説明

燃料流量制御装置

【課題】従来の燃料流量制御装置は、回転軸の一端と流量制御弁箱との間の隙間に潤滑剤を充填した樹脂を設けることで第2流路への加圧燃料の流入を防いでいたので、回転軸の回転による樹脂の摩耗が発生し、装置としての寿命が短くなっていた。
【解決手段】本発明による燃料流量制御装置は、回転軸2の一端2bと流量制御弁箱5との間に非接触のラビリンスシール10を設け、このラビリンスシール10によって、第1流路3から第2流路4への加圧燃料6の直接的な流入を防ぐ構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料流量制御装置に関し、特に、回転軸の一端と流量制御弁箱との間に非接触のラビリンスシールを設けることで、摩耗によるシールの劣化を防ぎ、装置としての寿命を長くする新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
社内技術で特に特許出願を行っていないため文献名は挙げていないが、従来用いられていたこの種の燃料流量制御装置は、図3のように構成されている。図3は、従来の燃料流量制御装置を示す断面図である。図において、筒状のダクト1の内側に該ダクト1と同様に延びる筒状の回転軸2が配置されており、ダクト1の内壁1aと前記回転軸2の外壁2aとの間に第1流路3が形成されるとともに、前記回転軸2の内側に第2流路4が形成されている。これらダクト1及び回転軸2の一端1b,2bには、前記第1及び第2流路3,4間を接続する流路を有する流量制御弁箱5が接続されており、この流量制御弁箱5には前記第1及び第2流路3,4間を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられている。前記第1流路3には加圧燃料6が通過するように構成されており、前記開閉弁の開閉動作によって第2流路4への吐出燃料7の量が制御される。前記回転軸2の一端2bと前記流量制御弁箱5との間の隙間には、潤滑剤を充填した樹脂8が設けられており、この樹脂8によって、回転軸2の回転を円滑にするとともに、第1流路3の加圧燃料6がこの隙間を通って第2流路4に流入することを防いでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の燃料流量制御装置では、前記回転軸2の一端2bと前記流量制御弁箱5との間の隙間に樹脂8を設けることで第2流路4への加圧燃料6の流入を防いでいるので、回転軸2の回転による樹脂8の摩耗が発生し、装置としての寿命が短くなっていた。
【0004】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、摩耗によるシールの劣化を防ぎ、装置としての寿命をより長くできる燃料流量制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る燃料流量制御装置は、筒状のダクトと、前記ダクト内に配置された筒状の回転軸と、前記ダクトの内壁と前記回転軸の外壁との間に設けられ、加圧燃料が通過する第1流路と、前記回転軸の内側に設けられた第2流路と、前記第1流路及び第2流路間を接続するように前記ダクト及び前記回転軸の一端に接続され、前記第1及び第2流路間を開閉する開閉弁によって前記第2流路への吐出燃料の量を制御する流量制御弁箱とを備え、前記回転軸の前記一端と前記流量制御弁箱との間には非接触のラビリンスシールが設けられている構成である。
また、前記ラビリンスシールは、凹凸部の組み合わせよる輪状シールを構成している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の燃料流量制御装置によれば、前記回転軸の一端と前記流量制御弁箱との間には非接触のラビリンスシールが設けられているので、第1流路から第2流路への加圧燃料の直接的な流入を防ぎつつ、摩耗によるシールの劣化を防ぐことができ、装置としての寿命を長くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による燃料流量制御装置を示す断面図である。図2は、図1の要部を拡大して示す側面図である。なお、従来の燃料流量制御装置と同一又は同等部分については同一の符号を用いて説明する。図において、筒状のダクト1の内側に該ダクト1と同様に延びる筒状の回転軸2が配置されており、ダクト1の内壁1aと前記回転軸2の外壁2aとの間に第1流路3が形成されるとともに、前記回転軸2の内側に第2流路4が形成されている。これらダクト1及び回転軸2の一端1b,2bには、前記第1及び第2流路3,4間を接続する流路を有する流量制御弁箱5が接続されており、この流量制御弁箱5には前記第1及び第2流路3,4間を開閉する開閉弁(図示せず)が設けられている。前記第1流路3には加圧燃料6が通過するように構成されており、前記開閉弁の開閉動作によって第2流路4への吐出燃料7の量が制御される。
【0008】
図2に拡大して示すように、前記回転軸2の一端2bと前記流量制御弁箱5との間にはラビリンスシール10が設けられている。このラビリンスシール10は、凹凸部10a,10bの組み合わせよるものであり、前記一端2bの全周にわたって輪状シールを構成している。前記回転軸2は図示しない軸受によって支持されており、前記一端2b及び前記流量制御弁箱5は互いに非接触とされている。すなわち、この実施の形態の燃料流量制御装置では、この非接触のラビリンスシール10によって、第1流路3から第2流路4への加圧燃料6の直接的な流入を防いでおり、摩耗によるシールの劣化を防ぐことができ、従来装置に比べて装置としての寿命をより長くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1による燃料流量制御装置を示す断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す側面図である。
【図3】従来の燃料流量制御装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0010】
1 ダクト、2 回転軸、3,4 第1及び第2流路、5 流量制御弁箱、10 ラビリンスシール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のダクト(1)と、
前記ダクト(1)内に配置された筒状の回転軸(2)と、
前記ダクト(1)の内壁(1a)と前記回転軸(2)の外壁(2a)との間に設けられ、加圧燃料(6)が通過する第1流路(3)と、
前記回転軸(2)の内側に設けられた第2流路(4)と、
前記第1流路及び第2流路(3,4)間を接続するように前記ダクト(1)及び前記回転軸(2)の一端(1b,2b)に接続され、前記第1及び第2流路(3,4)間を開閉する開閉弁によって前記第2流路(4)への吐出燃料(7)の量を制御する流量制御弁箱(5)と
を備え、
前記回転軸(2)の前記一端(2b)と前記流量制御弁箱(5)との間には非接触のラビリンスシール(10)が設けられていることを特徴とする燃料流量制御装置。
【請求項2】
前記ラビリンスシール(10)は、凹凸部(10a,10b)の組み合わせよる輪状シールを構成していることを特徴とする請求項1記載の燃料流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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