説明

燃料残量検出装置

【課題】燃料残量を適正に検出することのできる燃料残量検出装置を提供する。
【解決手段】この装置は、燃料を備蓄する燃料タンク12が設けられた車両10に適用されて、燃料タンク12内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサ28を備える。レベルセンサ28の出力信号に基づいて燃料タンク12内の燃料残量を検出する。車両10の走行中において、同車両10の加速度の絶対値が所定値より小さく且つ車両の操舵角が所定角度より小さいとの検出条件の成立時には、レベルセンサ28の出力信号に基づく燃料残量の検出を許可する。検出条件の未成立時にはレベルセンサ28の出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに備蓄された燃料の残量を検出する燃料残量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車などの車両には燃料タンクが設けられており、同燃料タンクの内部には車両の駆動源として設けられた内燃機関に供給される燃料が備蓄されている。そして、そうした燃料タンク内の燃料の残量を検出するための燃料残量検出装置として、同燃料タンク内に備蓄されている燃料の液面高さ(液面レベル)を検出するためのレベルセンサを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この装置では、レベルセンサの出力信号に基づいて燃料タンク内の燃料残量が求められる。
【特許文献1】特開平1−15616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、車両が走行されると、同車両の加減速や旋回、走行路面の傾斜角度の変化などに起因して燃料タンク内の燃料が移動して同燃料の液面が揺れてしまう。上記燃料残量検出装置では、そのようにして燃料タンク内の燃料の液面が揺れた場合に、これに伴ってレベルセンサの出力信号が変動するようになるために、液面レベルを正確に検出することができなくなり、これにより燃料残量の検出精度の低下を招いてしまう。
【0004】
ちなみに、車両の走行中においてレベルセンサを通じた燃料残量の検出を禁止するとの検出手法を採用することにより、燃料残量の検出精度の向上を図ることが可能になる。しかしながら、この場合には車両停止時においてのみ燃料残量の検出が許可されるようになるために、燃料残量の検出を実行可能な期間がごく短くなってしまう。そのため、上記検出手法を採用した装置は、そのときどきの燃料残量を適切に監視することのできるものにはならない。
【0005】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料残量を適正に検出することのできる燃料残量検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、燃料を備蓄する燃料タンクが設けられた車両に適用されて、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサを備え、同レベルセンサの出力信号に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出装置において、前記車両の走行中であって、同車両の加速度の絶対値が所定値より小さいとの検出条件の成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を許可し、前記検出条件の不成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止することをその要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、燃料タンク内の燃料液面の揺れが大きい状況になるおそれのある車両の走行時であっても、同車両の加速度の絶対値が小さいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いときには、レベルセンサの出力信号に基づく燃料残量の検出が許可されるために、同燃料残量の検出機会を確保することができる。しかも、車両の加速度の絶対値が大きいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いときには、レベルセンサの出力信号に基づく燃料残量の検出が禁止されるため、燃料残量の検出精度の低下を抑えることができる。このように上記構成によれば、燃料残量の検出精度の低下を抑えつつ同燃料残量の検出機会を確保することができ、燃料残量を適正に検出することができるようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、燃料を備蓄する燃料タンクが設けられた車両に適用されて、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサを備え、同レベルセンサの出力信号に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出装置において、前記車両の走行中であって、同車両の加速度の絶対値が所定値より小さく且つ前記車両の操舵角が所定角度より小さいとの検出条件の成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を許可し、前記検出条件の未成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止することをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、燃料タンク内の燃料液面の揺れが大きい状況になるおそれのある車両の走行時であっても、同車両の加速度の絶対値が小さく且つ車両の操舵角が小さいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いときには、レベルセンサの出力信号に基づく燃料残量の検出が許可されるために、同燃料残量の検出機会を確保することができる。しかも、車両の加速度の絶対値が大きいときや車両の操舵角が大きいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いときには、レベルセンサの出力信号に基づく燃料残量の検出が禁止されるため、燃料残量の検出精度の低下を抑えることができる。このように上記構成によれば、燃料残量の検出精度の低下を抑えつつ同燃料残量の検出機会を確保することができ、燃料残量を適正に検出することができるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、燃料を備蓄する燃料タンクが設けられた車両に適用されて、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサを備え、同レベルセンサの出力信号に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出装置において、前記車両の走行中であって、同車両の操舵角が所定角度より小さいとの検出条件の成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を許可し、前記検出条件の未成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止することをその要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、燃料タンク内の燃料液面の揺れが大きい状況になるおそれのある車両の走行時であっても、同車両の操舵角が小さいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いときには、レベルセンサの出力信号に基づく燃料残量の検出が許可されるために、同燃料残量の検出機会を確保することができる。しかも、車両の操舵角が大きいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いときには、レベルセンサの出力信号に基づく燃料残量の検出が禁止されるため、燃料残量の検出精度の低下を抑えることができる。このように上記構成によれば、燃料残量の検出精度の低下を抑えつつ同燃料残量の検出機会を確保することができ、燃料残量を適正に検出することができるようになる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の燃料残量検出装置において、前記加速度の絶対値が所定値より小さい状態が所定期間にわたり継続されていることを条件に前記検出条件が成立していると判断することをその要旨とする。
【0013】
また請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の燃料残量検出装置において、
前記操舵角が所定角度より小さい状態が所定期間にわたり継続されていることを条件に前記検出条件が成立していると判断することをその要旨とする。
【0014】
請求項4または5に記載の構成によれば、燃料液面の揺れが小さくなる可能性が高い状態の継続によって同揺れが小さくなっている可能性がごく高い条件下においてのみ燃料残量の検出を実行することができ、高い精度で燃料残量を検出することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の燃料残量検出装置において、前記車両はガソリンとアルコールとを前記燃料として使用可能な内燃機関が動力源として搭載されてなり、前記燃料タンクは前記内燃機関に供給するための燃料を備蓄するものであることをその要旨とする。
【0016】
近年、燃料としてアルコールとガソリンとを使用可能な内燃機関が実用化されつつある。この内燃機関はアルコールのみ、あるいはガソリンのみを燃料として用いた運転が可能であることの他、アルコールとガソリンとが任意の割合で混合された混合燃料を用いた運転も可能になっている。燃料のアルコール濃度の変化に伴って燃料の性状が変化するため、安定した状態で燃料を燃焼させることの可能な燃料供給量はアルコール濃度に応じて異なる量になる。そのため上記混合燃料が用いられる内燃機関では、燃料のアルコール濃度に応じたかたちで、燃料供給量を調節する制御(いわゆる燃料噴射制御)を実行することが求められる。
【0017】
上記構成によれば、そうした内燃機関に供給するための燃料が備蓄された燃料タンク内の燃料残量を比較的高い頻度で検出することができる。そのため、燃料タンク内への燃料補給が行われたときに、これを燃料残量の増加をもって早期に判断することができる。そして、このとき燃料のアルコール濃度が変化する可能性があるとして、そうした状況に応じたかたちで燃料噴射制御を実行することができるようになる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の燃料残量検出装置において、前記車両は、前記検出した燃料残量に基づいて前記燃料タンク内の燃料の増加度合いが算出されるとともに該算出された増加度合いに基づいて前記内燃機関の運転制御が実行されるものであることをその要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、燃料タンク内の燃料の増加度合いを、燃料が補給されたことやその補給に伴って燃料のアルコール濃度が変化する可能性のある変化範囲などを判断するための値として用いることができる。そのため、燃料タンク内への燃料補給が行われた直後において機関制御を適切に実行することができる。
【0020】
なお、上記増加度合いは燃料残量の増加量や同燃料残量の増加比率を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明にかかる燃料残量検出装置を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる燃料残量検出装置が設けられた車両の全体構成を示す。
同図1に示すように、車両10にはその動力源としての内燃機関11が搭載されている。この内燃機関11は、ガソリンとアルコールとの二種類の燃料を使用可能なものであり、アルコールのみ、あるいはガソリンのみを燃料として用いた運転が可能であることの他、アルコールとガソリンとが任意の割合で混合された混合燃料を用いた運転も可能になっている。車両10には内燃機関11に供給するための燃料が備蓄された燃料タンク12と同燃料タンク12内の燃料を内燃機関11の燃焼室15に供給するためのインジェクタ13とが設けられている。
【0022】
また、車両10には電子制御ユニット20が設けられている。電子制御ユニット20は、内燃機関11の運転にかかる各種制御についての演算処理を実施するCPU、制御用のプログラムやデータの記憶された不揮発性のメモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶する揮発性のメモリ(RAM)や不揮発性のメモリ(EEPROM)、外部との信号の入出力のための入出力ポートを備えて構成されている。
【0023】
車両10にはその運転状態を検出するための各種センサ類が設けられている。そうしたセンサ類としては、例えば内燃機関11の出力軸14の回転速度(機関回転速度NE)を検出するための回転速度センサ21や、内燃機関11の燃焼室15に吸入される空気の量(吸入空気量GA)を検出するためのエアフローメータ22が設けられている。また、アクセルペダル16の踏み込み量(アクセル踏み込み量ACC)を検出するためのアクセルセンサ23や、ステアリング17の操舵角を検出するための操舵角センサ24、車両10の走行速度(車速SPD)を検出するための速度センサ25、排気の酸素濃度を通じて混合気の空燃比を検出するための空燃比センサ26が設けられている。その他、内燃機関11の運転および運転停止を切り替えるために運転者により操作される運転スイッチ27や、燃料タンク12内に備蓄されている燃料の量(燃料残量)を検出するためのレベルセンサ28なども設けられている。なお、このレベルセンサ28としては、燃料タンク12内の燃料に液面に浮かぶフロートを有するタイプのものであって、燃料の液面高さ(液面レベル)を検出するものが採用されている。
【0024】
これらセンサ類の出力信号は電子制御ユニット20に入力されている。そして電子制御ユニット20は、それらセンサ類の出力信号に基づいて各種の演算を行い、その演算結果に基づいて上記インジェクタ13の駆動制御(燃料噴射制御)などといった内燃機関11の運転にかかる各種制御を実行する。
【0025】
ここで、備蓄されている燃料と異なるアルコール濃度の燃料が燃料タンク12に補給されると、同燃料タンク12内の燃料のアルコール濃度が変化し、これに伴って燃料の性状も変化してしまう。そのため上記内燃機関11において安定した状態で燃料を燃焼させることの可能な燃料供給量はアルコール濃度に応じて異なる量になってしまう。この点をふまえて本実施の形態では、上記燃料噴射制御が、燃料タンク12内に備蓄されている燃料のアルコール濃度に応じたかたちで実行される。
【0026】
以下、そうした燃料噴射制御の実行態様について具体的に説明する。
内燃機関11の運転中においては、基本的に、燃料噴射制御における燃料噴射量の調節が以下のように実行される。
【0027】
すなわち先ず、基本噴射量Tbおよびフィードバック補正量Kfbが算出されるとともに、空燃比学習値Gafおよびアルコール濃度学習値Galが読み込まれる。そして、それら値Tb,Kfb,Gaf,Galに基づいて燃料噴射量についての制御目標値(要求噴射量Tq)が求められ、この要求噴射量Tqと同一量の燃料が噴射されるようにインジェクタ13が開弁駆動される。
【0028】
なお上記「基本噴射量Tb」は、燃料噴射量についての基本値であり、吸入空気量GAおよび機関回転速度NEに基づきマップから算出される。なお、同マップには、吸入空気量GAおよび機関回転速度NEにより定まる運転状態と混合気の空燃比を所望の比率(例えば理論空燃比)にすることの可能な燃料噴射量(基本噴射量Tb)との関係が実験結果などに基づき予め求められて設定されている。また、吸入空気量GAは、別途の処理を通じて、アクセル踏み込み量ACCや機関回転速度NEに応じたかたちで調節されている。
【0029】
また、上記「フィードバック補正量Kfb」は、空燃比フィードバック処理の実行時において算出される補正項であり、混合気の実際の空燃比と所望の空燃比(例えば理論空燃比)とを一致させるべく空燃比センサ26の出力信号とその基準値との差に基づき算出される値である。なお、空燃比フィードバック処理は内燃機関11の始動時や同内燃機関11の温度が低いときには実行されない。そのため空燃比フィードバック処理の未実行時においては、フィードバック補正量Kfbが算出されず、要求噴射量Tqが基本噴射量Tb、空燃比学習値Gaf、およびアルコール濃度学習値Galに基づき求められる。
【0030】
さらに、上記「空燃比学習値Gaf」は、空燃比フィードバック処理の実行時において算出される学習項であり、内燃機関11に燃料を供給する燃料供給系の構成部品(インジェクタ13など)の個体差や経時変化に起因する混合気の実際の空燃比と所望の空燃比との定常的なずれを補償するための値である。この空燃比学習値Gafは、空燃比センサ26の出力信号がリッチ(実際の空燃比<所望の空燃比)を示す値であるときには所定値だけ小さい値に変更される一方、同出力信号がリーン(実際の空燃比>所望の空燃比)を示す値であるときには所定値だけ大きい値に変更されるといったように、空燃比センサ26の出力信号に基づき変更される。なお、この空燃比学習値Gafは電子制御ユニット20の不揮発性のメモリに記憶されている。
【0031】
また、上記「アルコール濃度学習値Gal」は、空燃比フィードバック処理の実行時において算出される学習項であり、燃料のアルコール濃度の変化に起因する混合気の実際の空燃比と所望の空燃比とのずれを補償するための値である。このアルコール濃度学習値Galは、上記空燃比学習値Gafと同一態様で変更される。ただし、このアルコール濃度学習値Galを学習する処理は、燃料タンク12内への燃料補給が行われたことを条件に、空燃比フィードバック処理の実行が開始されるタイミングで、空燃比学習値Gafを学習する処理の実行を禁止した上で実行される。このアルコール濃度学習値Galについても空燃比学習値Gafと同様に、電子制御ユニット20の不揮発性のメモリに記憶されている。
【0032】
一方、内燃機関11の始動に際しては、燃料噴射制御における燃料噴射量の調節が以下のように実行される。
すなわち、この場合には、基本噴射量Qstおよび補給補正量Ksが算出されるとともに、アルコール濃度学習値Galが読み込まれる。そして、それら値Qst,Ks,Galに基づき燃料噴射量についての制御目標値(要求噴射量Tqst)求められ、この要求噴射量Tqstと同一量の燃料が噴射されるようにインジェクタ13が開弁駆動される。
【0033】
なお、上記「基本噴射量Qst」は、内燃機関11の温度(詳しくは、機関冷却水の温度)に基づきマップから算出される値である。なお、同マップには、アルコール濃度が所定濃度であるときにおいて内燃機関11を確実に始動させることの可能な燃料噴射量に相当する値(基本噴射量Qst)と内燃機関11の温度との関係が実験結果などに基づき予め求められて設定されている。
【0034】
また、上記「補給補正量Ks」は、後述する燃料補給比率Rvfに基づき算出される値である。なお、この燃料補給比率Rvfとしては、燃料補給前の燃料残量を燃料補給後の燃料残量によって商算した値に相当する値が算出される。ここで燃料タンク12内に燃料が補給されたときに、同燃料タンク12内の燃料のアルコール濃度が変化して、上述した処理を通じて学習されて電子制御ユニット20に記憶されているアルコール濃度学習値Galと実際の燃料のアルコール濃度に見合う学習値とが大きく懸け離れた値になることがある。この場合には燃料の燃焼状態の悪化を招くばかりか、失火が発生するおそれもある。そして、内燃機関11の始動に際してそのような状況になると、燃焼状態の悪化によって始動性の低下を招いてしまう。この点をふまえて、上記補給補正量Ksとしては、燃料補給に伴って燃料タンク12内の燃料のアルコール濃度が大きく変化した場合であっても内燃機関11の始動性能が確保されるようになる値が算出されるようになっている。なお本実施の形態では、燃料が補給されたことを、燃料補給比率Rvfが所定値より大きいことをもって判断する。
【0035】
ところで、燃料補給に伴って燃料タンク12内の燃料のアルコール濃度が変化した場合に燃料噴射制御を適正に実行するためには、燃料が補給されたことが早期に判断されることが望ましく、また燃料補給比率Rvfが早期に算出されることが望ましい。
【0036】
ただし、前述したように車両10の走行中においては、同車両10の加減速や旋回、走行路面の傾斜角度の変化などに起因して燃料タンク12内の燃料の液面が揺れるために、燃料残量の検出精度が低下し易い。その一方で、これも前述したように車両10の走行中において燃料残量の検出を禁止するようにすると、燃料残量の検出を実行可能な期間がごく短くなってしまい、そのときどきの燃料残量を適切に監視することができなくなってしまう。
【0037】
こうした実情をふまえて、本実施の形態では、以下のような状況に限って燃料残量の検出を許可するようにしている。すなわち先ず、車両10の停止時においては、レベルセンサ28の出力信号Vfの変動幅が小さいことをもって同出力信号Vfに基づく燃料残量の検出が許可される。また、車両10の走行中においては、「レベルセンサ28の出力信号Vfの変動幅が小さいこと」との条件に加えて、「車両10の加速度の絶対値が小さいこと」との条件、および「車両10の操舵角が小さいこと」との条件が成立していることをもって同レベルセンサ28の出力信号Vfに基づく燃料残量の検出が許可される。
【0038】
これにより、車両10が停止しており燃料タンク12内の燃料の液面が揺れていないときや、車両10が停止した後において燃料液面の揺れが小さくなったときには、燃料残量の検出が直ちに実行されて同燃料残量が精度よく検出されるようになる。また、車両10が停止されているときであっても、その停止直後において燃料タンク12内の燃料液面の揺れが収まっていないときには、燃料残量の検出が禁止されて、検出精度の低下が抑えられるようになる。
【0039】
一方、車両10が走行しているときであっても、燃料タンク12内の燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いとき(具体的には、車両10の走行速度の変化が小さく、且つ車両10の旋回半径が大きく、且つレベルセンサ28の出力信号Vfの変動幅が小さい)ときには、燃料残量の検出が許可される。そのため、車両10の走行中である場合には燃料タンク12内の燃料残量の検出が必ず禁止されるものと比較して、同燃料残量を早期に検出することが可能になる。また、車両10の走行中において、燃料タンク12内の燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いとき(具体的には、車両10の走行速度の変化が大きい、あるいは車両10の旋回半径が小さい、あるいはレベルセンサ28の出力信号Vfの変動幅が大きいとき)には、燃料残量の検出が禁止される。これにより、車両10の走行中にあって燃料液面の揺れが小さいと見込まれるときに限って燃料残量の検出が許可されるようになり、車両10の走行中において燃料残量の検出が行われるとはいえ、その検出精度の低下が的確に抑えられるようになる。
【0040】
このように本実施の形態では、燃料タンク12内の燃料残量の検出が早期に且つ精度よく行われるようになり、ひいては同燃料タンク12内への燃料補給が行われたことについての判断や前記燃料補給比率Rvfの算出についても同様に早期に且つ精度よく行われるようになる。そのため、燃料タンク12内への燃料補給が行われた場合において、内燃機関11の始動時における燃料噴射制御の実行態様の燃料補給時に適した実行態様への移行や、アルコール濃度学習値Galを学習する処理への移行が早期に完了されるようになり、燃料補給による燃料性状の変化を見込んだかたちでの機関制御に速やかに移行するようになる。
【0041】
以下、そのように燃料残量を検出する処理(燃料残量検出処理)の詳細について説明する。
図2は燃料残量検出処理の実行手順を示すフローチャートであり、同フローチャートに示される一連の処理は所定周期毎の処理として電子制御ユニット20により実行される。
【0042】
同図2に示すように、この処理では先ず、車両10が停止しているか否かが判断される(ステップS10)。ここでは、車速SPDが所定速度(例えば、1.0km毎時)以下であることをもって車両10が停止していると判断される。そして、車両10が停止していると判断される場合には(ステップS10:YES)、停止時処理(ステップS11)が実行される。
【0043】
図3に、この停止時処理の具体的な実行手順を示す。
同図3に示すように、停止時処理では先ず、レベルセンサ28の出力信号Vfについての徐変値Vfsmが算出される(ステップS110)。なお、この徐変値Vfsmは運転スイッチ27がオフ操作されると初期値にリセットされる値である。そして、運転スイッチ27がオン操作されたときには、そのときのレベルセンサ28の出力信号Vfが徐変値Vfsmとして記憶される。また、その後においては前回算出された徐変値を「Vfsmi」とし所定の係数を「n(正の数)」とすると、徐変値Vfsmが以下の関係式(1)を通じて算出される。
【0044】

Vfsm←Vfsmi+(Vf−Vfsmi)/n …(1)

このように徐変値Vfsmが算出された後、停止時用安定カウンタのカウント値Cspが「0」であるか否かが判断される(ステップS111)。この停止時用安定カウンタは、運転スイッチ27がオフ操作されたときにカウント値Cspが「0」にリセットされるカウンタである。そして、停止時用安定カウンタのカウント値Cspが「0」である場合には(ステップS111:YES)、このときのレベルセンサ28の出力信号Vfが基準値Vfb1として記憶される(ステップS112)。この基準値Vfb1は、運転スイッチ27がオフ操作されたときに初期値にリセットされる値である。一方、停止時用安定カウンタのカウント値Cspが「0」ではない場合には(ステップS111:NO)、ステップS112の処理がジャンプされる。
【0045】
次に、基準値Vfb1と出力信号Vfとの差の絶対値(|Vfb1−Vf|)が求められるとともに同絶対値が所定値Tspより小さいか否かが判断される(ステップS113)。なお、所定値Tspとしては、燃料タンク12内の燃料液面の揺れが小さい状況であることを精度よく判定することの可能な値が実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。
【0046】
そして、上記絶対値が所定値Tspより小さい場合には(ステップS113:YES)、このとき燃料タンク12内の燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いとして、停止時用カウンタのカウント値Cspがインクリメントされる(ステップS114)。一方、上記絶対値が所定値Tsp以上である場合には(ステップS113:NO)、このとき燃料タンク12内の燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いとして、停止時用カウンタのカウント値Cspが「0」にリセットされる(ステップS115)。
【0047】
その後、停止時用カウンタのカウント値Cspが所定値Aspより大きいか否かが判断される(ステップS116)。なお、所定値Aspとしては、徐変値Vfsmが実際の液面レベルに即した値になるのに十分な期間にわたって上記燃料液面の揺れが小さい状況が継続されていることを判定可能な値が実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。
【0048】
そして、上記カウント値Cspが所定値Aspより大きい場合には(ステップS116:YES)、上記燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高い状態が所定期間にわたり継続されており、徐変値Vfsmが実際の液面レベルに即した値になっているとして、同徐変値Vfsmが仮値Vfspnとして記憶される(ステップS117)。なお、この仮値Vfspnは、運転スイッチ27がオフ操作された際に内燃機関11の運転停止時における燃料残量に相当する値(停止時燃料残量Vfsp)として電子制御ユニット20の不揮発性のメモリに記憶される値である。
【0049】
一方、停止時用カウンタのカウント値Cspが所定値Asp以下である場合には(ステップS116:NO)、電子制御ユニット20に記憶されている停止時燃料残量Vfspから運転スイッチ27がオン操作された後における燃料噴射量の積算値を減算した値が仮値Vfspnとして記憶される(ステップS118)。すなわち、この場合には上記燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高い、あるいは同揺れが小さい状況である可能性が高い状態の継続期間が所定期間に達していないことから、徐変値Vfsmが実際の液面レベルに即した値になっていないとして、同徐変値Vfsmよりも精度の高い値(燃料噴射量の積算値と停止時燃料残量Vfspとから求められる燃料残量)が仮値Vfspnとして記憶される。なお、燃料噴射量の積算値は、別途の処理を通じて、そのときどきの要求噴射量に基づき算出されている。
【0050】
こうした停止時処理(図2のステップS11)の後、実行フラグがオフ操作されているか否かが判断される(ステップS12)。この実行フラグは、前記燃料補給比率Rvfの算出が実行されたときにオン操作される一方、運転スイッチ27がオフ操作されたときにオフ操作されるフラグである。実行フラグがオフ操作されていることをもって、運転スイッチ27がオン操作された後において燃料補給比率Rvfが算出された履歴がないことが分かる。
【0051】
そして、実行フラグがオフ操作されている場合には(ステップS12:YES)、このときの徐変値Vfsmと電子制御ユニット20の不揮発性のメモリに記憶されている停止時燃料残量Vfspとに基づいて以下の関係式(2)から、燃料補給比率Rvfが算出されるとともに(ステップS13)、実行フラグがオン操作される(ステップS14)。
【0052】

Rvf=Vfsm/Vfsp …(2)

なお、実行フラグがオン操作されている場合には(ステップS12:NO)、燃料補給比率Rvfが算出されず、実行フラグがオン操作されない(ステップS13の処理およびステップS14の処理がジャンプされる)。また、燃料補給比率Rvfは運転スイッチ27のオフ操作によって初期値(例えば「1.0」)にリセットされる値である。
【0053】
その後、運転スイッチ27がオフ操作されたことを条件に(ステップS15:YES)、前記仮値Vfspnが停止時燃料残量Vfspとして記憶された後(ステップS16)、本処理は一旦終了される。
【0054】
一方、ステップS10の処理において、車両10が走行していると判断される場合には(ステップS10:NO)、実行フラグがオフ操作されているか否かが判断される(ステップS17)。そして、実行フラグがオフ操作されている場合には(ステップS17:YES)、次の処理(ステップS18〜S20)を通じて、燃料補給比率Rvfが算出される。すなわち先ず、走行時処理(ステップS18)が実行される。
【0055】
図4に、この走行時処理の実行手順を示す。
同図4に示すように、走行時処理では先ず、走行時用安定カウンタのカウント値Crnが「0」であるか否かが判断される(ステップS180)。この走行時用安定カウンタは、運転スイッチ27がオフ操作されたときにカウント値Crnが「0」にリセットされるカウンタである。そして、走行時用安定カウンタのカウント値Crnが「0」である場合には(ステップS180:YES)、このときのレベルセンサ28の出力信号Vfが基準値Vfb2として記憶される(ステップS181)。この基準値Vfb2は、運転スイッチ27がオフ操作されたときに初期値にリセットされる値である。一方、走行時用安定カウンタのカウント値Crnが「0」ではない場合には(ステップS180:NO)、ステップS181の処理がジャンプされる。
【0056】
次に、実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS182)。ここでは、以下の(条件イ)〜(条件ハ)の全てが満たされることをもって実行条件が成立していると判断される。
(条件イ)基準値Vfb2と出力信号Vfとの差の絶対値(|Vfb2−Vf|)が所定値Trnより小さいこと。なお、この所定値Trnとしては、燃料タンク12内の燃料液面の揺れが小さい状況であることを精度よく判定することの可能な値が実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。
(条件ロ)車両10の加速度の絶対値が所定値Bより小さいこと。具体的には、車速SPDの単位時間(例えば、数十ミリ秒)当たりの変化量が所定値Bより小さいこと。なお所定値Bとしては、レベルセンサ28を通じた液面レベルの検出に対する影響がごく小さくなる程度に燃料タンク12内の燃料液面の揺れ度合いが小さく抑えられる状況であることを精度よく判定することの可能な値が実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。
(条件ハ)車両10の操舵角が所定角度Cより小さいこと。具体的には、ステアリング17の操舵角が所定角度Cより小さいこと。なお所定角度Cとしては、レベルセンサ28を通じた液面レベルの検出に対する影響がごく小さくなる程度に燃料タンク12内の燃料液面の揺れ度合いが小さく抑えられる状況であることを精度よく判定することの可能な角度が実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。
【0057】
そして、実行条件が成立しているときには(ステップS182:YES)、車両10が走行されているとはいえその走行速度の変化が小さく且つ旋回半径が大きく且つレベルセンサ28の出力信号Vfの変動幅が小さいために、同車両10の加減速や旋回、走行路面の傾斜角度の変化に起因する燃料タンク12内の燃料の移動が小さく、燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いと判断される。そして、このとき走行時用安定カウンタのカウント値Crnがインクリメントされる(ステップS183)。一方、実行条件が未成立であるときには(ステップS182:NO)、車両10の加減速や旋回、走行路面の傾斜角度の変化に起因する燃料タンク12内の燃料の移動が大きく、燃料タンク12内の燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いとして、走行時用安定カウンタのカウント値Crnが「0」にリセットされる(ステップS184)。
【0058】
こうした走行時処理(図2のステップS18)の後、走行時用安定カウンタのカウント値Crnが所定値Arnより大きいか否かが判断される(ステップS19)。なお、所定値Arnとしては、レベルセンサ28の出力信号Vfが実際の液面レベルに即した値に近い値となるのに十分な期間にわたって上記燃料液面の揺れが小さい状況が継続されていることを判定可能な値が実験結果などに基づいて予め求められて記憶されている。
【0059】
そして、上記カウント値Crnが所定値Arnより大きい場合には(ステップS19:YES)、車両10の走行中において上記燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高い状態が所定期間にわたり継続されており、レベルセンサ28の出力信号Vfが実際の液面レベルに即した値に近い値になっているとして、レベルセンサ28の出力信号Vfの検出、ひいては同出力信号Vfに基づく燃料補給比率Rvfの算出を実行する条件(検出条件)が成立したと判断される。そして、このときレベルセンサ28の出力信号Vfと電子制御ユニット20の不揮発性のメモリに記憶されている停止時燃料残量Vfspとに基づいて以下の関係式(3)から、燃料補給比率Rvfが算出される(ステップS20)。
【0060】

Rvf=Vf/Vfsp …(3)

このように燃料補給比率Rvfが算出された後、実行フラグがオン操作される(ステップS14)。
【0061】
なお、カウント値Crnが所定値Arn以下である場合には(ステップS19:NO)、燃料補給比率Rvfが算出されず、実行フラグがオン操作されない(ステップS20の処理およびステップS14の処理がジャンプされる)。また、実行フラグがオン操作されている場合には(ステップS17:NO)、ステップ18〜S20,S14の処理がジャンプされる。
【0062】
その後、運転スイッチ27がオフ操作されたことを条件に(ステップS15:YES)、前記仮値Vfspnが停止時燃料残量Vfspとして記憶された後(ステップS16)、本処理は一旦終了される。
【0063】
本実施の形態では、こうした燃料残量検出処理を実行することにより、燃料タンク12内の燃料残量を比較的高い頻度で検出することができる。そのため、燃料タンク12内への燃料補給が行われたときに、これを燃料残量の増加をもって早期に判断することができるようになり、このとき燃料のアルコール濃度が変化する可能性があるとして、そうした状況に応じたかたちで機関制御を実行することができるようになる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)車両10の走行中において、(条件ロ)および(条件ハ)を含む検出条件の成立時にはレベルセンサ28の出力信号Vfに基づく燃料残量の検出を許可し、同検出条件の未成立時には出力信号Vfに基づく燃料残量の検出を禁止するようにした。これにより、燃料タンク12内の燃料液面の揺れが大きい状況になるおそれのある車両10の走行時であっても、同車両10の加速度の絶対値が小さく且つ車両10の操舵角が小さいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが小さい状況である可能性が高いときには、レベルセンサ28の出力信号Vfに基づく燃料残量の検出が許可される。そのため、燃料残量の検出機会を確保することができる。しかも、車両10の加速度の絶対値が大きいときや車両10の操舵角が大きいとき、言い換えれば、燃料液面の揺れが大きい状況である可能性が高いときには、レベルセンサ28の出力信号Vfに基づく燃料残量の検出が禁止されるため、燃料残量の検出精度の低下を抑えることができる。したがって、燃料残量の検出精度の低下を抑えつつ同燃料残量の検出機会を確保することができ、燃料残量を適正に検出することができるようになる。
【0065】
(2)(条件イ)〜(条件ハ)からなる実行条件が成立している状態が所定期間にわたり継続されていることを条件に、前記検出条件の成立を判断するようにした。そのため、燃料液面の揺れが小さくなる可能性が高い状態が継続されてその揺れが小さくなっている可能性がごく高い条件下において燃料残量を検出することができ、高い精度で燃料残量を検出することができる。
【0066】
(3)ガソリンとアルコールとを燃料として使用可能な内燃機関11が搭載された車両10にあって、同内燃機関11に供給するための燃料が備蓄された燃料タンク12内の燃料残量を比較的高い検出頻度で検出することができる。そのため、燃料タンク12内への燃料補給が行われたときに、これを燃料残量の増加をもって早期に判断することができるようになり、このとき燃料のアルコール濃度が変化する可能性があるとして、そうした状況に応じたかたちで機関制御を実行することができるようになる。
【0067】
(4)レベルセンサ28の出力信号Vfに基づいて燃料残量を検出するとともに、その検出した燃料残量に基づいて燃料タンク12内の燃料の増加度合い(燃料補給比率Rvf)を精度よく算出することができる。そして、この燃料補給比率Rvfを、燃料が補給されたことやその補給に伴って燃料のアルコール濃度が変化する可能性のある変化範囲などを判断するための値として用いることができ、燃料タンク12内への燃料補給が行われた直後において機関制御を適切に実行することができる。
【0068】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・車両10の加速度を検出するための加速度センサを新たに設け、同加速度センサを通じて検出される車両10の加速度の絶対値が所定値より小さいことをもって(条件ロ)が満たされていると判断してもよい。また、アクセル踏み込み量ACCや、吸入空気量GA、機関回転速度NEなどの車両10の運転状態に基づいて同車両10の加速度を推定し、その推定した加速度の絶対値が所定値より小さいことをもって(条件ロ)が満たされていると判断してもよい。要は、「車両10の加速度の絶対値が所定値Bより小さいこと」との条件が満たされることを適正に判断することができるのであれば、加速度の検出方法または推定方法は任意に変更することができる。
【0069】
・車両10の操舵輪の舵角を検出するための舵角センサを新たに設け、同センサを通じて検出される舵角が所定角度より大きいことをもって(条件ハ)が満たされていると判断してもよい。また、ナビゲーションシステムが搭載された車両であれば同システムの地図情報から車両10の操舵角を推定し、その推定した操舵角が所定角度より小さいことをもって(条件ハ)が満たされていると判断してもよい。要は、「車両10の操舵角が所定角度Cより小さいこと」との条件が満たされることを適正に判断することができるのであれば、車両10の操舵角の検出方法または推定方法は任意に変更可能である。
【0070】
・実行条件における(条件ロ)および(条件ハ)のうちのいずれか一方を省略してもよい。また、実行条件における(条件イ)を省略することも可能である。
・図3のステップS118の処理を省略してもよい。
【0071】
・車両10の走行時においても、同車両10の停止時と同様に、レベルセンサ28の出力信号Vfについての徐変値Vfsmを算出してこれを燃料補給比率Rvfの算出に用いてもよい。
【0072】
・車両10の停止時においてレベルセンサ28の出力信号Vfについての徐変値Vfsmを算出する処理(図3のステップS110)を省略してもよい。こうした構成にあっては、徐変値Vfsmに基づいて関係式(2)から燃料補給比率Rvfを算出することに代えて、レベルセンサ28の出力信号Vfを用いて前記関係式(3)から燃料補給比率Rvfを算出するようにすればよい。
【0073】
・燃料補給比率Rvfに代えて、燃料補給量(例えば「徐変値Vfsm−停止時燃料残量Vfsp」や「出力信号Vf−停止時燃料残量Vfsp」)を検出するようにしてもよい。要は、燃料タンク12内への燃料補給時における同燃料の増加度合いに相当する値であれば、燃料残量の増加比率や燃料残量の増加量など、燃料補給比率Rvf以外の値を算出するようにしてもよい。
【0074】
・本発明は、検出した燃料残量を、燃料が補給されたことの判断や燃料の増加度合いの算出に用いる車両に限らず、燃料残量の表示などといった上記用途以外の用途に用いられる車両にも適用することができる。
【0075】
・本発明は、ガソリンのみが燃料として用いられる内燃機関が搭載される車両にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明にかかる燃料残量検出装置を具体化した一実施の形態が適用される車両の概略構成を示す略図。
【図2】燃料残量検出処理の実行手順を示すフローチャート。
【図3】停止時処理の実行手順を示すフローチャート。
【図4】走行時処理の実行手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
10…車両、11…内燃機関、12…燃料タンク、13…インジェクタ、14…出力軸、15…燃焼室、16…アクセルペダル、17…ステアリング、20…電子制御ユニット、21…回転速度センサ、22…エアフローメータ、23…アクセルセンサ、24…操舵角センサ、25…速度センサ、26…空燃比センサ、27…運転スイッチ、28…レベルセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を備蓄する燃料タンクが設けられた車両に適用されて、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサを備え、同レベルセンサの出力信号に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出装置において、
前記車両の走行中であって、同車両の加速度の絶対値が所定値より小さいとの検出条件の成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を許可し、前記検出条件の不成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止する
ことを特徴とする燃料残量検出装置。
【請求項2】
燃料を備蓄する燃料タンクが設けられた車両に適用されて、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサを備え、同レベルセンサの出力信号に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出装置において、
前記車両の走行中であって、同車両の加速度の絶対値が所定値より小さく且つ前記車両の操舵角が所定角度より小さいとの検出条件の成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を許可し、前記検出条件の未成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止する
ことを特徴とする燃料残量検出装置。
【請求項3】
燃料を備蓄する燃料タンクが設けられた車両に適用されて、前記燃料タンク内の燃料の液面高さを検出するレベルセンサを備え、同レベルセンサの出力信号に基づいて前記燃料タンク内の燃料残量を検出する燃料残量検出装置において、
前記車両の走行中であって、同車両の操舵角が所定角度より小さいとの検出条件の成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を許可し、前記検出条件の未成立時には前記出力信号に基づく燃料残量の検出を禁止する
ことを特徴とする燃料残量検出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の燃料残量検出装置において、
前記加速度の絶対値が所定値より小さい状態が所定期間にわたり継続されていることを条件に前記検出条件が成立していると判断する
ことを特徴とする燃料残量検出装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の燃料残量検出装置において、
前記操舵角が所定角度より小さい状態が所定期間にわたり継続されていることを条件に前記検出条件が成立していると判断する
ことを特徴とする燃料残量検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の燃料残量検出装置において、
前記車両はガソリンとアルコールとを前記燃料として使用可能な内燃機関が動力源として搭載されてなり、
前記燃料タンクは前記内燃機関に供給するための燃料を備蓄するものである
ことを特徴とする燃料残量検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料残量検出装置において、
前記車両は、前記検出した燃料残量に基づいて前記燃料タンク内の燃料の増加度合いが算出されるとともに該算出された増加度合いに基づいて前記内燃機関の運転制御が実行されるものである
ことを特徴とする燃料残量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−276091(P2009−276091A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125146(P2008−125146)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】