説明

燃料噴射弁

【課題】簡単な構成でダンパ効果を効率的に機能させることが可能な燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】ニードル40および可動コア50は、大径部44と大径内壁面51との間に円筒状の第1隙間101を形成し、小径部43と小径内壁面52との間に円筒状の第2隙間102を形成し、ニードル段差面45とコア段差面53との間に容積可変の円環状のダンパ室103を形成する。ニードル40および可動コア50は、ダンパ室103の容積が最小となるときの第1隙間101の軸方向の長さL1が第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きくなるよう形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」という。)に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動コアをニードルに対し相対移動可能に設けた構成の燃料噴射弁が知られている。例えば特許文献1および2に記載の燃料噴射弁では、可動コアとニードルとの間に容積可変のダンパ室を形成しダンパ効果を奏することにより、ニードルが弁座に着座した後、および、可動コアが固定コアに衝突した後、可動コアおよびニードルが過度にオーバーシュートするのを抑制しようとしている。ここで、ダンパ室には、ニードルの小径部と可動コアの内壁との間に形成される円筒状の隙間と、ニードルの大径部と可動コアの内壁との間に形成される円筒状の隙間とが接続している。
【0003】
ところで、円筒状の隙間を流れる流体の量、すなわち隙間流量は、隙間の内径の1乗、および、隙間の径方向の幅の3乗に比例し、隙間の軸方向の長さに反比例する。特許文献1および2の燃料噴射弁は、いずれも、大径部側の隙間のほうが小径部側の隙間よりも短い構成の燃料噴射弁である。そのため、ダンパ室によるダンパ効果を効率的に発揮させるためには、円筒状の隙間のうち特に大径部側の隙間の径方向の幅を厳密に管理しなければならないという問題があった。
【0004】
また、特許文献1の燃料噴射弁では、ニードルの大径部がニードルの本体(小径部)とは別体に設けられている。また、特許文献2の燃料噴射弁では、可動コアの内壁をなすスリーブは、可動コアの本体とは別体に設けられている。そのため、構成が複雑であり、加工および組付コストが増大するとともに、円筒状の隙間の幅等を管理するのが困難になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−509141号公報
【特許文献2】実用新案登録第2568515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でダンパ効果を効率的に機能させることが可能な燃料噴射弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ハウジングとニードルと可動コアと固定コアとコイルと第1付勢部材とを備えている。ハウジングは、筒状に形成され、軸方向の一端に形成され燃料が噴射される噴孔、当該噴孔の周囲に形成される弁座、および、噴孔への燃料が流通する燃料通路を有している。ニードルは、ハウジング内に往復移動可能に設けられている。ニードルは、棒状の本体、当該本体の弁座側の端部に形成されるシール部、本体のシール部とは反対側の端部に形成される円筒状の小径部、当該小径部のシール部とは反対側に形成され小径部より外径が大きい円筒状の大径部、および、当該大径部の軸に対し垂直となるよう大径部と小径部との間に形成される円環状のニードル段差面を有している。ここで、「円筒状」とは、厳密な円筒状に限らず、内径または外径が軸方向で多少異なるもの、および、内壁または外壁の軸方向視形状が真円から多少歪んだもの等、略円筒状のものも含むことを意味する。また、「垂直」とは、厳密な垂直に限らず、所定角度傾斜している状態である略垂直の場合も含むことを意味する。また、「円環状」とは、内縁部または外縁部の形状が真円から多少歪んだもの等、略円環状のものも含むことを意味する。以下、「円筒状」、「垂直」および「円環状」との表記は、同様の意味で用いることとする。ニードルは、シール部が弁座から離座または弁座に着座することで噴孔を開閉する。
【0008】
可動コアは、ニードルの大径部の外径より内径が大きい大径内壁面、当該大径内壁面より内径が小さくニードルの小径部の外径より内径が大きい小径内壁面、および、当該小径内壁面の軸に対し垂直となるよう小径内壁面と大径内壁面との間に形成される円環状のコア段差面を有している。可動コアは、小径内壁面の内側にニードルの小径部が位置し大径内壁面の内側にニードルの大径部が位置する状態でニードルに対し軸方向に相対移動可能に設けられている。固定コアは、筒状に形成され、ハウジング内に固定されるようにして設けられている。コイルは、通電により可動コアと固定コアとの間に磁気吸引力を発生させることで、可動コアをニードルとともに開弁方向に吸引する。第1付勢部材は、ニードルを閉弁方向に付勢する。
【0009】
本発明では、ニードルおよび可動コアは、大径部と大径内壁面との間に円筒状の第1隙間を形成し、小径部と小径内壁面との間に円筒状の第2隙間を形成し、ニードル段差面とコア段差面との間に容積可変の円環状のダンパ室を形成する。当該ダンパ室のダンパ効果によって、ニードルが弁座に着座した後、可動コアが閉弁方向に過度にオーバーシュートするのを抑制することができる。したがって、ニードル閉弁後の可動コアのオーバーシュート量を減少させることができ、多段噴射時の噴射間隔を短くすることができる。さらに、ニードル閉弁後の可動コアのオーバーシュート量を減少させ、再上昇時にさらに可動コアの速度を低減できるため、再衝突時に生じ得る不整噴射や、衝突による部材の摩耗を抑制することができる。その結果、燃料噴射弁の耐久に関する信頼性を向上することができる。
【0010】
また、本発明では、ニードルおよび可動コアは、ダンパ室の容積が最小となるときの第1隙間の軸方向の長さが第2隙間の軸方向の長さよりも大きくなるよう形成されている。ところで、円筒状の隙間を流れる流体の量、すなわち隙間流量は、隙間の内径の1乗、および、隙間の径方向の幅の3乗に比例し、隙間の軸方向の長さに反比例する。よって、本発明ではダンパ室の容積が最小となるとき、第1隙間の軸方向の長さが第2隙間の軸方向の長さよりも大きくなる構成のため、特に第1隙間の径方向の幅を厳密に管理することなく、第1隙間の隙間流量と第2隙間の隙間流量とを同等にすることができる。これにより、ダンパ室によるダンパ効果を効率的に発揮させることができる。また、本発明は、可動コアおよびニードルの2部材でダンパ室を形成する構成である。よって、簡単な構成で、ダンパ効果を効率的に発揮させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、ニードルの大径部は、外径が固定コアの内径より小さく形成されている。そのため、可動コアが固定コアに衝突した後、大径部が固定コアの内側に入り込むようニードルを開弁方向にオーバーシュートさせることができる。これにより、可動コアと固定コアとの衝突に伴う衝撃荷重を抑制できる。その結果、燃料噴射弁の作動音や衝突による可動コアおよび固定コアの摩耗を抑制することができる。
また、本発明では、ダンパ室のダンパ効果によって、可動コアが固定コアに衝突した後、ニードルが開弁方向に過度にオーバーシュートするのを抑制することができる。したがって、本発明では、可動コアが固定コアに衝突した後に生じ得るニードルおよび可動コアのバウンスを緩衝することで、噴射量のリニアリティを改善することができる。
【0012】
ところで、ニードルの小径部と大径部とが直接接続するよう一体に形成される構成の場合、小径部の大径部側端部のうち特に大径部近傍の外壁を、軸方向に外径が均一になるよう高精度に加工することは難しい。
そこで、請求項3に記載の発明では、ニードルは、小径部と大径部とを接続し小径部よりも外径が小さい円筒状の接続部を有している。これにより、小径部と大径部との間には、円環状のリセス(溝)が形成される。この構成では、小径部と大径部とが前記リセスにより隔てられているため、小径部の大径部側端部の外壁を、軸方向に外径が均一になるよう加工するのが容易になる。よって、ニードルを加工するとき、第2隙間の内径および幅を容易に調整することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、可動コアをニードルとともに開弁方向に付勢する第2付勢部材をさらに備えている。第2付勢部材の付勢力により、可動コアとニードルとの位置関係、および、ダンパ室の容積変化を安定させることができる。これにより、燃料噴射弁を安定して作動させることができるとともに、作動音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を示す断面図。
【図2】(A)は本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【図3】本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図であって、ニードルが開弁方向にオーバーシュートしている状態を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図であって、可動コアが閉弁方向にオーバーシュートしている状態を示す図。
【図5】円筒状の隙間を流れる流体の量を説明するための模式図であって、(A)は外側部材と内側部材とが同心となっている状態を示す図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は外側部材と内側部材とが偏心している状態を示す図、(D)は(C)のD−D線断面図。
【図6】本発明の第2実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図。
【図7】本発明の第3実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図。
【図8】本発明の第4実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図。
【図9】本発明の第5実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図。
【図10】本発明の第6実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の複数の実施形態を図に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を図1に示す。燃料噴射弁10は、例えば図示しない直噴式ガソリンエンジンの燃料噴射装置に用いられ、燃料としてのガソリンをエンジンに噴射供給する。
【0016】
燃料噴射弁10は、ハウジング20、ニードル40、可動コア50、固定コア60、コイル70、第1付勢部材としてのスプリング81、および、第2付勢部材としてのスプリング82等を備えている。
図1に示すように、ハウジング20は、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23および噴射ノズル30から構成されている。第1筒部材21、第2筒部材22および第3筒部材23は、いずれも略円筒状に形成され、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23の順に同軸となるよう配置され、互いに接続している。
【0017】
第1筒部材21および第3筒部材23は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により形成され、磁気安定化処理が施されている。第1筒部材21および第3筒部材23は、硬度が比較的低い。一方、第2筒部材22は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料により形成されている。第2筒部材22の硬度は、第1筒部材21および第3筒部材23の硬度よりも高い。
【0018】
噴射ノズル30は、第1筒部材21の第2筒部材22とは反対側の端部に設けられている。噴射ノズル30は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。噴射ノズル30は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。
【0019】
噴射ノズル30は、略有底筒状に形成され、底部31および筒部32を有する。底部31は、筒部32の一方の端部を塞いでいる。底部31には、内壁と外壁とを接続する噴孔311が形成されている。また、底部31の内壁には、噴孔311を囲むようにして環状の弁座312が形成されている。筒部32は、外壁が第1筒部材21の内壁に嵌合するようにして第1筒部材21に接続している。筒部32と第1筒部材21との嵌合箇所は溶接されている。
【0020】
ニードル40は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により棒状に形成されている。ニードル40は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。ニードル40の硬度は、噴射ノズル30の硬度とほぼ同等に設定されている。
ニードル40は、ハウジング20内に軸方向へ往復移動可能に収容されている。ニードル40は、本体41、シール部42、小径部43、大径部44およびニードル段差面45等を有している。本体41は、略円筒の棒状に形成されている。シール部42は、本体41の弁座312側の端部に形成され、弁座312に当接可能である。小径部43は、本体41のシール部42とは反対側に形成されている。大径部44は、小径部43のシール部42とは反対側に形成されている。大径部44は、小径部43より外径が大きく形成されている。また、本実施形態では、大径部44は、小径部43に接するようにして小径部43と一体に形成されている(図2参照)。これにより、大径部44の軸に対し垂直となるよう大径部44と小径部43との間に円環状のニードル段差面45が形成されている。すなわち、大径部44のシール部42側の端面のうちの露出する部分がニードル段差面45を形成している。
【0021】
また、本体41のシール部42近傍には、摺接部46が形成されている。摺接部46は、略円筒状に形成され、外壁461の一部が面取りされている。摺接部46は、外壁461の面取りされていない部分が、噴射ノズル30の筒部32の内壁321と摺接可能である。これにより、ニードル40は、噴孔311側先端部の往復移動が案内される。
【0022】
ニードル40は、シール部42が弁座312から離座(離間)または弁座312に着座(当接)することで噴孔311を開閉する。以下、適宜、ニードル40が弁座312から離座する方向を開弁方向といい、ニードル40が弁座312に着座する方向を閉弁方向という。なお、ニードル40の小径部43および大径部44は、中空筒状に形成されている。小径部43には、内壁と外壁とを接続する孔47が形成されている。
【0023】
可動コア50は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。可動コア50は、磁気安定化処理が施されている。可動コア50の硬度は比較的低く、ハウジング20の第1筒部材21および第3筒部材23の硬度と概ね同等である。
【0024】
可動コア50は、大径内壁面51、小径内壁面52、および、コア段差面53等を有している。大径内壁面51は、可動コア50のシール部42とは反対側の端部の内壁に形成されている。大径内壁面51は、ニードル40の大径部44の外径より内径が大きく形成されている。小径内壁面52は、可動コア50の内壁のうち大径内壁面51に対しシール部42側の内壁に形成されている。小径内壁面52は、大径内壁面51より内径が小さく、かつ、ニードル40の小径部43の外径より内径が大きく形成されている。これにより、小径内壁面52の軸に対し垂直となるよう小径内壁面52と大径内壁面51との間に円環状のコア段差面53が形成されている。
可動コア50は、小径内壁面52の内側に小径部43が位置し大径内壁面51の内側に大径部44が位置する状態でニードル40に対し軸方向に相対移動可能に設けられている。
【0025】
ニードル40および可動コア50は、ニードル段差面45とコア段差面53とが当接可能に設けられている。ここで、ニードル40および可動コア50は、大径部44と大径内壁面51との間に円筒状の第1隙間101を形成し、小径部43と小径内壁面52との間に円筒状の第2隙間102を形成する(図2(A)および(B)参照)。なお、可動コア50がニードル40に対し偏心した状態で軸方向に相対移動するとき、大径内壁面51および小径内壁面52と大径部44および小径部43の外壁とは摺接し得る。
なお、本実施形態では、ニードル40の大径部44の軸方向の長さは、可動コア50の大径内壁面51の軸方向の長さと略同じである。そのため、ニードル段差面45とコア段差面53とが当接している状態では、大径部44の噴射ノズル30とは反対側の端面、および、可動コア50の噴射ノズル30とは反対側の端面は、略同一平面上に位置する。
【0026】
図3および4に示すように、ニードル段差面45とコア段差面53とが互いに離間した状態では、ニードル段差面45とコア段差面53と大径内壁面51と小径部43の外壁とに囲まれた円環状の空間が形成される。この空間をダンパ室103とする。ダンパ室103は、ニードル段差面45とコア段差面53との距離、すなわち、ニードル40と可動コア50との相対位置に応じて、容積が変化する。つまり、ニードル40および可動コア50は、ニードル段差面45とコア段差面53との間に、容積可変の円環状のダンパ室103を形成している。なお、ニードル段差面45とコア段差面53とが当接した状態のとき、ダンパ室103の容積は0である。
【0027】
図2に示すように、可動コア50は、外径がハウジング20の内径、すなわち第1筒部材21の第2筒部材22側端部、および、第2筒部材22の内径より小さく形成されている。また、可動コア50のシール部42側端部は、内径が大径内壁面51および小径内壁面52の内径より大きく形成されている。これにより、小径内壁面52の軸に対し垂直となるよう小径内壁面52のシール部42側に環状の段差面54が形成されている。また、可動コア50には、シール部42側の端面と、シール部42とは反対側の端面とを接続する通孔55が複数形成されている。また、可動コア50は、外壁から径外方向に環状に突出するよう形成された環状突出部56を有している。
【0028】
固定コア60は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。固定コア60は、磁気安定化処理が施されている。固定コア60の硬度は比較的低く、可動コア50の硬度と概ね同等である。固定コア60は、ハウジング20の内側に固定されるようにして設けられている。固定コア60とハウジング20の第3筒部材23とは溶接されている。
【0029】
コイル70は、略円筒状に形成され、ハウジング20の特に第2筒部材22および第3筒部材23の径方向外側を囲むようにして設けられている。コイル70は、電力が供給(通電)されると磁力を生じる。コイル70に磁力が生じると、固定コア60、可動コア50、第1筒部材21および第3筒部材23に磁気回路が形成される。これにより、固定コア60と可動コア50との間に磁気吸引力が発生し、可動コア50は、固定コア60に吸引される。このとき、可動コア50のコア段差面53はニードル40のニードル段差面45に当接するため、ニードル40は、可動コア50とともに固定コア60側、すなわち開弁方向へ移動する。これにより、シール部42が弁座312から離座し、噴孔311が開放される。
【0030】
スプリング81は、一端がニードル40の大径部44側の端部に当接するよう設けられている。スプリング81の他端は、固定コア60の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ11の一端に当接している。スプリング81は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング81は、ニードル40を可動コア50とともに閉弁方向に付勢している。
【0031】
スプリング82は、一端が可動コア50の段差面54に当接するよう設けられている。スプリング82の他端は、ハウジング20の第1筒部材21の内側に形成された環状の段差面211に当接している。スプリング82は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング82は可動コア50をニードル40とともに開弁方向に付勢している。
本実施形態では、スプリング81の付勢力は、スプリング82の付勢力よりも大きく設定されている。そのため、コイル70に電力が供給(通電)されていない状態では、ニードル40のシール部42は、弁座312に着座した状態、すなわち閉弁状態となる。
【0032】
図1に示すように、第3筒部材23の第2筒部材22とは反対側の端部には、略円筒状の燃料導入パイプ12が圧入および溶接されている。燃料導入パイプ12の内側には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料の中の異物を捕集する。
【0033】
燃料導入パイプ12および第3筒部材23の径方向外側は、樹脂によりモールドされている。当該モールド部分にコネクタ15が形成されている。コネクタ15には、コイル70へ電力を供給するための端子16がインサート成形されている。また、コイル70の径方向外側には、コイル70を覆うようにして筒状のホルダ17が設けられている。
【0034】
燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料は、固定コア60、アジャスティングパイプ11、ニードル40の大径部44および小径部43の内側、孔47、第1筒部材21とニードル40との間、噴射ノズル30とニードル40との間を流通し、噴孔311に導かれる。つまり、ハウジング20の内側には、燃料が流通する燃料通路18が形成されている。なお、燃料噴射弁10の作動時、可動コア50の周囲は燃料で満たされた状態となる。また、燃料噴射弁10の作動時、可動コア50の通孔55を燃料が流通する。そのため、可動コア50は、ハウジング20の内側で軸方向に円滑に移動可能である。
【0035】
上述のように、ニードル40は、ハウジング20内で往復移動するとき、摺接部42(シール部42側の端部)が噴射ノズル30の筒部32によって支持される。
また、上述のように、可動コア50の外径は、ハウジング20の内径、すなわち第1筒部材21の第2筒部材22側端部、および、第2筒部材22の内径より小さく形成されている。可動コア50は、ハウジング20内で往復移動するとき、環状突出部56が、ハウジング20の内壁、特に第2筒部材22の内壁と摺接し得る。また、このとき、可動コア50の大径内壁面51および小径内壁面52は、ニードル40の大径部44および小径部43の外壁と摺接し得る。
【0036】
このように、本実施形態では、ニードル40は、摺接部42(シール部42側の端部)がハウジング20(噴射ノズル30)の内壁により支持され、大径部44側の端部が可動コア50を介してハウジング20(第2筒部材22)の内壁により支持されつつ、ハウジング20の内側を往復移動する。
また、可動コア50は、磁気吸引力により固定コア60側(開弁方向)に吸引されると、固定コア60側の端面が固定コア60の可動コア50側の端面に衝突する。これにより、可動コア50は、開弁方向への移動が規制される(図3参照)。すなわち、固定コア60は、可動コア50のストッパとして機能する。
【0037】
本実施形態では、ニードル40および可動コア50は、ダンパ室103の容積が最小となるとき(図2参照)の第1隙間101の軸方向の長さL1が第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きくなるよう形成されている。
図2〜4に示すように、第1隙間101および第2隙間102は、ダンパ室103に接続している。可動コア50とニードル40とが、コア段差面53とニードル段差面45とが離間する方向に相対移動するとき(図3および4参照)、ダンパ室103の容積は増大する。よって、このとき、可動コア50の固定コア60側の空間の燃料は、第1隙間101を経由してダンパ室103に流入する。一方、可動コア50の固定コア60とは反対側の空間の燃料は、第2隙間102を経由してダンパ室103に流入する。
【0038】
ここで、円筒状の隙間を流れる流体の量、すなわち隙間流量について、図5に基づき説明する。
図5(A)および(B)に示すように、円筒状の外側部材200と円筒状の内側部材201とが同心となっているとき、外側部材200と内側部材201との間に形成される円筒状の隙間202の径方向の幅は、周方向に一定である。当該隙間202の径方向の幅(外側部材200の内径と内側部材201の外径との差を2で割った値)をh、隙間202の内径(内側部材201の外径)をd、隙間202の軸方向の長さをl、隙間202の両端に接続する空間203と空間204との差圧をΔp、流体の粘性係数をμとすると、空間203から空間204に向かって隙間202を流れる流体の量Qは、下記式1により導かれる。
Q=π×d×h3/(12×μ×l)×Δp ・・・式1
【0039】
一方、図5(C)および(D)に示すように、円筒状の外側部材200と円筒状の内側部材201とが偏心しているとき、円筒状の隙間202の径方向の幅は、周方向で異なる。このときの外側部材200に対する内側部材201の偏心量をeとすると、空間203から空間204に向かって隙間202を流れる流体の量Qは、下記式2により導かれる。
Q=π×d×h3/(12×μ×l)×Δp{1+1.5(e/h)2} ・・・式2
式1および2から、一般に円筒状の隙間の隙間流量は、隙間の内径の1乗、および、隙間の径方向の幅の3乗に比例し、隙間の軸方向の長さに反比例することがわかる。
【0040】
よって、本実施形態では、少なくとも、ダンパ室103の容積が最小となるとき(図2参照)、第1隙間101の軸方向の長さL1は第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きいため、特に第1隙間101の径方向の幅(大径部44の外径、および、大径内壁面51の内径)を厳密に管理することなく、第1隙間101の隙間流量と第2隙間102の隙間流量とを同等にすることができる。
【0041】
次に、燃料噴射弁10の作動について説明する。
コイル70に通電されると、可動コア50は固定コア60に吸引される。これにより、ニードル40は、可動コア50とともに固定コア60側へ移動し、シール部42が弁座312から離座する。これにより、噴孔311は開放された状態(開弁状態)となる。燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料は、燃料通路18を流通し、噴孔311から噴射される。
【0042】
可動コア50は、コイル70により吸引されて固定コア60側へさらに移動すると、固定コア60に衝突し、開弁方向への移動が規制される。可動コア50が固定コア60に衝突すると、ニードル40は、慣性により、スプリング81の付勢力に抗しつつ、大径部44が固定コア60の内側に入り込むよう開弁方向にオーバーシュートする(図3参照)。このとき、ダンパ室103の容積が増大するため、可動コア50の固定コア60側の空間の燃料が、第1隙間101を経由してダンパ室103に流入する。同時に、可動コア50の固定コア60とは反対側の空間の燃料が、第2隙間102を経由してダンパ室103に流入する。このとき生じるダンパ効果により、ニードル40が開弁方向に過度にオーバーシュートするのを抑制することができる。
【0043】
続いて、コイル70への通電がオフされると、ニードル40のシール部42が弁座312に着座し、閉弁する。これにより、燃料噴射が遮断される。
コイル70への通電がオフされることによりニードル40が閉弁すると、可動コア50は、慣性により、スプリング82の付勢力に抗しつつ、閉弁方向にオーバーシュートする(図4参照)。このとき、ダンパ室103の容積が増大するため、可動コア50の固定コア60側の空間の燃料が、第1隙間101を経由してダンパ室103に流入する。同時に、可動コア50の固定コア60とは反対側の空間の燃料が、第2隙間102を経由してダンパ室103に流入する。このとき生じるダンパ効果により、可動コア50が閉弁方向に過度にオーバーシュートするのを抑制することができる。
なお、ダンパ効果は、燃料が第1隙間101および第2隙間102を経由してダンパ室103から流出するとき(ダンパ室103の容積が減少するとき)にも生じる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、ニードル40および可動コア50は、大径部44と大径内壁面51との間に円筒状の第1隙間101を形成し、小径部43と小径内壁面52との間に円筒状の第2隙間102を形成し、ニードル段差面45とコア段差面53との間に容積可変の円環状のダンパ室103を形成する。当該ダンパ室103のダンパ効果によって、ニードル40が弁座312に着座した後、可動コア50が閉弁方向に過度にオーバーシュートするのを抑制することができる。したがって、ニードル40閉弁後の可動コア50のオーバーシュート量を減少させることができ、多段噴射時の噴射間隔を短くすることができる。さらに、ニードル40閉弁後の可動コア50のオーバーシュート量を減少させ、再上昇時にさらに可動コア50の速度を低減できるため、再衝突時に生じ得る不整噴射や、衝突による部材の摩耗を抑制することができる。その結果、燃料噴射弁10の耐久に関する信頼性を向上することができる。
【0045】
また、本実施形態では、ニードル40および可動コア50は、ダンパ室103の容積が最小となるときの第1隙間101の軸方向の長さL1が第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きくなるよう形成されている。円筒状の隙間の隙間流量は、隙間の内径の1乗、および、隙間の径方向の幅の3乗に比例し、隙間の軸方向の長さに反比例する。よって、本実施形態では、特に第1隙間101の径方向の幅を厳密に管理することなく、第1隙間101の隙間流量と第2隙間102の隙間流量とを同等にすることができる。これにより、ダンパ室103によるダンパ効果を効率的に発揮させることができる。また、本実施形態は、可動コア50およびニードル40の2部材でダンパ室103を形成する構成である。よって、簡単な構成で、ダンパ効果を効率的に発揮させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、ニードル40の大径部44は、外径が固定コア60の内径より小さく形成されている。そのため、可動コア50が固定コア60に衝突した後、大径部44が固定コア60の内側に入り込むようニードル40を開弁方向にオーバーシュートさせることができる。これにより、可動コア50と固定コア60との衝突に伴う衝撃荷重を抑制できる。その結果、燃料噴射弁10の作動音や衝突による可動コア50および固定コア60の摩耗を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、ダンパ室103のダンパ効果によって、可動コア50が固定コア60に衝突した後、ニードル40が開弁方向に過度にオーバーシュートするのを抑制することができる。したがって、本実施形態では、可動コア50が固定コア60に衝突した後に生じ得るニードル40および可動コア50のバウンスを緩衝することで、噴射量のリニアリティを改善することができる。
【0048】
また、本実施形態は、可動コア50をニードル40とともに開弁方向に付勢するスプリング82をさらに備えている。スプリング82の付勢力により、可動コア50とニードル40との位置関係、および、ダンパ室103の容積変化を安定させることができる。これにより、燃料噴射弁10を安定して作動させることができるとともに、作動音を抑制することができる。
【0049】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料噴射弁を図6に基づき説明する。第2実施形態では、ニードル40の大径部44の大きさ(外径)が第1実施形態と異なる。
【0050】
第2実施形態では、大径部44は、外径が固定コア60の内径より大きく形成されている。つまり、第2実施形態の大径部44は、第1実施形態の大径部44と比べ外径が大きく形成されている。また、第2実施形態の大径内壁面51も、第1実施形態の大径内壁面51と比べ内径が大きく形成されている。そのため、第2実施形態では、ニードル段差面45およびコア段差面53も、第1実施形態と比べ面積が大きい。
【0051】
本実施形態では、ニードル40は、コイル70により可動コア50とともに吸引されると、大径部44が固定コア60に衝突するため、開弁方向にオーバーシュートすることはない。しかしながら、第1実施形態と比べ、ニードル段差面45およびコア段差面53の面積が大きいため、ニードル40に対する可動コア50の相対移動量あたりのダンパ室103の容積変化率を大きくすることができる。よって、ダンパ効果をより効率的に発揮することができる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による燃料噴射弁を図7に基づき説明する。第3実施形態では、ニードル40の構成が第1実施形態と異なる。
【0053】
第3実施形態では、ニードル40は、小径部43と大径部44とを接続し小径部43よりも外径が小さい円筒状の接続部48を有している。これにより、小径部43と大径部44との間には、円環状のリセス(溝)49が形成される。この構成では、小径部43と大径部44とがリセス49により隔てられているため、小径部43の大径部44側端部の外壁を、軸方向に外径が均一になるよう加工するのが容易になる。よって、ニードル40を加工するとき、第2隙間102の内径および径方向の幅を容易に調整することができる。なお、本実施形態においても、ダンパ室103の容積が最小となるとき(図7参照)の第1隙間101の軸方向の長さL1は、第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きい。
【0054】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による燃料噴射弁を図8に基づき説明する。第4実施形態では、ニードル40の大径部44の大きさ(軸方向の長さ)が第1実施形態と異なる。
【0055】
第4実施形態では、ニードル40の大径部44の軸方向の長さは、可動コア50の大径内壁面51の軸方向の長さより小さい。そのため、ニードル段差面45とコア段差面53とが当接している状態では、大径部44の燃料導入パイプ12側の端面は、可動コア50の燃料導入パイプ12側の端面よりも噴射ノズル30側に位置する。なお、本実施形態においても、ダンパ室103の容積が最小となるとき(図8参照)の第1隙間101の軸方向の長さL1は、第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きい。
本実施形態では、燃料噴射弁の作動中、スプリング81の端部が径方向にずれることで可動コア50の固定コア60側の端面を閉弁方向に付勢してしまうのを抑制することができる。
【0056】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による燃料噴射弁を図9に基づき説明する。第5実施形態では、ニードル40の大径部44の大きさ(軸方向の長さ)が第1実施形態および第4実施形態と異なる。
【0057】
第5実施形態では、ニードル40の大径部44の軸方向の長さは、可動コア50の大径内壁面51の軸方向の長さより大きい。そのため、ニードル段差面45とコア段差面53とが当接している状態では、大径部44の燃料導入パイプ12側の端面は、可動コア50の固定コア60側の端面よりも燃料導入パイプ12側に位置する。また、ニードル40が閉弁した状態において、大径部44の燃料導入パイプ12側の端部は、固定コア60の内側に位置する。なお、本実施形態においても、ダンパ室103の容積が最小となるとき(図9参照)の第1隙間101の軸方向の長さL1は、第2隙間102の軸方向の長さL2よりも大きい。
本実施形態では、第4実施形態と同様、燃料噴射弁の作動中、スプリング81の端部が径方向にずれることで可動コア50の固定コア60側の端面を閉弁方向に付勢してしまうのを抑制することができる。
【0058】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による燃料噴射弁を図10に基づき説明する。第6実施形態では、ニードル40の大径部44の大きさ(外径)が第5実施形態と異なる。
【0059】
第6実施形態では、大径部44は、外径が固定コア60の内径と同等、または、固定コア60の内径よりやや小さく形成されている。そのため、ニードル40は、ハウジング20の内側で往復移動するとき、大径部44の外壁が固定コア60の内壁に摺接する。つまり、ニードル40は、大径部44側の端部を固定コア60により往復移動可能に支持されている。よって、ニードル40は、往復移動時の姿勢が安定する。その結果、ニードル40と可動コア50との相対移動に伴う、大径部44の外壁および小径部43の外壁と大径内壁面51および小径内壁面52との摺接による局所的な摩耗を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態ではニードル40の大径部44側の端部が固定コア60により支持されているため、可動コア50の外壁(環状突出部56)がハウジング20の内壁に摺接するのを抑制できる。よって、可動コア50とハウジング20との摺接による摩耗を抑制できる。
【0061】
(他の実施形態)
本発明の他の実施形態では、第2付勢部材としてのスプリング82を備えない構成としてもよい。
【0062】
上述の実施形態では、ハウジング、ニードル、可動コアおよび固定コアをステンレスで形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ハウジング、ニードル、可動コアおよび固定コアを例えば鉄等、ステンレス以外の金属で形成することとしてもよい。また、各部材の硬度は、どのように設定してあってもよい。また、第1筒部材と噴射ノズルとは、同一の材料で一体に形成されていてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、ニードルの小径部、大径部および接続部が中空円筒状に形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ニードルの小径部、大径部および接続部は中実円筒状に形成されていてもよい。
【0064】
本発明の燃料噴射弁は、直噴式のガソリンエンジンに限らず、例えばポート噴射式のガソリンエンジンやディーゼルエンジン等に適用してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 ・・・・燃料噴射弁
18 ・・・・燃料通路
20 ・・・・ハウジング
21 ・・・・第1筒部材(ハウジング)
22 ・・・・第2筒部材(ハウジング)
23 ・・・・第3筒部材(ハウジング)
30 ・・・・噴射ノズル(ハウジング)
311 ・・・噴孔
312 ・・・弁座
40 ・・・・ニードル
41 ・・・・本体
42 ・・・・シール部
43 ・・・・小径部
44 ・・・・大径部
45 ・・・・ニードル段差面
50 ・・・・可動コア
51 ・・・・大径内壁面
52 ・・・・小径内壁面
53 ・・・・コア段差面
60 ・・・・固定コア
70 ・・・・コイル
81 ・・・・スプリング(第1付勢部材)
101 ・・・第1隙間
102 ・・・第2隙間
103 ・・・ダンパ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端に形成され燃料が噴射される噴孔、当該噴孔の周囲に形成される弁座、および、前記噴孔への燃料が流通する燃料通路を有する筒状のハウジングと、
前記ハウジング内に往復移動可能に設けられ、棒状の本体、当該本体の前記弁座側の端部に形成されるシール部、前記本体の前記シール部とは反対側の端部に形成される円筒状の小径部、当該小径部の前記シール部とは反対側に形成され前記小径部より外径が大きい円筒状の大径部、および、当該大径部の軸に対し垂直となるよう前記大径部と前記小径部との間に形成される円環状のニードル段差面を有し、前記シール部が前記弁座から離座または前記弁座に着座することで前記噴孔を開閉するニードルと、
前記大径部の外径より内径が大きい大径内壁面、当該大径内壁面より内径が小さく前記小径部の外径より内径が大きい小径内壁面、および、当該小径内壁面の軸に対し垂直となるよう前記小径内壁面と前記大径内壁面との間に形成される円環状のコア段差面を有し、前記小径内壁面の内側に前記小径部が位置し前記大径内壁面の内側に前記大径部が位置する状態で前記ニードルに対し軸方向に相対移動可能に設けられる可動コアと、
前記ハウジング内に固定されるようにして設けられる筒状の固定コアと、
通電により前記可動コアと前記固定コアとの間に磁気吸引力を発生させることで、前記可動コアを前記ニードルとともに開弁方向に吸引するコイルと、
前記ニードルを閉弁方向に付勢する第1付勢部材と、を備え、
前記ニードルおよび前記可動コアは、前記大径部と前記大径内壁面との間に円筒状の第1隙間を形成し、前記小径部と前記小径内壁面との間に円筒状の第2隙間を形成し、前記ニードル段差面と前記コア段差面との間に容積可変の円環状のダンパ室を形成し、当該ダンパ室の容積が最小となるときの前記第1隙間の軸方向の長さが前記第2隙間の軸方向の長さよりも大きくなるよう形成されていることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記大径部は、外径が前記固定コアの内径より小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
前記ニードルは、前記小径部と前記大径部とを接続し前記小径部よりも外径が小さい円筒状の接続部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記可動コアを前記ニードルとともに開弁方向に付勢する第2付勢部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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