14参照)の補修可能燃料ノズル100及び補修方法850(図4参照)は、公知の燃料ノズル及び補修方法よりも少ない構成要素及び継手を備える。具体的には、上述の補修可能燃料ノズル100は、例えば、一次アダプタ820及びパイロット組立体808のような構成要素及び組立体、並びに補修可能燃料ノズル100においてこれらを結合する開示方法を利用することに起因して、必要な構成要素がより少なくなる。本明細書に開示されるように、補修可能燃料ノズル100から取り除くことなく補修可能な補修可能熱シールドを有する補修可能単体構造ベンチュリ500は、有意なコスト削減を可能にする。結果として、記載された補修可能燃料ノズル100は、公知の燃料ノズルに対してより軽量で低コストの代替形態を提供する。更に、燃料ノズル100構成要素の少なくとも一部について記載された単体構造、並びに組立及び補修方法805は、漏出又は故障の可能性をより低減し、公知の燃料ノズルと比較してより容易に補修可能である。
【0070】
本明細書で用いられる場合、前に数詞のない要素又はステップの表現は、そうではないことを明確に述べていない限り複数のそのような要素又はステップの存在を排除するものではないと理解されたい。ノズル100の要素/構成要素/ステップ、その他、並びに本明細書で記載され及び/又は図示されたその構成要素を導入する際に、数詞が無い場合は、要素/構成要素/その他の1つ又はそれ以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0071】
本明細書に記載された製造方法700及び補修方法805のような方法、並びに一次アダプタ820、パイロット組立体808、単体構造ベンチュリ500のような物品は、タービンエンジンの燃料ノズルにおいて液体燃料を空気と混合するための空気の旋回との関連で説明されているが、本明細書に記載された構成要素、製造方法並びに補修及び組立方法は、燃料ノズル又はタービンエンジンに限定されないことは理解される。本明細書に含まれる図に示された製造方法700、補修方法805、及び補修可能燃料ノズル100並びにその構成要素(例えば、ベンチュリ500のような)は、本明細書に記載された具体的な実施形態に限定されず、むしろ、これらは本明細書に記載された他の構成要素とは独立して別個に利用することができる。
【0072】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、本発明を当業者が実施及び利用することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0073】
11 ノズル先端軸
102 一次パイロット流路
104 二次パイロット流路
105 通路、流路
167 二次燃料噴射装置
200 スワーラ
250 アダプタ
300 分配器
301 分配器リング本体
450 中央本体
456、463 開口
500 ベンチュリ
518 リップ
519 軸方向後方端部
542 環状壁、熱シールド壁
603 一次燃料スワーラ
606 一次オリフィス
801 補修穴
808 パイロット組立体
809 二次オリフィス
811 配置装置
820 一次アダプタ
821 入口
822 流路
823 出口
824 前端
826 本体の一部分
828 通路
833、835 ろう付けワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ノズル(100)を補修する方法であって、
燃料ノズル組立体(100)から取り外すこと無く、補修のため損傷を受けた構成部品(909)を準備する段階と、
熱エネルギーを基板(960)に向けて配向する段階と、
粉体材料(953)のストリームを分配器(952)から配向する段階と、
前記基板(960)上に粉体材料を堆積する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記熱エネルギーを配向する段階が、レーザ源からのエネルギーを用いることを含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項3】
前記熱エネルギーを配向する段階が、プラズマからのエネルギーを用いることを含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項4】
前記基板(960)上に粉体材料を堆積する段階が、レーザクラッディングする段階を含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項5】
前記基板(960)上に粉体材料を堆積する段階が、レーザネットシェイプ製造する段階を含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項6】
前記粉体材料(953)のストリームを配向する段階が、複数の分配器(952)から粉体材料(953)を分配する段階を含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項7】
前記熱エネルギーを配向する段階が、複数の発生源からの熱エネルギーを使用することを含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項8】
前記損傷を受けた構成部品(909)を準備する段階が、前記損傷を受けた構成部品(909)の一部を切除する段階を含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項9】
非損傷状態の前記損傷を構成部品(909)の幾何形状をデジタル処理でモデル化する段階を更に含む、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項10】
前記損傷を受けた構成部品(909)が、熱シールド(540)である、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項11】
前記損傷を受けた構成部品(909)が、ベンチュリ(500)である、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項12】
前記粉体材料が、前記損傷を受けた構成部品(909)と実質的に同じ組成を有する、
請求項1に記載の補修方法。
【請求項13】
燃料ノズル組立体(100)において熱シールド(540)を補修する方法であって、
前記燃料ノズル組立体(100)から取り外すこと無く、補修のため熱シールド(540)を準備する段階と、
前記熱シールド(540)の基板(960)に向けて熱エネルギーを配向する段階と、
粉体材料(953)のストリームを分配器(952)から配向する段階と、
前記粉体材料を前記基板(960)上に堆積する段階と、
を含む方法。
【請求項14】
前記熱シールド(540)を準備する段階が、前記熱シールド(540)の一部を除去する段階を含む、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項15】
前記粉体材料が、前記熱シールド(540)と実質的に同じ組成を有する、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項16】
前記熱シールド(540)が、前記燃料ノズル組立体(100)においてベンチュリ(500)の一部を形成する、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項17】
前記粉体材料を堆積する段階が、前記熱シールドの厚み蓄積方向が実質的に軸方向であるように実施される、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項18】
前記粉体材料を堆積する段階が、前記熱シールドの厚み蓄積方向が実質的に半径方向であるように実施される、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項19】
前記堆積材料が、金属、金属合金、及びセラミックを含むグループから選択される、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項20】
前記堆積材料が、1つよりも多い材料を含む、
請求項13に記載の補修方法。
【請求項21】
燃料ノズル組立体(100)においてベンチュリ(500)を補修する方法であって、
補修のためベンチュリ(500)を準備する段階と、
前記ベンチュリ(500)の損傷を受けた部分を除去する段階と、
前記ベンチュリ(500)の基板(960)に向けて熱エネルギーを配向する段階と、
粉体材料(953)のストリームを分配器(952)から配向する段階と、
前記粉体材料を前記基板(960)上に堆積する段階と、
を含む方法。
【請求項22】
前記堆積材料が、金属、金属合金、及びセラミックを含むグループから選択される、
請求項21に記載の補修方法。
【請求項23】
前記熱エネルギーを配向する段階が、レーザ源からのエネルギーを用いることを含む、
請求項21に記載の補修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−528075(P2011−528075A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504155(P2011−504155)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/039928
【国際公開番号】WO2009/126721
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】