説明

燃料フィルタ装置

【課題】ハウジング内の圧力が過剰に昇圧することを防止することが可能な燃料フィルタ装置を提供すること。
【解決手段】導入パイプ30内の通路および導入通路部121内の通路からなる燃料導入通路126に設けられた第1逆止弁70は、リリーフ弁として機能するリリーフ弁体91を備えており、第1逆止弁70よりも下流部126bの圧力が第1逆止弁70よりも上流部126aの圧力より所定圧以上高いときにリリーフ弁体91がリフトして開弁し、第1逆止弁70よりも下流部126bの燃料を第1逆止弁70よりも上流部126aに還流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の内燃機関に供給される燃料を濾過する燃料フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハウジング内に燃料を濾過する濾材を収容する濾材収容室と濾材収容室に燃料を導入するための燃料導入通路とが形成され、この燃料導入通路に、燃料導入通路を下流に向かう燃料流通を許容するとともに導入された燃料が上流に向かって逆流することを抑止する逆止弁を設けた燃料フィルタ装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−61384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の燃料フィルタ装置では、下流側の燃料流通経路の流通抵抗が増大したり燃料流通経路が閉塞したりすると、ハウジング内の逆止弁より下流部の圧力が過剰に昇圧し、ハウジングの変形等の不具合を発生する場合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、ハウジング内の圧力が過剰に昇圧することを防止することが可能な燃料フィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
濾材収容室と濾材収容室に燃料を導入する燃料導入通路とが内部に形成されたハウジングと、
燃料導入通路に設けられ、燃料が燃料導入通路を上流方向に逆流することを抑止する逆止弁と、を備える燃料フィルタ装置であって、
ハウジング内の逆止弁よりも下流部の圧力が逆止弁よりも上流部の圧力より所定圧以上高いときに開弁し、逆止弁よりも下流部の燃料を逆止弁よりも上流部に還流するリリーフ弁を具備することを特徴としている。
【0007】
これによると、ハウジング内の逆止弁よりも下流部の圧力が逆止弁よりも上流部の圧力より所定圧以上高いときには、リリーフ弁が開弁して逆止弁よりも下流部の燃料を上流部に還流することができる。したがって、ハウジング内の圧力が過剰に昇圧することを防止することが可能である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、
逆止弁は、逆止弁座に離着座して通路を開閉する逆止弁体を有し、
リリーフ弁は、リリーフ弁座に離着座して通路を開閉するリリーフ弁体を有しており、
逆止弁座およびリリーフ弁座の一方は、ハウジングに形成され、
逆止弁座およびリリーフ弁座の他方は、逆止弁体およびリリーフ弁体のうちハウジングに形成された弁座に離着座する弁体に形成されていることを特徴としている。
【0009】
これによると、逆止弁およびリリーフ弁を、燃料導入通路の同一箇所に配設することが可能である。したがって、燃料フィルタ装置の構造が複雑となり体格が増大することを抑制することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、リリーフ弁座をハウジングに形成し、逆止弁座をリリーフ弁体に形成することで、比較的容易に、逆止弁およびリリーフ弁を燃料導入通路の同一箇所に配設することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、リリーフ弁体の下流部側の面の外周側縁部にリリーフ弁座への着座領域が環状に形成されており、リリーフ弁体の着座領域より内側に貫通孔が形成されて、リリーフ弁体の下流部側の面における貫通孔の周縁部のうちリリーフ弁座への着座領域より内側に環状の逆止弁座が形成されていることを特徴としている。
【0012】
これによると、リリーフ弁体がリリーフ弁座に着座した際には、リリーフ弁体とリリーフ弁座との間に環状のシール部が形成でき、逆止弁体が逆止弁座に着座した際には、リリーフ弁体のリリーフ弁座への着座領域の内側で、逆止弁体と逆止弁座との間に環状のシール部を形成することができる。したがって、リリーフ弁体とリリーフ弁座との間のシール性が確保し易いとともに、逆止弁体と逆止弁座との間のシール性も確保し易い。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、リリーフ弁体は円盤状であることを特徴としている。これによると、リリーフ弁体は安定した開閉弁動作を行うことが可能であり、リリーフ弁の開弁圧力を安定させることが容易である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明では、逆止弁体は円盤状であることを特徴としている。これによると、逆止弁体は安定した開閉弁動作を行うことが可能であり、逆止弁の開弁圧力を安定させることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における燃料フィルタ装置1の概略構成を示す上面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】燃料フィルタ装置1の要部構成を示す断面図であり、逆止弁体71およびリリーフ弁体91が共に閉じた状態を示している。
【図4】逆止弁体71およびリリーフ弁体91を組み合わせた状態の上面図である。
【図5】燃料フィルタ装置1の要部構成を示す断面図であり、逆止弁体71が開きリリーフ弁体91が閉じた状態を示している。
【図6】燃料フィルタ装置1の要部構成を示す断面図であり、リリーフ弁体91が開いた状態を示している。
【図7】第2の実施形態における燃料フィルタ装置1の要部構成を示す断面図である。
【図8】第3の実施形態における燃料フィルタ装置1の要部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態における燃料フィルタ装置1の概略構成を示す上面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。ただし、図2では、構成を解り易くするために、導入パイプ30はII−II断面ではなく導入パイプ30延設方向断面を図示しており、ハウジング10内に収容されたフィルタ部材20は中心を通る断面を示している。図3は、燃料フィルタ装置1の要部構成を示す断面図であり、図4は、図3に示す要部に用いられる逆止弁体71およびリリーフ弁体91を組み合わせた状態の上面図である。
【0018】
図1に示す燃料フィルタ装置1は、例えば、内燃機関であるディーゼルエンジンに燃料を供給するコモンレールシステムに用いられ、車両のエンジンルーム内等に搭載されて、燃料タンク内の燃料を高圧ポンプに供給する燃料供給経路に介装され、燃料中から水分や異物等を除去するものである。
【0019】
図1に示すように、燃料フィルタ装置1は、内部に濾材等を収容するとともに濾材収容室に燃料を導入するための燃料導入通路が形成されたハウジング10を備えている。ハウジング10は、外部から燃料を導入するための導入パイプ30および外部へ燃料を導出するための導出パイプ40を有しており、ハウジング10の上面には、燃料系統中に混入した空気を排出して系統中を燃料で満たすための手動式のダイヤフラムポンプ装置60が設けられている。
【0020】
図2に示すように、燃料フィルタ装置1のハウジング10は、外殻を構成するカップ状(有底筒状)のケース11、ケース11の上方開口端に着脱可能に取り付けられるケース11よりも浅いカップ状のキャップ12、および、キャップ12に装着された導入パイプ30等により構成されている。ケース11、キャップ12および導入パイプ30は、いずれも例えばポリアミド樹脂からなり、ケース11の上端部内周側に形成されたねじ部とキャップ12の下端部外周側に形成されたねじ部とが相互に螺合して、ケース11にキャップ12が取り付けられるようになっている。
【0021】
キャップ12には、前述したねじ部よりも上方にシール部材であるゴム製のOリング19が装着されており、ケース11にキャップ12が取り付けられた際には、ケース11とキャップ12との間をシールして、ハウジング10内に、外部に対して密閉された濾材収容室であるフィルタ部材収容空間13を形成するようになっている。
【0022】
ハウジング10内のフィルタ部材収容空間13には、フィルタ部材20が収容されている。フィルタ部材20は、不織布等からなる濾材24と、濾材24の外周を取り囲む外筒21と、濾材24の上方側の全域に配設される上部端板22と、上部端板22の中央開口から上方に延びる中心円筒23とから構成されている。外筒21、上部端板22および中心円筒23は、例えば樹脂材により一体成形されており、外筒21の下端部には径外方向に向かって突出するフランジ部21aが形成されている。
【0023】
ケース11の内面には、周方向における複数箇所(図2では1箇所のみ図示)にリブ11aが形成されている。このケース11のリブ11aの上端面とキャップ12の下端面とに外筒21のフランジ部21aが挟持されて、フィルタ部材20は、ハウジング10内の所定位置に収容されている。
【0024】
図2に示すように、フィルタ部材20がハウジング10内の所定位置に収容され、ハウジング10内の濾材24の上下に、上部空間10aおよび下部空間10bが形成されている。フィルタ部材20の外筒21の外径は、キャップ12の内径よりも若干小さくなっているとともに、外筒21のフランジ部21aは周方向において一部が欠損されており、上部空間10aと下部空間10bとは外筒21とキャップ12との間に形成された通路を介して連通している。
【0025】
キャップ12には、その上面部に、内部に燃料導入通路の一部を形成する導入通路部121が設けられている。導入通路部121は、図2図示左右方向に延びており、図示右方側の上流端近傍では、上方に延びる円筒部122となっている。そして、この円筒部122の内部を装着孔123として、前述の導入パイプ30がキャップ12に装着されている。
【0026】
導入パイプ30は、略L字状をなしており、装着孔123の軸線方向(上下方向)に延びる下流側円筒部33と、下流側円筒部33の上流側に接続し装着孔123の軸線に直交する方向に延びる上流側円筒部32とからなっている。下流側円筒部33の下流側部(下方部)は、キャップ12の装着孔123に装着される装着円筒部31である。また、上流側円筒部32の上流側部(図示右方部)は、図示を省略する燃料ホースの装着部となっている。
【0027】
導入パイプ30の内部および導入通路部121の内部が、フィルタ部材収容空間13に燃料を導入する燃料導入通路126である。導入通路部121の円筒部122内には、導入パイプ30の装着円筒部31よりも下方に、導入パイプ30の内部から導入通路部121の内部へ向かう燃料の流れを許容するとともに、導入通路部121の内部から導入パイプ30の内部へ向かう燃料の逆流を防止する第1逆止弁70が配設されている。第1逆止弁70の配設部位の構造については後で詳述する。
【0028】
キャップ12の上面部には、導入通路部121の図示左方側に、ダイヤフラムポンプ装置60のボディ61が一体的に設けられている。ダイヤフラムポンプ装置60は、このボディ61と、ボディ61の上方開口部を閉塞するカバー62と、ボディ61とカバー62との間に外周縁部が挟持されるダイヤフラム63と、ダイヤフラム63を上方に向かって付勢する付勢部材であるスプリング64と、ダイヤフラム63を上下方向に往復動するためのノブ65等からなっている。カバー62およびノブ65は、いずれも例えばポリアミド樹脂製であり、ダイヤフラム63は、例えば基布の表面にゴム材層を形成した構成をなしている。
【0029】
ボディ61の内側は、ダイヤフラム63よりも下方がポンプ室61aとなっている。このポンプ室61aは、図示右方側において導入通路部121内と連通しており、図示下方側においてフィルタ部材収容空間13の上部空間10aと接続している。ダイヤフラムポンプ装置60のポンプ室61aとフィルタ部材収容空間13の上部空間10aとの間には、逆止弁体81およびスプリング89を有する第2逆止弁80が配設されており、ポンプ室61aから上部空間10aへ向かう燃料の流れを許容するとともに、上部空間10aからポンプ室61aへ向かう燃料の逆流を防止するようになっている。
【0030】
なお、図2では図示していないが、フィルタ部材20がハウジング10内の所定位置に収容されたときには、フィルタ部材20の中心円筒23の内部は、図1に示す導出通路部131内および導出パイプ40内の燃料導出通路と連通している。導出パイプ40のキャップ12への装着部は、逆止弁を設けていない点を除き、導入パイプ30のキャップ12への装着部とほぼ同様の構造となっている。
【0031】
図3に示すように、導入パイプ30は、装着孔123の軸線方向に延びる下流側円筒部33の下方側部位である装着円筒部31が、キャップ12の円筒部122内(すなわち装着孔123)に挿設されている。装着円筒部31の外周面には溝部が形成されて、この溝部内にシール部材であるゴム製のOリング39が配設されており、円筒部122の内周面と装着円筒部31の外周面との間をシールしている。
【0032】
装着円筒部31の上方となる下流側円筒部33の軸線方向における中間部位には、全周に亘って径外方向に突出したフランジ部34が形成されている。フランジ部34の外径は円筒部122の外径とほぼ同等となっている。したがって、フランジ部34は、円筒部122の図示上方側の端面を全域に亘って覆っている。
【0033】
キャップ12の円筒部122内に装着円筒部31が挿設された導入パイプ30は、係着体50によりフランジ部34の上面を押さえ込まれて、キャップ12の円筒部122に対して抜け止め固定されている。なお、図3では図示を省略しているが、係着体50は、円筒部122の外周面に突設された爪部に係着してフランジ部34を押さえ込んだ状態を維持している。
【0034】
キャップ12の円筒部122の内側には、挿設体14、第1逆止弁70の逆止弁体71、スプリング79、リリーフ弁体91、および、スプリング99が配設されている。挿設体14はハウジング10の一部をなすものであり、円環状部141と、円環状部141の外周に沿って上方に立設され円筒部122の内周面と圧接する円筒壁部141aと、円環状部141の下面から下方に延びる略J字状のスプリング受け部142とが、例えば樹脂材により一体成形されている。
【0035】
スプリング受け部142は、円環状部141の下面から複数(本例では3つ)突設しており、複数のスプリング受け部142は円環状部141の周方向には均等に配置され、それぞれの下端面は、導入通路部121の内面のうち円筒部122の底面となる部分に当接している。複数のスプリング受け部142は、それぞれの略J字状部の内側の溝部で、金属製コイル状のスプリング79の下端の座巻部の一部を支持しており、隣り合うスプリング受け部142の間では、燃料の流通が可能となっている。
【0036】
逆止弁体71は、実質的な弁体である円盤状部72と、円盤状部72の上面から上方に向かって突設された複数の(本例では3つの)柱状部73とが、例えば樹脂材により一体成形されている。円盤状部72の下面は、スプリング79の上端の座巻部を全周に亘って支持している。スプリング79は、逆止弁体71を常時上方に向かって付勢する付勢手段である。
【0037】
リリーフ弁体91は、実質的な弁体である円盤状部92と、円盤状部92から上方に向かって突設された複数の(本例では3つの)柱状部93とが、例えば樹脂材により一体成形されている。図4に逆止弁体71およびリリーフ弁体91の図3中IV矢視図を示すように、リリーフ弁体91の円盤状部92の中央に円形の貫通孔912が形成されている。逆止弁体71の複数の柱状部73は、貫通孔912の内周面に沿い、貫通孔912の周方向において均等となる位置に(等間隔に)配設されている。
【0038】
リリーフ弁体91の複数の柱状部93は、円盤状部92の貫通孔912の内周面から上方に向かって突設されており、図4から明らかなように、逆止弁体71の柱状部73とリリーフ弁体91の柱状部93とは、同一円周上において交互に位置している。そして、円周上に並んだこれらの柱状部73および柱状部93の外周側において、図3に示すように、円盤状部92の上面は金属製コイル状のスプリング99の下端の座巻部を全周に亘って支持している。
【0039】
リリーフ弁体91の柱状部93に対して逆止弁体71の柱状部73は比較的長くなっており、逆止弁体71の変位位置に係わらず、逆止弁体71の柱状部73は、リリーフ弁体90円盤状部92の貫通孔912内から外れないようになっている。
【0040】
導入パイプ30の装着円筒部31の内面には、下方を向いた段差面311が形成されており、スプリング99の上端の座巻部を全周に亘って支持している。スプリング99は、リリーフ弁体91を常時下方に向かって付勢する付勢手段である。
【0041】
挿設体14の円盤状部141の上面は、リリーフ弁体91の円盤状部92の下面のうち外周縁部が着座するリリーフ弁座143となっている。リリーフ弁体91は、円盤状部92の外周面が挿設体14の円筒壁部141aの内面に案内されて上下方向に変位するようになっており、図4に示すように、円盤状部92には外周側から切り欠いた切欠部911が周方向に複数(本例では3つ)形成されている。リリーフ弁体91がリリーフ弁座143に着座した状態からリフトして離座したときには、この切欠部911が燃料通路として機能するようになっている。
【0042】
逆止弁体71の円盤状部72は、外径が挿設体14の円盤状部141の内径より小さくなっているとともに、リリーフ弁体91の貫通孔912の径よりも大きくなっている。したがって、リリーフ弁体91の円盤状部92下面の貫通孔912周縁部のうち、リリーフ弁座143への着座領域よりも内側領域が、逆止弁体71の円盤状部72が着座する逆止弁座913となっている。
【0043】
逆止弁体71着座時に逆止弁体71をリリーフ弁体91の逆止弁座913に向かって付勢するスプリング79の付勢力、すなわち、スプリング79による逆止弁体71のセット荷重は、比較的小さく設定されており、導入パイプ30内の燃料圧力が導入通路部121内の燃料圧力に対して若干高ければ、逆止弁体71は下方へリフトするようになっている。
【0044】
一方、リリーフ弁体91着座時にリリーフ弁体91を挿設体14のリリーフ弁座143に向かって付勢するスプリング99の付勢力、すなわち、スプリング99によるリリーフ弁体91のセット荷重は、比較的大きく設定されており、導入通路部121内の燃料圧力が導入パイプ30内の燃料圧力に対して、ハウジング10の耐圧強度等に基づいて定まる所定圧力以上高いときには、リリーフ弁体91が上方へリフトするようになっている。
【0045】
上述の構成の燃料フィルタ装置1では、導入パイプ30の上流端からハウジング10内に燃料が導入されると、燃料導入通路126のうち導入パイプ30内にある第1逆止弁70よりも上流部126aを流れて、図5に示すように、第1逆止弁70の逆止弁体71を逆止弁座913から離座させて下方へリフトさせる。これにより、リリーフ弁体91の貫通孔912を燃料通路として、第1逆止弁70よりも上流部126aの燃料が、燃料導入通路126のうち導入通路部121内にある第1逆止弁70よりも下流部126bに流入する。このとき、リリーフ弁体91は、リリーフ弁座143に着座している。
【0046】
導入通路部121内の燃料導入通路下流部126bに流入した燃料は、ダイヤフラムポンプ装置60のポンプ室61aを介して第2逆止弁80も開弁し上部空間10aに流入し、さらに上部空間10aに連通する下部空間10bに流入する。下部空間10bでは流入した燃料中から凝集した水分等が沈降、貯留される。下部空間10bに流入した燃料は、フィルタ部材20の濾材24中を通過し、その際に微細な水滴の凝集や異物の除去が行われる。濾材24中を通過して水分や異物が除去された燃料は、中心円筒23内から導出通路部131内の燃料通路を流れて導出パイプ40を介して導出される。
【0047】
燃料フィルタ装置1のダイヤフラムポンプ装置60のノブ65を操作して、ノブ65の押圧とスプリング64による復元とでダイヤフラム63が上下に往復動すると、ポンプ室61aの容積が増減する。
【0048】
ポンプ室61aの容積が増大するときには、ポンプ室61a内および導入通路部121内の圧力が下降して導入パイプ30内の圧力より低くなるので、図5に示すように第1逆止弁70の逆止弁体71がリフトし、リリーフ弁体91はリリーフ弁座143に着座している。これにより、リリーフ弁体91の貫通孔912を介して、燃料導入通路上流部126a(導入パイプ30内)から下流部126b(導入通路部121内)へ燃料が導入される。このとき、第2逆止弁80の作用により、フィルタ部材収容空間13からポンプ室61a内へ燃料は流入しない。
【0049】
一方、ポンプ室61aの容積が減少するときには、ポンプ室61a内および導入通路部121内の圧力が上昇して導入パイプ30内の圧力より高くなるので、図3に示すように第1逆止弁70の逆止弁体71はリリーフ弁体91の逆止弁座913に着座した状態を維持し、燃料導入通路上流部126aから下流部126bへ燃料は流入しない。このとき、第2逆止弁80は開弁して、ポンプ室61a内からフィルタ部材収容空間13へ燃料が流出する。
【0050】
ポンプ室61aの容積を減少させたときに、導出パイプ40よりも下流側の燃料通路の流通抵抗が高くなっていた場合や燃料通路が閉塞していた場合、あるいは、フィルタ部材20の濾材24の流通抵抗が高くなっていた場合等には、ポンプ室61a内および導入通路部121内の圧力が思いの外上昇して導入パイプ30内の圧力より前述の所定圧以上高くなることがある。
【0051】
このようなときには、図6に示すように、第1逆止弁70の逆止弁体71はリリーフ弁体91の逆止弁座913に着座した状態を維持したまま、リリーフ弁体91がリリーフ弁座143から離座して上方へリフトし、燃料導入通路下流部126b(導入通路部121内)から上流部126a(導入パイプ30内)へ燃料が還流する。第1逆止弁70は、本発明で言うところの燃料導入通路を燃料が上流方向に逆流することを抑止する逆止弁に相当する。
【0052】
上述の構成の燃料フィルタ装置1によれば、導入パイプ30内の通路および導入通路部121内の通路からなる燃料導入通路126に設けられた第1逆止弁70は、リリーフ弁として機能するリリーフ弁体91を備えており、第1逆止弁70よりも下流部126bの圧力が第1逆止弁70よりも上流部126aの圧力より所定圧以上高いときにリリーフ弁体91がリフトして開弁し、第1逆止弁70よりも下流部126bの燃料を第1逆止弁70よりも上流部126aに還流する。
【0053】
これによると、ダイヤフラムポンプ装置60の操作等によって第1逆止弁70よりも下流部126bの圧力が第1逆止弁70よりも上流部126aの圧力より所定圧以上高くなってしまったときには、リリーフ弁体91がリフトして第1逆止弁70よりも下流部126bの燃料を上流部126aに還流することができる。したがって、ハウジング10内の第1逆止弁70よりも下流側の圧力が上記所定圧以上に過剰に昇圧することを抑止することができ、ハウジング10の変形等を防止することができる。
【0054】
また、ハウジング10の一部である挿設体14にリリーフ弁座143を設け、このリリーフ弁座143に離着座するリリーフ弁体91に逆止弁体71が離着座する逆止弁座913を設けている。すなわち、ハウジング10内の燃料導入通路126のほぼ同一箇所に、逆止弁体71とリリーフ弁体91とを配設している。したがって、リリーフ弁を設けることで燃料フィルタ装置の構造が複雑となり体格が増大することを抑制することができる。
【0055】
また、リリーフ弁体91の下面(燃料導入通路126における下流部126b側の面)の外周側縁部にリリーフ弁座143への着座領域が環状に形成されており、リリーフ弁体91のリリーフ弁座143への着座領域より内側に貫通孔912が形成されており、リリーフ弁体91の下面における貫通孔912の周縁部のうち上記リリーフ弁座着座領域より内側に環状の逆止弁座913が形成されている。
【0056】
これによると、リリーフ弁体91がリリーフ弁座143に着座した際には、リリーフ弁体91とリリーフ弁座143との間に環状のシール部を形成できる。さらに、逆止弁体71が逆止弁座913に着座した際には、リリーフ弁体91のリリーフ弁座143への着座領域の内側で、逆止弁体71と逆止弁座913との間に環状のシール部を形成することができる。したがって、リリーフ弁体91着座時のリリーフ弁座143との間のシール性の確保が容易であるとともに、逆止弁体71着座時の逆止弁座913との間のシール性の確保も容易である。
【0057】
また、逆止弁体71およびリリーフ弁体91は、いずれも実質的な弁体部は円盤状となっている。したがって、いずれの弁体も角部等を有さずリフトする際に周囲の部材に引っ掛かり難い。これにより、逆止弁体71およびリリーフ弁体91は、いずれも安定した開閉弁動作を行なうことが可能であり、安定した開弁圧を確保することが容易である。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図7に基づいて説明する。本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、第1逆止弁70の逆止弁体の構造が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0059】
図7に示すように、本実施形態では、本発明で言うところの逆止弁に相当する第1逆止弁70は、例えば金属製の球状の逆止弁体171を備えている。そして、リリーフ弁体91下面(下流部側の面)の貫通孔912の周縁部はテーパ面からなる逆止弁座1913となっている。
【0060】
本実施形態の構成の燃料フィルタ装置1によれば、第1の実施形態と同様に、第1逆止弁70は、リリーフ弁として機能するリリーフ弁体91を備えており、第1逆止弁70よりも下流部126bの圧力が第1逆止弁70よりも上流部126aの圧力より所定圧以上高いときにリリーフ弁体91がリフトして開弁し、第1逆止弁70よりも下流部126bの燃料を第1逆止弁70よりも上流部126aに還流する。したがって、ハウジング10内の第1逆止弁70よりも下流側の圧力が過剰に昇圧することを抑止することができ、ハウジング10の変形等を防止することができる。
【0061】
また、ハウジング10の一部である挿設体14にリリーフ弁座143を設け、このリリーフ弁座143に離着座するリリーフ弁体91に逆止弁体171が離着座する逆止弁座1913を設けている。すなわち、ハウジング10内の燃料導入通路126のほぼ同一箇所に、逆止弁体171とリリーフ弁体91とを配設している。したがって、リリーフ弁を設けることで燃料フィルタ装置の構造が複雑となり体格が増大することを抑制することができる。
【0062】
また、リリーフ弁体91の下面(燃料導入通路126における下流部126b側の面)の外周側縁部にリリーフ弁座143への着座領域が環状に形成されており、リリーフ弁体91のリリーフ弁座143への着座領域より内側に貫通孔912が形成されており、リリーフ弁体91の下面における貫通孔912の周縁部のうち上記リリーフ弁座着座領域より内側に環状の逆止弁座1913が形成されている。
【0063】
これによると、リリーフ弁体91がリリーフ弁座143に着座した際には、リリーフ弁体91とリリーフ弁座143との間に環状のシール部を形成できる。さらに、逆止弁体171が逆止弁座1913に着座した際には、リリーフ弁体91のリリーフ弁座143への着座領域の内側で、逆止弁体171と逆止弁座1913との間に環状のシール部を形成することができる。したがって、リリーフ弁体91着座時のリリーフ弁座143との間のシール性の確保が容易であるとともに、逆止弁体171着座時の逆止弁座1913との間のシール性の確保も容易である。
【0064】
また、逆止弁体171は球状であり、リリーフ弁体91の弁体部は円盤状となっている。したがって、いずれの弁体も角部等を有さずリフトする際に周囲の部材に引っ掛かり難い。これにより、逆止弁体171およびリリーフ弁体91は、いずれも安定した開閉弁動作を行なうことが可能であり、安定した開弁圧を確保することが容易である。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図8に基づいて説明する。
【0066】
本第3の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、第1逆止弁70における逆止弁体とリリーフ弁体との関係を逆にした点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、本実施形態では、第1逆止弁70の逆止弁体271は円盤状をなしており、逆止弁体271の上面(燃料導入通路126における上流部126a側の面)の外周側縁部が、導入パイプ30の装着円筒部31の下面の円環状の逆止弁座2913への着座領域となっている。
【0068】
キャップ12の円筒部122の内側に配設された挿設体214は、複数のスプリング受け部142を有しているものの、上部の環状部分に弁座を有していない。複数のスプリング受け部142の溝部がスプリング79の下端の座巻部の一部を支持しており、逆止弁体271の下面がスプリング79の上端の座巻部を全周に亘って支持している。
【0069】
逆止弁体271は、中央に円形の貫通孔2712が形成されており、この貫通孔2712内にリリーフ弁体291が配設されている。具体的には、リリーフ弁体291は、略きのこ形状をなしており、傘部292と、傘部292から下方に延びる軸部293と、軸部293の下端部に設けられたストッパ部294とが、例えば樹脂材により成形されている。
【0070】
傘部292は、上面が球状面であり下面が平面である中実の略椀状をなしている。逆止弁体271は、上面(上流部側の面)の貫通孔2712の周縁部がリリーフ弁座2713となっており、リリーフ弁体291の傘部292の下面が着座するようになっている。
【0071】
リリーフ弁体291の円柱状の軸部293は、直径が逆止弁体271の貫通孔2712の径よりも小さくなっており、貫通孔2712内を上下方向に延設されている。ストッパ部294は、逆止弁体271よりも下方に位置しており、外径が貫通孔2712の径よりも大きくなっている。
【0072】
本実施形態の燃料フィルタ装置1では、導入パイプ30の上流端からハウジング10内に燃料が導入されると、導入パイプ30内の燃料導入通路126の第1逆止弁70よりも上流部126aを流れて、逆止弁体271を逆止弁座2913から離座させて下方へリフトさせる。これにより、逆止弁体271の外周部を燃料通路として、第1逆止弁70よりも上流部126aの燃料が、導入通路部121内の燃料導入通路126の第1逆止弁70よりも下流部126bに流入する。このとき、リリーフ弁体291は、自重等により傘部292の下面をリリーフ弁座2713に着座した状態を維持して、貫通孔2712を閉塞している。
【0073】
第1の実施形態で説明したダイヤフラムポンプ装置60を操作してポンプ室61aの容積が増大するときには、ポンプ室61a内および導入通路部121内の圧力が下降して導入パイプ30内の圧力より低くなるので、逆止弁体271が下方へリフトし、リリーフ弁体291はリリーフ弁座2713に着座している。これにより、燃料導入通路上流部126a(導入パイプ30内)から下流部126b(導入通路部121内)へ燃料が導入される。
【0074】
一方、ポンプ室61aの容積が減少するときには、ポンプ室61a内および導入通路部121内の圧力が上昇して導入パイプ30内の圧力より高くなるので、逆止弁体271は装着円筒部31の逆止弁座2913に着座した状態を維持し、燃料導入通路上流部126aから下流部126bへ燃料は流入しない。
【0075】
ポンプ室61aの容積を減少させたときに、ポンプ室61a内および導入通路部121内の圧力が上昇して導入パイプ30内の圧力より第1の実施形態で述べた所定圧以上高くなったときには、逆止弁体271は装着円筒部31の逆止弁座2913に着座した状態を維持したまま、リリーフ弁体291の傘部292がリリーフ弁座2713から離座して上方へリフトする。これにより、貫通孔2712内のリリーフ弁体291の軸部293周囲の空間を介して、燃料導入通路下流部126b(導入通路部121内)から上流部126a(導入パイプ30内)へ燃料が還流する。
【0076】
なお、リリーフ弁体291のストッパ部294の上面側には突起部294aが設けられており、リリーフ弁体291が上方に最大リフトしたときに、ストッパ部294が貫通孔2712を閉塞しないようになっている。
【0077】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、燃料導入通路126に設けられた第1逆止弁70は、リリーフ弁として機能するリリーフ弁体291を備えており、第1逆止弁70よりも下流部126bの圧力が第1逆止弁70よりも上流部126aの圧力より所定圧以上高いときにリリーフ弁体291がリフトして開弁し、第1逆止弁70よりも下流部126bの燃料を第1逆止弁70よりも上流部126aに還流する。したがって、ハウジング10内の第1逆止弁70よりも下流側の圧力が過剰に昇圧することを抑止することができ、ハウジング10の変形等を防止することができる。
【0078】
また、ハウジング10の一部である導入パイプ30の装着円筒部31に逆止弁座2913を設け、この逆止弁座2913に離着座する逆止弁体271にリリーフ弁体291が離着座するリリーフ弁座2713を設けている。すなわち、ハウジング10内の燃料導入通路126のほぼ同一箇所に、逆止弁体271とリリーフ弁体291とを配設している。したがって、リリーフ弁を設けることで燃料フィルタ装置の構造が複雑となり体格が増大することを抑制することができる。
【0079】
また、逆止弁体271の上面(燃料導入通路126における上流部126a側の面)の外周側縁部に逆止弁座2913への着座領域が環状に形成されており、逆止弁体271の逆止弁座2913への着座領域より内側に貫通孔2712が形成されており、逆止弁体271の上面における貫通孔2712の周縁部のうち上記逆止弁座着座領域より内側に環状のリリーフ弁座2713が形成されている。
【0080】
これによると、逆止弁体271が逆止弁座2913に着座した際には、逆止弁体271と逆止弁座2913との間に環状のシール部を形成できる。さらに、リリーフ弁体291がリリーフ弁座2713に着座した際には、逆止弁体271の逆止弁座2913への着座領域の内側で、リリーフ弁体291とリリーフ弁座2713との間に環状のシール部を形成することができる。したがって、逆止弁体271着座時の逆止弁座2913との間のシール性の確保が容易であるとともに、リリーフ弁体291着座時のリリーフ弁座2713との間のシール性の確保も容易である。
【0081】
また、逆止弁体271は円盤状であり、リリーフ弁体291の実質的な弁体部は中実の略椀状となっている。したがって、いずれの弁体も角部等を有さずリフトする際に周囲の部材に引っ掛かり難い。これにより、逆止弁体271およびリリーフ弁体291は、いずれも安定した開閉弁動作を行なうことが可能であり、安定した開弁圧を確保することが容易である。
【0082】
また、リリーフ弁体291をリリーフ弁座2713に向かって下方に付勢する付勢手段が不要である。
【0083】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0084】
上記各実施形態では、リリーフ弁として機能するリリーフ弁体を備えた第1逆止弁70は、導入パイプ30のキャップ12への装着部に設けられていたが、これに限定されるものではなく、フィルタ部材収容空間13に燃料を導入するためにハウジング10内に形成された燃料導入通路126に設けられるものであればよい。例えば、導入パイプ30の内部に設けられるものであってもよく、キャップ12の導入通路部121内に設けられるものであってもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、第1逆止弁70は、キャップ12の上下方向に延びる円筒部122内に配設され、逆止弁体およびリリーフ弁体はいずれも上下方向へリフトするものであったが、これに限定するものではない。例えば、キャップに対して横方向(略水平方向)から燃料を導入する燃料導入通路に設け、逆止弁体およびリリーフ弁体がいずれも横方向へリフトするものであってもかまわない。
【0086】
また、上記各実施形態では、第1逆止弁70がリリーフ弁として機能するリリーフ弁体を備えていたが、これに限定されるものではなく、第1逆止弁とは別にリリーフ弁を設けるものであってもよい。また、リリーフ弁として機能するリリーフ弁体は燃料導入通路126の下流部126bから上流部126aに燃料を還流するものであったが、第1逆止弁とリリーフ弁とを異なる位置に設ける場合には、リリーフ弁は第1逆止弁よりも下流部から燃料導入通路上流部へ燃料を還流するものであればよい。例えば、リリーフ弁は第1逆止弁70よりも下流部であるフィルタ部材収容空間13から燃料導入通路上流部126aへ燃料を還流するものであってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ハウジング10は、ケース11、キャップ12、挿設体14、および、導入パイプ30等を組み合わせて構成していたが、これに限定されるものではなく、内部に濾材収容室と濾材収容室に燃料を導入するための燃料導入通路が形成されていれば、組み合わせる部材の数はいくつであってもかまわない。
【0088】
また、上記実施形態では、燃料フィルタ装置1は、ディーゼルエンジンに燃料を供給するコモンレールシステムに用いられるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、分配型ポンプを用いたディーゼルエンジンへの燃料供給系に採用するものであってもよいし、ガソリンエンジンへの燃料供給系に採用するものであってもかまわない。
【符号の説明】
【0089】
1 燃料フィルタ装置
10 ハウジング
11 ケース(ハウジングの一部)
12 キャップ(ハウジングの一部)
13 フィルタ部材収容空間(濾材収容室)
14、214 挿設体(ハウジングの一部)
30 導入パイプ(ハウジングの一部)
70 第1逆止弁(逆止弁)
71、171、271 逆止弁体
91、291 リリーフ弁体
126 燃料導入通路
126a 上流部
126b 下流部
143、2713 リリーフ弁座
912、2712 貫通孔
913、1913、2913 逆止弁座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材収容室と該濾材収容室に燃料を導入する燃料導入通路とが内部に形成されたハウジングと、
前記燃料導入通路に設けられ、燃料が前記燃料導入通路を上流方向に逆流することを抑止する逆止弁と、を備える燃料フィルタ装置であって、
前記ハウジング内の前記逆止弁よりも下流部の圧力が前記逆止弁よりも上流部の圧力より所定圧以上高いときに開弁し、前記下流部の燃料を前記上流部に還流するリリーフ弁を具備することを特徴とする燃料フィルタ装置。
【請求項2】
前記逆止弁は、逆止弁座に離着座して通路を開閉する逆止弁体を有し、
前記リリーフ弁は、リリーフ弁座に離着座して通路を開閉するリリーフ弁体を有しており、
前記逆止弁座および前記リリーフ弁座の一方は、前記ハウジングに形成され、
前記逆止弁座および前記リリーフ弁座の他方は、前記逆止弁体および前記リリーフ弁体のうち前記ハウジングに形成された弁座に離着座する弁体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料フィルタ装置。
【請求項3】
前記リリーフ弁座が前記ハウジングに形成され、前記逆止弁座が前記リリーフ弁体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料フィルタ装置。
【請求項4】
前記リリーフ弁体の前記下流部側の面の外周側縁部に前記リリーフ弁座への着座領域が環状に形成されており、
前記リリーフ弁体の前記着座領域より内側に貫通孔が形成されて、前記リリーフ弁体の前記下流部側の面における前記貫通孔の周縁部のうち前記着座領域より内側に環状の前記逆止弁座が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料フィルタ装置。
【請求項5】
前記リリーフ弁体は、円盤状であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料フィルタ装置。
【請求項6】
前記逆止弁体は、円盤状であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−106284(P2011−106284A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259134(P2009−259134)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)
【Fターム(参考)】